説明

電源回路

【課題】一般家庭に供給される交流電力は100ボルトが一般的であったが200ボルトの交流電力が供給される場合がある。100ボルト仕様の電源回路に誤って200ボルトが接続された場合に構成部品の破損を防止するため、従来はヒューズなどが取り付けられていたが、ヒューズは溶断すると交換しなければならず、電源回路を復帰させることが困難であった。
【解決手段】2次側回路に過電圧が発生した場合に1次側にラッチ回路を設けて2次側への電力供給を遮断するものが知られている。そこで、1次側の電圧を監視しておき、200ボルトが接続された場合に、そのラッチ回路を作動させて2次側に規定の2倍の電圧が作用しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定の電圧より高い電圧が誤って入力された場合に部品を破損することなく安全に入力を遮断することのできる電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では商用の電源として交流電源が広く用いられている。一般家庭における交流電源の電圧は100ボルトであり、この100ボルトの交流電源を整流し、更にトランスで所定の電圧まで降圧して2次側回路に供給している。
【0003】
この2次側回路で何らかの故障により過電圧が発生すると、2次側回路を構成している各部品が破損するという重大な事態が生じる恐れがある。そこで、2次側回路に過電圧が発生したことを検知する2次側検知手段を設けるとともに、1次側の整流子とトランスとの間にラッチ回路を設け、2次側検知手段が過電圧の発生を検知すると、ラッチ回路によって整流子とトランスとの間の接続を遮断し、2次側に電力が供給されないようにした電源回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−119949号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年においては一般家庭での交流電源として100ボルトのほか200ボルトの交流電源が使用される場合が増加している。100ボルト用の機器が誤って200ボルトの電源に接続されないように、100ボルトの電源と200ボルトの電源とではコンセントの形状を相違させ、100ボルト用の機器が200ボルトの電源に接続されないようにされている。しかし、機器に直接電源ケーブルを接続するタイプのものでは、単相3線配線されている場合、誤って200ボルトが印加されるように誤配線される恐れがある。万一誤って100ボルト用の機器に200ボルトの電源が接続されると多くの部品が破損する恐れが生じるため、バリスタを介設して、過電圧によりそのバリスタを断線するように破損させ、あるいはヒューズを介設してヒューズを溶断させることにより、200ボルトの電圧がそれ以上供給されないような安全装置が組み込まれている。
【0006】
このようなバリスタやヒューズを安全装置とするものでは、破損したバリスタやヒューズを交換しなければ、そのあと機器を使用することができないという不具合が生じる。
【0007】
そこで本発明は上記の問題点に鑑み、誤って200ボルトの電源に接続されても電源の供給を遮断し、更に部品を交換することなく100ボルトの電源で使用し続けることのできる電源回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による電源回路は、商用の100ボルトの交流電源から電力の供給を受け、この交流電源からの電力を整流する整流子を経て、トランスにより所定の電圧に降下させて2次側回路に電力を供給する電源回路であって、2次側回路に過電圧が発生したことを検知する2次側検知手段と、この2次側検知手段からの検知信号によりトランスと整流子との間を遮断するラッチ回路を備えたものにおいて、整流子の出力電圧を検知し、100ボルトの交流電源の代わりに誤って200ボルトの交流電源が接続されたことを検知する1次側検知手段を設けるとともに、この1次側検知手段からの検知信号によって上記ラッチ回路を作動させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
2次側に過電圧が発生した際に作動するラッチ回路を利用して、誤って200ボルトの電源に接続された際にこのラッチ回路を作動させれば、200ボルトに誤接続された影響を2次側に及ぼさないようにできる。
【0010】
なお、200ボルトに接続されたことを検知する1次側検知手段を構成する部品の耐圧を下げコストダウンをはかるため、上記整流子の出力端子間には平滑コンデンサが接続されており、この平滑コンデンサの両端子間に分圧抵抗を接続し、分圧された電圧を基準に上記1次側検知手段を作動させるようにした。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、従来用いられているラッチ回路を利用するため、200ボルトが誤接続された場合の対策に要するコストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、1はダイオードブリッジであり、入力された交流の電力を全波整流して出力する。本実施の形態では、100ボルトの交流電力が供給されるように設定されている。ダイオードブリッジ1の出力端子間には平滑用のコンデンサ11とともに分圧抵抗12,13を設けた。そして、これら分圧抵抗12,13の中間点14にツェナーダイオード2のカソード側を接続した。そしてラッチ回路内に設けられたサイリスタ3のゲートにツェナーダイオード2のアノードを接続した。
【0014】
このラッチ回路内にはフォトカプラーを構成する受光部であるフォトトランジスタ31が、サイリスタ3のアノード−ゲート間に設けられており、このフォトランジスタ31が受光するとサイリスタ3がターンオンするようにした。
【0015】
サイリスタ3がターンオンするとスイッチング電源回路4がオフ状態になる。このスイッチング電源回路4はトランス5の1次側に設けられており、スイッチング電源回路4がオフになるとトランスへの電力供給が停止される。
【0016】
トランス5で降圧された電力は2次側回路6に供給される。この2次側回路6内には過電圧を監視する2次側検知手段が内蔵されており、2次側回路6内に過電圧が発生すると、2次側検知手段がその過電圧の発生を検知して、フォトカプラーの構成要素であるLED61を発光させる。このLED61が発光すると、上述のようにサイリスタ3がターンオ
ンして2次側回路6への電力の供給を停止することにより、2次側回路を構成する部品の破損等を防止する。
【0017】
上記構成の電源回路において、上述のようにダイオードブリッジ1に入力される交流電力の電圧は100ボルトであるが、誤って200ボルトの交流電力が入力されると、分圧抵抗12,13の中間点14の電圧が2倍に上昇する。その2倍に上昇した電圧がツェナー電圧を超えるように設定しておけば、200ボルトの交流電源が誤って接続されると、サイリスタ3のゲートに信号が入力され、サイリスタ3はターンオンする。その結果、2次側回路6に規定以上の電圧で電力が供給されることが防止される。
【0018】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0019】
1 ダイオードブリッジ
2 ツェナーダイオード
3 サイリスタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用の100ボルトの交流電源から電力の供給を受け、この交流電源からの電力を整流する整流子を経て、トランスにより所定の電圧に降下させて2次側回路に電力を供給する電源回路であって、2次側回路に過電圧が発生したことを検知する2次側検知手段と、この2次側検知手段からの検知信号によりトランスと整流子との間を遮断するラッチ回路を備えたものにおいて、整流子の出力電圧を検知し、100ボルトの交流電源の代わりに誤って200ボルトの交流電源が接続されたことを検知する1次側検知手段を設けるとともに、この1次側検知手段からの検知信号によって上記ラッチ回路を作動させるようにしたことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
上記整流子の出力端子間には平滑コンデンサが接続されており、この平滑コンデンサの両端子間に分圧抵抗を接続し、分圧された電圧を基準に上記1次側検知手段を作動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。


【図1】
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