説明

電球形ランプおよび照明器具

【課題】 基板に電気が流れるような異常発生時においても、基体に電気が流れるのを確実に防止できる電球形ランプを提供する。
【解決手段】
金属製の基体12の一端側に、発光モジュール41をねじ42で固定する。発光モジュール41は、金属製の基板47、および基板47の一面にLEDチップを実装した発光部48を有する。ねじ42と基板47との間には、絶縁カラー44を介在させる。絶縁カラー44は、発光モジュール41の発光部48が露出する開口部66、および挿通孔55を備えており、基板47の周辺域を嵌め込んで発光モジュール41を位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として半導体発光素子を用いた電球形ランプ、およびこの電球形蛍光ランプを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体発光素子としてLED素子を用いた電球形ランプでは、金属製の基体の一端側にLED素子を有する発光モジュールが取り付けられているとともにこの発光モジュールを覆ってグローブが取り付けられ、基体の他端側に口金が取り付けられ、基体内に点灯回路が収納されている。
【0003】
発光モジュールは、複数のLED素子を基板上に直接的に実装するCOB(Chip On
Board)モジュールで、基体への熱伝導性のよい金属製の基板が用いられる場合、基板の一面に絶縁層が形成され、この絶縁層上に配線パターンが形成されているとともに接着剤によって複数のLED素子が実装され、これらLED素子と配線パターンとがワイヤボンディングによって電気的に接続され、複数のLED素子全体が蛍光体を混入した封止樹脂で覆われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、発光モジュールの基板から基体への熱伝導性を良好にするために、基板を基体にねじで締め付けて固定し、基板を基体に密着させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−37995号公報(第7−8頁、図1−4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
COBモジュール方式の発光モジュールでは、基板へのLED素子の実装方法として、基板の一面に絶縁層を形成し、この絶縁層上に接着剤で複数のLED素子を実装するようにしているが、LED素子から基板への熱伝導性の向上、および発光モジュールの製造工程を簡略化して発光モジュールを安価に構成するために、絶縁層の形成を省略し、金属製の基板の一面に接着剤で複数のLED素子を実装することが考えられる。
【0007】
この実装方法の場合、基板が基体に電気的にも接触するとともに、基板を基体に固定する金属製のねじが基板と基体とに電気的にも接触することになり、通常の使用状況では基板とLED素子やワイヤボンディングのワイヤとの間の絶縁距離が確保されていて問題ないが、例えば点灯回路の異常発生時などに、LED素子やワイヤボンディングのワイヤに高電圧がかかって基板との間で放電した場合、基板およびねじに電気が流れ、この基板およびねじから外部に露出する基体へ電気が流れるおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、基板に電気が流れるような異常発生時においても、基体に電気が流れるのを確実に防止できる電球形ランプおよび照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の電球形ランプは、一端側にねじ取付孔が形成された基体と;基板の一面に半導体発光素子が実装された発光部およびその周辺域を有し、基体の一端側に配置された発光モジュールと;発光モジュールの発光部が露出する開口部、およびねじ挿通孔を備え、基板の周辺域を嵌め込んで発光モジュールを位置決めする絶縁体と;絶縁体のねじ挿通孔を介して、基体のねじ取付孔に取り付けられたねじと;基体の他端側に設けられた点灯回路および口金と;を具備しているものである。
【0010】
請求項2に記載の電球形ランプは、請求項1または2に記載の電球形ランプにおいて、基板は絶縁体によって複数個所を嵌め込まれているものである。
【0011】
請求項に記載の電球形ランプは、請求項1または2に記載の電球形ランプにおいて、基板は金属製の基板であり、基板の他面と基体との間に絶縁材が介在されているものである。
【0012】
本発明および以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0013】
基板は、例えば、アルミニウムなどの金属製で、半導体発光素子を実装する一面に絶縁層が形成されていなくてもよい。半導体発光素子は、例えば、LED素子やEL素子などが含まれる。発光部は、例えば、半導体発光素子がLED素子の場合に、基板の一面に接着剤によって複数のLED素子が実装され、複数のLED素子と基板上に配置された端子部とがワイヤボンディングによって電気的に接続され、複数のLED素子全体が蛍光体を混入した封止樹脂で覆われて形成されている。これにより、発光モジュールは、例えば、複数のLED素子が基板上に直接的に実装されるCOB(Chip On Board)モジュールで構成されている。しかし、本発明は、COBに限定されるものではなく、SMD(Surface Mount Device)形のものを実施するようなものであってもよい。
【0014】
基体は、例えば、アルミニウムなどの金属製で、外周面には放熱性を向上させるための放熱フインを設けてもよい。
【0015】
絶縁材は、例えば、シリコーン樹脂やシリコーンゴムなどの絶縁性、熱伝導性および弾性を有するシートが好ましいが、これに限定されるものではない。シートの場合、その弾性によって基板と基体との密着性を高めることが可能となる。
【0016】
ねじは、例えば、金属製で、頭部、およびねじ山が形成されたねじ軸部を有し、1個または複数個が用いられる。
【0017】
絶縁体は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂製で、少なくともねじの係合部分においてねじと基板との間に介在するように設けられていればよく、また、ねじが複数の場合には、複数の係合部分を一体に形成することにより1部品で構成するようにしてもよい。
【0018】
口金は、例えば、E26形やE17形などの一般照明電球用のソケットに接続可能なものが含まれる。
【0019】
点灯回路は、例えば、定電流の直流電力を出力する電源回路を有し、この電源回路の出力側に接続されている配線を基体内を通じて一端側に引き出し、配線の先端のコネクタを基板に配置されているコネクタに接続することにより、半導体発光素子に電力供給可能とする。点灯回路は基体内に収納されるが、点灯回路の一部が口金内に収納されていてもよい。
【0020】
請求項に記載の電球形ランプは、請求項1ないし3のいずれか一に記載の電球形ランプにおいて、発光モジュールを覆って基体の一端側に取り付けられたグローブを具備し、絶縁体には、基板の発光部の周囲を囲む壁部が設けられているものである。
【0021】
グローブは、例えば、樹脂製やガラス製で、光透過性および光拡散性を有している。
【0022】
壁部は、例えば、発光部の周囲を囲むように環状で設けられ、基板からの高さ寸法が、基板上に配置されるコネクタなどの電気部品やねじの影がグローブに映るのを防止できるように、発光部の位置と電気部品の高さ寸法との関係で適宜設定される。
【0023】
請求項5に記載の電球形ランプは、請求項1ないし4のいずれか一に記載の電球形ランプにおいて、発光モジュールの発光部は、基板の一面上に複数の半導体発光素子がマトリクス状に配置され、その複数の半導体発光素子全体を蛍光体を混入した封止樹脂で覆うように封止したCOB方式の発光部であるものである。
【0024】
請求項6に記載の電球形ランプは、請求項5に記載の電球形ランプにおいて、半導体発光素子は青色光を発する半導体発光素子、蛍光体は半導体発光素子の青色光の一部により励起されて黄色光を放射する蛍光体であり、発光部は基板の一面の中央域に1つ形成され、開口部は絶縁体の中央域に1つ形成されているものである。
【0025】
請求項に記載の電球形ランプは、請求項1ないし6のいずれか一に記載の電球形ランプにおいて、発光部の端部とこの端部と反対側に位置する壁部の上端とを結ぶ仮想線がねじの頭部にかからないように設定されているものである。
【0026】
請求項に記載の電球形ランプは、請求項に記載の電球形ランプにおいて、ねじが絶縁体のねじ挿通孔を介して基体のねじ取付孔に取り付けられることで、発光モジュールの基板が基体に設けられた基体取付面に絶縁材を介して面接触した状態に取り付けられているものである。
【0027】
請求項に記載の照明器具は、器具本体と;器具本体に装着される請求項1ないしのいずれか一に記載の電球形ランプと;を具備しているものである。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の電球形ランプによれば、発光モジュールの基板を基体に固定するねじと発光モジュールの基板との間に絶縁体を介在するため、基板に電気が流れるような異常発生時においても、基体に電気が流れるのを確実に防止できる。
【0029】
請求項2に記載の電球形ランプによれば、請求項1に記載の電球形ランプの効果に加えて、基板は絶縁体によって複数個所を嵌め込みできる。
【0030】
請求項に記載の電球形ランプによれば、請求項1または2に記載の電球形ランプの効果に加えて、発光モジュールの基板と基体との間に絶縁材を介在するため、基板に電気が流れるような異常発生時においても、基体に電気が流れるのを確実に防止できる。
【0031】
請求項に記載の電球形ランプによれば、請求項1ないし3のいずれか一に記載の電球形ランプの効果に加えて、絶縁体には、基板の発光部の周囲を囲む壁部を設けているため、この壁部で発光部から基板の一面に沿った方向へ向かう光を遮光し、基板上に配置される電気部品の影がグローブに映るのを防止でき、絶縁体を遮光体と兼用できる。
【0032】
請求項5に記載の電球形ランプによれば、請求項1ないし4のいずれか一に記載の電球形ランプの効果に加えて、発光モジュールの発光部は、COB方式の発光部で構成できる。
【0033】
請求項6に記載の電球形ランプによれば、請求項5に記載の電球形ランプの効果に加えて、半導体発光素子は青色光を発する半導体発光素子、蛍光体は半導体発光素子の青色光の一部により励起されて黄色光を放射する蛍光体であり、発光部は基板の一面の中央域に1つ形成され、開口部は絶縁体の中央域に1つ形成できる。
【0034】
請求項に記載の電球形ランプによれば、請求項1ないし6のいずれか一に記載の電球形ランプの効果に加えて、発光部の端部とこの端部と反対側に位置する壁部の上端とを結ぶ仮想線がねじの頭部にかからないように設定されているため、ねじの頭部の影が生じるのを防止できる。
【0035】
請求項に記載の電球形ランプによれば、請求項に記載の電球形ランプの効果に加えて、ねじが絶縁体のねじ挿通孔を介して基体のねじ取付孔に取り付けられることで、発光モジュールの基板が基体に設けられた基体取付面に絶縁材を介して面接触した状態に取り付けることできる。
【0036】
請求項に記載の照明器具によれば、各請求項の電球形ランプの作用効果が得られる照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す電球形ランプの分解斜視図である。
【図2】同上電球形ランプの断面図である。
【図3】同上電球形ランプの側面図である。
【図4】同上電球形ランプの基体および発光モジュールの端面図である。
【図5】同上電球形ランプの発光モジュールの一部の断面図である。
【図6】同上電球形ランプを用いた照明器具の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す電球形ランプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0039】
図1ないし図6に第1の実施の形態を示す。図1ないし図4において、11は電球形ランプで、この電球形ランプ11は、金属製の基体12、この基体12の一端側(電球形ランプ11のランプ軸の一端側)に取り付けられた発光モジュールユニット13、基体12の他端側に取り付けられた絶縁性を有するカバー14、このカバー14の他端側に取り付けられた口金15、発光モジュールユニット13を覆って基体12の一端側に取り付けられた透光性を有するグローブ16、および基体12と口金15との間でカバー14の内側に収納された点灯回路17を備えている。
【0040】
まず、基体12は、熱伝導性が優れた例えばアルミニウムなど金属材料によって一体形成されており、中央域には他端側へ向けて開口する胴体部21が形成され、この胴体部21の周囲にランプ軸方向に沿った複数の放熱フィン22が放射状に突出形成されている。放熱フィン22は、基体12の他端側から一端側へと径方向の突出量が徐々に大きくなるように傾斜して形成されており、グローブ16と組み合わせた際に電球形の形状に近似するように構成されている。
【0041】
基体12の一端側の面には、発光モジュールユニット13が取り付けられる平面状の取付面23が形成されている。この取付面23には、発光モジュールユニット13の後述する絶縁シートを位置決めするための複数の位置決め突起24、発光モジュールユニット13をねじ止めするための複数の取付孔25、および点灯回路17と発光モジュールユニット13側とを電気的に接続するコネクタやリード線を通すための配線孔26が形成されている。さらに、基体12には、胴体部21内に配置したカバー14をこのカバー14の内側からねじ止めするための取付孔27が貫通形成されている。
【0042】
基体12の一端側には、ランプ軸の中心から外れた位置に基体12の一端側と他端側である胴体部21の内側とを連通する孔部28がランプ軸方向に沿って形成され、基体12の一端側の面に孔部28の一端側から基体12の周辺域へ向けて溝部29が連通形成され、これら孔部28および溝部29によって点灯回路17と発光モジュールユニット13側とを電気的に接続するコネクタやリード線を通すための配線孔26が形成されている。
【0043】
基体12の一端側の周辺域には、グローブ16を取り付ける環状のグローブ取付部30が突出形成されている。このグローブ取付部30の内周部には、グローブ取付部30の先端から離反した取付面23に寄った位置に、全周に亘って係止溝31が形成され、さらに、グローブ取付部30の周方向の複数箇所であって例えば周方向に等間隔となる4箇所に、ランプ軸方向に沿って回転止め溝32が形成されている。
【0044】
次に、発光モジュールユニット13は、発光モジュール41、発光モジュール41を基体12に固定する複数のねじ42、発光モジュール41と基体12との間に介在される絶縁材としての絶縁シート43、および発光モジュール41上に配置されてねじ42と発光モジュール41との間に介在される絶縁体としての絶縁カラー44を備えている。
【0045】
発光モジュール41は、例えばアルミニウムなどの金属材料で形成された長方形状の基板47、およびこの基板47の一端側の一面である実装面の中央域に形成された円形の発光部48を有している。
【0046】
発光部48は、図5に示すように、基板47の金属面上に、複数の半導体発光素子としてのLED素子であるLEDチップ49が実装するCOB(Chip On Board)方式が用いられている。すなわち、基板47の金属面上に、複数のLEDチップ49がマトリクス状に配列して実装する各実装位置に対応してシリコーン樹脂などの接着剤50が所定の間隔をあけて塗布され、これら各接着剤50に押し付けるようにして各LEDチップ49が所定の間隔をあけて接着固定され、隣り合うLEDチップ49がワイヤボンディング処理によるワイヤ51によって直列に電気的に接続され、複数のLEDチップ49全体が蛍光体を混入した例えばシリコーン樹脂などの透明樹脂である封止樹脂52で覆われて封止されている。
【0047】
LEDチップ49には例えば青色光を発するLEDチップが用いられ、封止樹脂にはLEDチップ49からの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する蛍光体が混入されている。したがって、LEDチップ49および封止樹脂52などによって発光部48が構成され、この発光部48の表面である封止樹脂52の表面が発光面53となり、この発光面53から白色系の照明光が放射される。
【0048】
基板47の実装面には、基板47に対して絶縁状態で図示しない配線パターンが形成され、この配線パターンに、複数のLEDチップ49を直列に接続するワイヤ51の各端部が接続されているとともに、基板47上の1つの隅部に実装されるコネクタ54が接続されている。
【0049】
基板47の隅部でコネクタ54が実装されていない対角線上に位置する2箇所の隅部に、ねじ42が挿通される挿通孔55が形成されている。これら挿通孔55は、基体12の各取付孔25と同軸となる位置に形成され、ねじ42よりも大径で、挿通孔55の中心に挿通されるねじ42と基板12との絶縁距離が確保されている。
【0050】
また、ねじ42は、金属製で、頭部58、およびねじ山が形成されたねじ軸部59を有している。発光モジュール41を基体12に固定する際には、ねじ軸部59に挿通されるワッシャ60が用いられる。
【0051】
また、絶縁シート43は、例えば、シリコーン樹脂やシリコーンゴムなどの絶縁性、熱伝導性および弾性を有する薄いシートであり、基体12の各取付孔25および基板47の各挿通孔55と同軸となる位置に、ねじ42のねじ軸部59が挿通される挿通孔63が形成されている。
【0052】
また、絶縁カラー44は、例えば、PBT樹脂などの絶縁性を有する合成樹脂製で、基板47の外形範囲内の大きさに形成されていて基板47上に被着されるカラー本体65を有している。カラー本体65の中央域には発光部48が露出する円形の開口部66が形成されているとともにこの開口部66の周囲に発光部48上の周辺域に配置される環状の壁部67が形成されている。
【0053】
図2に示すように、基板47からの壁部67の高さ寸法は、基板47上に配置されるコネクタ54やねじ42の頭部58の影がグローブ16に映るのを防止できるように、発光部48の端部と反対側に位置する壁部67の上端とを結ぶ仮想線aが、コネクタ54やねじ42の頭部58にかからないように設定される。なお、図2では、仮想線aがコネクタ54にかかっているように見えるが、これは断面の方向の関係でこのように見えるだけで、コネクタ54の位置を通るようにした断面では仮想線aがコネクタ54にかからない。
【0054】
カラー本体65の四隅のうち、一方の対角線上に位置する隅部にはコネクタ54との干渉を避けるための切欠部68が形成され、他方の対角線上に位置する隅部にはねじ42が係合するねじ係合部69が形成されている。
【0055】
ねじ係合部69には、一面側にねじ42の頭部58およびワッシャ60が係合して収容される凹部70が形成され、ねじ42のねじ軸部59が挿通される挿通孔71が形成されている。ねじ係合部69の他面側には、基板47の挿通孔55に嵌り込む位置決め突部72が形成されている。これらねじ係合部69の凹部70、挿通孔71および位置決め突部72は、基体12の各取付孔25、基板47の各挿通孔55、および絶縁シート43の挿通孔63と同軸となる位置に形成されている。
【0056】
また、カバー14は、例えばPBT樹脂などの絶縁材料により、他端側へ向けて開口する円筒状に形成されている。カバー14の他端側の外周部には、基体12と口金15との間に介在して互いの間を絶縁する環状の鍔部75が形成され、この鍔部75より他端側で口金15を螺着して取り付けるためのねじ山を有する螺合部76が形成されている。カバー14の一端側の面には、基体12の配線孔26の孔部28に同軸に連通してコネクタやリード線を通すための配線孔77が形成されているとともに、基体12の取付孔27に同軸に連通してねじ止めするための挿通孔78が形成されている。カバー14の内周面には、互いに対向する一対の基板取付溝79がカバー14の中心からオフセットした位置にランプ軸方向に沿って形成されている。
【0057】
また、口金15は、例えば、E17形やE26形などの一般照明電球用のソケットに接続可能なもので、カバー14の螺合部76に螺合されて固定されるシェル81、このシェル81の他端側に設けられる絶縁部82、およびこの絶縁部82の頂部に設けられるアイレット83を有している。
【0058】
また、グローブ16は、光拡散性を有する合成樹脂製あるいはガラス製などで、半球面形状に形成されている。グローブ16の他端側は開口され、この開口縁部に基体12のグローブ取付部30の内周側に嵌合される嵌合部85が形成されている。嵌合部85には、グローブ取付部30の各回転止め溝32に嵌め込まれる複数の回転止め突起86が形成されているとともに、嵌合部85をグローブ取付部30に嵌合した際にグローブ取付部30の係止溝31に係止される複数の係止爪87が形成されている。
【0059】
また、点灯回路17は、発光モジュール41のLEDチップ49に対して定電流を供給する回路であり、回路を構成する複数の回路素子が実装された回路基板89を有し、この回路基板89がカバー14の基板取付溝79に差し込まれてカバー14内に収納されている。点灯回路17の入力側には、口金15のシェル81およびアイレット83がリード線で電気的に接続されている。点灯回路17の出力側には先端にコネクタ90を有するリード線91が接続され、このコネクタ90およびリード線91がカバー14の配線孔77および基体12の配線孔26を通じて基体12の一端側に引き出され、コネクタ90が発光モジュール41のコネクタ54に接続されている。なお、このコネクタ90の接続作業は、発光モジュール41を基体12にねじ止めする前に行われる。
【0060】
そして、電球形ランプ11を組み立てるには、まず、カバー14を基体12の胴体部21に挿入し、カバー14の内側から挿通孔78を通じて基体12の取付孔27にねじ止めする。続いて、点灯回路17の回路基板89をカバー14の内側に挿入するとともにコネクタ90およびリード線91をカバー14の配線孔77および基体の配線孔26を通じて基体12の一端側に引き出す。続いて、口金15をカバー14の螺合部76に螺合し、接着やかしめによって口金15をカバー14に固定する。
【0061】
続いて、発光モジュールユニット13を基体12に取り付ける。すなわち、絶縁シート43を基体12の取付面23から突出する複数の位置決め突起24間に位置決めして配置し、発光モジュール41の基板47を絶縁シート43上に配置し、絶縁カラー44を基板47上に被せるとともに各位置決め突部72を基板47の挿通孔55に嵌め込んで位置決めし、ワッシャ60を通した各ねじ42のねじ軸部59を絶縁カラー44の各凹部70および挿通孔71、基板47の挿通孔55、および絶縁シート43の挿通孔63を通じて基体12の取付孔25に螺着し、ねじ42を締め付けて絶縁カラー44、発光モジュール41および絶縁シート43を基体12に固定する。また、予め基体12の一端側に引き出されているコネクタ90およびリード線91は、絶縁シート43および基板47の縁部から配線孔26の溝部29の端部が露出して開口する部分から引き出しておき、発光モジュールユニット13の取付後に、コネクタ90を発光モジュール41のコネクタ54に接続する。これにより、発光モジュール41の基板47が絶縁シート43を介して基体12の取付面23に面接触して密着した状態に取り付けられ、また、発光モジュール41の発光部48の中心がランプ軸の中心に配置される。なお、発光モジュールユニット13の基体12への取付順序は、これに限らず、別の取付順序でもよい。
【0062】
続いて、基体12のグローブ取付部30の内周にシリコーン樹脂やセメントなどの接着剤を塗布し、グローブ16の各回転止め突起86をグローブ取付部30の各回転止め溝32に位置決めしてグローブ16を基体12に被着することにより、グローブ16の各係止爪87がグローブ取付部30の係止溝31に係止され、グローブ16が基体12に嵌合固定される。これにより、グローブ16が基体12に対して回転止めされるとともに抜け止めされている。このようにグローブ16の基体12に対する固定は、嵌合係止構造を採用しているため、接着剤を併用する場合には従来に比べて接着剤の使用量を削減でき、あるいは接着剤も併用しなくてもグローブ16を基体12に確実に固定することができる。
【0063】
また、図6には、電球形ランプ11を使用するダウンライトである照明器具100を示し、この照明器具100は、器具本体101を有し、この器具本体101内にソケット102および反射体103が配設されている。
【0064】
そうして、電球形ランプ11を照明器具100のソケット102に装着して通電すると、点灯回路17が動作し、発光モジュール41の複数のLEDチップ49に電力が供給され、複数のLEDチップ49が発光し、この光がグローブ16を通じて拡散放射される。
【0065】
発光モジュール41の複数のLEDチップ49の点灯時に発生する熱は、主に、基板47に熱伝導されるとともにこの基板47から絶縁シート43を介して基体12に熱伝導され、この基体12の周囲に設けられた複数の放熱フィン22から空気中に放熱される。
【0066】
発光モジュール41は、金属製の基板47上に、絶縁層を別途介在せず、接着剤50でLEDチップ49が直接的に実装されているため、LEDチップ49の熱を基板47に効率よく熱伝導できる。また、基板47と基体12との間に絶縁シート43が介在するが、発光部48よりも広い基板47の全面から絶縁シート43を介して基体12に熱伝導できるので、高い熱伝導性を確保できる。
【0067】
また、仮に、点灯回路17に異常が発生し、発光モジュール41のLEDチップ49やワイヤ51に高電圧がかかって基板47との間で放電した場合、基板47に電気が流れるおそれが考えられる。この場合、基板47と基体12との間には絶縁シート43が介在され、基板47を基体12に固定するねじ42と基板47との間には絶縁カラー44が介在されているため、基板47に電気が流れても、基体12に電気が流れるのを確実に防止できる。
【0068】
また、絶縁カラー44には、基板47の挿通孔55に嵌合される位置決め突部72が設けられているため、絶縁カバー44と基板47とを組み合わせることで互いの位置関係を位置決めでき、ねじ42が必ず基板47の挿通孔55の中心に配置され、ねじ42と基板47との絶縁距離を確実に確保できる。
【0069】
また、絶縁カラー44には、基板47の発光部48の周囲を囲む壁部67が設けられているため、この壁部67で発光部48から基板47の一面に沿った方向へ向かう光を遮光し、基板47上に配置されるコネクタ54やねじ42の影がグローブ16に映るのを防止でき、絶縁カラー44を遮光体と兼用できる。さらに、壁部67の内周面は、反射面として機能し、光を有効利用できるとともに配光制御できる。
【0070】
次に、図7に第2の実施の形態を示す。
【0071】
絶縁カラー44の壁部67の内周面の反射面機能をより高めたもので、壁部67に、基板47の発光部48の周囲に対向し、発光部48からの光を反射させる反射部111が形成されている。この反射部111は、円筒状で、発光部48に対向する内周面に一端側へ向かって拡開する反射面112が形成されている。反射面112は、例えばアルミニウム蒸着などが施されて高い反射率特性が確保されている。
【0072】
このように、絶縁カラー44には、基板47の発光部48の周囲に対向し、発光部48からの光を反射させる反射部111を設けているため、図6に示したダウンライトである照明器具100に適用した場合に、その照明器具100に適した直下方向の配光が増加した配光制御ができ、絶縁カラー44を反射体と兼用できる。
【符号の説明】
【0073】
11 電球形ランプ
12 基体
14 樹脂製カバーとしてのカバー
15 口金
16 グローブ
17 点灯回路
23 基体取付面としての取付面
24 位置決め突起
25 ねじ取付孔としての取付孔
41 発光モジュール
42 ねじ
43 絶縁材としての絶縁シート
44 絶縁体としての絶縁カラー
47 基板
48 発光部
49 半導体発光素子としてのLEDチップ
52 封止樹脂
58 ねじ頭部としての頭部
59 ねじ軸部
60 ワッシャ
66 開口部
67 壁部
68 切欠部
70 凹部
71 ねじ挿通孔としての挿通孔
72 位置決め突
100 照明器具
101 器具本

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側にねじ取付孔が形成された基体と;
基板の一面に半導体発光素子が実装された発光部およびその周辺域を有し、基体の一端側に配置された発光モジュールと;
発光モジュールの発光部が露出する開口部、およびねじ挿通孔を備え、基板の周辺域を嵌め込んで発光モジュールを位置決めする絶縁体と;
絶縁体のねじ挿通孔を介して、基体のねじ取付孔に取り付けられたねじと;
基体の他端側に設けられた点灯回路および口金と;
を具備していることを特徴とする電球形ランプ。
【請求項2】
基板は絶縁体によって複数個所を嵌め込まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の電球形ランプ。
【請求項3】
基板は金属製の基板であり、基板の他面と基体との間に絶縁材が介在されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電球形ランプ。
【請求項4】
発光モジュールを覆って基体の一端側に取り付けられたグローブを具備し、
絶縁体には、基板の発光部の周囲を囲む壁部が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の電球形ランプ。
【請求項5】
発光モジュールの発光部は、基板の一面上に複数の半導体発光素子がマトリクス状に配置され、その複数の半導体発光素子全体を蛍光体を混入した封止樹脂で覆うように封止したCOB方式の発光部である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の電球形ランプ。
【請求項6】
半導体発光素子は青色光を発する半導体発光素子、蛍光体は半導体発光素子の青色光の一部により励起されて黄色光を放射する蛍光体であり、発光部は基板の一面の中央域に1つ形成され、開口部は絶縁体の中央域に1つ形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の電球形ランプ。
【請求項7】
発光部の端部とこの端部と反対側に位置する壁部の上端とを結ぶ仮想線がねじの頭部にかからないように設定されている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載の電球形ランプ。
【請求項8】
ねじが絶縁体のねじ挿通孔を介して基体のねじ取付孔に取り付けられることで、発光モジュールの基板が基体に設けられた基体取付面に絶縁材を介して面接触した状態に取り付けられている
ことを特徴とする請求項に記載の電球形ランプ
【請求項9】
器具本体と;
器具本体に装着される請求項1ないしのいずれか一に記載の電球形ランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77577(P2013−77577A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−3212(P2013−3212)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2010−42528(P2010−42528)の分割
【原出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】