説明

電磁波や放電の発生機器に対する電磁波や放電の遮蔽方法と遮蔽材

【課題】コスト的に安く電磁波や放電を遮蔽することができる電磁波や放電の遮蔽方法を提供する。
【解決手段】遮蔽材1として備長炭を用い、備長炭の外面に平坦面2をカットし、この備長炭を電磁波や放電の発生機器Aに前記平坦面2で取付け、前記発生機器Aから発生した電磁波や放電を遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力計やブレーカ、バッテリーを備えた携帯電話等の電磁波や放電が生じる発生機器に対して、この機器から発生した電磁波や放電を遮蔽する遮蔽方法とその遮蔽材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建物に取付けた電力計やブレーカ等は、電磁波や放電が発生していることは知られており、これら電磁波や放電は人体に対して有害であるため、できるだけ電磁波や放電を浴びないようにする必要がある。
【0003】
また、電磁波や放電の発生機器として知られている電力計は、アラゴの原理を応用したものであり、アルミ製円盤を挟んで上下に電磁コイルを配置し、電磁コイルに電流が流れるとアルミ製円盤上に渦電流が発生し、これにより前記円盤が回転し、回転数に応じて数字が表示され、電気の使用量が計算される構造になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電磁波や放電の発生機器で生じた電磁波や放電を遮蔽する従来の遮蔽材としては、磁性体粉末を混合して焼成したものや、導電性粉末を混合して焼成したものが提案されているが、その何れも製造に大型の設備を必要とし、製品コストが高く付くという問題がある。
【0005】
また、電力計は、渦電流で円盤が回転する構造になっているため、電磁波の影響を受けることで、一定の電力消費の状態でも円盤の回転速度に変動が見られることがあり、このため、電力料金に誤差が生じるという問題がある。
【0006】
更に、携帯電話やOA機器等の電動機器においては、一般的に充電式や使い捨て式の電池(バッテリー)を電源として作動するものであるが、これらの機器は使用しなくても電池の放電が発生し、電池に対して定期的な充電を行わなければならず、放電を防ぐことで寿命の長期化や充電サイクルのスパンを長くすることが望まれている。
【0007】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決するため、電磁波や放電に対する新たな遮蔽材の研究開発を繰り返すなかで、白炭である硬質の備長炭が電磁波や放電の遮蔽効果に優れている点を見出し、これを用いることでコスト的に安く電磁波や放電を遮蔽することができ、また、電力計に使用することで円盤の回転速度を変動のないように安定化させることができる電磁波や放電の発生機器に対する電磁波や放電の遮蔽方法とこれに用いる遮蔽材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明の電磁波や放電の遮蔽方法は、白炭の外面に平坦面をカットし、この白炭を電磁波や放電の発生機器に前記平坦面で取付けることにより、電磁波や放電の発生機器から発生した電磁波や放電を遮蔽する構成を採用したものである。
【0009】
また、電磁波遮蔽材の発明は、白炭を用いて電磁波や放電の遮蔽材を形成し、この白炭の外面に平坦面をカットした構成を採用したものであり、この白炭は、ウバメガシを高温で焼成した備長炭である。
【0010】
ここで、上記電磁波や放電の遮蔽材となる白炭は、例えばウバメガシを1000°C以上の高温で焼成して得られた硬質の備長炭であり、その大きさは、取付けんとする電磁波や放電の発生機器の大きさに合わせて選択すればよいが、例えば、電力計に取付ける場合は、長さが160mm程度、厚みが40mm程度のものを用い、その長さ方向に沿う外面に平坦面をカットし、この平面を利用して遮蔽材を電力計の上に載置すれば、均一に炭化されている備長炭は電導性が高く、しかも、その平坦面が電力計に臨むことで、電磁波や放電を有効に遮蔽することができる。
【0011】
また、携帯電話やOA機器等の電動機器における電池に対して用いる遮蔽材は、備長炭を板状に切り出したものを用い、電池に対して重なり状に配置することにより、電池の放電発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、遮蔽材として白炭を用い、この遮蔽材の外面に平坦面をカットし、この白炭を電磁波や放電の発生機器に前記平坦面で取付けることにより、均一に炭化されている白炭は電導性が高く、しかも、その平坦面が電力計に臨むことで、機器から発生した電磁波や放電を確実に遮蔽することができ、単に白炭を取付けるだけであるので、コスト的に安価であり、簡単に人体に対する安全性の向上が図れる。
【0013】
また、白炭の遮蔽材を携帯電話やOA機器等の電動機器における電池に対して重なり状に配置して用いると、電池の放電発生を抑えることができ、電池寿命の延長や電池に対する充電サイクルの延長が図れることになる。
【0014】
更に、白炭の遮蔽材を電力計に取付けると、発生する電磁波を遮蔽することで、アルミ円盤の回転速度を均一化することができ、回転の過変動による電力料金上昇分を抑えることができて経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図示のように、電磁波や放電が生じる機器Aに取付ける遮蔽材1は、白炭である備長炭を用い、この備長炭の外面に平坦面2をカットした構造を有し、機器Aに対して平坦面2で取付けることにより、電磁波や放電を遮蔽するものである。
【0017】
この遮蔽材1となる備長炭は、ウバメガシを1000°C以上の高温で焼成したものであり、均一に炭化されているため、硬質で電導性が高く、有害な電磁波や放電を遮蔽する効果に優れ、図2(b)のように、焼成後の備長炭に対してその周囲の一部を長さ方向に沿ってカットすることにより平坦面2が加工される。
【0018】
なお、備長炭に対するカットは、図示の場合、四面カットにして備長炭を断面角形にした例を示し、各平坦面2や長さ方向の両端面を研磨して平滑面に仕上げている。
【0019】
上記のような備長炭を用いた遮蔽材1の大きさは、取付けんとする電磁波や放電の発生機器Aの大きさに合わせて選択すればよいが、例えば、図示の場合、電磁波や放電の発生機器Aとして電力計を示し、この電力計に取付ける場合、長さが160mm程度、厚みが40mm程度の備長炭を用い、その長さ方向に沿う外面に平坦面2をカットし、この平坦面2を利用して遮蔽材1を電力計のカバー上に載置するようにしている。
【0020】
上記遮蔽材1に平坦面2をカットすれば、電力計のカバー上面に載置して取付ける場合に平坦面2で取付け状態の安定性が向上すると共に、平坦面2が電力計に臨むことで、この平坦面2が電磁波や放電を有効に遮蔽することができる。
【0021】
また、図示省略したが、携帯電話やOA機器等の電動機器における電池に対して用いる遮蔽材は、備長炭を電池の大きさに該当する程度の板状に切り出したものを用い、これを電池に対して重なり状に配置することにより、電池の放電発生を抑えることができる。
【0022】
この発明の遮蔽材1は、上記のような構成であり、電磁波や放電の発生機器Aから発生する電磁波や放電を遮蔽するには、機器Aに対して平坦面2を重ねることで遮蔽材1を載置するだけでよく、機器Aから発生した電磁波や放電は、平坦面2に作用することで有効に遮蔽されることになり、人体に対する安全性の向上が図れる。
【0023】
また、この発明の遮蔽材1を電力計のカバー上面に載置して取付けると、平坦面2が電磁波や放電を有効に遮蔽することができ、これによってアルミ円盤の回転速度が均一化し、回転の過変動による電力料金上昇分を抑えることができて経済的である。
【0024】
更に、両面を平坦面にカットして板状とした遮蔽材を、携帯電話やOA機器等の電動機器における電池に対して重なり状に配置して用いると、電池の放電発生を抑えることができ、電池寿命の延長や電池に対する充電サイクルの延長が図れることになり、使用しない電池に対しても遮蔽材を重ねておけば、放電を抑えることができ、省エネルギー効果が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の遮蔽材を電力計に取付けた状態の斜めから見た正面図
【図2】(a)はこの発明の遮蔽材を電力計に取付けた状態の少し斜めから見た正面図、(b)は備長炭に平坦面をカットした状態の説明図
【符号の説明】
【0026】
1 遮蔽材
2 平坦面
A 機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白炭の外面に平坦面をカットし、この白炭を電磁波や放電の発生機器に前記平坦面で取付けることにより、電磁波や放電の発生機器から発生した電磁波や放電を遮蔽する電磁波や放電の発生機器に対する電磁波や放電の遮蔽方法。
【請求項2】
白炭を用いて電磁波や放電の遮蔽材を形成し、この白炭の外面に平坦面をカットした電磁波や放電の発生機器に対する電磁波や放電の遮蔽材。
【請求項3】
上記白炭が、ウバメガシを高温で焼成した備長炭である請求項2に記載の電磁波や放電の発生機器に対する電磁波や放電の遮蔽材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−4470(P2009−4470A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162289(P2007−162289)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(595059850)太平紙器株式会社 (4)
【Fターム(参考)】