説明

電流センサ

【課題】検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さを向上させることができる電流センサの提供。
【解決手段】電流センサ1は、電流を流通させる導線2と、コア部材3と、コンデンサ4とを備える。コア部材3は、間隙を有する環状に形成された磁性体であり、中央部分には、導線2がコイル状に巻きつけられている。また、コア部材3の両端には、互いに対向して配置される2つの対向面31がそれぞれ形成されている。コンデンサ4は、各対向面31に絶縁層41Aを介してそれぞれ当接する2つの電極板411,412を備える。そして、電流センサ1は、コンデンサ4における各電極板411,412間の電圧を検出することで導線2に流れる電流を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抵抗素子、電流トランス、MR(Magneto Resistive)素子、光ファイバ、及びホール素子等を用いて電流を検出する電流センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のホール素子を用いた電流センサでは、電流を流通させる巻き線(導線)と、間隙を有する環状に形成されるとともに、巻き線がコイル状に巻きつけられたトロイダルコア(コア部材)と、トロイダルコアの間隙部分に配置されたホール素子とを備えている。そして、ホール素子は、巻き線に電流が流れることでトロイダルコアに生じる磁力に応じて電圧を出力し、電流センサは、ホール素子から出力される電圧を検出することで巻き線に流れる電流を検出している。
このようなホール素子を用いた電流センサでは、抵抗素子、電流トランス、MR素子、及び光ファイバを用いた電流センサと比較して、電流を流通させる導線と、電流に応じた電圧を出力するホール素子とが絶縁されている、直流電流を検出することができる、電流に応じてホール素子から出力される電圧を直接検出することで電流を検出することができる、小型であるという利点がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−17347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ホール素子を用いた電流センサでは、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さは、ホール素子の特性に依存するため原理的な限界があるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さを向上させることができる電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電流センサは、電流を検出する電流センサであって、前記電流を流通させる導線と、前記導線がコイル状に巻きつけられる磁性体からなるコア部材と、互いに対向して配置され、前記導線に電流が流れることで前記コア部材に生じる磁力に応じて近接する2つの対向面と、前記各対向面に絶縁層を介してそれぞれ当接する2つの電極板を有する第1のコンデンサとを備え、前記第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧を検出することで前記導線に流れる電流を検出することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、各対向面は、導線に電流が流れることでコア部材に生じる磁力に応じて近接するので、各対向面に絶縁層を介して当接する各電極板もコア部材に生じる磁力に応じて近接する。ここで、コンデンサの静電容量は、各電極板間の距離に反比例するので、導線に電流が流れることでコア部材に生じる磁力に応じて変化する。したがって、第1のコンデンサにおける電極板間に電圧が印加されている場合には、導線に電流が流れることで電圧が変化するので、電流センサは、第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧を検出することで導線に流れる電流を検出することができる。
【0008】
また、本発明の電流センサによれば、ホール素子を用いた電流センサと比較して、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さを原理的に向上させることができる。なお、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さは、コア部材の材質、第1のコンデンサにおける各電極板間に介在する誘電体の材質、各電極板の面積、及び各電極板間の距離等によって異なる。
さらに、本発明の電流センサによれば、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さを向上させつつ、ホール素子を用いた電流センサと同様に、電流を流通させる導線と、電流に応じた電圧を出力するコンデンサとが絶縁されている、直流電流を検出することができる、電流に応じてコンデンサから出力される電圧を直接検出することで電流を検出することができる、小型であるという利点もある。
【0009】
本発明では、前記コア部材は、間隙を有する環状に形成され、前記コア部材の両端には、前記各対向面がそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、間隙部分において対向するコア部材の両端に形成された各対向面は、導線に電流が流れることでコア部材に生じる磁力によって互いに引きつけあう。このため、コア部材は、導線に電流が流れることで生じる磁力に応じて各対向面が近接するように変形する。したがって、電流センサは、第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧を検出することで導線に流れる電流を検出することができ、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さを向上させることができる。
【0011】
本発明では、前記各対向面のうち一方の対向面を有する円盤状に形成され、前記一方の対向面が前記コア部材と対向するように配設される磁性体からなる円盤状の円盤部材を備え、前記コア部材は、前記導線が巻きつけられる円柱状の軸部と、前記軸部の一端から径方向に沿って外側に延出した後、前記軸部の周面に沿って延出する筒状の筒状部とを備え、前記各対向面のうち他方の対向面は、前記軸部の他端と、前記筒状部の先端とで形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明の電流センサによれば、コア部材における対向面には、導線に電流が流れることで円盤部材における対向面を引きつけるように磁力が生じる。このため、各対向面は、導線に電流が流れることでコア部材に生じる磁力に応じて近接する。したがって、電流センサは、第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧を検出することで導線に流れる電流を検出することができ、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さを向上させることができる。
なお、軸部と、筒状部とを備えるコア部材としては、いわゆるポッド型コアを採用することができる。
【0013】
本発明では、前記各対向面には、互いに近接する方向に圧力が付加されていることが好ましい。
このような構成によれば、各対向面と、第1のコンデンサにおける各電極板とを確実に当接させることができる。したがって、電流センサによる電流の検出精度を向上させることができる。
【0014】
本発明では、互いに近接する方向に前記圧力が付加される2つの電極板を有する第2のコンデンサを備え、前記第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧と、前記第2のコンデンサにおける各電極板間の電圧との差を検出することで前記導線に流れる電流を検出することが好ましい。
【0015】
ここで、各対向面に圧力を付加すると、第1のコンデンサにおける各電極板には、各対向面に付加される圧力と、導線に電流が流れることでコア部材に生じる磁力に応じて各対向面が近接する力とを合成した力が付加される。このため、第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧を検出することで導線に流れる電流を検出する場合には、電流センサは、各対向面に付加される圧力による電圧を除去する必要がある。
本発明の電流センサによれば、第2のコンデンサにおける各電極板には、各対向面に付加される圧力のみが付加され、電流センサは、第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧と、第2のコンデンサにおける各電極板間の電圧との差を検出することで導線に流れる電流を検出する。したがって、各対向面に付加される圧力による電圧を除去することができる。
【0016】
本発明では、前記コンデンサは、エレクトレットコンデンサとされていることが好ましい。
ここで、エレクトレットコンデンサは、半永久的に電気分極された誘電体を各電極板間に介在させたコンデンサである。
したがって、本発明の電流センサによれば、コンデンサにおける各電極板間に電圧を印加する必要がないので、電流センサの回路構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔電流センサの概略構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る電流センサ1を示す模式図である。
電流センサ1は、電流を検出するものであり、図1に示すように、電流を流通させる導線2と、コア部材3と、コンデンサ4と、非反転増幅回路5と、加算回路6と、電圧調整回路7とを備える。
【0018】
コア部材3は、間隙を有する環状に形成された磁性体であり、中央部分には、導線2がコイル状に巻きつけられている。また、コア部材3の両端には、互いに対向して配置される2つの対向面31がそれぞれ形成されている。さらに、図示は省略するが、コア部材3には、各対向面31が互いに近接する方向に圧力が付加されている(図1中矢印A方向)。なお、コア部材3に圧力を付加する構成としては、例えば、コア部材3を外装ケースで覆うとともに、この外装ケースにてコア部材3を挟持するような構成を採用することができる。
【0019】
第1のコンデンサとしてのコンデンサ4は、コア部材3における各対向面31と略同一の形状を有し、各対向面31にそれぞれ当接する2つの電極板411,412と、各電極板411,412の間に介在する誘電体42とを備える。また、各電極板411,412における各対向面31側の面には、絶縁層41Aが形成されている。したがって、各電極板411,412は、各対向面31に絶縁層41Aを介して当接している。そして、電極板411は接地され、電極板412は、正(+)の高電圧を印加する電源V1にプルアップ抵抗R1を介して接続されるとともに、非反転増幅回路5に接続される。
【0020】
非反転増幅回路5は、オペアンプ51と、オペアンプ51における反転入力端子、及び出力端子の間に接続されるフィードバック抵抗52と、オペアンプ51における反転入力端子に一端が接続されるとともに、他端が接地される抵抗53とを備える。この非反転増幅回路5は、オペアンプ51の非反転入力端子に入力された電圧を、フィードバック抵抗52、及び抵抗53の抵抗値に応じて増幅して出力する回路である。
ここで、コンデンサ4の電極板412は、オペアンプ51の非反転入力端子に接続されているので、非反転増幅回路5は、電極板412にかかる電圧を増幅してオペアンプ51の出力端子から出力する。
【0021】
加算回路6は、オペアンプ61と、オペアンプ61における反転入力端子、及び出力端子の間に接続されるフィードバック抵抗62と、オペアンプ61における反転入力端子に一端が接続されるとともに、他端がオペアンプ51の出力端子に接続される抵抗63と、オペアンプ61における反転入力端子に一端が接続されるとともに、他端が電圧調整回路7に接続される抵抗64とを備える。なお、オペアンプ61における非反転入力端子は接地されている。この加算回路6は、各抵抗63,64の他端にかかる電圧を加算して出力する回路である。
【0022】
電圧調整回路7は、負(−)の電圧を印加する電源V2と、この電源V2に一端が接続されるとともに、他端が接地される可変抵抗71とを備える。そして、可変抵抗71の抵抗値を調整すると、加算回路6における抵抗64の他端にかかる電圧が調整される。
したがって、加算回路6は、非反転増幅回路5にて増幅された電極板412にかかる電圧(抵抗63の他端にかかる電圧)と、電圧調整回路7にて調整された電圧(抵抗64の他端にかかる電圧)とを加算してオペアンプ61の出力端子から出力する。
なお、可変抵抗71の抵抗値は、導線2に電流が流れていない状態において、加算回路6からの出力電圧が0となる抵抗値に調整されている。すなわち、電流センサ1は、加算回路6、及び電圧調整回路7によって、各対向面31に付加される圧力による電圧を除去している。
【0023】
〔電流の検出原理〕
次に、電流センサ1による電流の検出原理について説明する。
コア部材3には、導線2がコイル状に巻きつけられているので、コア部材3の両端に形成された各対向面31は、導線2に電流が流れることでコア部材3に生じる磁力によって互いに引きつけあう。このため、コア部材3は、導線2に電流が流れることで生じる磁力に応じて各対向面31が近接するように変形する。
【0024】
また、コンデンサ4における各電極板411,412は、各対向面31に絶縁層41Aを介して当接しているので、導線2に電流が流れることでコア部材3に生じる磁力に応じて近接する。ここで、コンデンサ4の静電容量は、各電極板411,412間の距離に反比例するので、導線2に電流が流れることでコア部材3に生じる磁力に応じて変化する。したがって、コンデンサ4における電極板412にかかる電圧は、導線2に電流が流れることで変化する。
そして、コンデンサ4における電極板412にかかる電圧は、非反転増幅回路5にて増幅され、加算回路6にて各対向面31に付加される圧力による電圧を除去されて出力されるので、電流センサ1は、加算回路6から出力される電圧を検出することで導線2に流れる電流を検出することができる。
【0025】
このような本実施形態によれば以下の効果がある。
(1)電流センサ1によれば、ホール素子を用いた電流センサと比較して、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さを原理的に向上させることができる。なお、検出できる電流の大きさ、及びダイナミックレンジの広さは、コア部材3の材質、誘電体42の材質、各電極板411,412の面積、及び各電極板411,412間の距離等によって異なる。
(2)電流センサ1によれば、電流を流通させる導線2と、電流に応じた電圧を出力するコンデンサ4とが絶縁されている、直流電流を検出することができる、電流に応じてコンデンサ4から出力される電圧を直接検出することで電流を検出することができる、小型であるという利点がある。
(3)コア部材3には、各対向面31が互いに近接する方向に圧力が付加されているので、各対向面31と、コンデンサ4における各電極板411,412とを確実に当接させることができる。したがって、電流センサ1による電流の検出精度を向上させることができる。
【0026】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図2は、本発明の第2実施形態に係る電流センサ1Aを示す模式図である。なお、図2では、説明の便宜上、コンデンサ4、円盤部材8、及びポッド型コア9を分解している。
前記第1実施形態では、各対向面31は、コア部材3の両端にそれぞれ形成されていた。これに対して、本実施形態では、各対向面81,93は、円盤部材8と、ポッド型コア9とにそれぞれ形成されている点で異なる。
【0027】
円盤部材8は、円盤状に形成された磁性体であり、コンデンサ4における電極板411と対向する対向面81(一方の対向面)を有している。
コア部材としてのポッド型コア9は、導線2が巻きつけられる円柱状の軸部91と、軸部91の一端から径方向に沿って外側に延出した後、軸部91の周面に沿って延出する筒状の筒状部92とを備える。筒状部92には、径方向に貫通する2つの孔92Aが形成され、軸部91に巻きつけられた導線2の両端がポッド型コア9の内側から外側に向かって挿通されている。そして、軸部91の他端と、筒状部92の先端とで対向面93(他方高対向面)を形成している。
また、円盤部材8、及びポッド型コア9には、各対向面81,93が互いに近接する方向に圧力が付加されている(図2中矢印A方向)。
【0028】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における作用、効果と同様の作用、効果を奏することができる。
【0029】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の第3実施形態に係る電流センサ1Bを示す模式図である。なお、図3では、説明の便宜上、コンデンサ4,4B、円盤部材8,8B、及びポッド型コア9を分解している。
前記第2実施形態では、電流センサ1Aは、加算回路6、及び電圧調整回路7を備えることで各対向面31に付加される圧力による電圧を除去していた。これに対して、本実施形態では、電流センサ1Bは、コンデンサ4Bと、非反転増幅回路5Bと、円盤部材8Bと、差動増幅回路10とを備えることで各対向面81,93に付加される圧力による電圧を除去している点で異なる。
【0030】
第2のコンデンサとしてのコンデンサ4Bは、コンデンサ4と同様の構成を有し、コンデンサ4に当接する円盤部材8と、この円盤部材8と同様の構成を有する円盤部材8Bとの間に介在配置されている。そして、コンデンサ4Bにおける電極板412にかかる電圧は、非反転増幅回路5と同様の構成を有する非反転増幅回路5Bにて増幅されて出力される。
【0031】
差動増幅回路10は、オペアンプ101と、オペアンプ101における反転入力端子、及び出力端子の間に接続されるフィードバック抵抗102と、オペアンプ101における非反転入力端子に一端が接続されるとともに、他端が接地される抵抗103と、オペアンプ101における反転入力端子に一端が接続されるとともに、非反転増幅回路5におけるオペアンプ51の出力端子に他端が接続される抵抗104と、オペアンプ101における非反転入力端子に一端が接続されるとともに、非反転増幅回路5Bにおけるオペアンプ51の出力端子に他端が接続される抵抗105とを備える。ここで、フィードバック抵抗102、及び抵抗103の抵抗値は略同一に設定され、抵抗104,105の抵抗値も略同一に設定されている。
この差動増幅回路10は、各抵抗104,105の他端にかかる電圧の差を、フィードバック抵抗102、及び抵抗103の抵抗値と、抵抗104,105の抵抗値とに応じて増幅して出力する回路である。
【0032】
ここで、円盤部材8B、及びポッド型コア9には、各対向面81,93が互いに近接する方向に圧力が付加されている(図3中矢印A方向)。
円盤部材8B、及びポッド型コア9に圧力を付加すると、コンデンサ4における各電極板411,412には、円盤部材8B、及びポッド型コア9に付加される圧力と、導線2に電流が流れることでポッド型コア9に生じる磁力に応じて各対向面81,93が近接する力とを合成した力が付加される。また、コンデンサ4Bにおける各電極板411,412には、円盤部材8B、及びポッド型コア9に付加される圧力が付加される。そして、差動増幅回路10は、コンデンサ4における電極板412に係る電圧(抵抗104の他端にかかる電圧)と、コンデンサ4Bにおける電極板412に係る電圧(抵抗105の他端にかかる電圧)との差を増幅して出力するので、電流センサ1は、差動増幅回路10から出力される電圧を検出することで導線2に流れる電流を検出することができる。
【0033】
このような本実施形態においても、前記第2実施形態における作用、効果と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(4)電流センサ1Bによれば、コンデンサ4Bにおける各電極板411,412には、各対向面81,93に付加される圧力のみが付加され、電流センサ1Bは、コンデンサ4における各電極板411,412間の電圧と、コンデンサ4Bにおける各電極板411,412間の電圧との差を検出することで導線2に流れる電流を検出するので、各対向面81,93に付加される圧力による電圧を除去することができる。
【0034】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
図4は、本発明の第4実施形態に係る電流センサ1Cを示す模式図である。なお、図4では、説明の便宜上、エレクトレットコンデンサ4C、円盤部材8、及びポッド型コア9を分解している。
前記第2実施形態では、電流センサ1Aは、コンデンサ4を備え、コンデンサ4における電極板412は、正(+)の高電圧を印加する電源V1にプルアップ抵抗R1を介して接続されていた。これに対して、本実施形態では、電流センサ1Cは、半永久的に電気分極された誘電体42Cを各電極板411,412間に介在させた第1のコンデンサとしてのエレクトレットコンデンサ4Cを備え、エレクトレットコンデンサ4Cにおける電極板412は、プルダウン抵抗R2を介して接地されている点で異なる。
【0035】
このような本実施形態においても、前記第2実施形態における作用、効果と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(5)電流センサ1Cによれば、エレクトレットコンデンサ4Cにおける各電極板411,412間に電圧を印加する必要がないので、電流センサ1Cの回路構成を簡素化することができる。
【0036】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、前記各実施形態を組み合わせることは自由である。
例えば、前記各実施形態では、コア部材3、及びポッド型コア9をコア部材として採用していたが、コア部材の形状は、これら以外の形状であってもよい。要するに、コア部材は、導線に電流が流れることで生じる磁力に応じて各対向面を近接させることができる形状であればよい。
【0037】
前記各実施形態では、各対向面31,81,93には、互いに近接する方向に圧力が付加されていたが、圧力は付加されていなくてもよい。
前記第3実施形態では、電流センサ1Bは、コンデンサ4,4B、及び円盤部材8,8Bを備え、円盤部材8B、及びポッド型コア9に対して各対向面81,93が互いに近接する方向に圧力を付加することで、各対向面81,93に付加される圧力のみがコンデンサ4Bにおける各電極板411,412に付加される構成としていた。これに対して、他の構成により各対向面に付加される圧力のみが第2のコンデンサにおける各電極板に付加される構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、電流センサに利用でき、特に、大電流を検出する電流センサに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電流センサを示す模式図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電流センサを示す模式図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る電流センサを示す模式図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る電流センサを示す模式図。
【符号の説明】
【0040】
1,1A,1B,1C…電流センサ
2…導線
3…コア部材
4…コンデンサ(第1のコンデンサ)
4B…コンデンサ(第2のコンデンサ)
4C…エレクトレットコンデンサ(第1のコンデンサ)
8,8B…円盤部材
9…ポッド型コア(コア部材)
31,81,93…対向面
41A…絶縁層
91…軸部
92…筒状部
411,412…電極板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を検出する電流センサであって、
前記電流を流通させる導線と、
前記導線がコイル状に巻きつけられる磁性体からなるコア部材と、
互いに対向して配置され、前記導線に電流が流れることで前記コア部材に生じる磁力に応じて近接する2つの対向面と、
前記各対向面に絶縁層を介してそれぞれ当接する2つの電極板を有する第1のコンデンサとを備え、
前記第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧を検出することで前記導線に流れる電流を検出することを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の電流センサであって、
前記コア部材は、間隙を有する環状に形成され、
前記コア部材の両端には、前記各対向面がそれぞれ形成されていることを特徴とする電流センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の電流センサであって、
前記各対向面のうち一方の対向面を有する円盤状に形成され、前記一方の対向面が前記コア部材と対向するように配設される磁性体からなる円盤部材を備え、
前記コア部材は、
前記導線が巻きつけられる円柱状の軸部と、
前記軸部の一端から径方向に沿って外側に延出した後、前記軸部の周面に沿って延出する筒状の筒状部とを備え、
前記各対向面のうち他方の対向面は、前記軸部の他端と、前記筒状部の先端とで形成されていることを特徴とする電流センサ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流センサであって、
前記各対向面には、互いに近接する方向に圧力が付加されていることを特徴とする電流センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の電流センサであって、
互いに近接する方向に前記圧力が付加される2つの電極板を有する第2のコンデンサを備え、
前記第1のコンデンサにおける各電極板間の電圧と、前記第2のコンデンサにおける各電極板間の電圧との差を検出することで前記導線に流れる電流を検出することを特徴とする電流センサ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流センサであって、
前記コンデンサは、エレクトレットコンデンサとされていることを特徴とする電流センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−270967(P2009−270967A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122339(P2008−122339)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】