説明

電源レギュレータ

【課題】高い電源除去比を有する電源レギュレータを提供すること。
【解決手段】入力電圧を出力電圧に変換するための電源レギュレータは、伝送デバイス、基準信号回路、及び誤差増幅器を備える。伝送デバイスは、入力電圧を取り込んで、この電源レギュレータの出力端子に出力電圧を供給する。出力端子に接続された基準信号回路は、上記出力電圧によって給電され、基準信号を供給する。伝送デバイスに接続された誤差増幅器は、上記出力電圧によって給電されて、出力電圧を示す帰還信号と基準信号とを比較する。誤差増幅器は、上記比較の結果に従って制御信号を発生し、上記伝送デバイスを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電源レギュレータ(POWER REGULATOR)に関するものであって、2008年6月12日出願の米国仮出願第61/131,788号に対する優先権を主張するものであり、その内容は、参照することにより本願にそのまま組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ラップトップ、カメラレコーダ、及び他の携帯型バッテリ駆動式の装置のような、電子装置またはシステムは、比較的高精度で安定的なDC電圧を供給するために、低ドロップアウト(LDO; Low Drop-Out)電圧レギュレータを備える。LDO電圧レギュレータは、電子装置/システムにおける電気回路に電力を供給するように構成される。
【0003】
図1は、従来のLDO電圧レギュレータ100を示す。このLDO電圧レギュレータ100は、伝送デバイス(a pass device)102、誤差増幅器(an error amplifier)104、基準電圧回路(a reference voltage circuit)106、および帰還回路108を備える。LDO電圧レギュレータ100は、入力電圧VINを所定レベルの出力電圧VOUTに変換して、電源(a power supply)として機能する。また、LDO電圧レギュレータ100は、LDO電圧レギュレータ100の安定性を改善するために補償回路(a compensation circuit)130を備えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、誤差増幅器104及び基準電圧回路106は、安定的ではない入力電圧VINにより駆動/給電される。従って、LDO電圧レギュレータ100は、比較的低い電源除去比(PSRR; Power Supply Rejection Ratio)を有する。レギュレータの電源除去比は、レギュレータの供給電圧の変化と、対応する出力電圧の変化との比として定義される。加えて、誤差増幅器104の利得は、入力電圧VINの変動によって生じる伝送デバイス102の特性変化を補償するのに十分に高い利得である必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、入力電圧を出力電圧に変換するための電源レギュレータは、伝送デバイス、基準信号回路、及び誤差増幅器を備える。上記伝送デバイスは、上記入力電圧を取り込んで、電源レギュレータの出力端子に出力電圧を供給する。上記出力端子に接続された基準信号回路は、上記出力電圧によって給電されて基準信号を供給する。上記伝送デバイスに接続された誤差増幅器は、上記出力電圧によって給電されて、該出力電圧を示す帰還信号と上記基準信号とを比較する。上記誤差増幅器は、上記伝送デバイスを駆動するために、上記比較の結果に従って制御信号を生成する。
【0006】
請求項に係る本発明の実施形態の特徴と利点は、図面の参照と共に後述の詳細な説明により明らかになるであろう。ここで図面において同じ番号は同じ要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来のLDO電圧レギュレータを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による電源レギュレータを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による電源レギュレータの詳細なブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による入力電圧を出力電圧に変換するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の幾つかの実施形態を詳細に説明する。本発明は、これらの実施形態に従って説明されるが、これらは、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではない。それどころか、本発明は、代替、変形および等価なものに及び、それらは、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲および精神に含まれる。
【0009】
また、以下の本発明の詳細な説明において、多数の特定の詳細は、本発明の完全な理解を提供する目的で述べられる。しかしながら、当業者であれば、これらの特定の詳細を用いずに本発明を実施し得ることが分かる。他の例では、本発明の態様をいたずらに分かりにくくしないために、公知の方法、手順、構成要素、及び回路については詳細に説明していない。
【0010】
本発明による実施形態は、比較的高い電源除去比(PSRR)を有することができる電源レギュレータを提供する。有利には、電源レギュレータにおける誤差増幅器と、この誤差増幅器に基準信号を供給するための基準信号回路は、電源レギュレータの出力電圧によって給電される。その結果、電源レギュレータの入力電圧の変動によって生じる幾つかの欠点を除去することができ、電源レギュレータが比較的高い電源除去比を維持することができる。
【0011】
図2は、本発明の一実施形態による電源レギュレータ200を示す。この電源レギュレータ200は、例えば低ドロップアウト電圧レギュレータであり、入力電圧(すなわち電源電圧)VINを出力電圧VOUTに変換することができる。図2の実施形態では、電源レギュレータ200は、起動回路(start-up circuit)210、伝送デバイス202、誤差増幅器204、基準信号回路206、及び帰還回路208を備える。また、電源レギュレータ200は、補償回路230を更に備えることができる。
【0012】
伝送デバイス202は、入力電圧VINを取り込むためのレギュレータ200の入力端子262に接続され、このレギュレータ200の出力端子268に出力電圧VOUTを供給する。出力電圧VOUTは、電源レギュレータ200の構成要素または外部負荷(図示なし)に給電するために使用される。伝送デバイス202は、出力電圧VOUTを供給するのに制御可能な能動素子である。伝送デバイス202は、パワートランジスターを含むことができる。一実施形態において、伝送デバイス202は、起動回路210からの起動信号224、または誤差増幅器204からの制御信号222により選択的(selectively)に制御可能となっている。更に詳しくは、伝送デバイス202は、レギュレータ200の起動期間では起動信号224によって制御され、レギュレータ200の通常動作期間では制御信号222によって制御される。
【0013】
帰還回路208は、出力端子268に接続され、出力電圧VOUTを示す帰還信号226を生成するためのものである。出力端子268に接続された基準信号回路206は、出力電圧VOUTによって給電されて基準信号228を供給する。或いは、基準信号228は、外部装置によって供給されてもよい。伝送デバイス202に接続された誤差増幅器204は、出力電圧VOUTによって給電され、帰還信号226を基準信号228と比較し、そして、伝送デバイス202を駆動するために上記比較の結果に従って制御信号222を生成する。帰還回路208、誤差増幅器204、及び伝送デバイス202は、出力端子268での比較的高精度で安定的な出力電圧VOUTを生成するための負帰還ループとして共に形成される。
【0014】
補償回路230は、出力電圧VOUTの変動(variation)を補償(compensate)するために使用されることができる。この出力電圧VOUTの変動は、伝送デバイス202の特性変化によって引き起こされ、それは入力電圧VINの変動に起因している。
【0015】
有利には、誤差増幅器204および基準信号回路206は、出力電圧VOUTによって給電される。出力電圧VOUTは、伝送デバイス202が適切に動作していれば、適切に発生される。有利には、起動回路210は、レギュレータ200の起動期間で伝送デバイス202を駆動するために使用されることができる。一実施形態において、起動回路210は、レギュレータ200の起動期間で有効化(enable)される。伝送デバイス202に接続された起動回路210は、一実施形態において、起動信号224を発生させるために、入力電圧VINによって給電される。起動信号224は、出力電圧VOUTを発生させるために、伝送デバイス202を駆動することができる。出力電圧VOUTが、誤差増幅器204および基準信号回路206を有効化することが可能な或るレベルに到達すると、レギュレータ200は通常モードで動作することができる。
【0016】
一旦、レギュレータ200が通常モードで動作すると、起動回路210を無効化(disable)するために、起動無効化信号(start-up disable signal)220が起動回路210に出力される。一実施形態において、起動回路210を無効化するために、誤差増幅器204が起動無効化信号220を供給することができる。他の実施形態では、起動無効化信号220は、基準信号回路206によって供給されることができる。一実施形態において、レギュレータ200の通常動作期間では、誤差増幅器204は、基準信号228と帰還信号226との差分を増幅し、伝送デバイス202を駆動するための制御信号222を発生させることができる。
【0017】
このように、誤差増幅器204または基準信号回路206に給電する出力電圧VOUTが所定の閾値を下回ったとき、例えば起動中または不足電圧(under-voltage)状態下で、起動回路210は有効化されることができる。誤差増幅器204および基準信号回路206が適切に動作すれば、例えば出力電圧VOUTが所定の閾値を上回れば、起動回路210は無効化されることができる。
【0018】
有利には、誤差増幅器204および基準信号回路206は、比較的安定的である出力電圧VOUTによって給電される。その結果、一実施形態において、誤差増幅器204および基準信号回路206は、入力電圧VINが変動しても、適切に動作することができる。従って、レギュレータ200は、改善された電源除去比を有することができる。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態による電源ジェネレータ300を示す。図3の実施形態では、電源レギュレータ300は、伝送デバイス302、起動回路310、オペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ(OTA; Operational Transconductance Amplifier)304、バンドギャップ(bandgap)基準回路306、帰還回路308、及びキャパシタ330を備える。
【0020】
入力電圧VINは、電源レギュレータ300の入力端子362で、伝送デバイス302および起動回路310に印加される。出力電圧VOUTおよび出力電流IOUTは、電源レギュレータ300の出力端子368に伝送デバイス302によって供給される。OTA 304およびバンドギャップ基準回路306は、出力電圧VOUTによって給電される。出力端子368に接続されたキャパシタ330は、一実施形態において、補償回路として機能し、出力電圧VOUTをフィルタリングすることができ、従って電源レギュレータ300の安定性を改善する。
【0021】
図3の実施形態では、起動回路310は、直列接続されたスイッチ312と定電流源(current generator)314を備えることができる。起動期間(例えば、VOUTが所定の閾値を下回る期間)では、スイッチ312は、ターンオンされて、伝送デバイス302を駆動するために定電流源314によって起動電流ISTARTUP324が発生されることを可能にする。レギュレータ300の通常動作の期間(例えば、VOUTが所定の閾値を上回る期間)では、スイッチ312は、起動回路310を無効化(disable)するためにターンオフされる。
【0022】
帰還回路308は、出力端子368とグランドとの間に直列接続された抵抗348および抵抗358を備えることができる。出力電圧VOUTに比例する帰還電圧VFBは、抵抗348と抵抗358との間のノードに発生される。帰還電圧VFBは、一実施形態において、OTA 304に入力される。基準電圧VREFは、一実施形態において、バンドギャップ基準回路306によって供給されて、OTA 304に入力されることができる。OTA 304は、制御電流ICONTROLを発生させて、基準電圧VREFと帰還電圧VFBとの間の電圧差に基づいて伝送デバイス302を駆動することができる。
【0023】
入力端子362に接続された伝送デバイス302は、PMOS 342とPMOS 352から構成されたカレントミラーであることができる。一実施形態において、伝送デバイス302は、定電流源314からの起動電流ISTARTUPまたはOTA 304からの制御電流ICONTROLに基づいて出力端子368で出力電流IOUT326を発生させることができる。カレントミラーのミラー比は予め定めることができる。
【0024】
動作において、最初に電源レギュレータ300が電源オンされると、起動回路310のスイッチ312がターンオンされる。従って、伝送デバイス302は、起動電流ISTARTUP324を受け取って、出力電流IOUT326を発生させる。出力端子368での出力電流IOUT326は、K*ISTARTUPであり、ここで、Kはカレントミラーのミラー比である。出力電流IOUT326でキャパシタ330を充電することにより、出力端子368での出力電圧VOUTは、OTA 304及びバンドギャップ基準回路306を有効化させることが可能なレベルにまで上昇することができる。従って、OTA 304及びバンドギャップ基準回路306は適切に動作することができる。
【0025】
一旦、OTA 304及びバンドギャップ基準回路306が適切に動作することができると、一実施形態において、起動無効化信号320が発生されてスイッチ312をターンオフさせ、従って起動回路310を無効化する。有利には、起動回路310は、一実施形態において、起動期間でOTA 304及びバンドギャップ基準回路306を有効化することができ、そして、OTA 304及びバンドギャップ基準回路306が適切に動作すると、起動回路310は無効化されるであろう。
【0026】
OTA 304は、一実施形態において、基準電圧VREFと帰還電圧VFBとの間の電圧差を増幅し、そして伝送デバイス302を駆動するために制御電流ICONTROL322を発生させることができる。一実施形態において、カレントミラーによって発生される出力電流IOUT326は、K*ICONTROLである。帰還回路308、OTA 304、及び伝送デバイス302は、所定のレベルに出力電圧VOUTを制御するための負帰還ループとして構成される。
【0027】
一実施形態において、制御電流ICONTROL322及び起動電流ISTARTUP324は、最大値IMAXに制限されることができる。従って、出力電流IOUT326を、K*IMAXに制限することができる。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態による入力電圧を出力電圧に変換するための方法のフローチャートを示す。図4は、図2と組み合わせて説明される。
【0029】
ブロック401では、基準信号回路206は、出力電圧VOUTによって給電される。一実施形態において、起動期間では、入力電圧VINによって給電される起動回路210は、有効化されて、出力電圧VOUTを制御するために起動信号224を発生させることができる。
【0030】
ブロック402では、基準信号228が基準信号回路206によって発生される。ブロック404では、誤差増幅器204が出力電圧VOUTによって給電される。ブロック406では、誤差増幅器204によって、出力電圧VOUTを示す帰還信号226と基準信号228との間の差分に基づいて制御信号222が発生される。
【0031】
ブロック408では、出力電圧VOUTは、制御信号222によって調整される。一実施形態において、制御信号222は、出力電圧VOUTを調整するために伝送デバイス202を駆動することができる。一実施形態において、伝送デバイス202は、制御信号222及び起動信号224により選択的に制御されることができる。
【0032】
上述の説明と図面は本発明の実施形態を表すが、添付の特許請求の範囲で規定された本発明の範囲および精神を逸脱することなく、種々の付加、変形、及び置き換えが可能であることが理解される。当業者であれば、本発明は、本発明の実施に使用される、形式、構成、配置、比率、材料、素子、および構成要素やその他の種々の変形と共に使用してもよく、とりわけ、それらは本発明の本質を逸脱することなく、特定の環境および動作条件に適合する。従って、上述の実施形態は、全ての点において例示的なものであって、添付の特許請求の範囲に示されている本発明の範囲と、その合法的均等物を制限するものではなく、また、上述の説明に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
200,300;電源レギュレータ
202,302;伝送デバイス
204,304;誤差増幅器
206;基準信号回路
208,308;帰還回路
210,310;起動回路
230;補償回路
262,362;入力端子
268,368;出力端子
306;バンドギャップ基準回路
342,352;PMOS
348,358;抵抗
330;キャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を出力電圧に変換するための電源レギュレータであって、
前記入力電圧を取り込んで、当該電源レギュレータの出力端子に前記出力電圧を供給する伝送デバイスと、
前記出力端子に接続されると共に前記出力電圧によって給電され、基準信号を供給するように作動する基準信号回路と、
前記伝送デバイスに接続されると共に前記出力電圧によって給電され、前記出力電圧を示す帰還信号と前記基準信号とを比較し、前記比較の結果に従って制御信号を発生させて前記伝送デバイスを駆動する誤差増幅器と
を備えた電源レギュレータ。
【請求項2】
前記伝送デバイスに接続されると共に前記入力電圧によって給電され、起動信号を発生させるように作動する起動回路を更に備え、
前記伝送デバイスは、当該レギュレータの起動期間では前記起動信号によって駆動され、前記伝送デバイスは、当該レギュレータの通常動作期間では前記制御信号によって駆動される請求項1記載の電源レギュレータ。
【請求項3】
前記起動回路は、直列接続された電流源およびスイッチを備え、前記スイッチは、前記起動期間でターンオンされ、前記通常動作期間でターンオフされる請求項2記載の電源レギュレータ。
【請求項4】
前記伝送デバイスは、カレントミラーを備え、該カレントミラーは、前記電流源から入力電流を取り込んで、前記出力端子に出力電流を発生させるように作動する請求項3記載の電源レギュレータ。
【請求項5】
入力電圧を出力電圧に変換するための方法であって、
前記出力電圧により基準信号回路に給電するステップと、
前記基準信号回路により基準信号を発生させるステップと、
前記出力電圧により誤差増幅器に給電するステップと、
前記誤差増幅器により、前記出力電圧を示す帰還信号と前記基準信号との間の差分に基づき制御信号を発生させるステップと、
前記制御信号に従って前記出力電圧を調整するステップと
を含む方法。
【請求項6】
前記入力電圧により給電される起動回路を有効化するステップと、
前記出力電圧を制御するために前記起動回路により起動信号を発生させるステップと
を更に含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記起動信号と前記制御信号により伝送デバイスを選択的に制御するステップを更に含む請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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