説明

電波散乱体

【課題】周波数の広い範囲で電波に対してステルス性を持たせるための電波散乱体もしくは電波吸収体を有する電波散乱体を薄くて安価に提供する。
【解決手段】構造体の表面を電波錯乱体または電波吸収体を有する電波錯乱体にして、電波が四方八方に散ってしまうようにする。この場合、低周波まで、全ての周波数の電波を散乱させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステルス性を持たせる構造体や電波暗室などに用いる電波散乱体もしくは電波吸収性を有する電波散乱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周波数の広い範囲で電波に対してステルス性を持たせるために、電波を吸収する特性をもつ、電波吸収体を四角錘にして多数並べた、いわゆるピラミッドタイプの電波吸収体が有る。しかし、これは高さが高いという欠点がある。一方、1/2波長の厚さの電波吸収板の内部構成を複雑に変化させた薄い電波吸収体が有る。しかしこれは、電波吸収の周波数帯域を広くする事がなかなかむずかしい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−283243 電波半反射体及びその製造方法
【特許文献2】特開2003−283242 電波半反射体及び該電波反射体
【特許文献3】特開2001−313521 電波減衰退
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周波数の広い範囲で電波に対してステルス性を持たせるための電波散乱体もしくは電波吸収体を有する電波散乱体を薄くて安価に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
構造体の表面を電波散乱体または電波吸収体を有する電波散乱体にして、電波が四方八方に散ってしまうようにする。このようにすると、低周波まで、全ての周波数の電波を散乱させることを可能となる。
【発明の効果】
【0007】
ピラミッドタイプの電波吸収体に比較して厚みは1/5と薄く、1/2波長の厚さの電波吸収板の内部構成を複雑に変化させた薄い電波吸収体に比較して簡単な構造で、周波数の広い範囲で電波に対してステルス性を持たせるための電波散乱体となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 円錐凹面を有する電波散乱体で入射電波を入射方向には戻さず、他の方向に反射させる電波散乱体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1の電波散乱体を準備しステルス性を持たせたい物体、たとえば船、装甲車、飛行機等の外板を削る、外板を凹状にへこませるなどして、レーダ波をレーダ送信位置に戻さず他の方向へ反射させステルス性を得る。
【実施例】
図1
【0010】
船の喫水線の2m下から上部に向って、船の外板を円板上に削って図1に示す形状を形成した。そしてこの凹部に、カーボンパウダーを含んだウレタン樹脂を充填した。するとレーダー波がレーダーに戻りにくくなり、しかも水抵抗も少ないステルス船が完成した。
【産業上の利用可能性】
【0011】
ステルス性を持たせたい物体の外板に凹状の部分を形成することによってステルス性能を付与できる。例えば船、装甲車、飛行機などである。
【符号の説明】
【0012】
1、金属
2、円錐形状
3、溝
【受託番号】
【0013】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面もしくは曲面を維持する複数の部分を残しながら、多くの部分を複数の凹にしたことを特徴とする電波散乱体。
【請求項2】
複数の凹部が少しの間隔をおいて互いに接する細長い部分がアンテナ機能を持つことによって、電波を再放射ことを防止するために該細長い部分にへこみ部を設けたことを特徴とする請求項1の電波散乱体。
【請求項3】
複数の凹部がかならずしも同じ大きさでないことを特徴とする請求項1、2の電波散乱体。
【請求項4】
薄い板をへこませることにより形成した、請求項1,2,3の電波散乱体。
【請求項5】
厚い板を削ることにより形成した、請求項1,2,3,4の電波散乱体。
【請求項6】
薄い板または厚い板が金属であることを特徴とする請求項1〜5の電波散乱体。
【請求項7】
薄い板または厚い板が金属以外の材料であり、少なくとも複数の凹部の表面に電波反射膜を設けたことを特徴とする請求項1〜7の電波散乱体。
【請求項8】
少なくとも凹部に充填材を充填して、表面を平面もしくは曲面にしたことを特徴とする請求項1〜7の電波散乱体。
【請求項9】
誘電率の高い充填材を用いて、凹部を小さくすることを特徴とした請求項1〜8の電波散乱体。
【請求項10】
電波吸収性の充填材を用いた請求項1〜9の電波散乱体。
【請求項11】
凹部を凸部に変更したことを特徴とする請求項1〜10の電波散乱体。
【請求項12】
請求項1〜11の電波散乱体を少なくとも一部に用いた、船、戦車、飛行機などの構造体。

【図1】
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