説明

電源制御システム、情報処理装置、電源制御方法及びプログラム

【課題】セキュリティ面を強化することができる電源制御システム、情報処理装置、電源制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末装置により、サーバ装置の電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定を行う電源制御システムであって、携帯端末装置は、ユーザの入力操作を受け付ける操作手段と、予め設定された入力データを記憶する記憶手段と、操作手段から入力された入力データと、記憶手段に記憶される入力データとが合致するか否か判断し、判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断手段と、合致判断手段により生成された判断結果信号をサーバ装置へ無線送信する無線送信手段と、を有し、サーバ装置は、判断結果信号を無線受信する無線受信手段と、判断結果信号が2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源スイッチに対する操作を有効又は無効に設定する機能を備えた電源制御システム、情報処理装置、電源制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置(情報処理装置の一例)は、稼働を開始すると、通常動作時にキーボード等によって操作される機会は少ない。そのため、低価格化や省スペース化を目的とし、キーボードを備えないキーボードレスのサーバ装置や、キーボードおよびディスプレイを備えないコンソールレスのサーバ装置がある。そして、キーボードレスのサーバ装置や、コンソールレスのサーバ装置は、通信ネットワークを介して他のコンピュータにリモート管理される。
【0003】
さらに、セキュリティ等の観点から、ファームウェアなどにより、リモート管理されているサーバ装置に設けられている電源スイッチに対する操作(電源オン操作または電源オフ操作)を制御する設定(以下、電源スイッチの制御設定という)が実行される場合がある。電源スイッチの制御設定としては、例えば、電源スイッチに対する操作を無効にする設定(以下、電源スイッチの無効化設定という)と、電源スイッチに対する操作を有効にする設定(以下、電源スイッチの有効化設定という)とがある。
【0004】
通信ネットワークを介してリモート管理されているキーボードレスまたはコンソールレスのサーバ装置は、通信ネットワークへの依存性が高い。よって、通信ネットワークに障害が発生すると、サーバ装置をリモート管理することができなくなる。そのとき、電源スイッチの無効化設定がされていると、ローカルでも電源制御を実行できない。
【0005】
電源制御を実行できないと、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)の機能によるシステムシャットダウンを行うこともできない。電源スイッチになされる電源オフ操作をトリガとして、ACPIの機能が実行されるからである。その場合、サーバ装置の動作を停止させるためには、例えば、電源プラグをコンセントから抜いて、電源からの電力供給を強制的に遮断しなければならない。電力供給を強制的に遮断した場合には、サーバ装置のハードディスク等が記憶している情報などに異常が発生してしまうという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する例として、押下型の電源スイッチの長押し(所定時間以上押下する操作)と短押し(所定時間未満押下する操作)との組み合わせを操作パターンとし、電源スイッチになされた操作パターンと、予め記憶してある操作パターンとが合致するかを判断し、両者が合致すると判断した場合に、電源スイッチの無効化設定を解除して、電源スイッチの有効化設定を行う「システム制御装置、およびシステム制御回路を備えたサーバ装置」がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−299247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の発明では、サーバ装置に備えられた電源スイッチを直接操作することにより、操作パターンを入力する必要がある。つまり、上記特許文献1の発明は、電源スイッチが操作パターンの入力手段を兼ねているので、サーバ装置自体に、操作パターンの入力手段を備える構成となっている。
【0008】
しかしながら、サーバ装置自体に操作パターンの入力手段を備える構成は、セキュリティの面で万全とは言い難い。その理由は、サーバ装置が管理者の監視下にないときに、権限無き第三者などがサーバ装置に近づき、操作パターンの入力を何度も試みることができてしまうからである。よって、管理者の意図しない電源スイッチの制御設定が実行されるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、セキュリティ面を強化することができる電源制御システム、情報処理装置、電源制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明の電源制御システムは、第1の態様として、携帯端末装置と、電源スイッチを備えたサーバ装置とを備え、電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定が行われる電源制御システムであって、携帯端末装置は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作手段と、予め設定された入力データを記憶する記憶手段と、操作手段から入力された入力データと、記憶手段に記憶される入力データとが合致するか否か判断し、判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断手段と、合致判断手段により生成された判断結果信号をサーバ装置へ無線送信する無線送信手段と、を有し、サーバ装置は、判断結果信号を無線受信する無線受信手段と、判断結果信号が2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の電源制御システムは、第2の態様として、携帯端末装置と、電源スイッチを備えたサーバ装置とが無線通信可能であり、電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定が行われる電源制御システムであって、携帯端末装置は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作手段と、予め設定された入力データを記憶する記憶手段と、操作手段から入力された入力データと、記憶手段に記憶される入力データとが合致するか否か判断し、判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断手段と、合致判断手段により生成された判断結果信号が2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御手段と、制御手段により生成された制御信号をサーバ装置へ無線送信する無線送信手段と、を有し、サーバ装置は、制御信号を無線受信する無線受信手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記本発明の電源制御システムにおいて、電源スイッチからの信号をトリガとして、サーバ装置のシャットダウンを行うACPI手段を有し、ACPI手段は、制御信号により、予め設定されている電源スイッチ制御設定が無効から有効に変更された場合、電源スイッチからの信号をトリガとして、サーバ装置のシャットダウンを行うようにしてもよい。
【0013】
また、上記本発明の電源制御システムにおいて、携帯端末装置及びサーバ装置の少なくとも一方は、情報を出力する情報出力手段を有し、制御手段は、合致判断手段により生成された判断結果信号が2つの入力データの不合致を意味する場合、2つの入力データの不合致である旨を情報出力手段により出力するようにしてもよい。
【0014】
また、上記本発明の電源制御システムにおいて、入力データは、操作手段が備える少なくとも1以上のキーの操作順、操作回数を任意に組み合わせた操作パターン、及び、複数の文字を任意に組み合わせた文字列であるパスワードのうち、いずれかを含むデータであるようにしてもよい。
【0015】
また、上記本発明の電源制御システムにおいて、サーバ装置は、キーボードレス又はコンソールレスのサーバ装置であり、通信ネットワークを介して他のコンピュータによりリモート管理されるようにしてもよい。
【0016】
本発明の情報処理装置は、上記本発明の電源制御システムにおいて、携帯端末装置又はサーバ装置として用いられることを特徴とする。
【0017】
本発明の電源制御方法は、第1の態様として、携帯端末装置を用いて、電源スイッチを備えたサーバ装置に対して、電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定を行うための電源制御方法であって、携帯端末装置では、予め設定された入力データを記憶手段に記憶する入力データ記憶ステップと、操作手段から入力データを受け付ける入力データ受付ステップと、入力データ受付ステップにより受け付けられた入力データと、記憶手段に記憶された入力データとが合致するか否か判断し、判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断ステップと、合致判断ステップにより生成された判断結果信号をサーバ装置へ無線送信する無線送信ステップと、を有し、サーバ装置では、判断結果信号を無線受信する無線受信ステップと、判断結果信号が2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御信号生成ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の電源制御方法は、第2の態様として、携帯端末装置を用いて、電源スイッチを備えたサーバ装置に対して、電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定を行うための電源制御方法であって、携帯端末装置では、予め設定された入力データを記憶手段に記憶する入力データ記憶ステップと、ユーザ操作により入力データを受け付ける入力データ受付ステップと、入力データ受付ステップにより受け付けられた入力データと、記憶手段に記憶された入力データとが合致するか否か判断し、判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断ステップと、合致判断ステップにより生成された判断結果信号が2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御信号生成ステップと、制御信号生成ステップにより生成された制御信号をサーバ装置へ無線送信する無線送信ステップと、を有し、サーバ装置では、制御信号を無線受信する無線受信ステップを有することを特徴とする。
【0019】
また、上記本発明の電源制御方法において、サーバ装置では、制御信号により、予め設定されている電源スイッチ制御設定が無効から有効に変更された場合、ACPIにより、電源スイッチからの信号をトリガとして、サーバ装置のシャットダウンを行うシャットダウンステップを有するようにしてもよい。
【0020】
また、上記本発明の電源制御方法において、携帯端末装置及びサーバ装置の少なくとも一方では、合致判断ステップにより生成された判断結果信号が2つの入力データの不合致を意味する場合、2つの入力データの不合致である旨を出力する出力ステップを有するようにしてもよい。
【0021】
また、上記本発明の電源制御方法において、入力データは、操作手段が備える少なくとも1以上のキーの操作順、操作回数を任意に組み合わせた操作パターン、及び、複数の文字を任意に組み合わせた文字列であるパスワードのうち、いずれかを含むデータであるようにしてもよい。
【0022】
また、上記本発明の電源制御方法において、サーバ装置は、キーボードレス又はコンソールレスのサーバ装置であり、通信ネットワークを介して他のコンピュータによりリモート管理されるようにしてもよい。
【0023】
本発明のプログラムは、上記本発明の電源制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電源スイッチの制御設定が行われる情報処理装置において、セキュリティ面を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
まず、本発明の一実施形態である電源制御システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の電源制御システムは、携帯端末装置1と、サーバ装置2とを有して構成される。携帯端末装置1は、本発明の情報処理装置の一実施形態であり、例えば携帯電話機が挙げられる。携帯端末装置1は、赤外線通信機能を有する。サーバ装置2は、本発明の情報処理装置の一実施形態であり、キーボードレスまたはコンソールレスのサーバ装置である。また、サーバ装置2は、通信ネットワークを介して他のコンピュータにリモート管理される。また、サーバ装置2は、携帯端末装置1と赤外通信を行うための赤外線通信機能を有する。また、サーバ装置2は、ファームウェアなどにより、自装置が備える電源スイッチに対する操作(電源オン操作または電源オフ操作)を制御する設定(電源スイッチの制御設定)が実行される。
【0028】
図1を参照して、携帯端末装置1の構成について説明する。
図1に示すように、携帯端末装置1は、操作部10、赤外線通信部11、パターン記憶部12、パターン比較部13を有する。
【0029】
操作部10は、テンキーやカーソルキー等のキー(ボタン)を備え、それらのキーを使用したユーザ(操作者)による操作を受け付けるインターフェースである。なお、操作部10は、キーやボタンのみならず、ユーザに対して各種情報を表示するための表示部(例:ディスプレイ)や、ユーザに対して各種情報を音声で通知するための音声出力部(例:スピーカ)などを有するように構成してもよい。以下、これら表示部や音声出力部のことを「情報出力手段」という。もちろん、情報出力手段は、操作部10と別に構成してもよい。
【0030】
赤外線通信部11は、サーバ装置2と赤外線通信を行う。本実施形態では、後述するパターン比較部13からの信号(例:判断結果信号)を受け取り、その信号をサーバ装置2に対して赤外線送信する。よって、赤外線通信部11は、少なくとも赤外線送信機能を有すればよく、赤外線受信機能は必須の構成ではない。また、本実施形態では、サーバ装置2との通信に用いる短距離無線通信の例として、赤外線通信としたが、これに限定されるものではない。
【0031】
パターン記憶部12は、電源スイッチの制御設定を行う際に、操作部10において行われる操作を示すデータ(以下、操作パターンという)あるいは操作部10において入力される文字列を示すデータ(以下、パスワードという)を記憶している。これら操作パターン及びパスワードは、電源スイッチの制御設定を行うための認証キーとなるので、予めユーザ(サーバ装置2の管理者等)によってパターン記憶部12に登録されるものとする。なお、以下では、操作パターンやパスワードのことを「入力データ」という。
【0032】
ここで、操作パターン及びパスワードの例について説明する。
操作パターンの第1例としては、操作部10において、複数のキーを用い、各キーの押下の順番と回数を任意に組み合わせたものが挙げられる。例えば、テンキーである「1」キーおよび「4」キーと、カーソルキーである「上」キーとを用いた場合、押下される順番と回数を、「4」キー→「上」キー→「1」キー→「上」キーの順に定めたものが操作パターンとなる。
また、操作パターンの第2例としては、上記特許文献1のように、操作部10において、所定のキーの長押しと短押しの順番と回数を任意に組み合わせたものでもよい。
また、操作パターンの第3例として、第1例と第2例とを組み合わせるようにしてもよい。すなわち、複数のキーを用いて各キーの押下の順番と回数を組み合わせることに加えて、各のキーの長押しと短押しの順番と回数を任意に組み合わせるようにする。
パスワードの例としては、一般的にいうパスワードと同じであり、複数の文字(数字、記号等を含む)を任意に組み合わせた文字列が挙げられる。
なお、操作パターンとパスワードの両方を組み合わせるようにしてもよい。
【0033】
パターン比較部13は、操作部10からユーザの操作によって入力された入力データと、パターン記憶部12に予め記憶されている入力データとが合致するか否かを比較判断する。そして、パターン比較部13は、この比較判断の結果を示す判断結果信号を生成する。すなわち、両入力データが合致した場合(認証OKの場合)、パターン比較部13は、両入力データが合致したことを示す判断結果信号(例えば「1」)を生成する。一方で、両入力データが合致しなかった場合(認証NGの場合)は、パターン比較部13は、両入力データが合致しなかったことを示す判断結果信号(例えば「0」)を生成する。そして、パターン比較部13は、生成した判断結果信号を赤外線通信部11に送出する。
【0034】
図1を参照して、サーバ装置2の構成について説明する。
図1に示すように、サーバ装置2は、赤外線通信部21、スイッチ制御回路22、スイッチ23、ACPI制御回路24、電源スイッチ25を有する。
【0035】
赤外線通信部21は、サーバ装置2と赤外線通信を行う。本実施形態では、携帯端末装置1から信号(例:判断結果信号)を赤外線により受信する。よって、赤外線通信部21は、少なくとも赤外線受信機能を有すればよく、赤外線送信機能は必須の構成ではない。また、本実施形態では、携帯端末装置1との通信に用いる短距離無線通信の例として、赤外線通信としたが、これに限定されるものではない。
【0036】
スイッチ制御回路22は、赤外線通信部21から判断結果信号を受け取り、その判断結果信号の内容(「0」又は「1」)を判断する。この判断の結果、判断結果信号が「1」である場合(認証OKの場合)、スイッチ制御回路22は、スイッチ23の現在の状態を変更し、有効状態あるいは無効状態にするスイッチ制御信号を生成する。なお、判断結果信号が「0」である場合(認証NGの場合)、スイッチ制御回路22は、スイッチ制御信号を生成しない。すなわち、現在のファームウェアによる電源スイッチの制御設定を優先する。このとき、サーバ装置2に上述した情報出力手段が設けられている場合は、スイッチ制御回路22は、情報出力手段に指示を出して、入力データが間違っている旨(認証NG)を、情報出力手段を介して出力するようにしてもよい。
【0037】
スイッチ制御回路22は、生成したスイッチ制御信号を、スイッチ23に対して送出する。例えば、電源スイッチの有効化設定によりスイッチ23が現在有効状態であるときは、スイッチ制御信号を受け取ったスイッチ23は、有効状態から無効状態に変更する。よって、電源スイッチ25と、ACPI制御回路24との間における信号の伝送が不可能となる。また、例えば、電源スイッチの無効化設定によりスイッチ23が現在無効状態であるときは、スイッチ制御信号を受け取ったスイッチ23は、無効状態から有効状態に変更する。よって、電源スイッチ25と、ACPI制御回路24との間における信号の伝送が可能となる。
【0038】
スイッチ23は、電源スイッチ25と、ACPI制御回路24との間に配置されるスイッチである。スイッチ23は、上述したように、スイッチ制御信号に基づいて、現在の状態から別の状態に変更する。
【0039】
ACPI制御回路24は、ACPIにより、サーバ装置2の各部の電力を設定/管理する。ACPI制御回路24は、スイッチ23が有効状態のときにシステムシャットダウン(サーバ装置2自体の電源オフ)を行うことができる。このシステムシャットダウンは、電源スイッチ25になされる電源オフ操作をトリガとして実行される。すなわち、スイッチ23が有効状態のときに電源スイッチ25に対して電源オフ操作が行われた場合、ACPI制御回路24は、電源スイッチ25からスイッチ信号を受け取り、そのスイッチ信号の受け取りをトリガとして、システムシャットダウンを行う。
【0040】
電源スイッチ25は、ユーザ(サーバ装置2の管理者等)によってなされる、サーバ装置2自体の電源オン操作又は電源オフ操作を受け付ける。電源スイッチ25は、それらの操作を受け付けると、スイッチ信号をACPI制御回路24へ送出する。
【0041】
なお、図1に示す構成では、スイッチ制御回路22をサーバ装置2に備えるようにしたが、携帯端末装置1に備えるようにしてもよい。この場合、携帯端末装置1では、スイッチ制御回路22は、パターン比較部13からの判断結果信号を受け取って上記判断を行い、スイッチ制御信号を生成し、赤外線通信部11を介してサーバ装置2へ送信する。なお、スイッチ制御回路22は、上記判断の結果、スイッチ制御信号を生成しない場合、入力データが間違っている旨(認証NG)を、情報出力手段を介して出力するようにしてもよい。一方、サーバ装置2では、赤外線通信部21は、携帯端末装置1からスイッチ制御信号を受信し、そのままスイッチ23へ送出する。
【0042】
次に、上述した本実施形態の電源制御システムの動作(本発明の電源制御方法の一実施形態)について、図1および図2を参照して説明する。なお、以下の説明では、例として、サーバ装置2において、ファームウェアにより電源スイッチの無効化設定がなされている場合であって、かつ、サーバ装置2が属するネットワークに障害が発生して、サーバ装置2にアクセス不能となった場合について説明する。ここでは、サーバ装置2のシャットダウンを正常に実施するために、携帯端末装置1を使用して、電源スイッチの無効化設定を解除し、電源スイッチに対する操作を有効にする。
【0043】
まず、携帯端末装置1において、ユーザは操作部10を操作し、入力データ(操作パターン及びパスワードの少なくとも一方)を入力する(ステップS1)。操作部10は、受け付けた入力データをパターン比較部13へ送出する。
【0044】
パターン比較部13は、入力データを受け取ると、パターン記憶部12から予め記憶されている入力データを読み出し、両入力データが合致するか否かの判断を行う(ステップS2)。
【0045】
次に、パターン比較部13は、判断結果を示す判断結果信号を生成する(ステップS3)。すなわち、両入力データが合致した場合(認証OKの場合)、パターン比較部13は、両入力データが合致したことを示す判断結果信号(例えば「1」)を生成する。一方で、両入力データが合致しなかった場合(認証NGの場合)は、パターン比較部13は、両入力データが合致しなかったことを示す判断結果信号(例えば「0」)を生成する。
【0046】
次に、パターン比較部13は、生成した判断結果信号を、赤外線通信部11を介してサーバ装置2へ送信する(ステップS4)。
【0047】
サーバ装置2において、スイッチ制御回路22は、赤外線通信部2を介して、携帯端末装置1からの判断結果信号を受け取る(ステップS5)。
【0048】
次に、スイッチ制御回路22は、判断結果信号の内容(「0」又は「1」)を判断する(ステップS6)。この判断の結果、判断結果信号が「1」すなわち、両入力データが合致しているという内容である場合(ステップS6/YES)、スイッチ制御回路22は、スイッチ制御信号を生成する(ステップS7)。一方、判断結果信号が「0」すなわち、両入力データが合致していないという内容である場合(ステップS6/NO)、スイッチ制御回路22は、スイッチ制御信号を生成せずに、現在のファームウェアによる電源スイッチの無効化設定を維持する(ステップS8)。
【0049】
スイッチ制御回路22は、生成したスイッチ制御信号を、スイッチ23に対して送出する(ステップS9)。ここでは、例として、電源スイッチの無効化設定が設定されているので、スイッチ23は無効状態となっている。スイッチ23は、スイッチ制御信号を受け取り、無効状態から有効状態に変更する。これにより、電源スイッチ25と、ACPI制御回路24との間における信号の伝送が可能となる。
【0050】
その後、電源スイッチ25に対して電源オフ操作が行われると、電源スイッチ25は、有効状態となったスイッチ23を介して、スイッチ信号をACPI制御回路24へ送出する。そして、ACPI制御回路24は、スイッチ信号の受け取りをトリガとして、サーバ装置2のシャットダウンを行う。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、セキュリティの観点から、ファームウェアによって電源スイッチの無効化設定がされている場合でも、電源スイッチの無効化設定の解除(=電源スイッチの有効化設定)を携帯端末装置1などのハードウェアを用いて実施できる。よって、例えばネットワークに障害が発生してサーバ装置2にアクセス不能となった場合でも、ACPI機能によりサーバ装置2の正常なシステムシャットダウンが可能となる。従って、サーバ装置にて運用中のデータの保全・保護に役立つ。
【0052】
また、上記特許文献1の発明では、サーバ装置自体に操作パターンの入力手段を備える構成であるので、セキュリティの面で万全とは言い難い。その理由は、サーバ装置が管理者の監視下にないときに、権限無き第三者などがサーバ装置に近づき、操作パターンの入力を何度も試みることができてしまうからである。よって、管理者の意図しない電源スイッチの制御設定が実行されるおそれがある。これに対し、本実施形態では、サーバ装置とは別の携帯端末装置を使用することより、サーバ装置での操作パターンの入力を不可能にし、よりセキュリティを強化・向上させることができる。
【0053】
また、上記特許文献1の発明では、操作パターンとして、電源スイッチの長押しと短押しとの組み合わせを使用しているので、操作パターンの入力に時間がかかってしまう。これに対し、本実施形態では、サーバ装置とは別の携帯端末装置においてパスワードを使用することより、簡便な操作で電源スイッチの制御設定を実行できる。
【0054】
また、上記特許文献1の発明では、サーバ装置に備えられた電源スイッチが、操作パターンの入力手段を兼ねているので、電源スイッチを操作する頻度が高くなる。よって、摩耗により電源スイッチが故障するおそれもある。これに対し、本実施形態では、サーバ装置とは別の携帯端末装置を使用することより、電源スイッチの摩耗を防ぐことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0056】
例えば、上述した各実施形態における動作(図2のシーケンスチャートに示す動作)は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0057】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0058】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0059】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0060】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0061】
また、上記実施形態で説明したシステムは、複数の装置の論理的集合構成にしたり、各装置の機能を混在させたりするように構築することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る、電源制御システム、携帯端末装置及びサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、電源制御システム、携帯端末装置及びサーバ装置の動作を示すシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 携帯端末装置
2 サーバ装置
10 操作部(操作手段)
11 赤外線通信部(無線送信手段)
12 パターン記憶部(記憶手段)
13 パターン比較部(合致判断手段)
21 赤外線通信部(無線受信手段)
22 スイッチ制御回路(制御手段)
23 スイッチ
24 ACPI制御回路(ACPI手段)
25 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置と、電源スイッチを備えたサーバ装置とを備え、前記電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定が行われる電源制御システムであって、
前記携帯端末装置は、
ユーザによる入力操作を受け付ける操作手段と、
予め設定された入力データを記憶する記憶手段と、
前記操作手段から入力された入力データと、前記記憶手段に記憶される入力データとが合致するか否か判断し、前記判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断手段と、
前記合致判断手段により生成された判断結果信号を前記サーバ装置へ無線送信する無線送信手段と、を有し、
前記サーバ装置は、
前記判断結果信号を無線受信する無線受信手段と、
前記判断結果信号が前記2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御手段と、
を有することを特徴とする電源制御システム。
【請求項2】
携帯端末装置と、電源スイッチを備えたサーバ装置とが無線通信可能であり、前記電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定が行われる電源制御システムであって、
前記携帯端末装置は、
ユーザによる入力操作を受け付ける操作手段と、
予め設定された入力データを記憶する記憶手段と、
前記操作手段から入力された入力データと、前記記憶手段に記憶される入力データとが合致するか否か判断し、前記判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断手段と、
前記合致判断手段により生成された判断結果信号が前記2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御手段と、
前記制御手段により生成された制御信号を前記サーバ装置へ無線送信する無線送信手段と、を有し、
前記サーバ装置は、
前記制御信号を無線受信する無線受信手段を有することを特徴とする電源制御システム。
【請求項3】
前記電源スイッチからの信号をトリガとして、前記サーバ装置のシャットダウンを行うACPI手段を有し、
前記ACPI手段は、
前記制御信号により、前記予め設定されている電源スイッチ制御設定が無効から有効に変更された場合、前記電源スイッチからの信号をトリガとして、前記サーバ装置のシャットダウンを行うことを特徴とする請求項1又は2記載の電源制御システム。
【請求項4】
前記携帯端末装置及び前記サーバ装置の少なくとも一方は、
情報を出力する情報出力手段を有し、
前記制御手段は、
前記合致判断手段により生成された判断結果信号が前記2つの入力データの不合致を意味する場合、前記2つの入力データの不合致である旨を前記情報出力手段により出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電源制御システム。
【請求項5】
前記入力データは、
前記操作手段が備える少なくとも1以上のキーの操作順、操作回数を任意に組み合わせた操作パターン、及び、複数の文字を任意に組み合わせた文字列であるパスワードのうち、いずれかを含むデータであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電源制御システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、
キーボードレス又はコンソールレスのサーバ装置であり、通信ネットワークを介して他のコンピュータによりリモート管理されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電源制御システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電源制御システムにおいて、携帯端末装置又はサーバ装置として用いられることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
携帯端末装置を用いて、電源スイッチを備えたサーバ装置に対して、前記電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定を行うための電源制御方法であって、
前記携帯端末装置では、
予め設定された入力データを記憶手段に記憶する入力データ記憶ステップと、
操作手段から入力データを受け付ける入力データ受付ステップと、
前記入力データ受付ステップにより受け付けられた入力データと、前記記憶手段に記憶された入力データとが合致するか否か判断し、前記判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断ステップと、
前記合致判断ステップにより生成された判断結果信号を前記サーバ装置へ無線送信する無線送信ステップと、を有し、
前記サーバ装置では、
前記判断結果信号を無線受信する無線受信ステップと、
前記判断結果信号が前記2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御信号生成ステップと、
を有することを特徴とする電源制御方法。
【請求項9】
携帯端末装置を用いて、電源スイッチを備えたサーバ装置に対して、前記電源スイッチに対する操作を有効又は無効に制御する電源スイッチ制御設定を行うための電源制御方法であって、
前記携帯端末装置では、
予め設定された入力データを記憶手段に記憶する入力データ記憶ステップと、
ユーザ操作により入力データを受け付ける入力データ受付ステップと、
前記入力データ受付ステップにより受け付けられた入力データと、前記記憶手段に記憶された入力データとが合致するか否か判断し、前記判断結果を示す判断結果信号を生成する合致判断ステップと、
前記合致判断ステップにより生成された判断結果信号が前記2つの入力データの合致を意味する場合、予め設定されている電源スイッチ制御設定を変更する制御信号を生成し、送出する制御信号生成ステップと、
前記制御信号生成ステップにより生成された制御信号を前記サーバ装置へ無線送信する無線送信ステップと、を有し、
前記サーバ装置では、
前記制御信号を無線受信する無線受信ステップを有することを特徴とする電源制御方法。
【請求項10】
前記サーバ装置では、
前記制御信号により、前記予め設定されている電源スイッチ制御設定が無効から有効に変更された場合、ACPIにより、前記電源スイッチからの信号をトリガとして、前記サーバ装置のシャットダウンを行うシャットダウンステップを有することを特徴とする請求項8又は9記載の電源制御方法。
【請求項11】
前記携帯端末装置及び前記サーバ装置の少なくとも一方では、
前記合致判断ステップにより生成された判断結果信号が前記2つの入力データの不合致を意味する場合、前記2つの入力データの不合致である旨を出力する出力ステップを有することを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の電源制御方法。
【請求項12】
前記入力データは、
前記操作手段が備える少なくとも1以上のキーの操作順、操作回数を任意に組み合わせた操作パターン、及び、複数の文字を任意に組み合わせた文字列であるパスワードのうち、いずれかを含むデータであることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の電源制御方法。
【請求項13】
前記サーバ装置は、
キーボードレス又はコンソールレスのサーバ装置であり、通信ネットワークを介して他のコンピュータによりリモート管理されることを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の電源制御方法。
【請求項14】
請求項8から12のいずれか1項に記載の電源制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−205238(P2009−205238A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44245(P2008−44245)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】