説明

電池用ブリスターパック

【課題】優れた耐衝撃吸収特性を有する電池用ブリスターパックを提供する。
【解決手段】略矩形の台紙1と、鍔状の周縁部の内側に電池3を収納するくぼみを設けたカバー2とを、一体化した電池用ブリスターパックであって、前記台紙1の下辺1aに対して垂直方向の、前記カバーの下部の周縁部の長さを5mm以上とし、前記台紙1のうち前記カバー2の下部の周縁部が一体化する領域内に前記台紙の下辺の長さL1に対して40〜80%に相当する長さの切断ガイド線1bを設けることを特徴とする電池用ブリスターパック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池用ブリスターパックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乾電池又は充電式電池(以下では単に「電池」と記す。)は、スーパーマーケット又はコンビニエンスストア等の店舗において、電池用ブリスターパックに収納されて販売されている。この電池用ブリスターパックはカバーが台紙の表面に接着されて構成されており、電池はカバーの内面と台紙の表面とで規定された空間内に収納される。
【0003】
このような電池用ブリスターパックには、収納された電池を必要なときに容易に取り出すことができる易開封性とともに、輸送時又は落下時等における電池の飛散防止が要求されている。
【0004】
そこで、従来から電池を収納するくぼみに沿って延在し、かつ、カバーとの粘着領域を横断して台紙側縁に達する一対の商品取り出し開封口として機能する切断ガイド線を設ける検討がなされている。(特許文献1参照)。
【0005】
また、電池用ブリスターパックの幅方向に平行な3条の切断ガイド線が形成することで商品取り出し開封口の開封性を向上させるとする開示がなされている。(特許文献2参照)。
【0006】
また、カバー部において、被包装体のほぼ中央に沿った切断ガイド線が形成され、被包装体を取り出す際は、台紙をカバー部の切断ガイド線に対応した部分で折ると同時に切断ガイド線で開封して、そこから被包装体を取り出すこととする提案がなされている。(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平4−7461号公報
【特許文献2】特開2000−281129号公報
【特許文献3】特開2000−7025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の発明にあっては展示された商品が落下した際、台紙端面が接地するが、電池は落下面に向けて慣性が作用することでカバーが引き伸ばされ、割れや接着部の剥がれが発生する場合がある。
【0009】
特許文献2の発明にあっても、上記と同様のカバーの割れが想定される。それだけでなく、この電池用ブリスターパックでは、切断ガイド線が台紙幅いっぱいに形成されているため、輸送時又は落下時には切断ガイド線において台紙が切断されやすい。よって、この電池用ブリスターパックでは、輸送時又は落下時等における電池の飛散防止が満足できない場合がある。
【0010】
特許文献3の発明にあっても切断ガイド線がカバーにも形成されているため、輸送時又は落下時等には切断ガイド線において開封しやすい。よって、この電池用ブリスターパックでは、輸送時又は落下時等における電池の飛散防止が満足できない場合がある。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、易開封性を確保し、かつ従来よりも優れた耐衝撃特性を有する電池用ブリスターパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、略矩形の台紙と、鍔状の周縁部の内側に電池を収納する空間を設けたカバーとを、一体化した電池用ブリスターパックであって、前記台紙の下辺に対して垂直方向の、前記カバーの下部の周縁部の長さを5mm以上とし、前記台紙のうち前記カバーの下部の周縁部が一体化する領域内に、前記台紙の下辺の長さに対して40〜80%に相当する長さの切断ガイド線を設けることとした構成にしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、台紙のうちカバーの下部の周縁部が一体化する領域内に切断ガイド線を設けることによって、輸送時又は落下時において衝撃を受けた場合に、切断ガイド線を基点に台紙が湾曲することで、衝撃を緩和させることが可能となり、電池用ブリスターパックの外観を損ねることなく、電池の飛散防止を実現するという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)本発明の一実施の形態としての電池用ブリスターパックの正面図、(b)同断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を、図1を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の一実施の形態としての電池用ブリスターパックの正面図であり、図1(b)はその断面図である。
【0016】
台紙1の下辺1aの長さをL1、切断ガイド線1bの長さをL2、台紙1の下辺1aに対して垂直方向の、カバー2の下部の周縁部2aの長さをHとする。
【0017】
本発明によれば、略矩形の台紙1と、鍔状の周縁部の内側に電池3を収納するくぼみを設けたカバー2とを、一体化した電池用ブリスターパックであって、前記台紙1の下辺1aに対して垂直方向の、前記カバー2の下部の周縁部2aの長さを5mm以上とし、前記台紙1のうち前記カバー2の下部の周縁部2aが一体化する領域内に、前記台紙1の下辺1aの長さに対して40〜80%に相当する長さの切断ガイド線1bを設けることによって、切断ガイド線1bが輸送時又は落下時の緩衝機能として作用し、輸送時又は落下時の電池の飛散防止ができるという効果を奏するものである。
【0018】
なお、ここで「一体化」とは、カバー2と台紙1とが感圧粘着剤により固定される粘着式、ホットメルト型粘着剤により固定される溶着式、カバー2の鍔部における対向する2辺の端を裏側に折り返して溝部を形成し、その溝部に沿って台紙1をスライドさせるようにしたスライド式の3種類を意味する。
【0019】
「切断ガイド線」とは、切れ目、折れ線、定ピッチで切れ目加工を施した、いわゆるミシン目の3種類を意味する。
【0020】
切断ガイド線1bの長さL2について、L1に対して80%より長くなった場合は、切断ガイド線1bを基点に電池用ブリスターパックが折れ曲がり、外観不具合品と認識されてしまう場合がある。
【0021】
逆に40%未満とした場合、台紙1の折れ曲がりによる衝撃吸収効果を十分に得ることができず、カバー2の割れの発生に繋がる場合がある。
【0022】
カバー2下部の周縁部の長さHが5mm未満の場合、台紙1の折れ曲がりによる衝撃吸収効果を十分に得ることができず、カバー2の割れの発生に繋がる場合がある。また溶着強度が不十分で、カバー2の下部から溶着が剥がれ、電池3が飛散する場合がある。
【0023】
好ましくは、前記切断ガイド線1bの長さL2を、前記台紙1の下辺1aの長さL1に対して65〜75%で構成するとよい。
【0024】
また、前記カバー2の下部の周縁部2aの長さHに対して40〜60%に相当する中央付近に設けるとよい。このように構成すると、さらに、輸送時又は落下時の緩衝効果の向上ができる。
【0025】
また、カバー2の材質は、環境負荷の軽減に有望なポリエチレンテレフタレート樹脂とすればよい。さらに、樹脂の粘性を示すIV値が0.6よりも大きく0.7よりも小さい樹脂で構成するとよい。ここで、IV値とは固有粘度(Intrinsic Viscosity)のことであり、JIS K 7390に準じて測定される。このように構成すると、再生材の採用も可能となるため、更なる環境負荷の低減も図ることができる。
【0026】
また、切断ガイド線1bは収納された電池3の最下部より下側に形成し、商品取り出し開封口としても機能するように構成するとよい。このように構成すると、切断ガイド線1bが外観上目立たないために、違和感なく、耐衝撃特性の向上を図ることができる。
【0027】
台紙1は、例えば、コートボール板紙を用いるとよく、より確実に衝撃を吸収、緩和できるように台紙1の坪量は、350〜550g/mの範囲とすることが好ましい。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態を図1を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
【0029】
<1> 電池用ブリスターパックの作製方法
台紙1は、坪量が450g/mのコートボール板紙を用い、所定の形状に切断した。カバー2は、厚み0.3mmの再生ポリエチレンテレフタレート樹脂(IV値は0・65)のシートを用いて、単3形乾電池4本分を収納できるくぼみを設け、下部の周縁部2aの長さHを5mmとなるように所定の形状に成形した。
【0030】
台紙1の切断ガイド線1bはカバー2の下部の周縁部2aの長さHに対して50%の位置に、長さL2が台紙下辺長さL1に対し70%となるよう台紙1の中央部にミシン目状に加工した。ミシン目は長さ3mmの切れ目を2mmの定ピッチになるように加工した。
【0031】
前記のようにして得たカバー2のくぼみ部分に単3形乾電池4本を収納し、表面にホットメルト型粘着剤を塗工した台紙1を載せ、ヒートシールすることで電池用ブリスターパックを得た。
【0032】
また、従来例として、台紙1の右端面から左端面まで繋がる(L1=L2となる)切断ガイド線を設けた以外は実施例と同様に電池用ブリスターパックを得た。
【0033】
<2> 作製した電池用ブリスターパックの評価方法
常温下で、60cmの高さから電池用ブリスターパックを下辺1aが下向きとなるように自由落下させた。自由落下後の電池用ブリスターパックを観察して、電池用ブリスターパックのカバー2の割れ(破損)と折れ(樹脂の白化)が発生しているか否かを評価した。
【0034】
<3> 評価結果および考察
上述の評価の結果、従来例ではカバー2の下部に折れが発生したが、本発明の実施例では、輸送時又は落下時等に切断ガイド線1bを基点にカバー2の下部が湾曲して衝撃を吸収、緩和することができたため、カバー2に割れや折れの発生がなかった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の電池用ブリスターパックは優れた耐衝撃特性を有し、安心して輸送したり、店舗で展示したりすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 台紙
1a 下辺
1b 切断ガイド線
2 カバー
2a 下部の周縁部
3 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の台紙と、鍔状の周縁部の内側に電池を収納するくぼみを設けたカバーとを、一体化した電池用ブリスターパックであって、
前記台紙の下辺に対して垂直方向の、前記カバーの下部の周縁部の長さを5mm以上とし、
前記台紙のうち前記カバーの下部の周縁部が一体化する領域内に、
前記台紙の下辺の長さに対して40〜80%に相当する長さの切断ガイド線を設けることを
特徴とする電池用ブリスターパック。
【請求項2】
前記切断ガイド線の長さを、
前記台紙の下辺の長さに対して65〜75%としたことを特徴とする請求項1記載の電池用ブリスターパック。
【請求項3】
前記切断ガイド線を、
前記カバーの下部の周縁部の長さに対して40〜60%に相当する中央付近に設けることを特徴とする請求項1記載の電池用ブリスターパック。
【請求項4】
前記カバーの材質は、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる、請求項1に記載の電池用ブリスターパック。
【請求項5】
切断ガイド線が収容された電池最下部より下側に形成されており、商品取り出し開封口としても機能する請求項1に記載の電池用ブリスターパック。

【図1】
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【公開番号】特開2012−96821(P2012−96821A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244890(P2010−244890)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】