説明

電磁干渉シールド及びその製造方法

【課題】プリント回路基板上の電子部品を電磁干渉(EMI)/無線周波干渉(RFI)から遮蔽するのに適したシールドを提供する。
【解決手段】シールド100は、側壁102と一体上面130とを有する遮蔽筐体を備える。側壁102は、上側壁部132及び下側壁部108を含み、壁部132,108は、協同してそれらの間にインターロック104を画成する。上側壁部132は、一体上面130から下方に垂下している。インターロック104によって、一体上面130及び上側壁部132は下側壁部108に取り外し可能に取り付けられる。インターロック104が解除されると、一体上面及130び上側壁部132は、下側壁部108から完全に分離される。また、一体上面130及び上側壁部132は、インターロック104の係合によって下側壁部132に再度取り付け可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板上の電子部品を電磁干渉(EMI)/無線周波干渉(RFI)から遮蔽するのに適したシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
本欄の記載内容は、本発明に関連した背景技術を単に記載するものであり、従来技術を構成するものではない。
電子装置は、電子装置の一部で電磁信号を発生し、それらの信号が電子装置の他の部分に放射しその部分と干渉することが多い。この電磁干渉(EMI)によって、重要な信号が劣化し又は完全に失われ、これによって、電子装置の効率が低下したり動作が不能になったりすることがある。EMIの悪影響を低減するために、電気伝導性(及び/又は磁気伝導性)材料を電子回路の2つの部位間に置いて、EMIエネルギを吸収及び/又は反射させる。この遮蔽は、壁又は完全な筐体の形態を取り、電磁信号を発生する電子回路部位周辺及び/又は電磁信号の影響を受けやすい電子回路部位周辺に配置し得る。例えば、プリント回路基板(PCB)の電子回路又は部品をシールドで密閉することでEMIをその発生源内に局在化したり、EMI発生源に近接する他のデバイスを絶縁したりすることが多い。なお、本発明に関連する先行技術文献として、例えば特許文献1−8がある。
【0003】
本明細書に用いる用語「電磁干渉(EMI)」は、一般的に、電磁干渉(EMI)放射及び無線周波干渉(RFI)放射の双方を含み、またそれらを意味するものとする。用語「電磁」は、一般的に、外部発生源及び内部発生源からの電磁及び無線周波数の双方を含み、またそれらを意味するものとする。従って、(本明細書に用いられる)用語「遮蔽」は、一般的に、例えば電子装置が置かれたハウジング又は他の筐体に対してEMI及びRFIの出入りを防止する(又は少なくとも低減する)ためのEMI遮蔽及びRFI遮蔽の双方を含み、またそれらを意味するものとする。
【特許文献1】米国特許第6897371B1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0240192A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0292906A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0211579A1号明細書
【特許文献5】米国特許第5614694A号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0068758A1号明細書
【特許文献7】仏国特許出願公開第2733662A1号明細書
【特許文献8】米国特許第6178097B1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、基板上の電子部品を電磁干渉から遮蔽するのに適したシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
種々の態様により、一体構造を有する基板レベルシールドの代表的な実施形態が提供される。代表的な一実施形態において、一体構造を有するシールドは、基板上の1つ又は複数の電気部品を略中心として基板上に設けられるように構成された側壁を含む。上面は、側壁と一体に形成される。スナップラッチ機構は、側壁の1つ又は複数の上側壁部及び下側壁部によって一体に画成され、カバーを下側壁部に取り外し可能に取り付けるためのものである。カバーは、上面及び上側壁部を含む。スナップラッチ機構は、第1及び第2インターロック部材と開口部とを含む。第1インターロック部材は、1つ又は複数の上側壁部によって一体に画成され、上面を基準として下方に垂下している。第2インターロック部材は、1つ又は複数の下側壁部によって一体に画成され、上面に対して上方に突出している。開口部は、その内側において第1インターロック部材の移動を許容し、第2インターロック部材に対する第1インターロック部材の連続した上方又は下方への移動を可能にして、スナップラッチ機構を係合又は係合解除する。従って、スナップラッチ機構が解除されると、カバーは、シールドの下側壁部から完全に分離される。また、カバーは、スナップラッチ機構の係合によりシールドの下側壁部に再度取り付け得る。
【0006】
他の代表的な実施形態において、遮蔽筐体は、側壁及び一体上面を含む。側壁は、それらの間で協同してインターロックを画成する上側壁部及び下側壁部を含む。上側壁部は、一体上面から下方に垂下している。インターロックにより、一体上面及び上側壁部は、下側壁部に取り外し可能に取り付けられる。インターロックの解除により、一体上面及び上側壁部は、下側壁部から完全に分離される。一体上面及び上側壁部は、インターロックの係合により下側壁部に再度取り付け得る。
【0007】
追加の態様は、シールドを作製する方法、及び基板レベル遮蔽等の遮蔽を基板上の1つ又は複数の電気部品に提供する方法に関する。代表的な一実施形態において、方法は、側壁及びその側壁において1つ又は複数の開口部を含むシールド用の平坦パターンの部分的形状を一枚の材料に打ち抜き加工する段階を備える。本方法は、更に、第1及び第2インターロック部材と折れ線形の幾何学的形状とを上側壁部及び下側壁部間に形成する段階を含み得る。本方法は、更に、一体上面及び上側壁部が下側壁部に取り外し可能に保持されるように、一体上面に対して或る角度で側壁を形成する段階を含み得る。第1及び第2インターロック部材及び1つ又は複数の開口部は、シールドの一体上面及び上側壁部をシールドの下側壁部に取り外し可能に取り付けるスナップラッチ機構を画成する。スナップラッチ機構が解除されることにより、一体上面及び上側壁部は、シールドの下側壁部から完全に分離される。一体上面及び上側壁部は、スナップラッチ機構の係合によりシールドの下側壁部に再度取り付け得る。
【0008】
他の代表的な実施形態において、方法は、一体構造を有する遮蔽筐体が1つ又は複数の電気部品を略中心として配置されるように、遮蔽筐体を基板上に設ける段階を備える。遮蔽筐体は、側壁及び一体上面を含み得る。側壁は、それらの間で協同してインターロックを画成する上側壁部及び下側壁部を含む。上側壁部は、一体上面から下方に垂下されている。インターロックにより、一体上面及び上側壁部は、下側壁部に取り外し可能に取り付けられる。インターロックが解除されることにより、一体上面及び上側壁部は、下側壁部から完全に分離し得る。一体上面及び上側壁部は、インターロックの係合により下側壁部に再度取り付け得る。
【0009】
更なる適用可能性の範囲は、本明細書に記載された説明から明らかとなり得る。本説明及び特定の例は、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、応用、又は用途を限定するものではない。また、添付の図面も、本開示の範囲を限定しようとするものではない。図面全体において、対応する参照数字は、同様な又は対応する部位及び機能を示す。
【0011】
種々の態様に応じて、一体構造を有する基板レベルシールドの代表的な実施形態が提供される。プリント回路基板(PCB)へのシールドの取り付け(例えば、半田リフロー等)の後、シールドのカバー即ち蓋部は、所望レベルのEMI遮蔽性能を維持しつつ、シールドの側壁に沿って画成されたスナップ機能又はインターロック機能を介して、繰り返し取り外したり再取り付けたりすることが可能である。
【0012】
一例として、シールドの側壁は、シールドの取り外し可能なカバーとシールドの下部との間に協同して画成された1つ又は複数の開口部を含み得る。シールドの下部は、カバーが取り外された後、PCBに取り付けられたままであるシールドの部分を意味する。本例において、シールドは、インターロック又はスナップラッチ機構を含む。スナップラッチ機構は、互いに着脱自在に係合されるように構成されたインターロック部材を含む。カバーに関連する(例えば、カバーの上面から下方に垂下している)インターロック部材は、弾性的に柔軟、即ち弾性であってよい。各開口部は、対応する対の弾性的に柔軟な、即ち弾性のインターロック部材が、(例えば、側壁等を含む同一面内において)互いに内向きに移動可能となるように構成される。従って、弾性的に柔軟、即ち弾性部材は、シールドの下部のインターロック部材に関連するカム面との接触時、開口部内において内側に屈曲し得る。カム面(又は少なくとも開口部内に最も深く飛び出たカム面の部分)を通り過ぎた後、カバーのインターロック部材は、外向きに嵌合(snap)され、ほぼシールドの下部のインターロック部材と摩擦により係止し得る。カバーのインターロック部材を形成する材料は、充分に弾性的であってよく、これにより、カバーのインターロック部材は、外向きに力が加わる弾性歯(resilient tine)として基本的に動作して、外向きに嵌合され、ほぼシールドの下部のインターロック部材と摩擦により係止し得る。この代表的なスナップフィット(snap fit)方法で、カバーは、再度取り付け得る。構成(例えば、用いられる形状、サイズ、材料等)、位置、開口部の数及びインターロック部材の数は、例えば、シールドの設置に応じて適宜変更し得る。例えば、開口部は、矩形、円形、矩形、正方形、三角形等であってよい。
【0013】
更に、シールドの側壁は、各対応する組のインターロック部材と開口部との間に折れ線形の幾何学的形状を含み得る。この折れ線形幾何学的形状は、例えば、EMI遮蔽を意図したシールドの特定の設置に応じて、適宜変更又は部分的に変更し得る。一つの実施形態において、折れ線形幾何学的形状は、のこぎり波構成、ジグザグ構成、ぎざぎざ歯構成等を有してよい。例えば、折れ線形幾何学的形状は、各対応する組のインターロック部材と開口部との間にほぼ三角歯状のパターンを含み得る。この三角歯状のパターンは、カバーとシールドの下部との間の境界に沿って実効スロット長を低減することによって、EMI抑制に対して逆効果である長い長さのスロットの回避を支援し、これによって、より良いEMI遮蔽性能を提供する。
【0014】
シールドは、同じ一枚の材料(例えば、板金等)から形成し得る。例えば、シールド用の平坦な形状パターン(flat profile pattern)は、一個の材料に打ち抜き加工し得る。この平坦な形状パターンは、その内側においてインターロック部材の移動を許容する開口部を、シールドの側壁内に含む。平坦な形状パターンは、更に、PCBにシールドを取り付けるための取付け脚を含み得る。打ち抜き加工プロセスに続いて、側壁パターン刻み目加工又はせん断切削(例えば、のこぎり波構成、ジグザグ構成、ぎざぎざ歯構成等)が行われる。この刻み目加工又はせん断切削は、シールドの下部をその元の位置にプレス成形する段階を含む方法。この時点で、シールドの下部は、スナップラッチ機構を画成するインターロック部材の摩擦係合だけでカバーに接続される。その後、シールドの側壁は、カバーの上面に対しほぼ垂直であるように、形成され、曲げられ、絞り加工され、成形され、折り畳み加工等される。そして、追加のエンボス又は加締め作業が、刻み目/切削線を横切って実施される。これにより、例えば、ハンドリング、梱包、装着作業、及び/又は顧客据付け/半田リフロー等の間、確実にシールド下部をカバーに適切に保持し得る。
【0015】
ヒンジ構造により取り付けられたカバーを有する既存のシールドとは異なり、本明細書に記載する種々の実施形態のシールドは、完全に取り外し又は分離し、そして、シールドの側壁に沿ってスナップ機能又はインターロック機能を介して再度取り付け得るカバー、即ち蓋部を備える。例えば、(カバーがインターロック又はスナップラッチ機構を介して取り付けられた)シールドは、基板(例えば、プリント回路基板等)に据え付け得る(例えば、半田リフロー等)。そして、カバーを取り外し、例えばPCB上の電気部品にアクセスし得る。その後、カバーは、スナップラッチ機構又はインターロックを介して、再度組み立て又は再度取り付け得る。
【0016】
従って、本明細書に記載する種々の実施形態は、一体構造を有する基板レベルシールドを提供し、ここで、カバーは、シールドの側壁に沿って画成されたスナップラッチ機構又はインターロックを介して、繰り返し取り付け、取り外し、再度取り付け得る。これにより、利点として、異なる2枚の材料から形成される枠やカバーが必要であったり、又は、カバーの破壊的な取り外しが必要であるために使用不能になり、取り替えカバーを用いなければならなかったりする既存の基板レベルシールド解決策と比較して、コスト節約及び/又は据付け時間の低減が可能になる。本明細書に記載する種々の実施形態において、本発明者は、原材料コスト(カバー及び枠が別個の材料片から形成される解決策と比較して、必要とする材料が少ない)、直接組立コスト、段取りコスト、達成可能な歩留りの改善を可能にし得る一体型構造を備えたシールドを実現した。
【0017】
また、シールドの側壁によって一体に画成されたスナップラッチ機構を備えたシールドを同じ一枚の材料から形成すると、シールド下に必要な面積/体積に対して、シールド設置面積サイズを低減し得る。スナップラッチ機構は、シールドの側壁と一体に形成又はそれらによって画成されることから、スナップラッチ機構では、シールドに対して、付加的な長さ、幅、又は高さを必要としたり付け加えたりすることが一切ない。
【0018】
次に、図面を参照すると、図1〜図3は、本発明の1つ又は複数の態様を実現するシールド100の代表的な実施形態を示す。図1及び図3に示すように、シールド100は、プリント回路基板103(PCB、一般的に基板)に据え付けてよく、また、PCB103に搭載された1つ又は複数の電気部品105(図2)に対して電磁干渉(EMI)遮蔽を行う際の用途に適している。
【0019】
一般的に、シールド100は、側壁102と、側壁102によって一体に形成又は画成されたスナップラッチ機構即ちインターロック104と、を含む。更に、シールド100は、下部即ち枠108と、カバー即ち蓋部110とを含む。スナップラッチ機構104は、カバー110を繰り返し取り外し可能、かつ再取り付け可能とするように構成されている。本実施形態において、シールドの下部108及びカバー110は、利点として、一枚の材料から形成し得る。
【0020】
シールドの下部108は、半田付け、機械的な固定等、任意の許容可能な手段によって、PCB103上に据え付けられる(例えば、表面実装される、固定される)ように構成されている(例えば、大きさが決められる、成形される)。カバー110が下部108に取り外し可能に取り付けられることによって、下部108及びカバー110は、PCB103上の所望の電気部品105を密閉し、それらに対するEMI遮蔽を提供し得る。
【0021】
図2に示すように、シールドの下部108は、ほぼ矩形の構成を有する。シールドの下部108は、それらの隅部が間隙114によって互いに離間された4つの部分即ち壁部112を含む。カバー110が取り外された時、下部108は、PCB103に取り付けられたままである。この特定の実施形態において、隣接する壁部112間の隅部における間隙114は、下部108及びカバー110が一枚の材料から形成されている結果である。
【0022】
下部108の隣接する壁部112は、互いにほぼ直角に配置され、また、対向する壁部112は、ほぼ平行である。従って、4つの壁部112によって、下部108はほぼ矩形の形状となる。他の代表的な実施形態において、シールドは、4つよりも多い又は少ない壁部を有する及び/又は図に示したものと異なる構成の下部即ち枠を含み得る。例えば、下部即ち枠は、正方形構成、三角形構成、六角形構成、他の多角形状構成、円形構成、非矩形構成等を有し得る。
【0023】
図2に示すように、シールドの下部108の壁部112は、PCB103上の電気部品105をほぼ中心として配置されるように構成されている。図示されたシールド100において、下部108は、例えば、下部108がPCB103に据え付けられた後、下部108内に含まれるPCB103上の電気部品105にアクセスするのに用い得る開口頂部118を有する。更に、図示した下部108(及びカバー110)は、内部仕切りがなく、このため、シールド100は、PCB103上の1つ又は複数の電気部品を遮蔽するための単一の内部空間(又は区画)を全体的に画成する。他の代表的な実施形態では、シールドは、筋かい(cross bracing )を含み、これにより、シールドの下部即ち枠は複数の開口部を含む。更に他の代表的な実施形態では、シールドは、1つ又は複数の内部仕切りがその側壁に取り付けられ、枠を2つ以上の内部空間に分けるための下部即ち枠を含み得る。更に他の実施形態のシールドは、その側壁の隅部が互いに接続された下部即ち枠を含み得る。
【0024】
図1〜図3に示すように、シールドの下部108は、PCB103の1つ又は複数の部品に接触して、PCB103との電気的接触を確立又は提供するための取付け脚116を含む。取付け脚116は、シールド100の一体部分として形成される。下部108は、脚116をPCB103上の配線に半田付けするのに適した材料で形成し得る。
【0025】
取付け脚116は、PCB103に半田付けし得るが、下部108は、接着材、機械的な締結具、クリップ等、所望の任意の適切な方法によってもPCBに取り付け得る。代表的な一実施形態において、下部108は、PCB基板上、及び/又は電磁干渉を生成する(又はそれからの保護を必要とする)電気回路周辺並びに干渉の影響を受けやすい電気回路周辺に配置された接地配線に取付け脚116を半田付けすることによってPCBに取り付けられてもよい。
【0026】
次に、下部108(及び同じ一枚の材料から形成し得るカバー110)用の代表的な材料について述べる。ただし、ここで述べる材料に必ずしも限定されない。代表的な材料としては、冷延鋼板(cold rolled steel )、洋銀合金、銅ニッケル合金、ステンレス鋼、錫めっき冷延鋼板、錫めっき銅合金、炭素鋼、真鍮、銅、アルミニウム、銅ベリリウム合金、リン青銅、鋼鉄、それらの合金、又はいずれか他の適切な導電性及び/又は磁性材料を含む。更に、下部108は、導電性材料が塗布されたプラスチック材料から形成し得る。代表的な一実施形態において、シールドは、厚さ約0.20ミリメートルの一枚の冷延鋼板から形成された枠を含む。他の例として、シールドは、約0.10ミリメートルから約0.30ミリメートルの範囲の厚さを有する適切な材料から構成された枠を含み得る。本明細書に記載した材料及び寸法は、説明目的だけのためであり、枠は、例えば、遮蔽される電気部品、全体的な電子装置内における空間要件、EMI遮蔽及び熱放散要件、並びに他の要因等の特定の用途に応じて、異なる材料及び/又は異なる寸法で構成し得る。
【0027】
引き続き図1〜図4を参照すると、シールド100のカバー110は、シールドの下部108によって画成された形状に全般的に対応するほぼ矩形の形状を有する。カバー110は、シールドの下部108にほぼ適合して、下部108の開口頂部118を覆うように構成される。この点において、下部108及びカバー110は、下部108、カバー110、及びPCB103によって協同して画成された領域内に配置されたPCB103上の1つ又は複数の電気部品105に協働して遮蔽を提供し得る。他の代表的な実施形態において、シールドは、図示したものと異なるが、下部又はシールドの枠の形状にほぼ対応する形状を有するカバーを含み得る。例えば、カバーは、正方形構成、三角形構成、六角形構成、他の多角形状構成、円形構成、非矩形構成等を有し得る。更に、カバーは、上記したような枠の形状と異なる形状を含み得る。
【0028】
カバー110は、上面130及び上面130からほぼ下方に垂下する壁部即ち口縁部132を含む。カバーの壁部132は、上面130と一体に(又は単体で)形成される。例示した実施形態において、上面130の形状はほぼ平面であり、また、壁部132は上面130に対してほぼ垂直である。
【0029】
カバーの上面130は、穴即ち孔136を含み、これらは、カバー110内部の半田リフロー加熱を円滑化し、シールド100内の電気部品105の冷却を可能にし、及び/又はカバー110直下の電気部品105の部材の目視検査を可能にし得る。幾つかの代表的な実施形態において、シールドは、干渉EMIの通過を抑制するのに充分なほど小さい孔を備えたカバーを含み得る。孔の数、サイズ、形状、方位等は、例えば、特定の用途(例えば、回路が高感度になり、用いる孔の径を小さくする必要がある等の場合の電子回路の感度)に応じて変更し得る。例えば、幾つかの代表的なシールドは、そのような孔を一切備えていないカバーを含み得る。
【0030】
カバーの上面130は、更に、ピックアンドプレース(pick-and-place)設備(例えば、真空ピックアンドプレース設備等)でカバー110をハンドリングする際に用いるように構成されたほぼ中央のピックアップ面を含み得る。ピックアップ面は、例えば、シールド100の組み立て及び/又はPCB103への(カバー110が下部108に取り付けられた状態の)シールド100の最初の据付け時、ハンドリングのためにピックアンドプレース設備によって掴み得る又は吸引力を加え得るピックアップ領域として用いるように構成し得る。ピックアップ面は、カバー110及び/又は(カバー110が下部108に取り付けられた状態の)シールド100のハンドリング時、カバー110をバランス良く操作できるようにする。他の代表的な実施形態において、シールドは、例えば、中央に配置されたピックアップ面に加えて又はその代わりに、隅部に及び/又は側部縁端に沿ってピックアップ面として用いるためのタブを備えたカバーを含み得る。
【0031】
シールド100は、更に、シールドの側壁102によって一体に形成又は画成されたスナップラッチ機構即ちインターロック104を含む。スナップラッチ機構104は、カバー110を繰り返し取り外し可能、かつ再度取り付け可能とするように構成されている。スナップラッチ機構104によって、カバー110は、例えば、シム(shim)又は他の適切な工具を用いることによって、下部108から容易に取り外したり分離したりすることができる(例えば、図5A〜5C等)。また、同じカバー110を組み立て直して、下部108に再度取り付けて戻すことができる。スナップラッチ機構104は、工具を一切用いることなく、カバー110を下部108にスナップフィットさせるように構成することもできる(例えば、図6A〜6D等)。
【0032】
次に、図4を参照すると、スナップラッチ機構104は、シールド100の4つの各側部に沿って配置されたインターロック部材148及び152を含む。インターロック部材148及び152は、互いに着脱自在に係合するように構成される。インターロック部材148及び152が互いに係合すると、カバー110は、図1に示すように、シールド100の下部108に着脱自在に保持される。
【0033】
図3に示すように、インターロック部材148は、カバー110によって一体に画成又は一体に形成される。インターロック部材148は、カバーの上面130から下方に垂下している。インターロック部材148は、テーパ状の側面部164と、開口部170の一部を画成する他の側面部168と、を有する突起部156を含む。
【0034】
インターロック部材152は、シールドの下部108によって一体に画成又は一体に形成される。インターロック部材152は、ほぼ上方にカバー110側に延在する。インターロック部材152は、シールド100の下部108においてほぼ内向きに下方に延在するように形成された切り欠き即ち空隙を含む。各切り欠きの側面部176は、対応するインターロック部材148のテーパ状の側面部164の形状を補完する。カバーのインターロック部材148が、対応するインターロック部材152に挿入され、それと係合されると、インターロック部材152の側面部176は、対応するインターロック部材148のテーパ状の側面部164と係合する(例えば、摩擦により保持する)。また、図4に示すように、開口部170は、各切り欠きの側面の部分によって画成された部位を含む。
【0035】
例示した実施形態において、カバーのインターロック部材148は、カバー110の再取り付け時、カバーのインターロック部材148が互いに内側に動いて開口部170(図4)に入るのに充分なほど弾性的な弾性材料から形成される。例えばインターロック部材148は、開口部170の内側に移動又は屈曲して開口部170に入る一方で、シールドの側壁102と全体的に同一面を維持する。
【0036】
カバー110が下方に動き下部108に達すると、カバーのインターロック部材148は、インターロック部材152のカム面180に接触し得る。インターロック部材148は、カム面180と接触すると、インターロック部材148が開口部170の内側に屈曲して該開口部170に入るように、一般的に性質が弾性的であってよい。しかしながら、カム面180(又は、開口部170に最も深く内側に入り込むカム面180の部位182)を通り過ぎた後、カバーのインターロック部材148は、外向きに嵌合され、これによって、カバーのインターロック部材148のテーパ状部164をインターロック部材152の側面部176に摩擦により係合することができる。カバーのインターロック部材148を形成する材料は、カバーのインターロック部材148が、外向きに力が加わる弾性歯として基本的に動作して、外向きに嵌合され、シールドの下部108のインターロック部材152のほぼ下で摩擦係合するのに充分なほど弾性的であってよい。この代表的なスナップフィット方法において、カバー110は、このように再度取り付け得る。
【0037】
図4に示した特定の実施形態において、下部108及びカバー110は、協同して、開口部170の各側部に沿って、8つの開口部170及び対応する対のインターロック部材148、152を画成する。即ち、スナップラッチ機構104は、シールド100の短い各側壁部に沿って2つのスナップ又はインターロック機能と、シールド100の長い各側壁部に沿って4つのスナップ又はインターロック機能と、を含む。
【0038】
構成(例えば、用いられる形状、サイズ、材料等)、位置、及び開口部170の数及びインターロック部材148、152の数は、例えばシールドの特定の据付けに応じて適宜変更し得る。例えば、例示した実施形態の開口部170は、ほぼ矩形である。他の選択肢として、開口部は、円形、矩形、正方形、三角形等の他の形状であってよい。他の選択肢としての構成(例えば、形状、サイズ等)もインターロック部材148及び152に用い得る。本発明は、図1〜図4に示したスナップラッチ機構104の特定の構成に限定されない。他の選択肢としての実施形態には、カバー110をシールドの下部108に着脱自在に係合するための他の手段を含み得る。
【0039】
更に、シールドの側壁102は、下部108とカバー110との間の境界に沿って、各対応する組のインターロック部材148、152と開口部170とのほぼ間に、折れ線形の幾何学的形状184を含み得る。この折れ線形幾何学的形状184の形状は、例えば、EMI遮蔽を意図した特定の据付けに応じて適宜変更又は一部変更し得る。幾つかの実施形態において、折れ線形幾何学的形状184は、のこぎり波構成、ジグザグ構成、ぎざぎざ歯構成等を有し得る。
【0040】
図1〜図4の例示した実施形態において、折れ線形幾何学的形状184は、各対応する組のインターロック部材148、152と開口部170との間において、ほぼ三角歯状のパターンを含む。この三角歯状のパターンは、好適には、実効スロット長を低減することによって、EMI抑制に対して逆効果である長い長さのスロットを回避することを支援し、それによって、EMI遮蔽性能を改善する。
【0041】
例示した実施形態において、下部108に関連する折れ線形幾何学的形状184の部分には、上方に突出する上方突出部186と、隣接する一対の上方突出部186間に画成された窪み部188とが含まれる。カバー110に関連する折れ線形幾何学的形状184の部分には、下方突出部190と、隣接する一対の下方突出部190間に画成された窪み部192とが含まれる。
【0042】
図3に示すように、各突出部186及び190の形状はほぼ三角形である。下部108及びカバー110の各窪み部188及び192は、ほぼ三角形状の各突出部186及び190に係合してそれを受け入れ可能とするべく、各突出部186及び190の形状に対応して成形されている。この代表的な実施形態は、のこぎり波構成の折れ線形幾何学的形状184を有する。他の選択肢としての構成(例えば、ジグザグ構成、ぎざぎざ歯構成、矩形歯構成等)も、折れ線形幾何学的形状184に用い得る。例えば、折れ線形幾何学的形状184の形状は、EMI遮蔽を意図した特定の据付けに応じて適宜変更又は一部変更し得る。幾つかの実施形態において、折れ線形幾何学的形状は、EMI抑制に対して逆効果である長い長さのスロットを回避することを支援するように構成し得る。即ち、折れ線形幾何学的形状は、カバーとシールドの下部との間の境界に沿って実効スロット長を低減するように構成され、これにより、EMIシールド性能を改善し得る。
【0043】
シールド100は、一枚の材料(例えば、一枚の未加工の板金材料等)から形成し得る。図1〜図4に示した実施形態の場合、シールドの下部108及びカバー110は、カバー110用の材料が下部108用の材料の領域に入れ子(nest)になり得るように、大きさが決められ、これによって、下部108及びカバー110は、同じ一枚の未加工の又は帯状の材料から実質的に同時に組み立て得る。
【0044】
代表的な一実施形態において、シールド100用の平坦な形状パターンは、一枚の材料に打ち抜き加工し得る。この平坦形状パターンはシールドの側壁102を含み、この側壁102は、インターロック部材148、152の内側への移動を可能にする開口部170を含み得る。平坦形状パターンは、更に、シールド100をPCBに取り付けるための取付け脚116を含み得る。打ち抜き加工プロセスに続いて、折れ線形幾何学的形状184及びインターロック部材148、152を含む側壁パターンの刻み目加工又はせん断切削が行われる。この刻み目加工又はせん断切削は、シールドの下部108をその元の位置にプレス成形する段階を含む。この時点で、シールドの下部108は、スナップラッチ機構104を画成するインターロック部材148、152の摩擦係合のみによってカバー110に保持される。そして、シールドの側壁102は、形成され、曲げられ、絞り加工され、成形され、折り畳み加工等されて、図1〜図3に示した構成になり得る(例えば、側壁102がカバーの上面130に対しほぼ垂直である)。そして、追加のエンボス加工又は加締め作業が、刻み目/切削ライン184を横切って実施される。これにより、例えば、ハンドリング、梱包、装着作業、及び/又は顧客据付け/半田リフロー時、カバー110にシールドの下部108を確実に保持することができる。
【0045】
幾つかの実施形態は、更に、絞り加工された部分を2枚型シールドの隅部に形成するように、一枚の材料を絞り加工する段階を含み得る。隅部は、カバーの上面を基準として下方に垂下し、また、対応する対のカバーの側壁をカバーの上面に一体に接続し得る。
【0046】
下部108及びカバー110は、本例では、同じ一枚の材料から実質的に同時に形成し得るが(例えば、打ち抜き加工及び曲げ加工/折り畳み加工/絞り加工等)、そのようなものは、全ての実施形態に対して必要ない。例えば、他の実施形態は、例えば、他の適切な方法の中でもとりわけ、溶接、接着材によって、シールド100に個別に取り付けられる1つ又は複数の個別部品を含み得る。他の選択肢としての構成(例えば、形状、サイズ)、材料、及び製造方法を、シールド100、シールド下部108、及び/又はカバー110の作製に用い得る。
【0047】
次に、単なる一例として、カバー110を下部108から取り外し又は除去し得る代表的な方法について説明する。図5Aに示すように、設置者は、取り外し工程を支援するシム193又は他の適切な工具等の工具を選択し得る。そして、設置者は、カバー110の隅部とシールドの下部108との間に協同して画成された開口部194にシム193を手動で位置決め又は挿入する。他の選択肢として、代わりに、開口部170の1つ又はカバーの上面130における孔136等の他の開口部にシム193を位置決めしてよい。設置者は、シム193に力を加えて、スナップラッチ機構104を強制的に係合してよい。スナップラッチ機構104が係合されると、カバー110は、図5Cに示すように、持ち上げて外し、シールドの下部108から分離し得る。
【0048】
幾つかの実施形態において、シム193を挿入し、力を加えるこのプロセスは、スナップ機能が配置されている全ての位置(例えば、例示した実施形態において8つの位置等)を解除するために、シールドの周辺部に沿う複数の場所で繰り返す必要がある。
【0049】
下部108及びカバー110は、好適には、スナップラッチ機構104が、曲げに対して耐性があり、また、繰り返し係合又は解除し得るように構成される。その結果、下部108へのカバー110の取り付け、取り外し、及び再取り付けの多数の繰り返しサイクルが可能となる。従って、好適には、下部108及びカバー110の弾性的な性質によって、インターロック部材148、152は、(例えば、シムが力を加えている時、下部108からカバー110を取り外すように再構成されている場合)、それらの元の構成に戻り、これにより、カバー110は、その後下部108に再度取り付け得る。
【0050】
次に、更なる例として、カバー110を下部108に再度取り付け又は再度組み立て得る代表的な方法について説明する。図6Aに示すように、カバー110は、まず、カバーのインターロック機能148がシールドの下部108のインターロック機能152と係合するように位置合わせした状態で、下部108に配置し得る。そして、設置者は、カバー110の一方の側部(左側部を図6Bに示す)に隣接するカバー110の上面130に設置者の指195を押し当て、充分な力で押し下げて、スナップラッチ機構104の一部をインターロック係合させる。次に、設置者は、他方の側部(右側部を図6Cに示す)に隣接するカバーの上面130に他の指197を当てて押し下げ、スナップラッチ機構104の残りの部分をインターロック係合させる。これにより、カバー110は、この代表的な方法で、下部108に再度取り付けられる(図6D)。他の選択肢として、他の手動の方法又は自動的な方法(例えば、装着設備等)を用いて、下部108にカバー110を取り付けてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態において、シールド100は、EMI放射線を約30〜40デシベル減衰するものとして示した。図7は、シールド100用のEMI遮蔽有効性(デシベル単位)対周波数(メガヘルツ単位)を示す代表的な折れ線グラフである。これらの試験結果は、カバー110を下部108から取り外し、そして、同じカバー110を再度組み立て又は再度取り付けて下部108に戻した後、得られたものである。図7に示すこの試験及び結果は、説明のためだけに提供されたものであり、限定の目的のために提供したものではなく、従って、他の実施形態は、異なるレベルの減衰を提供するように及び/又は図7に示すもの以外の周波数で用いるように構成し得る。
【0052】
説明の目的のためだけに、数値の寸法及び値を本明細書において提供する。これら特定の寸法及び値は、本発明の範囲を限定するものではない。
本明細書では、用語は、参照のためだけに用いており、従って、限定しようとするものではない。例えば、“上”、“下”、“上方”、“下方”、“頂部”、“底部”、“上方の”、“下方の”、“上方に”、及び“下方に”等の用語は、参照している図面における方向を指す。“前”、“後”、“後部”、“底部”、及び”側部”等の用語は、構成要素内で、任意の基準系における部品の一部の方位について述べており、これは、対象の部品について述べる本明細書及び関連する図面を参照することにより明瞭になる。そのような用語には、具体的に上述した語、その派生語、及び同様な意味の語を含み得る。同様に、構造を参照する用語“第1”、“第2”、及びそのような他の数値の用語は、明示されない限り、順番又は順序を意味しない。
【0053】
更に、本明細書において説明した方法ステップ、プロセス、及び作業は、実行の順番として具体的に識別されない限り、説明した順番でのそれらの実行を必ず必要とするものとして解釈すべきでないことを理解し得る。また、追加の又は他の選択肢としてのステップも用い得ることを理解し得る。
【0054】
上記説明は、本質的に単なる代表例であり、従って、本発明の主旨から逸脱しない変更は、本発明の範囲内にあるものとする。そのような変更は、本発明の思想及び範囲からの逸脱と見なされるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】プリント回路基板(PCB)に据え付けた代表的な一実施形態のシールドの斜視図であり、シールドのカバーをシールドの下部に着脱自在に係合するシールドの側壁に沿ったシールドのスナップラッチ機構を示す図。
【図2】シールドのスナップラッチ機構の解除後、カバーが取り外された図1に示すシールドの分解斜視図。
【図3】図1に示すシールドの斜視図であり、シールドの下部の対応するインターロック部材と係合するように位置合わせされたカバーのインターロック部材を示す図。
【図4】図1に示すシールドの一部の部分側面図であり、カバーのインターロック部材とシールドの下部の対応するインターロック部材との係合を示す図。
【図5A】シムを用いてスナップラッチ機構を解除し、カバーを取り外し得る代表的な実施形態による代表的な方法を示す斜視図。
【図5B】シムを用いてスナップラッチ機構を解除し、カバーを取り外し得る代表的な実施形態による代表的な方法を示す斜視図。
【図5C】シムを用いてスナップラッチ機構を解除し、カバーを取り外し得る代表的な実施形態による代表的な方法を示す斜視図。
【図6A】工具又は機械的な締結具を一切用いることなく、カバーを設置者の手によって手動で再度取り付け得る代表的な実施形態による代表的な方法を示す斜視図。
【図6B】工具又は機械的な締結具を一切用いることなく、カバーを設置者の手によって手動で再度取り付け得る代表的な実施形態による代表的な方法を示す斜視図。
【図6C】工具又は機械的な締結具を一切用いることなく、カバーを設置者の手によって手動で再度取り付け得る代表的な実施形態による代表的な方法を示す斜視図。
【図6D】工具又は機械的な締結具を一切用いることなく、カバーを設置者の手によって手動で再度取り付け得る代表的な実施形態による代表的な方法を示す斜視図。
【図7】代表的な一実施形態による代表的なシールドのEMI遮蔽有効性(デシベル単位)対周波数(メガヘルツ単位)の代表的な折れ線グラフを示す図。
【符号の説明】
【0056】
100:シールド、102:側壁、103:プリント回路基板(基板)、105:電気部品、130:上面、132:壁部(上側壁部)、108:シールドの下部、112:壁部(下側壁部)、110:カバー、104:スナップラッチ機構(インターロック)、148:第1インターロック部材、152:第2インターロック部材、170:開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体構造を有する電磁干渉(EMI)シールドであって、
基板上の1つ又は複数の電気部品を略中心にして前記基板上に設置されるように構成された側壁と、
前記側壁と一体に形成された上面と、
前記側壁の1つ又は複数の上側壁部及び下側壁部によって一体に画成され、前記上面と前記上側壁部とを含むカバーを前記下側壁部に取り外し可能に取り付けるスナップラッチ機構と、を備え、
前記スナップラッチ機構は、
前記1つ又は複数の上側壁部によって一体に画成され、前記上面を基準に下方に垂下する第1インターロック部材と、
前記1つ又は複数の下側壁部によって一体に画成され、前記カバーの上面に対して上方に突出する第2インターロック部材と、
その内側において前記第1インターロック部材の移動を許容する開口部であって、前記第2インターロック部材に対する前記第1インターロック部材の連続した上方又は下方への移動を可能にし、前記スナップラッチ機構を係合又は係合解除するための開口部と、を含み、
前記スナップラッチ機構が係合解除されると、前記カバーが、前記シールドの前記下側壁部から完全に分離され、
前記スナップラッチ機構の係合により、前記カバーが、前記シールドの前記下側壁部に再取り付け可能である、シールド。
【請求項2】
請求項1に記載のシールドにおいて、
前記スナップラッチ機構は、第1インターロック部材と第2インターロック部材との対の数に対応する複数の開口部を含み、各開口部は、対応する対の第1インターロック部材との間に配置され、各対の第1インターロック部材は、対応する対の第2インターロック部材との間に配置されている、シールド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシールドにおいて、
前記第1インターロック部材は、対応する前記上側壁部及び前記下側壁部と略同一面内を維持しつつ前記開口部内を移動するように構成されている、シールド。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記第2インターロック部材は、前記第1インターロック部材と接触すると、前記第1インターロック部材を前記開口部内へ動かすカム面を含む、シールド。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記第1インターロック部材は、テーパ面部を有する突起部を含み、
前記第2インターロック部材は、前記第1インターロック部材の前記テーパ面部の形状を補完する切り欠きを含み、前記切り欠き及び前記テーパ面部がインターロック係合することにより、前記カバーが取り外し可能に前記下側壁部に保持される、シールド。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記下側壁部は、それらの隅部が間隙によって分離された2つ以上の側壁部を含む、シールド。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のシールドは、全体的に一枚の未加工材料から形成されている、シールド。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のシールドにおいて、
折れ線形の幾何学的形状が、前記カバーと前記シールドの前記下側壁部との間の境界に沿って少なくとも部分的に画成されている、シールド。
【請求項9】
請求項8に記載のシールドにおいて、
前記折れ線形の幾何学的形状は、EMI遮蔽性能を改善するために、前記境界に沿って実効スロット長を低減するように構成されている、シールド。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のシールドにおいて、
前記折れ線形の幾何学的形状は、複数の上下突出部及び複数の窪み部を含み、前記複数の窪み部の各々は、隣接する一対の上下突出部間に画成され、対応する他方の上下突出部を受け入れ可能に形成されている、シールド。
【請求項11】
請求項10に記載のシールドにおいて、
前記突出部及び窪み部は略三角形状である、シールド。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記折れ線形の幾何学的形状は、のこぎり歯構成、ジグザグ構成、及びぎざぎざ歯構成のうちの少なくとも1つを含む、シールド。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記第1インターロック部材は、工具を用いることなく前記カバーを前記下側壁部にスナップフィットにて取り外し可能に取り付けるべく、前記第2インターロック部材とスナップフィット係合するように構成されている、シールド。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記スナップラッチ機構の前記係合は、電磁干渉の出入りに対して前記カバーと前記シールドの前記下側壁部との間の境界を実質的に封止する、シールド。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記第1及び第2インターロック部材は、前記カバーを前記シールドの下側壁部に対して繰り返し取り外し及び再取り付け可能とするように、繰り返し係合及び係合解除可能に構成されている、シールド。
【請求項16】
基板上の1つ又は複数の電気部品に対して電磁干渉遮蔽を行う用途に適したシールドであって、
側壁と一体上面とを含む遮蔽筐体を備え、前記側壁は、それらの間で協同してインターロックを画成する上側壁部及び下側壁部を含み、前記上側壁部は、前記一体上面から下方に垂下され、前記インターロックによって、前記一体上面及び上側壁部が前記下側壁部に取り外し可能に取り付けられ、前記インターロックが解除されると、前記一体上面及び上側壁部が前記下側壁部から完全に分離され、前記一体上面及び上側壁部は、前記インターロックの係合により前記下側壁部に再取り付け可能である、シールド。
【請求項17】
請求項16に記載のシールドにおいて、
前記インターロックは、工具を用いることなく前記一体上面及び上側壁部を前記下側壁部に再度スナップフィットし得るように構成されている、シールド。
【請求項18】
請求項16又は17に記載のシールドにおいて、
前記上側壁部及び下側壁部間の境界の少なくとも一部には、EMI遮蔽性能を改善するために、前記境界に沿って前記実効スロット長を低減するように構成された折れ線形の幾何学的形状が含まれる、シールド。
【請求項19】
請求項16乃至18の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記遮蔽筐体は、全体的に一枚の未加工材料から形成されている、シールド。
【請求項20】
請求項16乃至19の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記インターロックは、
1つ又は複数の前記上側壁部によって一体に画成され、前記一体上面を基準として下方に垂下する第1インターロック部材と、
1つ又は複数の前記下側壁部によって一体に画成され、前記一体上面に対して上方に突出する第2インターロック部材と、
対応する前記上側壁部及び下側壁部と略同一面内を維持しつつ、その内側において前記第1インターロック部材の移動を許容する開口部であって、前記第2インターロック部材に対する前記第1インターロック部材の連続した上方又は下方への移動を可能にして、前記インターロックを係合又は係合解除するための開口部と、
を含む、シールド。
【請求項21】
請求項16乃至20の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記第1インターロック部材は、テーパ面部を有する突起部を含み、
前記第2インターロック部材は、前記第1インターロック部材の前記テーパ面部の形状を補完する切り欠きを含み、前記切り欠き及び前記テーパ面部がインターロック係合することにより、前記一体上面及び上側壁部が取り外し可能に前記下側壁部に保持される、シールド。
【請求項22】
請求項16乃至21の何れか一項に記載のシールドにおいて、
前記下側壁部は、それらの隅部が間隙によって分離された2つ以上の側壁部を含む、シールド。
【請求項23】
取り外し可能かつ再取り付け可能なカバーを有する電磁干渉シールドを作製する方法であって、
側壁及び前記側壁における1つ又は複数の開口部を含む前記シールド用の平坦パターンの部分的形状を一枚の材料に打ち抜き加工する段階と、
第1及び第2インターロック部材と折れ線形の幾何学的形状とを上側壁部及び下側壁部間に形成する段階であって、前記第1及び第2インターロック部材及び前記1つ又は複数の開口部は、前記シールドの前記下側壁部に前記シールドの一体上面及び上側壁部を取り外し可能に取り付けるスナップラッチ機構を画成する、段階と、
前記一体上面及び上側壁部が前記下側壁部に取り外し可能に保持されるように、前記一体上面に対して或る角度で前記側壁を形成する段階と、を備え、
前記スナップラッチ機構が解除されると、前記一体上面及び上側壁部が前記シールドの前記下側壁部から完全に分離され、
前記スナップラッチ機構の係合によって、前記一体上面及び上側壁部が前記シールドの前記下側壁部に再取り付け可能である、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、
前記形成する段階は、絞り加工、曲げ加工、及び折り畳み加工のうちの1つ又は複数の加工を含む、方法。
【請求項25】
基板の1つ又は複数の電気部品に対して基板レベルEMI遮蔽を行うための方法であって、
一体構造を有する遮蔽筐体が前記1つ又は複数の電気部品を略中心として配置されるように、前記遮蔽筐体を前記基板上に設ける段階を備え、前記遮蔽筐体は、側壁及び一体上面を含み、前記側壁は、それらの間で協同してインターロックを画成する上側壁部及び下側壁部を含み、前記上側壁部は、前記一体上面から下方に垂下され、前記インターロックによって、前記一体上面及び上側壁部が前記下側壁部に取り外し可能に取り付けられ、前記インターロックが解除されると、前記一体上面及び上側壁部が前記下側壁部から完全に分離され、前記一体上面及び上側壁部は、前記インターロックの係合により前記下側壁部に再取り付け可能である、方法。
【請求項26】
基板上の1つ又は複数の電気部品に対して電磁干渉遮蔽を行う用途に適したシールドであって、
側壁及び上面を含む遮蔽筐体を備えており、前記側壁は、それらの間で協同してスナップラッチ機構を画成する上側壁部及び下側壁部を含み、前記上側壁部は、前記上面から下方に垂下され、前記下側壁部は、前記スナップラッチ機構により前記上面及び上側壁部に取り外し可能に取り付けられている、シールド。
【請求項27】
請求項1、16、又は26に記載のシールドを含む電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−60067(P2009−60067A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282010(P2007−282010)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(507358446)レアード テクノロジーズ インコーポレイテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】LAIRD TECHNOLOGIES,INC.
【Fターム(参考)】