電源装置
【目的】 負荷側の状態を本体側で検知して電力伝達制御を行う。
【構成】 無負荷のときに、電源部1のフレームの突出部に金属物が載せられると、第2コイルLCの両端電圧が制限される。従って、FET3の発振によるエネルギーは第1コイルL1を介して検知コイルL3に伝達される。検知コイルL3の両端電圧が上昇すると、ツェナーダイオードZDを介してトランジスタQ1をオンし、FET3の発振が停止する。FET3の発振が停止すると、検知コイルL3の両端電圧が低下して、トランジスタQ1がオフになり、FET3が発振する。このように、FET3の間欠発振により、金属物の加熱が抑制される。
【構成】 無負荷のときに、電源部1のフレームの突出部に金属物が載せられると、第2コイルLCの両端電圧が制限される。従って、FET3の発振によるエネルギーは第1コイルL1を介して検知コイルL3に伝達される。検知コイルL3の両端電圧が上昇すると、ツェナーダイオードZDを介してトランジスタQ1をオンし、FET3の発振が停止する。FET3の発振が停止すると、検知コイルL3の両端電圧が低下して、トランジスタQ1がオフになり、FET3が発振する。このように、FET3の間欠発振により、金属物の加熱が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、本体に対し着脱可能な負荷部に電磁誘導により電力を伝達供給する非接触方式の電源装置に係り、特に負荷側の状態に応じて電力伝達の制御を可能にする電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、負荷側が電源本体に対して着脱可能にされている電源装置が知られており、特に、近年では、負荷側の操作性を考慮して電源本体と負荷側間の接続に機械的な接触構造を持たない、電磁誘導により電力を負荷側に伝達供給する、いわゆる非接触方式の電源装置が提案されている(特開平4−295284号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の電源装置において効率の良い電力伝達を実現するためには、本体のフレーム外面近傍に1次コイルを配設し、これにより負荷部が装着されるときに負荷側の2次コイルを電源本体の1次コイルに構造的に磁気結合させることが望まれる。
【0004】しかしながら、電磁誘導による電源装置において、上記構造を採用すると、1次コイルが本体の外面近傍に配設されていること、および非接触方式では負荷側の状態を機械的スイッチや負荷側の検知回路から直接本体側に検知信号を戻す配線が設けられないために電力伝達の制御が困難であり、このため電源投入状態のままで負荷が未装着のときに、この1次コイルの付近に硬貨やピン等の金属が置かれると、電磁誘導により金属が加熱されることになる。このため、火傷、火災等の危険性を伴い、また電源装置のフレームを溶かして変形させるという問題を生ずる。また、この種の電源装置を蓄電池の充電器として用いた場合に、満充電制御のための蓄電池電圧の検知信号を本体側へ戻す配線が施せないために、充電制御も充分でないという問題がある。
【0005】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、上記のような負荷側の状態変化を本体側で検知して電力伝達制御を行うようにした電源装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、本体に対し着脱可能な負荷部に電磁誘導により電力を伝達供給する電源装置において、電源投入を受けて発振駆動される1次コイルと、負荷部側の状態を検出する検知コイルとを有し、上記1次コイルは、第1コイルと、装着時に上記負荷部に内蔵された2次コイルと磁気結合される第2コイルとが直列接続されてなり、上記検知コイルは上記第1コイルに磁気結合されているものである(請求項1)。
【0007】また、請求項1記載の電源装置において、上記第2コイルの短絡に伴い生じる上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化を検出する検出手段と、上記検出手段が上記レベル変化を検出すると、上記1次コイルの発振動作を停止させる発振停止回路とを備えたものである(請求項2)。
【0008】また、請求項1記載の電源装置において、上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化から上記負荷部の本体への装着の有無を検出する検出手段と、上記検出手段による上記レベル変化の検出に基づいて表示動作を行う表示手段とを備えたものである(請求項3)。
【0009】また、請求項1記載の電源装置において、上記負荷部は充電可能な蓄電池であって、上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化から上記負荷部の本体への装着の有無を検出する検出手段と、上記検出手段による上記レベル変化の検出に基づいて所定の充電時間だけ上記1次コイルの発振駆動を行わすタイマ手段とを備えたものである(請求項4)。
【0010】また、請求項2記載の電源装置において、上記発振停止回路を間欠駆動させる間欠駆動回路を備えたものである(請求項5)。
【0011】また、請求項4記載の電源装置において、上記所定の充電時間後に上記1次コイルの発振動作を間欠駆動させる発振制御手段を備えたものである(請求項6)。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明によれば、本体側は電源に投入されており、その1次コイルは発振駆動されており、この状態で、負荷部が本体に装着されると本体の1次コイルの第2コイルと負荷側の2次コイルとが磁気結合されて、負荷側への電力伝達が可能となる。負荷部が未装着で、本体の第2コイル近傍に金属異物が誤って載置されると、第2コイルが実質短絡状態に陥り、これにより第1コイルに電圧が発生することとなる。この第1コイルの発生電圧のレベル変化は検知コイルの誘起電圧のレベル変化として検知される。また、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されると、その負荷相当分だけ第2コイルの発生電圧レベルが多少変化(低下)する。この変化分は第1コイルの変化分として現れ、このレベル変化が同様にして検知コイルで検知される。このように、負荷側の状態変化を本体側で検知できるので、負荷側の状態に応じた電力伝達制御ができるようになる。
【0013】請求項2記載の発明によれば、負荷部が未装着で、本体の第2コイル近傍に金属が誤って載置されて第2コイルが実質短絡状態に陥ると、これにより第1コイルに電圧が発生する。この発生電圧のレベル変化が検出手段で検出されると、1次コイルの発振駆動が停止される。この発振駆動が停止されると、第1コイルの発生電圧が元のレベルに復帰するので、発振が再開する。このように、金属異物が誤って載置された場合、発振動作は間欠的に行われることとなる。
【0014】請求項3記載の発明によれば、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されると、その負荷相当分だけ第2コイルの発生電圧レベルが多少変化(低下)し、この変化分は第1コイルの変化分として現れる。このレベル変化が検出手段で検出されると、負荷部に対する充電が開始されたとして、その旨を示す表示が行われる。
【0015】請求項4記載の発明によれば、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されると、その負荷相当分だけ第2コイルの発生電圧レベルが多少変化(低下)し、この変化分は第1コイルの変化分として現れる。このレベル変化が検出手段で検出されると、負荷部に対する充電が開始されたとして、所定の充電時間だけ発振駆動が継続される。
【0016】請求項5記載の発明によれば、本体の第2コイル近傍に金属異物が誤って載置された結果、発振動作が間欠的に行われることとなった場合に、この間欠発振動作が、さらに間欠的に行われることとなるので、異常時での発振時間が一層短縮される。
【0017】請求項6記載の発明によれば、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されて、所定の充電時間だけ充電が行われた後は、引き続いて充電動作が間欠的に行われるので、補充電(トリクル充電)が行える。
【0018】
【実施例】本発明に係る電源装置の第1実施例について図1〜図5に基づき説明する。図3は本発明が適用される電気機器の一例であるコードレス電話器を示す斜視図である。受話器としての負荷部2は、図3に示すように、電源部1の上に載置されることにより、蓄電池を内蔵する負荷部2が電源部1に装着されるようになっており、これにより、後述するようにして電力伝達及びその制御が行われる。なお、負荷部2に内蔵される負荷は、蓄電池に限られず、モータ等でもよい。
【0019】次に、この電源部1及び負荷部2の回路構成について説明する。図1,図2は本発明に係る電源装置の第1実施例を示す回路図で、図1は電源部1、図2は負荷部2の回路図である。
【0020】入力端子間には、コードKを介して商用電源等の交流電源が接続可能になっている。この交流電力は、整流ダイオードBD及びコンデンサC1で整流、平滑されて直流電源が得られる。この直流電源には、第2コイルLC、第1コイルL1及びスイッチング素子の電界効果トランジスタ(FET)3が直列接続されている。
【0021】FET3は、そのソース、アース間に抵抗R22,R23が直列接続され、ゲート、ドレイン間に帰還コイルL2及びコンデンサC2からなる直列発振回路が接続され、ゲート、アース間にダイオードD2及びトランジスタQ1からなる直列回路が接続されている。
【0022】検知コイルL3は、整流用ダイオードD1及び平滑用コンデンサC3に接続され、発生平滑電圧V3が生じるようになされている。更にツェナーダイオードZD、抵抗を介して抵抗R22,R23の接続点に接続されている。ツェナーダイオードZDは所定のツェナー電圧のものが採用されている。すなわち、このツェナー電圧は、後述するように発生平滑電圧V3がVxに達するとオンするような値に設定されている。そして、ツェナーダイオードZDがオンすると、トランジスタQ1がオンして、FET3のゲートをアースに落すようにしている。
【0023】そして、直流電源の正極と、帰還コイルL2及びコンデンサC1の接続点との間に、FET3を起動させる起動抵抗R21が接続されている。
【0024】一方、負荷部2には、2次コイルL0が、後述するように第2コイルLCに磁気結合可能に配設されており、ダイオードD0、平滑用のコンデンサC0を介して蓄電池(負荷)Bと並列接続されている。
【0025】次に、図4,図5に基づき各コイルの位置関係について説明する。図4は電源部1及び負荷部2内部の各コイルを示す斜視図で、図5は電源部1に負荷部2が装着された状態を示す一部断面図である。
【0026】電源部1の内部には、上記各回路部品が載置されたプリント配線基板PBが配設されている。このプリント配線基板PB上に密着して、第1コイルL1、帰還コイルL2及び検知コイルL3が巻回されたコアが配置されている。一方、第2コイルLCは、プリント配線基板PBから離れて、電源部1のフレーム11の上面略中央に設けられた突出部12にコアに巻回された状態で配設されている。このように、第1コイルL1、帰還コイルL2及び検知コイルL3は互いに磁気結合され、第2コイルLCは、これらの各コイルとは磁気結合されないように配設されている。
【0027】また、図5に示すように、負荷部2のフレーム21の下面には、少なくとも突出部12の周径に比して僅かに大径の凹部22が設けられており、フレーム21内であって凹部22に2次コイルL0が巻回されている。そして、電源部1の突出部12に負荷部2の凹部22が遊嵌されて負荷部2が電源部1に装着されると、第2コイルLCと2次コイルL0とが磁気結合されるようになっている。
【0028】次に、この回路の動作について、図1,図6R>6,図7に基づき説明する。図6は電源部1の突出部12に指輪等の金属物が載せられた状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は一部断面図である。図7は第1実施例の動作を示す各部の電圧波形図である。
【0029】電源部1のコードKを交流電源に接続すると、起動抵抗R21によるコンデンサC1の充電電圧によりゲート電圧が印加され、FET3がオンし始める。そして、第1コイルL1の両端電圧による帰還コイルL2の誘起電圧によりFET3が急激にオンする。そして、FET3のソース電流が増大して抵抗R23に発生する電圧が所定レベルまで上昇すると、トランジスタQ1がオンし、FET3のゲート電圧が低下して、FET3がオフになる。このようなFET3の発振により、第2コイルLCの両端に、図7に示すような電圧が発生している。
【0030】ここで、図6に示すように、第2コイルLCが配設されている電源部1の突出部12の周囲に指輪やコイン等の金属物5が載せられると、第2コイルLCに発生する磁界が金属物5により拘束されて短絡状態となり、図7に示すように、第2コイルLCの両端電圧が実質短絡状態と同様な低レベルに抑制され、一方、FET3の発振による1次側のエネルギーにより、第2コイルLCに直列接続された第1コイルL1の両端電圧が増大する。従って、第1コイルL1に磁気接合された検知コイルL3に発生する電圧も増大し、この検知コイルL3に誘起され、平滑後の発生平滑電圧V3がVaからVxに上昇して、ツェナーダイオードZDのツェナー電圧及びそのアノード側に接続された抵抗の発生電圧の和(以下、この電圧の和を説明の便宜上、ツェナー電圧という)を越えることとなって、トランジスタQ1がオンし、FET3の発振が停止する。
【0031】FET3の発振が停止すると、検知コイルL3に電圧が発生しなくなり、コンデンサC3が放電していくが、このコンデンサC3の電圧が上記ツェナー電圧より大きい間は、FET3の発振停止が継続される。そして、コンデンサC3の電圧が上記ツェナー電圧以下に低下すると、トランジスタQ1がオフになり、再びFET3が発振を開始する。
【0032】このように、第2コイルLCが配設されている電源部1の突出部12の周囲に金属物5が載せられると、FET3は間欠発振に切り換わるので、金属物5の加熱を比較的抑制することができる。従って、火傷や火災等を防止するとともに、電源部1のフレーム11の熱による変形を防止することができる。
【0033】次に、第2実施例について図8に基づき説明する。なお、各コイルの位置関係については、第1実施例と同様である。図8は第2実施例の電源部1の回路図である。第1実施例と同一物については同一符号を付す。
【0034】第2実施例は、第1実施例と同様、金属物が置かれたときの電力伝達制御を行うもので、ツェナーダイオードZD、トランジスタQ1に代えて、オペアンプからなるコンパレータIC1を設けたものである。
【0035】すなわち、コンデンサC3の正極に分圧抵抗R1,R2の直列回路が接続され、この分圧抵抗R1,R2の接続点は抵抗R6を介してコンパレータIC1の−入力端子に接続されている。
【0036】一方、基準電圧Vccに分圧抵抗R3,R4が接続され、この分圧抵抗R3,R4の接続点は抵抗R5を介してコンパレータIC1の+入力端子に接続されている。また、コンパレータIC1の出力端子はダイオードD2のカソードに接続されている。
【0037】そして、検知コイルL3の発生平滑電圧V3が分圧抵抗R1,R2で分圧された電圧V2と、基準電圧Vccが分圧抵抗R3,R4で分圧された電圧Vref2とがコンパレータIC1で比較されるようになっている。
【0038】そして、無負荷時の電圧VaではV2<Vref2になるように各分圧抵抗値を設定しておき、コンパレータIC1からハイレベル信号を出力してダイオードD2をオフにする。一方、金属物が電源部1の突出部12に載せられ、検知コイルL3の発生平滑電圧V3がVxまで上昇すると、V2>Vref2になり、コンパレータIC1からローレベル信号を出力してダイオードD2をオンにするので、FET3のゲートがローレベルになって、発振が停止される。
【0039】次に、第3実施例について図9,図10に基づき説明する。なお、各コイルの位置関係については、第1実施例と同様である。図9は第3実施例の電源部1の回路図である。第1実施例と同一物については同一符号を付す。
【0040】第3実施例は、第1実施例の回路に加えて、オペアンプからなるコンパレータIC2と発光ダイオード(LED)6とを設けたものである。すなわち、コンデンサC3の正極に分圧抵抗R7,R8の直列回路が接続され、この分圧抵抗R7,R8の接続点は抵抗R12を介してコンパレータIC2の−入力端子に接続されている。
【0041】また、基準電圧Vccに分圧抵抗R9,R10が接続され、この分圧抵抗R9,R10の接続点は抵抗R11を介してコンパレータIC2の+入力端子に接続されている。さらに、基準電圧VccとコンパレータIC2の出力端子との間には抵抗R13を介してLED6が接続されている。このLED6はフレーム12の外面適所に配設されている。
【0042】そして、検知コイルL3の発生平滑電圧V3が分圧抵抗R7,R8で分圧された電圧V1と基準電圧Vccが分圧抵抗R9,R10で分圧された電圧VrefとがコンパレータIC2で比較されるようになっている。
【0043】次に、この回路の動作について図10に基づき説明する。なお、FET3の発振動作及び金属物が電源部1の突出部12に載せられたときの動作は第1実施例と同様である。
【0044】電源部1の所定位置に負荷部2を正しく装着すると、2次コイルL0側の負荷分に相当するレベルだけ、すなわち第2コイルLCの両端電圧がΔVcだけ減少する。そして、この第2コイルLCでのエネルギー低下に相当する分、第2コイルLCと直列に接続された第1コイルL1の両端電圧がΔV1だけ増大するので、第1コイルL1に磁気結合された検知コイルL3に誘起される電圧V3も多少増大する(図10中、発生平滑電圧V3において、VaからVx1)。
【0045】そして、無負荷時の発生平滑電圧V3がVaではV1<Vrefになるように各分圧抵抗値を設定しておくと、コンパレータIC2からハイレベル信号を出力してLED6をオフにする。一方、電源部1に負荷部2を装着し、検知コイルL3の発生平滑電圧V3がVx1まで上昇すると、V1>Vrefになるように各分圧抵抗値を設定しておけば、コンパレータIC1からローレベル信号を出力してLED6をオンにする。
【0046】従って、電源部1に負荷部2が装着されると、LED6が点灯し、負荷部2が正しく装着されたことを表示することができる。また、負荷部2が電源部1に正常に装着されていないときは、LED6が点灯しないので、使用者に報知することができる。
【0047】次に、第4実施例について図11,図12に基づき説明する。なお、各コイルの位置関係については、第1実施例と同様である。図11は第4実施例の電源部1の回路図である。第3実施例と同一物については同一符号を付す。
【0048】第4実施例は、第3実施例の回路に、タイマー回路Tが付加されている。すなわち、タイマー回路Tは、そのリセット入力端子RESETがコンパレータIC2の出力端子に接続され、出力端子P1がダイオードD2のカソードに接続されている。
【0049】このタイマー回路Tは、リセット入力端子RESETにローレベル信号が入力されると計時のためのカウント動作を開始するとともに、出力端子P1からハイレベル信号を出力し、予め設定された充電のための所定時間を計時すると、出力端子P1からローレベル信号を出力するものである。
【0050】この回路の動作について図12のタイミングチャートに基づき説明する。電源部1に負荷部2が装着されると、第3実施例で説明したように、コンパレータIC2からローレベル信号が出力されてLED6が点灯されるとともに、タイマー回路Tがカウント動作を開始する。そして、所定時間が経過すると、出力端子P1からローレベル信号を出力し、ダイオードD2をオンさせて、FET3の発振動作を停止する。
【0051】このFET3の発振が停止することにより、検知コイルL3に電圧が発生しなくなるので、コンパレータIC2の−入力端子への入力電圧V=0になり、コンパレータIC2からハイレベル信号が出力されて、LED6は消灯する。
【0052】このように、第4実施例では、タイマー回路Tにより満充電を行うべく所定時間だけ充電する充電制御を行うことができる。また、LED6の点灯により負荷部2の装着を表示するとともに、LED6の消灯により充電完了を表示することができる。
【0053】次に、第5実施例について図13〜図15に基づき説明する。なお、各コイルの位置関係については、第1実施例と同様である。図13は第5実施例の電源部1の回路図である。第4実施例と同一物については同一符号を付す。
【0054】第5実施例は、第4実施例の回路において、パルスコントロール回路PCを付加するとともに、抵抗R13とLED6に代えて充電表示回路7を設けている。パルスコントロール回路PCはタイマー回路TとダイオードD2との間に介在され、充電表示回路7はタイマー回路Tの出力端子P1に接続されている。
【0055】タイマー回路Tは、通常は出力端子P1からハイレベル信号を出力しており、リセット入力端子RESETにローレベル信号が入力されると計時のためのカウント動作を開始するとともに、出力端子P1からの出力信号をローレベル信号に切り換えるものである。そして、予め設定された充電のための所定時間を計時すると、出力端子P1からの出力信号を再びハイレベル信号に切り換えるものである。
【0056】充電表示回路7は、フレーム12の外面適所に配設されたLED等の複数の表示素子を有し、タイマー回路Tの出力端子P1から入力端子P4にローレベル信号が入力されている期間中、表示素子を点灯して充電中であることを表示するものである。また、入力端子P4への入力信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換えられると、この切り換えによって異なる表示素子を点灯して充電完了であることを表示するものである。
【0057】パルスコントロール回路PCは、入力端子P3にローレベル信号が入力されている期間のみ、予め設定されたデューティ比のパルス信号を出力端子P2から出力するものである。
【0058】次に、この回路の動作について、図14のタイミングチャートに基づき説明する。
【0059】無負荷状態のときは、タイマー回路Tは、出力端子P1からハイレベル信号を出力しており、この間は充電表示回路7は動作していない。また、パルスコントロール回路PCは、出力端子P2からパルス信号を出力しており、FET3は間欠発振している。
【0060】従って、負荷待機状態では間欠発振しているので、この期間は消費電力を低減することができる。
【0061】次に、電源部1に負荷部2が装着されると、充電動作が開始されるとともに、コンパレータIC2からタイマー回路Tのリセット入力端子RESETにローレベル信号が入力され、タイマー回路Tのカウント動作が開始される。また、充電表示回路7により充電中であることが表示される。
【0062】そして、充電のための所定時間が経過して蓄電池Bが満充電になると、パルスコントロール回路PCの出力端子P2からパルス信号が出力され、FET3が間欠発振する。
【0063】従って、この間欠発振により、蓄電池Bの充電完了後に、トリクル充電電流による補充電を行うことができる。
【0064】次に、電源部1の第2コイルLC近傍に金属物が置かれたときの動作について、図15のタイミングチャートに基づき説明する。図15は図14の■の範囲を詳細に示すタイミングチャートである。
【0065】無負荷状態において、第2コイルLCの近傍に金属物が置かれると、出力端子P2からハイレベル信号が出力されているTon期間では、第1コイルL1に発生する起電力が増大し、検知コイルL3に発生する起電力も増大する。この検知コイルL3に発生した電圧V3により、ツェナーダイオードZDを介してトランジスタQ1がオンされ、FET3の発振が停止される。
【0066】発振が停止することにより、検知コイルL3の発生平滑電圧V3が低下し、ツェナーダイオードZDを介してオンしていたトランジスタQ1がオフになり、再びFET3が発振を開始する。そして、これを繰り返して、間欠発振を行う。一方、出力端子P2からローレベル信号が出力されているToff期間では、上記間欠発振は停止される。
【0067】このように、無負荷状態における間欠発振時に金属物が置かれると、この間欠発振が出力端子P2の出力によって、さらに間欠発振とされるので、FET3の発振時間がさらに短縮されることとなる。従って、金属物の加熱をさらに抑制することができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、負荷側の状態変化により第2コイルの電圧のレベルが変化すると、この変化に伴って生じる第1コイルの電圧のレベル変化を、検知コイルの誘起電圧のレベル変化として検知するようにしたので、電磁誘導方式の電源装置でありながら、負荷側の状態を1次側の電源部で知ることが可能となり、これにより負荷状態に応じた電力伝達制御を可能にすることができる。
【0069】また、本体の第2コイル近傍に金属異物が誤って載置されると、1次コイルの発振動作を間欠的に行うように切り換えるようにしたので、金属異物の加熱を抑制することができる。
【0070】また、負荷部の負荷相当分だけ第2コイルの電圧レベルが多少変化することが検知コイルで検知されると、表示手段を表示させるようにしたので、負荷部が本体所定位置に正しく装着されたことを報知することができる。
【0071】また、蓄電池を有する負荷部が本体の所定位置に正しく装着されてから1次コイルの発振動作を所定時間だけ行うようにしたので、蓄電池の満充電制御を行うことができる。
【0072】また、本体の第2コイル近傍に金属異物が誤って載置されて発振動作が間欠的に行われることとなった場合に、この間欠発振動作をさらに間欠的に行うようにしたので、金属異物の加熱をより一層抑制することができる。
【0073】また、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されて、所定の充電時間だけ充電を行った後は、引き続いて充電動作を間欠的に行うようにしたので、補充電(トリクル充電)を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電源装置の第1実施例の電源部を示す回路図である。
【図2】本発明に係る電源装置の第1実施例の負荷部を示す回路図である。
【図3】本発明が適用される電気機器の一例であるコードレス電話器を示す斜視図である。
【図4】電源部及び負荷部内部の各コイルを示す斜視図である。
【図5】電源部に負荷部が装着された状態を示す一部断面図である。
【図6】電源部の突出部に金属物が載せられた状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は一部断面図である。
【図7】第1実施例の動作を示す各部の電圧波形図である。
【図8】本発明に係る電源装置の第2実施例の電源部を示す回路図である。
【図9】本発明に係る電源装置の第3実施例の電源部を示す回路図である。
【図10】第3実施例の動作を示す各部の電圧波形図である。
【図11】本発明に係る電源装置の第4実施例の電源部を示す回路図である。
【図12】第4実施例の動作を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明に係る電源装置の第5実施例の電源部を示す回路図である。
【図14】第5実施例の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】図14の■の範囲を詳細に示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 電源部
2 負荷部
3 電界効果トランジスタ(FET)
5 金属物
6 発光ダイオード(LED)
7 充電表示回路
11,21 フレーム
12 突出部
22 凹部
B 蓄電池
BD 整流ダイオード
C0,C1,C2,C3 コンデンサ
D0,D1,D2 ダイオード
IC1,IC2 コンパレータ
L1 第1コイル
L2 帰還コイル
L3 検知コイル
LC 第2コイル
L0 2次コイル
PC パルスコントロール回路
P1,P2 出力端子
P3,P4 入力端子
Q1 トランジスタ
R1〜R13,R21〜R23 抵抗
T タイマー回路
ZD ツェナーダイオード
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、本体に対し着脱可能な負荷部に電磁誘導により電力を伝達供給する非接触方式の電源装置に係り、特に負荷側の状態に応じて電力伝達の制御を可能にする電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、負荷側が電源本体に対して着脱可能にされている電源装置が知られており、特に、近年では、負荷側の操作性を考慮して電源本体と負荷側間の接続に機械的な接触構造を持たない、電磁誘導により電力を負荷側に伝達供給する、いわゆる非接触方式の電源装置が提案されている(特開平4−295284号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の電源装置において効率の良い電力伝達を実現するためには、本体のフレーム外面近傍に1次コイルを配設し、これにより負荷部が装着されるときに負荷側の2次コイルを電源本体の1次コイルに構造的に磁気結合させることが望まれる。
【0004】しかしながら、電磁誘導による電源装置において、上記構造を採用すると、1次コイルが本体の外面近傍に配設されていること、および非接触方式では負荷側の状態を機械的スイッチや負荷側の検知回路から直接本体側に検知信号を戻す配線が設けられないために電力伝達の制御が困難であり、このため電源投入状態のままで負荷が未装着のときに、この1次コイルの付近に硬貨やピン等の金属が置かれると、電磁誘導により金属が加熱されることになる。このため、火傷、火災等の危険性を伴い、また電源装置のフレームを溶かして変形させるという問題を生ずる。また、この種の電源装置を蓄電池の充電器として用いた場合に、満充電制御のための蓄電池電圧の検知信号を本体側へ戻す配線が施せないために、充電制御も充分でないという問題がある。
【0005】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、上記のような負荷側の状態変化を本体側で検知して電力伝達制御を行うようにした電源装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、本体に対し着脱可能な負荷部に電磁誘導により電力を伝達供給する電源装置において、電源投入を受けて発振駆動される1次コイルと、負荷部側の状態を検出する検知コイルとを有し、上記1次コイルは、第1コイルと、装着時に上記負荷部に内蔵された2次コイルと磁気結合される第2コイルとが直列接続されてなり、上記検知コイルは上記第1コイルに磁気結合されているものである(請求項1)。
【0007】また、請求項1記載の電源装置において、上記第2コイルの短絡に伴い生じる上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化を検出する検出手段と、上記検出手段が上記レベル変化を検出すると、上記1次コイルの発振動作を停止させる発振停止回路とを備えたものである(請求項2)。
【0008】また、請求項1記載の電源装置において、上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化から上記負荷部の本体への装着の有無を検出する検出手段と、上記検出手段による上記レベル変化の検出に基づいて表示動作を行う表示手段とを備えたものである(請求項3)。
【0009】また、請求項1記載の電源装置において、上記負荷部は充電可能な蓄電池であって、上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化から上記負荷部の本体への装着の有無を検出する検出手段と、上記検出手段による上記レベル変化の検出に基づいて所定の充電時間だけ上記1次コイルの発振駆動を行わすタイマ手段とを備えたものである(請求項4)。
【0010】また、請求項2記載の電源装置において、上記発振停止回路を間欠駆動させる間欠駆動回路を備えたものである(請求項5)。
【0011】また、請求項4記載の電源装置において、上記所定の充電時間後に上記1次コイルの発振動作を間欠駆動させる発振制御手段を備えたものである(請求項6)。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明によれば、本体側は電源に投入されており、その1次コイルは発振駆動されており、この状態で、負荷部が本体に装着されると本体の1次コイルの第2コイルと負荷側の2次コイルとが磁気結合されて、負荷側への電力伝達が可能となる。負荷部が未装着で、本体の第2コイル近傍に金属異物が誤って載置されると、第2コイルが実質短絡状態に陥り、これにより第1コイルに電圧が発生することとなる。この第1コイルの発生電圧のレベル変化は検知コイルの誘起電圧のレベル変化として検知される。また、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されると、その負荷相当分だけ第2コイルの発生電圧レベルが多少変化(低下)する。この変化分は第1コイルの変化分として現れ、このレベル変化が同様にして検知コイルで検知される。このように、負荷側の状態変化を本体側で検知できるので、負荷側の状態に応じた電力伝達制御ができるようになる。
【0013】請求項2記載の発明によれば、負荷部が未装着で、本体の第2コイル近傍に金属が誤って載置されて第2コイルが実質短絡状態に陥ると、これにより第1コイルに電圧が発生する。この発生電圧のレベル変化が検出手段で検出されると、1次コイルの発振駆動が停止される。この発振駆動が停止されると、第1コイルの発生電圧が元のレベルに復帰するので、発振が再開する。このように、金属異物が誤って載置された場合、発振動作は間欠的に行われることとなる。
【0014】請求項3記載の発明によれば、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されると、その負荷相当分だけ第2コイルの発生電圧レベルが多少変化(低下)し、この変化分は第1コイルの変化分として現れる。このレベル変化が検出手段で検出されると、負荷部に対する充電が開始されたとして、その旨を示す表示が行われる。
【0015】請求項4記載の発明によれば、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されると、その負荷相当分だけ第2コイルの発生電圧レベルが多少変化(低下)し、この変化分は第1コイルの変化分として現れる。このレベル変化が検出手段で検出されると、負荷部に対する充電が開始されたとして、所定の充電時間だけ発振駆動が継続される。
【0016】請求項5記載の発明によれば、本体の第2コイル近傍に金属異物が誤って載置された結果、発振動作が間欠的に行われることとなった場合に、この間欠発振動作が、さらに間欠的に行われることとなるので、異常時での発振時間が一層短縮される。
【0017】請求項6記載の発明によれば、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されて、所定の充電時間だけ充電が行われた後は、引き続いて充電動作が間欠的に行われるので、補充電(トリクル充電)が行える。
【0018】
【実施例】本発明に係る電源装置の第1実施例について図1〜図5に基づき説明する。図3は本発明が適用される電気機器の一例であるコードレス電話器を示す斜視図である。受話器としての負荷部2は、図3に示すように、電源部1の上に載置されることにより、蓄電池を内蔵する負荷部2が電源部1に装着されるようになっており、これにより、後述するようにして電力伝達及びその制御が行われる。なお、負荷部2に内蔵される負荷は、蓄電池に限られず、モータ等でもよい。
【0019】次に、この電源部1及び負荷部2の回路構成について説明する。図1,図2は本発明に係る電源装置の第1実施例を示す回路図で、図1は電源部1、図2は負荷部2の回路図である。
【0020】入力端子間には、コードKを介して商用電源等の交流電源が接続可能になっている。この交流電力は、整流ダイオードBD及びコンデンサC1で整流、平滑されて直流電源が得られる。この直流電源には、第2コイルLC、第1コイルL1及びスイッチング素子の電界効果トランジスタ(FET)3が直列接続されている。
【0021】FET3は、そのソース、アース間に抵抗R22,R23が直列接続され、ゲート、ドレイン間に帰還コイルL2及びコンデンサC2からなる直列発振回路が接続され、ゲート、アース間にダイオードD2及びトランジスタQ1からなる直列回路が接続されている。
【0022】検知コイルL3は、整流用ダイオードD1及び平滑用コンデンサC3に接続され、発生平滑電圧V3が生じるようになされている。更にツェナーダイオードZD、抵抗を介して抵抗R22,R23の接続点に接続されている。ツェナーダイオードZDは所定のツェナー電圧のものが採用されている。すなわち、このツェナー電圧は、後述するように発生平滑電圧V3がVxに達するとオンするような値に設定されている。そして、ツェナーダイオードZDがオンすると、トランジスタQ1がオンして、FET3のゲートをアースに落すようにしている。
【0023】そして、直流電源の正極と、帰還コイルL2及びコンデンサC1の接続点との間に、FET3を起動させる起動抵抗R21が接続されている。
【0024】一方、負荷部2には、2次コイルL0が、後述するように第2コイルLCに磁気結合可能に配設されており、ダイオードD0、平滑用のコンデンサC0を介して蓄電池(負荷)Bと並列接続されている。
【0025】次に、図4,図5に基づき各コイルの位置関係について説明する。図4は電源部1及び負荷部2内部の各コイルを示す斜視図で、図5は電源部1に負荷部2が装着された状態を示す一部断面図である。
【0026】電源部1の内部には、上記各回路部品が載置されたプリント配線基板PBが配設されている。このプリント配線基板PB上に密着して、第1コイルL1、帰還コイルL2及び検知コイルL3が巻回されたコアが配置されている。一方、第2コイルLCは、プリント配線基板PBから離れて、電源部1のフレーム11の上面略中央に設けられた突出部12にコアに巻回された状態で配設されている。このように、第1コイルL1、帰還コイルL2及び検知コイルL3は互いに磁気結合され、第2コイルLCは、これらの各コイルとは磁気結合されないように配設されている。
【0027】また、図5に示すように、負荷部2のフレーム21の下面には、少なくとも突出部12の周径に比して僅かに大径の凹部22が設けられており、フレーム21内であって凹部22に2次コイルL0が巻回されている。そして、電源部1の突出部12に負荷部2の凹部22が遊嵌されて負荷部2が電源部1に装着されると、第2コイルLCと2次コイルL0とが磁気結合されるようになっている。
【0028】次に、この回路の動作について、図1,図6R>6,図7に基づき説明する。図6は電源部1の突出部12に指輪等の金属物が載せられた状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は一部断面図である。図7は第1実施例の動作を示す各部の電圧波形図である。
【0029】電源部1のコードKを交流電源に接続すると、起動抵抗R21によるコンデンサC1の充電電圧によりゲート電圧が印加され、FET3がオンし始める。そして、第1コイルL1の両端電圧による帰還コイルL2の誘起電圧によりFET3が急激にオンする。そして、FET3のソース電流が増大して抵抗R23に発生する電圧が所定レベルまで上昇すると、トランジスタQ1がオンし、FET3のゲート電圧が低下して、FET3がオフになる。このようなFET3の発振により、第2コイルLCの両端に、図7に示すような電圧が発生している。
【0030】ここで、図6に示すように、第2コイルLCが配設されている電源部1の突出部12の周囲に指輪やコイン等の金属物5が載せられると、第2コイルLCに発生する磁界が金属物5により拘束されて短絡状態となり、図7に示すように、第2コイルLCの両端電圧が実質短絡状態と同様な低レベルに抑制され、一方、FET3の発振による1次側のエネルギーにより、第2コイルLCに直列接続された第1コイルL1の両端電圧が増大する。従って、第1コイルL1に磁気接合された検知コイルL3に発生する電圧も増大し、この検知コイルL3に誘起され、平滑後の発生平滑電圧V3がVaからVxに上昇して、ツェナーダイオードZDのツェナー電圧及びそのアノード側に接続された抵抗の発生電圧の和(以下、この電圧の和を説明の便宜上、ツェナー電圧という)を越えることとなって、トランジスタQ1がオンし、FET3の発振が停止する。
【0031】FET3の発振が停止すると、検知コイルL3に電圧が発生しなくなり、コンデンサC3が放電していくが、このコンデンサC3の電圧が上記ツェナー電圧より大きい間は、FET3の発振停止が継続される。そして、コンデンサC3の電圧が上記ツェナー電圧以下に低下すると、トランジスタQ1がオフになり、再びFET3が発振を開始する。
【0032】このように、第2コイルLCが配設されている電源部1の突出部12の周囲に金属物5が載せられると、FET3は間欠発振に切り換わるので、金属物5の加熱を比較的抑制することができる。従って、火傷や火災等を防止するとともに、電源部1のフレーム11の熱による変形を防止することができる。
【0033】次に、第2実施例について図8に基づき説明する。なお、各コイルの位置関係については、第1実施例と同様である。図8は第2実施例の電源部1の回路図である。第1実施例と同一物については同一符号を付す。
【0034】第2実施例は、第1実施例と同様、金属物が置かれたときの電力伝達制御を行うもので、ツェナーダイオードZD、トランジスタQ1に代えて、オペアンプからなるコンパレータIC1を設けたものである。
【0035】すなわち、コンデンサC3の正極に分圧抵抗R1,R2の直列回路が接続され、この分圧抵抗R1,R2の接続点は抵抗R6を介してコンパレータIC1の−入力端子に接続されている。
【0036】一方、基準電圧Vccに分圧抵抗R3,R4が接続され、この分圧抵抗R3,R4の接続点は抵抗R5を介してコンパレータIC1の+入力端子に接続されている。また、コンパレータIC1の出力端子はダイオードD2のカソードに接続されている。
【0037】そして、検知コイルL3の発生平滑電圧V3が分圧抵抗R1,R2で分圧された電圧V2と、基準電圧Vccが分圧抵抗R3,R4で分圧された電圧Vref2とがコンパレータIC1で比較されるようになっている。
【0038】そして、無負荷時の電圧VaではV2<Vref2になるように各分圧抵抗値を設定しておき、コンパレータIC1からハイレベル信号を出力してダイオードD2をオフにする。一方、金属物が電源部1の突出部12に載せられ、検知コイルL3の発生平滑電圧V3がVxまで上昇すると、V2>Vref2になり、コンパレータIC1からローレベル信号を出力してダイオードD2をオンにするので、FET3のゲートがローレベルになって、発振が停止される。
【0039】次に、第3実施例について図9,図10に基づき説明する。なお、各コイルの位置関係については、第1実施例と同様である。図9は第3実施例の電源部1の回路図である。第1実施例と同一物については同一符号を付す。
【0040】第3実施例は、第1実施例の回路に加えて、オペアンプからなるコンパレータIC2と発光ダイオード(LED)6とを設けたものである。すなわち、コンデンサC3の正極に分圧抵抗R7,R8の直列回路が接続され、この分圧抵抗R7,R8の接続点は抵抗R12を介してコンパレータIC2の−入力端子に接続されている。
【0041】また、基準電圧Vccに分圧抵抗R9,R10が接続され、この分圧抵抗R9,R10の接続点は抵抗R11を介してコンパレータIC2の+入力端子に接続されている。さらに、基準電圧VccとコンパレータIC2の出力端子との間には抵抗R13を介してLED6が接続されている。このLED6はフレーム12の外面適所に配設されている。
【0042】そして、検知コイルL3の発生平滑電圧V3が分圧抵抗R7,R8で分圧された電圧V1と基準電圧Vccが分圧抵抗R9,R10で分圧された電圧VrefとがコンパレータIC2で比較されるようになっている。
【0043】次に、この回路の動作について図10に基づき説明する。なお、FET3の発振動作及び金属物が電源部1の突出部12に載せられたときの動作は第1実施例と同様である。
【0044】電源部1の所定位置に負荷部2を正しく装着すると、2次コイルL0側の負荷分に相当するレベルだけ、すなわち第2コイルLCの両端電圧がΔVcだけ減少する。そして、この第2コイルLCでのエネルギー低下に相当する分、第2コイルLCと直列に接続された第1コイルL1の両端電圧がΔV1だけ増大するので、第1コイルL1に磁気結合された検知コイルL3に誘起される電圧V3も多少増大する(図10中、発生平滑電圧V3において、VaからVx1)。
【0045】そして、無負荷時の発生平滑電圧V3がVaではV1<Vrefになるように各分圧抵抗値を設定しておくと、コンパレータIC2からハイレベル信号を出力してLED6をオフにする。一方、電源部1に負荷部2を装着し、検知コイルL3の発生平滑電圧V3がVx1まで上昇すると、V1>Vrefになるように各分圧抵抗値を設定しておけば、コンパレータIC1からローレベル信号を出力してLED6をオンにする。
【0046】従って、電源部1に負荷部2が装着されると、LED6が点灯し、負荷部2が正しく装着されたことを表示することができる。また、負荷部2が電源部1に正常に装着されていないときは、LED6が点灯しないので、使用者に報知することができる。
【0047】次に、第4実施例について図11,図12に基づき説明する。なお、各コイルの位置関係については、第1実施例と同様である。図11は第4実施例の電源部1の回路図である。第3実施例と同一物については同一符号を付す。
【0048】第4実施例は、第3実施例の回路に、タイマー回路Tが付加されている。すなわち、タイマー回路Tは、そのリセット入力端子RESETがコンパレータIC2の出力端子に接続され、出力端子P1がダイオードD2のカソードに接続されている。
【0049】このタイマー回路Tは、リセット入力端子RESETにローレベル信号が入力されると計時のためのカウント動作を開始するとともに、出力端子P1からハイレベル信号を出力し、予め設定された充電のための所定時間を計時すると、出力端子P1からローレベル信号を出力するものである。
【0050】この回路の動作について図12のタイミングチャートに基づき説明する。電源部1に負荷部2が装着されると、第3実施例で説明したように、コンパレータIC2からローレベル信号が出力されてLED6が点灯されるとともに、タイマー回路Tがカウント動作を開始する。そして、所定時間が経過すると、出力端子P1からローレベル信号を出力し、ダイオードD2をオンさせて、FET3の発振動作を停止する。
【0051】このFET3の発振が停止することにより、検知コイルL3に電圧が発生しなくなるので、コンパレータIC2の−入力端子への入力電圧V=0になり、コンパレータIC2からハイレベル信号が出力されて、LED6は消灯する。
【0052】このように、第4実施例では、タイマー回路Tにより満充電を行うべく所定時間だけ充電する充電制御を行うことができる。また、LED6の点灯により負荷部2の装着を表示するとともに、LED6の消灯により充電完了を表示することができる。
【0053】次に、第5実施例について図13〜図15に基づき説明する。なお、各コイルの位置関係については、第1実施例と同様である。図13は第5実施例の電源部1の回路図である。第4実施例と同一物については同一符号を付す。
【0054】第5実施例は、第4実施例の回路において、パルスコントロール回路PCを付加するとともに、抵抗R13とLED6に代えて充電表示回路7を設けている。パルスコントロール回路PCはタイマー回路TとダイオードD2との間に介在され、充電表示回路7はタイマー回路Tの出力端子P1に接続されている。
【0055】タイマー回路Tは、通常は出力端子P1からハイレベル信号を出力しており、リセット入力端子RESETにローレベル信号が入力されると計時のためのカウント動作を開始するとともに、出力端子P1からの出力信号をローレベル信号に切り換えるものである。そして、予め設定された充電のための所定時間を計時すると、出力端子P1からの出力信号を再びハイレベル信号に切り換えるものである。
【0056】充電表示回路7は、フレーム12の外面適所に配設されたLED等の複数の表示素子を有し、タイマー回路Tの出力端子P1から入力端子P4にローレベル信号が入力されている期間中、表示素子を点灯して充電中であることを表示するものである。また、入力端子P4への入力信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換えられると、この切り換えによって異なる表示素子を点灯して充電完了であることを表示するものである。
【0057】パルスコントロール回路PCは、入力端子P3にローレベル信号が入力されている期間のみ、予め設定されたデューティ比のパルス信号を出力端子P2から出力するものである。
【0058】次に、この回路の動作について、図14のタイミングチャートに基づき説明する。
【0059】無負荷状態のときは、タイマー回路Tは、出力端子P1からハイレベル信号を出力しており、この間は充電表示回路7は動作していない。また、パルスコントロール回路PCは、出力端子P2からパルス信号を出力しており、FET3は間欠発振している。
【0060】従って、負荷待機状態では間欠発振しているので、この期間は消費電力を低減することができる。
【0061】次に、電源部1に負荷部2が装着されると、充電動作が開始されるとともに、コンパレータIC2からタイマー回路Tのリセット入力端子RESETにローレベル信号が入力され、タイマー回路Tのカウント動作が開始される。また、充電表示回路7により充電中であることが表示される。
【0062】そして、充電のための所定時間が経過して蓄電池Bが満充電になると、パルスコントロール回路PCの出力端子P2からパルス信号が出力され、FET3が間欠発振する。
【0063】従って、この間欠発振により、蓄電池Bの充電完了後に、トリクル充電電流による補充電を行うことができる。
【0064】次に、電源部1の第2コイルLC近傍に金属物が置かれたときの動作について、図15のタイミングチャートに基づき説明する。図15は図14の
【0065】無負荷状態において、第2コイルLCの近傍に金属物が置かれると、出力端子P2からハイレベル信号が出力されているTon期間では、第1コイルL1に発生する起電力が増大し、検知コイルL3に発生する起電力も増大する。この検知コイルL3に発生した電圧V3により、ツェナーダイオードZDを介してトランジスタQ1がオンされ、FET3の発振が停止される。
【0066】発振が停止することにより、検知コイルL3の発生平滑電圧V3が低下し、ツェナーダイオードZDを介してオンしていたトランジスタQ1がオフになり、再びFET3が発振を開始する。そして、これを繰り返して、間欠発振を行う。一方、出力端子P2からローレベル信号が出力されているToff期間では、上記間欠発振は停止される。
【0067】このように、無負荷状態における間欠発振時に金属物が置かれると、この間欠発振が出力端子P2の出力によって、さらに間欠発振とされるので、FET3の発振時間がさらに短縮されることとなる。従って、金属物の加熱をさらに抑制することができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、負荷側の状態変化により第2コイルの電圧のレベルが変化すると、この変化に伴って生じる第1コイルの電圧のレベル変化を、検知コイルの誘起電圧のレベル変化として検知するようにしたので、電磁誘導方式の電源装置でありながら、負荷側の状態を1次側の電源部で知ることが可能となり、これにより負荷状態に応じた電力伝達制御を可能にすることができる。
【0069】また、本体の第2コイル近傍に金属異物が誤って載置されると、1次コイルの発振動作を間欠的に行うように切り換えるようにしたので、金属異物の加熱を抑制することができる。
【0070】また、負荷部の負荷相当分だけ第2コイルの電圧レベルが多少変化することが検知コイルで検知されると、表示手段を表示させるようにしたので、負荷部が本体所定位置に正しく装着されたことを報知することができる。
【0071】また、蓄電池を有する負荷部が本体の所定位置に正しく装着されてから1次コイルの発振動作を所定時間だけ行うようにしたので、蓄電池の満充電制御を行うことができる。
【0072】また、本体の第2コイル近傍に金属異物が誤って載置されて発振動作が間欠的に行われることとなった場合に、この間欠発振動作をさらに間欠的に行うようにしたので、金属異物の加熱をより一層抑制することができる。
【0073】また、負荷部が本体の所定位置に正しく装着されて、所定の充電時間だけ充電を行った後は、引き続いて充電動作を間欠的に行うようにしたので、補充電(トリクル充電)を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電源装置の第1実施例の電源部を示す回路図である。
【図2】本発明に係る電源装置の第1実施例の負荷部を示す回路図である。
【図3】本発明が適用される電気機器の一例であるコードレス電話器を示す斜視図である。
【図4】電源部及び負荷部内部の各コイルを示す斜視図である。
【図5】電源部に負荷部が装着された状態を示す一部断面図である。
【図6】電源部の突出部に金属物が載せられた状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は一部断面図である。
【図7】第1実施例の動作を示す各部の電圧波形図である。
【図8】本発明に係る電源装置の第2実施例の電源部を示す回路図である。
【図9】本発明に係る電源装置の第3実施例の電源部を示す回路図である。
【図10】第3実施例の動作を示す各部の電圧波形図である。
【図11】本発明に係る電源装置の第4実施例の電源部を示す回路図である。
【図12】第4実施例の動作を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明に係る電源装置の第5実施例の電源部を示す回路図である。
【図14】第5実施例の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】図14の
【符号の説明】
1 電源部
2 負荷部
3 電界効果トランジスタ(FET)
5 金属物
6 発光ダイオード(LED)
7 充電表示回路
11,21 フレーム
12 突出部
22 凹部
B 蓄電池
BD 整流ダイオード
C0,C1,C2,C3 コンデンサ
D0,D1,D2 ダイオード
IC1,IC2 コンパレータ
L1 第1コイル
L2 帰還コイル
L3 検知コイル
LC 第2コイル
L0 2次コイル
PC パルスコントロール回路
P1,P2 出力端子
P3,P4 入力端子
Q1 トランジスタ
R1〜R13,R21〜R23 抵抗
T タイマー回路
ZD ツェナーダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体に対し着脱可能な負荷部に電磁誘導により電力を伝達供給する電源装置において、電源投入を受けて発振駆動される1次コイルと、負荷部側の状態を検出する検知コイルとを有し、上記1次コイルは、第1コイルと、装着時に上記負荷部に内蔵された2次コイルと磁気結合される第2コイルとが直列接続されてなり、上記検知コイルは上記第1コイルに磁気結合されていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】 請求項1記載の電源装置において、上記第2コイルの短絡に伴い生じる上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化を検出する検出手段と、上記検出手段が上記レベル変化を検出すると、上記1次コイルの発振動作を停止させる発振停止回路とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項3】 請求項1記載の電源装置において、上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化から上記負荷部の本体への装着の有無を検出する検出手段と、上記検出手段による上記レベル変化の検出に基づいて表示動作を行う表示手段とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項4】 請求項1記載の電源装置において、上記負荷部は充電可能な蓄電池であって、上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化から上記負荷部の本体への装着の有無を検出する検出手段と、上記検出手段による上記レベル変化の検出に基づいて所定の充電時間だけ上記1次コイルの発振駆動を行わすタイマ手段とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項5】 請求項2記載の電源装置において、上記発振停止回路を間欠駆動させる間欠駆動回路を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項6】 請求項4記載の電源装置において、上記所定の充電時間後に上記1次コイルの発振動作を間欠駆動させる発振制御手段を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項1】 本体に対し着脱可能な負荷部に電磁誘導により電力を伝達供給する電源装置において、電源投入を受けて発振駆動される1次コイルと、負荷部側の状態を検出する検知コイルとを有し、上記1次コイルは、第1コイルと、装着時に上記負荷部に内蔵された2次コイルと磁気結合される第2コイルとが直列接続されてなり、上記検知コイルは上記第1コイルに磁気結合されていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】 請求項1記載の電源装置において、上記第2コイルの短絡に伴い生じる上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化を検出する検出手段と、上記検出手段が上記レベル変化を検出すると、上記1次コイルの発振動作を停止させる発振停止回路とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項3】 請求項1記載の電源装置において、上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化から上記負荷部の本体への装着の有無を検出する検出手段と、上記検出手段による上記レベル変化の検出に基づいて表示動作を行う表示手段とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項4】 請求項1記載の電源装置において、上記負荷部は充電可能な蓄電池であって、上記検知コイルの誘起電圧のレベル変化から上記負荷部の本体への装着の有無を検出する検出手段と、上記検出手段による上記レベル変化の検出に基づいて所定の充電時間だけ上記1次コイルの発振駆動を行わすタイマ手段とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項5】 請求項2記載の電源装置において、上記発振停止回路を間欠駆動させる間欠駆動回路を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項6】 請求項4記載の電源装置において、上記所定の充電時間後に上記1次コイルの発振動作を間欠駆動させる発振制御手段を備えたことを特徴とする電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図7】
【図9】
【図11】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図11】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開平6−339271
【公開日】平成6年(1994)12月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−124088
【出願日】平成5年(1993)5月26日
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【公開日】平成6年(1994)12月6日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)5月26日
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
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