説明

電磁クラッチ

【課題】小型で高トルクの伝達を可能とする電磁クラッチを提供することを目的とする。
【解決手段】有底多角形筒状のコア2とアーマチュア3を用いることにより、コア2とアーマチュア3の嵌合時には、コア2の多角形の側面と、それに対応するアーマチュア3の多角形の側面とが当接するために、コア2とアーマチュア3を大型化することなく高トルクの伝達が可能であり、コア2とアーマチュア3の切り離し時は、コア2とアーマチュア3の側面が傾斜立設されているため、容易な切り離しが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転動力の伝達、遮断を切り換える電磁クラッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁クラッチについては、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載の電磁クラッチは、第1のトルク伝達部材とアーマチャの間に摩擦クラッチが設けられ、電磁石によりアーマチャが移動操作され摩擦クラッチが締結されると、第1と第2のトルク伝達部材が回転トルク伝達可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−58346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した摩擦方式の電磁クラッチにおいては、高トルクの伝達を可能とするには摩擦板の大型化や多板化等が必要となり、装置の大型化につながってしまう。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、小型で高トルクの伝達を可能とする電磁クラッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の電磁クラッチは、ボビンに巻かれた電磁コイルと、電磁コイルが収納されたコアと、コアと対向するように設けられたアーマチュアと、アーマチュアをコアから離間する方向へ付勢する付勢部材とを備え、電磁コイルへの通電によりアーマチュアをコア側へ付勢部材の付勢力に抗して引き寄せる電磁クラッチにおいて、コアとアーマチュアは、底部と側壁から成る有底多角形筒状をしており、互いに嵌合可能としたことを技術的特徴とする。
【0007】
請求項2の電磁クラッチは、コアとアーマチュアの側壁が傾斜立設され、コアとアーマチュアを底部から上方の開口部に向けて径が広がる形状にした技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1,2の電磁クラッチは、有底多角形筒状のコアとアーマチュアを用いることにより、コアとアーマチュアの嵌合時には、コアの多角形状の側面と、それに対応するアーマチュアの多角形状の側面とが当接するために、コアとアーマチュアを大型化することなく高トルクの伝達が可能であり、コアとアーマチュアの切り離し時は、コアとアーマチュアの側面が傾斜立設されているため、容易な切り離しが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トルク伝達可能状態における電磁クラッチの断面図
【図2】トルク伝達遮断状態における電池クラッチの断面図
【図3】アーマチュアとコアの上面図
【図4】アーマチュアとコアの断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態である電磁クラッチについて、図1から図4を参照して説明する。本実施形態の電磁クラッチは、図1,2に示すように回転軸1と、中心部に回転軸1を挿通固定された有底多角形筒状のコア2と、コア2と対向するように配置され回転軸1を挿通した有底多角形筒状のアーマチュア3と、回転軸1を回転可能に支持する円筒部材4と、円筒部材4を固定したハウジング5と、コア2とハウジング5の間の空間に挿入されたボビン6と、ボビン6に巻かれた電磁コイル7と、アーマチュア3をコア2から離間する方向へ付勢する付勢部材(図示なし)とを備えている。
【0011】
コア2は、図3,4に示すように多角形状の底面2aと、底面2aの外縁部から傾斜立設された側壁2bとを有しており、底面2aから上方の開口部に向けて径が広がる有底多角形筒状をしている。コア2は回転軸1と固定されており、回転軸1と共に回転する構成となっている。
【0012】
アーマチュア3は、コア2と同様に、多角形状の底面3aと、底面3aの外縁部から傾斜立設された側壁3bとを有しており、底面3aから上方の開口部に向けて径が広がる有底多角形筒状をしている。アーマチュア3は、内側にコア2を嵌合可能とするようにコア2より径が大きいものとなっている。また、アーマチュア3は中心部に回転軸1が挿通されている。
【0013】
円筒部材4は、内側に回転軸1を回転可能に挿通しており、外側には電磁コイル7の巻かれたボビン6が嵌合されると共にハウジング5と固定されている。
【0014】
次に本電磁クラッチの動作について説明する。本電磁クラッチは、電磁コイル7への通電により入力側に連結されたアーマチュア3と、出力側に連結された回転軸1との間の回転トルクの伝達及び切り離しを行う。電磁コイル7に通電していないときは、アーマチュア3が付勢部材によりコア2と離間しているため、アーマチュア3の回転がコア2に伝達されず、出力側に連結された回転軸1へも伝達されない。電磁コイルに通電して磁束を発生させたときには、アーマチュア3が付勢部材の付勢力に抗してコア2に引き寄せられ、コア2とアーマチュア3が嵌合し、アーマチュア3の回転がコア2を通して回転軸1を伝達されることとなる。
【0015】
このコア2とアーマチュア3の嵌合時には、図3に示すように多角形状のコア2の外側面と、それに対応する多角形状のアーマチュア3の内側面とが当接しているため、コア2とアーマチュア3を大型化することなく高トルクの伝達が可能である。また、コア2とアーマチュア3の切り離し時には、図4に示すように、コア2とアーマチュア3の側面が傾斜立設され、底面から上方に向けて広がる形状であるため、容易な切り離しが可能である。
【0016】
このように、本電磁クラッチは、有底多角形筒状のコア2とアーマチュア3を用いたことにより、小型で高トルクの伝達を可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 回転軸
2 コア
3 アーマチュア
4 円筒部材
5 ハウジング
6 ボビン
7 電磁コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンに巻かれた電磁コイルと、該電磁コイルが収納されたコアと、該コアと対向するように設けられたアーマチュアと、前記アーマチュアをコアから離間する方向へ付勢する付勢部材とを備え、前記電磁コイルへの通電により前記アーマチュアをコア側へ前記付勢部材の付勢力に抗して引き寄せる電磁クラッチにおいて、
前記コアとアーマチュアは、底部と側壁から成る有底多角形筒状をしており、互いに嵌合可能であることを特徴とする電磁クラッチ。
【請求項2】
前記コアとアーマチュアは、側壁が傾斜立設され、底部から上方の開口部に向けて径が広がる形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−237436(P2012−237436A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121545(P2011−121545)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000143639)株式会社今仙電機製作所 (258)