説明

電源回路遮断装置

【課題】端子間が斜め方向の移動で接触・非接触するものにあって、双方の端子位置が正規位置より変移しても確実に接触でき、しかも、所定の接触力を確保できる。
【解決手段】第1コネクタハウジング10と、第1コネクタハウジング10に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング20と、第2コネクタハウジング20に回転可能で、回転によって双方のコネクタハウジング10,20間に嵌合力及び離脱力を作用させるレバー30と、第1コネクタハウジング10とレバー30に設け、レバー30の回転によって接触・非接触とする双方の信号端子16,40とを備え、一方側の信号端子16は、先端側が共に折り返され、双方の折り返し箇所の間に入口側が広く奥側が幅狭である開口16cが形成され、開口16cの両側が開放された一対の板ばね接触子16aを有し、他方側の信号端子40は、開口16cに挿入されるタブ状接触子40aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー付きのコネクタハウジング間の嵌合・離脱によって電源回路の接続・遮断を行う電源回路遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車、ハイブリッド車にあっては、電気系統のメンテナンス等での作業安全性を確保するため、電源部と負荷間の通電を遮断できる電源回路遮断装置(サービスプラグ)が搭載される。この種の従来の電源回路遮断装置として、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
この電源回路遮断装置100は、図11及び図12に示すように、第1コネクタハウジング101と、第1コネクタハウジング101に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング110と、第2コネクタハウジング110に回転可能に設けられ、且つ、回転によって第2コネクタハウジング110と第1コネクタハウジング101間に嵌合力や離脱力を作用させるレバー120とを備えている。
【0004】
第1コネクタハウジング101の両側面には、一対のカムピン102が突設されている。第1コネクタハウジング101には、一方のメイン端子(図示せず)と一方の信号端子103がそれぞれ設けられている。一方のメイン端子(図示せず)は、コネクタ嵌合室内に配置されている。一方の信号端子103は、外部フード部104内に配置されている。
【0005】
第2コネクタハウジング110の両側面には、一対の回転軸111が突設されている。第2コネクタハウジング110には、他方のメイン端子(図示せず)が設けられている。
【0006】
レバー120の両側面には、一対の回転受け溝121が形成されている。この一対の回転受け溝121に第2コネクタハウジング110の一対の回転軸111が軸支されている。これにより、レバー120は第2コネクタハウジング110に回転自在に支持されている。レバー120の両側面には、一対のカム溝122が設けられている。この一対のカム溝122に第1コネクタハウジング101のカムピン102が挿入される。レバー120の側面部には、他方の信号端子123が収容されたコネクタ104が配置されている。他方の信号端子123は、フード部124内に配置されている。
【0007】
双方のメイン端子(図示せず)によってメイン回路スイッチ(図示せず)が構成されている。双方の信号端子103,123によって信号回路スイッチSW2が構成されている。
【0008】
上記構成において、電源回路遮断装置1の電源導通動作を説明する。レバー120を第1操作位置とした第2コネクタハウジング110を第1コネクタハウジング101のコネクタ嵌合室(図示せず)に挿入すると共に、レバー120のカム溝122の入口にカムピン102を挿入する。双方のコネクタハウジング101,110間はコネクタ仮嵌合状態となる。
【0009】
レバー120を第1操作位置から第2操作位置側に回転する。すると、カムピン102がカム溝122内を移動し、第2コネクタハウジング110と第1コネクタハウジング101間に嵌合力が作用して第2コネクタハウジング110が第1コネクタハウジング101のコネクタ嵌合室に徐々に挿入される。レバー120をコネクタ嵌合操作位置まで回転すると、第1コネクタハウジング101と第2コネクタハウジング110間は、完全嵌合状態となる。双方のメイン端子(図示せず)間は、コネクタ嵌合操作位置までの過程で徐々に接触し、コネクタ嵌合操作位置では接触状態となる。これにより、メイン回路スイッチ(図示せず)は、コネクタ嵌合操作位置では、オン状態となる。
【0010】
レバー120をコネクタ嵌合操作位置より更に回転すると、双方の信号端子103,123間が徐々に接触し、レバー120の第2操作位置では接触状態となる。これにより、信号回路スイッチSW2は、レバー120の操作完了位置では、オン状態である。
【0011】
また、電源回路遮断装置1の電源遮断動作は、レバー120を上記と逆操作することによって行うことができる。
【0012】
電源回路遮断装置1は、メイン回路スイッチ(図示せず)と信号回路スイッチSW2が共にオンとなって初めて電源回路(図示せず)を導通状態とする。つまり、レバー120が第2操作位置である場合にのみ電源回路が導通状態となり、それ以外の操作位置では電源回路は非導通状態である。
【0013】
これにより、作業員がレバー120が第2操作位置でないため、電源回路が非導通状態であるとする勘違いによる事態を防止する。
【0014】
ところで、前記従来例の双方の信号端子103,123は、次にように構成されている。図13(a)に詳しく示すように、第1コネクタハウジング101側の一対の信号端子103は、絶縁壁105を挟んで配置された一対の板状タブ端子である。レバー120側の一対の信号端子123は、フード部124内に配置された一対の板状クリップ端子である。一対の信号端子123は、上端側がフード部124に支持され、下端側がフード部124の内面側にそれぞれ弾性変移できるようになっている。
【0015】
図13(b)に示すように、レバー120側の信号端子123は、第1コネクタハウジング101側の一対の信号端子103を外側から挟み込むように挿入される。そして、図13(c)に示すように、レバー120側の一対の信号端子123と第1コネクタハウジング101側の一対の信号端子103間は、各信号端子123の弾性変形力で密着される。
【0016】
このように、双方の信号端子103,123を共に板状の形態とすることにより、斜め方向の移動による接触でも確実に接触させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2008−176969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、従来例のように信号回路スイッチSW2の双方の信号端子103,123が共に板状であると、次のような問題が発生する。つまり、第1コネクタハウジング101側の信号端子103が絶縁壁105より浮き上がる等によって少しでも変移すると、双方の信号端子103,123の互いの先端面同士が突き当たって塑性変形し、接触不良になる恐れがある。又、双方の信号端子103,123が接触状態にあって、レバー120が左右にねじれると、双方の信号端子103,123間の接触力が弱くなり、最悪の場合には非接触になる恐れがある。
【0019】
このように、前記従来例では、双方の信号端子103,123の位置が正規位置より多少変移すると、接触不良になったり、接触が不安定になったりして、所望の接触状態が得られなくなる恐れがある。
【0020】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、双方の端子間が斜め方向の移動で接触・非接触するものにあって、双方の端子位置が正規位置より多少変移しても確実に接触でき、しかも、所定の接触力を確保できる電源回路遮断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、第1コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングに嵌合及び離脱する第2コネクタハウジングと、前記第2コネクタハウジングに回転可能に設けられ、且つ、回転によって前記第2コネクタハウジングと前記第1コネクタハウジング間に嵌合力及び離脱力を作用させるレバーと、前記第1コネクタハウジングと前記レバーに設けられ、前記レバーの回転操作によって接触・非接触とされる一対の端子とを備えた電源回路遮断装置であって、一方の前記端子は、先端側が共に折り返され、双方の折り返し箇所の間に入口側が広く奥側が幅狭である開口が形成され、且つ、開口の両側が開放されている一対の板ばね接触子を有し、他方の前記端子は、前記開口に挿入されるタブ状接触子を有することを特徴とする。
【0022】
前記タブ状接触子は、打抜き面が面打ち加工されたものが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、一方側の端子は、開口の両側が開放されているため、双方の端子間が斜め方向の移動で接触・非接触するものにあっても、双方の端子間が確実に接触できる。又、他方の端子の変移位置が一方側の端子の入口側の開口の範囲内であれば、双方の端子間は確実に接触できる。又、双方の端子の接触位置が正規位置より多少変移した位置でも、いずれか一方の板ばね接触子による接触圧が小さくなるが、逆に他方の板ばね接触子による接触圧が大きくなるため、所定の接触力を確保できる。以上より、一対の端子間が斜め方向の移動で接触・非接触するものにあって、双方の端子位置が正規位置より多少変移しても確実に接触でき、しかも、所定の接触力を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態を示し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が離脱状態である電源回路遮断装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、レバーが第1操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が仮嵌合状態である電源回路遮断装置の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、レバーが第1操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が仮嵌合状態である電源回路遮断装置の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、レバーがコネクタ嵌合操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、(a)レバーがコネクタ嵌合操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の断面図、(b)はレバー側の信号端子が第1コネクタハウジング側の信号端子に斜め挿入される状態を示す要部断面図、(c)は(b)とは異なる方向で、レバー側の信号端子が第1コネクタハウジング側の信号端子に挿入される状態を示す要部断面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、レバーが第2操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、レバーが第2操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の側面図である。
【図8】本発明の一実施形態を示し、レバーが第2操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の断面図である。
【図9】本発明の一実施形態を示し、第1コネクタハウジング側の一対の信号端子の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態を示し、レバー側の一対の信号端子の斜視図である。
【図11】従来例の電源回路遮断装置の斜視図である。
【図12】従来例の電源回路遮断装置の一部破断斜視図である。
【図13】従来例の双方の信号端子を示し、(a)は双方の信号端子の接触前の状態を示す断面図、(b)は双方の信号端子の接触開始状態を示す断面図、(c)は双方の信号端子の接触完了状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1〜図11は本発明の一実施形態を示す。図1〜図8に示すように、電源回路遮断装置1は、第1コネクタハウジング10と、第1コネクタハウジング2に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング20と、第2コネクタハウジング20に回転可能に設けられ、且つ、回転によって第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に嵌合力や離脱力を作用させるレバー30とを備えている。
【0027】
第1コネクタハウジング10の両側面には、一対のカムピン11が突設されている。第1コネクタハウジング10は、上面が開放されたコネクタ嵌合室10aを有する。コネクタ嵌合室11内に内部端子フード部12が二箇所設けられている。この各内部端子フード部12内に一方側のメイン端子13がそれぞれ配置されている。この各メイン端子13は、雌端子である。
【0028】
第1コネクタハウジング10には、コネクタ嵌合室10aの外側に外部端子フード部15が設けられている。この端子フード部15は、上方が開口している。外部端子フード部15内には、一方側の端子である信号端子16が2つ配置されている。この2つの信号端子16の詳しい構成は、下記する。
【0029】
外部端子フード部15の側壁には、一対の第1被係止部17が突設されている。第1被係止部17は、外部端子フード部15の側壁のスリット15aによって撓み変形容易になっている。
【0030】
第2コネクタハウジング20は、内部にヒューズ2が収容されたハウジング本体21と、このハウジング本体21の上面に装着されたカバー22とを備えている。ハウジング本体21は、第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに嵌合・離脱できる寸法・形態に形成されている。ハウジング本体21の下部には、他方側のメイン端子23が2つ設けられている。この各メイン端子23は、雄端子である。各メイン端子23は、ハウジング本体21より下方に突出している。2つのメイン端子23は、ヒューズ2を介して接続されている。第1コネクタハウジング10側の2つのメイン端子13と第2コネクタハウジング20側の2つのメイン端子23によって、メイン回路スイッチSW1が構成されている。
【0031】
ハウジング本体21の両側面には、一対の回転支持軸24が突設されている。ハウジング本体21の両側面には、一対の係止突部25が設けられている。各係止突部25は、高さの低い円弧状突起である。
【0032】
ハウジング本体21には、アーム状の第2ロック部26が突設されている。第2ロック部26の後側には、第2ロック部26が弾性変形するための弾性変形用スペース28が形成されている。
【0033】
レバー30は、一対のアームプレート部31と、一対のアームプレート部31間を回転先端側でそれぞれ連結する連結部32及び操作部33とを備えている。一対のアームプレート部31には、一対の回転受け部34が設けられている。この一対の回転受け部34に第2コネクタハウジング20の一対の回転支持軸24が軸支されている。これにより、レバー30は、第2コネクタハウジング20に回転自在に支持されている。一対のアームプレート部31には、一対のカム溝35が形成されている。この一対のカム溝35に第1コネクタハウジング10のカムピン11が挿入される。
【0034】
カム溝35は、図4及び図7に示すように、カムピン11の進入が可能な進入ストレート部35aと、この進入ストレート部35aに連通し、回転受け部34の中心からの距離が徐々に変化する曲線部35bと、曲線部35bに連通し、回転受け部34の中心からの距離が一定である円弧部35cとを有する。
【0035】
レバー30は、カム溝35内をカムピン11が移動しつつ第1操作位置とコネクタ嵌合操作位置を経た第2操作位置との間を回転する。第1操作位置では、進入ストレート部35aにカムピン11が位置する。コネクタ嵌合操作位置では、曲線部35bと円弧部35cの境界位置がカムピン11が位置する。第2操作位置では、円弧部35cの最奥位置にカムピン11が位置する。
【0036】
つまり、レバー30の第1操作位置とコネクタ嵌合操作位置の回転過程では、カムピン11が曲線部35aを移動し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間に嵌合力又は離脱力が作用し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間が嵌合方向に、又は、離脱方向に移動する。レバー30がコネクタ嵌合操作位置と第2操作位置の回転過程では、カムピン11が円弧部35cを移動し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間に嵌合力又は離脱力が作用せず、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間が嵌合方向に、又は、離脱方向に移動することはない。
【0037】
一対のアームプレート部31には、2箇所に位置保持孔36が設けられている。レバー30は、第1操作位置と第2操作位置で位置保持孔36のいずれか一方に係止突部25が係止される。これにより、レバー30は、第1操作位置と第2操作位置に位置保持力によって位置決めされる。
【0038】
一対のアームプレート部31の回転先端側で、且つ、下方位置には、一対の第1ロック部37が設けられている。連結部32には、板状のロック解除阻止部38が設けられている。
【0039】
操作部33の下部には、フード部39が設けられている。フード部39は、下方に開口している。フード部39内には、他方側の端子である信号端子40が2つ配置されている。この2つの信号端子40の詳しい構成は、下記する。第1コネクタハウジング10側の2つの信号端子16とレバー30側の2つの信号端子40によって信号回路スイッチSW1が構成されている。
【0040】
操作部33には、第2被係止部41が設けられている。第2被係止部41は、連結部32側に延びるアーム形態である。
【0041】
次に、双方の信号端子16,40の構成を説明する。図9に詳しく示すように、一方側の各信号端子16は、一対の板ばね接触子16aと、これに一体に連結された電線加締部16bとをそれぞれ備えている。一対の板ばね接触子16aは、先端側が共に内側にアール状に折り返され、この双方の折り返し箇所の間に入口側が広く奥側が幅狭である開口16cが形成されている。一対の板ばね接触子16aの開口16cの両側は、共に開放されている。
【0042】
他方側の各信号端子40は、図10に示すように、タブ状接触子40aと、これに一体に連結された支持部40bとを備えている。一対の信号端子40の支持部40b同士は、連結部40cによって互いに連結されている。タブ状接触子40aは、その先端で、且つ、一方の信号端子16に先に接触する角部がテーパ面40dとされている。タブ状接触子40aは、打ち抜き面が面打ち加工されている。
【0043】
次に、電源回路遮断装置1に関わる電源回路系を簡単に説明する。電源部(図示せず)と負荷部(図示せず)の間には、メイン回路スイッチSW1と、信号回路スイッチSW2によってオン・オフされるリレー(図示せず)が直列接続されている。従って、メイン回路スイッチSW1と信号回路スイッチSW2が共にオン状態となって、電源回路はオン状態となる。それ以外のスイッチ状態では電源回路はオフ状態である。
【0044】
上記構成において、電源回路遮断装置1による電源回路の導通動作を説明する。図1に示すように、レバー30を第1操作位置とした第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに位置合わせする。そして、図2及び図3に示すように、第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに挿入すると共に、レバー30のカム溝35の進入ストレート部35aにカムピン11を挿入する。双方のコネクタハウジング10,20間は、コネクタ仮嵌合状態となる。
【0045】
次に、レバー30を第1操作位置から第2操作位置側に回転する。すると、カムピン11がカム溝35内を移動し、第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に嵌合力が作用して第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに徐々に挿入される。
【0046】
レバー30をコネクタ嵌合操作位置まで回転すると、図4及び図5(a)に示すように、第2被係止部41が第2ロック部26を乗り越える位置となり、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間が完全嵌合状態となる。第1操作位置からコネクタ嵌合操作位置までの過程で、双方のメイン端子13,23間は接触を開始し、コネクタ嵌合操作位置では接触が完了する。レバー30のコネクタ嵌合操作位置では、メイン回路スイッチSW1はオン状態となる。
【0047】
レバー30をコネクタ嵌合操作位置から第2操作位置まで回転すると、図6〜図8に示すように、ロック解除阻止部38が弾性変形用スペース28に入り込むと共に、第1ロック部37が第1被係止部17にロックされる。レバー30のコネクタ嵌合操作位置から第2操作位置までの回転過程では、双方の信号端子16,40間は接触を開始し、第2操作位置では接触が完了する。レバー30の第2操作位置では、信号回路スイッチSW2は、オン状態となる。つまり、電源回路は、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では非導通であり、レバー30が第2操作位置になって初めて導通状態となる。
【0048】
次に、電源回路遮断装置1による電源遮断動作を説明する。図6〜図8に示すように、レバー30が第2操作位置に位置する状態にあって、レバー30を第1ロック部37と第1被係止部17間のロック力より強い回転力で第1操作位置側に回転する。すると、第1ロック部37と第1被係止部17間のロックが外れてレバー30の回転が許容される。これにより、図4及び図5(a)に示すように、レバー30をコネクタ完全嵌合操作位置まで回転する。レバー30をコネクタ完全嵌合操作位置まで回転すると、レバー30の第2被係止部41が第2ロック部26に係止される。これで、レバー30の回転が一旦阻止される。レバー30の第2操作位置からコネクタ嵌合操作位置までの回転過程では、双方の信号端子16,40間が徐々に接触しなくなり、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では完全に非接触となる。従って、レバー30のコネクタ完全嵌合操作位置では、信号回路スイッチSW2は、オフ状態となる。電源回路は、レバー30のコネクタ嵌合操作位置で非導通となる。
【0049】
又、レバー30の第2操作位置からコネクタ嵌合操作位置までの回転によって、レバー30のロック解除阻止部38は、第1コネクタハウジング10の弾性変形用スペース28から抜け出す。
【0050】
次に、第2ロック部26を弾性変形用スペース28を利用して弾性変形させ、第2被係止部41とのロックを解除する。これで、レバー30の第1操作位置側への回転が許容され、レバー30を第1操作位置まで回転する。レバー30のコネクタ嵌合位置から第1操作位置への回転では、カム溝35とカムピン11によって、第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に離脱力が作用して第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aから徐々に引き出される。
【0051】
図2及び図3に示すように、レバー30の第1操作位置では、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間は、仮嵌合状態となる。双方のメイン端子13,23間は、コネクタ嵌合操作位置から第1操作位置までの過程で徐々に接触しなくなり、第1操作位置では完全に非接触状態となる。従って、レバー30の第1操作位置では、メイン回路スイッチSW1はオフ状態となる。
【0052】
以上説明したように、第1コネクタハウジング10と、第1コネクタハウジング10に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング20と、第2コネクタハウジング20に回転可能に設けられたレバー30と、第1コネクタハウジング10とレバー30にそれぞれ設けられ、レバー30の回転によって接触・非接触とされる双方の信号端子16,40とを備え、一方側の信号端子16は、先端側が共に折り返され、双方の折り返し箇所の間に入口側が幅広で奥側が幅狭である開口16cが形成され、且つ、開口16cの両側が開放されている一対の板ばね接触子16aを有し、他方側の信号端子40は、開口16cに挿入されるタブ状接触子40aを有する構成とした。
【0053】
一方側の信号端子16は、開口16aの両側が開放されているため、図5(b)に示すように、双方の信号端子16,40間が斜め方向の移動で接触・非接触するものにあっても、双方の信号端子16,40間が確実に接触できる。又、図5(c)に示すように、他方側の信号端子40の変移位置が一方側の信号端子16の入口側の開口16cの範囲内であれば、双方の信号端子16,40間は確実に接触できる。又、双方の信号端子16,40の接触位置が正規位置より多少変移した位置でも、いずれか一方の板ばね接触子16aによる接触圧が小さくなるが、逆に他方の板ばね接触子16aによる接触圧が大きくなるため、所定の接触力を確保できる。
【0054】
タブ状接触子40aは、打抜き面が面打ち加工されている。従って、タブ状接触子40aの打ち抜き面が平滑であり、端子の挿入性が向上する。
【符号の説明】
【0055】
1 電源回路遮断装置
10 第1コネクタハウジング
16 一方側の信号端子(一方側の端子)
16a 板ばね接触子
16c 開口
20 第2コネクタハウジング
30 レバー
40 他方側の信号端子(他方側の端子)
40a タブ状接触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに嵌合及び離脱する第2コネクタハウジングと、
前記第2コネクタハウジングに回転可能に設けられ、且つ、回転によって前記第2コネクタハウジングと前記第1コネクタハウジング間に嵌合力及び離脱力を作用させるレバーと、
前記第1コネクタハウジングと前記レバーにそれぞれ設けられ、前記レバーの回転によって接触・非接触とされる一対の端子とを備えた電源回路遮断装置であって、
一方側の前記端子は、先端側が共に折り返され、双方の折り返し箇所の間に入口側が広く奥側が幅狭である開口が形成され、且つ、開口の両側が開放されている一対の板ばね接触子を有し、
他方側の前記端子は、前記開口に挿入されるタブ状接触子を有することを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源回路遮断装置であって、
前記タブ状接触子は、打抜き面が面打ち加工されたことを特徴とする電源回路遮断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−104338(P2012−104338A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251098(P2010−251098)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】