説明

電球形蛍光ランプ及び照明装置

【課題】点灯中の熱影響を抑制しつつ一層の小型化を実現する。
【解決手段】中間部に折返し部が設けられ、この折返し部から直線状の両端部に向けて旋回する旋回部51が設けられた発光管5と;複数の回路部品を実装した回路基板4を有し、発光管5を点灯させる点灯装置と;一面側に発光管5を取付け、他面側には少なくとも発光管5の直線状の両端部に囲まれているとともに高さ方向に重なり合うよう回路基板4が配設されるホルダ6と;一方側に口金1、他方側にホルダ6が取付けられるカバー2と;発光管5を覆うグローブ7とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電球形蛍光ランプ及び照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電球形蛍光ランプにおいては、点灯回路が実装された回路基板の面と発光管の端部の間には、熱的影響を考慮した空間が設けられている(特許文献1参照)。このため、ランプの高さが高いため、点灯中の熱影響を抑制しつつ一層の小型化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−83505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような電球形蛍光ランプの現状に鑑みてなされたもので、その目的は、ランプを小型化することのできる電球形蛍光ランプを提供することである。また、この電球形蛍光ランプを用いた照明器具を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電球形蛍光ランプは、中間部に折返し部が設けられ、この折返し部から直線状の両端部に向けて旋回する旋回部が設けられた発光管と;複数の回路部品を実装した回路基板を有し、発光管を点灯させる点灯装置と;一面側に発光管を取付け、他面側には少なくとも発光管の直線状の両端部に囲まれているとともに高さ方向に重なり合うよう回路基板が配設されるホルダと;一方側に口金、他方側にホルダが取付けられるカバーと;発光管を覆うグローブと;を具備することを特徴とする。
【0006】
発光管は、両端部に電極が封着された螺旋状のバルブであり、バルブ内面に蛍光層が被着されたものである。グローブは透孔性を有していれば、光拡散性、透明性のいずれのものでも良い。
【0007】
管内径が8mm以下のような細管のバルブを用いる場合には、フィラメント電極をバルブ軸に直交する方向に配設するのが困難であるため、熱電子放射を行う粒状セラミックスを用いた小形の電極を使用してもよい。この電極は、リード線に直接または電気伝導性の容器によって平均粒径が0.1〜10μmの粒状セラミックスを担持させたものであり、フィラメント電極に比べて寸法が小さく、製造時における電子放射物質の分解工程を不要としたものである。
【0008】
本発明に係る電球形蛍光ランプでは、発光管を構成するバルブの管外径が5〜9mm、旋回部最大径が30〜43mm、グローブの最大径が32mm〜45mm、ランプ全長が60〜85mm、ランプ全長とグローブ高さの比が2.25以下、発光管の最大幅と回路基板の最大径の比が1.2倍以上、管壁負荷が0.08〜0.30W/cm2であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電球形蛍光ランプでは、発光管の直線状の両端部外管壁の最大距離と、旋回部の最大径は略同一であることを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る照明器具は、照明器具本体と;照明器具本体に取り付けられたソケットと;ソケットに装着された請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電球形蛍光ランプでは、ホルダが一面側に発光管を取付け、他面側には発光管の直線状の両端部に囲まれているとともに高さ方向に重なり合うよう回路基板が配設されるので、回路基板を発光管の端部より折り返し側である内側に入り込ませて配置した構造となり、ランプの高さを低く小型化を図ることができる。
【0012】
本発明に係る電球形蛍光ランプでは、バルブの管外径が5〜9mm、旋回部最大径が30〜43mm、グローブの最大径が32mm〜45mm、ランプ全長が60〜85mm、ランプ全長とグローブ高さの比が2.25以下、発光管の最大幅と回路基板の最大径の比が1.2倍以上、管壁負荷が0.08〜0.30W/cm2であるので、白熱電球ミニクリプトンPS形状を実現することができるとともに、点灯装置が点灯中の熱影響を受けることを抑制することができる。
【0013】
本発明に係る電球形蛍光ランプでは、発光管の直線状の両端部外管壁の最大距離と、旋回部の最大径が略同一であるため、発光管の端部から出射される光を外部へ射出させ易く、発光効率を高めることができる。
【0014】
本発明に係る照明器具によれば、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプを備えているので、高さが低く小型化なランプを備える照明器具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電球形蛍光ランプの組立斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電球形蛍光ランプをグローブの最頂部と口金の外方への凸部をつなぐ線分を含むように断面とした縦断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電球形蛍光ランプの要部である発光管を示す斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電球形蛍光ランプの要部であるホルダと回路基板を示す斜視図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る電球形蛍光ランプをグローブの最頂部と口金の外方への凸部をつなぐ線分を含むように断面とした縦断面図。
【図6】本発明の第1または第2の実施形態に係る電球形蛍光ランプを用いた照明器具を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明に係る電球形蛍光ランプ及びこれを用いた照明器具の実施例を説明する。各図において同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、第1の実施形態に係る電球形蛍光ランプの組立斜視図が示されている。この電球形蛍光ランプは、口金1と結合されたカバー2と、点灯回路により構成される点灯装置3を備える回路基板4と、螺旋状の発光管5と、ホルダ6とグローブ7を主な構成要素とする。
【0017】
各部の寸法を、組み立てられた状態における電球形蛍光ランプの断面図である図2を参照して説明する。グローブ7の最大径D1が32mm〜45mmであり、ランプ全長Lは60mm〜85mmであり、ランプ全長Lとグローブ高さHの比(L/H)が2.25以下である。この比率により、グローブ7とカバー2とにより構成される外囲体が、75W形以上の小形白熱電球(ミニクリプトン電球)の規格寸法に近似した形状に形成されている。
【0018】
上記のカバー2は、耐熱性合成樹脂であるPBT(ポチブチレンテレフタレート)などにより構成され、細径側にE17形の口金1が被せられ、接着剤やカシメ止めにより固定されている。カバー2は、グローブ7側へ向かって大径となる円柱台形状の筒体である。
【0019】
グローブ7は、75W形の小形白熱電球におけるグローブと略同一の球形形状を有しており、透明や光拡散性を有する乳白色のガラスや合成樹脂によって形成されている。グローブ7の開口端部は、カバー2の開口部内壁に入り込み、シリコーン樹脂などにより固着している。
【0020】
図3に示すように、発光管5は一本のバルブを螺旋状とした形状であり、中間部に折返し部が設けられ、この折返し部から直線状の両端部に向けて旋回する旋回部51が設けられている。旋回部51は、一方の端部から真直ぐに延びた第1の直管部52と他方の端部から真直ぐに延びた第2の直管部53との間において螺旋状に形成されている。第1の直管部52内と第2の直管部53内におけるそれぞれの端部から所定寸法離れた位置には、電極54a、54bが封着されている。
【0021】
発光管5のバルブ内面には、蛍光層が被着されており、電極54aと電極54b間が電路となって放電が生じるように構成されている。発光管5を構成するバルブの管外径が5〜9mmであり、旋回部51の最大径D2が30〜43mmである。発光管5の直線状の両端部外管壁の最大距離(第1の直管部52の外管壁と第2の直管部53の外管壁の最大距離)Laと、旋回部51の最大径D2は略同一である。
【0022】
図4に示すようにホルダ6は、耐熱性合成樹脂であるPBT(ポチブチレンテレフタレート)などにより構成され、円板状の基部61と、この基部61の周囲から一方の方向へ延在する周壁部62を備えている。周壁部62の端部にはカバー2の内壁21における所定位置に当接するテーパ面68が形成されている。
【0023】
ホルダ6においては、基部61と周壁部62によって、基部61の裏面側に凹部63が形成される。この凹部63は、回路基板4を収納する収納室として機能する。この凹部63の直径を介して対向する部分には、概ね円筒形の筒部64a、64bが形成されている。筒部64a、64bは、第1の直管部52内と第2の直管部53を支持する機能を有し、第1の直管部52の端部と第2の直管部53の端部が筒部64a、64bに挿入される。
【0024】
筒部64a、64bの頭部には、バルブ端部を挿入すると共にワイヤを引き出すための孔部65a、65bが形成され、且つ第1の直管部52の端部と第2の直管部53の端部を受け止めるための受板66a、66bが形成されている。第1の直管部52の端部と第2の直管部53の端部は、筒部64a、64bに挿入され、受板66a、66bに当接した状態において、筒部64a、64b内に注入されるシリコーン樹脂などの接着剤により固定される。
【0025】
図4に示すように回路基板4は、ホルダ6における凹部63の形状に合わせて、筒部64a、64bを避けるように略半円形の切欠部41a、41bを備えている。この切欠部41a、41bが筒部64a、64bを囲繞する状態で当接するように配され、回路基板4の平面回転が規制されている。発光管5における螺旋状の渦最大径D2(図3参照)と回路基板4の最大径D3の比(D2/D3)が1.2以上とされている。これによって、白熱電球ミニクリプトンPS形状を実現している。
【0026】
ホルダ6における筒部64a、64bの深さと凹部63の深さは略同じである。これによって、回路基板4を発光管5の端部より内側に配置した構造となる。つまり、発光管5が存在する空間側に回路基板4が入り込んだ状態あり、発光管5の端部と回路基板4の間に縦方向の空間がなくなる。しかし管壁負荷を0.08〜0.30W/cm2とすることで、回路基板4を点灯中の熱源である電極に近接させて配置してもその熱影響を受けることを抑制しつつランプの高さを低く小型化を図ることができ、白熱電球ミニクリプトンPS形状を実現することができる。
【0027】
図1及び図2に示すように回路基板4には、発光管5を点灯させる点灯装置3の点灯回路として、インバータ回路が実装されている。このインバータ回路には、電解コンデンサ31とフィルムコンデンサ32をはじめ、トランジスタや巻線部品などが実装されている。本実施形態では、比較的耐熱性の弱い部品が回路基板4から離れるように実装されている。
【0028】
このため、電解コンデンサ31などは口金1の内部には入り込んだ状態で実装される。発光管5においては、電極54a、54bの部分において最も高温となるのであるが、本実施の形態に係る構成では、回路基板4がホルダ6における凹部63に実装固定された状態において、上記高温の部位から離れた位置に比較的耐熱性の弱い部品が存在し、これら部品を適切に高温から保護することができる。
【0029】
尚、回路基板4の上記電解コンデンサ31等の実装面の裏面側には、チップ抵抗などの部品が実装されることがある。この場合には、ホルダ6における凹部63の底面における上記裏面の部品を避けた3点ほどの位置に凸部を形成することにより、回路基板4をホルダ6における凹部63の底面に浮かせた状態でガタツキなく実装することができる。
【0030】
口金1側に対向する回路基板4の面から口金1に接続される給電用のリード線(図示しない)が導出されており、発光管5に対向する回路基板4の面には出力部となる2対すなわち4本の出力端子が配設されている。
【0031】
発光管5の両端部に位置する第1の直管部52内と第2の直管部53内におけるそれぞれの端部から所定寸法離れた位置に配置されたフィラメントコイルの電極54a、54bは、一対のウエルズ(導入線、図示しない)に支持されて配置されている。そして、各ウエルズは、発光管5におけるバルブの端部のガラスに封着されたジュメット線を介して発光管5の外部に導出されている。ジュメット線は、回路基板4の出力端子に接続されているワイヤ58(図では一部省略)に結合されている。なお、ウエルズには、必要に応じて補助アマルガムが設けられていてもよい。
【0032】
光強度を強めるために、ホルダ6の基部61における発光管5側の面には、金属を塗布あるいは蒸着し、または金属泊(板)を貼着する等により反射面を備えさせることもできる。この構成により特にグローブ7が透明の場合には、ホルダ6の基部61における発光管5側の表面(反射面とした面)が高温などにより劣化して目に触れることを防止できる効果もある。
【0033】
図5は、第2の実施形態に係る電球形蛍光ランプの断面図を示す。この実施形態においては、フィルムコンデンサ32を電解コンデンサ31よりも口金1の端部側に配置したものである。その他の構成は、第1の実施形態に係る電球形蛍光ランプの構成に等しい。
【0034】
上記構成によって、電解コンデンサ31よりも耐熱性の弱い部品であるフィルムコンデンサ32をより低温の位置に実装することができ、部品を高熱から保護することができる。つまり、口金1の端部側は、主な熱源である電極54a、54bの部分から最も離れており、他の部位より低温である。しかも、口金1は金属でありソケットに螺合される部品であるから、口金1の部分はソケットを介して放熱が行われる。このため口金1の端部側は、点灯装置3の点灯回路が実装されているカバー2内の空間よりも20℃〜40℃程度低温となっている。このため、口金1の端部側に耐熱性の弱い部品を配置することが有効である。
【0035】
図6は、第1または第2の実施形態に係る電球形蛍光ランプ50を用いた照明器具を示す概念図である。この照明器具80は天井81に埋め込まれるダウンライトを示している。照明器具80は、小形白熱電球であるミニクリプトン電球が装着されるソケット81が配設されたものである。同ソケット81には、第1または第2の実施形態の電球形蛍光ランプ50が装着可能であり、高効率で長寿命の電球形蛍光ランプ50に置き換えることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 口金
2 カバー
3 点灯装置
4 回路基板
5 発光管
6 ホルダ
7 グローブ
31 電解コンデンサ
32 フィルムコンデンサ
50 電球形蛍光ランプ
52 第1の直管部
53 第2の直管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間部に折返し部が設けられ、この折返し部から直線状の両端部に向けて旋回する旋回部が設けられた発光管と;
複数の回路部品を実装した回路基板を有し、発光管を点灯させる点灯装置と;
一面側に発光管を取付け、他面側には少なくとも発光管の直線状の両端部に囲まれているとともに高さ方向に重なり合うよう回路基板が配設されるホルダと;
一方側に口金、他方側にホルダが取付けられるカバーと;
発光管を覆うグローブと;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項2】
発光管を構成するバルブの管外径が5〜9mm、旋回部最大径が30〜43mm、グローブの最大径が32mm〜45mm、ランプ全長が60〜85mm、ランプ全長とグローブ高さの比が2.25以下、発光管の最大幅と回路基板の最大径の比が1.2倍以上、管壁負荷が0.08〜0.30W/cm2であることを特徴とする請求項1に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項3】
発光管の直線状の両端部外管壁の最大距離と、旋回部の最大径は略同一であることを特徴とする請求項1または2に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項4】
照明器具本体と;
照明器具本体に取り付けられたソケットと;
ソケットに装着された請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプと
を具備することを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−159425(P2011−159425A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18423(P2010−18423)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】