説明

電球形蛍光ランプおよび照明器具

【課題】電子部品55の過度な温度上昇を抑制し、配線パターンを形成可能な面積を確保しながら基板53を小形化し、一般照明用電球と略同じ外観を得られる電球形蛍光ランプ11を提供する。
【解決手段】配線パターンを4層に形成した基板53を用い、基板53を口金12の内側にその口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置する。基板53に実装した電子部品55の熱を基板の4層の配線パターンを通じて口金12側に効率よく逃し、電子部品55の過度な温度上昇を抑制する。基板53を多層化することで、配線パターンを形成可能な面積を確保しながら基板53を小形化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般照明用電球に置き換えて使用できる電球形蛍光ランプ、およびこの電球形蛍光ランプを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電球形蛍光ランプは、屈曲形のバルブを有する発光管、一端側に口金が取り付けられるとともに他端側に発光管を支持するカバー、このカバーに収納される点灯装置、発光管を覆ってカバーの他端側に取り付けられるグローブなどを備えている。また、一般に、カバーの一端側に口金のシェルの内側に配置される壁部が形成されているが、この壁部の内側空間に点灯装置を構成する電子部品の一部が配設されていることが多くなっている。
【0003】
近年、このような電球形蛍光ランプは、JISに定義されている一般照明用電球に近いランプ長寸法および最大外径の寸法に小形化されてきているが、カバーがランプ長に占める割合やカバーの最大外径が大きかった。そのため、一般照明用電球の外観に近付けることが十分でなく、また、カバーによって口金側へ向かう光が遮断される割合が大きく、点灯時における配光特性も一般照明用電球に近付けることが十分でなかった。
【0004】
また、カバー内に収納する点灯装置の基板をランプ高さ方向に沿って縦形配置とし、この基板の口金側に口金の中心軸の位置に沿って挿入可能とする幅狭部を形成し、この基板の幅狭部およびこの幅狭部に実装される電子部品の一部を口金の内側に配置した電球形蛍光ランプの構成がある。この縦形配置する基板は、配線パターンを構成する銅板などの導電体を絶縁体で被覆した1層構造に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−165053号公報(第5頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、カバー内に収納する点灯装置の基板を縦形配置とし、この基板の幅狭部および電子部品の一部を口金の内側に配置することにより、口金より外のカバーの部分における基板の大きさを小さくし、それによってカバーを小形化することも考えられる。
【0006】
しかし、カバーの壁部の内側には十分な放熱空間が存在しないため、電子部品の温度が上昇しやすく、カバーの小形化に伴って電子部品の温度は著しく上昇する傾向にあり、ランプ電力を大きくした場合には従来技術と同程度にカバーを小形化するのが困難であった。
【0007】
また、カバーを小形化するためには基板の面積を小さくする必要があるが、点灯回路にはある程度の面積の配線パターンが必要であり、配線パターンを形成可能な面積を確保するうえでは基板の小形化が困難であり、そのためにカバーの小形化が困難であった。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電子部品の過度な温度上昇を抑制できるとともに、配線パターンを形成可能な面積を確保しながら基板を小形化でき、それにより、カバーを小形化でき、一般照明用電球と略同じ外観を得ることができる電球形蛍光ランプ、およびこの電球形蛍光ランプを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の電球形蛍光ランプは、発光管と;口金と;一端側に口金が取り付けられるとともに他端側に発光管が支持されたカバーと;発光管を点灯させる点灯回路を構成する配線パターンが3層以上の多層に形成されているとともに電子部品が実装された基板を有し、口金の内側に口金の中心線の方向に沿って縦形に配置された点灯装置と;を具備しているものである。
【0010】
発光管は、複数本のU字形バルブを並設して1本の放電路を形成した屈曲形の発光管、1本のバルブを螺旋状に屈曲した発光管などのいずれでもよく、放電路の両端に一対の電極を封装するのが一般的であるが、一対の電極が発光管内に封装されてないいわゆる無電極方式でもよい。
【0011】
口金は、E形と称されるねじ込みタイプが通常使用されるが、一般照明用電球が装着されるソケットに取付可能であればこれに限定されない。
【0012】
カバーは、発光管を間接的または直接的に支持する場合のいずれでもよい。発光管を間接的に支持する場合には、カバーの他端側に発光管を取付可能なホルダを用いるのが好ましい。また、カバーには、発光管を覆うグローブを取り付けてもよい。
【0013】
点灯装置の点灯回路は、例えば、10kHz以上の高周波電力を発光管に印加して発光管を点灯させる電子部品を主体としたインバータ回路などで構成してもよい。基板は、例えば、絶縁層と導電層である配線パターンとを交互に積層して多層に一体形成されているとともに、多層の配線パターンで点灯回路を構成するように各層の配線パターンが電気的に接続されている。電子部品は、例えば、ディスクリート部品や面実装部品などが用いられる。
【0014】
そして、基板に実装された電子部品の熱を多層の配線パターンを通じて口金側に効率よく逃し、電子部品の過度な温度上昇を抑制する。配線パターンの多層化により配線パターンを形成可能な面積を確保しながら基板を小形化する。
【0015】
請求項2記載の電球形蛍光ランプは、請求項1記載の電球形蛍光ランプにおいて、基板の多層の配線パターンのうち少なくとも1つの層は、基板の表面積の1/2以上にわたって連続的に形成された広域パターンであるものである。
【0016】
広域パターンとは、通称ベタパターンとも称されるものであり、例えば、接地ラインの層で構成され、基板の表面積の1/2より少ないと十分な熱伝導性が得られない。広域パターンは、発熱部品の下側に形成されていると放熱効果を高くすることができる。
【0017】
請求項3記載の電球形蛍光ランプは、請求項1または2記載の電球形蛍光ランプにおいて、口金の内側に、基板と口金とを熱的に接続する熱伝導性部材が配置されているものである。
【0018】
熱伝導性部材は、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの粘性を有する樹脂が用いられ、口金の内側全体に充填してもよい。
【0019】
請求項4記載の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし3いずれか一記載の電球形蛍光ランプにおいて、カバーの他端側にカバーから露出する状態に取り付けられ、発光管を支持する金属製のホルダを具備しているものである。
【0020】
ホルダは、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの熱伝導性のよい金属材料で形成され、表面が白色であったり光沢があって反射率が高いことが好ましい。発光管を支持する構造は、特に限定されるものではないが、例えば、ホルダに形成された挿通孔や凹部に発光管の端部を挿入し、シリコーン樹脂などの接着剤で接着固定してもよい。
【0021】
請求項5記載の照明器具は、器具本体と;器具本体に取り付けられたソケットと;ソケットに装着された請求項1ないし4いずれか一記載の電球形蛍光ランプと;を具備しているものである。
【0022】
器具本体は、例えば、ダウンライトなどであるが、一般照明用電球を使用する器具本体であればこれに限定されない。ソケットは、E形と称されるねじ込みタイプが通常使用されるが、一般照明用電球が装着されるソケットであればこれに限定されない。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の電球形蛍光ランプによれば、配線パターンが3層以上の多層に形成された基板を用い、この基板を口金の内側にその口金の中心線の方向に沿って縦形に配置したため、基板に実装された電子部品の熱を多層の配線パターンを通じて口金側に効率よく逃し、電子部品の過度な温度上昇を抑制できるとともに、多層化することで配線パターンを形成可能な面積を確保しながら基板を小形化でき、それにより、カバーを小形化でき、一般照明用電球と略同じ外観を得ることができる。
【0024】
請求項2記載の電球形蛍光ランプによれば、請求項1記載の電球形蛍光ランプの効果に加えて、基板の多層の配線パターンのうち少なくとも1つの層は、基板の表面積の1/2以上にわたって連続的に形成された広域パターンとしたため、基板に実装された電子部品の熱を広い面積の広域パターンを通じて口金側に効率よく逃すことができ、放熱性を向上できる。
【0025】
請求項3記載の電球形蛍光ランプによれば、請求項1または2記載の電球形蛍光ランプの効果に加えて、口金の内側に配置されて基板と口金とを熱的に接続する熱伝導性部材により、電子部品の熱を基板側から口金側に効率よく伝達し、放熱性を向上できる。
【0026】
請求項4記載の電球形蛍光ランプによれば、請求項1ないし3いずれか一記載の電球形蛍光ランプの効果に加えて、カバーの他端側にカバーから露出する状態に取り付けられた金属製のホルダにより、カバーの内側の熱を外部に効率よく放熱でき、電子部品や基板の温度を低減できる。
【0027】
請求項5記載の照明器具によれば、請求項1ないし4いずれか一記載の電球形蛍光ランプの作用を有する照明器具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0029】
図1ないし図6に第1の実施の形態を示は、図1は電球形蛍光ランプを基板の一面側から見た断面図、図2は電球形蛍光ランプを基板の側面側から見た断面図、図3は基板の拡大断面図、図4は基板の各層の配線パターンを(a)〜(d)に示す説明図、図5は電球形蛍光ランプの点灯回路の回路図、図6は電球形蛍光ランプを用いた照明器具の断面図である。
【0030】
図1および図2において、11は電球形蛍光ランプで、この電球形蛍光ランプ11は、高さ方向の一端に口金12を有するカバー13と、このカバー13の他端側に支持された発光管14と、この発光管14の一端側を支持してカバー13の他端側に取り付けられた金属製のホルダ15と、ホルダ15の内面側を覆うように設けられた合成樹脂製の仕切板16と、発光管14を覆ってホルダ15に取り付けられたグローブ17と、口金12、カバー13およびホルダ15の内側に収納された点灯装置18とを備えている。そして、定格電力が例えば40Wタイプ、60Wタイプ、100Wタイプの白熱電球などの一般照明用電球と略同じ外観に形成されている。この一般照明用電球とは、JIS C 7501に定義されている。
【0031】
口金12は、例えばエジソンタイプのE26形などで、ねじ山を備えた筒状のシェル21、このシェル21の一端側の頂部に絶縁部22を介して設けられたアイレット23を備えている。シェル21の一端側には雄ねじであるねじ部21aが形成され、他端側にはカバー13の一端部に被せてかしめまたは接着などにより固定する環状の固定部21bが形成されている。
【0032】
また、カバー13は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂にて形成され、一端側には口金12のシェル21の固定部21bが取り付けられる円筒状の口金取付部26が形成され、他端側には拡開した円環状のカバー部27が形成されている。口金取付部26の内側でカバー13の中心線からオフセットした位置に、溝状の基板保持部28がカバー13の中心線に沿って形成されている。
【0033】
また、発光管14は、1本の直管状のバルブ31を二等分するようにバルブ31の中央領域が屈曲されるとともに、このバルブ31の屈曲された中央領域を頂部32としてバルブ31の両端側が螺旋状に湾曲形成されている。この螺旋状をなすバルブ31の成形は、1本の直管状のバルブ31を加熱溶融してやわらかくした状態で、バルブ31を中央領域で二等分するように屈曲し、さらに屈曲した中央領域を頂部32としてバルブ31の両端側を型の螺旋状に形成された溝に沿わせて巻き付けることによりバルブ31の両端側を螺旋状に形成している。バルブ31の一対の端部33は、頂部32と反対側の一端方向へ向かって平行に突出されている。
【0034】
バルブ31の内面には例えば3波長形の蛍光体が形成され、バルブ31の内部にはアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、あるいはクリプトン(Kr)などの希ガスや水銀などを含む封入ガスが封入されている。
【0035】
バルブ31の一対の端部33にはフレアステムによって一対の電極34が封装されている。各電極34は、一対のジュメット線に懸架されたフィラメントコイルを有している。一対のジュメット線は、例えば、フレアステムに封装されていて、フレアステムから外部に導出されて点灯装置18に接続される一対のワイヤに接続されている。
【0036】
バルブ31の各端部33には、フレアステムに取り付けられた排気管とも呼ばれる円筒状の細管36が連通状態に突設されている。これら各細管36は、発光管14の製造過程で溶断によって順次封止され、各細管36のうちの封止されていない一部を通じて発光管14内の排気がなされるとともに、封入ガスが封入されて置換された後に、その細管36を溶断することによって封止される。
【0037】
一方の細管36は、先端部が口金12の内側まで延設されるように長く形成され、その先端部には封止する際にアマルガムとしての主アマルガム37が封入されている。この主アマルガム37は、ビスマス、錫および水銀にて構成される合金であり、略球形状に形成され、発光管14内の水銀蒸気圧を適正な範囲に制御する作用を有している。なお、主アマルガム37としては、ビスマス、錫の他に、インジウム、鉛などを組み合わせた合金によって形成したものを用いてもよい。また、電極34のジュメット線に、水銀吸着放出作用を有する補助アマルガムを取り付けてもよい。
【0038】
また、ホルダ15は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの熱伝導性のよい金属材料で形成され、円板状のホルダ部40、このホルダ部40の周縁部から一端側に突出する円筒状の筒部41、およびこの筒部41の一端側から外側方に突出する円環状のカバー部42を備えている。
【0039】
ホルダ部40には、発光管14の一対の端部33が挿通される一対の挿通孔43が形成されている。発光管14の一対の端部33が一対の挿通孔43に挿通された状態で、筒部41の内側から例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの接着剤44を注入することにより、発光管14がホルダ15に接着固定されている。
【0040】
カバー部42は、一端側がカバー13のカバー部27の他端側に嵌合されて取り付けられ、他端側が一端側に拡開して形成されているともとにその他端側にグローブ17が取り付けられている。したがって、カバー部42は、カバー13とグローブ17との間から外方に露出し、カバー13やグローブ17とともに電球形蛍光ランプ11の外観の一部を構成している。
【0041】
ホルダ15の表面は、アルミニウムを材料としていために光の反射率が高く、ホルダ部40の表面および筒部41の表面などが反射面として構成されている。
【0042】
また、仕切板16は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂材料にて形成され、円板状の仕切板部47、この仕切板部47の周縁部から一端側に突出する円筒状の筒部48、およびこの筒部48の一端から外側方に突出する取付部49を備えている。取付部49は、カバー13とホルダ15との間に挟持されて取り付けられており、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの粘性を有する接着剤により接着固定してもよい。
【0043】
仕切板部47には、発光管14の各細管36およびワイヤ35が挿通される一対の挿通孔50が形成されている。なお、図示していないが、筒部48の内側には、仕切板16の中心線からオフセットした位置に、溝状の基板保持部が仕切板16の中心線に沿って形成されている。
【0044】
また、グローブ17は、透明または光拡散性を有するガラスや合成樹脂などの材質により、白熱電球などの一般照明用電球のガラス球の形状に近い滑らかな曲面状に形成されている。グローブ17の一端部に開口部17aが形成され、この開口部17aの縁部がホルダ15のカバー部42の内側に嵌合されて例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの粘性を有する接着剤により接着固定されている。
【0045】
また、点灯装置18は、基板53を備え、この基板53に点灯回路54を構成する複数の電子部品55が実装されている。基板53は、カバー13側に対して口金12側の幅が狭く、その口金12側が口金12の内側に挿入可能とする幅寸法に形成されているとともに、幅寸法に対して高さ寸法が長い略矩形状に形成されている。
【0046】
基板53は、この基板53の両側縁部がカバー13の一対の基板取付部28および仕切板16の一対の基板取付部に差し込み係合されてカバー13および仕切板16の中心軸の方向に沿って縦形に配置されるとともに、カバー13および仕切板16の中心線に対してオフセットした位置に配置されている。すなわち、口金12とカバー13とホルダ15と仕切板16とを組み合わせた状態において、基板53は、口金12の内側に対して、その口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置されるとともに、口金12の中心線に対してオフセットした位置に配置されている。
【0047】
基板53の発光管14側である他端側には、その他端側の中央位置に仕切板16と当接する突出部56が突出形成されているとともに、この突出部56の両側位置に発光管14の各電極34の一対のワイヤ35をそれぞれ巻き付けて接続する4本のラッピングピン57が突設されている。基板53の高さ方向の位置は、発光管14のワイヤ35とラッピングピン57との接続によって、または口金12と仕切板16との間での挟み込みによって位置決め保持されている。
【0048】
図3および図4に示すように、基板53は、点灯回路54を構成する配線パターン58の層が第1層58aから第4層58dまでそれぞれ絶縁層59を介して密着して一体に形成された多層基板で構成されている。
【0049】
配線パターン58は例えば銅箔で形成され、配線パターン58の第1層58aおよび第4層58dは電子部品55が実装される基板53の両外表面に形成されている。各絶縁層59は、例えばエポキシ樹脂やガラス繊維などの絶縁性を有する材料で形成されている。
【0050】
基板53には、電子部品55のうちのディスクリート部品のリード線やラッピングピン57を差し込むための複数の孔60が形成されている。
【0051】
基板53の内層に位置する第2層58bには、ヒューズF1がパターンにて形成されている。
【0052】
基板53の内層に位置する第3層58cの配線パターン58は、図3(c)に斜線にて示す如く、基板53の表面積の1/2以上にわたって連続的に形成されたベタパターンである広域パターン61にて構成されている。この広域パターン61は、例えば、接地ラインの層としている。
【0053】
基板53に形成される点灯回路54は、例えば、第1層58aは電源ライン、第2層58bは制御ライン、第3層58cは接地ライン、第4層58dは出力ラインというように、点灯回路54の各機能別に各層毎に分けて配置する。このように点灯回路54の各機能別に各層毎に分けて配置することにより、ノイズの影響やノイズの発生を少なくできる。
【0054】
また、基板53の両外表面側に電子部品55が実装されるが、基板53の口金12との間隔が広い側の一面には、電子部品55のうちの限流インダクタとしてのバラストチョークなどのトランスCT、コンデンサC1、平滑用コンデンサとしての電解コンデンサC2などの大形の電子部品55が実装され、また、基板53の口金12との間隔が狭い側の他面には、電子部品55のうちの高さの低いトランジスタ、チップ形のコンデンサ(チップコンデンサ)C3,C4,C5や整流素子などの面実装タイプの電子部品55が実装されている。なお、トランジスタとしてのMOS形のNチャンネルの電界効果トランジスタQ1およびMOS形のPチャンネルの電界効果トランジスタQ2は1つのパッケージ部品として他面に面実装されている。
【0055】
平滑用の電解コンデンサC2は、基板53の一面の幅方向中央域で基板53に対して垂直方向に向けて実装されている。これにより、基板53の実装効率が向上し、基板53の小形化が可能となる。口金12に接近する基板53の幅方向縁部側に位置するコンデンサC1などの電子部品55は、基板53の幅方向中央部側に向けて傾斜して配置される。これにより、電子部品55が口金12の内側に当たることなく挿入でき、口金12の内側に点灯装置18を効率よく収納できる。傾斜させる電子部品55は、ディスクリート部品であって、2本のリード線で基板53に立つ状態に実装されるいわゆるラジアル部品である。
【0056】
基板53のラッピングピン57を利用して接続する電子部品55として、基板53の幅方向の中央位置に配置される正温度特性抵抗素子PTC1などがある。この正温度特性抵抗素子PTC1は、ディスクリート部品であって、2本の各リード線をラッピングピン57に巻き付け、必要に応じてはんだ付けや溶接によって接続可能とする部品である。正温度特性抵抗素子PTC1は、点灯回路54の電子部品55のうちの熱に比較的強い部品で、基板53の発光管14側に対向する縁部に配置されている。
【0057】
基板53における電子部品55の配置では、点灯回路54の電源部(図5の入力電源回路E)を構成するコンデンサC1や電解コンデンサC2などの電子部品55が口金12の内側に配置され、高周波回路部(図5のインバータ回路72)を構成するトランスCTや電界効果トランジスタQ1,Q2などの電子部品55が口金12よりも発光管14側に配置されている。これにより、高周波回路部の電子部品55と口金12との絶縁距離が確保され、高周波回路側から電源へのノイズの回り込みが低減される。また、基板53の配線パターン58も同様に、電源部と高周波回路部とが分けられて形成され、高周波回路部の配線パターン58と口金12との絶縁距離が確保されている。なお、点灯回路54の電源部(図5の入力電源回路E)と高周波回路部(図5のインバータ回路72)とは、図5に示すラインaで分けられる。
【0058】
また、基板53の口金12との間隔が狭い面側との間には、主アマルガム37を封入した細管36が配置されている。これにより、口金12の内側に点灯装置18と細管36とが効率よく配置される。
【0059】
そして、口金12の中心軸に対する基板53のオフセット量は、口金12の内径の3/4の位置までの範囲が好ましい。このオフセット量が3/4の位置よりも口金12の内面側に接近した場合には、基板53の幅が狭くなり、基板53の実装面積が小さくなって電子部品55の実装効率が低下するので好ましくない。
【0060】
また、カバー13の内側には、口金12側と発光管14側とを熱的に遮断する熱遮断部材64が配置されている。この熱遮断部材64は、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが用いられ、少なくともカバー13の内周面と基板53および電子部品55との間の開口を埋めるように注入されている。なお、口金12側と発光管14側とを熱的に遮断するとは、縦形配置する基板53とカバー13の内側との開口を隙間なく密閉していてもよいし、熱を遮断できれば隙間があってもよい。また、熱遮断部材64は、口金12の内側や仕切板16の内側まで設けてもよく、口金12の内側まで設ければカバー13と口金12とが接着固定されるので、カバー13と口金12との強度が向上する。また、仕切板16の内側まで設ければ、同様の理由により、カバー13と仕切板16との強度が向上する。
【0061】
また、口金12の内側には、口金12内に配置される主アマルガム37を封入した細管36の先端部と口金12とを熱的に接続する熱伝導性部材65が配置されている。この熱伝導性部材65には、発熱部品である電解コンデンサC2などの一部の電子部品55をさらに熱的に接続させてもよい。この熱伝導性部材65は、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが用いられ、例えば、口金12を組み合わせる前に、口金12に収容される細管36の先端部、基板53、電子部品55などに熱伝導性部材65を注入したり、熱伝導性部材65を内側に注入した口金12を組み合わせることにより、各部品を熱伝導性部材65で接続できる。なお、熱伝導性部材65は、口金12の内側全体に充填するようにしてもよく、つまり熱遮断部材64に接触していてもよい。
【0062】
また、図5に、点灯装置18の回路図を示す。商用交流電源eにヒューズF1を介してフィルタを構成するコンデンサC1が接続され、このコンデンサC1にはフィルタを構成するインダクタL1を介して全波整流器71の入力端子が接続されている。また、この全波整流器71の出力端子には平滑用の電解コンデンサC2が接続されて入力電源回路Eを構成し、この入力電源回路Eの平滑用の電解コンデンサC2には高周波を発生する交流電源としてのハーフブリッジ形のインバータ回路72のインバータ主回路73が接続されている。
【0063】
そして、このインバータ主回路73は、平滑用の電解コンデンサC2に対して並列に、スイッチング素子である互いに相補形となるMOS形のNチャネルのトランジスタとしての電界効果トランジスタQ1およびMOS形のPチャネルのトランジスタとしての電界効果トランジスタQ2が直列に接続されている。Nチャネルの電界効果トランジスタQ1およびPチャネルの電界効果トランジスタQ2は互いのソースが接続されている。
【0064】
電界効果トランジスタQ2のドレイン、ソース間には、共振インダクタとしてのバラストチョークを構成するトランスCTの一次巻線L2、直流カット用のコンデンサC3、共振コンデンサC4の直列回路が接続され、この共振コンデンサC4には発光管14の両端のフィラメントコイルFLa,FLbの一端がそれぞれ接続され、トランスCTの一次巻線L2に磁気的に結合して設けられた予熱用の二次巻線L3,L4がフィラメントコイルFLa,FLbの両端に接続されている。また、共振コンデンサC4に対して並列に正温度特性抵抗素子(Positive Temperature Coefficient)PTC1が接続されている。
【0065】
そして、平滑用の電解コンデンサC2と電界効果トランジスタQ1のゲートおよび電界効果トランジスタQ2のゲートとの間には、起動回路75を構成する起動用の抵抗R1が接続され、これら電界効果トランジスタQ1のゲートおよび電界効果トランジスタQ2のゲートと電界効果トランジスタQ1および電界効果トランジスタQ2のソースとの間に、コンデンサC6およびコンデンサC7の直列回路が接続され、これらコンデンサC6およびゲート制御手段としてのゲート制御回路76のコンデンサC7の直列回路に対して並列に電界効果トランジスタQ1および電界効果トランジスタQ2のゲート保護のためのツェナダイオードZD1およびツェナダイオードZD2の直列回路が接続されている。また、トランスCTの一次巻線L2には、二次巻線L5が磁気的に結合して設けられ、この二次巻線L5は一端がコンデンサC6およびコンデンサC7の接続点に接続されたインダクタL4の他端と放電用抵抗R2との接続点に接続されている。また、コンデンサC6は起動回路75のトリガ素子を構成するものでもあり、このコンデンサC6とインダクタL6との直列回路に対して並列に、起動回路75の放電用抵抗R2が接続されている。
【0066】
また、電界効果トランジスタQ2のドレイン、ソース間には、起動回路75の抵抗R3およびスイッチング改善用のコンデンサC8の並列回路が接続されている。
【0067】
そして、点灯装置18の動作について説明する。
【0068】
まず、電源が投入されると、商用交流電源eの電圧を全波整流器71で全波整流し、平滑用の電解コンデンサC2で平滑する。
【0069】
抵抗R1を介してNチャンネルの電界効果トランジスタQ1のゲートに電圧が印加され、電界効果トランジスタQ1がオンする。電界効果トランジスタQ1のオンにより、トランスCTの一次巻線L2、コンデンサC3、共振コンデンサC4の閉路に電圧が印加され、トランスCTの一次巻線L2、コンデンサC3、共振コンデンサC4は共振する。このとき、正温度特性抵抗素子PTC1のインピーダンス成分も共振合成成分の一部に含まれている。また、トランスCTの一次巻線L2のインダクタンス成分の共振波形に応じた電圧がトランスCTの二次巻線L5に誘起され、ゲート制御回路76のコンデンサC7とインダクタL6とのLC直列回路が固有共振して略一定の周波数で電界効果トランジスタQ1をオンさせ、電界効果トランジスタQ2をオフさせる電圧を発生する。
【0070】
ついで、トランスCTの一次巻線L2、コンデンサC3、共振コンデンサC4の共振電圧が反転すると二次巻線L5には前回と逆の電圧が発生し、ゲート制御回路76は電界効果トランジスタQ1をオフさせ、電界効果トランジスタQ2をオンさせる電圧を発生する。さらに、トランスCTの一次巻線L2、コンデンサC3、共振コンデンサC4の共振電圧が反転すると、電界効果トランジスタQ1がオンするとともに、電界効果トランジスタQ2がオフする。以後、同様に、電界効果トランジスタQ1および電界効果トランジスタQ2が交互にオン、オフして、共振電圧が発生し、共振電流が流れる。
【0071】
この共振電流が流れ出した状態では、正温度特性抵抗素子PTC1は温度が低いため抵抗値が、例えば3kΩ〜5kΩ程度と低く、正温度特性抵抗素子PTC1に流れる電流が大きい。このときの共振コンデンサC4の両端間に発生する共振電圧は低くなる。
【0072】
正温度特性抵抗素子PTC1に電流が流れることによりジュール熱が発生し、正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値が上昇して正温度特性抵抗素子PTC1に流れる電流が減少すると、共振合成成分が変化するので、共振コンデンサC4に流れる電流が増加するように共振動作も変化し、共振電圧が徐々に高くなるようにソフトスタート動作を行う。
【0073】
なお、トランスCTの一次巻線L2のインダクタンス成分の共振波形に応じた電圧がトランスCTの二次巻線L3,L4に誘起されるため、これら二次巻線L3,L4に接続された発光管14のフィラメントコイルFLa,FLbは共振電圧が上昇するまで十分な時間をかけて予熱される。
【0074】
さらに、正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値が増加して共振成分の変化により共振電流が増加するとともに、バラストチョークを構成するトランスCTの一次巻線L2が飽和し、ランプ始動に必要な電圧まで電圧が上昇すると、発光管14は放電を開始し、始動、点灯する。
【0075】
発光管14が点灯した後は、正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値が数10kΩ程度に発光管14の等価抵抗値が正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値より十分に小さいため、共振電圧が低下して、発光管14が点灯維持される。また、このように、正温度特性抵抗素子PTC1を共振コンデンサC4に対して並列に接続することにより、発光管14のフィラメントコイルFLa,FLbに流れる電流を小さくできるため、その分電力損失を抑制できる。
【0076】
このように、正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値の変化により、発光管14のフィラメントコイルFLa,FLbの予熱を適性にできるため、エミッタが不所望に飛散(スパッタ)することを防止できるため、発光管14の点滅寿命回数を向上できる。
【0077】
次に、電球形蛍光ランプ11を組み立てるには、発光管14の一端側の各端部33をホルダ15の各挿通孔43に挿入し、ホルダ15の内側から接着剤44を注入して発光管14の各端部33をホルダ15に接着固定する。
【0078】
ホルダ15の内側に引き出されている発光管14の各端部33から突出する細管36およびワイヤ35を仕切板16の各挿通孔50に通し、仕切板16をホルダ15の内側に挿入する。
【0079】
仕切板16の基板取付部に基板53の両側縁部を差し込み、仕切板16の内側に引き出されている発光管14の各ワイヤ35を基板53の各ラッピングピン57に巻き付けて接続する(この巻き付け状態の図示は省略している)。
【0080】
ホルダ15とカバー13とを組み合わせて結合する。熱遮断部材64をカバー13の内周面と基板53および電子部品55との間の開口を埋めるように注入する。
【0081】
基板53の入力部側に接続されている図示しない一方のリード線を口金12のアイレット23に接続し、他方のリード線をカバー13の口金取付部26に配置し、その口金取付部26の外周に口金12のシェル21の固定部21bを嵌合して他方のリード線の先端部を挟み込み、シェル21の固定部21bをカバー13の口金取付部26にかしめによって固定し、他方のリード線をシェル21に電気的および機械的に接続する。
【0082】
口金12を組み合わせる前には、口金12に収容される細管36の先端部、基板53、電子部品55などに熱伝導性部材65を注入したり、口金12の内側に熱伝導性部材65を内側に注入し、この口金12を組み合わせることにより、細管36の先端部、基板53、電子部品55および口金12を熱伝導性部材65で熱的に接続する。
【0083】
発光管14にグローブ17を被せ、グローブ17をホルダ15に接着剤によって固定する。
【0084】
このように形成された電球形蛍光ランプ11は、グローブの最大外径が約65mm、口金12を含むランプ全体の高さ寸法が約133mm、回路損出を含めたランプ電力が23W以下でかつ全光束が約1500lm以上となり、100W相当の一般照明用電球に置き換えて使用できる。
【0085】
そして、図6に示すように、例えばダウンライトである照明器具81は、器具本体82を有し、この器具本体82内にソケット83および反射体84が取り付けられ、ソケット83には電球形蛍光ランプ11が装着される。
【0086】
このように構成された電球形蛍光ランプ11では、口金12の内側に挿入可能とする幅寸法に形成された基板53を、口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置することにより、基板53や電子部品55を口金12の内側に配置してカバー13を小形化できる。
【0087】
基板53を口金12の中心線に対してオフセットした位置に配置したことにより、基板53の口金12との間隔が広い一面に電子部品55のうちの大形の電子部品55を配置できるので、口金12の内側に点灯装置18を効率よく収納でき、それにより、カバー13などを小形化できる。特に、トランスCTなどは、高出力化に伴って巻線が増えて大形になるため、この大形のトランスCTを基板53の口金12との間隔が広い一面に配置できる。
【0088】
口金12の内側に挿入可能とする幅寸法に形成された基板53を口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置することにより、発光管14の細管36の主アマルガム37が封入された先端部を口金12の内側で基板53との間に配置でき、主アマルガム37への点灯中の発光管14からの熱影響を低減しながら、口金12の内側に点灯装置18と細管36とを効率よく配置でき、それにより、カバー13を小形化できる。しかも、基板53を口金12の中心線に対してオフセットした位置に配置し、主アマルガム37が封入された細管36を基板53の口金12との間隔が狭い面側との間に配置したので、基板53の口金12との間隔が広い面側に大形の電子部品55を配置でき、口金12の内側に点灯装置18と主アマルガム37が封入された細管36とを効率よく配置できる。
【0089】
また、配線パターン58が多層に形成された基板53を用い、この基板53を口金12の内側にその口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置したため、基板53に実装された電子部品55の熱を多層の配線パターン58を通じて口金12側に効率よく逃し、電子部品55の過度な温度上昇を抑制できるとともに、多層化することで配線パターン58を形成可能な面積を確保しながら基板53を小形化でき、それにより、カバー13などを小形化できる。
【0090】
基板53の多層の配線パターン58のうち少なくとも1つの層は、基板53の表面積の1/2以上にわたって連続的に形成された広域パターン61としたため、基板53に実装された電子部品55の熱を広い面積の広域パターン61を通じて口金12側に効率よく逃すことができ、放熱性を向上できる。
【0091】
口金12の内側に配置されて基板53と口金12とを熱的に接続する熱伝導性部材65により、電子部品55の熱を基板53側から口金12側に効率よく伝達し、放熱性を向上できる。
【0092】
カバー13の他端側にカバー13から露出する状態に取り付けられた金属製のホルダ15により、このホルダ15で支持する発光管14の熱を外部に効率よく放熱できるとともに、カバー13の内側の熱を外部に効率よく放熱でき、電子部品55や基板53の温度を低減できる。
【0093】
また、多層の基板53に形成される点灯回路54は、例えば、第1層58aは電源ライン、第2層58bは制御ライン、第3層58cは接地ライン、第4層58dは出力ラインというように、点灯回路54の各機能別に各層毎に分けて配置することにより、ノイズの影響やノイズの発生を少なくできる。
【0094】
また、基板53の内層に位置する第2層58bにはヒューズF1がパターンにて形成されており、ランプ寿命末期および異常時にヒューズF1に回路過電流が流れて断線するが、その断線する際に断線音が発生する。ヒューズF1が基板53の内層にあることで、基板53の外面にある場合に比べて、断線音を低減することができる。
【0095】
また、基板53における電子部品55の配置では、点灯回路54の電源部(図5の入力電源回路E)を構成するコンデンサC1や電解コンデンサC2などの電子部品55を口金12の内側に配置し、高周波回路部(図5のインバータ回路72)を構成するトランスCTや電界効果トランジスタQ1,Q2などの電子部品55を口金12よりも発光管14側に配置している。これにより、高周波回路部の電子部品55と口金12との絶縁距離を確保でき、高周波回路側から電源へのノイズの回り込みを低減できる。また、基板53の配線パターン58も同様に、電源部と高周波回路部とを分けて形成し、高周波回路部の配線パターン58と口金12との絶縁距離を確保することにより、高周波回路側から電源へのノイズの回り込みを低減できる。
【0096】
また、基板53を口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置することにより、基板53や電子部品55を口金12の内側に配置してカバー13を小形化し、一般照明用電球と略同じ外観を得ることができるうえに、基板53の縦形配置によって基板53とカバー13との間が開口しても、カバー13の内側に配置した熱遮断部材64によって口金12側と発光管14側とを熱的に遮断することにより、口金12の内側に配置する電子部品55への発光管14からの熱影響を低減できる。
【0097】
口金12の内側で、主アマルガム37を封入した細管36の先端部と一部の電子部品55と口金12とを熱伝導性部材65にて熱的に接続した場合には、電子部品55の熱を口金12に効率よく伝達して放熱し、例えば口金12側が下向きで点灯した場合のように細管36の先端部の温度が低い場合には電子部品55からの熱を細管36の先端部に伝達する。したがって、この場合には、熱伝導性部材65によって細管36の先端部の温度を均一に保ち、全光束の低下を防止することが可能になる。
【0098】
これら熱遮断部材64によって口金12側と発光管14側とを熱的に遮断すること、細管36の先端部と一部の電子部品55と口金12とを熱伝導性部材65にて熱的に接続することにより、電球形蛍光ランプ11の口金12の向きを上向き、下向き、水平などのどの向きにしても、口金12内の細管36の先端部、電子部品55などの温度を均一に保ち、全光束や発光効率を一定にできる。
【0099】
このように、電球形蛍光ランプ11は、白熱電球などの一般照明用電球と略同じ外観が得られ、電球形蛍光ランプ11の向きにかかわらず安定した光束および発光効率を得ることができ、白熱電球などの一般照明用電球を使用する照明器具への適用率を向上できる。
【0100】
次に、図7に第2の実施の形態を示し、図7は電球形蛍光ランプを基板の側面側から見た断面図、図8は基板およびラッピングピンを口金側から見た底面図である。
【0101】
基板53に設けられた各ラッピングピン57の先端に、口金12側であって仕切板16の開口側に向けて略L字形に折り曲げられてワイヤ35が巻き付けられる巻付部57aが形成されている。
【0102】
電球形蛍光ランプ11の組立時において、発光管14を支持したホルダ15に仕切板16を取り付け、この仕切板16に基板53を挿入した後、仕切板16の内側に引き込まれている発光管14の各端部33から突出する各ワイヤ35を、仕切板16の開口側からの操作で各ラッピングピン57に巻き付ける。このとき、各ラッピングピン57の先端の巻付部57aが仕切板16の開口側へ向けて略L字形に折り曲げられているため、仕切板16の開口側からの操作でワイヤ35を巻付部57aに容易に巻き付けることができ、作業性を向上できる。
【0103】
次に、図9に第3の実施の形態を示し、図9は電球形蛍光ランプの基板に発光管のワイヤを接続する構造の説明図である。
【0104】
発光管14の各端部33から突出する各ワイヤ35を基板53に接続するのに、ラッピングワイヤを用いず、基板53の配線パターン58に溶接などで電気的および機械的に直接接続する。
【0105】
なお、発光管14は、螺旋状に屈曲した構造に限らず、複数本のU字形バルブを並設して1本の放電路を形成した構造を採用してもよい。
【0106】
また、基板53の配線パターン58の層は、4層に限らず、3層でもよいし、5層以上としてもよい。
【0107】
また、グローブ17を省略し、発光管14が露出するタイプにも構成で、この場合にも、白熱電球などの一般照明用電球と略同じ外観寸法が得られ、白熱電球などの一般照明用電球を使用する照明器具への適用率をより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す電球形蛍光ランプを基板の一面側から見た断面図である。
【図2】同上電球形蛍光ランプを基板の側面側から見た断面図である。
【図3】同上基板の拡大断面図である。
【図4】同上基板の各層の配線パターンを(a)〜(d)に示す説明図である。
【図5】同上電球形蛍光ランプの点灯回路の回路図である。
【図6】同上電球形蛍光ランプを用いた照明器具の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す電球形蛍光ランプを基板の側面側から見た断面図である。
【図8】同上基板およびラッピングピンを口金側から見た底面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す電球形蛍光ランプの基板に発光管のワイヤを接続する構造の説明図である。
【符号の説明】
【0109】
11 電球形蛍光ランプ
12 口金
13 カバー
14 発光管
15 ホルダ
18 点灯装置
53 基板
55 電子部品
58 配線パターン
61 広域パターン
65 熱伝導性部材
81 照明器具
82 器具本体
83 ソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管と;
口金と;
一端側に口金が取り付けられるとともに他端側に発光管が支持されたカバーと;
発光管を点灯させる点灯回路を構成する配線パターンが3層以上の多層に形成されているとともに電子部品が実装された基板を有し、口金の内側に口金の中心線の方向に沿って縦形に配置された点灯装置と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項2】
基板の多層の配線パターンのうち少なくとも1つの層は、基板の表面積の1/2以上にわたって連続的に形成された広域パターンである
ことを特徴とする請求項1記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項3】
口金の内側に、基板と口金とを熱的に接続する熱伝導性部材が配置されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項4】
カバーの他端側にカバーから露出する状態に取り付けられ、発光管を支持する金属製のホルダを具備している
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項5】
器具本体と;
器具本体に取り付けられたソケットと;
ソケットに装着された請求項1ないし4いずれか一記載の電球形蛍光ランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−84549(P2008−84549A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259756(P2006−259756)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】