説明

電波吸収体の製造方法

【課題】プレス成形で製造する電波吸収体の電波吸収性能の異方性の発現を抑制する。
【解決手段】電波吸収体の製造方法は、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズを含む成形材料Mを成形型10にセットして所定形状にプレス成形する。そのプレス条件を設定操作することにより電波吸収体の電波吸収特性を制御できる。また、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズを成形材料として用いるので、電波吸収材の一方向への配向が規制され、異方性を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電波吸収体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器間での電波干渉による通信障害や電子機器の誤作動といった問題を解消するための電波吸収体が実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、粉末状のポリマー及び電波吸収材料に、樹脂エマルジョン及び脱水ゲル化促進剤を配合し、それらを混練した後に加熱発泡させて電波吸収体を製造することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−106538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電波吸収体の電波吸収特性を制御することは、種々の要因が相互に関連して影響を及ぼすため非常に困難である。
【0006】
本発明の課題は、電波吸収体の電波吸収特性の制御が可能な電波吸収体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電波吸収体の製造方法は、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズで構成された成形材料を成形型にセットして所定形状にプレス成形するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズを成形材料とし、それをプレス成形して電波吸収体を製造するが、そのプレス条件を設定操作することにより容易に製造する電波吸収体の電波吸収特性を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る電波吸収体の製造方法を示す説明図である。
【図2】プレス成形圧力と複素誘電率との関係を示すグラフである。
【図3】周波数と反射減衰量との関係を示すグラフである。
【図4】電波吸収特性測定装置の構成を示す正面図である。
【図5】電波吸収体サンプルのセット状態を示す平面図である。
【図6】電波吸収体サンプルの変更したセット状態を示す平面図である。
【図7】実施例の周波数と反射減衰量との関係を示すグラフである。
【図8】比較例の周波数と反射減衰量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本実施形態に係る電波吸収体の製造方法は、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズで構成された成形材料を成形型にセットして所定形状にプレス成形するものである。
【0012】
電波吸収体の製造の電波吸収特性を制御することは、種々の要因が相互に関連して影響を及ぼすため非常に困難である。しかしながら、本実施形態に係る電波吸収体の製造方法によれば、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズを成形材料とし、それをプレス成形するが、そのプレス条件を設定操作することにより容易に製造する電波吸収体の電波吸収特性を制御することができる。
【0013】
また、上面に下向きに貼り付けた状態、或いは、上から吊り下げた状態で設置される電波吸収体には、落下防止及び落下した場合の二次的被害を小さくする観点から、薄くて、しかも軽いことが求められる。これに対し、本実施形態に係る電波吸収体の製造方法によれば、プレス成形により電波吸収体を製造するので、電波吸収体を薄型化及び軽量化を図ることができる。
【0014】
さらに、プレス成形で製造した電波吸収体では、電波吸収材が配向することにより電波吸収性能に異方性が発現することが考えられる。しかしながら、本実施形態に係る電波吸収体の製造方法によれば、電波吸収体をプレス成形で製造するための成形材料として、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズを用いているので、熱可塑性樹脂ビーズに付着した電波吸収材の一方向への配向が規制され、従って、電波吸収性能の異方性の発現を抑制することができる。
【0015】
本実施形態に係る電波吸収体の製造に用いる成形材料は、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズを含む。
【0016】
熱可塑性樹脂ビーズは、樹脂基材をマトリクスとして配合剤が配合された樹脂組成物で構成されている。熱可塑性樹脂ビーズの粒子径は例えば0.3〜5.0mmである。
【0017】
熱可塑性樹脂ビーズの樹脂基材としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン類、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体などのハロゲンを含有する難燃性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン;ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリウレタンなどの非ハロゲン含有樹脂等が挙げられる。これらのうち、ポリスチレン及び塩化ビニリデン類が好ましい。特に塩化ビニリデン類は、難燃性、耐候性、及び成形性に優れており、その一例としては、塩化ビニリデンの単独重合体、塩化ビニリデンと例えば、塩化ビニル、各種アクリル酸エステル、アクリロニトリルとの共重合体等が挙げられる。樹脂基材は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。
【0018】
熱可塑性樹脂ビーズは、汎用で入手容易であり、また、後述のプレス成形性の観点から、発泡剤が配合されて発泡した発泡ビーズであることが好ましい。熱可塑性樹脂ビーズに含まれる発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの無機発泡剤;アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジッドなどの有機発泡剤等が挙げられる。発泡剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。発泡剤の含有量は例えば樹脂基材100質量部に対して0.5〜5.0質量部であり、好ましくは1.0〜3.0質量部である。
【0019】
また、熱可塑性樹脂ビーズが発泡ビーズである場合、熱可塑性樹脂ビーズは、後述のプレス成形性の観点から、10〜70倍に発泡膨張させたものであることが好ましく、20〜50倍に発泡膨張させたものであることがより好ましい。熱可塑性樹脂ビーズは、二次発泡によりさらなる発泡膨張が可能な一次発泡ビーズであってもよく、また、さらなる発泡膨張性能を有さない発泡済ビーズであってもよい。本実施形態に係る電波吸収体の製造ではプレス成形を行うことから発泡ビーズのさらなる発泡膨張は不要であり、また、二次発泡により電波吸収性能が影響されるのを防止する観点から、発泡ビーズである熱可塑性樹脂ビーズは、発泡済ビーズであることが好ましい。発泡ビーズの粒子径は例えば0.5〜5.0mmである。
【0020】
電波吸収材としては、例えば、導電性カーボンブラック、導電性グラファイト、金属粉等が挙げられる。プレス成形により製造される電波吸収体の異方性発現は配向性を有する電波吸収材を用いた場合に多く、かかる観点から本実施形態に係る電波吸収体の製造方法による異方性の発現抑制効果は、電波吸収材が針状磁性粉等の針状電波吸収材の場合に特に顕著となる。電波吸収材は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。電波吸収材の熱可塑性樹脂ビーズへの付着量は、電波吸収材の層平均厚さが0.5〜10μmとなる量であることが好ましく、1〜5μmとなる量であることがより好ましい。
【0021】
熱可塑性樹脂ビーズに電波吸収材を付着させる方法としては、例えば、樹脂バインダ塗料に電波吸収材を分散させた導電液を調整し、その導電液を熱可塑性樹脂ビーズ(発泡ビーズの場合、未発泡ビーズ又は一次発泡ビーズ)と共にミキサーに投入して攪拌することにより熱可塑性樹脂ビーズの表面に電波吸収材を付着させる方法、熱可塑性樹脂ビーズの表面に油や粘着剤を極く少量塗布して粘着性を付与する表面処理を行った後、その熱可塑性樹脂ビーズと電波吸収材とをミキサーに投入して攪拌することにより熱可塑性樹脂ビーズの表面に電波吸収材を付着させる方法、油や粘着剤を極く少量含ませるなどして粘着性を帯びさせた電波吸収材を熱可塑性樹脂ビーズとミキサーに投入して攪拌することにより熱可塑性樹脂ビーズの表面に電波吸収材同士が粘着し合った層を形成する方法等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂ビーズの表面に電波吸収材を付着させた後、電波吸収材の脱落を防止するために、その上にさらにオーバーコート層を設けてもよい。
【0022】
樹脂バインダ塗料に電波吸収材を分散させた導電液を用いた方法の場合、かかる樹脂バインダ塗料としては、例えば、熱可塑性有機高分子のラテックスのような非架橋硬化性の低粘度液体、紫外線硬化性樹脂塗料、熱硬化性エナメルワニスなどの架橋硬化性の低粘度液体等が挙げられる。樹脂バインダ塗料が非架橋硬化性の低粘度液体の場合、導電液を熱可塑性樹脂ビーズに塗布した後に乾燥させるのみでよい。樹脂バインダ塗料が架橋硬化性の低粘度液体の場合、溶剤を含有するものであれば、導電液を熱可塑性樹脂ビーズに塗布して乾燥させた後に架橋処理を施せばよく、一方、無溶剤のものであれば、導電液を熱可塑性樹脂ビーズに塗布した後に直ちに架橋処理を施してもよく、また、導電液の塗布と架橋処理とを並行させてもよい。
【0023】
表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズの表面には、さらに電波吸収材の脱落防止及びビーズ間接着のための熱可塑性接着剤が付着していてもよい。かかる熱可塑性接着剤としては、例えば、主成分がエチレン・酢酸ビニル共重合体であるもの、主成分が変成スチレン・ブタジエン共重合体であるもの等が挙げられる。熱可塑性接着剤の付着量は、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズ100質量部に対して5〜30質量部である。熱可塑性接着剤を付着させるには、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズ及び熱可塑性接着剤をミキサーに投入して攪拌すればよい。
【0024】
成形材料は、その他に表面に電波吸収材が付着していない接着用の熱可塑性樹脂ビーズ、カラーリングビーズ等を含んでいてもよい。
【0025】
成形材料は、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズ及びその他の構成成分をミキサーに投入して攪拌することにより調整することができる。
【0026】
本実施形態に係る電波吸収体の製造方法では、図1に示すように、上型11及び下形12からなる成形型10を所定の成形温度に加熱し、その成形型10の下型12に形成された凹部12aの表面に離型剤を塗布した後、その凹部12aに成形材料Mを敷き詰めるように投入し、その上から成型面に離型剤を塗布した上型11を下型12の凹部12aに嵌め入れ、そして、上型11で成形材料Mに所定のプレス成形圧力を負荷し、その状態を所定の成形時間保持することによりプレス成形を行う。このとき、成形材料Mに含まれる表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズが相互に融着して或いは熱可塑性接着剤を介して接着して所定形状の電波吸収体が形成される。また、熱可塑性樹脂ビーズが発泡ビーズ或いはそれを予備発泡させた一次発泡ビーズの場合、気泡により熱可塑性樹脂ビーズに弾性が付与されてビーズ充填性が高まり、成形性が優れることとなる。なお、発泡ビーズから放出されたガスは上型11及び下型12の型合わせ面等から排出される。ここで、成形条件は、例えば、成形温度が100〜200℃であり、プレス成形圧力が20〜60MPaであり、成形時間が5〜20分である。
【0027】
本実施形態に係る電波吸収体の製造方法によれば、プレス成形で製造されるので、板状のものであれば、厚さが3〜10mmで、密度が0.2〜1.0g/cmである薄くて軽いものを製造することができ、しかも上記の通り異方性の発現を抑制することができる。
【0028】
本実施形態で製造される電波吸収体は、例えば、電波暗室、無線LAN、RF・ID等に用いることができる。
【実施例】
【0029】
[試験評価1]
(電波吸収体)
ミキサーに、20倍発泡白ビーズ(ポリスチレン樹脂)及び電波吸収材を、前者100gに対して後者100gの割合で投入し、それらを撹拌混合して乾燥させることにより、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズである黒ビーズを得た。なお、上記電波吸収材として導電材(導電性カーボンブラック混合液)を用いた。
【0030】
ミキサーに、熱可塑性接着剤(EVA系エマルジョン系接着剤)を、上記で得た黒ビーズ100gに対して10gの割合で投入し、それらを撹拌混合して乾燥させた。
【0031】
上記で得た接着剤付黒ビーズ100gを金型に投入し、プレス機にて、成形温度120℃、プレス成形圧力9.81MPa、及び成形時間10分の条件でプレス成形することにより、縦150mm、横150mm、及び厚さ6.3mmの電波吸収体1を作製した。
【0032】
同様に、プレス成形圧力のみを29.4MPaに変更して縦150mm、横150mm、及び厚さ5.3mmの電波吸収体2を作製した。また、プレス成形圧力のみを39.2MPaに変更して縦150mm、横150mm、及び厚さ5.1mmの電波吸収体3を作製した。
【0033】
(複素誘電率の測定)
電波吸収体1〜3のそれぞれについて、外径38.4mm及び内径16.5mmのドーナツ型の試験片を打ち抜き、ネットワークアナライザー(ヒューレッドパッカード社製 型番:HP8722ET)を用いて、Sパラメータ法により周波数と複素誘電率(実部及び虚部)との関係を求めた。なお、Sパラメータ法とは、試験片のSパラメータを測定し、その測定されたSパラメータから透磁率や誘電率を算出する方法である。
【0034】
そして、その結果、吸収周波数950MHz(UHF帯)の場合、電波吸収体1では複素誘電率の実部が13.78及び虚部が4.25、電波吸収体2では複素誘電率の実部が14.31及び虚部が4.40、並びに電波吸収体3では複素誘電率の実部が15.59及び虚部が5.74であった。
【0035】
これより、図2に示すようなプレス成形圧力と複素誘電率との関係が得られた。図2によれば、複素誘電率の実部及び虚部のいずれがプレス成形圧力に比例することが分かる。それぞれの近似式を求めると、
複素誘電率の実部=(5600×プレス成形圧力(MPa)/98067)+13.08
複素誘電率の虚部=(4400×プレス成形圧力(MPa)/98067)+ 3.63
となった。なお、この関係は、ビーズ表面への電波吸収材の付着量やビーズ径等により変化するものである。また、このような関係は他の吸収周波数についても同様に得ることができる。
【0036】
(シミュレーション)
「柏原一之ほか.ETC/DSRC用シートタイプ電波吸収体の開発 三菱電線工業時報.(99),2002,p69−77」に記載された伝送線路理論に基づいたシミュレーションを行った結果、プレス成形圧力を39.2MPaとした場合、そのときの複素誘電率の実部及び虚部の値から、周波数950MHzに電波吸収特性を有する電波吸収体を得るためには、その厚さを20mmとすればよいことが分かった。なお、複素誘電率の実部及び虚部の値として、上記近似式にプレス成形圧力39.2MPaを代入して複素誘電率の実部15.32及び虚部5.39を算出した。
【0037】
図3はシミュレーション結果に基づいた電波吸収体の周波数と反射減衰率との関係を示す。これによれば、周波数950MHzに大きな吸収があることが確認できる。
【0038】
以上のことから、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズを成形材料とし、それをプレス成形して電波吸収体を製造するに際し、そのプレス成形圧力を指標として製造する電波吸収体の電波吸収特性を制御することができることが分かる。
【0039】
[試験評価2]
(電波吸収体)
<実施例>
ミキサーに、20倍発泡白ビーズ(ポリスチレン樹脂)及び電波吸収材を、前者100gに対して後者200gの割合で投入し、それらを撹拌混合して乾燥させることにより、表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズである黒ビーズを得た。なお、上記電波吸収材としては、導電材(導電性カーボンブラック混合液)とフェライト系磁性粉とを質量比1:1で混合した液を用いた。
【0040】
ミキサーに、熱可塑性接着剤(EVA系エマルジョン系接着剤)を、上記で得た黒ビーズ100gに対して10gの割合で投入し、それらを撹拌混合して乾燥させた。
【0041】
上記で得た接着剤付黒ビーズ100gを金型に投入し、プレス機にて、成形温度120℃、プレス成形圧力30MPa、及び成形時間10分の条件でプレス成形することにより、縦300mm、横300mm、及び厚さ2mmの実施例の電波吸収体を作製した。なお、この実施例の電波吸収体は無線LAN用の2.45GHzの周波数を目標に作製したものである。
【0042】
<比較例>
塩素化ポリエチレン樹脂粉末に実施例で用いたのと同じ電波吸収材を、前者100gに対して後者200gの割合で投入し、混練及び乾燥させることにより成形材料を得た。
【0043】
上記で得た成形材料をプレス機でシート状に成型して縦及び横がそれぞれ300mmのシート状の比較例の電波吸収体を作製した。なお、この比較例の電波吸収体も無線LAN用の2.45GHzの周波数を目標に作製したものである。
【0044】
(試験評価方法)
実施例及び比較例のそれぞれについて、電波吸収特性の異方性の有無をアーチ法(反射電力法)により試験評価した。
【0045】
図4は電波吸収特性測定装置(ネットワークアナライザー、ヒューレッドパッカード社製 型番:HP8722ET)20を示す。
【0046】
この電波吸収特性測定装置20は、水平なサンプル載置面を有する測定台21を有し、その中心の法線方向に対して、一方側に10°傾斜した方向に送信アンテナ22及び他方側に10°傾斜した方向に受信アンテナ23がそれぞれ設けられている。送信アンテナ22及び受信アンテナ23は、それらの後端が測定台の中心から半径R=2000mm上に位置付けられてように設けられている。また、送信アンテナ22は発振器24に及び受信アンテナ23は受信器25にそれぞれ接続されている。
【0047】
実施例及び比較例のそれぞれについて、平面視正方形の電波吸収体サンプルSの四隅の一つに目印mを付し、それを測定台21に載せた。このとき、図5に示すように、電波吸収体サンプルSを、目印mが右上に位置されるように配置した。そして、送信アンテナ22から電波吸収体サンプルSに対してTE波を発し、その反射波を受信アンテナ23で受信して反射減衰量の周波数依存性を測定した。このとき、測定周波数域を1〜8GHzとした。
【0048】
次に、図6に示すように、電波吸収体を、目印が右下に位置されるように配置を変更した。つまり、電波吸収体を平面視で時計回りに90°回転させた。そして、同様に反射減衰量の周波数依存性を測定した。
【0049】
(試験評価結果)
図7は実施例の及び図8は比較例の周波数と反射減衰量との関係をそれぞれ示す。
【0050】
図7によれば、実施例では、反射減衰量の極値が90°回転させても変化が無く、従って電波吸収特性が等方性を有していることが分かる。一方、図8によれば、比較例は、反射減衰量の極値が90°回転させると周波数も反射減衰量も変化し、従って電波吸収特性が異方性を有していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は電波吸収体の製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0052】
m 目印
M 成形材料
S 電波吸収体サンプル
10 成形型
11 上型
12 下型
12a 凹部
20 電波吸収特性測定装置
21 測定台
22 送信アンテナ
23 受信アンテナ
24 発振器
25 受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に電波吸収材が付着した熱可塑性樹脂ビーズを含む成形材料を成形型にセットして所定形状にプレス成形する電波吸収体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された電波吸収体の製造方法において、
上記熱可塑性樹脂ビーズが発泡剤を含む発泡ビーズである電波吸収体の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載された電波吸収体の製造方法において、
上記発泡ビーズが一次発泡ビーズである電波吸収体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−84664(P2012−84664A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228887(P2010−228887)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】