説明

電池情報管理装置、電池情報管理システム、二次電池リユースシステム、二次電池回収・販売システム、二次電池リユース方法および二次電池回収・販売方法

【課題】電気的特性データや使用履歴情報を喪失することがない二次電池モジュールを提供することによって、その再利用の円滑化、効率化を図る。
【解決手段】二次電池モジュール1は、自らの電気的特性情報や使用履歴情報を記憶する電池情報記憶部を備え、また、電池情報管理装置3や端末装置4は、二次電池モジュール1に接続されるインタフェースを備えるようにした。そして、電池情報管理装置3に電池情報DB32を設け、電池情報管理装置3と端末装置4とを通信ネットワーク5によって接続し、電池情報管理装置3および端末装置4によって取得される二次電池モジュール1の電池情報記憶部に記憶されている電池情報を、電池情報DB32に蓄積するようにした。さらに、電池情報管理装置3では、前記の電池情報および所定の閾値に基づき、再利用のためのグレード分けを行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両または産業用に用いられる二次電池モジュールのリユースを管理し、支援する電池情報管理装置、電池情報管理システム、二次電池リユースシステム、二次電池回収・販売システム、二次電池リユース方法および二次電池回収・販売方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球環境問題が大きくクローズアップされ、ゼロエミッション技術やリサイクル技術が注目されている。特に、ニッケルや鉛など重金属を含んだ蓄電池をどのようにリサイクルするかは、環境問題の中でも大きな課題となっている。また、一方で、地球温暖化防止のために、あらゆる場面で炭酸ガスの排出削減が求められており、炭酸ガスの大きな排出源となっているガソリンエンジンの自動車については、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)や電気自動車(Pure-EV:Pure Electric Vehicle)などへ代替が始まっている。
【0003】
現在のところ、ハイブリッド電気自動車や電気自動車の動力用電源としてニッケル水素電池や鉛電池、リチウム二次電池などの大型二次電池が使用されている。また、次世代の水素燃料電池が主動力源として使用される場合にも、ニッケル水素電池やリチウム電池などの二次電池は、補助電源として使用される見通しである。そのため、大型二次電池の需要は今後増加すると予想され、それに伴い、充電不可能になって廃棄される二次電池の数量が急増すると予測され、二次電池をリサイクルするシステムの構築が急務の課題となっている。
【0004】
なお、本明細書では、複数回数充放電可能な蓄電池を「二次電池」と総称する。この場合、電気二重層キャパシタなどキャパシタ(コンデンサ)型の蓄電素子を二次電池に含むものとする。具体的には、二次電池とは、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、ニッケルカドミウム電池などのいわゆる二次電池、および、水溶液系電気二重層キャパシタ、非水溶液系電気二重層キャパシタなどのコンデンサ型の電気化学素子を指す。また、本明細書では、リチウム二次電池とは、Liイオンを利用し、放電のみならず充電が可能な電池をいい、Liイオンの挿入脱離が可能な正極活物質および負極活物質と、Liイオンを含む電解液とから構成されるリチウムイオン電池を含むものとする。
【0005】
ハイブリッド電気自動車や電気自動車の動力用電源に代表される大型二次電池は、高出力、あるいは、大容量であることが必要であるため、それを構成する蓄電池モジュール内の素電池の直列数が多くなる。そのサイズは15リットル以上にも及ぶまさに大型のものとなっている。表1に大型二次電池の例を示す。
【0006】
【表1】

【0007】
このような大型二次電池は、寿命、出力ともに高性能が必要とされるため、高機能で高価な材料を大量に使用する。従って、大型二次電池に関しては、特に、その価格を低減し、さらには、廃棄量を低減することが求められる。すなわち、二次電池の価格を低減し、資源の有効利用を図るためには、二次電池を有効に使いこなす技術、例えば、リサイクルする技術を確立することが重要である。
【0008】
特許文献1には、産業用鉛電池とカーバッテリ(鉛電池)のリースによるリサイクル支援システムの例が開示されている。特許文献1によれば、蓄電池メーカは、カーバッテリを自動車の所有者にリースするものとし、リースしたカーバッテリの状態や使用状況を種々のセンサで監視し、それらのセンサによって得られた情報を、カーナビゲーション装置などのユーザ端末を利用して、管理センタで収集するようにしている。そして、その管理センタでは、カーバッテリの状態や使用状況をデータベースで個別的に管理するとともに、その寿命をバッテリ情報解析部で予測し、寿命に近づいたカーバッテリを回収するとしている。また、その回収されたカーバッテリは、再生物と廃棄物とに分離され、再生物は、蓄電池メーカでカーバッテリの材料として利用されるという。このようなシステムによって、カーバッテリを適正かつ確実に再生処理または廃棄処理ができるとしている。
【0009】
また、ニッケルカドミウム電池など高性能二次電池やキャパシタシステムについては、民生用小型電池でのリサイクルが実施されているのみであり、産業用大型二次電池については、そのリサイクルシステムは本格的には確立されていない。事実、現行のリサイクル処理では、二次電池は、高機能材料が使用されていながら、電極材料にリサイクルされるのはニッケルカドミウム電池と鉛電池のみで、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池はステンレス製品や磁石等の原料に使用されており、電池材料としての再利用技術は確立されていない。
【0010】
このように、二次電池をリサイクルする技術が確立していない現状で、ハイブリッド電気自動車などが普及し、市場に出回る大型二次電池の数量が増加した場合には、大型二次電池は、民生用に比較し、その体積が大きく、材料の使用量が桁違いに多いので、その廃棄量が膨大になっていくと予測される。
【0011】
このような大型二次電池の廃棄量を低減し、有効に使用するためには、二次電池をリユース(再利用)する方法がある。例えば、ハイブリッド電気自動車におけるバッテリのリビルド品との交換などに見られる同一システムにおいての再利用のみが実施されている。しかしながら、当初の用途の異なる他の用途への転用については、電池メーカは、電池の素性や使用履歴がはっきりしないことにより性能や安全の確保ができないことを理由にその転用を禁じていた。
【0012】
ところで、二次電池、特に、車両用などの大型二次電池においては、その残量を推定したり、効率よく電池性能を引き出したりするために、電池の状態演算を実施する電池コントローラが設けられ、その状態演算によって得られた情報に基づき、上位システムが電池の充放電を制御することが行われている。本明細書では、二次電池とその二次電池の動作を制御する電池コントローラと併せて「二次電池システム」と呼ぶ。また、複数の素電池を所定のケースに収納し、所定の電気的仕様を満たすように製造された二次電池を「二次電池モジュール」と呼ぶ。すなわち、二次電池システムは1つまたは複数の二次電池モジュールとそれを制御する電池コントローラとによって構成されるものとする。
【0013】
このとき、電池コントローラはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを備え、その不揮発性メモリには、その電池コントローラが制御する二次電池モジュールそれぞれについて、定格あるいは初期の容量、抵抗、電池の使用可能な電圧値の範囲、電流値の範囲、取り出せる電力値や開回路時の電圧などの電気的特性情報や使用条件が記憶されており、また、残量推定演算プログラムや異常診断プログラムなどが記憶されている。さらに、不具合時の対策などのために、診断プログラムによる異常フラグや、電池の実抵抗や、容量、変化率、最大最小動作電圧、電池使用時間などの使用履歴情報が記憶されていることもある。すなわち、電池コントローラは、通常、制御対象となる二次電池モジュールの電気的特性情報、制御プログラム、使用履歴情報などを保有している。
【0014】
また、一般に、二次電池システムを交換または取り外す場合には、二次電池システムを一つ一つの二次電池モジュールと電池コントローラとに解体する。二次電池システムを解体したとき、例えば、電池コントローラの不揮発性メモリに記憶されている電池の異常フラグの情報などは、読み出すことが可能ではあるが、その情報の二次電池モジュールとの対応づけは、一旦、二次電池システムを解体してしまうと難しくなる。また、電池モジュールの電気的特性の情報についても、従来はコントローラ部に存在するために、システムを解体すると同時に失われてしまっていた。そのため、二次電池モジュールが解体後に再利用されることは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−126669号公報(段落0073〜段落0126、図1〜図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上、従来は、例えば、特許文献1に開示されている鉛蓄電池のリサイクル支援システムにおいては、鉛蓄電池は、一度使用済みとなると、分解または破砕され、有用な部品または構成材料のみが再利用されるに過ぎない。すなわち、車両用などの使用済み鉛蓄電池をつぶしてリサイクルする技術についての記載はあるが、その技術は鉛電池に限定されており、大型二次電池一般をリユースする技術については、何ら示されていない。
【0017】
また、二次電池をリユースしようとするときには、電気的特性情報、使用条件、使用履歴などの情報が必要となるが、それらの情報を利用した二次電池のリユースシステムは、未だ、実現されていない。また、実現しようとした場合、現状のままでは、二次電池システムを解体したとき、その二次電池システムの不揮発性メモリなどに記憶されている電気的特性情報、使用条件、使用履歴などの情報と、二次電池モジュールとの対応関係が失われるという実態がある。
【0018】
以上の従来技術の問題点を鑑み、本発明は、二次電池システムを解体しても、その二次電池システムを構成する二次電池モジュールの電気的特性情報や、使用履歴情報を喪失することがない二次電池モジュールを用いて、その二次電池モジュールの再利用を円滑に効率よく行うための電池情報監視装置及び電池情報管理システムを提供し、大型二次電池モジュールを活用し、より安価で環境循環型の蓄電池リユースシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために、本発明の二次電池モジュールは、自らの電気的特性情報または使用履歴情報の少なくともいずれか一方を記憶する電池情報記憶手段と、その電池情報記憶手段を、二次電池モジュールの動作を制御する電池コントローラに接続するインタフェース手段とを備えるように構成した。
【0020】
また、本発明の電池情報管理装置は、二次電池モジュールに接続されるインタフェース手段を備えるものとし、二次電池モジュールの電池情報記憶手段に記憶されている電池情報を、そのインタフェース手段によって読み出し、前記電池情報について別途あらかじめ定められた1以上の閾値と、前記読み出した電池情報とに基づき、二次電池モジュールのリユースのためのグレード分けを行うようにした。また、本発明の電池情報管理装置は、前記インタフェース手段によって読み出した二次電池モジュールの電池情報を蓄積する電池情報データベースを備えるように構成した。
【0021】
また、本発明の電池情報管理システムは、前記電池情報管理装置と、二次電池モジュールの電池情報記憶手段に記憶されている電池情報を読み出す端末装置とを通信ネットワークで接続する構成とした。そして、前記電池情報管理装置は、前記端末装置が二次電池モジュールから読み出した電池情報の送信を受けて、その電池情報を前記電池情報データベースに蓄積するようにした。
【0022】
また、本発明は、二次電池モジュールがそれぞれ使用される第1および第2のシステムにおいて、それぞれのシステムの定められた使用に対する二次電池モジュールの性能の許容限界値(閾値)をL1,L2とし、L2>L1であるとした場合には(ただし、許容限界値は下限値で、上限値の場合には不等号の向きは反対になる)、第1のシステムで使用された二次電池モジュールの性能が許容値L1に到達したところで、その二次電池モジュールをその許容限界値がL2の第2のシステムに適用するようにしたリユースシステムである。また、第2のシステムで使用された二次電池モジュールの性能が許容値L2に到達したところで、その二次電池モジュールをその許容限界値がL3(L3>L2)の第3のシステムに適用する。以下、同様に繰り返し適用する。
【0023】
本発明の二次電池モジュールによれば、二次電池モジュールの電気的特性情報または使用履歴情報は、電池コントローラにではなく、二次電池モジュールの電池情報記憶手段に記憶される。そのため、二次電池モジュールがリユースされる際に、電池コントローラと二次電池モジュールとを分離するように解体しても、二次電池モジュールの電気的特性情報または使用履歴情報が喪失されることはない。よって、二次電池モジュールのリユースを行うことができるようになる。
【0024】
また、本発明の電池情報管理装置および電池情報管理システムによれば、解体した二次電池モジュールを電池情報管理装置または端末装置に接続し、その記憶手段に記憶されている二次電池モジュールの電気的特性情報または使用履歴情報を読み出すとともに、二次電池リユースのためのグレード分けを行う。そして、それらの情報を電池情報データベースに蓄積する。電池情報データベースは、通信ネットワークおよび端末装置を介してどこからでもアクセスすることができるので、二次電池モジュールのリユースを円滑にかつ効率よく行うことができるようになる。
【0025】
また、本発明の二次電池リユースシステム、二次電池回収・販売システムによれば、大型の二次電池を繰り返し再利用することができるようになるので、二次電池の廃棄量を削減することができ、また、二次電池の価格を低減することができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、二次電池システムを解体しても、その二次電池システムを構成する二次電池モジュールの電気的特性情報や使用履歴情報を喪失することがない二次電池モジュールを用い、かつ、二次電池モジュールの電気的特性情報や使用履歴情報、リユースのためのグレード分け情報を蓄積したデータベースを用いることによって、二次電池モジュールのリユースを円滑にかつ効率よく行うことができるようになる。さらには、電池の内部エネルギーを有効に使いきることができ、電池廃棄処分量の低減や電池のコスト低減にも寄与し、大型電池の価格の安定化にも効果が高い。定められた閾値で交換をできるため、電池やそれを用いるシステムの保守が簡単になり、使用に伴う電池性能の変化に合わせた電池制御も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る二次電池リユースの態様の例を示した図である。
【図2】本発明の実施形態における二次電池リユースの物流の態様の例を示した図である。
【図3】本発明を自動車などシステム製品に適用した場合の二次電池システムの構成例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係る二次電池システムの構成の例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係る電池コントローラの動作の概要を処理の流れとして示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電池情報管理システムの全体構成の例を示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係る電池情報管理システムにおける電池情報管理装置および端末装置の構成の例を示した図である。
【図8】本発明の実施形態に係る電池情報管理装置における回収した二次電池モジュール処理時の処理の流れの例を示した図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例−2に係る二次電池モジュールの構成の例を示した図である。
【図10】本発明の実施形態の変形例−3に係る二次電池モジュールの構成の例を示した図である。
【図11】本発明の実施形態の変形例−6に係る電池情報管理システムの全体構成の例を示した図である。
【図12】本発明の実施の態様例−7に係る家庭用燃料電池システムの構成の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0029】
<二次電池リユースの態様>
図1は、本発明の実施形態に係る二次電池リユースの態様の例を示した図である。一般に、二次電池は充電を行うことによって、繰り返し使用することができる。しかしながら、繰り返し使用していくうちに、例えば、充電可能な電気容量は減少し、内部抵抗は上昇する。そして、そのうちに適用システムで規定されている容量や内部抵抗などの閾値を満たすことができなくなり、使用されなくなる。従来は、その使用されなくなった二次電池は廃棄されていた。
【0030】
本実施形態においては、図1に示すように、二次電池システムをあるシステムAに繰り返し適用する(ステップS11)。そして、二次電池システムを構成する二次電池モジュールの電気的特性などの値がシステムAの要求閾値を満たさなくなった場合(ステップS12でNo)、例えば、二次電池モジュールの内部抵抗がシステムAの要求閾値Rより大きくなった場合には、その二次電池システムをそのまま、または、解体・再構成して、再生した二次電池システムとして、その内部抵抗の要求閾値がRよりも大きいRのシステムBに適用する(ステップS13)。
【0031】
同様に、その再生二次電池システムを構成する二次電池モジュールの電気的特性などの値がシステムBの要求閾値を満たさなくなった場合(ステップS14でNo)、例えば、二次電池モジュールの内部抵抗がシステムBの要求閾値Rより大きくなった場合には、その二次電池システムをそのまま、または、解体・再構成して、再生した二次電池システムとして、その内部抵抗の要求閾値がRよりも大きいRのシステムCに適用する(ステップS15)。
【0032】
さらに、その再生二次電池システムを構成する二次電池モジュールの電気的特性などの値がシステムCの要求閾値を満たさなくなった場合(ステップS16でNo)、例えば、二次電池モジュールの内部抵抗がシステムCの要求閾値R以下にならなくなった場合であって、さらに、その内部抵抗がRより大きくてもよいという適用システムがないときには、その二次電池を廃棄する(ステップS17)。
【0033】
すなわち、二次電池モジュールは、システムAが求める内部抵抗の要求閾値をR,システムBが求める内部抵抗の要求閾値をR、システムCが求める内部抵抗の要求閾値をRとした場合、それぞれの内部抵抗の要求閾値RがR<R<Rとなるようなシステムで使用される。
【0034】
以上のように、本実施形態においては、二次電池モジュールは、適用するシステムが求める電気的特性などの閾値に応じて、つまり、あるシステムに適用しなくなっても、その閾値の制限を満足する他のシステムへ適用するようにして、リユースされる。
【0035】
これらをもっと分かりやすく表現すると、図1に示すように、まず、二次電池モジュールを大電流用途に使用し(ステップS21)、その大電流用途に使用しなくなったときには、中電流用途に使用し(ステップS23)、その中電流用途に使用しなくなったときには、小電流用途に使用する(ステップS25)。この場合、二次電池モジュールは、各用途において必要とされる電流Iを、大電流用途I、中電流用途I、小電流用途Iとすると、電流IがI>I>Iとなるように使用される。そして、その小電流用途に使用しなくなったときには、廃棄する(ステップS27)。
【0036】
同様に、二次電池モジュールを大容量用途に使用し(ステップS31)、その大容量用途に使用しなくなったときには、中容量用途に使用し(ステップS33)、その中容量用途に使用しなくなったときには、小容量用途に使用する(ステップS35)。この場合、二次電池モジュールは、各用途において必要とされる容量Cを、大容量用途C、中容量用途C、少容量用途Cとすると、C>C>Cとなるように使用される。そして、その小容量用途に使用しなくなったときには、廃棄する(ステップS37)。
【0037】
また、図1のいずれの廃棄のステップ(ステップS17,S27,37)においても、解体、再生可能な二次電池モジュールについては、リサイクル業者の所定の処理に従って再生、リサイクル、最終処分残渣に分別され処理される。
【0038】
なお、以上の説明では二次電池の寿命を判定する閾値として電池の内部抵抗、電流および容量を採り上げたが、閾値がこれに限定されることはない。閾値としては、電池使用時間、電池抵抗、電池抵抗変化率、電池容量、電池容量変化率、電池使用強度、電池電圧など電池の状態を示すものの中から1つまたは複数選ばれたものが用いられる。このとき、電池抵抗変化率としては、例えば、R/R(R:現在の容量、R:初期の抵抗)、電池容量変化率としては、例えば、Q/Q(Q:現在の容量、Q:初期の容量)、電池使用強度としては、例えば、Q/t(Q:充放電で使用した積算容量、t:電池使用時間)などで表わされる指標を使用する。また、リユースの回数が2回に限られることもない。リユースの回数は、1回でもよく、3回以上であっても構わない。また、リユースの最終回は、二次電池としてではなく、一次電池として使用されても構わない。
【0039】
次に、図2および図3を用いて、二次電池リユースの物流の態様について説明をする。ここで、図2は、本発明の実施形態における二次電池リユースの物流の態様の例を示した図、図3は、本発明を自動車などシステム製品に適用した場合の二次電池システムの構成例を示した図である。
【0040】
図2において、まず、電池メーカP1は、素電池、および、素電池を複数組み合わせた二次電池モジュール(組電池ともいう)を製造する。製造された素電池または二次電池モジュールは、システムメーカP2、例えば、自動車メーカなどに販売される。
【0041】
システムメーカP2は、購入した素電池または二次電池モジュールに電池コントローラを付加して二次電池システムを構成し、システム製品、例えば、自動車などに組み込む。なお、電池メーカP1が電池コントローラを付加して二次電池システムを製造し、システムメーカへ販売してもよい。
【0042】
ここで、二次電池システム、例えば、自動車に適用する二次電池システム7は、図3に示すように、2つの二次電池モジュール1が直列に接続されて構成され、さらに、それらの二次電池モジュール1を制御する電池コントローラ2を含んで構成される。そして、システム製品、例えば、自動車に組み込まれた二次電池システム7は、適宜、システム全体を制御するコントローラ、例えば、車両コントローラ6によって制御される。
【0043】
次に、二次電池システム7が組み込まれたシステム製品は、エンドユーザP3に販売される。エンドユーザP3は、システムを動作させる中で、充放電を繰り返しながら二次電池システム7を使用する。電池コントローラ2は、所定の電気的特性の要求閾値を適宜監視しており、その電気的特性などの値が要求閾値に達する前に、電池交換が必要なことを車両コントローラ6などのシステムコントローラに通知する。エンドユーザP3は、システムコントローラからの通知、例えば、ダッシュボードのインジケータ表示により電池交換が必要なことを知り、二次電池システム7の回収・交換を電池保守サービス会社P4に依頼する。
【0044】
電池保守サービス会社P4は、エンドユーザP3の依頼を受けて、二次電池システム7の回収・交換を行う。また、電池保守サービス会社P4は、適宜、または、自動車の整備・修理工場などからの依頼を受けたときには、電池状態の判定や、整備による最適化のための電池制御特性情報などのアップデートなどを行う。
【0045】
次に、電池保守サービス会社P4は、回収した二次電池システム7を二次電池モジュール1に解体し、解体した二次電池モジュール1をリユースするために分別する。その分別は、二次電池モジュール1の電気的特性などの閾値に基づき行う。このとき、本実施形態においては、図4以下を用いて説明するように、二次電池モジュール1は、その二次電池モジュール1自身の電気的特性や使用履歴の情報を記憶した記憶手段と、その読み出し手段とを備えている。従って、電池保守サービス会社P4は、二次電池モジュール1の電気的特性や使用履歴の情報を読み出すことによって、その分別を容易に行うことができる。
【0046】
このとき、電気的特性や使用履歴の情報としては、電池の過充電、過放電、過電流などの異常フラグ情報、最大動作電圧、最低動作電圧、電池が動作した電圧範囲、電池の動作時間、電池の現在の抵抗値、容量、抵抗変化率、容量変化率、最高動作温度、最低動作温度、積算電流使用量、電池使用強度Vintなどの中から複数選ばれる。なお、電池使用強度Vintは、積算電流使用量をΣI、使用時間をt、使用平均電圧Vavとしたとき、次式で与えられる。
int=(ΣI)/t または Vint=(ΣI)/Vav
【0047】
そこで、電池保守サービス会社P4は、二次電池モジュール1の記憶手段に記憶されている電気的特性や使用履歴の情報を読み出し、それをあらかじめ準備している別用途の閾値と比較する(P41)。つまり、別用途の閾値によって、使用済み二次電池モジュール1の分別またはグレード付けを行うことができる。そして、その分別またはグレード付けによってリユース可能とされた二次電池モジュール1は、電池メーカP1へ引き渡される。そして、電池メーカP1は、引き取った二次電池モジュール1をその分別された分類ややグレードに応じて、適宜、システムメーカP2へ再販する。
【0048】
一方、その分別またはグレード付けによってモジュールでの再充電用途に適さないとされた二次電池モジュール1は、一次電池用途として放電し、さらに、素電池のレベルに解体される(P5)。そして、解体された素電池は、二次電池用途または一次電池用途として放電し、廃棄業者P6へ引き渡される。廃棄業者P6は、引き取った使用済み素電池を破砕、分別して、リサイクル物と廃残滓とに分けて処分する。
【0049】
<二次電池システムの構成>
図4は、本発明の実施形態に係る二次電池システムの構成の例を示した図である。二次電池システム7は、図3でも示したように、二次電池モジュール1と電池コントローラ2とによって構成される。図4には、1つの電池コントローラ2に対し、1つの二次電池モジュール1が直列に接続される構成を示しているが、1つの電池コントローラ2に対し、複数の二次電池モジュール1が並列に接続される構成であってもよい。
【0050】
図4に示すように、二次電池モジュール1は、複数の素電池が直列、並列または直並列に接続されて構成された組電池部11と、その組電池部11の両端の電極に接続された電池電極端子12,13と、温度センサなどからなるセンサ14と、当該二次電池モジュールの電池に係る電気的特性や使用履歴の情報を記憶する電池情報記憶部17と、電池情報記憶部17に記憶されている情報の読み出しまたは書き込みを制御する電池情報R/W制御部16と、電池情報R/W制御部16を電池コントローラ2に接続する電池情報R/W端子15とを含んで構成される。
【0051】
ここで、電池情報記憶部17は、通常、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリなどで構成され、電源電圧が供給されない場合も、記憶している情報を保持する。また、電池情報R/W制御部16は、電池情報記憶部17の情報の読み出しまたは書き込みを制御するメモリ制御回路(図示せず)と、電池情報R/W端子15を介して電池コントローラ2と通信を行う通信インタフェース回路(図示せず)とによって構成される。この場合の通信インタフェース回路は、例えば、RS−232C、LIN(Local Interconnect Network)、USB(Universal Serial Bus)などのシリアル通信インタフェース回路によって構成することができる。
【0052】
なお、電池情報記憶部17に記憶される電池情報としては、初期容量、初期抵抗、充放電可能な電流値、電力値、電池使用電圧の範囲、(以下、現在値)容量、抵抗、抵抗変化率、容量変化率、(以下、履歴情報)充放電を実施した電流値、電池使用電圧範囲、電池使用時間、過充電、過放電などの異常フラグ情報、電池使用強度などである。
【0053】
一方、電池コントローラ2は、電池の動作を制御する電池制御部21と、センサ14や電池電極端子12,13などに接続されてその信号レベルなどを計測するセンサ計測部22と、当該二次電池システム7が適用される上位システムのコントローラと情報の送受信を行う上位システム通信部23と、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17からの情報を送受信する電池モジュール通信部24とを含んで構成される。
【0054】
ここで、電池制御部21は、いわゆるCPU(Central Processing Unit)などからなる演算部211とメモリ212とを含んで構成される。メモリ212は、電池を制御する電池制御プログラムや上位システムとの通信を制御する上位システム通信制御プログラムなどのプログラムが格納されている。また、メモリ212は、それらのプログラムが実行されるときに使用される作業領域としても使用される。
【0055】
また、電池モジュール通信部24は、電池情報R/W制御部16の通信インタフェース回路に対応するインタフェース回路で構成され、例えば、RS−232C、LIN、USBなどのシリアル通信インタフェース回路によって構成することができる。また、上位システム通信部23も、同様に、RS−232C、LIN、USBなどのシリアル通信インタフェース回路によって構成することができる。なお、車両コントローラ6などの上位システムが多数の下位システムに接続される場合には、それらを互いに接続する通信線としてLAN(Local Area Network)が用いられ、そのときには、上位システム通信部23は、例えば、CAN(Controller Area Network)、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルを制御するネットワークインタフェース回路で構成される。また、センサ計測部22は、センサ14の出力信号や電池電極端子12,13間の電圧や出力電流などを計測し、A/D変換したディジタル情報を電池制御部21へ入力する。
【0056】
図5は、電池コントローラの動作の概要を処理の流れとして示した図である。図5に示すように、電池コントローラ2は、電源がオンされると(ステップS41)、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に格納されている電池情報、つまり、当該二次電池モジュール1の電気的特性や使用履歴情報を読み込む(ステップS42)。すなわち、電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の電池情報R/W制御部16に対して電池情報の読み出しを指示する。それに応じて、電池情報R/W制御部16は、電池情報記憶部17に格納されている電池情報を読み出し(ステップS51)、電池コントローラ2へ向けて出力する。電池コントローラ2は、その出力された電池情報を読み込む。
【0057】
電池コントローラ2は、その後、その電池情報を用いて、当該二次電池モジュール1について所定の電池制御を実行する(ステップS43)。そして、電池コントローラ2は、所定の時間間隔ごとに、例えば、1時間ごとに、さらには、電源がオフされる直前に、当該二次電池モジュール1が使用され制御されることによって変化した電池情報を二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に書き込む(ステップS44)。すなわち、電池情報R/W制御部16は、電池コントローラ2から書き込むべき電池情報を受け取り、その受け取った電池情報を電池情報記憶部17に書き込む(ステップS52)。
【0058】
また、電池コントローラ2は、所定の時間間隔ごとに、または、電源がオフされる直前に、所定の予測アルゴリズムに従って、当該二次電池モジュール1の残寿命を予測し、その残寿命が所定値以下になった場合には(ステップS45でYes)、上位システムに対して電池交換が必要なことを通知する(ステップS46)。なお、その通知は、通常、ステータスフラグなどの情報として上位システムに送信されるが、それに加えて、電池コントローラ2の実装基板(図示せず)などに電池交換が必要なことを表示する発光ダイオードなどを付しても構わない。
【0059】
電池交換が必要なことを認知した上位システム、例えば、車両コントローラ6などは、電池切れの予告をダッシュボードのインジケータなどに表示して、二次電池モジュール1、つまり、二次電池システム7の交換が必要なことを車両の運転者(エンドユーザP3)に知らせる。このようにして、二次電池システム7の交換が必要なことを知ったエンドユーザP3は、その交換を電池保守サービス会社P4に依頼する。
【0060】
以上のように、本実施形態においては、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17には、常に、新しい電気的特性やその使用履歴情報が格納されていることになる。しかも、前記したように、電池情報記憶部17が不揮発性メモリによって構成されているので、電池情報記憶部17に格納されている電池情報は、電源の供給が停止されても失われない。従って、電池保守サービス会社P4に回収された二次電池システム7がリユースに際して電池コントローラ2と二次電池モジュール1とに解体されたとしても、二次電池モジュール1は、自らの電池情報をその電池情報記憶部17に保持していることになる。これによって、二次電池モジュール1の電気的特性や使用履歴情報が分かるので、そのリユース、つまり、新たな適用先を容易に見つけることができるようになる。
【0061】
また、複数の二次電池モジュール1と電池コントローラ2とから構成される二次電池システム7においては、従来、各々の二次電池モジュール1の電気的特性情報が電池コントローラ2のメモリ212にまとめて保持されていたため、その複数の二次電池モジュール1のうちのある1つの二次電池モジュール1に内部短絡や電圧バランス不良などの不具合が生じた場合には、その二次電池システム7に含まれる複数の二次電池モジュール1をすべて交換しなければならなかった。これに対し、本実施形態においては、各々の二次電池モジュール1がそれぞれの電池情報記憶部17に自らの電気的特性や使用履歴情報を保持しているので、その電気的特性の情報を参照することにより、どの二次電池モジュール1に不具合が生じているかを容易に判定できるようになる。従って、不具合が生じた二次電池モジュール1のみを交換し、不具合のない二次電池モジュール1については、そのまま使用し続けることが可能になる。
【0062】
なお、二次電池システム7の適用用途としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、架線レス電動鉄道車両、電気機関車、ハイブリッド鉄道車両、建設機械の電源、ゴルフカート、電動自転車、電動バイク、電動車椅子などの移動体などがあり、さらには、電力吸収回生装置、電力平準化用電源システム、定置型バックアップ電源、携帯電話の基地局用電源、車内ブレーキシステムの冗長電源、燃料電池システムのバックアップ電源、蓄電システム、非常電源、非常灯、発電システムの蓄電設備などの定置使用の二次電池用途や、一次電源としての利用用途などがある。
【0063】
以上のような適用用途のなかで、大型のシステムほど、二次電池モジュール1を直列、並列または直並列に多数接続して使用するため、そのような用途に本実施形態を適用した場合には、無駄に二次電池モジュール1が交換されたり、廃棄されたりするケースが大幅に削減される。また、新たな適用先を容易に見つけることができるようになるので、二次電池モジュール1をより有効に活用することができるようになる。その結果、二次電池モジュール1の販売価格の低減や、廃棄物の排出量の低減にも大きな効果を見込むことができる。
【0064】
<電池情報管理システム>
以下、図6〜図8を用いて本実施形態に係る電池情報管理システムについて説明する。ここで、図6は、本実施形態に係る電池情報管理システムの全体構成の例を示した図、図7は、電池情報管理システムにおける電池情報管理装置および端末装置の構成の例を示した図、図8は、電池情報管理装置における回収した二次電池モジュール処理時の処理の流れの例を示した図である。
【0065】
図6に示すように、電池情報管理システム8は、電池保守サービス会社P4に設置された電池情報管理装置3と、電池メーカP1およびシステムメーカP2に設けられた複数の端末装置4とが通信ネットワーク5によって接続されて構成される。電池情報管理装置3は、電池情報DB(Data Base)32を備え、その電池情報DB32には、使用中および回収後の二次電池モジュール1についての電池情報などを蓄積している。また、回収後の二次電池モジュール1については、電池情報DB32は、さらに、リユースするために分類したグレード分けの情報などを蓄積している。
【0066】
ちなみに、電池メーカP1で製造された二次電池モジュール1は、その出荷検査時などに、電気的特性情報などの電池情報が測定される。そして、測定された電池情報は、その初期値として、端末装置4によって電池情報記憶部17に書き込まれるとともに、電池情報管理装置3へ送信される。電池情報管理装置3は、受信した電池情報を二次電池モジュール1の識別情報に対応させて電池情報DB32に蓄積する。
【0067】
また、エンドユーザP3が使用中の二次電池モジュール1については、例えば、システムメーカP2の整備工場などで修理や整備を受けたときに、端末装置4に接続され、その二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に書き込まれている電池情報が読み出され、必要に応じて、アップデートするための修正が加えられる。そして、再度、電池情報記憶部17に書き込まれるとともに、それらの情報は、電池情報管理装置3へ送信され、電池情報DB32に蓄積される。
【0068】
また、電池保守サービス会社P4では、回収した二次電池モジュール1について、その電池情報記憶部17に書き込まれている電池情報を読み出し、読み出した電池情報に基づき、その二次電池モジュール1のグレード分けを行う。そして、リユース可能なものとリユース不可能なものとを選別し、リユース可能なものについては、電池情報記憶部17の電池情報を適宜アップデートするとともに、アップデートされた電池情報とグレード分けの情報とを電池情報DB32に蓄積する。
【0069】
以上、電池情報管理システム8においては、電池情報DB32は、蓄積するのみならず、蓄積した情報を電池保守サービス会社P4の電池情報管理装置3からだけでなく、電池メーカP1の端末装置4からも、また、システムメーカP2の端末装置4からもアクセスすることができる。そのため、それぞれの二次電池モジュール1の電池情報やグレード分けの情報を一括して管理することが可能となる。従って、使用中の二次電池モジュール1について電池の制御情報などのアップデートを実施するのが容易となり、また、回収した二次電池モジュール1についてそのリユースを円滑に行えるようになる。
【0070】
次に、図7を参照して電池情報管理装置3および端末装置4の構成について説明する。図7に示すように電池情報管理装置3は、電池情報DB32を備えたいわゆるサーバ装置であり、その主要部は、CPUとメモリとからなる情報処理部31によって構成される。電池情報管理装置3は、情報処理部31に加えて、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に対して情報の読み出しまたは書き込みを行う電池モジュール通信部33、通信ネットワーク5に接続される通信インタフェース部34、情報処理部31の処理結果などを表示する表示装置35などを含んで構成される。
【0071】
ここで、電池モジュール通信部33は、二次電池モジュール1の電池情報R/W端子15に接続されるので、電池情報R/W制御部16の通信インタフェース回路に対応させてRS−232C、LIN、USBなどのシリアル通信インタフェース回路によって構成される。また、通信インタフェース部34は、CAN、TCP/IPなどのプロトコルを用いて通信される通信ネットワーク5に接続されるので、CAN、TCP/IPなどのプロトコルを制御するネットワークインタフェース回路で構成される。
【0072】
また、端末装置4は、CPUとメモリとからなる情報処理部41、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に対して情報の読み出しまたは書き込みを行う電池モジュール通信部42、通信ネットワーク5に接続される通信インタフェース部43とを含んで構成される。この場合、情報処理部41は、いわゆるパーソナルコンピュータなどによって構成され、また、電池モジュール通信部42および通信インタフェース部43は、電池情報管理装置3の電池モジュール通信部33および通信インタフェース部34と同様に構成され、同様の機能を備えている。
【0073】
なお、図7において、電池情報管理装置3が電池モジュール通信部33を具備しない構成も許容される。ただし、この場合には、電池情報管理装置3が設置されている電池保守サービス会社P4においても端末装置4を備えるものとし、電池情報管理装置3は、端末装置4を介して二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に格納されている電池情報を読み出しまたは書き込みをすることになる。
【0074】
次に、図8を参照して、回収した二次電池モジュール1を処理する場合について電池情報管理装置3が実行する処理の流れの例について説明する。電池情報管理装置3は、まず、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に格納されている電池情報を読み込む(ステップS61)。すなわち、電池情報管理装置3は、二次電池モジュール1の電池情報R/W制御部16に対して電池情報の読み出しを指示する。それに応じて、電池情報R/W制御部16は、電池情報記憶部17に格納されている電池情報を読み出し(ステップS71)、電池情報管理装置3へ向けて出力する。電池情報管理装置3は、その出力された電池情報を読み込むのである。
【0075】
続いて、電池情報管理装置3は、読み込んだ電池情報に基づき、当該二次電池モジュール1の電気的特性がリユース先のシステムが要求する閾値のいずれの閾値に適合するかを判定し(ステップS62)、リユースのためのグレード分けを行う(ステップS63)。そして、リユース先があり、リユース可能と判定された場合には(ステップS64でYes)、必要に応じて、その二次電池モジュール1の電池情報に含まれる電池の制御情報をアップデートする(ステップS65)。すなわち、二次電池モジュール1は、そのアップデートされた電池情報を電池情報管理装置3から受け取り、受け取った電池情報を電池情報記憶部17に書き込む(ステップS72)。
【0076】
また、それに併せて、ステップS63で得られたグレード分け情報、ステップS65でアップデートされた電池情報などを電池情報DB32に登録するとともに(ステップS66)、そのグレード分けの情報を表示装置35などに表示する(ステップS67)。一方、二次電池モジュール1のリユースができない場合には(ステップS64でNo)、表示装置35などに当該二次電池モジュール1の廃棄指示情報などを表示する(ステップS68)。
【0077】
なお、ステップS62の閾値の判定およびステップS63のリユースのためのグレード分けにおいては、当該二次電池モジュール1の抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度などのうち、少なくとも1つを含む値を閾値として用いる。
【0078】
以上、本実施形態においては、電池保守サービス会社P4は、電池情報管理装置3を用いて、回収した二次電池モジュール1のリユース/廃棄の選別と、リユースのためのグレード分けとを容易に行うことができる。また、回収した二次電池モジュール1の電気的特性や使用履歴情報などの電池情報およびリユースのためのグレード分けの情報は、電池情報管理装置3の電池情報DB32に登録されるので、電池メーカP1やシステムメーカP2で参照することができる。そのため、回収した二次電池モジュール1のリユースをスムーズに行うことできる。
【0079】
<実施形態の変形例−1>
以上説明した実施形態においては、図4などに示したように、電池コントローラ2の電池モジュール通信部24と、二次電池モジュール1の電池情報R/W端子15とを有線の信号で接続するとしているが、本実施形態の変形例では、これを無線の信号で接続するものとする。そして、電池情報R/W制御部16と電池情報記憶部17とをいわゆるRFID(Radio Frequency Identification)タグで構成する。RFIDタグの記憶部は、通常、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリで構成されているので、電池情報記憶部17としても好適である。
【0080】
なお、本実施形態の変形例では、電池コントローラ2の電池モジュール通信部24は、RFIDのタグリーダ/ライタによって構成されることになる。また、同様に、電池情報管理装置3の電池モジュール通信部33および端末装置4の電池モジュール通信部42もRFIDのタグリーダ/ライタによって構成される。
【0081】
以上のように、電池情報R/W制御部16と電池情報記憶部17とをRFIDタグを用いて実現することは、従来からある二次電池モジュール1のケースまたは筐体にほとんど変更を加えずに本発明を実施できるというメリットがある。すなわち、RFIDタグの種類としては様々なものがあるが、一般にその形状は小さく、RFIDタグを二次電池モジュール1に取り付ける場合、単に、貼付するだけで済むからである。
【0082】
<実施形態の変形例−2>
図9は、実施形態の変形例−2に係る二次電池モジュールの構成の例を示した図である。本実施形態の変形例における二次電池モジュール1aは、電池コントローラ2に接続される電池情報R/W制御部16に加えて、外部接続用電池情報R/W制御部16aを具備する。すなわち、外部接続用電池情報R/W制御部16aは、外部接続用電池情報R/W端子15aを介して、外部装置に接続される。
【0083】
ここでは、外部装置として電池情報管理装置3または端末装置4を想定している。従って、外部接続用電池情報R/W制御部16aの外部装置と通信を行う通信インタフェース回路は、電池情報管理装置3または端末装置4の電池モジュール通信部33,42と同じインタフェースであれは、RS−232CインタフェースやUSB、LIN、さらには、CAN、TCP/IPなどのプロトコルを制御するネットワークインタフェースなどのいずれであってもよい。従って、外部接続用電池情報R/W制御部16aは、電池情報R/W制御部16と同じインタフェースであってもよく、また、異なったインタフェースであってもよい。
【0084】
このように、二次電池モジュール1aが外部接続用電池情報R/W制御部16aを備えたことにより、電池コントローラ2と二次電池モジュール1aとの接続を解体しなくても、電池情報管理装置3や端末装置4を外部接続用電池情報R/W制御部16aに接続することができるようになる。そのため、システムメーカP2や電池保守サービス会社P4において、点検のための電池状態の判定や電池情報のアップデートを、電池コントローラ2を外さずに行うことができるようになる。従って、電池状態の判定や電池情報のアップデートの作業効率を向上させることができる。なお、ここまでの実施形態の説明においては、電池保守サービス会社P4としたが、電池保守サービス会社P4は、電池メーカP1内のサービス部門であってもよい。
【0085】
<実施形態の変形例−3>
図10は、実施形態の変形例−3に係る二次電池モジュールの構成の例を示した図である。本実施形態の変形例における二次電池モジュール1bは、電池コントローラ2に接続される電池情報R/W制御部16に加えて、可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W制御部16bを具備する。ここで、可搬記憶媒体記憶装置とは、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、USBメモリ、ICカードメモリなどをいう。このとき、可搬記憶媒体記憶装置は、ディスク系記憶装置にあっては、ディスク回転、ヘッド移動などの機構駆動部を含むものとする。
【0086】
また、可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W制御部16bに付随し、可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W端子15bと、読み出しボタン18と、書き込みボタン19とが設けられている。ここで、可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W端子15bは、外部の可搬記憶媒体記憶装置を有線の信号などによって接続する端子である。また、読み出しボタン18は、電池情報記憶部17に格納されている電池情報を読み出し、その読み出した電池情報を外部の可搬記憶媒体記憶装置に書き込むことを指示するボタンである。また、書き込みボタン19は、外部の可搬記憶媒体記憶装置に書き込まれている情報を読み出し、その読み出した情報を電池情報記憶部17に書き込むことを指示するボタンである。
【0087】
可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W制御部16bは、可搬記憶媒体記憶装置駆動部(図示せず。なお、この場合は、論理的な駆動部をいう。)を備え、その可搬記憶媒体記憶装置駆動部により可搬記憶媒体記憶装置に記憶されている情報の読み出しまたは書き込みを制御する。そして、読み出しボタン18および書き込みボタン19が可搬記憶媒体記憶装置駆動部接続され、それらのボタンが押されることによって、電池情報記憶部17に格納されている電池情報の読み出しまたは書き込み動作が実行される。
【0088】
すなわち、読み出しボタン18を押せば、電池情報記憶部17に格納されている電池情報が読み出され、その読み出された電池情報が外部の可搬記憶媒体記憶装置に書き込まれる。また、書き込みボタン19を押せば、外部の可搬記憶媒体記憶装置に書き込まれている情報が読み出され、その読み出された情報が電池情報記憶部17に書き込まれる。
【0089】
また、一方では、電池情報管理装置3や端末装置4は、通常の形態として前記のような可搬記憶媒体記憶装置の情報を読み出しまたは書き込む駆動部を備えている。そのため、本実施形態の変形例によれば、二次電池モジュール1bの電池情報記憶部17と電池情報管理装置3または端末装置4との間の情報のやり取りを、可搬記憶媒体を介して行うことができるようになる。従って、電池情報管理装置3や端末装置4がない現場においても、例えば、USBメモリなどの可搬記憶媒体記憶装置を介して電池情報を収集したり、電池情報をアップデートしたりすることができるようになる。
【0090】
<実施形態の変形例−4>
以上に説明したいずれの実施形態においても、電池情報記憶部17に記憶されている電池情報を保護する仕組みは入れられていない。そこで、本実施形態の変形例では、パスワードにより電池情報を保護する例について説明する。
【0091】
本実施形態の変形例では、電池情報R/W制御部16(図4、図7参照)にパスワード判定部(図示せず)を設け、例えば、電池コントローラ2や電池情報管理装置3などが電池情報記憶部17の電池情報を読み出したり書き込んだりする場合(図5のステップS51およびステップS52、図8のステップS71およびステップS72)、それに先立ち所定のパスワードが電池情報R/W制御部16に入力されない限り、電池情報の読み出しまたは書き込み動作が起動しないようにする。
【0092】
すなわち、電池情報R/W制御部16は、不揮発性メモリを備え、その不揮発性メモリにあらかじめ決められたパスワードを記憶しておく。パスワード判定部は、電池情報の読み出しまたは書き込みに先立って入力される文字列を、そのあらかじめ記憶されているパスワードと比較する。その結果、入力された文字列がそのパスワードと同じであったときには、電池情報の読み出しまたは書き込みの動作を有効化し、そのパスワードと異なったときには、電池情報の読み出しまたは書き込みの動作を無効化する。なお、ここで、パスワードを記憶する不揮発性メモリは、電池情報記憶部17のメモリの一部であっても構わない。
【0093】
また、図9において、外部接続用電池情報R/W制御部16aにも同様のパスワード判定部(図示せず)を設け、外部装置からの読み出しまたは書き込み動作に対し、電池情報記憶部17の電池情報を保護する。
【0094】
また、図10において、可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W制御部16bにも同様のパスワード判定部(図示せず)を設け、あらかじめ定められたパスワードを入力することなしに、可搬記憶媒体記憶装置へ電池情報記憶部17の電池情報を読み出したり、電池情報記憶部17へ可搬記憶媒体記憶装置からの情報を書き込んだりすることを防止する。すなわち、読み出しボタン18や書き込みボタン19を押しても、所定のパスワードが入力されない場合には、電池情報記憶部17の電池情報の読み出しまたは書き込み動作は、起動されない。
【0095】
一般に、パスワードは、当事者だけが知っている情報であり、通常、第三者は知り得ない情報である。従って、本実施形態の変形例によれば、パスワードを知らない第三者は、電池情報記憶部17に記憶されている電池情報を読み出しまたは書き込むことができないので、悪意ある第三者による電池情報の破壊や改竄を防止することができる。
【0096】
<実施形態の変形例−5>
本実施形態の変形例では、暗号により電池情報記憶部17に記憶されている電池情報を保護する例について説明する。この場合には、電池情報記憶部17には、暗号化された電池情報を記憶する。
【0097】
本実施形態の変形例では、電池コントローラ2の電池制御部21は、所定の暗号化方式に基づく暗号化/復号化部(図示せず)を備える。そして、電池コントローラ2は、電池情報を電池情報記憶部17へ書き込むときに(図5のステップS44)、それに先立ち、書き込もうとする電池情報を暗号化/復号化部により暗号化し、その暗号化した情報を電池情報記憶部17へ書き込む。また、電池コントローラ2は、電池情報を電池情報記憶部17から読み込むときには(図5のステップS42)、読み込んだ暗号化電池情報を暗号化/復号化部により復号化し、平文の電池情報に戻す。
【0098】
また、電池情報管理装置3および端末装置4の情報処理部31,41(図7参照)も同様の暗号化/復号化部(図示せず)を備える。そして、電池情報管理装置3などが電池情報記憶部17の電池情報を読み出したり書き込んだりする場合(図8のステップS61、ステップS65など)、その暗号化/復号化部は、暗号化電池情報を復号化したり、書き込もうとしている電池情報を暗号化したりする。なお、当然ながら、電池情報管理装置3および端末装置4の情報処理部31,41に含まれる暗号化/復号化部は、電池コントローラ2の暗号化/復号化部と同じ暗号化方式および同じ暗号化キーを用いるものでなければならない。
【0099】
以上、本実施形態の変形例によれば、当事者以外は、電池情報記憶部17に記憶されている電池情報を復号化することができないので、電池情報として含まれる可能性のある技術情報を第三者に知られずに済む。
【0100】
<実施形態の変形例−6>
図11は、本発明の実施形態の変形例−6に係る電池情報管理システムの全体構成の例を示した図である。図11における図6との相違は、たとえば、車両などのエンドユーザP3が使用中の二次電池システム7が、その上位システムまたは上位システムの一部であるナビゲーション装置61などに接続され、さらに、ナビゲーション装置61と通信可能な携帯電話などの基地局51を介して、通信ネットワーク5に接続されている点にある。すなわち、使用中の二次電池システム7が通信ネットワーク5を介して電池情報管理装置3に接続されている。
【0101】
本実施形態の変形例では、電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に新たな電池情報を書き込むときに、または、たとえば、1日に1回など、所定の時間間隔ごとに電池情報記憶部17に記憶されている電池情報を、その上位システムであるナビゲーション装置61などに送信する。そして、ナビゲーション装置61は、その受信した電池情報を、通信ネットワーク5などを介して電池情報管理装置3へ送信する。そして、電池情報管理装置3は、受信した電池情報をその二次電池モジュール1の識別情報と対応付けて電池情報DB32に登録する。
【0102】
従って、電池情報管理装置3は、使用中の二次電池モジュール1の電池情報を、上位システムの整備や修理のときだけでなく、いつでも取得することができ、常時監視することができる。また、電池情報管理装置3は、通信ネットワーク5、ナビゲーション装置61などを介して、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に記憶されている電池情報を変更することも可能となる。そのため、電池情報管理装置3は、いつでも使用中の二次電池モジュール1の残寿命を予測したり、電池情報記憶部17に記憶する電池情報をいち早く最新のものにアップデートしたりすることができるようになる。
【0103】
以上、本実施形態の変形例によれば、電池情報管理装置3は、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に記憶されている最新の電池情報を取得することができるとともに、その電池情報に最新の電池制御情報などを含めて電池情報のアップデートができるようになる。よって、二次電池モジュール1を常に効率よく動作させることが可能となる。
【0104】
<具体的な実施の態様>
以下、以上に説明した実施形態に係る二次電池モジュール1、二次電池システム7、電池情報管理装置3、電池情報管理システム8を利用した二次電池の具体的な実施の態様の例、さらには、二次電池のリユースシステムや販売方法などについて詳しく説明する。
【0105】
(実施の態様例−1)
図3および図4を参照して、リチウム二次電池を使用した二次電池システム7およびそのリユースの例について説明する。二次電池システム7は、複数の素電池を直並列に接続して構成した二次電池モジュール1、本例の場合は、平均電圧3.6[V]、容量Ca[Ah]の素電池を48本直列に接続した電池電圧173[V]、容量Ca[Ah]の二次電池モジュール1によって構成され、車両コントローラ6などの上位システムによって使用される。なお、大括弧[ ]内の記号は、単位を表わす。
【0106】
このとき、二次電池モジュール1の電気的特性や使用履歴情報などの電池情報は、二次電池モジュール1の筐体に設けられた電池情報記憶部17に格納されている。なお、電池情報記憶部17は、二次電池モジュール1の筐体内側、筐体外側、または、筐体内側と外側とに分割して設けられる。電池情報記憶部17は、書き換え可能メモリを有しており、電池情報R/W制御部16を介して外部から通信によって書き換えることが可能である。また、本例における二次電池システム7の電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の電池特性と電流、電圧、温度センサで検出された情報から、電池の状態を検知し、車両コントローラ6などの上位システムと情報を通信する構成となっている。
【0107】
本蓄電池をモータ出力35[kW]出力のハイブリッド電気自動車に適用する場合を考えると、その二次電池システム7の構成は、図3に示すようになる。すなわち、二次電池システム7は、電池電圧173[V]の2つの二次電池モジュール1a,1bを互いに直列に接続し、さらに電池コントローラ2を接続した構成をしている。また、二次電池システム7は、ハイブリッド自動車の車両コントローラ6に接続されている。
【0108】
このような二次電池システム7において、動作時に二次電池モジュール1aに不具合が発生した場合には、従来は、二次電池モジュール1aを交換するとき、電池コントローラ2に二次電池モジュール1の電気的特性データなどが記録されていたため、両者の電気的特性データを揃えるために二次電池モジュール1bも交換しなければならなかった。すなわち、二次電池モジュール1bの内部抵抗Rが初期内部抵抗Roに対し、Ro<Rであるが、システム不成立となる閾値の抵抗値RL1まで到達していないにもかかわらず(Ro<R<RL1)、つまり、電池としてまだ使用可能であるにもかかわらず、廃棄処分の対象となる。
【0109】
一方、本例の場合には、電池の特性データは蓄電池に付随しているため、二次電池モジュール1bを別の規格のシステムに使用することができる。また、二次電池モジュール1aのみを交換して、二次電池モジュール1bをそのまま使用することが可能になる。
【0110】
また、二次電池モジュール1bを取り外し、別システム、例えば、システム成立の閾値が内部抵抗R’であるような無停電電源に適用する場合、取り外した蓄電池1bの内部抵抗RがR<R’であるときには、二次電池モジュール1bをその無停電電源に適用することができる。この場合、無停電電源の使用電流値I’は1CA程度となり、また、ハイブリッド自動車で使用する電流値をIとするとI’<Iであり、より小さな電流で十分システムが成立する。
【0111】
無停電電源としては、鉛蓄電池を利用したシステムが一般的である。非常用電源は満充電で保存されて、非常時に放電するという使用法である。このとき鉛蓄電池の場合は充電により発熱し、電解液の分解等の副反応が起きる。また、放置時の自己放電が大きく、常に充電を繰り返すと、容量劣化が大きく、1年から3年程度で使用不能となりやすい。
【0112】
しかし、無停電電源にリチウムイオン電池を使用した場合には、リチウムイオン電池は、自己放電が小さく、浅い充放電を繰り返しても容量が目減りするメモリ効果がなく、サイクル寿命、保存寿命も長く、5年から10年程度は使用可能である。さらに、リチウムイオン電池は、素電池電圧が高く、軽量であるため、従来の鉛電池のシステムより利用しやすい非常用電源システムを実現することができる。また、大容量が必要なシステムでは、素電池または二次電池モジュール1を多並列にして使用することにより、システム要求を満たすことが可能である。また、非常用電源システムは、既存の鉛電池を適用した設計で、電池の入出力部分のみの設計変更で対応することが可能であるため、開発コストの低減が可能で、同性能の鉛電池同等の価格でシステムを組むことが可能になり、電池寿命が長く信頼性の高いシステムを実現することができる。
【0113】
(実施の態様例−2)
次に、図11を参照して、ハイブリッド自動車のモータ出力35[kW]のシステムに適用される平均電圧173[V]、容量Ca[Ah]のリチウム二次電池およびそのリユースの例について説明する。
【0114】
まず、二次電池モジュール1の使用範囲の閾値を電池情報記憶部17に設定する。すなわち、二次電池モジュール1には電池情報記憶部17が内蔵され、その電池情報記憶部17を構成する書き換え可能なメモリには、その電気的特性データや使用履歴が書き込まれるが、本例では、二次電池モジュール1の使用可能な閾値として、例えば、抵抗値Rがそのメモリに書き込まれる。そして、電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の抵抗値RがR[mΩ](R>R)に達した時点で、上位システムであるナビゲーション装置61などに閾値到達を通知する。
【0115】
ナビゲーション装置61は、この閾値到達情報を、通信ネットワーク5などを介して保守サービス会社P4に設置されている電池情報管理装置3へ送信し、その情報を受信した電池情報管理装置3は、その旨を電池情報DB32に登録するとともに、保守作業者に知らせる。その情報に基づき、保守サービス会社P4の作業者は、二次電池システム7を回収・交換する。なお、上位システムであるナビゲーション装置61が通信機能を持たず、通信ネットワーク5に接続されていない場合には、ナビゲーション装置61の表示装置などを介して二次電池モジュール1の閾値到達を知った車両の運転者などが、電話などを介して保守サービス会社P4へ通知してもよい。
【0116】
回収した二次電池モジュール1の電池情報記憶部17には、閾値情報、使用履歴、異常データの有無などの電池情報が記録されている。そこで、電池情報管理装置3は、電池情報記憶部17記憶されているこれらの電池情報を、電池モジュール通信部33(図7参照)を介して読み出し、その使用履歴などを確認する。そして、特性データなど補正の必要がある場合には、特性データの一部または全部を書き換える。
【0117】
このようにして特性データなどが書き換えられた二次電池モジュール1は、内部抵抗Rが、R<R<R[mΩ]の範囲内で使用される、例えば、モータ出力25[kW]システム用に出荷する。ここで、Rは、蓄電池に要求されるシステム成立の限界の抵抗値を示す閾値である。なお、25[kW]システムでも35[kW]システム適用時と同様に、抵抗値Rが閾値Rに達した時点で、二次電池モジュール1を交換する、あるいは、システムそのものの寿命到達として二次電池モジュール1を取り外す。
【0118】
この取り外した二次電池モジュール1が、容量C’[Ah]、抵抗R”[mΩ]であったとき、この二次電池モジュール1を、内部抵抗がR<R”<Rで成立する車体重量600[kg]、モータ出力5[kW]の軽乗用車におけるハイブリッド電源システムとして1モジュールを搭載する。なお、この電源システムを鉛電池で組むと、重量が約45[kg]になるのに対し、リチウム二次電池で組むと、重量が20kgとなり、軽量化される。そのため、車両の重量も軽量化され、燃費が向上する。
【0119】
(実施の態様例−3)
次に、ディーゼルエンジンとのハイブリッドシステムに使用される鉄道車両用電源システムをリユースする例について説明する。
【0120】
この鉄道車両用電源システムは、小型自動車の数10倍以上の出力が必要とされ、リチウム二次電池をx直列、y並列(x、yは正の整数)に接続して平均電圧V[V]、容量C[Ah]の二次電池システム7を構成する。このとき、二次電池システム7の二次電池モジュール1には、システム閾値の抵抗値RL1があらかじめ設定されている。そして、電池コントローラ2は、その二次電池システム7が使用される中で、二次電池モジュール1の抵抗が閾値の抵抗値RL1に到達したところで上位システムに電池交換の警告を発する。これにより、二次電池モジュール1が積み下ろされる。
【0121】
積み下ろされた二次電池モジュール1は、劣化による内部抵抗上昇のため電圧降下が大きく、鉄道用の電源システムにとって十分な出力電流を得ることができない。しかしながら、システム成立に必要な閾値の抵抗値Rおよび電流Iの条件がゆるいシステム、つまり、積み下ろされた二次電池モジュール1の出力可能な電流Iが必要とされる電流Iよりも大きい(I<I)ようなシステムにおいては、その二次電池モジュール1は、まだ使用可能である。そこで、この二次電池モジュール1の履歴情報から抵抗値RL1、抵抗の上昇率などを読み取り、それらの値に基づき新しい適用システムの閾値の抵抗値Rなどを判断し、RL1<Rであるような、例えば、携帯電話基地局の蓄電池設備の蓄電池に適用する。
【0122】
このようにして、積み下ろした二次電池モジュール1を携帯電話基地局の蓄電池設備の蓄電池に使用することにすれば、従来の鉛蓄電池設備に比較して、同じ設備を使用可能な期間が長くなり、また、必要電力をまかなうために必要な蓄電池の重量を軽量化することができる。その結果、携帯電話基地局を都市のビル屋上などへ設置することが容易になり、設備の軽量化、省スペース化を達成することができる。
【0123】
(実施の態様例−4)
次に、リチウム二次電池をx1直列、y1並列(x1、y1は正の整数)に接続して構成した平均電圧V[V]、容量C[Ah]、出力B[kW]の蓄電式回生電力装置をリユースする例を示す。
【0124】
電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の抵抗値があらかじめ設定された閾値の抵抗値RLS1に到達したところで、上位システムなどに電池交換の警告を発する。これにより、その二次電池モジュール1が積み下ろされる。積み下ろされた二次電池モジュール1には、その二次電池モジュール1の特性データや使用履歴データなど、積み下ろした時点でのSOH(State Of Health)が保持されている。
【0125】
そこで、その情報に基づき、積み下ろされた二次電池モジュール1をx2直列(x2は正の整数)に接続し、35[kW]のハイブリッド自動車システムに適用する。そして、ハイブリッド自動車システムで使用され、その抵抗値が所定の閾値RLS2に達したときには、その二次電池モジュール1は、電池性能が確認された後、閾値の抵抗値がRLS3(RLS2<RLS3)であるようなシステム、例えば、モータ出力5[kW]の軽乗用車のハイブリッドシステムに適用する。
【0126】
さらに、二次電池モジュール1の抵抗値がこの軽乗用車のハイブリッドシステムでの閾値RLS3に達したときには、その二次電池モジュール1を解体し素電池とする。ただし、その二次電池モジュール1を解体する前に、電池メーカP1や電池保守サービス会社P4では、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に記憶されている抵抗、容量などの特性データや履歴情報を読み出し、その情報を、例えば、電池情報管理装置3の電池情報DB32などに記録しておく。そして、その情報に基づき、解体された素電池の特性データを、例えば、電圧V/n[V]、容量C’[mAh]などと算出する。ここで、Vは解体前の二次電池モジュール1の電圧、nは素電池の直列数である。
【0127】
次に、以上のようにして解体した素電池を数個組み合わせ、12〜14[V]の無停電電源などを構成し、容量C<C’、抵抗R>RLS3で成立するシステムに使用する。同様の用途として非常灯や、常夜灯、ソーラーライトなどの蓄電デバイスなどに利用することができる。さらには、懐中電灯の電源に代表されるような1次電池として、電流IがI<Irs(Irsはシステム適用時の最大電流値)の電流で放電するシステムに適用し、放電しきってから廃棄する。
【0128】
以上のように二次電池を活用すると、電池の内部エネルギーをより有効に利用することができ、廃棄時の電圧が低くなるため、短絡による発熱や液漏れなどが起こる確率が減少し、廃棄時の安全も確保されるようになる。さらには、このようなリユースシステムの確立によって、電池の初期投資コストを低減することができ、ユーザ側の大型蓄電池の初期導入コストを低減することが可能になる。
【0129】
(実施の態様例−5)
次に、電気二重層キャパシタの蓄電池をx直列、y並列(x、yは正の整数)に接続して構成した平均電圧V[V]、容量C[F]の蓄電式回生電力装置をリユースする例について説明する。
【0130】
電池コントローラ2は、電気二重層キャパシタで構成された二次電池モジュール1の抵抗値があらかじめ設定されたシステム閾値RLS1の抵抗値に到達したところで、上位システムに電池交換の警告を発する。これにより、その二次電池モジュール1が積み下ろされる。積み下ろされた二次電池モジュール1には電池使用履歴などが記録されており、積み下ろされた時点での容量、抵抗などのSOHが記録されている。
【0131】
そこで、この情報に基づき、積み下ろした二次電池モジュール1をA’[kW]のハイブリッド自動車システムにx直列(xは正の整数)として適用する。さらに、抵抗値が所定の閾値RLS2に達した二次電池モジュール1は、電池性能が確認された後、内部抵抗RがRLS2<R<RLS3で成立するモータ出力B’[kW]の軽乗用車ハイブリッドシステムに搭載する。
【0132】
以上のように電気二重層キャパシタを活用すると、電池の内部エネルギーをより有効に利用することがきる。また、リユースシステムの確立によって、電池の初期投資コストを低減することができ、さらに、ユーザ側の大型蓄電池の初期導入コストを低減することが可能になる。
【0133】
(実施の態様例−6)
次に、Ni-MH蓄電池をx直列、y並列(x、yは正の整数)に接続して構成した平均電圧V[V]、容量C[Ah]、モータ出力C’[kW]の大型車両用ハイブリッドシステムをリユースする例について説明する。
【0134】
電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の抵抗値があらかじめ設定されたシステム閾値の抵抗値RLS1に到達したところで、電池コントローラ2は上位システムに電池交換の警告を発する。これにより、二次電池モジュール1が積み下ろされる。積み下ろされた二次電池モジュール1には電池使用履歴が記録されており、積み下ろされた時点での容量C、抵抗RなどのSOHの情報が記録されている。
【0135】
そこで、この情報に基づき、積み下ろした二次電池モジュール1を内部抵抗RがRLS1<R<RLS2で成立するD’[kW]のアイドリングストップ用ハイブリッド自動車システムの蓄電池に適用する。そして、その内部抵抗がR所定の閾値RLS2に達した二次電池モジュール1は、電池性能が確認された後、その内部抵抗RがRLS2<R<RLS3で成立するモータ出力B’[kW]の軽乗用車でのハイブリッドシステムに適用する。
【0136】
さらに、このシステムで使用され、内部抵抗などが閾値の内部抵抗RLS3、容量Cに到達したときには、二次電池モジュール1は解体され、そのモジュールの抵抗、容量などの履歴データに基づき判断され、電圧7.2[V]、容量C[Ah]の蓄電池(ただし、C≦C)などに適用される。また、この蓄電池を適宜組み合わせ、14[V]の無停電電源などの電池として使用する。また、適切な数の直並列に接続した構成とすることにより36[V]電源とし、RLS3<R<RLS4で成立する電動コミュータカーなどの移動体システムの電源に使用する。また、DC/DCコンバータにより適宜降圧して3.0[V]の非常灯や常夜灯、1.2[V]のソーラーライトなどの蓄電デバイスとして使用する。
【0137】
(実施の態様例−7)
次に、リチウム二次電池をx直列、y並列(x、yは正の整数)に接続して構成した平均電池電圧V[V]、容量C[Ah]、出力E’[kW]の蓄電式回生電力装置をリユースする例について説明する。
【0138】
電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の抵抗値があらかじめ設定された閾値の抵抗値RLS1に到達したところで、上位システムに電池交換の警告を発する。これにより、その二次電池モジュール1は積み下ろされる。積み下ろされた二次電池モジュール1には、電池使用履歴が記録されており、積み下ろされた時点での容量、抵抗などのSOHが記録されている。そこで、この情報に基づき、積み下ろされた二次電池モジュール1を、内部抵抗RがRLS1<R<RLS2で成立する家庭用燃料電池システムの補助電源としての蓄電池(y1並列構成)に適用する。
【0139】
図12は、家庭用燃料電池システムの構成の例を示した図である。図12に示すように、家庭用燃料電池システム200は、燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)202と、DC/DC電圧変換器203と、余剰電力を吸収するための蓄電池201と、インバータなどを用いたDC/AC電圧変換器204と、廃熱を利用した貯湯タンク205とを含んで構成される。燃料電池202によって生成される電流は、DC/AC電圧変換器204を介して家庭用の交流電圧へ変換され、家庭内電力として供給される。
【0140】
蓄電池201は、燃料電池202が供給する電力が家庭内で使用される電力より大きいとき、つまり、電力余剰時には、燃料電池202から出力される電流の余剰電流をDC/DC電圧変換器203を介して吸収し、充電する。また、電力不足時には、蓄電池201は、放電して、その出力をDC/AC電圧変換器204を介して家庭用の交流電圧へ変換し、家庭用電力として供給する。
【0141】
例えば、定格出力電圧がV[V]、定格電流がI[A]の燃料電池を使用した家庭用燃料電池システム200の場合、燃料電池202の余剰電流は、DC/DC電圧変換器203で昇圧され、蓄電池201に蓄電される。また、家庭用電力が不足する場合には、蓄電池201からの出力電力は、DC/AC電圧変換器204によってAC100[V]または200[V]変換され、家庭内に供給される。
【0142】
このような家庭用燃料電池システム200は、その蓄電池201にリユース二次電池を利用することができるので、その価格を抑制することができる。また、家庭用燃料電池システム200は、補助電源として機能する蓄電池201が余剰電力を貯蔵することができるので、燃料電池202の起動から定常状態になるまでの間にも安定した電力を供給することができる。また、家庭用電力負荷ピーク時に燃料電池202への電力負荷を平準化することができるので、燃料電池202の効率が向上し、そのエネルギーをより有効に活用することが可能になる。
【0143】
当然ながら、この家庭用燃料電池システム200の蓄電池201においても、蓄電池201に含まれる電池コントローラ2(図12に図示せず)は、内部抵抗および容量が所定の閾値RLS2およびCに達したとき、電池交換の警告を発する。その警告を受けて、蓄電池201は交換・回収される。回収された蓄電池201は、二次電池モジュール1が保持している履歴情報などに基づき、その電池性能が確認された後、例えば、モータ出力B’[kW]の軽乗用車のハイブリッドシステムに1モジュールを搭載する。
【0144】
さらに、この軽乗用車のハイブリッドシステムにおいて、二次電池モジュール1の内部抵抗などが所定の閾値に達したときには、その二次電池モジュール1は、その抵抗、容量などの特性データや履歴データが、例えば、電池情報DB32などに記録された上で、素電池に解体される。このとき、素電池は、例えば、電圧3.6[V]、容量C[Ah]などの性能を確保することができる。
【0145】
この素電池を数個組み合わせ、12〜14[V]の無停電電源などの電池に使用する。あるいは、非常灯、常夜灯、ソーラーライトなどの蓄電デバイスなどに利用できる。さらには、懐中電灯の電源に代表されるような1次電池として0.2[C]以下の電流で放電するシステムに適用し、完全放電してから廃棄する。
【0146】
以上のように二次電池を活用すると、電池の内部エネルギーをより有効に利用することができ、廃棄時の電圧が低くなるため、短絡による発熱や液漏れなどが起こる確率が減少し、廃棄時の安全も確保されるようになる。さらには、このようなリユースシステムの確立によって、電池の初期投資コストを低減することができ、ユーザ側の大型蓄電池の初期導入コストを低減することが可能になる。
【0147】
(実施の態様例−8)
次に、リチウム二次電池をx直列に接続して構成したF’[kW]の電気自動車用蓄電池をリユースする例について説明する。
【0148】
電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の内部抵抗または容量が閾値の抵抗値RLS1または容量値CLS1に到達したところで、上位システムに電池交換の警告を発する。その電池交換の警告があったとき、または、3年目の初回車検のときに、所定の自動車整備工場で二次電池モジュール1を新品と交換する。交換した新品の二次電池モジュール1の電池情報記憶部17には、新しい電池特性データが書き込まれているので、電池コントローラ2は、その新しい電池特性データを読み込むとともに、その電池特性データに応じて必要な場合には、自らの電池制御プログラムなどの更新を実施する。
【0149】
一方、積み下ろされた二次電池モジュール1の電池情報記憶部17には、それまでの電池使用履歴の情報や、積み下ろされた時点での容量、抵抗などのSOHの情報が記録されている。そこで、これらの情報に基づき、積み下ろされた二次電池モジュール1を、R<RLS1またはC<CLS1で成立可能な数[kW]の家庭用燃料電池システム200の蓄電池201として、所定数の直並列接続の構成にして使用する。このとき、燃料電池202の定格出力電圧と蓄電池電圧が同じ場合には、DC/DC電圧変換器203が不要となり、電圧変換なしに余剰電流を蓄電することができる。また、蓄電池201の出力電力は、DC/AC電圧変換器204によってAC100[V]に変換され、家庭内に供給される。
【0150】
この家庭用燃料電池システム200においても、蓄電池201に含まれる電池コントローラ2は、内部抵抗および容量が所定の閾値に達したとき、電池交換の警告を発する。そこで、この電池交換の警告が発せられたとき、または、使用開始から所定の期間、例えば、2年経過したときに二次電池モジュール1を交換する。
【0151】
このような家庭用燃料電池システム200は、補助電源として機能する蓄電池201が余剰電力を貯蔵することができるので、燃料電池202の起動から定常状態になるまでの間にも安定した電力を供給することができる。また、家庭用電力負荷ピーク時に燃料電池202への電力負荷を平準化することができるので、燃料電池202の効率が向上し、そのエネルギーをより有効に活用することが可能になる。
【0152】
(実施の態様例−9)
次に、電池情報管理装置3を用いて二次電池モジュール1をリユースする例について説明する。本例で、対象とした二次電池モジュール1は、平均電圧V[V]、容量C[Ah]の蓄電池とする。
【0153】
二次電池モジュール1には、電池の特性データや使用履歴などを記憶した電池情報記憶部17が筐体の内部に収納されており、また、筐体の表面には、可搬記憶媒体の接続スロット(図10参照、可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W端子15bに相当)が設けられている。ここで、可搬記憶媒体記憶装置は、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD、メモリスティック(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、USBメモリなどの磁気記録メディアまたは半導体不揮発性メモリを含んで構成される。
【0154】
電池情報記憶部17に記憶されている電池の特性データや使用履歴などの電池情報は、このような可搬記憶媒体記憶装置へ読み出すことができ、さらに、可搬記憶媒体記憶装置を介して、電池情報管理装置3の電池情報DB32に登録することができる。また、保守時に二次電池モジュール1の用途変更などがあった場合には、電池制御用に係る特性データなどを可搬記憶媒体記憶装置へ、一旦、書き込んだ上、可搬記憶媒体記憶装置を介して電池情報記憶部17に記憶されている情報を更新することができる。
【0155】
このように、適宜、電池情報記憶部17に記憶されている情報を更新することにより、二次電池モジュール1のその時点での特性に合わせた状態演算を適切に実施することができるので、高精度な電池制御が実現され、適切に電池を使用することが可能になる。その結果、二次電池システム7の信頼性のみならず、その二次電池システム7を使用した上位システムの信頼性が向上する。
【0156】
(実施の態様例−10)
次に、蓄電池(リチウム二次電池またはニッケル水素蓄電池)をx1直列、y1並列(x1、y1は正の整数)に接続して構成した平均電圧V[V]、容量C[Ah]、出力A[kW]の蓄電式回生電力装置をリユースする例について説明する。
【0157】
電池コントローラ2は、二次電池モジュール1の抵抗値があらかじめ設定された閾値の抵抗値RLS1に到達したところで、電池コントローラより上位システムに電池交換の警告を発する。これにより、蓄電池を積み下ろす。二次電池モジュール1が積み下ろされる。積み下ろされた二次電池モジュール1には電池使用履歴が記録されており、積み下ろされた時点での容量C、抵抗RなどのSOHの情報が記録されている。そこで、電池情報管理装置3は、積み下ろされた二次電池モジュール1からSOHなどの情報を取り込み、その情報に基づき二次電池モジュール1のグレード分けを実施する。
【0158】
このとき、電池情報管理装置3は、二次電池モジュール1の適用システムのリストおよびその適用システムが必要とする電池の動作条件や閾値などを記録した適用システムDB(図6などに図示せず)を備えている。そこで、電池情報管理装置3は、積み下ろされた二次電池モジュール1のグレード分けの結果に基づきその適用システムDBを参照して、その二次電池モジュール1の新しい適用システムの候補を表示する。そして、表示された適用システムの候補のなかから1つを選び、例えば、x2直列(x2は正の整数)の構成にして、モータ出力B[kW]のハイブリッド自動車システムに適用する。
【0159】
その後、二次電池モジュール1は、ハイブリッド自動車システムで使用される中で、内部抵抗などが所定の閾値RLS2に達すると、ハイブリッド自動車システムから取り外される。そして、その二次電池モジュール1に記録されている容量C、抵抗RなどのSOHの情報は、電池情報管理装置3によって読み取られ、電池性能などが確認される。その後、再び、電池情報管理装置3は、その二次電池モジュール1のグレード分けを行い、その結果および適用システムDBに基づき、新しい適用システムの候補を表示する。そして、表示された適用システムの候補のなかから1つを選び、例えば、システムが成立するために必要な抵抗値Rrが、RLS2<Rr=RLS3であるモータ出力D[kW]の軽乗用車ハイブリッドシステムに適用する。
【0160】
さらに、二次電池モジュール1は、軽乗用車ハイブリッドシステムで使用される中で劣化し、内部抵抗が閾値RLS3に到達すると、軽乗用車ハイブリッドシステムから取り外される。そして、電池情報管理装置3は、その二次電池モジュール1に記録されている容量C、抵抗RなどのSOHの情報を読み取り、先と同様の情報処理を行い、新しい適用システムの候補を表示する。その結果、その二次電池モジュール1を解体し素電池とする。
【0161】
このとき、素電池の電圧は(V/n)[V]、(n:直列数)、容量はC[Ah](ただしC2<C1)である。この素電池を数個組み合わせ、容量がC<C、抵抗がRr>RLS3で成立する12〜14[V]の無停電電源などのシステムに適用する。あるいは、同様の用途として、非常灯や、常夜灯、ソーラーライトの蓄電デバイスなどに適用する。
【0162】
さらに、このような二次電池用途で所定の閾値以下に劣化した素電池を、懐中電灯の電源に代表されるような1次電池として、電流IがI<IrS(IrSは各二次電池用途のシステム適用時の最大電流値)の電流で放電するシステムに適用する。そして、蓄電されている電気を放電しきってから廃棄する。
【0163】
以上のように二次電池モジュール1を活用すると、電池の内部エネルギーをより有効に利用することができ、廃棄時の電圧が低くなるため、短絡による発熱や液漏れなどが起こる確率が減少し、廃棄時の安全も確保されるようになる。さらには、リユースシステムの確立によって、電池の初期投資コストを低減することができ、ユーザ側の大型蓄電池の初期導入コストを低減することが可能になる。
【0164】
(実施の態様例−11)
次に、図6または図11に示したような電池情報管理システム8(8a)を適用した電池販売サービスシステムの例について説明する。
【0165】
本明細書では、二次電池または蓄電池とは、充電、放電可能な電池を指し、鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池、および、電気二重層キャパシタ、ウルトラキャパシタなどをいい、通常、これらの素電池を複数接続して構成した組電池を指す。これらの二次電池は、電池メーカP1によって、第1のユーザであるシステムメーカP2、例えば、二次電池を購入して製品に組み込む自動車メーカに販売される。そして、二次電池が組み込まれた自動車などシステム製品を第2のユーザであるエンドユーザP3が購入する。
【0166】
自動車などシステム製品に組み込まれた二次電池は、エンドユーザP3に使用される中で、次第に劣化していく。そこで、二次電池システム7を構成する二次電池コントローラ2は、二次電池の使用履歴や電気的な特性データを二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に記録するともに、特性データが所定に閾値に達したか否かをチェックし、所定に閾値に達したときには、電池交換の警告をナビゲーション装置61などの上位システムに通知する。
【0167】
一方、システムメーカP2またはシステムメーカP2より委託を受けた電池保守サービス会社P4は、電池メーカP1がシステムメーカP2に販売した二次電池モジュール1の製造識別番号や電気的特性データなどの情報を受け取り、電池情報管理装置3の電池情報DB32に蓄積する。また、電池保守サービス会社P4は、たとえば、自動車の定期点検や車検に際し、二次電池モジュール1の電池情報記憶部17に記録された使用履歴や電気的な特性データをチェックし、その二次電池モジュール1の電池状態判定や、整備による最適化において電池制御特性データの書き換えなどのサービスを行う。
【0168】
そして、電池保守サービス会社P4は、エンドユーザP3から、例えば、ナビゲーション装置61などの上位システムおよび通信ネットワーク5を介して電池交換の警告の通知を受けたときや電話で同様の通知を受けたとき、または、保守サービス時に電池交換をしたほうがよいと判断したときには、その二次電池モジュール1を回収し、積み下ろす。
【0169】
積み下ろされた二次電池モジュール1は、所定の電池使用履歴などを確認するプロセスを経て、その電池使用履歴の情報および電気的特性データが電池情報管理装置3の電池情報DB32に登録され、その後、電池保守サービス会社P4から電池メーカP1へと返却される。
【0170】
電池メーカP1は、端末装置4を介して電池情報DB32を参照し、返却された二次電池モジュール1の電池使用履歴の情報および電気的特性データを取得し、それらの情報に基づき二次電池モジュール1を選別し、グレード分けを実施する。そして、電池メーカP1は、そのグレード分けの結果、さらには、二次電池モジュール1の適用システムのリストおよびその適用システムが必要とする電池の動作条件や閾値などを記録した適用システムDB(電池情報管理装置3が有する図示しないDB)に基づき、二次電池モジュール1を新たなシステムユーザP2へ再販売する。
【0171】
電池メーカP1は、同様の手順を経て返却された再販された二次電池モジュール1を同様の手順によって再販売を繰り返す。そして、二次電池モジュール1の劣化によって同様の再販売が行なうことができなくなった場合には、一次電池用途で使用し、放電後、廃棄業者P6で処分する。あるいは、二次電池モジュール1を素電池に解体後、素電池を組み合わせて、他用途の二次電池として使用後、一次電池用途で放電し、廃棄業者P6で廃棄処分を実施する。なお、廃棄処分は、所定の廃棄業者P6によって行なわれ、廃棄する二次電池は、破砕、分別工程を経てリサイクル用途と、廃残滓とに分けて処分される。
【0172】
以上説明したように、二次電池モジュール1を繰り返し回収・販売し、活用することによって、二次電池の流通価格を低減させることができる。
【符号の説明】
【0173】
1,1a,1b 二次電池モジュール
2 電池コントローラ
3 電池情報管理装置
4 端末装置
5 通信ネットワーク
6 車両コントローラ
7 二次電池システム
8 電池情報管理システム
11 組電池部
12,13 電池電極端子
14 センサ
15 電池情報R/W端子
15a 外部接続用電池情報R/W端子
15b 可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W端子
16 電池情報R/W制御部
16a 外部接続用電池情報R/W制御部
16b 可搬記憶媒体記憶装置用電池情報R/W制御部
17 電池情報記憶部
18 読み出しボタン
19 書き込みボタン
21 電池制御部
22 センサ計測部
23 上位システム通信部
24 電池モジュール通信部
31 情報処理部
32 電池情報DB
33 電池モジュール通信部
34 通信インタフェース部
35 表示装置
41 情報処理部
42 電池モジュール通信部
43 通信インタフェース部
51 基地局
61 ナビゲーション装置
211 演算部
212 メモリ
P1 電池メーカ
P2 システムメーカ
P3 エンドユーザ
P4 電池保守サービス会社
P6 廃棄業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自らの電気的特性情報または使用履歴情報の少なくともいずれか一方を電池情報として記憶する電池情報記憶手段を備えた二次電池モジュールに接続される電池情報管理装置であって、
CPUとメモリとを少なくとも含んで構成された情報処理手段と、
前記情報処理手段の情報処理結果を出力する出力手段と、
前記二次電池モジュールを前記情報処理手段に接続するインタフェース手段と
を備え、
前記情報処理手段が、
前記二次電池モジュールの前記電池情報記憶手段に記憶されている電池情報を、前記インタフェース手段によって読み出し、
前記電池情報について別途あらかじめ定められた1以上の閾値と、前記読み出した電池情報とに基づき、前記二次電池モジュールの再利用のためのグレード分けを行い、
そのグレード分けの結果得られたグレード分けの情報を前記出力手段に出力すること
を特徴とする電池情報管理装置。
【請求項2】
前記インタフェース手段によって読み出された前記電池情報を、その電池情報を出力した前記二次電池モジュールの識別情報に対応させて蓄積する電池情報データベースを、さらに、備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の電池情報管理装置。
【請求項3】
前記電池情報データベースは、さらに、前記グレード分けの情報を前記二次電池モジュールの識別情報に対応させて蓄積すること
を特徴とする請求項2に記載の電池情報管理装置。
【請求項4】
前記情報処理手段は、さらに、
前記二次電池モジュールの前記電池情報記憶手段に書き込む情報について、所定の暗号化処理を行い、前記電池情報記憶手段から読み出した情報について、所定の復号化処理を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の電池情報管理装置。
【請求項5】
自らの電気的特性情報または使用履歴情報の少なくともいずれか一方を電池情報として記憶する電池情報記憶手段を備えた二次電池モジュールに接続され、前記電池情報記憶手段に記憶された電池情報を読み込んで、その読み込んだ電池情報と、その電池情報を保持していた二次電池モジュールの識別情報とを対応付けて蓄積する電池情報データベースを備えた電池情報管理装置と、
前記二次電池モジュールに接続され、前記二次電池モジュールの電池情報記憶手段に記憶された電池情報を読み込んで、その読み込んだ電池情報とその二次電池モジュールの識別情報とを前記電池情報管理装置へ送信する端末装置と、
前記電池情報管理装置および前記端末装置が相互に接続する通信ネットワークと
を含んで構成された電池情報管理システムであって、
前記電池情報管理装置は、
前記端末装置から送信された前記電池情報と、その電池情報を保持していた二次電池モジュールの識別情報とを対応付けて、前記電池情報データベースに登録すること
を特徴とする電池情報管理システム。
【請求項6】
前記電池情報管理装置は、さらに、
前記二次電池モジュールの前記電池情報記憶手段に記憶された前記電池情報を読み出したとき、または、前記電池情報データベースに登録された電池情報を読み出したときに、前記電池情報ごとに別途あらかじめ定められた1以上の閾値と、前記読み出した電池情報とに基づき、前記二次電池モジュールの再利用のためのグレード分けを行い、
そのグレード分けの結果得られたグレード分けの情報を前記二次電池モジュールに対応付けて前記電池情報データベースに登録することを
を特徴とする請求項5に記載の電池情報管理システム。
【請求項7】
前記通信ネットワークに、さらに、前記二次電池モジュールを含んだ二次電池の上位システムが接続され、
前記二次電池の上位システムは、
前記二次電池モジュールの前記電池情報記憶手段に記憶された電池情報を、前記通信ネットワークを介して、前記電池情報管理装置へ送信すること
を特徴とする請求項5に記載の電池情報管理システム。
【請求項8】
1以上の二次電池モジュールを含んで構成された二次電池システムの二次電池モジュールをリユースするための二次電池リユースシステムであって、
前記二次電池システムから、その二次電池システムを構成する二次電池モジュールの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を取得する電池情報取得手段と、
前記取得した電池情報が、その電池情報に対してあらかじめ設定された閾値に達したか否かを判定する閾値到達判定手段と、
前記閾値到達判定手段により前記二次電池モジュールの電池情報のいずれか1つが閾値に到達したと判定されたとき、前記二次電池モジュールを回収し、前記回収した二次電池モジュールの電池情報に基づく電池性能により、その回収した二次電池モジュールをグレード分けするグレード分け手段と
を備え、
前記グレード分け手段によるグレード分けの結果に基づき、前記回収した二次電池モジュールを、その二次電池モジュールが回収された時点での電池性能で動作可能な閾値条件を有するシステムに適用すること
を特徴とする二次電池リユースシステム。
【請求項9】
前記二次電池モジュールは、それぞれ、自らの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を記憶する電池情報記憶手段を備え、
前記電池情報取得手段は、前記電池情報を前記二次電池モジュールの前記電池情報記憶手段から読み出して取得すること
を特徴とする請求項8に記載の二次電池リユースシステム。
【請求項10】
充放電可能な1以上の素電池を含んで構成された二次電池モジュールの前記素電池をリユースするための二次電池リユースシステムであって、
前記二次電池モジュールから、その二次電池モジュールの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を取得する電池情報取得手段と、
前記取得した電池情報が、その電池情報に対してあらかじめ設定された閾値に達したか否かを判定する閾値到達判定手段と、
前記閾値到達判定手段により前記二次電池モジュールの電池情報のいずれか1つが閾値に到達したと判定されたとき、前記二次電池モジュールを回収し、前記回収した二次電池モジュールを素電池に解体し、前記解体した素電池の性能を評価する性能評価手段と
を備え、
前記評価した素電池を、前記評価結果に基づく電池性能で動作可能な電圧・電流用途に適用すること
を特徴とする二次電池リユースシステム。
【請求項11】
1以上の二次電池モジュールを含んで構成された二次電池システムの二次電池モジュールを回収し、販売するための二次電池回収・販売システムであって、
前記二次電池システムから、その二次電池システムを構成する二次電池モジュールの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を取得する電池情報取得手段と、
前記取得した電池情報が、その電池情報に対してあらかじめ設定された閾値に達したか否かを判定する閾値到達判定手段と、
二次電池の適用システムのリストと、その適用システムの動作が成立する二次電池モジュールの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の閾値条件とを記憶した適用システム記憶手段と
を備え、
前記閾値到達判定手段により前記二次電池モジュールの電池情報のいずれか1つが閾値に到達したと判定されたとき、前記二次電池モジュールを回収し、
前記回収した二次電池モジュールの電池情報に基づき、その回収した二次電池モジュールのグレード分けを行い、
前記グレード分けの結果に基づき前記適用システム記憶手段を参照し、前記回収した二次電池モジュールを、その二次電池モジュールが回収された時点での電池性能で動作可能な閾値条件を有するシステムの製造業者に販売する
を特徴とする二次電池回収・販売システム。
【請求項12】
前記二次電池モジュールは、それぞれ、自らの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を記憶する電池情報記憶手段を備え、
前記電池情報取得手段は、前記電池情報を前記二次電池モジュールの前記電池情報記憶手段から読み出して取得すること
を特徴とする請求項11に記載の二次電池回収・販売システム。
【請求項13】
1以上の二次電池モジュールを含んで構成された二次電池システムの二次電池モジュールをリユースする二次電池リユース方法であって、
前記二次電池システムから、その二次電池システムを構成する二次電池モジュールの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を取得する電池情報取得ステップと、
前記取得した電池情報が、その電池情報に対してあらかじめ設定された閾値に達したか否かを判定する閾値到達判定ステップと、
前記閾値到達判定ステップにおいて、前記二次電池モジュールの電池情報のいずれか1つが閾値に到達したと判定されたとき、前記二次電池モジュールを回収するステップと、
前記回収した二次電池モジュールの電池情報に基づく電池性能により、その回収した二次電池モジュールのグレード分けを行うステップと、
前記グレード分けの結果に基づき、前記回収した二次電池モジュールを、その二次電池モジュールが回収された時点での電池性能で動作可能な閾値条件を有するシステムに適用するステップと
を備えることを特徴とする二次電池リユース方法。
【請求項14】
前記二次電池モジュールは、それぞれ、自らの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を記憶する電池情報記憶手段を備え、
前記電池情報取得ステップにおいては、前記電池情報を前記二次電池モジュールの前記電池情報記憶手段から読み出して取得すること
を特徴とする請求項13に記載の二次電池リユース方法。
【請求項15】
充放電可能な1以上の素電池を含んで構成された二次電池モジュールの前記素電池をリユースするための二次電池リユース方法であって、
前記二次電池モジュールから、その二次電池モジュールの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を取得する電池情報取得ステップと、
前記取得した電池情報が、その電池情報に対してあらかじめ設定された閾値に達したか否かを判定する閾値到達判定ステップと、
前記閾値到達判定手段により前記二次電池モジュールの電池情報のいずれか1つが閾値に到達したと判定されたとき、前記二次電池モジュールを回収するステップと、
前記回収した二次電池モジュールを素電池に解体し、前記解体した素電池の性能を評価するステップと、
前記評価した素電池を、前記評価した結果に基づく電池性能で動作可能な電圧・電流用途に適用するステップとを
を備えることを特徴とする二次電池リユース方法。
【請求項16】
1以上の二次電池モジュールを含んで構成された二次電池システムの二次電池モジュールを回収し、販売する二次電池回収・販売方法であって、
二次電池の適用システムのリストと、その適用システムの動作が成立する二次電池モジュールの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の閾値条件とをあらかじめ記憶した適用システム記憶手段
を備え、
前記二次電池システムから、その二次電池システムを構成する二次電池モジュールの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を取得する電池情報取得ステップと、
前記取得した電池情報が、その電池情報に対してあらかじめ設定された閾値に達したか否かを判定する閾値到達判定ステップと、
前記閾値到達判定手段により前記二次電池モジュールの電池情報のいずれか1つが閾値に到達したと判定されたとき、前記二次電池モジュールを回収するステップと、
前記回収した二次電池モジュールの電池情報に基づき、その回収した二次電池モジュールのグレード分けを行うステップと、
前記グレード分けの結果に基づき前記適用システム記憶手段を参照し、前記回収した二次電池モジュールを、その二次電池モジュールが回収された時点での電池性能で動作可能な閾値条件を有するシステムの製造業者に販売するステップと
を備えることを特徴とする二次電池回収・販売方法。
【請求項17】
前記二次電池モジュールは、それぞれ、自らの抵抗、容量、電池使用時間、抵抗変化率、容量変化率、電池使用強度から選ばれる少なくとも1つ以上の電池情報を記憶する電池情報記憶手段を備え、
前記電池情報取得ステップにおいては、前記電池情報を前記二次電池モジュールの前記電池情報記憶手段から読み出して取得すること
を特徴とする請求項16に記載の二次電池回収・販売方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−146389(P2011−146389A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24154(P2011−24154)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2005−329200(P2005−329200)の分割
【原出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】