説明

電源装置及び電源装置を備える車両並びに防塵ケース

【課題】ケース同士の接合界面で生じる隙間を確実に閉塞して防塵性能を高める。
【解決手段】ベースプレート4のカバー取付面4aとカバープレート5のベース取付面8aとの接合界面に介在される、長手方向に沿って弾性状に突出する凸条44を設けた封止部材15と、を備える電源装置であって、カバープレート5は、その端縁をベース取付面8aから接合界面と略垂直な方向に延長されて、封止部材15及びカバー取付面4aの側面を覆うアンブレラ部8bを設けており、さらにカバープレート5と封止部材15との間において、ベース取付面8aからアンブレラ部8bに連続して、シール材16が設けられており、ベースプレート4とカバープレート5とを、カバー取付面4aとベース取付面8aとの接合界面に封止部材15を介在させた状態で、シール材16が凸条44と重なるように押圧されて、接合界面を封止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用、あるいは家庭用、工場用の蓄電用途等に使用される大電流用の電源装置及びこのような電源装置を備える車両並びに防塵ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
モータで走行する電気自動車やモータとエンジンの両方で走行するハイブリッド車等の自動車は、複数の電池セルをケースに収納した電源装置を搭載している。この電源装置は、モータで自動車を走行できるように出力を大きくする必要上、多数の電池セルを直列に接続して出力電圧を高くしている。例えば、自動車に搭載される電装用のバッテリの電圧は、多くが12Vであるが、走行用のモータを駆動する電源装置の出力電圧は、一般的には200V以上と極めて高電圧である。
【0003】
この電源装置は、電池セルを収納するケースを防塵、防水構造として電池セルを保護している。ケースに侵入する埃や水滴が、ケース内の電子部品の接触不良や動作不良の原因となる可能性があるためである。特に、ケース同士の接合部分に隙間が生じやすくなる。そこで、バッテリケースの隙間部分を確実にシールできるようにしたシール構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−153128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このバッテリケースの断面図を図20に示す。この図に示すバッテリケースは、トレイ部材51の上面をカバー部材52で閉塞する構造としている。トレイ部材51のカバー取付面55にシール保持溝56が形成され、このシール保持溝56にシール材57が設けられる。シール保持溝56とシール材57は、トレイ部材51の周壁54の全周にわたって連続している。金属製のインサート部材61に第1の埋込みナット62が設けられている。カバー取付面55にカバー部材52のフランジ部58を重ね、第1の埋込みナット62に、ボルト60をねじ込むことにより、トレイ部材51とカバー部材52とがシール材57を介して互いに締結される。これにより、トレイ部材51とカバー部材52との接合部をシール材57によって確実にシールすることができ、バッテリケースの防塵性能を高めることができる。
【0006】
上記構造ではシール材を延長することでトレイ部材とカバー部材との接合面をシールできる。しかしながら、シール材を設けることができない部位においては、このようなシール構造を発揮できないという問題があった。例えば、図21〜図22の斜視図に示すようにバッテリケースをカバー63とトレイ部材65のみならず、側面のサイドプレート66を別部材とするような構成では、図23に示すようにサイドプレート66とシール材64との間に微小な隙間GPが生じる。この部分の隙間をシール材64を延長してシールしようとしても、製造公差等を考慮するとシール材64を隅部の隙間まで完全に延長することが困難であった。このような場合に、隙間GPの部分から粉塵や水滴の侵入を完全に阻止できなくなる。例えば車載用電源装置では75μm以下の粉塵の侵入を阻止できるような構造が求められる場合があり、従来の構造では十分に対応することができなかった。
【0007】
本発明は、従来のこのような問題点を解決することを目的になされたものである。その主な目的は、ケースの接合界面の隙間を確実にシール可能な電源装置及び電源装置を備える車両並びに防塵ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電源装置によれば、複数の電池セル1を連結してなる電池ブロック2と、前記電池ブロック2を収納する、周縁にカバー取付面4aを備えるベースプレート4と、前記ベースプレート4の上面を閉塞する、周縁に前記カバー取付面4aと接合するベース取付面8a、7a、5a’を備えるカバープレート5と、前記ベースプレート4の前記カバー取付面4aと前記カバープレート5のベース取付面8a、7a、5a’との接合界面に介在される、長手方向に沿って弾性状に突出する凸条44を設けた封止部材15と、を備える電源装置であって、前記カバープレート5は、その端縁を前記ベース取付面8a、7a、5a’から前記接合界面と略垂直な方向に延長されて、前記封止部材15及びカバー取付面4aの側面を覆うアンブレラ部8bを設けており、さらに前記カバープレート5と封止部材15との間において、前記ベース取付面8a、7a、5a’からアンブレラ部8bに連続して、シール材16が設けられており、前記ベースプレート4とカバープレート5とを、前記カバー取付面4aと前記ベース取付面8a、7a、5a’との接合界面に前記封止部材15を介在させた状態で、前記シール材16が前記凸条44と重なるように押圧されて、前記接合界面を封止している。これにより、ベース取付面からアンブレラ部の裏面に設けられたシール材でもって接合界面を、これと略垂直な方向から押圧して、防塵構造を実現することができる。
【0009】
また第2の側面に係る電源装置によれば、さらに前記カバープレート5と前記ベースプレート4との側面の開口部を閉塞するサイドプレート6を備えており、前記サイドプレート6と前記接合界面との境界部分に隙間が形成されており、前記アンブレラ部8b及びシール材16が、該隙間部分に設けられている。これにより、製造公差などのためにサイドプレートと接合界面との間に隙間が形成されても、該隙間をシール材で確実に閉塞でき、防塵構造を確保できる利点が得られる。
【0010】
さらに第3の側面に係る電源装置によれば、前記アンブレラ部8bが、前記ベースプレート4とサイドプレート6との界面を覆うように、前記ベースプレート4の長手方向に延長することができる。これにより、ベースプレートとサイドプレートとの界面をカバープレートで覆いつつ、アンブレラ部の裏面で隙間を埋めて防塵構造を実現できる。
【0011】
さらにまた、第4の側面に係る電源装置によれば、前記シール材16を、前記カバープレート5の裏面に貼付することができる。これにより、シール材の位置決め作業を不要にでき、電源装置の組み立て作業を省力化できる利点が得られる。
【0012】
さらにまた、第5の側面に係る電源装置によれば、前記封止部材15を、板状の剛性体と、前記剛性体と係合される板状の弾性体とで構成することができる。これにより、ゴム製のパッキンなどを使用した際の経年劣化を防止でき、長期に渡って安定して利用できる。特に車載用の電源装置のように、振動や衝撃に晒される環境下でも、信頼性高く防塵構造を維持できる。また屋外に設置される街路灯用の電源装置等、風雨や風雪に晒される環境下でも、長期に渡って利用できる利点が得られる。
【0013】
さらにまた、第6の側面に係る電源装置によれば、前記剛性体と弾性体との界面が、部分的に折曲するよう形成され、前記凸条44を、該折曲に沿って前記弾性体上に設けることができる。
【0014】
さらにまた、第7の側面に係る車両によれば、上記いずれかの電源装置を備えることができる。
【0015】
さらにまた、第8の側面に係る防塵ケースによれば、周縁にカバー取付面4aを備えるベースプレート4と、前記ベースプレート4の上面を閉塞する、周縁に前記カバー取付面4aと接合するベース取付面8a、7a、5a’を備えるカバープレート5と、前記ベースプレート4の前記カバー取付面4aと前記カバープレート5のベース取付面8a、7a、5a’との接合界面に介在される、長手方向に沿って弾性状に突出する凸条44を設けた封止部材15と、を備える防塵ケースであって、前記カバープレート5は、その端縁を前記ベース取付面8a、7a、5a’から前記接合界面と略垂直な方向に延長されて、前記封止部材15及びカバー取付面4aの側面を覆うアンブレラ部8bを設けており、さらに前記カバープレート5と封止部材15との間において、前記ベース取付面8a、7a、5a’からアンブレラ部8bに連続して、シール材16が設けられており、前記ベースプレート4とカバープレート5とを、前記カバー取付面4aと前記ベース取付面8a、7a、5a’との接合界面に前記封止部材15を介在させた状態で、前記シール材16が前記凸条44と重なるように押圧されて、前記接合界面を封止することができる。これにより、ベース取付面からアンブレラ部の裏面に設けられたシール材でもって接合界面を、これと略垂直な方向から押圧して、防塵構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1に係る電源装置を示す斜視図である。
【図2】図1から電子部品カバーを外した状態を示す分解斜視図である。
【図3】図2を斜め下方から見た斜視図である。
【図4】図2からさらにサイドプレートを外した状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示す電源装置の電池ブロックを示す斜視図である。
【図6】図1に示す電源装置のVI−VI線における断面図である。
【図7】図1に示す電源装置のVII−VII線における断面図である。
【図8】図1のVIII−VIII線における拡大断面図である。
【図9】図1のIX−IX線における拡大断面図である。
【図10】封止部材の外形を示す斜視図である。
【図11】図10の封止部材の分解斜視図である。
【図12】カバー取付面とベース取付面の接合部分を示す断面斜視図である。
【図13】隙間部分を示す拡大分解斜視図である。
【図14】図13のカバーケースをベースプレートに取り付けた状態を示す拡大斜視図である。
【図15】図13の背面側の斜め下方から見た分解斜視図である。
【図16】実施例2に係る電源装置を示す斜視図である。
【図17】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図18】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図19】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【図20】従来のバッテリケースを示す断面図である。
【図21】本願出願人が先に開発した電源装置の外観を示す斜視図である。
【図22】図21のケースの分解斜視図である。
【図23】図21のカバーケースを外した状態でサイドプレートと接合界面との間に形成される隙間を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置及び電源装置を備える車両を例示するものであって、本発明は電源装置及び電源装置を備える車両並びに防塵ケースを以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施例1)
【0018】
図1〜図15に基づいて、実施例1に係る電源装置として、車載用の電源装置に適用した例を説明する。これらの図に示す電源装置は、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車や、モータのみで走行する電気自動車などの電動車両の電源に最適である。ただ、本発明の電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車以外の車両に使用し、また、電動車両以外の大出力が要求される用途にも使用できる。またケースは、電源装置以外にも、電子回路を収納する制御装置等、機械的強度を高めつつ、内部の部材を粉塵などから保護する防塵機能、あるいは浸水から保護する防水機能を備えたケーシングとして好適に利用できる。
【0019】
図1〜図4に示す車両用の電源装置100は、複数の電池セル1を連結している電池ブロック2と、この電池ブロック2に接続している電池状態検出部3と、この電池ブロック2と電池状態検出部3を上に固定しているベースプレート4と、このベースプレート4の上面を閉塞するカバープレート5と、このカバープレート5とベースプレート4との両端開口部を閉塞してなるサイドプレート6とを備える。カバープレート5でベースプレート4を閉塞することで、これらの内部には、図7に示すように電池ブロック2を収納する電池収納部12と、電池状態検出部3を収納する電子部品収納部13とが設けられる。また図4に示すカバープレート5は、内部に電池収納部12を設けてなるトップカバー7と、内部に電子部品収納部13を設けてなる電子部品カバー8とを備えている。
(電池ブロック2)
【0020】
電池ブロック2は、図6に示すように、複数の電池セル1をセパレータ21を介して積層するように配置して、両端をエンドプレート22で挟着している。この電池ブロック2は、複数の電池セル1を互いに隣接して配設して、隣接する電池セル1の電極端子14を接続している。隣接する電池セル1の電極端子14は、バスバー(図示せず)を介して電気接続している。
【0021】
電池セル1は角形電池である。角形電池は、角形の外装缶の開口部を封口板で気密に閉塞している。角形電池は、円筒型電池と比較して効率よく配置でき、単位体積当たりのエネルギー密度を高くできる。特に車載用途では省スペース化の要求が高く、好ましい。このような電池セル1には、リチウムイオン二次電池等、角形の二次電池が利用できる。また、ニッケル電池等の二次電池とすることもできる。電池の電極端子14は、直列又は並列に接続される。
【0022】
電池セル1は、底を閉塞しているアルミニウムなどの金属製の外装缶の上面を、アルミニウムなどの金属製の封口板で閉塞している。角形電池は、封口板の外周縁をレーザー溶接して、封口板を外装缶の開口部に気密に固定している。封口板は、正負の電極端子14を両端部に固定して、隣接する電池セル1の電極端子14を連結して直列に接続している。電極端子14は、図7に示すように端子カバー23で被覆している。
【0023】
電池ブロック2は、図5、図6の断面図に示すように、隣接する電池セル1の間にセパレータ21が挟着される。セパレータ21は、電池セル1の外形にほぼ等しい大きさの四角形で、隣接する電池セル1に挟まれて絶縁する。セパレータ21は、耐熱性、断熱性に優れた絶縁材で構成され、好ましくは軽量で安価な樹脂により形成される。例えば熱伝導率の小さい(望ましくは0.5W/m以下)、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成樹脂が利用できる。これにより、セパレータ21で電池セル1を保護すると共に、隣接する電池同士を絶縁して断熱する。またセパレータ21は、凸条と溝とが交互に並ぶ凹凸状として、溝に冷却媒体を通すことにより、電池セル1を側面から冷却する。
【0024】
電池ブロック2は、セパレータ21と電池セル1を交互に積層して、両端面を一対のエンドプレート22で挟着して固定している。エンドプレート22は、全体をプラスチックで成形し、あるいは金属をプラスチックにインサート成形し、あるいは又アルミニウムなどで製作される。図5のエンドプレート22は、外形を電池セル1の外形として、両端面で露出する電池セル1を被覆できる大きさに形成している。一対のエンドプレート22は、連結具24で連結されて、間に積層している電池セル1とセパレータ21を挟着して固定している。連結具24を固定するために、エンドプレート22の両側の上下に一対のネジ穴(図示せず)を設けている。このねじ穴に、連結具24の端部の貫通孔に挿通される止ネジ25をねじ込んで、一対のエンドプレート22を固定して電池ブロック2とする。
(電池状態検出部3)
【0025】
電池状態検出部3は、電池セル1に接続されて、電池セル1の電圧、電流、残容量などの電池状態を検出して電池セル1の充放電をコントロールする。電池状態検出部3は、電池セル1の電圧を検出し、充電している電池セル1の電圧が最高電圧よりも高くなると充電電流を制限又は遮断して電池セル1の過充電を防止する。また、放電している電池セル1の電圧が最低電圧よりも低くなると、放電電流を制限又は遮断して過放電を防止する。さらに、充電している電池セル1の残容量があらかじめ設定している最大値よりも大きくなると充電電流を制限又は遮断し、残容量が最小値よりも小さくなると放電電流を制限又は遮断して、過充電や過放電を防止して、電池セル1を保護する。また、電池状態検出部3は、電池セル1の温度を検出して、電池セル1の温度があらかじめ設定している最高温度よりも高くなり、あるいは最低温度よりも低くなると、充放電の電流を制限又は遮断して電池セル1を保護する。さらに、電池状態検出部3は、電池セル1の電流を検出して、電池セル1に過大な電流が流れると電流を遮断して電池セル1を保護する。電池状態検出部3は、電子部品を回路基板に実装しており、電池セル1の状態を検出して電池セル1の充放電をコントロールする。
(ベースプレート4、カバープレート5、サイドプレート6)
【0026】
図1〜図4の電源装置100は、ベースプレート4の上にカバープレート5を固定して、電池ブロック2を収納する電池収納部12と電池状態検出部3の電子部品を収納する電子部品収納部13とを設けてなる外装ケース10としている。カバープレート5は、トップカバー7と電子部品カバー8とからなる。外装ケース10は、ベースプレート4にトップカバー7を固定して内部に電池収納部12を設けている。また、ベースプレート4に電子部品カバー8を固定して電子部品収納部13を設けている。さらに、外装ケース10は、ベースプレート4の上にカバープレート5を固定して、その両端の開口部をサイドプレート6で閉塞して、防塵構造の電池収納部12と電子部品収納部13を内部に設けている。
【0027】
カバープレート5のトップカバー7と電子部品カバー8は、図6に示すように、その両端縁にサイドプレート6を上面から外側面に沿って下方に伸びる端縁カバー部7X、8Xを設けている。この端縁カバー部7X、8Xは、カバープレート5のトップカバー7及び電子部品カバー8とサイドプレート6との間を防塵構造としている。とくに、カバープレート5の上に落下する水を、端縁カバー部7X、8Xでサイドプレート6の外側に流して外装ケース10の内部に侵入するのを防止する。
【0028】
ベースプレート4とトップカバー7と電子部品カバー8は、収納する電池ブロック2の重量に耐える強度の金属プレートである。ベースプレート4とトップカバー7は、金属プレートをプレス加工して製作している。ベースプレート4とトップカバー7の金属プレートは、表面をメッキや塗装した鉄や鉄合金であるが、アルミニウムやアルミニウム合金の金属プレート等の全ての金属プレートとすることもできる。ベースプレート4とトップカバー7は、同じ厚さの金属プレートで製作され、あるいはベースプレート4をトップカバー7よりも厚い金属プレートで製作している。電子部品カバー8は、アルミダイキャスト製である。アルミダイキャストは、複雑な形状に成形できるので、電子部品カバー8として最適な形状にできる。また、アルミニウムの優れた放熱特性によって、収納している電池状態検出部3の電子部品を効率よく放熱できる。ただし、電子部品カバーも、鉄や鉄合金、あるいはアルミニウムやアルミニウム合金の金属プレートをプレス加工して製作することも可能である。
【0029】
ベースプレート4とトップカバー7は金属プレートを溝状に、一方電子部品カバー8は金属プレートをL字状に、それぞれプレス加工して製作している。ベースプレート4とトップカバー7は両側に側壁部4A、7Aを、電子部品カバー8は片側に側壁部8Aを設けている。図7の電源装置100は、ベースプレート4の横幅をトップカバー7よりも広くして、ベースプレート4の側壁部4Aとトップカバー7の側壁部7Aの間に電池状態検出部3を収納する電子部品収納部13を設けて、その上面を電子部品カバー8で閉塞している。ベースプレート4は、電子部品収納部13の幅に相当する横幅を、トップカバー7の横幅よりも広くしている。すなわち、ベースプレート4の横幅は、トップカバー7の横幅に電子部品収納部13の横幅を加算した幅としている。
(カバー取付面4a)
【0030】
ベースプレート4は、一方の、図7において左側に設けている側壁部4Aをトップカバー7の側壁部7Aに固定している。トップカバー7の右側の側壁部7Aは、ベースプレート4の底部に固定されて、電池ブロック2を収納する電池収納部12と電子部品収納部13とを区画している。底部に固定されるトップカバー7の右側の側壁部7Aは、左の側壁部7Aよりも高さを高くして、下端縁をベースプレート4の底部に固定できるようにしている。ベースプレート4とトップカバー7は、該周縁を互いに固定するための接合界面としている。このためベースプレート4は、周縁にカバー取付面4aを設けている。カバー取付面4aは、ベースプレート4の側壁部を外側に折曲して、一定幅の水平面状に設けられる。
(ベース取付面7a、8a)
【0031】
またカバープレート5は、同じく側壁部を外側に折曲して、カバー取付面4aと接合するベース取付面を周縁に設けている。図4、図7の例では、カバープレート5をトップカバー7と電子部品カバー8で構成しているため、トップカバー7にはベース取付面7a、電子部品カバー8にはベース取付面8aを、それぞれ設けている。これらカバー取付面4aとベース取付面7a、8aとを、封止部材15(後述)を介在させて接合して、この接合界面の防塵構造を実現している。
【0032】
図7に示す電源装置100は、ベースプレート4の両側にほぼ同じ高さの側壁部4Aを設けている。図において、ベースプレート4の左側の側壁部4Aは、トップカバー7の左側の側壁部7Aを固定している。ベースプレート4の右側の側壁部4Aは、トップカバー7の側壁部7Aに固定することなく、トップカバー7に固定している電子部品カバー8の側壁部8Aに固定している。トップカバー7も両側に側壁部7Aを設けている。図において、トップカバー7の右側の側壁部7Aは、左側の側壁部7Aよりも高さが高く、高さの低い側壁部7Aを、ベースプレート4の左側の側壁部4Aに固定して、高さの高い右側の側壁部7Aを、ベースプレート4の底部に固定している。
【0033】
トップカバー7は、上面の片側に電子部品カバー8を積層して固定している。この電子部品カバー8は、図2等に示すように金属板をL字状に加工して、天板8Bの片側に側壁部8Aを設けた形状としている。この電子部品カバー8は、天板8Bの端縁を、トップカバー7の上縁に積層して固定して、側壁部8Aの下端縁に設けた折曲されたベース取付面8aをベースプレート4の右側の側壁部4Aの上端縁の折曲されたカバー取付面4aに固定している。この構造の外装ケース10は、トップカバー7の右側に設けている側壁部7Aが、電池ブロック2の電池収納部12と電子部品収納部13とを区画する。
(封止部材15)
【0034】
サイドプレート6の上に固定されるカバープレート5は、サイドプレート6との間を防塵構造とするために、封止部材15を挟着している。封止部材15は、サイドプレート6の上面に固定されて、サイドプレート6の上面とカバープレート5の内面との間に挟着されて、カバープレート5とサイドプレート6との間を封止し、防塵構造とする。このように封止部材15はガスケットとして機能する。封止部材15は、図10の斜視図及び図11の分解斜視図に示すように、平板状の剛性体41と、剛性体41の一面に接続された弾性体42とを備える。弾性体42は、防塵、水密などの封止構造を実現する。
(剛性体41)
【0035】
剛性体41は、ほぼ平板状の金属板で構成される。また図2及び図3に示すように、カバープレート5のベース取付面7a、8aとベースプレート4のカバー取付面4aの接合界面を段差状に形成している場合は、これらの接合界面の段差に沿って段差状に折曲させることで、隙間を低減して狭持されるように構成できる。
(貫通孔43)
【0036】
剛性体41には、固定部材を貫通させるための貫通孔43を開口している。貫通孔43は、ベースプレート4及びカバープレート5の接合界面の、各々対向する位置に固定部材を挿入するためベース取付面7a、8aに開口された固定孔47と対応する部位に開口される。固定孔47及び貫通孔43を介して固定部材が挿入され、固定される。ここでは固定部材としてスタッドボルト27とナット28で固定される。
(固定部材)
【0037】
固定部材は、ボルトやナットが好適に利用できる。また、リベットを利用することもできる。図の例では、固定ねじであるスタッドボルト27を使用し、固定孔47にスタッドボルト27を挿入してスタッドボルト27とナット28との螺合によってベースプレート4及びカバープレート5の接合界面を強固に固定している。またナットを使用せず、固定孔をねじ穴とする構成も利用できる。
【0038】
図12の断面図に示すように、貫通孔43の部分には弾性体を設けないことで、固定部材の固定に際して、弾性体が介在されず、弾性体の劣化によって固定が緩んだり、振動によって弾性体が圧縮されてがたつくなどの事態を回避でき、安定した固定状態が実現される。
【0039】
さらに貫通孔43は、好ましくは弾性体42に設けられた凸条44(後述)から離間させた位置に開口する。これにより、固定部材で固定される貫通孔43の部分から弾性体42などの封止構造を排除することで、外部応力が固定部材に集中しても弾性体42に起因するがたつき等がなく、締結力を安定的に発揮でき信頼性を向上できる。また貫通穴や固定穴は、円形とする他、製造公差やねじ止め位置の調整を考慮して長穴にしてもよい。
【0040】
さらにまた、貫通孔43は好ましくは封止部材15により封止される封止空間の外側に設ける。これによって、貫通孔43を介した浸水を考慮する必要も無くなる。
(弾性体42)
【0041】
弾性体42は、剛性体41の一面に、長さ方向に沿って装着されている。この弾性体42は、剛性体41の表面から突出して弾性変形し、ベースプレート4とカバープレート5とを封止する。このため弾性体42は、ベースプレート4及びカバープレート5に対向する接合界面に対して、ほぼ垂直方向に突出する凸条44を備えている。凸条44は、図10、図11の分解斜視図に示すように、封止部材15の長手方向に沿って延長されている。図10、図11の例では、凸条44は断面が先細りする山形のリブ状に設けられる。この弾性体42はゴムなどの弾性部材で一体的に形成されている。
【0042】
弾性体42の厚さは、剛性体41とほぼ同じか、好ましくは剛性体41よりも若干薄く形成する。これにより、ベースプレート4とカバープレート5とで狭持される弾性部材の固定が、金属板同士を直接接触させて行えるので、強度及び信頼性を向上できる。特に、剛性体41がベースプレート4とカバープレート5と接合する座面を広くすることで、ベースプレート4とカバープレート5に対して、広い面積で接触できるため、振動や衝撃に際しても応力の集中が回避され、振動強度が保たれる。
【0043】
ベースプレート4とカバープレート5に狭持される封止部材を単にパッキンのような弾性体のみで形成すると、パッキンの厚さ方向、すなわちベースプレートとカバープレートとの接合界面での距離が応力で変形する。このため、特に接合界面同士が振動により接触したり擦れ合うことで、摩耗や破損を生じるおそれが考えられる。またゴム製のパッキンが経年劣化して弾性力が低下することも考えられる。このため、金属板同士の接合界面に金属製の板材を介在させて、金属板同士を安定的に固定することで、このような距離変化やがたつきを低減し、安定的に固定することができ、また防塵性能、防水性能も安定的に維持される。
(係止体46)
【0044】
これらの剛性体41と弾性体42とは、係止や嵌合構造により連結されている。図11の例では、弾性体42が平面方向に突出させた係止体46を備え、一方の剛性体41が係止体46を嵌入する形状に構成された係合部45を平面方向に形成している。これらの係止体46を係合部45に嵌入して、封止部材15が構成される。図11の例では、弾性体42はT字状に形成され、凸条44の突出方向と直交する方向、すなわち封止部材15の平面に沿って突出されている。また剛性体41にはこの係止体46を挿入できるT字状に切り欠いた係合部45を形成している。これによって、弾性体42の係止体46を剛性体41の係合部45に嵌入して、弾性体42を剛性体41に連結、固定できる。係止体46は、弾性体42に一体成型により形成される。係合部45は、係止体46よりも若干小さい大きさに形成することで、弾性体42の係止体46を係合部45に嵌入することで係止体46が弾性変形して、隙間なく弾性体42と剛性体41とを連結できる。またT字状の係止体46と係合部45は、水平方向に抜けない上、弾性体42と剛性体41との位置決めも実現される。特に係止体46と係合部45とが正確に位置決めされることで、ケース本体とカバープレート5との接合界面に封止部材を狭着させる際に、弾性体を意図しない姿勢で噛み込んでしまう事態が回避される。例えば、接合界面に弾性体の位置決め用モールドを設ける構成などでは、固定時に弾性体が位置ずれしたり界面に噛みこんでも、固定後にそのような不具合を確認できない。これに対して、上述のように弾性体42を剛性体41と一体的に連結した封止部材15とすることで、ケース本体とカバープレート5の固定に際して封止部材15の位置を明確に視認でき、また弾性体42の位置ずれが剛性体41の位置ずれとなるため、噛み込みが生じても確認でき、連結の信頼性が向上する。なお、係止体46はT字状とする他、L字状や十字状等、他の形状とすることもできる。
【0045】
このように封止部材15を剛性体41と弾性体42とで構成することで、防塵性能を長期に渡って維持できる。従来のゴム製のパッキンでは、特に車両用の電源装置のような振動や衝撃に晒される環境下では防塵構造を長期間にわたって維持することが困難であった。ゴム製のパッキンは、劣化すると弾性力が弱まり、封止性能が損なわれる。これに対し、上述の通り金属板のような剛性体を弾性体と組み合わせることで、強い衝撃が生じても弾性体への負荷を低減でき、振動に対しても耐久性、信頼性を高めた防塵構造を実現できる。
(アンブレラ部8b)
【0046】
以上のように、ベースプレート4とカバープレート5との接合界面に封止部材15を介在させることで、図8に示すように封止部材15の長手方向に沿って防塵構造を実現できる。ただ、封止部材を配置できない部位においては、このような防塵を図ることができなくなる。例えば、接合界面の隅部、すなわちサイドプレートとの界面においては、封止部材の製造公差を考えると封止部材の端面がサイドプレートに完全に接するように形成することが困難であり、図23に示すように隙間GPが生じてしまう。よって、封止部材のみではこの部分の隙間を埋めることができなくなる。そこで、図13の分解斜視図、図14の斜視図、図9の断面図に示すようにカバープレート5のベース取付面8aを折曲したアンブレラ部8bを設け、接合界面を外側から覆うと共に、カバープレート5の裏面において、ベース取付面8aからアンブレラ部8bに渡ってシール材16を設けている。この結果、アンブレラ部8bは接合界面に対してほぼ垂直な方向から、封止部材15及びカバー取付面4aの側面を覆うこととなる。さらにアンブレラ部8bは、図13及び図14に示すように、ベースプレート4とサイドプレート6との界面も被覆するように、ベースプレート4の長手方向に延長されている。これによって、接合界面における上下方向からの押圧でなく、水平方向からの押圧構造を付加し、しかも隙間の部分を覆うように延長することで、隙間を閉塞することができる。
(シール材16)
【0047】
シール材16は、クッション性に優れたウレタンなどの弾性部材で構成できる。シール材16は、カバープレート5のベース取付面8aの裏面全面に設ける必要はなく、長手方向において少なくとも隙間部分を覆うことのできる長さとする。また幅方向において、図9に示すように少なくとも封止部材15の凸条44と重なるような幅とする。これにより、封止部材15の凸条44ではカバーできない隙間を確実に埋めて、凸条44と連続的、一体的に防塵構造を形成できる。
【0048】
また図15に示すように、シール材16を予めアンブレラ部8bの裏面に貼付しておくことが好ましい。これにより、シール材16の位置決め作業を不要として組立時の作業性を高めることができる。あるいは、シール材をカバープレート側でなく、封止部材側に貼付しておく構成としてもよい。
【0049】
なお上記の例ではカバープレート側にアンブレラ部8bを設けて防塵構造を実現しているが、この構成に限られず、例えばベースプレート側にアンブレラ部を設けても同様の防塵構造を実現できる。ただ、この場合はベースプレートのカバー取付面から上向きに折曲してアンブレラ部を設ける構造となるため、上側に開口するようにアンブレラ部が形成され、上方から落下する埃をアンブレラ部が拾いやすくなるという問題がある。そこで、このような問題の少ない、下向きに開口させたアンブレラとできる上述したカバープレート側のベース取付面から下向きに折曲したアンブレラ面とすることが、より好ましいといえる。
(実施例2)
【0050】
なお、上述の例ではサイドプレートを除いてケースをベースプレートと、2つのカバープレートで三分割とした構成を説明したが、本発明はこの構成に限定されるものでない。例えば上ケースと下ケースにケースを二分割した構成においても適用できる。このような構成を実施例2として図16に示す。この図に示す電源装置100Bのケースは、上方を開口しているベースプレート4Bと、このベースプレート4Bの開口部を閉塞するカバープレート5Bで構成される。カバープレート5Bは、封止部材15を介して、開口部を防塵状態に閉塞して、固定部材で固定している。ベースプレート4Bは、上方を開口する箱形として、内部に電池ブロック2や電子部品などを収納している。ベースプレート4Bは周囲にカバー取付面4a’を設けて、このカバー取付面4a’の上縁をカバープレート5Bのベース取付面5a’に封止部材15を介して防塵構造で連結している。
【0051】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車などの電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。
(ハイブリッド車用電源装置)
【0052】
図17に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置100、100Bと、電源装置100、100Bの電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100、100Bは、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100、100Bの電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100、100Bから電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100、100Bの電池を充電する。
(電気自動車用電源装置)
【0053】
また図18に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置100、100Bと、この電源装置100、100Bの電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置100、100Bから電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100、100Bの電池を充電する。
(蓄電用電源装置)
【0054】
さらに、この電源装置は、移動体用の動力源としてのみならず、載置型の蓄電用設備としても利用できる。例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力などで充電し、必要時に放電する電源システム、あるいは日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源などにも利用できる。このような例を図19に示す。この図に示す電源装置100、100Bは、複数の電池パック81をユニット状に接続して電池ユニット82を構成している。各電池パック81は、複数の電池セルが直列及び/又は並列に接続されている。各電池パック81は、電源コントローラ84により制御される。この電源装置100、100Bは、電池ユニット82を充電用電源CPで充電した後、負荷LDを駆動する。このため電源装置100、100Bは、充電モードと放電モードを備える。負荷LDと充電用電源CPはそれぞれ、放電スイッチDS及び充電スイッチCSを介して電源装置100、100Bと接続されている。放電スイッチDS及び充電スイッチCSのON/OFFは、電源装置100、100Bの電源コントローラ84によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ84は充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをOFFに切り替えて、充電用電源CPから電源装置100、100Bへの充電を許可する。また充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で負荷LDからの要求に応じて、電源コントローラ84は充電スイッチCSをOFFに、放電スイッチDSをONにして放電モードに切り替え、電源装置100、100Bから負荷LDへの放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをONにして、負荷LDの電力供給と、電源装置100、100Bへの充電を同時に行うこともできる。
【0055】
電源装置100、100Bで駆動される負荷LDは、放電スイッチDSを介して電源装置100、100Bと接続されている。電源装置100、100Bの放電モードにおいては、電源コントローラ84が放電スイッチDSをONに切り替えて、負荷LDに接続し、電源装置100、100Bからの電力で負荷LDを駆動する。放電スイッチDSはFET等のスイッチング素子が利用できる。放電スイッチDSのON/OFFは、電源装置100、100Bの電源コントローラ84によって制御される。また電源コントローラ84は、外部機器と通信するための通信インターフェースを備えている。図19の例では、UARTやRS−232C等の既存の通信プロトコルに従い、ホスト機器HTと接続されている。また必要に応じて、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。
【0056】
さらにこの電源装置100、100Bは、電池ユニット82の均等化のための均等化モードを備える。電池ユニット82は並列接続スイッチ85を介して出力ラインOLに接続されて互いに並列に接続されている。このため電源コントローラ84に制御される均等化回路86を備えている。均等化回路86によって、複数の電池ユニット82間の電池残存容量のばらつきを抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る車両用電源装置及び電源装置を備える車両並びに防塵ケースは、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車などの電源装置として好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機などのバックアップ電源用などの用途にも適宜利用できる。さらに防塵ケースは、電源装置を収納するケースに限られず、防塵構造が求められる他の用途にも好適に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
100、100B…電源装置
1…電池セル
2…電池ブロック
3…電池状態検出部
4、4B…ベースプレート;4A…側壁部;4a、4a’…カバー取付面
5、5B…カバープレート
5a’…ベース取付面
6…サイドプレート
7…トップカバー;7A…側壁部;7a…ベース取付面;7X…端縁カバー部
8…電子部品カバー;8A…側壁部;8B…天板
8a…ベース取付面;8bアンブレラ部;8X…端縁カバー部
10…外装ケース
12…電池収納部
13…電子部品収納部
14…電極端子
15…封止部材
16…シール材
21…セパレータ
22…エンドプレート
23…端子カバー
24…連結具
25…止ネジ
27…スタッドボルト
28…ナット
41…剛性体
42…弾性体
43…貫通孔
44…凸条
45…係合部
46…係止体
47…固定孔
51…トレイ部材
52…カバー部材
54…周壁
55…カバー取付面
56…シール保持溝
57…シール材
58…フランジ部
60…ボルト
61…インサート部材
62…ナット
63…カバー
64…シール材
65…トレイ部材
66…サイドプレート
81…電池パック;82…電池ユニット;84…電源コントローラ
85…並列接続スイッチ;86…均等化回路
93…モータ;94…発電機;95…DC/ACインバータ;96…エンジン
EV、HV…車両
LD…負荷;CP…充電用電源;DS…放電スイッチ;CS…充電スイッチ
OL…出力ライン;HT…ホスト機器;GP…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セル(1)を連結してなる電池ブロック(2)と、
前記電池ブロック(2)を収納する、周縁にカバー取付面(4a)を備えるベースプレート(4)と、
前記ベースプレート(4)の上面を閉塞する、周縁に前記カバー取付面(4a)と接合するベース取付面(8a;7a;5a')を備えるカバープレート(5)と、
前記ベースプレート(4)の前記カバー取付面(4a)と前記カバープレート(5)のベース取付面(8a;7a;5a')との接合界面に介在される、長手方向に沿って弾性状に突出する凸条(44)を設けた封止部材(15)と、
を備える電源装置であって、
前記カバープレート(5)は、その端縁を前記ベース取付面(8a;7a;5a')から前記接合界面と略垂直な方向に延長されて、前記封止部材(15)及びカバー取付面(4a)の側面を覆うアンブレラ部(8b)を設けており、
さらに前記カバープレート(5)と封止部材(15)との間において、前記ベース取付面(8a;7a;5a')からアンブレラ部(8b)に連続して、シール材(16)が設けられており、
前記ベースプレート(4)とカバープレート(5)とを、前記カバー取付面(4a)と前記ベース取付面(8a;7a;5a')との接合界面に前記封止部材(15)を介在させた状態で、前記シール材(16)が前記凸条(44)と重なるように押圧されて、前記接合界面を封止してなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、さらに、
前記カバープレート(5)と前記ベースプレート(4)との側面の開口部を閉塞するサイドプレート(6)を備えており、
前記サイドプレート(6)と前記接合界面との境界部分に隙間が形成されており、
前記アンブレラ部(8b)及びシール材(16)が、該隙間部分に設けられてなることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記アンブレラ部(8b)が、前記ベースプレート(4)とサイドプレート(6)との界面を覆うように、前記ベースプレート(4)の長手方向に延長されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記シール材(16)が、前記カバープレート(5)の裏面に貼付されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記封止部材(15)が、板状の剛性体と、前記剛性体と係合される板状の弾性体とで構成されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電源装置であって、
前記剛性体と弾性体との界面が、部分的に折曲するよう形成され、
前記凸条(44)が、該折曲に沿って前記弾性体上に設けられてなることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の電源装置を備える車両。
【請求項8】
周縁にカバー取付面(4a)を備えるベースプレート(4)と、
前記ベースプレート(4)の上面を閉塞する、周縁に前記カバー取付面(4a)と接合するベース取付面(8a;7a;5a')を備えるカバープレート(5)と、
前記ベースプレート(4)の前記カバー取付面(4a)と前記カバープレート(5)のベース取付面(8a;7a;5a')との接合界面に介在される、長手方向に沿って弾性状に突出する凸条(44)を設けた封止部材(15)と、
を備える防塵ケースであって、
前記カバープレート(5)は、その端縁を前記ベース取付面(8a;7a;5a')から前記接合界面と略垂直な方向に延長されて、前記封止部材(15)及びカバー取付面(4a)の側面を覆うアンブレラ部(8b)を設けており、
さらに前記カバープレート(5)と封止部材(15)との間において、前記ベース取付面(8a;7a;5a')からアンブレラ部(8b)に連続して、シール材(16)が設けられており、
前記ベースプレート(4)とカバープレート(5)とを、前記カバー取付面(4a)と前記ベース取付面(8a;7a;5a')との接合界面に前記封止部材(15)を介在させた状態で、前記シール材(16)が前記凸条(44)と重なるように押圧されて、前記接合界面を封止してなることを特徴とする防塵ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−138307(P2012−138307A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291365(P2010−291365)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】