説明

電源装置

【課題】 出力変圧器の磁気飽和を抑制しつつ、当該出力変圧器を含む電源装置全体を小型化かつ計量化し、さらには低コスト化する。
【解決手段】 この発明に係る電源装置10によれば、インバータ回路22が採用されている。そして、このインバータ回路22の入力電圧が、入力検出回路62によって検出される。ここで、検出された入力電圧、言い換えれば商用電源電圧が、極端に増大したときは、インバータ回路22を制御するためのPWM制御信号のパルス幅が制限される。これによって、商用電源電圧が極端に増大することによる出力変圧器24の磁気飽和が抑制され、当該出力変圧器24として小型かつ軽量で、しかも廉価なものを採用することができる。つまり、出力変圧器24の磁気飽和を抑制しつつ、当該出力変圧器24を含む電源装置10全体を小型化かつ計量化し、さらには低コスト化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源装置に関し、特に例えばアーク溶接機やアーク溶断機等のいわゆるアーク負荷に用いられると共に、様々な商用電源電圧に対応可能な電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電源装置として、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。この従来技術によれば、商用電源電圧を整流するための整流器が設けられており、この整流器によって整流された電圧は、リアクトルを介して平滑コンデンサに入力される。また、平滑コンデンサの入力側には、昇圧用スイッチング素子が設けられており、この昇圧用スイッチング素子のオンオフ時間が調整されることによって、平滑コンデンサの充電時間、つまり当該平滑コンデンサの入力電圧の大きさが、制御される。従って、商用電源電圧の大きさが変わっても、昇圧用スイッチング素子のオンオフ時間が適当に調整されることで、平滑コンデンサの入力電圧がほぼ一定となり、換言すれば様々な商用電源電圧に対応可能となる。
【0003】
なお、平滑コンデンサに入力された電圧は、当該平滑コンデンサによって平滑された後、高周波スイッチング回路に入力される。高周波スイッチング回路は、入力された電圧を高周波交流に変換し、変換された高周波交流は、出力変圧器によって変圧される。そして、変圧された高周波交流は、さらに直流に変換された後、そのまま、または再度交流に変換されてから、アーク負荷に供給される。
【0004】
【特許文献1】特開平5−111244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような電源装置は、様々な場所(国や地域等を含む)で使用されるが、その使用場所によっては、電力事情等により、商用電源電圧が不安定な場合がある。そして、特に当該商用電源電圧が極端に増大すると、上述の出力変圧器に入力される電圧が過大となり、これによって当該出力変圧器の磁心が飽和し、ひいては負荷に適切な電力が供給されなくなる、という不都合が生じる。そこで、かかる不都合を回避するべく、従来は、出力変圧器として、飽和磁気特性に或る程度の余裕があるもの、つまり定格よりも大きめの磁心を有する言わば過剰仕様のものを、採用していた。しかし、このように過剰仕様の出力変圧器を採用すると、言うまでもなく、当該出力変圧器を含む電源装置全体が大型化し、かつ重くなる。そればかりか、高コスト化をも招く。
【0006】
それゆえに、この発明は、変圧器の磁気飽和を抑制しつつ、当該変圧器を含む電源装置全体を従来よりも小型化かつ計量化し、さらには低コスト化することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、この発明の電源装置は、商用電源から入力端子を介して入力される交流電力を直流電力に変換する変換手段と、この変換手段によって変換された直流電力が入力されると共にスイッチング制御信号に従ってスイッチング動作することにより当該直流電力を高周波電力に変換するスイッチング手段と、このスイッチング手段によって変換された高周波電力の電圧を変える変圧器と、この変圧器による変圧後の電力を所定形態に整形した上で負荷が接続される出力端子から出力させる出力手段と、を具備する。さらに、この出力手段による整形後の電力の所定成分を検出する第1検出手段と、この第1検出手段によって検出された所定成分の大きさが一定となるようにスイッチング制御信号を生成する制御手段と、上述の変換手段によって変換された直流電力の電圧値を検出する第2検出手段と、この第2検出手段によって検出された直流電力の電圧値および変圧器の飽和磁気特性に基づいてスイッチング手段のスイッチング動作を制限する制限手段と、をも具備するものである。
【0008】
即ち、この発明では、商用電源から入力端子を介して交流電力が入力される。そして、この交流電力は、変換手段によって直流電力に変換され、変換された直流電力は、スイッチング手段によるスイッチング(チョッピング)動作によって高周波電力に変換される。さらに、この高周波電力は、変圧器に入力され、ここで変圧される。そして、この変圧器による変圧後の電力は、出力手段によって所定形態に整形され、例えば直流電力に変換され、或いはさらに交流電力に変換される。そして、変換された電力は、出力電力として、出力端子から出力され、最終的に負荷に供給される。さらに、この出力電力の所定成分、具体的には電圧値、電流値または電力値が、第1検出手段によって検出される。そして、この第1検出手段による検出結果は、制御手段に与えられる。制御手段は、第1検出手段によって検出された出力電力の電圧値、電流値または電力値が一定となるように、スイッチング手段のスイッチング動作を制御するためのスイッチング制御信号を生成する。これによって、出力電力の電圧値、電流値または電力値が一定となり、いわゆるフィードバック制御が実現される。そして、かかるフィードバック制御が実現されることで、様々な商用電源電圧に対応可能となる。
【0009】
ここで、例えば、商用電源電圧(つまり入力端子を介して入力される交流電力の電圧値)が不意に変動し、特に当該商用電源電圧が極端に増大するとする。すると、これに伴って、変換手段による変換後の直流電力の電圧値が増大し、ひいてはスイッチング手段による変換後の高周波電力の電圧値(振幅)、つまり変圧器の入力側(1次側)に掛かる電圧値が、増大する。そして、この状態がもし放置される(厳密には当該商用電源電圧の変動にフィードバック制御が追いつかない)とすると、変圧器の磁心が飽和してしまい、フィードバック制御が破綻する。かかる不都合を回避するべく、この発明では、変換手段による変換後の直流電力の電圧値が、第2検出手段によって検出される。言い換えれば、変圧器の入力側に掛かる電圧値が、当該第2検出手段によって間接的に検出される。そして、この第2検出手段による検出結果と変圧器の飽和磁気特性とに基づいて、制御手段が、スイッチング手段のスイッチング動作を制限する。具体的には、制限手段は、変圧器の入力側に掛かる電圧値と当該電圧値が掛かる時間との積、いわゆるVT積が、当該変圧器の磁心を飽和させない程度の一定値となるように、スイッチング手段のスイッチング動作を制御する。これによって、商用電源電圧が極端に変動した場合でも、変圧器の磁気飽和の発生が抑制され、良好なフィードバック制御が実現される。
【0010】
なお、この発明における第2検出手段は、変換手段による変換後の直流電力の電圧値に代えて、商用電源から与えられる交流電力の電圧値、つまり商用電源電圧を、検出するものであってもよい。このように商用交流電圧を検出することによっても、変圧器の入力側に掛かる電圧値を間接的に検出することができ、上述と同様に、良好なフィードバック制御を実現することができる。
【0011】
また、この発明においては、特に、スイッチング手段がオン状態にあるときに、当該スイッチング手段から変圧器に電流が流れるものとする。そして、制限手段は、スイッチング手段がオン状態にある期間を制限するものとする。
【0012】
さらに詳しくは、スイッチング制御信号は、パルス幅変調(PWM)方式でスイッチング手段をスイッチング動作させる信号であり、制限手段は、当該スイッチング手段がオン状態にある期間のスイッチング制御信号のパルス幅を制限するものとする。
【0013】
かかる発明は、可搬型の電源装置に、特に有効である。
【0014】
また、この発明における負荷としては、アーク負荷がある。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、この発明によれば、商用電源電圧が極端に変動した場合でも、スイッチング手段のスイッチング動作が制限されることで、変圧器の磁気飽和が抑制される。従って、過剰仕様の出力変圧器を採用していた上述の従来技術に比べて、小型かつ軽量で、しかも廉価な変圧器を採用することができる。即ち、変圧器の磁気飽和を抑制しつつ、当該変圧器を含む電源装置全体を従来よりも小型化かつ計量化し、さらには低コスト化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明が適用されたアーク溶接機用の電源装置10の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、この実施形態に係る電源装置10は、商用電源から3相の交流電力が入力される3つの入力端子12,12,…を備えている。この入力端子12に入力された交流電力は、変換手段としての入力側整流平滑回路14に入力され、ここで直流電力に変換される。なお、入力側整流平滑回路14は、入力端子12,12,…からの交流電力を整流する6つのダイオード16,16,…を組み合わせた入力側整流手段としての3相ブリッジ整流回路18と、この3相ブリッジ整流回路18の整流出力を平滑する入力側平滑手段としての平滑コンデンサ20と、によって構成されている。
【0018】
入力側整流平滑回路14によって変換された直流電力は、スイッチング手段としてのインバータ回路22に入力され、ここで例えば周波数が10[kHz]〜100[kHz]の高周波電力に変換される。なお、図には詳しく示さないが、インバータ回路22は、複数の半導体スイッチング素子、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタまたはFET(Field Effect Transistor)を備えており、後述する制御回路50から与えられるドライブ信号に基づいてこれらの半導体スイッチング素子がスイッチング(オン/オフ)動作することで、入力側整流平滑回路14からの直流電力を高周波電力に変換する。
【0019】
そして、このインバータ回路22によって変換された高周波電力は、出力変圧器24に入力され、具体的には当該出力変圧器24の1次側巻線24aに入力される。出力変圧器24は、入力された高周波電力の電圧Vtを、1次側巻線24aと2次側巻線24bとの巻数比に応じた比率で変える。そして、この変圧後の高周波電力は、2次側巻線24bから出力される。
【0020】
出力変圧器24による変圧後の高周波電力は、出力手段としての出力側整流平滑回路26に入力され、ここで改めて直流電力に変換される。そして、変換された直流電力は、この電源装置10の出力電力として出力端子28から出力され、最終的には、当該出力端子28に接続された図示しないアーク負荷としてのトーチおよび母材に供給される。なお、出力側整流平滑回路26は、出力変圧器24による変圧後の高周波電力を整流する出力側整流手段、例えば両波整流回路30と、当該両波整流回路18による整流後の電力を平滑する出力側平滑手段、例えば平滑用リアクトル32と、によって構成されている。
【0021】
さらに、出力電力の所定成分、例えば電圧値が、出力検出回路34によって検出される。具体的には、出力検出回路34は、両波整流回路30の出力側と平滑用リアクトル32の入力側との間に設けられており、当該両波整流回路30の出力電圧を検出する。そして、この出力検出回路34による検出結果、言わば出力電圧検出信号Voは、制御手段としての制御回路50を構成する誤差増幅回路52に入力される。
【0022】
誤差増幅回路52には、出力検出回路34からの出力電圧検出信号Voの他に、基準信号発生回路54から直流の基準信号Vrefが、入力されている。そして、誤差増幅回路52は、これら出力電圧検出信号Voと基準信号Vrefとの電位差、つまり誤差、に応じた電圧レベルの誤差信号ERを生成し、生成された誤差信号ERは、PWM比較回路56に入力される。
【0023】
PWM比較回路56には、誤差増幅回路52からの誤差信号ERの他に、三角波発生回路58から周波数が10[kHz]〜100[kHz]の三角波(鋸歯状波)信号TRが、入力されている。そして、PWM比較回路56は、これら誤差信号ERと三角波信号TRとに基づいて、上述の出力電圧検出信号Voと基準信号Vrefとの電位差がゼロとなるようにインバータ回路22をPWM方式で制御するためのPWM制御信号を生成する。生成されたPWM制御信号は、ドライブ回路60に入力され、ここで電流増幅された後、ドライブ信号としてインバータ回路22(半導体スイッチング素子)に与えられる。これによって、アーク負荷に供給される出力電力の電圧値が一定となり、いわゆる定電圧フィードバック制御が実現される。そして、かかるフィードバック制御が実現されることで、様々な商用電源電圧に対応可能となる。なお、この実施形態の電源装置10では、200[V]〜400[V]の範囲の商用電源電圧に対応可能とされている、
【0024】
ここで、例えば、この実施形態の電源装置10が使用されている場所での電力事情等により、商用電源電圧が不意に変動し、特に当該商用電源電圧が極端に(定格を超える程度に)増大するとする。すると、これに伴って、インバータ回路22に入力される直流電力の電圧値が増大し、ひいては当該インバータ回路22の出力電圧、言い換えれば出力変圧器24の入力電圧Vtが、増大する。そして、この状態がもし放置される(厳密には当該商用電源電圧の変動にフィードバック制御が追いつかない)とすると、出力変圧器24の磁心24cが飽和してしまい、フィードバック制御が破綻する。
【0025】
そこで、この実施形態の電源装置10では、かかるフィードバック制御の破綻を防止するべく、次のような工夫が施されている。
【0026】
即ち、制御回路50内に、インバータ回路22の入力電圧(両端間の電圧)を検出するための入力検出回路62が、設けられている。この入力検出回路62は、インバータ回路22の入力電圧に応じた電圧レベルのパルス幅制限信号WLを生成し、このような入力検出回路62は、例えば抵抗分圧回路によって実現することができる。そして、当該入力検出回路62によって生成されたパルス幅制限信号WLは、上述のPWM比較回路56に入力される。
【0027】
PWM比較回路56は、PWM制御信号を生成するに際し、上述の誤差信号ERおよび三角波信号TRの他に、入力検出回路62からのパルス幅制限信号WLをも、参考にする。これについて、図2を参照しながら、詳しく説明する。
【0028】
例えば、今、図2の左寄りの領域に示されるように、商用電源電圧が正常(定格内)であるとする。この場合、PWM比較回路56は、誤差信号ERの電圧レベルを閾値とし、三角波信号TRの電圧レベルが当該閾値である誤差信号ERの電圧レベル以上であるときにのみ論理レベルとなるパルス信号を、PWM制御信号として生成する。これによって、インバータ回路22を構成する適宜の半導体スイッチング素子は、当該PWM制御信号のパルス幅に対応する期間にのみオン状態となる。そして、この半導体スイッチング素子がオン状態となっている期間にのみ、インバータ回路22から出力変圧器24に電圧Vtが印加され、当該出力変圧器24に電流(トランス電流)Itが流れる。なお、出力変圧器24に流れる電流Itは、当該出力変圧器24の入力電圧Vtに対し、当該出力変圧器24の時定数に応じた一定の遅れを生じる。
【0029】
そして、図2の右寄りの領域に示されるように、商用電源電圧が極端に増大して、パルス幅制限信号WLの電圧レベルが極端に増大し、具体的には誤差信号ERの電圧レベルを超えたとする。すると、PWM比較回路56は、誤差信号ERに代えてパルス幅制限信号WLを閾値とし、三角波信号TRの電圧レベルが当該閾値であるパルス幅制限信号WLの電圧レベル以上であるときにのみ論理レベルとなるようなPWM制御信号を生成する。これによって、PWM制御信号のパルス幅が、例えばT1からT2に制限(短縮)され、これに伴って、出力変圧器24に電圧Vtが印加される期間もまた、同様に制限される。つまり、商用電源電圧が極端に増大することによって、出力変圧器24の入力電圧Vtが、例えばV1からV2に増大するが、その反面、当該出力変圧器24に入力電圧Vtが印加される期間がT1からT2に制限される。また、出力変圧器24に流れる電流Itも増大するが、この電流Itが流れる期間も、同様に制限される。
【0030】
このように、PWM比較回路56は、誤差信号ERとパルス幅制限信号WLとのうち電圧レベルの高い方を閾値とし、この閾値と三角波信号TRとに基づいてPWM制御信号を生成する。このとき、誤差信号ERおよびパルス幅制限信号WLのいずれが閾値となるのかに拘らず、PWM制御信号の1パルス当たりの期間(パルス幅)と出力変圧器24の入力電圧Vtとの積、いわゆるVT積は、一定とされる。つまり、図2において、“T1・V1=T2・V2=一定”である。言い換えれば、かかるVT積が一定となるように、誤差信号ERおよびパルス幅制限信号WLのそれぞれが設定されている。
【0031】
なお、ここで、入力検出回路62が設けられておらず、つまりPWM比較回路56がPWM制御信号を生成する際にパルス幅制限信号WLを参照しない、と仮定すると、次のような不都合が生じる。即ち、商用電源電圧が極端に増大しても、図2(b)に破線αで示すように、PWM制御信号のパルス幅は制限されない。従って、出力変圧器24には、図2(c)に破線βで示すように、当該PWM制御信号のパルス幅に対応する期間(T1)にわたって高い(V2の)入力電圧Vtが印加され、この結果、上述のVT積が出力変圧器24の飽和磁気特性に従う容量を超えて、当該出力変圧器24が磁気飽和する。すると、図2(d)に破線γで示すように、出力変圧器24に流れる電流Itが異常に増大し、この状態が続くと、当該出力変圧器24は破損する(いわゆる焼ける)。
【0032】
以上のように、この実施形態の電源装置10によれば、商用電源電圧が極端に変動した場合でも、上述のVT積が出力変圧器24の飽和磁気特性に従う容量を超えない範囲で一定となるように、PWM制御信号のパルス幅が制限(換言すれば補正)される。従って、過剰仕様の出力変圧器を採用していた上述の従来技術に比べて、小型かつ軽量で、しかも廉価な出力変圧器24を採用することができる。つまり、出力変圧器24の磁気飽和を抑制しつつ、当該出力変圧器24を含む電源装置10全体を従来よりも小型化かつ計量化し、さらには低コスト化することができる。そして、このような電源装置10は、使用場所が限定されない可搬型のものに、特に好適である。
【0033】
なお、この実施形態においては、インバータ回路22の入力電圧を検出するための入力検出回路62を設け、この入力検出回路62による検出結果に基づいてPWM制御信号のパルス幅を制限することとしたが、これに限らない。例えば、図3に示すように、いずれか2つの入力端子12および12間から商用電源電圧を検出する検出回路70を設け、この検出回路70による検出結果に基づいてPWM制御信号のパルス幅を制限してもよい。かかる検出回路70は、例えば2つの入力端子12および12から得られる商用電源電圧を変圧(降圧)する変圧回路と、この変圧回路による変圧後の交流電圧を直流電圧に変換(整流平滑)する変換回路と、によって構成することができる。
【0034】
また、この実施形態では、出力検出回路34によって出力電力の電圧値を検出することとしたが、これに限らない。例えば、当該出力電力の電流値を検出することによって、いわゆる定電流制御が行われるようにしてもよいし、出力電力の電力値(例えば電圧値と電流値との積)を検出することによって、定電力制御が行われるようにしてもよい。
【0035】
さらに、アーク負荷が交流式のものである場合には、出力側整流平滑回路26(平滑用リアクトル32)から出力される直流電力を改めて交流電力に変換する変換回路を設ければよい。そして、このように交流負荷が対象とされる場合でも、上述の如く出力変圧器24の磁気飽和を抑制しつつ、安定したフィードバック制御を実現することができる、という効果が得られることは、言うまでもない。
【0036】
また、各種ノイズの影響を排除するために、出力検出器34や入力検出器62(または70)の出力側に当該ノイズを除去するためのフィルタ回路を設けてもよい。
【0037】
そして、この実施形態では、インバータ回路22をPWM方式で制御する場合について説明したが、これ以外の方式、例えばPAM(パルス振幅変調)方式で制御する場合にも、この発明を適用することができる。
【0038】
さらに、この実施形態の電源装置10は、アーク溶接機用としたが、アーク溶断機等の他のアーク負荷にも用いることができる。また、アーク用に限らず、例えばメッキ用等の他の用途にも、この発明を適用することができる。
【0039】
この実施形態で説明した内容は、飽くまでこの発明を実現するための一例であって、この発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の一実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】同実施形態における主要部の信号のタイミング図である。
【図3】同実施形態の別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 電源装置
12 入力端子
14 入力側整流平滑回路
16 ダイオード
18 3相ブリッジ整流回路
20 平滑コンデンサ
22 インバータ回路
24 出力変圧器
26 出力側整流平滑回路
28 出力端子
30 両波整流回路
32 平滑用リアクトル
34 出力検出回路
50 制御回路
56 PWM比較回路
62 入力検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子を介して入力される交流電力を直流電力に変換する変換手段と、
上記直流電力が入力されると共にスイッチング制御信号に従ってスイッチング動作することにより該直流電力を高周波電力に変換するスイッチング手段と、
上記高周波電力の電圧を変える変圧器と、
上記変圧器による変圧後の電力を所定形態に整形した上で負荷が接続される出力端子から出力させる出力手段と、
上記出力手段による整形後の電力の所定成分を検出する第1検出手段と、
上記第1検出手段によって検出された上記所定成分の大きさが一定となるように上記スイッチング制御信号を生成する制御手段と、
上記直流電力の電圧値を検出する第2検出手段と、
上記第2検出手段によって検出された上記電圧値および上記変圧器の飽和磁気特性に基づいて上記スイッチング手段のスイッチング動作を制限する制限手段と、
を具備する、電源装置。
【請求項2】
入力端子を介して入力される交流電力を直流電力に変換する変換手段と、
上記直流電力が入力されると共にスイッチング制御信号に従ってスイッチング動作することにより該直流電力を高周波電力に変換するスイッチング手段と、
上記高周波電力の電圧を変える変圧器と、
上記変圧器による変圧後の電力を所定形態に整形した上で負荷が接続される出力端子から出力させる出力手段と、
上記出力手段による整形後の電力の所定成分を検出する第1検出手段と、
上記第1検出手段によって検出された上記所定成分の大きさが一定となるように上記スイッチング制御信号を生成する制御手段と、
上記交流電力の電圧値を検出する第2検出手段と、
上記第2検出手段によって検出された上記電圧値および上記変圧器の飽和磁気特性に基づいて上記スイッチング手段のスイッチング動作を制限する制限手段と、
を具備する、電源装置。
【請求項3】
上記スイッチング手段がオン状態にあるときに該スイッチング手段から上記変圧器に電流が流れ、
上記制限手段は上記スイッチング手段が上記オン状態にある期間を制限する、
請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
上記スイッチング制御信号はパルス幅変調方式で上記スイッチング手段をスイッチング動作させる信号であり、
上記制限手段は上記スイッチング手段が上記オン状態にある期間の上記スイッチング制御信号のパルス幅を制限する、
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
可搬型である、請求項1ないし4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
上記負荷はアーク負荷である、請求項1ないし5のいずれかに記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−228663(P2007−228663A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43914(P2006−43914)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】