説明

電源及びデータ記録装置、ケーブル型海底観測装置、海底観測システム

【課題】海洋観測システムにおいて、観測データの回収や給電を容易に実行できるようにする。
【解決手段】海洋観測システムにおいてセンサに給電し、またセンサによる検出データを記録する電源及びデータ記録装置は、海底ケーブル(引き揚げケーブル)を接続した構成とする。引き揚げケーブルは、自由端側、例えば引き揚げコネクタ部分が洋上に達する長さのケーブルとされる。自由端側を洋上に引き揚げることで、海底の筐体内に記録されたデータの回収や給電を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋観測システム、ケーブル型海底観測装置と、これらのシステムにおける電源及びデータ記録装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開昭62−288594号公報
【特許文献2】特開平9−218273号公報
【特許文献3】特開2001−337173号公報
【特許文献4】特開平11−124089号公報
【背景技術】
【0003】
例えば海底で生じた地震による振動、水圧変化、磁気変化等、海底での事象を観測する海洋観測システムが知られている。
海洋観測システムでは、観測装置の設置の容易性とコスト、運用コスト、データ収集の容易性、海底環境での装置の安全性、電源供給手法など、多様な課題があり、なかなか陸上域のようには多くの観測網を構築できず、広大な海洋域のごく一部を観測して全体特性を推定しているのみの現状にある。
懸念される海溝地震に向け、地震のメカニズム検討などでは、もっと多くの海底センサを設置し、観測網を広げる必要がある。
【0004】
ここで、海洋観測システムにおいて、観測装置への電源供給や取得データの回収の方法として、各種の技術が提案されている。
例えば、陸上から海底ケーブルを介して直接に装置と接続して給電を行うとともに、データ取得をリアルタイムで行う方式がある(上記特許文献1,2,3参照)。
【0005】
また、観測装置近傍にバッテリーとデータ記録装置を実装した耐水圧筐体(電源及びデータ記録装置)を置き、ここから各観測装置(センサ)に電源供給を行うとともに、センサで検出されたデータを記録するようにした方式もある。
この場合、バッテリーの寿命にあわせたり、或いは定期的に、電源及びデータ記録装置の筐体を海底から引き揚げて、バッテリー交換やデータ取得を行うこととなる。この場合、筐体の引き上げのために、ROV(無人水中探査機)を用いることなどが行われる。
さらに、特許文献4のように、海底に設置された設備本体に装備されている観測データ蓄積用のカプセルの付いたブイを利用する方式もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、陸上から海底ケーブルを介して直接に観測装置と接続する方式では、陸上から観測場所までの極めて長尺の海底ケーブルが必要になり、その敷設に要するコストは非常に高くなる。
一方、観測装置近傍に電源及びデータ記録装置を置く方式では、設置コストは安価であるものの、バッテリー交換やデータ回収のために専用のROVなどで電源及びデータ記録装置の筐体を回収する必要があり、運用コストが高くなる。さらに回収時に、電源及びデータ記録装置を観測装置から切り離すため、高価な水中着脱コネクタが必要となり、装置コストも高くなる。さらに、データ回収後、再度電源及びデータ記録装置を観測システムに接続する作業も困難であるとともに、接続する時の不具合により、その後の観測に支障を来すこともあり、観測動作の安定性に問題がある。
【0007】
また、特許文献4のようにブイを利用する方式の場合、ブイの浮上機構などのために海底に設置する装置の構成が複雑になり、装置コストが高くなる。
【0008】
本発明は、観測装置近傍に電源及びデータ記録装置を置く方式を採用しつつ、その運用の容易性、コスト性、安定性の観点で好適な観測システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデータ記録装置は、海底に設置されるセンサと接続された状態で、海底に設置される電源及びデータ記録装置である。そして、上記センサに対して給電を行う電源部と、上記センサによって検出されるデータを記録する記録部とを備えると共に、自由端側が設置場所から洋上に達する長さであって、上記記録部に記録されたデータの伝送のためのデータ伝送路が設けられている引き揚げケーブルが接続されている。
また上記引き揚げケーブル内には、さらに上記電源部への給電路が設けられている。
また上記電源部は、上記センサへの給電を行う電源として二次電池が設けられており、上記引き揚げケーブルの上記給電路を介して上記二次電池への充電が可能な構成とされている。
また上記引き揚げケーブルの自由端側には引き揚げコネクタが設けられている。
【0010】
本発明のケーブル型海底観測装置は、海底に設置されるセンサと、上記センサと接続された状態で海底に設置される電源及びデータ記録装置とを有する海洋観測システムである。そして上記電源及びデータ記録装置は、上記センサに対して給電を行う電源部と、上記センサによって検出されるデータを記録する記録部とを備えると共に、自由端側が設置場所から洋上に達する長さであって、上記記録部に記録されたデータの伝送のためのデータ伝送路が設けられている引き揚げケーブルが接続されている。
【0011】
本発明の海洋観測システムは、海底に設置されるセンサと、上記センサと接続された状態で海底に設置される電源及びデータ記録装置と、上記電源及びデータ記録装置に接続された状態で海底に敷設される引き揚げケーブルと、を有するケーブル型海底観測装置と、船上に載置される海上基地装置と、上記海上基地装置およびケーブル引き揚げ手段を積載し、上記ケーブル型海底観測装置が敷設されている海域まで移動するための船体とを有する。上記ケーブル型海底観測装置における上記電源及びデータ記録装置は、上記センサに対して給電を行う電源部と、上記センサによって検出されるデータを記録する記録部とを備える。上記ケーブル型海底観測装置における上記引き揚げケーブルは、一端が上記記録部と接続され、他端が自由端とされるとともに、該自由端側が海底の設置場所から洋上の上記海上基地装置に達する長さであって、上記記録部に記録されたデータの伝送のためのデータ伝送路および上記電源部へ電力を供給する給電路が設けられている。上記海上基地装置は、上記記録部に記録されたデータを取得するデータ取得手段と、上記給電路を介して上記電源部へ電力を供給する給電手段とを備える。そして、敷設した上記ケーブル型海底観測装置の近傍に上記船体を移動し、上記ケーブル引き揚げ手段により、上記引き揚げケーブルを引き揚げ、上記引き揚げケーブルの自由端を上記データ記録装置に接続して上記記録部に記録されたデータを取得し、上記電源部へ電力を給電する。
【0012】
このような本発明では、電源及びデータ記録装置の筐体に、自由端側(例えば引き揚げコネクタの部分)を洋上まで引き揚げ可能な長さの引き揚げケーブルが接続されている。
データ回収時には、電源及びデータ記録装置の筐体自体を引き揚げる必要はなく、引き揚げケーブルの自由端のみを洋上に引き揚げればよい。
引き揚げケーブルには、データ伝送路が設けられているため、引き揚げケーブルの自由端部分を洋上に引き揚げ、その自由端(例えば引き揚げコネクタ)を船内のデータ受信装置と接続することで、電源及びデータ記録装置内の記録データを取得することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源及びデータ記録装置の筐体に接続されている引き揚げケーブルの先端(自由端)を洋上に引き揚げることで、データ取得や充電が可能となり、運用の容易性が実現され、運用コストも低減できる。また、電源及びデータ記録装置の筐体自体を観測システムから一旦切り離す必要もないため、水中着脱コネクタは不要で、装置コストも安価にでき、さらに着脱時の不具合も生じないため、継続的に安定した観測を実行できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態のケーブル型海底観測装置の説明図である。
【図2】実施の形態のケーブル型海底観測装置の内部構成の説明図である。
【図3】実施の形態の海洋観測システムのデータ回収時の説明図である。
【図4】実施の形態の海洋観測システムの構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電源及びデータ記録装置、ケーブル型海底観測装置、海洋観測システムの実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態のケーブル型海底観測装置の構成を示したものである。
この海洋観測システムは、センサ1、センサケーブル2、分枝部3、中間ケーブル4、電源及びデータ記録装置5、引き揚げケーブル6、引き揚げコネクタ7を有する。
【0016】
電源及びデータ記録装置5は、中間ケーブル4で分枝部3と固定的に接続されている。ここで「固定的」とは、設置後、継続して観測を行う期間に、データ回収等のために着脱する必要がないという意味である。
分枝部3からは、多数のセンサ1が、それぞれセンサケーブル2を介して固定的に接続されている。
各センサ1は、それぞれ海底の所要の位置に設置され、振動、水圧変化、磁気変化等、目的とするセンシングを行う。
分枝部3は、電源及びデータ記録装置5と接続される伝送路(後述するデータ伝送路8と給電路9)を各センサ1に振り分ける。
なお、電源及びデータ記録装置5と接続された分枝部3からは、さらに中間ケーブル10で、他の分枝部3が接続されている。そして当該他の分枝部3からも、多数のセンサ1が、それぞれセンサケーブル2を介して固定的に接続されている。このように分枝部3を複数設ける構成は必須ではないが、多数のセンサ1を配置する場合は、分枝部3を複数設けてセンサ1を配置していくことが好適である。
【0017】
また電源及びデータ記録装置5には、引き揚げケーブル6が、これも固定的に接続されている。
引き揚げケーブル6は、海底に設置された電源及びデータ記録装置5の位置から、洋上に達するに必要な長さとされる。即ち電源及びデータ記録装置5の設置場所の水深に応じて長さが決められればよい。
引き揚げケーブル6の先端(自由端)には引き揚げコネクタ7が設けられている。この引き揚げコネクタ7は、後述する船上の海上基地装置と接続されるコネクタとされる。
なお、引き揚げケーブル6の自由端には引き揚げコネクタ7を取り付けていない構成でも良い。例えば引き揚げケーブル6の自由端には、水密キャップを取り付けておくだけでも良い。
【0018】
図2に、電源及びデータ記録装置5の内部構成例を示している。
電源及びデータ記録装置5は耐水圧筐体内に、バッテリー51,充電・給電部52,データ制御部53,記録部54を有する構成とされる。
【0019】
バッテリー51は、例えば二次電池とされる。
充電・給電部52は、バッテリー51からの電力をセンサに給電するため、及びバッテリー51への充電のための電源回路系を有している。
観測時には、各センサ1に対して、充電・給電部52によってバッテリー51を電源とした電力供給が行われる。即ち中間ケーブル4,センサケーブル2内には、電源電圧線Vd及びグランド線GNDとしての給電路9が設けられており、該給電路9を通じてバッテリー51からの各センサ1への電源供給が行われる。
なお、図示していないが、電源及びデータ記録装置5内のデータ制御部53,記録部54の動作電源の供給もバッテリー51から行われる。
【0020】
データ制御部53は、記録部54へのデータ記録及びデータ回収時のデータ読み出し制御を行う。
記録部54は、例えば不揮発性メモリ、磁気テープ等の記録媒体に対してデータ記録、再生を行う。
センサケーブル2及び中間ケーブル4内には、上記の給電路9に加えて、例えばデータ線D1,D2等のデータ伝送路8が設けられており、センサ1での観測データが、データ伝送路8を介してデータ制御部53に供給される構成とされている。
データ制御部53は、各センサ1から逐次供給される検出データを、記録部54に記録させていく。
【0021】
さらに本実施の形態では、電源及びデータ記録装置5には、引き揚げケーブル6が接続されている。この引き揚げケーブル6の内部にも、給電路9及びデータ伝送路8が配されており、給電路9及びデータ伝送路8は、引き揚げコネクタ7を船上に引き揚げたときに、船上の海上基地装置と接続可能な構成とされている。
【0022】
図3(a)(b)に観測時及びデータ回収時の様子を示す。
図3(a)は通常の観測時である。海底にセンサ1、分枝部3、電源及びデータ記録装置5が設置されている。そして常時、センサ1による観測データは、電源及びデータ記録装置5内の記録部54に記録されていく。
電源及びデータ記録装置5の筐体に接続されている引き揚げケーブル6は、海底に横たわった状態になっている。
【0023】
図3(b)はデータ回収時の状態を示している。
この場合、船体Sから引き揚げケーブル6を引き揚げ、その先端の引き揚げコネクタ7を船上の海上基地装置と接続する。
【0024】
引き揚げケーブル6の引き揚げは、次のように行うことができる。
海底に横たえられた引き揚げケーブル6の位置は、ケーブル型海底観測装置の設置場所から概ね推定することができる。
まず敷設したケーブル型海底観測装置の近傍に船体Sを移動する。船体Sにはケーブル引き揚げ手段として、ケーブル探線装置やケーブル把持装置が搭載されている。
そこで、船上から推定位置近辺の海中にケーブル探線装置を投入し、引き揚げコネクタ6の位置を正確に把握する。なお、引き揚げケーブル6は、海底から洋上までに達する長さであることから、この探線は比較的容易であり、例えば通常の海底ケーブル補修時と同様に探線できる。
引き揚げケーブル6を見つけたら、次にロープの先端に取り付けられたケーブル把持装置を海中に投入する。このケーブル把持装置によって引き揚げケーブル6の先端(引き揚げコネクタ7の近傍)を捕線させ、船上に引き揚げる。
【0025】
このように引き揚げケーブル6の先端を船上に引き揚げたら、先端部の引き揚げコネクタ7を、船内に配備された海上基地装置70と接続する。
【0026】
図4には、図2に示したケーブル型海底観測装置を、船体Sに搭載した海上基地装置70に接続した状態の海底観測システム構成を示している。
船上に設置された海上基地装置70には、データ取得装置部71と給電装置部72が設けられている。
データ取得装置部71は、引き揚げコネクタ7が海上基地装置70に接続されることにより、データ伝送路8を介してデータ制御部53とデータ通信可能に接続された状態となる。
給電装置部72は、引き揚げコネクタ7が海上基地装置70に接続されることにより、給電路9を介して充電・給電部52に電力供給できる状態となる。
【0027】
この状態で、データ取得装置部71は、海底にある電源及びデータ記録装置5内のデータ制御部53とデータ通信を行い、データ伝送を要求する。データ制御部53は、これに応じて記録部54から観測データを読み出し、データ伝送路8を介して船上のデータ取得装置71に送信する。データ取得装置71は受信したデータを内部の記憶媒体に記憶する。この動作により、観測データが回収できたことになる。
【0028】
また、この図3(b)及び図4に示す状態で、引き揚げケーブル6内の給電路9を介して、バッテリー51に対する充電も行うことができる。即ち船上の給電装置部72から充電・給電部52に給電し、バッテリー51に充電を行う。
【0029】
さらに、引き揚げケーブル6の引き揚げコネクタ7を船上の海上基地装置70と接続した状態では、リアルタイム観測も実行できる。
即ち船上の給電装置部72から、引き揚げケーブル6、中間ケーブル4、センサケーブル2を通じて配された給電路9を介して、各センサ1に電源供給を行うこともできる。
また各センサ1で検出された観測データは、センサケーブル2、中間ケーブル4、引き揚げケーブル6を通じて配されたデータ伝送路8を介して、直接船上のデータ取得装置部71側で取り込むことも可能である。
【0030】
なお、上述のように引き揚げケーブル6の自由端に引き揚げコネクタ7を設けずに例えば水密キャップを用いる構成も考えられるが、その場合も、引き揚げケーブル6の自由端を船上に引き揚げたら、船上で水密キャップを外し、所定の接続装置で、引き揚げケーブル6のデータ伝送路8や給電路9を海上基地装置70に接続すればよい。
【0031】
このような実施の形態によれば、次のような各効果が得られる。
システム設置時には、図1に示した各部を海底に設置すればよいため、設置コストは比較的安いものとなる。
【0032】
データ回収時には、電源及びデータ記録装置5自体を回収する必要はない。従って、専門性を要求されるROV運用が不要である。
そして上記のように、センサ1や電源及びデータ記録装置5から離れた位置に横たわっている引き揚げケーブルの先端(引き揚げコネクタ7の部分)を引き揚げればよい。これは、電源及びデータ記録装置5の筐体引き揚げに比較して作業は遙かに容易である。
これらのことから運用コストも大きく削減できる。
【0033】
また電源及びデータ記録装置5を引き揚げる必要はないため、電源及びデータ記録装置5と中間ケーブル4を切り離す必要はない。従って、高価な水中着脱コネクタを用いることは不要であり、装置コストも低減される。
【0034】
さらに、電源及びデータ記録装置5は、単に耐水圧筐体内に電源系とデータ記録系を備えた構成でよく、単純な構成であるため、その点でも装置コストの低減に有効である。
例えば電源及びデータ記録装置の筐体自体を引き揚げることが不要なものとしては、上記特許文献4に挙げたブイを利用する方式があるが、その場合、ブイの浮上機構、ブイに接続するケーブルの収納機構、ブイの浮上のための通信系、制御系などとして、機械的、電気的な多様な機構部、回路部を備える必要が生じる。これに対して本実施の形態では、筐体回収方式の場合の電源及びデータ記録装置とほぼ同等の電源系とデータ記録系を備えた構成でよいものであり、装置コストの負担増は殆ど生じない。
またブイを浮上させるためには、海底装置内の切り離し装置が、海上からの信号を受けてブイの切り離しを行うための電力が必要である。もし海底装置がバッテリー切れの状態にあると、ブイの切り離し(浮上)ができず、結局ブイの回収も不能となってしまう。本実施の形態の場合、海底の電源及びデータ記録装置5においてバッテリー切れが生じていたとしても、ケーブル引き揚げで対応が可能となる。
さらにブイは浮上時に海流で流される懸念もあり、場合によっては海底装置がブイに引きずられて設置位置から移動してしまう恐れもあるが、本実施の形態の場合、そのような恐れはない。
【0035】
また、水中でのケーブル着脱が不要であるということは、データ回収時の作業、回収後の再度の設置作業時にケーブル接続という困難な作業が不要であることも意味する。
従ってデータ回収後、引き続きの観測のためには、単に引き揚げケーブル6を再び海底に沈めれば良いだけであり、作業は非常に容易である。
またケーブル装着時の不具合等は起こりえないため、装着不良によってその後の観測ができなくなるといったこともない。つまり継続的な観測が安定して実行できる。
また上述のように電源及びデータ記録装置5自体の装置構成が、電源系とデータ記録系を備えた構成で簡易であるということは、故障に対する信頼性が高いことにもつながる。
【0036】
さらに、データ回収時に、電源及びデータ記録装置5の回収が不要であることから、電源及びデータ記録装置5自体を海底に埋設することも可能となる。
これによって漁労障害などのリスクも低減できる。
【0037】
また、データ回収時にバッテリー51に対して充電を行うことによって、長期にわたる観測が可能となる。
なお、観測期間の長さや、バッテリー寿命によっては、バッテリー51は二次電池でなく、一次電池としてもよい。その場合、引き揚げケーブル6内に充電のための給電路9は設ける必要はない。
但し、二次電池とはしない場合であっても、引き揚げケーブル6内に給電路9を設けておけば、引き揚げ時に、直接船上から各センサ1に給電を行ってリアルタイム観測を行うことも可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1 センサ
2 センサケーブル
3 分枝部
4 中間ケーブル
5 電源及びデータ記録装置
6 引き揚げケーブル
7 引き揚げコネクタ
8 データ伝送路
9 給電路
51 バッテリー
52 充電・給電部
53 データ制御部
54 記録部
70 海上基地装置
71 データ取得装置部
72 給電装置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に設置されるセンサと接続された状態で、海底に設置される電源及びデータ記録装置であって、
上記センサに対して給電を行う電源部と、
上記センサによって検出されるデータを記録する記録部と、
を備えると共に、
自由端側が設置場所から洋上に達する長さであって、上記記録部に記録されたデータの伝送のためのデータ伝送路が設けられている引き揚げケーブルが接続されている電源及びデータ記録装置。
【請求項2】
上記引き揚げケーブル内には、さらに上記電源部への給電路が設けられている請求項1に記載の電源及びデータ記録装置。
【請求項3】
上記電源部は、上記センサへの給電を行う電源として二次電池が設けられており、
上記引き揚げケーブルの上記給電路を介して上記二次電池への充電が可能な構成とされている請求項2に記載の電源及びデータ記録装置。
【請求項4】
上記引き揚げケーブルの自由端側には引き揚げコネクタが設けられている請求項1に記載の電源及びデータ記録装置。
【請求項5】
海底に設置されるセンサと、
上記センサと接続された状態で海底に設置される電源及びデータ記録装置とを有するケーブル型海底観測装置であって、
上記電源及びデータ記録装置は、
上記センサに対して給電を行う電源部と、
上記センサによって検出されるデータを記録する記録部と、
を備えると共に、
自由端側が設置場所から洋上に達する長さであって、上記記録部に記録されたデータの伝送のためのデータ伝送路が設けられている引き揚げケーブルが接続されているケーブル型海底観測装置。
【請求項6】
海底に設置されるセンサと、上記センサと接続された状態で海底に設置される電源及びデータ記録装置と、上記電源及びデータ記録装置に接続された状態で海底に敷設される引き揚げケーブルと、を有するケーブル型海底観測装置と、
船上に載置される海上基地装置と、
上記海上基地装置およびケーブル引き揚げ手段を積載し、上記ケーブル型海底観測装置が敷設されている海域まで移動するための船体と、
を有する海洋観測システムであって、
上記ケーブル型海底観測装置における上記電源及びデータ記録装置は、上記センサに対して給電を行う電源部と、上記センサによって検出されるデータを記録する記録部とを備え、
上記ケーブル型海底観測装置における上記引き揚げケーブルは、一端が上記記録部と接続され、他端が自由端とされるとともに、該自由端側が海底の設置場所から洋上の上記海上基地装置に達する長さであって、上記記録部に記録されたデータの伝送のためのデータ伝送路および上記電源部へ電力を供給する給電路が設けられており、
上記海上基地装置は、上記記録部に記録されたデータを取得するデータ取得手段と、上記給電路を介して上記電源部へ電力を供給する給電手段とを備え、
敷設した上記ケーブル型海底観測装置の近傍に上記船体を移動し、上記ケーブル引き揚げ手段により、上記引き揚げケーブルを引き揚げ、上記引き揚げケーブルの自由端を上記データ記録装置に接続して上記記録部に記録されたデータを取得し、上記電源部へ電力を給電する、
海洋観測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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