説明

電源装置及び照明器具及びコンデンサモジュール

【課題】電解コンデンサを容易に交換できるようにするとともに、感電を防止し、交換時の安全を確保する。
【解決手段】コンデンサモジュール100は、電解コンデンサ110と、正極端子141と、負極端子142と、放電回路130とを有する。正極端子141は、電解コンデンサ110の正極に電気接続している。負極端子142は、電解コンデンサ110の負極に電気接続している。コンデンサ固定部は、コンデンサモジュール100を着脱自在に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電解コンデンサを有する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDなどの光源を有する照明器具において、光源の寿命は、例えば約4万時間である。これは、電源装置の寿命とほぼ同じであるため、電源装置と光源回路とを一体化した照明器具がある。
照明器具の光源は、全光束が初期の70%まで低下することをもって寿命と定義されているので、多少暗くてもよいのであれば、光源の寿命経過後も、照明器具を使い続けることができる。これに対し、電源装置が寿命を迎えると、光源を点灯できなくなるので、照明器具を使い続けることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−5592号公報
【特許文献2】特開2000−354384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源装置の寿命要因には、電源装置が有する電解コンデンサがある。したがって、電解コンデンサを交換可能とすることにより、電源装置の寿命を延ばすことができる。
しかし、電源装置の動作中は、電解コンデンサに高い電圧が充電されている場合がある。したがって、安易に電解コンデンサを交換できるようにすると、感電する危険がある。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、電源装置の電解コンデンサを容易に交換できるようにするとともに、感電を防止し、交換時の安全を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる電源装置は、電解コンデンサと、上記電解コンデンサの正極に電気接続した正極端子と、上記電解コンデンサの負極に電気接続した負極端子と、上記電解コンデンサを放電する放電回路とを備えるコンデンサモジュールと、
上記正極端子と接触して電気接続する正極接続端子と、上記負極端子と接触して電気接続する負極接続端子とを有し、上記コンデンサモジュールを着脱自在に固定するコンデンサ固定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる電源装置によれば、コンデンサ固定部がコンデンサモジュールを着脱自在に固定するので、電解コンデンサを容易に交換することができる。また、放電回路が電解コンデンサを放電するので、感電を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における照明器具800の外観を示す斜視図。
【図2】実施の形態1における照明器具800の機能ブロック構成の一例を示すブロック構成図。
【図3】実施の形態1における電源装置830の一部を示す斜視図。
【図4】実施の形態1におけるコンデンサモジュール100の構造を示す正視図及び断面図。
【図5】実施の形態1におけるコンデンサモジュール100の回路構成を示す回路図。
【図6】実施の形態1におけるコンデンサ固定部200の構造を示す側面視断面図。
【図7】実施の形態1におけるコンデンサ固定部200の構造を示す底面視断面図。
【図8】実施の形態2におけるコンデンサモジュール100の構造を示す正視図及び断面図。
【図9】実施の形態2におけるコンデンサモジュール100の回路構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図7を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における照明器具800の外観を示す斜視図である。
照明器具800は、例えば、本体810、光源820、コンデンサモジュール100などを有する。コンデンサモジュール100は、照明器具800に着脱自在であり、電解コンデンサを内蔵している。コンデンサモジュール100は、容易に交換が可能なよう、本体810の外に露出している。照明器具800が天井面に取り付けて使用するタイプのものである場合、コンデンサモジュール100は、例えば、本体810の底面から突出している。
【0010】
図2は、この実施の形態における照明器具800の機能ブロック構成の一例を示すブロック構成図である。
照明器具800は、電源装置830、光源回路840を有する。電源装置830は、例えば、商用電源などの交流電源ACやバッテリーなどの直流電源から電力の供給を受け、供給された電力を変換して、光源回路840に供給する電力を生成する。
光源回路840は、光源820を有する。光源820は、電源装置830から供給された電力により発光する。光源回路840は、電源装置830から供給された電力を、光源820に対して供給する。光源820は、例えば発光ダイオード(LED)である。光源回路840は、例えば複数の光源820が直列に電気接続した回路である。
【0011】
電源装置830は、電解コンデンサを有する。コンデンサモジュール100が内蔵する電解コンデンサは、電源装置830の電解コンデンサとして機能する。コンデンサモジュール100を交換することにより、電解コンデンサを簡単に交換できる。寿命を迎えた電解コンデンサを交換することにより、電源装置830の寿命を延ばすことができる。
なお、電源装置830は、コンデンサモジュール100が取り付けられているか否かを検出して、コンデンサモジュール100が取り付けられていない場合には、動作を停止する保護機能を有している。
【0012】
図3は、この実施の形態における電源装置830の一部を示す斜視図である。
電源装置830は、基板831を有する。基板831は、電源装置830の他の部品が実装された基板と同一であってもよいし、他の部品が実装された基板とは別の基板であってもよい。あるいは、基板831は、光源回路840の光源820やその他の部品が実装された基板と同一の基板であってもよい。
コンデンサ固定部200は、基板831に実装されている。コンデンサ固定部200は、例えば雌型のソケットである。コンデンサ固定部200は、コンデンサモジュール100と螺合することにより、コンデンサモジュール100を固定する。コンデンサ固定部200は、2以上の端子を有する。コンデンサ固定部200の端子は、コンデンサモジュール100の端子と接触することにより電気接続する。これにより、コンデンサモジュール100が内蔵する電解コンデンサは、電源装置830の一部として機能する。
【0013】
図4は、この実施の形態におけるコンデンサモジュール100の構造を示す正視図及び断面図である。
正視図は、側面図及び底面図である。断面図は、側面視断面図である。
コンデンサモジュール100は、保安球に似た外観形状である。コンデンサモジュール100は、電解コンデンサ110、基板120(基材)、放電回路130、正極端子141(ソケット接触端子)、負極端子142(ソケット接触端子)、配線151,152、絶縁部161(セパレータ)、カバー170などを有する。
電解コンデンサ110は、例えばアルミ電解コンデンサである。電解コンデンサ110は、正極及び負極を有する。電解コンデンサ110の正極は、配線151を介して、正極端子141と電気接続している。電解コンデンサ110の負極は、配線152を介して、負極端子142と電気接続している。電解コンデンサ110は、基板120に実装されている。なお、基板120と負極端子142との間にも絶縁部を設け、絶縁を確保する構成であってもよい。
負極端子142は、中空の雄ネジ状である。正極端子141は、負極端子142の軸の先端に位置する。正極端子141及び負極端子142は、例えば金属などの導電材料で形成されている。絶縁部161は、正極端子141と負極端子142との間に位置する。絶縁部161は、絶縁材料で形成されている。絶縁部161は、正極端子141と負極端子142との間を絶縁する。
放電回路130は、電解コンデンサ110を放電する。これにより、電解コンデンサ110が充電された状態で、利用者がコンデンサモジュール100を外した場合でも、利用者が感電するのを防ぐことができる。放電回路130は、例えば表面実装部品によって構成されている。放電回路130を構成する表面実装部品は、基板120のうち、電解コンデンサ110と反対側の面に実装されている。
カバー170は、絶縁材料で形成されている。カバー170は、電解コンデンサ110を覆い、利用者が電解コンデンサ110に直接触れるのを防ぎ、利用者が感電するのを防ぐ。
電解コンデンサ110は、寿命末期などにより温度が異常上昇すると、内部が発熱しガスが発生する。電解コンデンサ110は、ガス発生による内部圧力の上昇により破損するのを防ぐため、防爆弁を有する。ガス発生により内部の圧力が上昇すると、防爆弁が開いて、ガスを外に出し、内部の圧力が下がる仕組みである。このため、カバー170は、少なくとも防爆弁が正常に動作できるだけの空間を内部に有する。
また、カバー170は、ガス抜き口171を有する。ガス抜き口171の数は、1つでもよいし、複数でもよい。ガス抜き口171は、防爆弁の動作により電解コンデンサ110の内部から放出されたガスを、カバー170の外に出すための貫通穴である。なお、カバー170に、防爆弁の動作による内部の圧力の上昇に耐えられるだけの強度がある場合には、ガス抜き口171は、なくてもよい。また、カバー170内部の体積を十分大きく取ることにより、防爆弁の動作による内部の圧力の上昇を吸収できるよう構成してもよい。
【0014】
図5は、この実施の形態におけるコンデンサモジュール100の回路構成を示す回路図である。
放電回路130は、正極端子141と負極端子142との間に電気接続している。放電回路130は、例えば放電抵抗R31を有する。放電抵抗R31は、電解コンデンサ110に対して並列に電気接続している。
電源装置830の動作中には、放電抵抗R31を流れる電流による電力損失が発生する。このため、放電抵抗R31の抵抗値は大きいほうがよい。ただし、感電を防ぐため、コンデンサモジュール100を電源装置830から取り外してから例えば1秒以内に、電解コンデンサ110の両端電圧が例えば45V以下になるよう、放電抵抗R31の抵抗値を設定する。
【数11】

Rは、放電抵抗R31の抵抗値を表わす。Cは、電解コンデンサ110の静電容量を表わす。vは、電源装置830の動作時における電解コンデンサ110の両端電圧を表わす。tは、コンデンサモジュール100を電源装置830から取り外してからの経過時間(例えば1秒)を表わす。vは、コンデンサモジュール100を電源装置830から取り外してからt秒後における電解コンデンサ110の両端電圧(例えば45V)を表わす。
例えば、電解コンデンサ110の静電容量が3300μF、動作時における電解コンデンサ110の両端電圧が50Vであるとすると、放電抵抗R31の抵抗値Rは、例えば約2.8kΩに設定する。この場合、動作時において放電抵抗R31を流れる電流は、約18mAであり、動作時において放電抵抗R31における電力損失は、約0.9Wである。
【0015】
図6は、この実施の形態におけるコンデンサ固定部200の構造を示す側面視断面図である。
コンデンサ固定部200は、保安球ソケットに似た外観形状である。コンデンサ固定部200は、基板831に実装されている。コンデンサ固定部200は、ケース211、台座部212、正極接続端子221、基板固定端子222、摺動端子231、基板固定端子232、回転部261、トルク管理部262、負極接続端子271などを有する。
ケース211は、中空略円柱状であり、底面に、コンデンサモジュール100を挿入するための開口穴を有する。台座部212は、ケース211に固定されている。正極接続端子221は、台座部212に固定されている。正極接続端子221は、例えば板バネであり、コンデンサモジュール100の正極端子141と接触して電気接続する。正極接続端子221は、基板固定端子222と電気接続している。摺動端子231は、ケース211の底面開口穴の周辺に位置し、略ドーナツ板状である。摺動端子231は、基板固定端子232と電気接続している。
回転部261は、略円筒状である。負極接続端子271は、回転部261の内側に位置し、コンデンサモジュール100の負極端子142と係合する雌ネジ状であり、負極端子142と接触して電気接続する。また、負極接続端子271の下端は、略ドーナツ板状であり、摺動端子231と接触して電気接続する。これにより、負極接続端子271は、基板固定端子222と電気接続する。
回転部261は、回転可能である。トルク管理部262は、回転部261に固定されている。トルク管理部262は、回転部261とともに回転し、回転部261の回転を制限する。
【0016】
図7は、この実施の形態におけるコンデンサ固定部200の構造を示す底面視断面図である。
台座部212は、例えば、手裏剣状の歯を持つ歯車形状である。
トルク管理部262は、複数の板バネ263を有する。板バネ263は、台座部212の歯と噛み合うことにより、トルク管理部262の回転を抑制している。トルク管理部262に対して加えられるトルクが反時計回りである場合、板バネ263が台座部212の歯に引っ掛かるので、トルク管理部262は、回転しない。トルク管理部262に対して加えられるトルクが時計回りである場合、トルクが小さければ、トルク管理部262は回転しないが、トルクが大きければ、板バネ263が変形して、トルク管理部262が回転する。
【0017】
利用者がコンデンサモジュール100をコンデンサ固定部200に取り付ける場合、コンデンサモジュール100の負極端子142を、コンデンサ固定部200の負極接続端子271に螺合させて、時計回りに回転させる。正極端子141が正極接続端子221に接触しても、利用者がコンデンサモジュール100を回転させ続けると、コンデンサモジュール100がそれ以上奥に入っていかないので、コンデンサモジュール100と一緒に、回転部261・トルク管理部262が回転しようとする力が働く。これにより、トルク管理部262が空回りするので、トルクのかけ過ぎによる破壊を防ぐことができる。
逆に、利用者がコンデンサモジュール100をコンデンサ固定部200から取り外す場合、コンデンサモジュール100を反時計回りに回転させる。回転部261・トルク管理部262は回転せず、コンデンサモジュール100だけが回転して、取り外される。
なお、トルク管理部262が空回りしたとき、クリック音などの音が発生するよう構成してもよい。これにより、利用者がトルク管理部262の空回りを知覚できる。例えば取扱説明書に「クリック音が聞こえるまでねじ込んでください」と記載しておくことにより、トルク管理部262が空回りするまで利用者がコンデンサモジュール100を回転させるようになる。これにより、利用者がコンデンサモジュール100を確実に取り付けられるようにすることができ、コンデンサモジュール100の取付不良による接触不良などの発生を防ぐことができる。
【0018】
コンデンサモジュール100を簡単に交換することができるので、電解コンデンサ110が寿命を迎えたとき利用者がコンデンサモジュール100を交換することにより、電源装置830の全体としての寿命を延ばすことができる。
【0019】
また、電解コンデンサ110をカバー170が覆っているので、感電を防ぐことができる。更に、放電回路130が電解コンデンサ110を放電するので、感電を防ぐことができる。コンデンサモジュール100を取り外すとき、最初に、正極端子141と正極接続端子221との間が離れ、その後、負極端子142と負極接続端子271との間が離れる。このため、電解コンデンサ110を確実に放電することができ、感電を防ぐことができる。
【0020】
また、電解コンデンサ110の防爆弁が動作した場合、ガス抜き口171から蒸気が抜けるので、コンデンサモジュール100が破壊されるのを防ぐことができる。
【0021】
また、トルク管理部262が、所定方向の所定以上のトルクによって空回りするので、トルクのかけ過ぎによるコンデンサモジュール100やコンデンサ固定部200の破壊を防ぐことができる。また、トルクのかけ過ぎによる破壊がないので、利用者は、安心してコンデンサモジュール100にトルクを加えることができ、トルク不足による取付不良を防ぐことができる。なお、トルク管理部262の構成は一例であり、所定方向に所定以上のトルクを加えた場合にトルクを逃がすことができる構成であれば、他の構成であってもよい。更に、トルク管理部262が空回りしたとき音を発することにより、より確実に、取付不良を防ぐことができる。
【0022】
また、コンデンサ固定部200にトルク管理部262を設ける代わりに、コンデンサモジュール100の側にトルク管理部を設ける構成としてよい。その場合、利用者は、カバー170を掴んでコンデンサモジュール100を回転させると考えられるから、トルク管理部は、例えば、カバー170だけが空回りするように構成する。
【0023】
また、照明器具800におけるコンデンサ固定部200の位置は、利用者がコンデンサモジュール100を容易に交換できる位置であればよく、他の位置であってもよい。コンデンサ固定部200は、電源装置830から直接露出していてもよいし、電源装置830から配線を引き出して、より一層交換しやすい位置に設ける構成であってもよい。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態2について、図8〜図9を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0025】
図8は、この実施の形態におけるコンデンサモジュール100の構造を示す正視図及び断面図である。
正視図は、側面図及び底面図である。断面図は、側面視断面図である。
コンデンサモジュール100は、実施の形態1で説明した構成に加えて、着脱検出端子143、絶縁部162、寿命表示部173を有する。
負極端子142及び着脱検出端子143は、実施の形態1で説明した負極端子142を、絶縁部162によって2つに分けた形状である。絶縁部162は、負極端子142と着脱検出端子143との間を絶縁する。負極端子142及び着脱検出端子143は、ともに、負極接続端子271と接触して電気接続する。着脱検出端子143は、負極端子142よりも、電解コンデンサ110に近い側に位置し、負極端子142は、着脱検出端子143よりも正極端子141に近い側に位置する。これにより、コンデンサモジュール100の取付過程では、負極端子142が着脱検出端子143よりも先に負極接続端子271に接触し、コンデンサモジュール100の取外し過程では、着脱検出端子143が負極端子142よりも先に負極接続端子271から離れる。
寿命表示部173は、カバー170の先端など、利用者が視認しやすい位置に設けられている。寿命表示部173は、所定以上の高温を経験すると、不可逆的に変色する塗料(負荷逆性示温材塗料)などによって構成されている。電解コンデンサ110の防爆弁が動作すると、高温の蒸気が噴出するため、カバー170の温度が上昇し、寿命表示部173が変色する。これにより、カバー170が不透明であっても、利用者に防爆弁が動作したこと(すなわち、電解コンデンサ110が寿命を迎えたこと)を知らせることができる。なお、寿命表示部173は、高温により変色する塗料と、変色しない塗料とを組み合わせ、防爆弁が動作すると「コンデンサモジュールを交換してください」などの文字が浮き出るように構成してもよい。また、カバー170を透明もしくは半透明とし、寿命表示部173をカバー170の内側に設ける構成としてもよい。その場合、寿命表示部173は、温度ではなく、電解液の水分に反応して、電解コンデンサ110の防爆弁が動作したことを表示する構成であってもよい。
ガス抜き口172は、実施の形態1で説明したガス抜き口171と比べて形状が異なり、スリット状であるが、機能としては、ガス抜き口171と同様であり、防爆弁の動作により噴出した蒸気を逃がす。
なお、寿命表示部173は、電解コンデンサ110の防爆弁の正面に当たる位置に配置することが望ましい。これにより、防爆弁の動作により、確実に寿命表示部173を変色させることができる。
【0026】
電解コンデンサ110の防爆弁が動作すると、電源装置830は、保護機能により動作を停止するので、照明器具800は消灯する。このとき、利用者は、寿命表示部173の表示を見て、消灯の原因を理解する。コンデンサモジュール100は、利用者が容易に交換することができるよう構成されているから、利用者がコンデンサモジュール100を交換することにより、照明器具800を点灯させることができる。
【0027】
図9は、この実施の形態におけるコンデンサモジュール100の回路構成を示す回路図である。
放電回路130は、放電抵抗R31に加えて、プルアップ抵抗R32、スイッチング素子Q33、定電圧ダイオードZ34などを有する。プルアップ抵抗R32(接続判定部)は、正極端子141と着脱検出端子143との間に電気接続している。スイッチング素子Q33は、3つの端子(基準端子、制御端子、被制御端子)を有する。スイッチング素子Q33は、例えばエンハンスメント型nMOSFETである。スイッチング素子Q33は、制御端子(例えばゲート端子)と基準端子(例えばソース端子)との間の電位差が所定の閾値電圧以上である場合に、オンして、被制御端子(例えばドレイン端子)と基準端子との間が導通し、制御端子と基準端子との間の電位差が閾値電圧未満である場合に、オフして、被制御端子と基準端子との間が絶縁する。スイッチング素子Q33の被制御端子は放電抵抗R31の一端に、基準端子は負極端子142に、制御端子は着脱検出端子143に、それぞれ電気接続している。定電圧ダイオードZ34は、例えばツェナーダイオードである。定電圧ダイオードZ34は、両端電圧が所定の閾値電圧に達すると電流が流れ、両端電圧が閾値電圧を超えないようにする。定電圧ダイオードZ34の高電位側端子(カソード端子)は、スイッチング素子Q33の制御端子に電気接続している。定電圧ダイオードZ34の低電位側端子(アノード端子)は、スイッチング素子Q33の基準端子に電気接続している。定電圧ダイオードZ34の閾値電圧は、スイッチング素子Q33の閾値電圧より高く、スイッチング素子Q33の制御端子−基準端子間の耐圧(例えば30V)より低い。
【0028】
コンデンサモジュール100をコンデンサ固定部200に取り付けるときは、まず、負極端子142が負極接続端子271に接触し、次に、着脱検出端子143が負極接続端子271に接触し、最後に、正極端子141が正極接続端子221に接触する。負極接続端子271に、負極端子142と着脱検出端子143とが接触して電気接続することにより、スイッチング素子Q33の制御端子の電位は、基準端子と同じ低電位になる。このため、スイッチング素子Q33がオフになり、放電抵抗R31には電流が流れない。したがって、実施の形態1と異なり、動作中において放電抵抗R31における電力損失がない。なお、プルアップ抵抗R32を流れる電流による電力損失が発生するので、プルアップ抵抗R32の抵抗値は、大きいほうが望ましい。
【0029】
コンデンサモジュール100をコンデンサ固定部200から取り外すときは、まず、正極端子141が正極接続端子221から離れ、次に、着脱検出端子143が負極接続端子271から離れ、最後に、負極端子142が負極接続端子271から離れる。
正極端子141が正極接続端子221から離れた時点で、電解コンデンサ110は、電源装置830から切り離されるが、電解コンデンサ110が充電されているので、正極端子141の電位は、高いままである。
次に、着脱検出端子143が負極接続端子271から離れると、プルアップ抵抗R32を流れる電流が定電圧ダイオードZ34を流れる。電解コンデンサ110の両端電圧が定電圧ダイオードZ34の閾値電圧より大きければ、定電圧ダイオードZ34の両端電圧は、閾値電圧に等しくなる。定電圧ダイオードZ34の閾値電圧は、スイッチング素子Q33の閾値電圧より高いので、スイッチング素子Q33がオンになり、放電抵抗R31を電流が流れて、電解コンデンサ110を放電する。
定電圧ダイオードZ34の閾値電圧は、スイッチング素子Q33の制御端子−基準端子間の耐圧より低いので、スイッチング素子Q33の制御端子−基準端子間に過電圧が加わることによる故障の発生を防ぐことができる。なお、スイッチング素子Q33の制御端子−基準端子間の耐圧が、電解コンデンサ110に充電される最大電圧より大きい場合には、定電圧ダイオードZ34は、なくてもよい。
【0030】
実施の形態1と異なり、動作時において放電抵抗R31における電力損失がないので、放電抵抗R31の抵抗値を小さくすることができる。このため、電解コンデンサ110の静電容量が大きい場合や、動作時における電解コンデンサ110の両端電圧が大きい場合であっても、素早く電解コンデンサ110を放電して、感電の危険がない安全な電圧まで下げることができる。
【0031】
このように、コンデンサモジュール100がコンデンサ固定部200に接続されているか否かを判定して、コンデンサモジュール100がコンデンサ固定部200に接続されている場合は、電解コンデンサ110を放電せず、コンデンサモジュール100がコンデンサ固定部200に接続されていない場合のみ、電解コンデンサ110を放電することにより、電源装置830の動作中における電力損失を抑えることができる。
なお、コンデンサモジュール100がコンデンサ固定部200に接続されているか否かを判定するための構成(接続判定部)や、コンデンサモジュール100がコンデンサ固定部200に接続されていない場合のみ電解コンデンサ110を放電するための構成は、一例であり、他の構成であってもよい。例えば、スイッチング素子Q33に代わりに、コンデンサモジュール100がコンデンサ固定部200に接続されたとき、コンデンサ固定部200に接触して動作する機械的なスイッチを設ける構成であってもよい。
【0032】
以上、各実施の形態で説明した構成は、一例であり、例えば、異なる実施の形態で説明した構成を組み合わせた構成としてもよいし、重要でない部分の構成を、既知の構成など他の構成で置き換えた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 コンデンサモジュール、110 電解コンデンサ、120,831 基板、130 放電回路、141 正極端子、142 負極端子、143 着脱検出端子、151,152 配線、161,162 絶縁部、170 カバー、171,172 ガス抜き口、173 寿命表示部、200 コンデンサ固定部、211 ケース、212 台座部、221 正極接続端子、222,232 基板固定端子、231 摺動端子、261 回転部、262 トルク管理部、263 板バネ、271 負極接続端子、800 照明器具、810 本体、820 光源、830 電源装置、840 光源回路、AC 交流電源、R31 放電抵抗、R32 プルアップ抵抗、Q33 スイッチング素子、Z34 定電圧ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解コンデンサと、上記電解コンデンサの正極に電気接続した正極端子と、上記電解コンデンサの負極に電気接続した負極端子と、上記電解コンデンサを放電する放電回路とを備えるコンデンサモジュールと、
上記正極端子と接触して電気接続する正極接続端子と、上記負極端子と接触して電気接続する負極接続端子とを有し、上記コンデンサモジュールを着脱自在に固定するコンデンサ固定部とを有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
上記コンデンサ固定部は、上記コンデンサモジュールを取り外すとき、上記正極端子と上記正極接続端子との間の接続が、上記負極端子と上記負極接続端子との間の接続よりも先に解除されることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
上記負極端子は、雄ネジ形状であり、
上記正極端子は、上記負極端子の軸の先端に位置し、
上記負極接続端子は、上記負極端子と螺合する雌ネジ形状であり、
上記正極接続端子は、上記負極接続端子の軸上に位置し、上記負極端子と上記負極接続端子とを螺合させたとき、上記正極端子と接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
上記コンデンサ固定部または上記コンデンサモジュールは、上記正極端子と上記正極接続端子とが接触した場合に、上記コンデンサモジュールを締め付けるトルクを逃すトルク管理部を有することを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
上記コンデンサモジュールは、
上記コンデンサモジュールが上記コンデンサ固定部に接続されているか否かを判定する接続判定部を有し、
上記放電回路は、上記コンデンサモジュールが上記コンデンサ固定部に接続されていないと上記接続判定部が判定した場合に、上記電解コンデンサを放電することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
上記コンデンサモジュールは、
上記電解コンデンサの防爆弁が作動したときに発生するガスを抜くためのガス抜き口を有し、上記電解コンデンサの周囲を囲うカバーを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
上記コンデンサモジュールは、
上記電解コンデンサの防爆弁が作動したことを検知し、表示する寿命表示部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電源装置。
【請求項8】
上記寿命表示部は、所定以上の高温を経験すると不可逆的に変色する塗料であることを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電源装置と、
上記電源装置から供給される電力により点灯する光源とを有することを特徴とする照明器具。
【請求項10】
上記コンデンサ固定部は、上記コンデンサモジュールを交換可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の照明器具。
【請求項11】
電解コンデンサと、上記電解コンデンサの正極に電気接続した正極端子と、上記電解コンデンサの負極に電気接続した負極端子と、上記電解コンデンサを放電する放電回路とを備えることを特徴とするコンデンサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−99578(P2012−99578A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244583(P2010−244583)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】