説明

電波目標模擬システム

【課題】小型で設置が容易でかつ広帯域な電波信号を使用可能な電波目標模擬システムを得る。
【解決手段】目標の擬似信号Sを生成する擬似信号発生装置1と、光信号Lを発生する光源2と、擬似信号Sにより光信号Lを強度変調した変調出力光LMを生成する光変調器3と、変調出力光LMを反射して変調出力光LMの反射角度を任意に変更可能な駆動反射板4と、駆動反射板4の動作量Cを制御して反射角度を設定する制御装置5と、動作量Cを指定する計算機6と、駆動反射板4で反射された変調出力光LMを擬似信号Sに対応した電気信号Eに変換する複数の光電変換器7と、各光電変換器7に個別に接続されて電気信号Eに応じた電波信号Wを空間に放射する複数の素子アンテナ8と、各光電変換器7および各素子アンテナ8を配置するビルボード9とを備えている。各素子アンテナ8は、電波信号Wを、時間的に順次に位置をシフトしながら被測定物10に向けて放射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被測定物(レーダ)に対して、電波目標を模擬する擬似信号に対応した電波信号を照射するための電波目標模擬システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーダの目標追尾性能を評価するために、レーダに対して電波信号を照射する電波目標模擬システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
この種の電波目標模擬システムにおいて、レーダに照射する電波信号は、レーダの目標から出射(または、反射)した電波を模擬したものである。
【0003】
目標の移動を仮定して目標の距離情報や速度情報に応じた電波信号を電波目標模擬システムから生成し、また同時に、電波目標模擬システムの素子アンテナを順次に切り替えて電波信号の放射位置を時間的にずらしていくと、レーダ(被測定物)側から見たときに、あたかも目標が移動していくように見える。
【0004】
このように、電波目標模擬システムを用いて模擬的に目標を移動させたときに、被測定物のレーダで信号を電波受信して信号処理を行うことにより、レーダが目標を追尾する際の性能を評価することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−148887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電波目標模擬システムは、複数の素子アンテナに信号を給電するために、可変電力分配器、給電回路、スイッチなどの電子機器が必要となり、特に、模擬する目標の数を増やそうとした場合には、目標数に比例してこれらの電子機器の数も増えてしまうので、装置が大規模になるという課題があった。
一方、装置の大規模化を回避しようとすると、模擬する目標の数に制約を設ける必要が生じるので、実用的でないという課題があった。
【0007】
また、ビルボード上に設置された各素子アンテナに給電するために、複数のケーブルが必要になることから、配線構造が複雑化するうえ、各素子アンテナの設置箇所に対する制約が大きくなるという課題があった。
【0008】
さらに、可変電力分配器、給電回路、スイッチなどの電子機器は、一般に使用帯域が最大でも1オクターブ程度に制限されるので、この範囲を超えた周波数の電波信号を用いることができず、仮に、目標を擬似する電波信号として上記範囲を超える周波数を用いようとした場合には、シミュレーションごとに上記範囲を超える周波数に対応した電子機器に取り替える必要が生じるという課題があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、システム全体が大型化することなく、設置が容易で、かつ広帯域な電波信号を用いることのできる電波目標模擬システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る電波目標模擬システムは、目標を模擬するための擬似信号を生成する擬似信号発生装置と、光信号を発生する光源と、擬似信号により光信号を強度変調した変調出力光を生成する光変調手段と、光変調手段からの変調出力光を反射するとともに、変調出力光の反射角度を任意に変更可能な駆動反射板と、駆動反射板の動作量を制御して反射角度を設定する制御装置と、制御装置に対して動作量を指定する計算機と、駆動反射板により反射された変調出力光を擬似信号に対応した電気信号に変換する複数の光電変換器と、複数の光電変換器に個別に接続されて、電気信号に応じた電波信号を空間に放射する複数の素子アンテナと、複数の光電変換器および複数の素子アンテナを配置するためのビルボードとを備え、複数の素子アンテナは、電波信号を、時間的に順次に位置をシフトしながら被測定物に向けて放射するものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、システム全体が大型化することなく、広帯域かつ設置自由度の高い電波目標模擬システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電波目標模擬システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る電波目標模擬システムを示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る電波目標模擬システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電波目標模擬システムを示す構成図である。
図1において、被測定物(レーダ)10に対する電波目標模擬システムは、目標を模擬した擬似信号Sを生成する擬似信号発生装置1と、所定波長の光信号Lを発生する光源2と、光信号Lを変調する光変調器3と、光変調器3からの変調出力光LMを反射する駆動反射板4と、駆動反射板4の矢印R方向の回転角度を制御する制御装置5と、制御装置5による動作量Cを演算する計算機6と、光信号を電気信号Eに変換する複数の光電変換器7と、各光電変換器7に個別に接続された複数の素子アンテナ8と、複数の光電変換器7および複数の素子アンテナ8を所定間隔で配列設置するためのビルボード9と、を備えている。
【0014】
擬似信号発生装置1から生成される擬似信号Sの周波数は、マイクロ波帯であり、通常、数100MHz〜数10GHz程度の範囲内の値である。
また、光源2からの光信号Lの波長は、1.5μm帯からなる。
【0015】
光変調器3は、擬似信号発生装置1からの擬似信号Sにより、光源2からの光信号Lを強度変調して、光変調後の変調出力光LMを生成する。光変調器3からの変調出力光LMは、光ファイバ(図示せず)を介して伝送された後、空間へと放射され、駆動反射板4に入射される。
なお、ここでは、光変調器3として、広帯域に動作する導波路型のニオブ酸リチウム(LN)変調器を用いている。
【0016】
駆動反射板4は、入射された変調出力光LMを反射して、断面が凹面(または、パラボラ)形状のビルボード9の内面上に配列された複数の光電変換器7のうちの選択された1個に向けて照射する。
複数の光電変換器7は、複数の素子アンテナ8とともに、ビルボード9の内面側、すなわち被測定物10の設置側(電波信号Wの放射面側)に配置されている。
【0017】
駆動反射板4は、変調出力光LMの反射面と、光電変換器7(素子アンテナ8)の開口面とが向かい合うように配置されており、空間に放射される変調出力光LMの伝搬方向を高速に変化させるために、制御装置5の制御下で電気的に制御されることにより反射方向を変更可能な機能を有する。このような駆動反射板4としては、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーなどが用いられる。
【0018】
駆動反射板4には制御装置5が接続されており、制御装置5は、計算機6から指定される動作量Cに応じて、駆動反射板4の傾きを矢印R方向に変化させる。
このとき、動作量Cは、駆動反射板4の角度を時間的に順次に変化させるように設定される。
【0019】
変調出力光LMが照射された光電変換器7は、変調出力光LMの強度変調成分を電気信号Eに変換し、自身に接続された素子アンテナ8に入力する。
光電変換器7においては、駆動反射板4で反射された変調出力光LMが電気信号E(変調出力光LMの強度変調成分)に変換されることにより、擬似信号発生装置1で生成した擬似信号Sが再現される。
なお、光電変換器7としては、光強度を電流に変換する素子(フォトダイオードなど)が用いられる。
【0020】
電気信号Eは、時間的に位置をシフトしながら変調出力光LMが照射される各光電変換器7から順次に生成され、各光電変換器7に接続された素子アンテナ8は、電気信号Eに応じた電波信号W(擬似信号Sに対応して変調された信号)を生成して空間に放射する。
以下、目標を模擬する電波信号Wは、各素子アンテナ8から被測定物(レーダ)10に照射される。
【0021】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1)に係る電波目標模擬システムは、目標を模擬するための擬似信号Sを生成する擬似信号発生装置1と、光信号Lを発生する光源2と、擬似信号Sにより光信号Lを強度変調した変調出力光LMを生成する光変調器3と、光変調器3からの変調出力光LMを反射するとともに、変調出力光LMの反射角度を任意に変更可能な駆動反射板4と、駆動反射板4の動作量Cを制御して反射角度を設定する制御装置5と、制御装置5に対して動作量Cを指定する計算機6と、駆動反射板4により反射された変調出力光LMを擬似信号Sに対応した電気信号Eに変換する複数の光電変換器7と、複数の光電変換器7に個別に接続されて、電気信号Eに応じた電波信号Wを空間に放射する複数の素子アンテナ8とを備えている。
【0022】
複数の素子アンテナ8は、電気信号Eに応じた電波信号Wを、時間的に順次に位置をシフトしながら被測定物10に向けて放射する。
このように、駆動反射板4の角度を順次に変化させることにより、擬似信号Sに対応した電波信号Wを放射する素子アンテナ8の位置を順次に変化させることができ、目標の移動を容易に模擬することができる。
【0023】
また、従来システムにおける可変電力分配器、給電回路、スイッチなどの電子機器を用いる必要がないので、使用する擬似信号Sの周波数を制限する必要がなく、広帯域な擬似信号S(目標模擬信号)を取り扱うことができるうえ、地上から素子アンテナへの配線が不要になるので、設置の自由度を向上させることができる。
したがって、システム全体が大型化することなく、設置が容易でかつ広帯域な電波目標模擬システムを得ることができる。
【0024】
なお、上記説明では、低コストを実現するために、光源2からの光信号Lとして、光通信で汎用される1.5μm帯の波長のものを使用したが、これに限定されることはなく、他の波長帯(0.8μm帯や1μm帯など)を使用可能なことは言うまでもない。
また、光変調手段として、導波路型のニオブ酸リチウム(LN)変調器からなる光変調器3を用いたが、これに限定されることはなく、電界吸収型(EA)変調器などの他の光変調器を用いてもよく、光源2のバイアス変化などにより変調を行う直接変調型の光源を用いて光変調手段としてもよい。
【0025】
また、ここでは言及しなかったが、光信号Lおよび変調出力光LMを伝送する際に、必要に応じて光電力を増幅するための光増幅器を挿入してもよい。
さらに、光電変換器7と素子アンテナ8との間に、光電変換器7により生成した電気信号Eの電力を増幅するための広帯域増幅器などを挿入してもよく、広帯域増幅器を光電変換器7に内蔵してもよい。
【0026】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1)では、単一の変調出力光LMを生成して、照射方向を順次にシフトさせたが、図2のように、2個(複数)の変調出力光LM1、LM2を同一タイミングで生成して、それぞれの照射方向を順次にシフトさせもよい。
【0027】
図2はこの発明の実施の形態2に係る電波目標模擬システムを示す構成図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
図2においては、2個(第1および第2)の変調出力光LM1、LM2を個別に生成するためのシステム構成例を示しているが、3個以上の任意数の変調出力光を個別に生成するシステム構成も可能である。
【0028】
図2において、被測定物10に対する電波目標模擬システムは、指定した周波数の電波目標を模擬するための第1および第2の擬似信号S1、S2を生成する第1および第2の擬似信号発生装置11、12と、第1および第2の光信号L1、L2を発生する第1および第2の光源21、22と、第1および第2の擬似信号S1、S2に基づき、第1および第2の光信号L1、L2を個別に強度変調する第1および第2の光変調器31、32と、各光変調器31、32から光ファイバ(図示せず)を介して空間に伝搬された変調出力光LMを、個別に指定した方向に反射する第1および第2の駆動反射板41、42と、各駆動反射板41、42の傾き(矢印R1、R2方向)を制御する第1および第2の制御装置51、52と、各駆動反射板41、42の傾き変化量を第1および第2の動作量C1、C2として各制御装置51、52に対して個別に指定する第1および第2の計算機61、62と、各光変調器31、32からの第1および第2の変調出力光LM1、LM2を光電変換して第1および第2の電波信号W1、W2(目標模擬信号)に変換する複数の光電変換器7と、複数の光電変換器7に個別に接続された複数の素子アンテナ8と、複数の光電変換器7および複数の素子アンテナ8を配置するためのビルボード9と、を備えている。
【0029】
第1の擬似信号発生装置11、第1の波長可変の光源21および第1の光変調器31は、相互接続されて第1の変調系を構成しており、第1の電波目標に対応した第1の変調出力光LM1を生成する。
また、第2の擬似信号発生装置12、第2の波長可変の光源22および第2の光変調器32は、相互接続されて第2の変調系を構成しており、第2の電波目標に対応した第2の変調出力光LM2を生成する。
【0030】
各駆動反射板41、42は、各変調出力光LM1、LM2の反射面と、互いに異なる位置に対応した光電変換器7(素子アンテナ8)の開口面とが向かい合うように設置されており、各変調出力光LM1、LM2の伝搬方向を高速に変化させるための機能を有する。
すなわち、各駆動反射板41、42は、各制御装置51、52と、各駆動反射板41、42の各動作量C1、C2を指定する各計算機61、62とによって、独立に反射方向が制御され、互いに異なる光電変換器7に対して各変調出力光LM1、LM2を照射する。
【0031】
各変調出力光LM1、LM2は、異なる光電変換器7によって第1および第2の電気信号E1、E2に変換された後、光電変換器7に接続された別々の素子アンテナ8から、目標を模擬する第1および第2の電波信号Wとして空間に放射され、被測定物(レーダ)10に照射される。
【0032】
以上のように、この発明の実施の形態2(図2)に係る電波目標模擬システムは、第1の目標を模擬する第1の擬似信号S1を生成する第1の擬似信号発生装置11と、第1の目標とは異なる第2の目標を模擬する第2の擬似信号S2を生成する第2の擬似信号発生装置12と、第1および第2の光信号L1、L2を個別に発生する第1および第2の光源21、22と、第1の擬似信号S1により第1の光信号L1を強度変調した第1の変調出力光LM1を生成する第1の光変調器31と、第2の擬似信号S2により第2の光信号L2を強度変調した第2の変調出力光LM2を生成する第2の光変調器32と、第1の変調出力光LM1を反射するとともに、第1の変調出力光LM1の第1の反射角度を任意に変更可能な第1の駆動反射板41と、第2の変調出力光LM2を反射するとともに、第2の変調出力光LM2の第2の反射角度を任意に変更可能な第2の駆動反射板42と、第1の駆動反射板41の第1の動作量C1を制御して第1の反射角度を設定する第1の制御装置51と、第2の駆動反射板42の第2の動作量C2を制御して第2の反射角度を設定する第2の制御装置52と、第1の制御装置51に対して第1の動作量C1を指定する第1の計算機61と、第2の制御装置52に対して第2の動作量C2を指定する第2の計算機62と、第1および第2の駆動反射板41、42により反射された第1および第2の変調出力光LM1、LM1を第1および第2の擬似信号S1、S2に対応した第1および第2の電気信号E1、E2に変換する複数の光電変換器7と、複数の光電変換器7に個別に接続されて、第1および第2の電気信号E1、E2に応じた第1および第2の電波信号W1、W2を空間に放射する複数の素子アンテナ8と、複数の光電変換器7および複数の素子アンテナ8を配置するためのビルボード9と、を備えている。
【0033】
複数の素子アンテナ8は、第1および第2の電波信号W1、W2を、それぞれ異なる位置から同一タイミングで放射するとともに、時間的に順次に位置をシフトしながら被測定物10に向けて放射する。
【0034】
このように、各駆動反射板41、42の反射方向を制御することにより、前述と同様に、各擬似信号S1、S2に対応した第1および第2の電波信号W1、W2を放射する素子アンテナ8の位置を容易に制御することができ、システム全体が大型化することなく、設置が容易でかつ広帯域な電波目標模擬システムを得ることができる。
また、同一タイミングで複数の目標を同時に独立に模擬することのできる電波目標模擬システムを実現することができる。
【0035】
なお、図2においては、それぞれ2個ずつ(第1および第2)の擬似信号発生装置11、12、波長可変の光源21、22、光変調器31、32、駆動反射板41、42を設けたが、これに限定されることはなく、3個以上の任意数ずつ設けてもよい。
この場合、さらに多くの目標を同時に独立に模擬できる電波目標模擬システムを実現することができる。
【0036】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図1、図2)では、光電変換器7を、素子アンテナ8とともに、ビルボード9の内面(電波信号W、W1、W2の放射面)側に配列したが、図3のように、光電変換器7をビルボード9の裏面側に配列してもよい。
図3はこの発明の実施の形態3に係る電波目標模擬システムを示す構成図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0037】
図3において、被測定物10に対する電波目標模擬システムは、指定した周波数の電波目標を模擬するための擬似信号Sを生成する擬似信号発生装置1と、光信号Lを出力する光源2と、光信号Lを擬似信号Sで強度変調する光変調器3と、光変調器3から(光ファイバを介して)空間に伝搬された変調出力光LMを指定方向に反射する駆動反射板4と、駆動反射板4の傾きを制御する制御装置5と、制御装置5に対して駆動反射板4の動作量C(傾きの変化量)を指定する計算機6と、変調出力光LMを光電変換して電気信号(目標模擬信号)に変換する複数の光電変換器7と、各光電変換器7に個別に接続された複数の素子アンテナ8と、複数の光電変換器7および複数の素子アンテナ8を配置するためのビルボード9と、を備えている。
【0038】
各光電変換器7は、ビルボード9の裏面側に配置され、各素子アンテナ8は、ビルボード9の内面(電波信号Wの放射面)側に配置されている。
擬似信号発生装置1、光源2、光変調器3、駆動反射板4、制御装置5および計算機6は、それぞれ光電変換器7の設置側、すなわちビルボード9の内面(アンテナ開口面)とは反対側に設置されている。
【0039】
擬似信号発生装置1、光源2および光変調器3からなる変調出力系は、電波目標に対応した変調出力光LMを生成し、駆動反射板4、制御装置5および計算機6は、変調出力光LMの反射方向を制御して、光電変換器7に入射する。
変調出力光LMが照射された光電変換器7は、変調出力光LMを電気信号に変換し、自身に接続された素子アンテナ8から電波信号W(目標模擬信号)として空間に放射させ、被測定物(レーダ)10に向けて照射する。
【0040】
以上のように、この発明の実施の形態3(図3)に係る電波目標模擬システムは、前述(図1)と同様に、駆動反射板4の反射方向を制御することにより、電波信号Wを放射する素子アンテナ8の位置を容易に制御することができるので、設置が容易でかつ広帯域な電波目標模擬システムを得ることができる。
また、素子アンテナ8の開口面と駆動反射板4とを、互いにビルボード9の反対面側に設置することにより、光電変換器7と素子アンテナ8の間の電気信号の伝送距離を短くすることが可能になり、さらにシステム全体の小型化を実現することができる。
【0041】
なお、図3においては、前述の実施の形態1(図1)の構成に適用した例を示したが、実施の形態2(図2)の構成に適用することもできる。
すなわち、図2のように、それぞれ2個ずつの擬似信号発生装置11、12、波長可変の光源21、22、光変調器31、33、駆動反射板41、42を設けた構成に対して、図3の構成を適用してもよい。この場合、複数個の目標を同時に独立に模擬することのできる電波目標模擬システムをさらに小型化することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 擬似信号発生装置、11 第1の擬似信号発生装置、 12 第2の擬似信号発生装置、2 光源、21 第1の波長可変の光源、22 第2の波長可変の光源、3 光変調器、31 第1の光変調器、32 第2の光変調器、4 駆動反射板、41 第1の駆動反射板、42 第2の駆動反射板、5 制御装置、51 第1の制御装置、52 第2の制御装置、6 計算機、61 第1の計算機、62 第2の計算機、7 光電変換器、8 素子アンテナ、9 ビルボード、10 被測定物、C 動作量、C1 第1の動作量、C2 第2の動作量、E 電気信号、E1 第1の電気信号、E2 第2の電気信号、L 光信号、L1 第1の光信号、L2 第2の光信号、LM 変調出力光、LM1 第1の変調出力光、LM2 第2の変調出力光、S 擬似信号、S1 第1の擬似信号、S2 第2の擬似信号、W 電波信号、W1 第1の電波信号、W2 第2の電波信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標を模擬するための擬似信号を生成する擬似信号発生装置と、
光信号を発生する光源と、
前記擬似信号により前記光信号を強度変調した変調出力光を生成する光変調手段と、
前記光変調手段からの変調出力光を反射するとともに、前記変調出力光の反射角度を任意に変更可能な駆動反射板と、
前記駆動反射板の動作量を制御して前記反射角度を設定する制御装置と、
前記制御装置に対して前記動作量を指定する計算機と、
前記駆動反射板により反射された前記変調出力光を前記擬似信号に対応した電気信号に変換する複数の光電変換器と、
前記複数の光電変換器に個別に接続されて、前記電気信号に応じた電波信号を空間に放射する複数の素子アンテナと、
前記複数の光電変換器および前記複数の素子アンテナを配置するためのビルボードと、を備え、
前記複数の素子アンテナは、前記電波信号を、時間的に順次に位置をシフトしながら被測定物に向けて放射することを特徴とする電波目標模擬システム。
【請求項2】
第1の目標を模擬する第1の擬似信号を生成する第1の擬似信号発生装置と、
前記第1の目標とは異なる第2の目標を模擬する第2の擬似信号を生成する第2の擬似信号発生装置と、
第1および第2の光信号Lを個別に発生する第1および第2の光源と、
前記第1の擬似信号により前記第1の光信号を強度変調した第1の変調出力光を生成する第1の光変調手段と、
前記第2の擬似信号により前記第2の光信号を強度変調した第2の変調出力光を生成する第2の光変調手段と、
前記第1の変調出力光を反射するとともに、前記第1の変調出力光の第1の反射角度を任意に変更可能な第1の駆動反射板と、
前記第2の変調出力光を反射するとともに、前記第2の変調出力光の第2の反射角度を任意に変更可能な第2の駆動反射板と、
前記第1の駆動反射板の第1の動作量を制御して前記第1の反射角度を設定する第1の制御装置と、
前記第2の駆動反射板の第2の動作量を制御して前記第2の反射角度を設定する第2の制御装置と、
前記第1の制御装置に対して前記第1の動作量を指定する第1の計算機と、
前記第2の制御装置に対して前記第2の動作量を指定する第2の計算機と、
前記第1および第2の駆動反射板により反射された前記第1および第2の変調出力光を前記第1および第2の擬似信号に対応した第1および第2の電気信号に変換する複数の光電変換器と、
前記複数の光電変換器に個別に接続されて、前記第1および第2の電気信号に応じた第1および第2の電波信号を空間に放射する複数の素子アンテナと、
前記複数の光電変換器および前記複数の素子アンテナを配置するためのビルボードと、を備え、
前記複数の素子アンテナは、前記第1および第2の電波信号を、それぞれ異なる位置から同一タイミングで放射するとともに、時間的に順次に位置をシフトしながら被測定物に向けて放射することを特徴とする電波目標模擬システム。
【請求項3】
前記複数の光電変換器および前記複数の素子アンテナは、前記ビルボードの内面側の前記被測定物の設置側に配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電波目標模擬システム。
【請求項4】
前記複数の素子アンテナは、前記ビルボードの内面上の前記被測定物の設置側に配置され、
前記複数の光電変換器は、前記複数の素子アンテナの配置側とは反対側の前記ビルボードの裏面上に配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電波目標模擬システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−128059(P2011−128059A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287766(P2009−287766)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】