説明

電磁ペン、電磁信号の発信方法と処理方法、装置及び設備

電磁ペン、電磁信号発信方法と処理方法、装置及設備などを提供すること。
本発明の電磁ペンは、並列に連結して電磁ペン本体(1)の中に設けられ、手書き周波数の電磁信号を発信する基準インダクタ(L1)と基準コンデンサー(C1)と、基準コンデンサー(C1)と並列に接続し直列に接続する制御スイッチによって制御され周波数を制御する電磁信号を発信する制御コンデンサー(C8)を備える。本発明の処理装置は、電磁ペンが発信する電磁信号を受信し電磁信号の周波数を識別する受信識別モジュール(10)と、周波数が手書き周波数の範囲内にあることを識別した場合手書き符号を入力する手書き入力モジュール(20)と、周波数が制御周波数の範囲内にあることを識別した場合制御符号を入力する制御入力モジュール(30)とを含む。本発明は異なる周波数の電磁信号を発信することによって手書き符号と制御符号を切り替えて入力し、電磁ペンによる迅速かつ便利な制御を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導式入力技術、特に電磁ペン、電磁信号の発信方法と処理方法、装置及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や、パーソナルデジタルアシスタント(Personal Digital Assistant;以下PDAと省略)、ノートパソコン等携帯式装置の普及に伴い、その入力方法の個性化もますます加速している。タッチパネル技術はすでに人間と機器との間でのもっとも便利な入力技術の一つとなっている。現在、主流なタッチパネル技術として、抵抗膜式や、静電容量式、光学(赤外線)式と電磁誘導式がある。
その中で、電磁誘導式タッチパネルの手書き入力はタッチペンとアンテナ配列板と対応する識別処理回路によって実現される。タッチペンは電磁ペンともいう。その中には、固定周波数の電磁信号を送信するLC発振器を備える。パネルとアンテナ配列板が張り合わされて一体となり、アンテナ配列はパネル全体を覆う複数のアンテナからなり、それぞれ水平方向と垂直方向の座標位置の検出に用いられる少なくとも2層を有する。電磁ペンがパネルに接近又は接触すると、電磁ペンの電磁信号がアンテナ配列板の一部アンテナを共振させ、同じ周波数の振動波を発生させる。振動波の幅と周波数を分析すると、パネルにおける電磁ペンの座標位置を計算することができる。例えば、アメリカ特許US6937231において、LC共振のパッシブ入力ペンを使用し、即ち、電磁誘導原理に基づいて手書き入力を実現する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】アメリカ特許US6937231
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、手書き入力技術の進展に伴い、手書き入力の操作性や利便性に対する要求が高まりつつある。入力情報の多様化のため、既存の電磁ペンがユーザフレンドリの入力ソフトウェアとその操作画面の要求に追いつかず、豊富な入力方法を有するタッチ式入力装置の開発の支障となっている。
【0005】
本発明の目的は、豊富な電磁誘導式入力機能を持たせることによって、その操作性や手書き入力の利便性を高めることができる電磁ペン、電磁信号の発信方法と処理方法、装置及び設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、本発明に係る電磁ペンは、並列に接続して電磁ペン本体に設けられる手書き周波数の電磁信号を送信するための基準インダクタと基準コンデンサーと、前記基準コンデンサーと並列に接続する少なくとも1つの制御コンデンサーと、前記制御コンデンサーと直列に接続する制御スイッチとを含み、前記制御スイッチの開閉により前記制御コンデンサーと前記基準コンデンサーの接続をオン/オフして、周波数を制御する電磁信号を発信する。
【0007】
上記の目的を達するために、本発明に係る電磁信号発信方法は、電磁ペンが並列に接続する基準インダクタと基準コンデンサーを通じて手書き周波数の電磁信号を発信するステップと、電磁ペンが周波数を制御する電磁信号を発信するステップを含む。
【0008】
上記の目的を達するために、本発明に係る電磁信号処理装置は、アンテナ配列を通じて電磁ペンが発信した電磁信号を受信し前記電磁信号の周波数を識別する受信識別モジュールと、前記電磁信号の周波数が手書き周波数の範囲内にあることを識別した場合、手書き符号を入力する手書き入力モジュールと、前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあることを識別した場合、制御符号を入力する制御入力モジュールを含む。
【0009】
上記の目的を達するために、本発明に係る電磁信号処理方法は、アンテナ配列を通じて電磁信号を受信し、前記電磁信号の周波数を識別するステップと、前記電磁信号の周波数が手書き周波数の範囲内にあることを識別した場合、手書き符号を入力するステップと、前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあることを識別した場合、制御符号を入力するステップと、を含む。
【0010】
上記の目的を達するために、本発明に係る電磁誘導設備は、前記電磁ペンと電磁信号処理装置を備え、前記電磁信号処理装置に接続され前記電磁ペンからの電磁信号を受信し前記電磁信号処理装置に転送するアンテナ配列と、パネルと、前記電磁信号処理装置に接続される制御処理器とをさらに有し、前記電磁信号処理装置は前記電磁信号を識別し、識別された手書き符号又は制御符号を前記制御処理器に送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、電磁ペンから発信される異なる周波数の電磁信号によって手書き符号や制御符号に切り替える技術手段を採用することにより、電磁ペンを簡単に操作することで速やかに制御を行える効果を奏することができ、電磁誘導式入力技術の入力方式や入力機能を多様化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例に係る電磁ペンの回路図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る電磁ペンの概念図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る電磁ペンの回路図である。
【図4】本発明の第3実施例に係る電磁信号発信方法のフローチャートである。
【図5】本発明の第4実施例に係る電磁信号処理装置の構成図である。
【図6】本発明の第5実施例に係る電磁信号処理装置の構成図である。
【図7】本発明の第6実施例に係る電磁信号処理装置の構成図である。
【図8】本発明の第7実施例に係る電磁信号処理方法のフローチャートである。
【図9】本発明の第8実施例に係る電磁信号処理方法のフローチャートである。
【図10】本発明の第9実施例に係る電磁信号処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
次は、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
第1実施例
図1は、本発明の第1実施例に係る電磁ペンの回路図であり、図2は、本発明の第1実施例に係る電磁ペンの概念図である。図1に示すように、該電磁ペンは、電磁ペン本体の中に並列に接続して設けられ、手書き周波数の電磁信号を発信し、電磁ペンの滑り軌跡に基づいて相応する手書き符号を入力する基準インダクタL1と基準コンデンサーC1を有する。手書き周波数とは、電磁ペンが手書き符号を入力する際に使用する周波数である。基準インダクタL1と基準コンデンサーC1は電源(Power)によって給電される給電回路に接続され、電源をオンにして給電すると、手書き周波数の電磁信号を発信する。また、電磁ペンには少なくとも1つの制御コンデンサーを有し、本実施例では3つの制御コンデンサーC8、C9とCnを備えるが、実施の際に制御コンデンサーを1つ又は複数備えることもできる。制御コンデンサーC8、C9とCnはそれぞれ基準コンデンサーC1と並列に接続され、各制御コンデンサーC8、C9とCnはそれぞれ1つの制御スイッチ、即ち、S8、S9とSnと直列に連結する。制御スイッチS8、S9とSnの開閉により相応する制御コンデンサーC8、C9とCnと基準コンデンサーC1との接続をオン/オフし、電磁信号の周波数を変更させ、制御周波数の電磁信号を発信することによって、制御符号を入力する。制御周波数とは、電磁ペンが制御符号を入力する際に使用する周波数である。異なるコンデンサーの組み合わせにより、異なる値の複数の制御周波数を得ることができる。電磁ペンは制御周波数の範囲内において周波数の値を変更させることによって異なる制御符号を表すことができるが、制御周波数において電磁ペンの滑り軌跡を変更させることにより、相応する識別ソフトウェアにより異なる滑り軌跡として識別し制御符号を入力することもできる。
【0014】
本実施例の電磁ペンは、異なる制御コンデンサーを並列に連結することによって異なる周波数の電磁信号を送信することができる。電磁信号周波数の差異を手書き入力と制御入力を区別するためのパラメータにすることができる。異なる入力方式の電磁信号を区別することにより、識別ソフトウェアを切り替えることができる。
【0015】
図2に示すように、本実施例の電磁ペンが円筒状の本体1を備え、図1に示す回路が本体1の中に設置され、本体1には1つまたは複数の制御ボタン2をさらに設けることができ、制御ボタン2はそれぞれ各制御スイッチと連結し、制御ボタン2を押し付けると制御スイッチがオンになり、制御ボタン2を離すと制御スイッチがオフになる。操作上の利便のため、制御ボタン2が電磁ペン本体1の前端部に設けられることが望ましい。本実施例の電磁ペン回路にはさまざまな設計方式がある。その中の1つは、基準インダクタL1がコア3とコイル4からなる方式である。コア3の好ましい形状は棒状である。コア3とコイル4はともに円筒状の本体1の内部中に設けられている。コイル4はコア3の外を巻き付き、パイプ状になる。コイル4は、基準コンデンサーC1と並列に連結しLC発振器を形成するとともに、電源給電回路にも並列に連結される。コア3は弾性部材6の弾力により、電磁ペンの先端部5を電磁ペン本体1の外へ突き出すように維持する。先端部5がパネルに押されると、コア3が先端部5とともにコイル4の軸線に沿って運動する。これによりインダクタのパラメータが変化し、電磁信号の周波数を変えることができる。円筒状の本体1の中の弾性部材6としてバネを使用し、コア3の前部に設置することができる。コア3の後部にはプリント基盤(Printed Circuit Board;以下PCBという)や電池等の部品を設置することができる。
【0016】
コイルとコアとの相対位置や、コイルの巻き数及び弾性部材の弾性係数等を変えることによって異なるインダクタのパラメータを得ることができ、圧力による電磁信号周波数の変化範囲を制御することができる。圧力による電磁信号周波数の変化範囲を制御周波数と手書き周波数との差の間に制限することにより、電磁信号の周波数を手書き周波数から一定範囲内において変化させることができ、また、制御周波数から一定範囲内において変化させることもできる。但し、周波数の変化範囲は重ならないため、電磁信号の周波数を識別することができる。
【0017】
本実施例の電磁ペンの動きは以下の通りである。電源を入れると、基準インダクタと基準コンデンサーからなるLC発振器が連続的に一定周波数の電磁信号を発信する。制御スイッチをオンにする前に、送信された電磁信号の周波数は手書き周波数である。電磁ペンが表示パネルに接近し、磁力線が表示パネルの後に配設される電磁アンテナ配列を通り抜け、誘導層中の対応するコイルに誘導電流を引き起こし、この誘導電流の大きさは電磁ペンとアンテナ配列との距離によって変化する。電磁ペンの先端部が表示パネルに押されると、電磁ペンの芯が移動するため、コアが移動し、基準インダクタの値を変化させ、LC発振器の周波数を変化させる。また、電磁ペンに設けられ制御コンデンサーに接続する特殊な機能制御ボタンが押されると、制御コンデンサーと基準コンデンサーを並列に連結させLC共振の周波数を変化させることができる。電磁ペンがアンテナ配列に接近すると、ファラデーの電磁誘導の法則により、回路を通り抜く磁束量が変化する場合、回路中の誘起電圧εの大きさは回路を通り抜ける磁束量の変化率△φ/△tに比例する。即ち、ε=-△φ/△tであり、異なるアンテナと電磁ペンとの距離がそれぞれ違うため電磁ペンに近いアンテナが振幅の大きい電磁波で誘導される。制御回路が各アンテナを走査し、比較的振幅の大きい誘導電磁波を発生する幾つかのアンテナコイル位置を確定し、このような振幅や周波数が変化する電磁信号を受信することにより、電磁ペンの正確な位置とパネルに対する圧力の大きさを計算できる。即ち、パネルにおける電磁ペンの滑り軌跡を識別でき、制御ボタンが押されているかを識別することができる。その後、これらの情報をPC又はその他の内蔵型設備のインタフェースを通じて、例えばユニバーサルシリアルバス(Universal Serial BUS;以下USBと言う)のインタフェースや“RS232” のインタフェースを通じて、ホストコンピューターに送信される。ホストコンピューターの識別ソフトウェアがこれらの入力情報を感知した後、それを各種の相応する制御符号に変換し、ホストコンピューターの制御と操作を実現する。例えば、文字や形状の識別、絵描き、ショートカットキーの使用等。
【0018】
上記の技術案により、電磁ペンは、手書き周波数に基づいて電磁信号を出力し、手書き入力を行うことだけではなく、電磁信号の周波数で電磁ペンとパネルとの接触圧力を表すこともできる。これによって手書き電磁ペンが描いた線の太さ等の特徴を表すことができる。
【0019】
電磁ペンが発信した電磁信号の性能を高めるために、電磁ペンにはその他の抵抗やコンデンサー、トランジスタ等の電気素子を設けることができる。例えば、図1に示すように、調節コンデンサーC2によってLC共振周波数を外部の騒音の周波数の干渉を受けない適切な固有周波数に調節することができる。
【0020】
本発明の実施例に係る電磁ペンは、一種の座標入力ペンであり、周波数を変える能力を有する多機能座標入力ペンである。周波数を通じて入力ペンの座標位置を表示するだけではなく、周波数を変化させることによって特殊な機能の制御を行うこともでき、アンテナ配列板、識別回路等に座標と電磁ペンの圧力情報以外のその他の制御情報を提供できる。異なる周波数の電磁信号を異なる入力命令に変換することができる。例えば、ボタンを押し付けることで、あるソフトウェアを起動する。例えば、フォントソフトウェア、画像作成ソフトウェア等。また、ボタンを押し付けることによって応用ソフトウェアのある機能を起動することができる。例えば、画像作成ソフトウェア中のインク変更や筆跡の変更等の機能。
【0021】
電磁ペンが周波数を変える機能を有する場合、複数の電磁ペンを同時に操作することをサポートすることができる。ボタンを押し付けることにより電磁ペンに異なる周波数の電磁信号を発信させて、電磁信号を区別することができる。これによって制御の混乱を避けることができ、複数の電磁ペンを同時に操作して、システムを制御する機能の要求を満たすことができる。
【0022】
第2実施例
図3は本発明の第2実施例に係る電磁ペンの回路図である。本実施例は第1実施例をベースにすることができる。電源として電池を使用することができる。例えば、通常の乾電池又は充電電池。並列に連結する基準インダクタL1と基準コンデンサーC1が電池による給電回路に接続され、さらに電磁ペンの給電回路には、図3の破線で示すように、電源制御回路が接続されている。電磁ペンが正常に作動する電圧、例えば、5ワット(V)を得るために、通常電池電圧に対して昇圧処理を行う必要がある。当該電源制御回路の基本構造は、昇圧ユニットと、第1トランジスタQ3と、第2トランジスタQ2及び充放電コンデンサーを含む。本実施例の充放電コンデンサーは並列に連結する3つのコンデンサーC21、C22とC23である。
【0023】
昇圧機能を有しない状態で、昇圧ユニットは基準インダクタL1と基準コンデンサーC1と給電回路を導通して電池と給電回路を導通させる。当該昇圧ユニットにはイネーブル端子(ENB端子)が設けられ、ENB 端子にイネーブル信号が入力されると、昇圧ユニットの昇圧機能が作動する。
【0024】
第1トランジスタQ3は昇圧ユニットに接続され、導通時イネーブル信号を発生し昇圧ユニットに送信して、昇圧ユニットの昇圧機能を作動させる。具体的には、第1トランジスタQ3のコレクタcは電池の正極に、そのエミッタeは昇圧ユニットのENB 端子にそれぞれ連結される。第1トランジスタQ3が導通状態にある場合、そのエミッタeの電位が上昇し、即ち、ENB 端子にはハイレベルのイネーブル信号が発生する。
【0025】
第2トランジスタQ2は第1トランジスタQ3に接続され、第2トランジスタQ2が導通状態にある場合、第1トランジスタQ3を導通させる。具体的には、第2トランジスタQ2のコレクタcとエミッタeは第1トランジスタQ3のベースbとアースの間に接続され、第2トランジスタQ2のベースbがダイオードD1と各制御スイッチS8、S9、Snを介してそれぞれ給電回路に接続される。
【0026】
充放電コンデンサーC21、C22、C23は制御スイッチS8、S9、Snを介して給電回路に接続され、制御スイッチS8、S9、Sn中のいずれか1つがオンになると、給電回路の充電を行い、制御スイッチS8、S9、Snがすべてオフになると第2トランジスタQ2に給電し、第2トランジスタQ2の導通を維持する。
【0027】
次は、電源制御回路の仕組みを詳細に説明する。
電磁ペンが作動していない状態において、基準インダクタL1と基準コンデンサーC1の正極は動作電圧端子(VCC)と呼ばれ、昇圧ユニットを介して電池の正極に接続する。具体的には昇圧ユニットの1つのダイオードを介して導通する。この場合、第2トランジスタQ2のベースbとエミッタeはいずれも低電位である。第2トランジスタQ2がオフとなると、第2トランジスタQ2のコレクタcが高電位となる。同時に第1トランジスタQ3のコレクタcが高電位になり、エミッタeはコンデンサーC24を介して接地する。第1トランジスタQ3がオフになると、ENB 端子がローレベルになり、昇圧ユニットが昇圧機能を有しない。したがって、基準インダクタL1と基準コンデンサーC1を駆動して電磁信号を発信することができない。
【0028】
いずれかの制御ボタンが押され、対応する制御スイッチがオンになる場合、電池電圧は抵抗R5と抵抗R6を介して第2トランジスタQ2にカップリングされ、第2トランジスタQ2を導通させて、第1トランジスタQ3のベースbの電位を低下させ、第1トランジスタQ3を導通し、第1トランジスタQ3のエミッタeにハイレベルを生じさせ、ENB 端子の信号がハイレベルとなる。即ち、イネーブル信号が入力されると、昇圧ユニットの昇圧機能を作動させる。同時に、3つの充放電コンデンサーC21、C22とC23が充電される。
【0029】
電磁ペンの操作を開始した後、制御ボタンを押さないと、制御スイッチがオフであり、充放電コンデンサーC21、C22とC23の放電により第2トランジスタQ2の導通を保つ。充放電コンデンサーC21、C22とC23のコンデンサー値を選択することによってこの保持時間を決めることができる。例えば、保持時間を20分、またはその他の所定時間にすることができる。この時間が過ぎると、もし制御ボタンを押して制御スイッチをオンにすることがなされなければ、充放電コンデンサーC21、C22とC23の放電が完了すると、第2トランジスタQ2が非導通となり、即ち、電磁ペンがすでに作動停止状態にあるとみなす。その後、第1トランジスタQ3が非導通となり、ENB 端子がローレベルとなり、昇圧ユニットの昇圧機能が停止され、基準インダクタL1と基準電圧C1が電磁信号を発信しなくなり、電力節約効果を得られる。
【0030】
前記電源制御回路は、給電回路に接続され、昇圧ユニットに集積され、給電回路とりわけ電池の電圧を検出する低圧検出ユニットを含むことができる。給電回路の電圧が所定電圧より低い場合、アラーム信号を発信する。例えば、電池電圧が0.9V以下まで低下したことを検出した場合、低圧検出ユニットがこの低電圧を検出することができる。その後、発光ダイオード(Light Emitting Diode;以下LEDと言う)を点灯させ、ユーザに電池の交換を促す。
【0031】
本実施例では、電磁ペンに電源制御回路を設けるアクティブ入力ペン方式を採用することにより、パッシブ入力ペン方式においてアンテナ配列コイル密集コストが高く、且つアンテナ配列板に続けて電磁波を送信することで電力の消耗が多いなどの問題を解決できる。電源制御回路を設けることによって、電磁ペンが作動しないときに自動的に電源をオフにし、電力の浪費を回避でき、作動による電力の消耗を1ミリアンペア(mA)以下にすることができる。アルカリ性電池の場合、連続して400時間以上使用することができ、ユーザが頻繁に電池交換を行う問題を解消できる。上記の回路は設計が簡単で、コストが低く、かつアンテナ配列板側の電力消耗を低減できるため携帯式製品にとって電力消耗設備を少なくすることができ、製品の軽量化や薄型化に有利である。
【0032】
また、本発明の電源制御回路はその他の方式を採用して電源を制御することができる。例えば、振動スイッチを直列に給電回路に連結し、電磁ペンが使用されるときに、振動スイッチが電磁ペンの振動を検出し、オンの状態を保ち、給電回路が導通し給電される。電磁ペンが使用されない場合、振動スイッチが振動を検出できず給電回路をオフにして節電する。
【0033】
第3実施例
図4は、本発明の第3実施例に係る電磁信号発信方法のフローチャート図である。本実施例は本発明の電磁ペンによって実施することができる。具体的には、以下のステップを含む。
【0034】
ステップA10では、電磁ペンは、並列に連結する基準インダクタと基準コンデンサーを介して手書き周波数の電磁信号を発信して手書き符号を入力する。
【0035】
ステップA20では、電磁ペンは、制御周波数の電磁信号を発信して、制御符号を入力する。
【0036】
本実施例の技術方案は、電磁ペンが発信した電磁信号の周波数を変更させることによってアンテナ配列板における電磁ペンの入力方法を切り替えることができる。当該方法が容易に操作でき電磁ペンに複数の入力方式、少なくとも手書き符号の入力方式と制御符号の入力方式を持たせることができる。異なる方式に対して、電磁ペンの滑り軌跡又は電磁信号の周波数には異なる意味を持たせることができるため、電磁ペンによる豊富な手書き入力機能を実現できる。
【0037】
電磁ペンが基準インダクタと基準コンデンサーの共振によって電磁信号を発信するため、基準インダクタと基準コンデンサーのパラメーターを変えることによって周波数を変えることができる。具体的な方法として、例えば、電磁ペンにおいて手書き周波数の電磁信号を発信する基準インダクタと基準コンデンサーに制御コンデンサーを並列に連結し、基準インダクタ、基準コンデンサー及び制御コンデンサーによって決めた、周波数を制御する電磁信号を発信する。また、コンデンサーを小さくしたり、インダクタンスを大きくしたり小さくしたり、制御抵抗を増設する等の方法で電磁信号の周波数を変えることができる。
【0038】
電磁ペンが周波数を制御する電磁信号を発信して、制御符号を入力する方法は具体的に下記の通りである。
電磁ペンが周波数を制御する電磁信号を発信して、制御周波数の所定範囲内で電磁信号の周波数を変えることで制御符号を入力する。異なる制御周波数は異なる制御符号を表す。
また、電磁ペンは一定の制御周波数で電磁ペンの滑り軌跡を変えることで制御符号を入力することができる。
さらに、電磁ペンは制御周波数と滑り軌跡によって制御符号を入力することができる。
【0039】
第4実施例
図5は本発明の第4実施例に係る電磁信号処理装置の構成図である。本実施例の電磁信号処理装置はアンテナ配列に接続され電磁信号を受信・識別する装置として実施することができる。具体的には、本実施例の電磁信号処理装置は受信識別モジュール10、手書き入力モジュール20と制御入力モジュール30を含む。そのうち、受信識別モジュール10はアンテナ配列を通じて電磁ペンが発信した電磁信号を受信し、電磁信号の周波数を識別する。受信識別モジュール10の識別結果、電磁信号の周波数が手書き周波数の範囲内にある場合、手書き入力モジュール20が手書き符号を入力する。受信識別モジュール10の識別結果、電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にある場合、制御入力モジュール30が制御符号を入力する。
【0040】
本実施例に係る発明は、電磁信号を受信した後、まず、受信識別モジュールにより電磁信号の周波数を識別し、比較することによって電磁信号の周波数がどの所定の周波数範囲内にあるかを確定できる。周波数の識別結果により電磁ペンの入力方式を決めることができる。
【0041】
本実施例において、さらに受信識別モジュール10が具体的に受信ユニット11と周波数識別ユニット12を有することができる。受信ユニット11がアンテナ配列を通じて、電磁ペンが発信した電磁信号を受信する。周波数識別ユニット12が電磁信号の周波数を識別する。また、受信識別モジュール10がさらに軌跡識別ユニット13を有することができる。軌跡識別ユニット13が電磁ペンの滑り軌跡を識別し、滑り軌跡を手書き符号または制御符号に変換する根拠として手書き入力モジュール20と/または制御入力モジュール30に提供する。電磁信号処理装置がパネルにおける電磁ペンの滑り軌跡を手書き符号または制御符号に変換して入力する。
【0042】
実施例の技術方案が電磁誘導式手書き入力の機能を豊かにすることができる。周波数の変換を通じて電磁ペンの入力方式を簡単に切り替えることができる。
【0043】
本実施例において、さらに当該手書き入力モジュール20が具体的に圧力識別ユニット21と手書き入力ユニット22を有することができる。電磁信号の周波数が手書き周波数の範囲内にあると識別された場合、圧力識別ユニット21が電磁信号の周波数と手書き基準周波数との差を計算し、この差の値に基づいて、電磁ペンの手書きの圧力を識別する。手書き入力ユニット22が滑り軌跡と手書きの圧力に基づいて手書き符号を生成し、入力する。
【0044】
本実施例において、さらに電磁信号の周波数は手書き基準周波数に手書きの圧力周波数を重ね合わせることができる。例えば、上記実施例のように、電磁ペンの先端部がパネルに押されると、コアの位置を変更させ、これにより基準インダクタが変化し、電磁信号の周波数が変化する。電磁信号の周波数が手書き周波数の範囲にあると識別した場合、さらに手書きの圧力周波数を識別する。即ち、電磁ペンをパネルに押し付ける圧力を識別し、さらに、滑り軌跡と手書きの圧力に基づいて手書き符号を生成する。これにより手書き符号の入力情報を豊富にすることができる。
【0045】
本実施例において、さらに制御入力モジュール30が具体的に符号照合ユニット31、プログラム識別ユニット32と制御入力ユニット33を含む。電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別したときに、符号照合ユニット31が滑り軌跡と予め設定したショートカット符号とを照合する。ショートカット符号は予め保存することができる。例えば“←”、“↑”、“↓”、“→”、“>”と“)”等。ファジー認識等の技術により入力の滑り軌跡とショートカット符号を照合する。機能入力を制御する滑り軌跡は簡単で記憶しやすい筆画からなり、クリックやスライドによって入力することができる。一般に、少なくとも10mm移動したことをスライドと見なす。滑り軌跡と一致するショートカット符号を見つけた場合、プログラム識別ユニット32は実行中のプログラムの標識を識別する。即ち、当該電磁信号処理装置と連結するPCや制御機器で実行中のプログラムの標識を識別する。制御入力ユニット33は実行中のプログラムの標識とショートカット符号に基づいて、対応する制御符号を調査・取得し、実行中のプログラムに送信し、制御操作を行う。異なるショートカット符号が異なる実行プログラムに対応し、異なる制御意味を有する。例えば、実行中のプログラムが“Word”文字処理プログラムである場合、“↑”と“↓”はそれぞれ画面を上下スクロールさせるものとされる。実行中のプログラムが“Windows Media Player(登録商標)”などのメディアプレーヤーである場合、“←”と“→”はそれぞれ前の曲と次の曲を意味し、“↑”と“↓”は音量の大きさを制御するもので、“>”と“)”はプレーの開始と一時停止を制御するものとされる。現在、多くのアプリケーションソフトウェアがショートカットキー入力によってプログラムを制御する機能を有する。例えば、“Windows Media Player”、図像やファクシミリ閲覧機、“Windows Internet Explorer(登録商標)”、“Outlook Express(登録商標)”、“Microsoft Office - PowerPoint(登録商標)”、“Microsoft Office - Word(登録商標)”、“Adobe Reader(登録商標)”等がある。本実施例の電磁信号処理装置は、手書き入力の符号を直接に相応する制御符号に変換して、アプリケーションソフトウェアに入力し、制御を行うことができる。既存のアプリケーションソフトウェアを改良する必要はない。ショートカット符号を増やすことにより、符号の保存庫を制御することでコマンドの数を拡張でき、拡張性能を向上させることができる。
【0046】
第5実施例
図6は本発明の第5実施例に係る電磁信号処理装置の構成図である。本実施例と前記第4実施例との区別として、本実施例の制御入力モジュール30が符号照合ユニット31とキーボード入力ユニット34を含む。電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別した場合、符号照合ユニット31が滑り軌跡を予め設定したショートカット符号と照合する。滑り軌跡と一致するショートカット符号を見つけた場合、キーボード入力ユニット34が制御符号として対応するキーボード入力信号を生成する。キーボード入力信号が実行中のプログラムに送信され、制御操作を行う。
【0047】
本実施例は、手書き入力の符号を直接にキーボード入力の符号に変換することができる。例えば、“←”、“↑”、“↓”と“→”などのショートカット符号と一致する滑り軌跡をキーボードの左、上、下、右キーに変換して入力することは、キーボードを打って入力したことに相当し、キーボード入力のように実行中のプログラムへの制御を実現できる。
本実施例は入力制御を容易にすることができ、且つ記憶しやすく、操作しやすい。
【0048】
また、制御入力モジュールがマウス入力ユニットをさらに含むことができる。電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあることを識別した場合、マウス入力ユニットが電磁信号に基づいて対応するマウス入力信号を生成し、マウス入力信号を制御符号として入力する。例えば、異なる制御周波数に対してマウスの左キーを1回クリックしたり、または、右キーを1回クリックしたり、または左キーをダブルクリックする等と対応させ、信号を入力する。または、制御周波数と電磁ペンの滑り軌跡とを結びつけ、異なるマウス入力信号を対応して入力することができる。
【0049】
また、当該制御入力モジュールが安全制御ユニットをさらに含む。電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあることを識別した場合、安全制御ユニットが電磁信号に基づいて対応する暗号化信号、復号化信号、スクリーンセーバ信号またはディスクロック信号等安全制御信号を生成し、制御符号として入力する。異なる制御周波数に対応して異なる安全制御信号を入力することができる。安全制御信号としては、例えば、暗号化信号、復号化信号、スクリーンセーバ信号或いはディスクロック信号等がある。または、制御周波数と電磁ペンの滑り軌跡とを結びつけて決めることができる。安全制御信号はユーザが設定したものか、コンピュータの内部にある安全制御操作であってもよい。コンピュータが電磁信号処理装置によって変換され、電磁ペンによって入力された様々な制御符号を受信できるよう、ニーズに応じてコンピュータの基本入出力システム(BIOS)の情報を変更し、コンピュータに対する制御機能を多様化することができる。
【0050】
第6実施例
図7は本発明の第6実施例に係る電磁信号処理装置の構成図である。本実施例と前記第4実施例との区別として、制御入力モジュール30は優先度識別ユニット35と順番入力ユニット36をさらに有する。電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあり、且つ複数の電磁信号を受信したことを識別した場合、優先度識別ユニット35は各電磁信号の周波数が属する周波数範囲の優先度を識別する。順番入力ユニット36は識別された優先度に基づいて滑り軌跡を制御符号に変換し、且つ優先度の順番に基づいて実行中のプログラムまたは制御機器等に入力する。
【0051】
本実施例に係る発明は、複数の電磁ペンを使って同時に電磁信号を発信して入力を行う状況に適用できる。複数の電磁ペンが同時に異なる周波数の電磁信号を発信する場合、優先度識別ユニットがまず各電磁信号の滑り軌跡と周波数を識別し、且つ周波数が属する優先度を決定する。異なる優先度が予め保存した異なるショートカット符号に対応し、異なる処理方式に対応する。順番入力ユニットが電磁信号の優先度に基づいて制御符号を変換する。
【0052】
本実施例に係る発明は、複数の電磁ペンが同時に入力する状況に適用する。ボタンを押すことで電磁ペンに異なる周波数の電磁信号を発信させることができる。さらに、電磁信号の優先度を区別して、重複制御または矛盾する制御の発生を防ぐことができる。例えば、電磁ペンでマウスの入力機能をシミュレーションする場合、カーソルは電磁ペンの先端部と一緒に移動すべきだが、複数の電磁ペンを使用する場合、カーソルがランダムに移動する現象が生じる。本実施例の周波数を変える技術を採用すると、電磁信号処理装置が周波数識別電磁ペンの優先度に基づいて、中から1つの周波数の電磁信号を選び、メイン機能を電磁ペンに決める。その他の電磁ペンをサブ機能電磁ペンにする。同時に制御符号を入力する場合、まず、メイン機能電磁ペンの動作を入力し、メイン機能電磁ペンが動かない場合、次の優先度の電磁信号の制御符号を入力する。又は断続的に各電磁ペンの電磁信号を採用する。このようにして制御の順番を区別することができ、複数の電磁ペンで同時にシステムを操作し、制御する機能に適用できる。
【0053】
第7実施例
図8は、本発明の第7実施例に係る電磁信号処理方法のフローチャート図である。本実施例は、具体的に前記電磁信号処理装置によって実施することができ、
電磁信号処理装置がアンテナ配列を介して電磁信号を受信し、電磁信号の周波数を識別するステップB10と、
電磁信号処理装置が、電磁信号の周波数は手書き周波数の範囲内にあると識別した場合、手書き符号を入力するステップB20と、
電磁信号処理装置が、電磁信号の周波数は制御周波数の範囲内にあると識別した場合、制御符号を入力するステップB30と、を含む。
【0054】
本実施例に係る発明は、電磁信号の周波数を変えることにより入力方式を切り替えることができる。制御周波数の範囲内において、異なる周波数の電磁信号が異なる制御符号に対応する。発信周波数を変えることで制御機能を変えることができる。具体的に制御符号を入力する際には、電磁信号の周波数に基づいて対応する制御符号を取得し入力することができる。
【0055】
さらに、電磁信号が電磁ペンに発信され、電磁ペンが発信した電磁信号を受信した後、電磁信号を発信した電磁ペンの滑り軌跡を識別する操作を行い、電磁信号の周波数と電磁ペンの滑り軌跡を結び付けて、手書き符号または制御符号を決めることができる。これによって制御符号の内容をもっと豊かにすることができる。
【0056】
さらに、ステップB20は、
電磁信号処理装置が、電磁信号の周波数は手書き周波数の範囲内にあると識別した場合、電磁信号の周波数と手書き基準周波数との差を計算し、この差の値に基づいて電磁ペンの手書きの圧力を識別するステップB21と、
電磁信号処理装置が滑り軌跡と手書きの圧力に基づいて手書き符号を生成し入力するステップB22と、を含む。
【0057】
本実施例に係る発明の手書き符号の情報には電磁ペンの滑り軌跡だけではなく、電磁ペンをパネルに押し付けるときの圧力情報も含まれるため、手書き符号の情報がより豊富になる。
【0058】
また、ステップB30は、
電磁信号処理装置が、電磁信号の周波数は制御周波数の範囲内にあると識別した場合、滑り軌跡と予め設定したショートカット符号とを照合するステップB31aと、
電磁信号処理装置は、滑り軌跡と一致するショートカット符号を見つけた場合、実行中のプログラムの標識を識別するステップB32aと、
電磁信号処理装置が、実行中のプログラムの標識とショートカット符号に基づいて、対応する制御符号を取得し、実行中のプログラムに送信して制御操作を行うステップB33aと、をさらに含む。
【0059】
本実施例に係る発明は、実行中のプログラムに基づいて、対応する制御符号を変換し、プログラムを制御することができ、電磁誘導式入力の制御機能を豊かにし、手書き入力の制御の便捷性を高めることができる。応用プログラムを修正する必要がなく、予め保存した制御符号の保存庫を修正するだけで、実行中のプログラムに対応して制御符号を生成することができる。
【0060】
第8実施例
図9は、本発明の第8実施例に係る電磁信号処理方法のフローチャート図である。前記第7実施例をもとに、本実施例のステップB30は、
電磁信号処理装置が、電磁信号の周波数は制御周波数の範囲内にあると識別した場合、滑り軌跡と予め設定したショートカット符号とを照合するステップB31bと、
電磁信号処理装置が滑り軌跡と一致するショートカット符号を見つけた場合、対応するキーボード入力信号を生成し、制御符号として入力する。キーボード入力信号を実行中のプログラムに送信し、制御操作を行うステップB32bと、をさらに含む。
【0061】
また、対応するキーボード入力信号を生成し、制御符号として入力することは、
電磁信号処理装置が対応するキーボード入力信号を生成し、制御符号として実行中のプログラムに送信することと、
実行中のプログラムが制御符号を受信した場合、予め設定したショートカット制御表において照合を行い、一致する制御符号を見つけると相応する操作を実行することとを含む。
【0062】
本実施例では、電磁ペン入力の滑り軌跡を直接キーボード入力に変換することができ、キーボード入力によって実行中の応用プログラムを制御することと同じであり、ショートカット操作を容易に実施することができる。
【0063】
同じく、制御符号を入力することは、電磁信号に基づいて対応するマウス入力信号を生成するステップと、マウス入力信号を制御符号として入力するステップとを含むことができる。
【0064】
または、入力制御符号は、具体的に電磁信号に対応して生成した暗号化信号、復号信号、スクリーンセーバ信号またはディスクロック信号等の安全制御信号である。これらの信号を制御符号として入力する。
【0065】
異なる制御周波数をそれぞれマウスの左キーを1回クリックして入力した信号と、右キーを1回クリックして入力した信号と、左キーをダブルクリックして入力した信号、または各種の安全制御信号に対応させることができ、制御周波数と電磁ペンの滑り軌跡を結び付けて異なるマウス入力信号または安全制御信号に対応して入力することもできる。
【0066】
安全制御信号はユーザが設定したものであってもよいし、コンピュータ内部特有の安全制御操作であってもよい。コンピュータは電磁ペンが電磁信号処理装置を介して変換し入力した多様な制御符号を受信できるよう必要に応じてコンピュータの基本入出力システム(BIOS)の情報を修正して、コンピューに対する多様な制御機能を実現できる。
【0067】
第9実施例
図10は、本発明の第9実施例に係る電磁信号処理方法のフローチャート図である。本実施例では、前記第7実施例をもとに、ステップB10においてアンテナ配列を介して複数の電磁ペンより発信した電磁信号を受信する。ステップB30は具体的に、
電磁信号処理装置が、電磁信号の周波数は制御周波数の範囲内にあると識別した場合、各電磁信号の周波数が所属する周波数範囲の優先度を識別するステップB31cと、
電磁信号処理装置が、識別された優先度に基づいて各電磁ペンの電磁信号をそれぞれ制御符号に変換し、例えば、周波数と滑り軌跡に基づいて制御符号を変換し、その後、優先度に基づいて順番に入力するステップB32cと、を含む。
【0068】
本実施例に係る発明は、複数の電磁ペンによる同時操作に対応することができる。電磁信号の周波数により各電磁ペンの制御優先度を区別し、優先度に基づいて制御符号を変換し順番に入力する。これにより、複数の電磁ペンで制御する時に発生する衝突現象を防ぐことができる。
【0069】
第10実施例
本発明の第10実施例に係る電磁誘導設備は、本発明のいずれか1つの実施例に係る電磁ペン及び本発明のいずれか1つの実施例に係る電磁信号処理装置を含み、さらにアンテナ配列と、パネルと制御処理器を含む。アンテナ配列は、電磁信号処理装置に接続され、電磁ペンから発信された電磁信号を受信して、電磁信号処理装置に送信し、識別を行う。電磁信号処理装置は、制御処理器に接続され、識別した手書き符号または制御符号を制御処理器に入力する。制御処理器は具体的にCPU等の処理装置である。アンテナ配列はパネルの上に配置されタッチパネルの構成部分になることができる。
【0070】
本発明の実施例で使用するアンテナ配列は、あらゆる制御板に重ねて一緒になることができる。通常、手書きパネル、製図パネル、コンピュータ、PDA、携帯電話等パネルを有する端末内に集積することができる。必要に応じてパネルの前または後に配置することができる。電磁信号処理装置はハードウェアと/またはソフトウェアの形で端末に設置し、かつ端末内のOSに接続し、制御符号と手書き符号を転送する。OSの形式は限られず、例えば、“Windows(登録商標)”、“Linux(登録商標)”、“Mac(登録商標)”等である。本発明の実施例に係る電磁誘導設備は具体的にノートパソコンやデスクトップコンピュータ等の設備である。
【0071】
前記方法発明の実施例の全部或いは一部分のステップはプログラムを介して関連のハードウェアに指示しハードウェアによって実施され、前記プログラムはコンピュータの読取可能な保存媒体に保存され、当該プログラムが実行されるときに、前記方法発明の実施例のステップが実施され、前記保存媒体がROM、RAM、ディスク又はCD等プログラムを保存できる各種の媒体を含むことは、当業者には理解されるところである。
【0072】
以上、実施例をもとに本発明を説明したが、上記の実施例は例示であり、発明を限定するものではない。前記の各実施例の技術方案を修正したりまたは一部分の技術的特徴を同等の技術的特徴で代替することは、当業者には理解されるところである。また、そのような修正や代替が加えられた実施例も本発明の各実施例の技術方案の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に連結し電磁ペンの本体の中に設けられ、手書き周波数の電磁信号を発信する基準インダクタと基準コンデンサーと、
前記基準コンデンサーと並列に連結する少なくとも1つの制御コンデンサーと、を含む電磁ペンであって、
前記制御コンデンサーに制御スイッチが直列に連結され、前記制御スイッチの開閉により前記制御コンデンサーと前記基準コンデンサーは接続または切断され、制御周波数の電磁信号を発信することを特徴とする電磁ペン。
【請求項2】
前記電磁ペン本体に、前記制御スイッチに接続し前記制御スイッチを開閉する少なくとも1つの制御ボタンが設けられることを特徴とする請求項1に記載の電磁ペン。
【請求項3】
前記基準インダクタがコアと当該コアに巻かれるコイルを有し、前記コアは弾性部材の弾力によって、電磁ペンの先端部を電磁ペン本体の外へ突き出すように維持し、前記コアが前記コイルの軸線に沿って運動するとインダクタのパラメータが変化し、発信する電磁信号の周波数を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁ペン。
【請求項4】
並列に連結する前記基準インダクタと基準コンデンサーに接続される給電回路と、前記給電回路に接続される電源制御回路とを有し、
前記電源制御回路は、
前記基準インダクタおよび基準コンデンサーと給電回路に接続される昇圧ユニットと、
前記昇圧ユニットに接続され、導通状態になるとイネーブル信号を生成し、前記昇圧ユニットに送信して前記昇圧ユニットの昇圧機能を稼動させる第1トランジスタと、
前記第1トランジスタに接続され、導通状態になると前記第1トランジスタを導通させる第2トランジスタと、
前記制御スイッチを介して前記給電回路に接続され、前記制御スイッチがオンになると前記給電回路によって充電され、前記制御スイッチがオフになると前記第2トランジスタに給電し、前記第2トランジスタの導通を維持する充放電コンデンサーと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電磁ペン。
【請求項5】
前記電源制御回路は、前記給電回路に接続され給電電圧を検出する低圧検出ユニットをさらに有し、前記給電回路の電圧が所定の電圧より低い場合アラーム信号を発信することを特徴とする請求項4に記載の電磁ペン。
【請求項6】
並列に連結する前記基準インダクタと前記基準コンデンサーが前記給電回路に接続され、前記電磁ペンの振動を検出したときに前記給電回路を連通させる振動スイッチが前記給電回路に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電磁ペン。
【請求項7】
電磁ペンが並列に連結する基準インダクタと基準コンデンサーを介して手書き周波数の電磁信号を発信するステップと、電磁ペンが制御周波数の電磁信号を発信するステップとを含む電磁信号発信方法。
【請求項8】
前記制御周波数の電磁信号を発信するステップは、前記手書き周波数の電磁信号を発信する基準インダクタと基準コンデンサーに少なくとも1つの制御コンデンサーを並列に接続するステップと、前記基準インダクタと基準コンデンサー及び前記制御コンデンサーによって確定される制御周波数の電磁信号を発信するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の電磁信号発信方法。
【請求項9】
前記電磁ペンが制御周波数の電磁信号を発信するステップは、前記電磁ペンが制御周波数の所定範囲内で電磁信号の周波数を変更させて制御符号を入力するステップと、ある制御周波数において前記電磁ペンの滑り軌跡を変更させて制御符号を入力するステップと、を含むことを特徴とする請求項7に記載の電磁信号発信方法。
【請求項10】
アンテナ配列を介して電磁ペンが発信する電磁信号を受信し、前記電磁信号の周波数を識別する受信識別モジュールと、
前記電磁信号の周波数が手書き周波数の範囲内にあると識別した場合、手書き符号を入力する手書き入力モジュールと、
前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別した場合、制御符号を入力する制御入力モジュールと、を含む電磁信号処理装置。
【請求項11】
前記受信識別モジュールは、
アンテナ配列を介して電磁ペンが発信する電磁信号を受信する受信ユニットと、
前記電磁信号の周波数を識別する周波数識別ユニットと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の電磁信号処理装置。
【請求項12】
前記受信識別モジュールが前記電磁ペンの滑り軌跡を識別する軌跡識別ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の電磁信号処理装置。
【請求項13】
前記手書き入力モジュールは、
前記電磁信号の周波数が手書き周波数の範囲内にあると識別した場合、前記電磁信号の周波数と手書き基準周波数との差を計算し、前記差の値に基づいて前記電磁ペンの手書きの圧力を識別する圧力識別ユニットと、
前記滑り軌跡と手書きの圧力に基づいて手書き符号を生成し入力を行う手書き入力ユニットと、をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の電磁信号処理装置。
【請求項14】
前記制御入力モジュールは、
前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別した場合、前記滑り軌跡と予め設定したショートカット符号を照合する符号照合ユニットと、
前記滑り軌跡と一致するショートカット符号を見つけた場合、実行中のプログラムの標識を識別するプログラム識別ユニットと、
前記実行中のプログラムの標識と前記ショートカット符号に基づいて、対応する制御符号を取得し、前記実行中のプログラムに送信し、制御操作を行う制御入力ユニットと、を含むことを特徴とする請求項12に記載の電磁信号処理装置。
【請求項15】
前記制御入力モジュールは、
前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別した場合、前記滑り軌跡と予め設定したショートカット符号を照合する符号照合ユニットと、
滑り軌跡と一致するショートカット符号を見つけた場合、対応するキーボード入力信号を生成し制御符号として入力するキーボード入力ユニットと、を含むことを特徴とする請求項12に記載の電磁信号処理装置。
【請求項16】
前記制御入力モジュールは、前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別した場合、前記電磁信号に基づいて対応するマウス入力信号を生成し、前記マウス入力信号を制御符号として入力するマウス入力ユニットを含むことを特徴とする請求項10に記載の電磁信号処理装置。
【請求項17】
前記制御入力モジュールは、前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別した場合、前記電磁信号に基づいて対応する暗号化信号、復号化信号、スクリーンセーバ信号またはディスクロック信号を生成し、制御符号として入力する安全制御ユニットを含むことを特徴とする請求項10に記載の電磁信号処理装置。
【請求項18】
前記制御入力モジュールは、
前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあることを識別しかつ複数の電磁信号を受信した場合、各前記電磁信号の周波数が属する周波数範囲の優先度を識別する優先度識別ユニットと、
識別した優先度に基づいて滑り軌跡を制御符号に変換し、さらに優先度の順番に基づいて入力する順番入力ユニットと、を含むことを特徴とする請求項12に記載の電磁信号処理装置。
【請求項19】
アンテナ配列を介して電磁信号を受信し、且つ前記電磁信号の周波数を識別するステップと、
前記電磁信号の周波数が手書き周波数の範囲内にあると識別した場合、手書き符号を入力するステップと、
前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別した場合、制御符号を入力するステップと、を含む電磁信号処理方法。
【請求項20】
前記電磁信号を受信した後、前記電磁信号を発信する前記電磁ペンの滑り軌跡を識別することを特徴とする請求項19に記載の電磁信号処理方法。
【請求項21】
前記手書き符号を入力するステップは、
前記電磁信号の周波数と手書き基準周波数との差を計算し、前記差の値に基づいて前記電磁ペンの手書きの圧力を識別するステップと、
前記滑り軌跡と手書きの圧力に基づいて手書き符号を生成し入力するステップと、を含むことを特徴とする請求項20に記載の電磁信号処理方法。
【請求項22】
前記制御符号を入力するステップにおいて前記電磁信号の周波数に基づいて対応する制御符号を取得し入力することを特徴とする請求項19に記載の電磁信号処理方法。
【請求項23】
前記制御符号を入力するステップは、
前記滑り軌跡と予め設定したショートカット符号を照合するステップと、
滑り軌跡と一致するショートカット符号を見つけた場合、実行中のプログラムの標識を識別するステップと、
実行中のプログラムの標識と前記ショートカット符号に基づいて、対応する制御符号を取得し前記実行中のプログラムに送信して制御操作を行うステップと、を含むことを特徴とする請求項20に記載の電磁信号処理方法。
【請求項24】
前記制御符号を入力するステップは、
前記滑り軌跡と予め設定したショートカット符号を照合するステップと、
滑り軌跡と一致するショートカット符号を見つけた場合、対応するキーボード入力信号を生成し制御符号として入力するステップと、を含むことを特徴とする請求項20に記載の電磁信号処理方法。
【請求項25】
前記対応するキーボード入力信号を生成し制御符号として入力するステップにおいて、対応するキーボード入力信号を生成し制御符号として実行中のプログラムに送信し、実行中のプログラムが前記制御符号を受信した場合、予め設定したショートカット制御表において照合を行い、一致する制御符号を見つけた場合、相応する操作を行うことを特徴とする請求項24に記載の電磁信号処理方法。
【請求項26】
前記制御符号を入力するステップにおいて、前記電磁信号に基づいて対応するマウス入力信号を生成し、制御符号として入力することを特徴とする請求項19に記載の電磁信号処理方法。
【請求項27】
前記制御符号を入力するステップにおいて、前記電磁信号に基づいて対応する暗号化信号、復号化信号、スクリーンセーバ信号またはディスクロック信号を生成し、制御符号として入力することを特徴とする請求項19に記載の電磁信号処理方法。
【請求項28】
前記アンテナ配列を介して複数の電磁ペンがそれぞれ発信した電磁信号を受信し、前記電磁信号の周波数が制御周波数の範囲内にあると識別した場合、前記電磁信号の周波数が属する周波数範囲の優先度を識別し、前記識別した優先度に基づいて各電磁ペンからの電磁信号をそれぞれ制御符号に変換し、且つ、前記優先度の順番で入力することを特徴とする請求項19に記載の電磁信号処理方法。
【請求項29】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の電磁ペンと、請求項10ないし18のいずれか一項に記載の電磁信号処理装置を有する電磁誘導設備において、
アンテナ配列、パネルと制御処理器を備え、前記アンテナ配列と前記電磁信号処理装置が接続され、前記電磁ペンが発信する電磁信号を受信し前記電磁信号処理装置に送信して識別を行い、前記電磁信号処理装置と前記制御処理器が接続され、識別された手書き符号または制御符号を前記制御処理器に入力することを特徴とする電磁誘導設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2012−524308(P2012−524308A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505038(P2012−505038)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/CN2010/071810
【国際公開番号】WO2010/118697
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511250194)台均科技(深▲川▼)有限公司 (1)
【Fターム(参考)】