説明

電磁波遮蔽シート、電磁波遮蔽シートの製造方法及び画像表示装置

【課題】黒化層に欠損部がなく、PDP等の画像表示装置の表示面に配置しても外観を損ねない電磁波遮蔽シート、歩留まりの良い当該電磁波遮蔽シートの製造方法及び当該電磁波遮蔽シートを備えた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】透明基材の一面側に、開口部を有するメッシュパターン部及び開口部を有しない周縁部を含む導電性メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートであって、前記導電性メッシュ層の少なくとも透明基材とは反対側の面が第一の黒化材料からなる第一黒化層で被覆され、かつ、前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面の前記第一黒化層が欠損した部位が、第二の黒化材料で被覆されていることを特徴とする、電磁波遮蔽シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の画像表示装置から発生する電磁波を遮蔽する用途に好適な電磁波遮蔽シート、当該電磁波遮蔽シートの製造方法及び当該電磁波遮蔽シートを備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気電子機器の機能高度化と利用増加に伴い、電磁気的なノイズ妨害(EMI)が増え、PDP又は陰極線管(CRT)等の画像表示装置(ディスプレイ)でも電磁波が発生する。特に、PDPは、データ電極と蛍光層を有するガラスと透明電極を有するガラスとの組合体であり、作動すると画像光以外に不要な電磁波及び近赤外線が大量に発生する。
【0003】
通常、電磁波を遮蔽(シールド)するためにPDPの表示面(前面)に、電磁波遮蔽用シートと硝子板との積層体が前面板として設けられる。画像表示装置前面から発生する電磁波の遮蔽性は、日本では30MHz〜1GHzにおいてVCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)が規定する家庭環境、住宅環境で使用する情報処理装置に適用される規格(クラスB)を達成することが必要である。なお、本発明において単に「電磁波」と言った場合は、広義の電磁波の中でも周波数が上記範囲を中心とするMHz〜GHz帯近辺の電磁波のことを意味し、赤外線、可視光線、紫外線及びX線等は含まないものとする(例えば、赤外線帯域の周波数の電磁波は「赤外線」と呼称する)。
【0004】
この電磁波を遮蔽し、かつ、光透過性も確保するために、樹脂フィルム又はガラス板等の透明基材上に、銅や銀等の金属からなり開口部を有するメッシュパターン部をエッチング加工、転写又は印刷等により形成することにより、電磁波遮蔽性と光透過性を有する電磁波遮蔽シート、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ等が用いられている(例えば、特許文献1及び2)。
【0005】
図8は、一般的な電磁波遮蔽シートの層構成を模式的に示した断面図である。
図8に示す一般的な電磁波遮蔽シート110では、透明基材120上に、中央部に位置すると共にメッシュパターン130により画定された開口部140を有するメッシュパターン部150と、当該メッシュパターン部150の周縁部の少なくとも1偏に位置すると共に開口部140を有しない周縁部160を含む導電性メッシュ層170が設けられており、導電性メッシュ層170上には黒化層180が設けられている。また、メッシュパターン部150と周縁部160とは電気的に接続(導通)してなる。
導電性メッシュ層170は、導電性を有し、電磁波遮蔽性を担い、一般に銅や銀等の金属や合金等の金属光沢を有する物質で形成される。黒化層180は、導電性メッシュ層170における外光や表示光の反射を防止したり、表示画像のコントラストを向上して、表示画像の視認性を高めるために設けられる。
なお、図1以下の模式図においては、説明の便宜上、縦横の寸法比、各層及び各部材の寸法は実寸から変えて誇張して示している。
【0006】
電磁波遮蔽シート110の製造時や搬送時の取り扱いで、表層の黒化層180が図9に示すように、欠けたり、削れて薄くなって、欠損した部位(以下、単に「欠損部」ともいうことがある。)190、191が生ずることがある。黒化層180にこのような欠損部190、191が生ずると、欠損部190、191直下の導電性メッシュ層170と、欠損部190、191の周囲の黒化層180との反射率の違いにより、その欠損部190、191がスジ(筋)やスポット(点)等の形態の欠陥として視認され、電磁波遮蔽シートをPDP等の画像表示装置の前面に配置した際に、画像表示装置の外観を損ねてしまうという問題があった。
また、周縁部160は、メッシュパターン130よりも幅が広いため、周縁部160の欠損部190、191によるスジ等の欠陥は、メッシュパターン部150の欠損部190、191による欠陥よりも目立ちやすく、電磁波遮蔽シートを用いてPDP等の画像表示装置の組み立てを行うメーカーにおいて、画像表示装置に組み込まれた最終製品の状態での外観、性能の良否の如何によらず一律に、不良品と判断されてしまい歩留まりが低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−062454号公報
【特許文献2】特開2008−147356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、黒化層に欠損部がなく、PDP等の画像表示装置の表示面に配置しても外観を損ねない電磁波遮蔽シート、歩留まりの良い当該電磁波遮蔽シートの製造方法及び当該電磁波遮蔽シートを備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが鋭意検討した結果、電磁波遮蔽シートの黒化層の欠損部をさらに黒化層の材料で被覆することで、欠損部が修復され、PDP等の画像表示装置の表示面に配置しても外観を損ねない電磁波遮蔽シートが得られ、歩留まりも向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る電磁波遮蔽シートは、透明基材の一面側に、開口部を有するメッシュパターン部及び開口部を有しない周縁部を含む導電性メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートであって、前記導電性メッシュ層の少なくとも透明基材とは反対側の面が第一の黒化材料からなる第一黒化層で被覆され、かつ、前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面の前記第一黒化層が欠損した部位が、第二の黒化材料で被覆されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電磁波遮蔽シートでは、前記第一黒化層は、前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面だけに存在しており、前記導電性メッシュ層の側面及び前記第一黒化層の側面並びに前記第一黒化層の導電性メッシュ層とは反対側の面が、前記第二の黒化材料からなる第二黒化層で被覆されている態様であっても良い。
【0012】
本発明に係る電磁波遮蔽シートでは、前記第一の黒化材料が銅原子を含有し、前記第二の黒化材料がテルル原子を含有する態様であっても良い。
【0013】
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法は、(i)透明基材の一面側に、開口部を有するメッシュパターン部及び開口部を有しない周縁部を含む導電性メッシュ層が設けられ、かつ、当該導電性メッシュ層の少なくとも透明基材とは反対側の面が第一の黒化材料からなる第一黒化層で被覆され、当該第一黒化層の一部には欠損した部位が存在する電磁波遮蔽シート中間製品を準備する工程、及び、(ii)前記第一黒化層の欠損した部位を、第二の黒化材料で被覆する工程、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法の好ましい態様では、前記(i)工程において、前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面だけが前記第一黒化層で被覆された電磁波遮蔽シート中間製品を準備し、前記(ii)工程において、前記導電性メッシュ層の側面及び前記第一黒化層の側面並びに前記第一黒化層の導電性メッシュ層とは反対側の面を前記第二の黒化材料からなる第二黒化層で被覆することができる。
【0015】
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法の好ましい態様では、前記(i)工程において、前記第一の黒化材料が、銅系材料であり、前記(ii)工程において、テルルの濃度(酸化物換算濃度)が0.01〜0.45質量%、かつ、塩酸濃度が0.05〜8質量%である塩酸溶液に、前記電磁波遮蔽シート中間製品を浸漬させて、前記第一黒化層の欠損した部位を第二の黒化材料で被覆することが好ましい。
【0016】
本発明に係る画像表示装置は、上記電磁波遮蔽シートが、画像表示装置の表示面に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法によれば、第一黒化層の欠損部を、さらに第二の黒化材料で被覆するため、第一黒化層の欠損部が修復され、欠損部によるスジ等の欠陥のない電磁波遮蔽シートを得ることができ、歩留まりが高い。
本発明に係る電磁波遮蔽シートは、第一黒化層の欠損部が第二の黒化材料で被覆されているため、第一黒化層の欠損部によるスジ等の欠陥がなく、画像表示装置の表示面に配置しても外観を損ねない。
本発明に係る画像表示装置は、上記電磁波遮蔽シートが表示面に配置されているため、第一黒化層の欠損部によるスジ等がなく、外観が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの層構成の一例を模式的に示した断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの平面図の一例を示した模式図である。
【図3】図3は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの平面図の他の一例を示した模式図である。
【図4】図4は、電磁波遮蔽シートのメッシュパターン部の一部の一例を模式的に示した断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの層構成の別の一例を模式的に示した断面図である。
【図6】図6は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。
【図7】図7は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法のフローの一例を示した模式図である。
【図8】図8は、欠損部がない一般的な電磁波遮蔽シートの層構成を模式的に示した断面図である。
【図9】図9は、欠損部がある一般的な電磁波遮蔽シートの層構成を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0020】
本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを、また、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
本発明の電離放射線には、可視光線並びに紫外線及びX線等の非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線及びα線のような粒子線を総称する、分子に架橋反応乃至重合反応を生じせしめるに足るエネルギー量子を持った放射線が含まれる。
本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。なお、通常、「シート」よりもさらに厚い形態の物を「板」と呼称するが、本発明においては、「シート」の語はいわゆる「板」も包含する定義とする。
【0021】
(電磁波遮蔽シート)
本発明に係る電磁波遮蔽シートは、透明基材の一面側に、開口部を有するメッシュパターン部及び開口部を有しない周縁部を含む導電性メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートであって、前記導電性メッシュ層の少なくとも透明基材とは反対側の面が第一の黒化材料からなる第一黒化層で被覆され、かつ、前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面の前記第一黒化層が欠損した部位が、第二の黒化材料で被覆されていることを特徴とする。
【0022】
図1は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの層構成の一例を模式的に示した断面図である。
電磁波遮蔽シート1は、透明基材10上に、メッシュパターン20により画定された開口部30を有するメッシュパターン部40と、開口部を有しない周縁部50を含む導電性メッシュ層60が設けられており、導電性メッシュ層60上には第一黒化層70が設けられている。そして、第一黒化層70の欠損部は第二の黒化材料80により被覆されている。
このように、本発明に係る電磁波遮蔽シート1では、第一黒化層70に欠損部があっても、当該欠損部が第二の黒化材料80で被覆されているため、導電性メッシュ層60が視認されず、スジやスポット等の欠陥がなく、画像表示装置の表示面に配置しても外観を損ねない。
以下、本発明に係る電磁波遮蔽シートを構成する透明基材、導電性メッシュ層、第一黒化層、第二の黒化材料、その他必要に応じて適宜設けられるその他の層等について順に説明する。
【0023】
(透明基材)
透明基材10は、電磁波遮蔽シート1の基材であり、従来公知の電磁波遮蔽シート、電磁波シールド材又はディスプレイ用複合フィルタ等に用いられている透明基材を用いることができる。透明基材10は、例えば、特許文献1や2に記載のものを用いることができる。
透明基材10は、所望の透明性、機械的強度、後述する導電性メッシュ層60又は透明接着剤層との接着性等の要求適性を勘案の上、材料及び厚さを適宜選択すればよい。
透明基材10は、樹脂基材であっても良いし、硝子基材であっても良い。軽さ及び薄さの点から、樹脂製の透明フィルムが好ましく用いられる。
透明フィルムの樹脂材料としては、アクリル樹脂(ここでは、いわゆるメタクリル樹脂も包含する概念として用いる。)又はポリエステル樹脂が好ましい。
その他、樹脂材料としては、特許文献2に記載のトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル等の含ハロゲン樹脂等が挙げられる。中でも、二軸延伸PETフィルムが透明性及び耐久性に優れ、製造工程で紫外線照射処理又は加熱処理を経た場合でも熱変形等しない耐熱性を有するため好ましい。
透明基材10の樹脂材料には、必要に応じて適宜、特許文献2に記載の近赤外線吸収色素、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等が含まれていても良い。
【0024】
透明基材10は、長尺で帯状形状であっても良いし、所定の大きさからなる枚葉形状であっても良い。
透明基材10の厚さは、用途や軽さ、光透過性等の要求される性能に応じて適宜調節すれば良く、特に限定されないが、樹脂基材である場合、十分な機械的強度を確保し、透明基材の反りや弛み、破断等を抑制する観点から、8〜5000μmが好ましく、50〜500μmが好ましい。
硝子基材の場合も特に限定されないが、厚さ1〜5mmが好ましい。
透明基材10の光透過率としては、100%が理想であり、透過率80%以上であることが好ましい。
透明基材10の表面には必要に応じて、易接着層を設けても良い。易接着層の代わりに、コロナ放電処理、プラズマ処理若しくは火炎処理等の表面処理を行っても良い。
易接着層の樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂又は塩素化ポリプロピレン等の樹脂から適宜選択すれば良い。
【0025】
(導電性メッシュ層)
導電性メッシュ層60は、導電性を有することで電磁波遮蔽性を担う。導電性メッシュ層60自体は、不透明性の材料からなるが、多数の開口部30が存在するメッシュ状の形状とすることにより、電磁波遮蔽性と光透過性を両立させることができる。
本発明の導電性メッシュ層60の材料及び形成方法は、従来公知の電磁波遮蔽シート又は電磁波シールド材等に用いられている導電性メッシュ層のものを、適宜採用することができる。
なお、本発明において、開口部30とは、透明基材10(後述する透明接着剤層を設ける場合は、当該透明接着剤層。)の導電性メッシュ層60側の面の、メッシュパターン20により画定された領域であり、導電性メッシュ層60や後述する黒化材料等の不透明性材料が存在しない領域をいう。ただし、製造技術の限界等から、メッシュパターン20により画定された領域であって、本来上記不透明性の材料が設けられない領域に若干上記不透明性材料が付着した領域も開口部30とみなす。
【0026】
導電性メッシュ層60の材料は、電磁波遮蔽性を発現し得る導電性を有する物質であれば良く、通常は、導電性が良い点で金属、合金及び金属化合物が好ましい。このような金属としては、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケル又はクロム等の導電率の高い金属が好ましい。なかでも、導電性、加工適性及び材料の価格の観点から、銅及びアルミニウムが好ましい。上記合金としては、低炭素リムド鋼、低炭素アルミキルド鋼等の低炭素鋼、Ni−Fe合金、インバー合金等の鉄合金及び銅合金等が挙げられる。
導電性メッシュ層60の厚さは、要求される電磁波遮蔽性等の性能に応じて適宜調節すれば良いが、電気抵抗の上昇を抑え、十分な電磁波遮蔽性を得る観点から、2μm以上が好ましい。また、均一で精度の良いメッシュパターン20を得る観点から、30μm以下が好ましい。導電性メッシュ層60の平坦化を容易にし、平坦化を行った際に気泡の混入が少なく、透明性及び電磁波遮蔽性に優れた電磁波遮蔽シートを得やすい観点から、導電性メッシュ層60の厚さは5〜15μmであることが好ましい。
【0027】
図2は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの平面図の一例を示した模式図である。
図2の(a)において、電磁波遮蔽シート1は、中央部に位置して画像表示装置の画面と対峙すると共に開口部30を有するメッシュパターン部40と、メッシュパターン部40の周縁部の少なくとも1辺に位置すると共にメッシュパターン部40とは電気的に接続(導通)してなる周縁部50とを有する。なお、メッシュパターン部40と周縁部50とは、通常、同材料からなり連続一体化した物として形成される。
図2の(a)のメッシュパターン部40の円で囲った部分41を拡大したものが図2の(b)である。
この図2の場合の導電性メッシュ層のメッシュ形状(開口部30の形状)は正方形である。
【0028】
導電性メッシュ層60のメッシュ形状は、メッシュパターン部40(開口部30)において光透過性を有し、画像表示装置の表示面に電磁波遮蔽シートを配置した際にメッシュパターン部40において表示画像を視認できる形状であれば特に限定されない。メッシュ(開口部30)の平面視の形状としては、例えば、二等辺三角形、正三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形若しくは台形等の四角形又は六角形等の多角形、あるいは円形又は楕円形等が挙げられる。
メッシュパターン部40は、図1や図2に示したように、メッシュパターン20により画定された複数の開口部30を有する。通常は、開口部30及びメッシュパターン20は、メッシュパターン部40全面において同一形状及び同一寸法で、かつ、周期的に配列されるものであるが、メッシュパターン部40において、画素とのモアレ防止のため、各部分を構成するメッシュパターン20や開口部30の形状や寸法が場所に応じて各々異なっていても良い。
図2の(b)に示されるメッシュパターン20の幅21は、光透過性の確保とメッシュパターン20自体の非視認性の観点から、5〜30μmが好ましい。
メッシュパターン20のピッチ(周期)は、光透過性の観点から、100〜500μmが好ましい。
開口部30が正方形の場合、その幅31は、(メッシュパターン20のピッチ)−(メッシュパターン20の幅21)であるから、70〜495μmが好ましい。
また、メッシュパターン部40の全面積に対する開口部30の面積の合計の割合(以下、「開口率」という。)は、光透過性と電磁波遮蔽性の両立の観点から、50〜97%が好ましい。
なお、バイアス角度(メッシュパターン20と電磁波遮蔽シート1の外周辺との成す角度)は、画像表示装置の画素ピッチや発光特性を考慮して、モアレが発生しにくい角度に適宜設定すれば良い。
【0029】
メッシュパターン部40の形成方法は特に限定されず、従来公知のメッシュパターン部を有する電磁波遮蔽シート又は電磁波シールド材において用いられている方法を用いることができる。
このような方法としては、例えば、透明基材10の一面側の全面に、間に接着剤層を介して銅等の金属箔を積層したり、又は電解メッキ法若しくは無電解メッキ法を用いて銅等の金属箔をメッキにより直接形成し、当該金属箔上に後述する第一黒化層70を形成する前又は形成した後に、感光性レジスト(以下、単に「レジスト」ともいう。)を塗布し、露光と現像により所望のレジスト膜のパターンを形成して、金属箔(又は金属箔及び残存したレジスト膜のパターン)のエッチングを行い、当該エッチングで金属箔と一緒に残存したレジスト膜のパターンを除去しない場合はさらに残存したレジスト膜のパターンを除去し、導電性のメッシュパターン部40を形成する方法(以下、単に「フォトリソグラフィー法」という。)が挙げられる。この他、導電性組成物からなるインキ乃至ペーストを透明基材10の一面側に、メッシュ状に印刷する等の印刷法及び転写法等が挙げられる。
【0030】
本発明に係る電磁波遮蔽シートにおいて、メッシュパターン部40と周縁部50は、その設けられる位置や形状は、適宜調節すれば良い。
例えば、図1や図2に示したように、電磁波遮蔽シート1の中央にメッシュパターン部40が位置し、その周囲四辺に周縁部50が設けられていても良いし、この他、図3の(a)〜cに示すような位置に設けられていても良い。
また、メッシュパターン部40と周縁部50は、例えば、図3の(d)〜(f)に示すように、それぞれが独立して、角が直角の他、丸みを帯びた形状であっても良い。
周縁部50の幅は、適宜調節すれば良いが、15〜100mmが好ましい。
【0031】
また、図示しないが、電磁波遮蔽シート1を画像表示装置の表示面に設けた際に画像表示装置の外枠等により周縁部50の一部に、画像表示装置の視聴者又は観察者から視認されない領域がある場合は、接地するための領域として、当該領域のうち少なくとも接地加工を行う部分のみ又はさらにその近傍において導電性メッシュ層60の透明基材10と反対側には第一黒化層70、第二黒化層、第二の黒化材料80等を設けずに、導電性メッシュ層60が露出していても良い。
【0032】
(第一黒化層)
第一黒化層70は、第一の黒化材料からなり、導電性メッシュ層60の少なくとも透明基材10とは反対側の面に設けられる層である。
第一黒化層70は、導電性メッシュ層60における外光や表示光の反射を防止したり、表示画像のコントラストを向上して、表示画像の視認性を高める働きを有する。なお、ここで外光とは、画像表示装置の画面に対して外部から入射する日光、電灯光等をいう。
【0033】
図4は、電磁波遮蔽シートのメッシュパターン部の一部の一例を模式的に示した断面図である。
第一黒化層70は、図4の右から二つ目のメッシュパターン20のように導電性メッシュ層60の少なくとも透明基材10とは反対側の面(図4において上側の面、以下、「上面」という。)に設けられていれば良く、図4の右から一つ目又は三つ目のメッシュパターン20のように、導電性メッシュ層60の開口部30に面している面(以下、第一黒化層の開口部に面している面も含めて「側面」という。)にも設けられていても良い。また、図示しないが、導電性メッシュ層60の透明基材10側の面(図4において下側の面、以下、「下面」という。)に設けられていても良い。
【0034】
本発明の「黒化層」や「黒化処理」の色は、上述した外光等の反射を防止し、表示画像のコントラストを向上させることができる色であれば、完全な黒である必要はなく、低明度の(暗い)有彩色又は無彩色、すなわち、いわゆる暗色であれば良い。このような暗色としては、例えば、黒、濃い(低明度の)灰色等の無彩色、紺色、褐色、深緑色、えんじ色及び濃紫色等の低明度の有彩色が挙げられる。
第一黒化層70、後述する欠損部を被覆している第二の黒化材料及び第二黒化層は、好ましくは黒濃度が0.6以上である。
なお、黒濃度は、(株)きもと製の商品名COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG SPM100−11を用いて、観察視野角10度、観察光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSITに設定し、白色キャリブレイション後に、試験片を測定することで求められる。
第一黒化層70の全光線反射率としては、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。全光線反射率は、JIS Z8722に準拠して、コニカミノルタセンシング(株)製の商品名、分光測色計CM−3600dを用いて測定することができる。
【0035】
第一黒化層70を形成する第一の黒化材料は、従来公知の電磁波遮蔽シート又は電磁波シールド材に用いられている黒化層の材料を用いることができる。
このような黒化材料としては、例えば、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、スズ、クロム等の金属や金属化合物を用いることができる。第一の黒化材料としては、銅、銅−ニッケル−クロム系若しくは銅−コバルト系の銅合金、銅の酸化物又は銅の硫化物等の銅系材料が好ましい。また、黒化材料は、特許文献2に記載のテルル原子又は塩化テルル(TeCl)であっても良い。この他、黒着色樹脂等の有機材料を用いても良い。
【0036】
第一黒化層を形成する黒化処理としては、従来公知のカソーディック電着メッキ法が好ましく挙げられる。このカソーディック電着メッキ法は、例えば、銅からなる導電メッシュ層60又はメッシュパターンを有しない銅箔を、硫酸、硫酸銅及び硫酸コバルト等からなる電解液中で、陰極電解処理を行い、導電メッシュ層60又は銅箔にカチオン性粒子を付着させる方法である。この方法によれば、カチオン性粒子の付着で黒色と同時に粗面も得られる。カチオン性粒子としては、銅粒子、銅と他の金属との合金粒子を用いることができる。カチオン性粒子は、好ましくは銅−コバルト合金の粒子である。カチオン性粒子の平均1次粒径は、黒濃度の観点から、0.1〜1μmが好ましい。
その他、黒化材料として、ニッケル−亜鉛合金、硫化ニッケル、これらの複合体及び酸化銅も好適に使用できる。
【0037】
第一黒化層の厚さは、通常0.01〜1μm程度であるが、0.1〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.2μmがより好ましい。
【0038】
(欠損部)
後述するように第二の黒化材料で被覆(黒化処理)を行う前の電磁波遮蔽シート中間製品には、導電性メッシュ層60の透明基材10とは反対側の面を被覆している第一黒化層70には、その一部に欠損部が存在する。当該欠損部が第二の黒化材料80で被覆されることにより、図1に示した電磁波遮蔽シート1となる。
このような欠損部は、第一黒化層70が欠けて第二の黒化材料80がなければ導電性メッシュ層60が露出してしまうもの(図9の欠損部190を参照)の他、第一黒化層70で被覆されているがその厚さが薄く、第二の黒化材料80がなければ導電性メッシュ層60が透けて見えてしまうもの(図9の欠損部191を参照)も含む。
本発明に係る電磁波遮蔽シートでは、当該欠損部を後述する第二の黒化材料80で被覆しているため、欠損部によるスジやスポット等の欠陥が視認されず、画像表示装置の表示面に配置しても外観を損ねない。
【0039】
第一黒化層70が幅0.05〜2mmで欠けて下地の導電性メッシュ層60が露出している線状の部分又は外接円の直径が0.05〜2mmで欠けて下地の導電性メッシュ層60が露出している円状又は不定形状の部分は、欠損部として視認されてしまうおそれがある。
また、第一黒化層70の厚さが0.1μmよりも薄い場合は、下地の導電性メッシュ層60が目立ち、欠損部として視認されてしまうおそれがある。
【0040】
(第二の黒化材料)
第二の黒化材料80は、導電性メッシュ層60の少なくとも上面の第一黒化層70の欠損部を被覆し、欠損部によるスジやスポット等の欠陥が視認されないようにする働きを有する。
第二の黒化材料は、欠損部を被覆してスジやスポット等の欠陥が視認されない黒化材料であれば良く、上記第一の黒化材料を用いることができる。
第一の黒化材料と第二の黒化材料は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
第二の黒化材料は、少なくとも上記欠損部を被覆するため、当該欠損部の形状に合わせて、層状に形成されていても良いし、スジ状又はスポット状に形成されていても良い。
なお、第一の黒化材料と第二の黒化材料が同一の材料の場合、第一黒化層70の欠損部100を被覆している第二の黒化材料は、例えば、結晶の粒径、結晶の面指数(原子配列方向)等の相違によって見分けることができる。また、第一の黒化材料と第二の黒化材料が異なる場合、第一黒化層70の欠損部100を被覆している第二の黒化材料は、例えば、X線蛍光分析法、電子線衝突による2次イオン(原子)質量分析法等の元素分析によって見分けることができる。
【0041】
図5は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの層構成の別の一例を模式的に示した断面図である。
本発明に係る電磁波遮蔽シートでは、図5に示したように、前記第一黒化層70は、前記導電性メッシュ層60の透明基材10とは反対側の面だけに存在しており、前記導電性メッシュ層60の側面及び前記第一黒化層70の側面並びに前記第一黒化層70の導電性メッシュ層60とは反対側の面が、前記第二の黒化材料80からなる第二黒化層で被覆されている態様であっても良い。
このように被覆されていることにより、電磁波遮蔽シート1を画像表示装置に用いた際に、表示画像のコントラストをさらに高めることができる。
【0042】
本発明に係る電磁波遮蔽シートでは、前記第一の黒化材料が銅原子を含有し、前記第二の黒化材料がテルル原子を含有する態様であっても良い。このような電磁波遮蔽シートは効率良く生産でき、生産コストを低減できる。
このような態様とするには、例えば、第一黒化層70を第一の黒化材料として、銅、銅合金、銅の酸化物又は銅硫化物等の銅系材料を用いて形成し、第二の黒化層を第二の黒化材料として、特許文献2に記載のようなテルル原子を含む材料を用いれば良い。
上記態様の場合、第二の黒化材料は、欠損部による欠陥をなくすことができ、かつ、テルル原子を含有すれば良く、塩化テルル(TeCl)であっても良いし、それ他のテルル化合物であっても良い。
【0043】
(電磁波遮蔽シートのその他の層)
本発明に係る電磁波遮蔽シートは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて、従来公知の透明接着剤層、導電処理層及び防錆層等のその他の層を有していても良い。
以下、これらのその他の層を説明する。
【0044】
(透明接着剤層)
透明接着剤層は、透明基材10の一面側に必要に応じて設けられ、透明基材10と導電性メッシュ層60等とを接着する働きを有する。
図6は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。
図6の電磁波遮蔽シート1は、透明基材10の一面側に、透明接着剤層90を介して、図1と同様の導電性メッシュ層60及び第一黒化層70を有し、さらに導電性メッシュ層60の上面の第一黒化層70が欠損した部位が第二の黒化材料80で被覆されている。
【0045】
透明接着剤層90の材料は、通常、透明接着剤層90が図6に示したように透明基材10の一面側に設けられるため、透明性(光透過性)と接着性を有すれば良く、上記フォトリソグラフィー法を用いる場合は、後述するエッチング液に対する耐性(耐エッチング性)も有すれば良い。
このような材料としては、従来公知の電磁波遮蔽シート又は電磁波シールド材に用いられている透明接着剤層又は接着剤層の材料を用いることができる。例えば、特許文献2に記載のウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール単独若しくはその部分ケン化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂等を好ましく用いることができる。
透明接着剤層90の材料は、紫外線硬化性でも良いし、熱硬化性でも良い。
透明接着剤層90の材料は、透明基材10との密着性の観点からアクリル樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。
透明接着剤層90の材料には、従来公知の近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素、調色色素、紫外線吸収剤又は酸化防止剤等が含まれていても良い。
透明接着剤層90の厚さは、透明基材10と導電性メッシュ層60との十分な接着性を得る観点及びエッチング法を用いる場合は透明基材10をエッチング液から十分に保護する観点から、1〜50μmが好ましく、5〜20μmが好ましい。
【0046】
(導電処理層)
導電処理層は、透明基材10の一面側に後述するメッシュパターンを有しない銅箔等の導電性層(金属層)を電解メッキ法で形成する場合に用いる導電性を有する層である。
導電性を有する材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル若しくはクロム等の金属又はこれらの金属の合金又は酸化スズ、ITO(酸化インジウムスズ)若しくはATO(酸化アンチモンスズ)等の透明な金属酸化物を用いることができる。
導電処理層を形成する方法は、例えば、公知の真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法を用いることができる。
導電処理層の厚さは、適宜調節すれば良く、特に限定されないが、0.001〜1μmであれば電解メッキ法に必要な導電性が得られやすい。
【0047】
(防錆層)
防錆層は、必要に応じて設けられる層であって、導電性メッシュ層60の材料が銅等の錆び得る金属からなり、電磁波遮蔽シートの製造時、取扱い時に当該導電性メッシュ層60の側面等が錆びて変質し電磁波遮蔽性が低下することを防ぐ働きを有する層である。
防錆層は、第一黒化層70及び第二の黒化材料80を被覆しても良い。第一黒化層70や第二の黒化材料80が上記カチオン性粒子等の粒子からなる場合、防錆層によって当該粒子の脱落や変形を防止することもできる。
防錆層は、当該防錆層で被覆する導電性メッシュ層60よりも錆びにくいものであれば、例えば、クロム、亜鉛、ニッケル、スズ等の金属、合金、金属酸化物等の無機材料、樹脂等の有機材料又はこれらの組み合わせであっても良い。
防錆層は、公知のメッキ法で形成すれば良い。例えば、特許文献2に記載の被覆対象を亜鉛メッキした後、クロメート処理する方法が、防錆効果及び密着性の観点から好ましい。
【0048】
(電磁波遮蔽シートの製造方法)
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法は、(i)透明基材の一面側に、開口部を有するメッシュパターン部及び開口部を有しない周縁部を含む導電性メッシュ層が設けられ、かつ、当該導電性メッシュ層の少なくとも透明基材とは反対側の面が第一の黒化材料からなる第一黒化層で被覆され、当該第一黒化層の一部には欠損した部位が存在する電磁波遮蔽シート中間製品を準備する工程、及び、(ii)前記第一黒化層の欠損した部位を、第二の黒化材料で被覆する工程、を有することを特徴とする。
【0049】
図7は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法のフローの一例を示した模式図である。
まず、図7の(a)に示すように、第一黒化層70に、当該第一黒化層70が欠けた又は薄い欠損した部位(欠損部)100が存在する電磁波遮蔽シート中間製品2を準備する。
次いで、図7の(b)に示すように、当該第一黒化層70の欠損部100を第二の黒化材料80で被覆する。
【0050】
図8に示したような黒化層180に欠損部がない電磁波遮蔽シートを製造する際の製造時の取扱い又は製造した場合でも、搬送時の取扱い等で、図7の(a)に示したような第一黒化層70に欠損部100が生じてしまうことがある。このような欠損部100を有する電磁波遮蔽シート中間製品2は、仮にメッシュパターン部40には全く欠損部100がない場合(その場合は、性能上は本来、良品となる。)であっても、不良品と判断されることがあり、当該電磁波遮蔽シート中間製品2を廃棄すると歩留まりが悪い。
これに対して、本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法によれば、第一黒化層70の欠損部100を、さらに第二の黒化材料80で被覆するため、第一黒化層70の欠損部100が修復され、欠損部100によるスジ等の欠陥のない電磁波遮蔽シート1を得ることができる。そのため、本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法によれば、本来、廃棄すべき電磁波遮蔽シート中間製品2を製品化できるため、歩留まりを高めることができる。
以下、本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法の工程を説明する。
【0051】
(i工程)
(i)工程では、図7の(a)に示したように、透明基材10の一面側に、開口部30を有するメッシュパターン部40及び開口部30を有しない周縁部50を含む導電性メッシュ層60が設けられ、かつ、当該導電性メッシュ層60の少なくとも透明基材10とは反対側の面が第一の黒化材料からなる第一黒化層70で被覆され、当該第一黒化層70の一部には欠損した部位(欠損部)100が存在する電磁波遮蔽シート中間製品2を準備する。
電磁波遮蔽シート中間製品2は、上述したように、図8に示す電磁波遮蔽シート110の製造時、搬送時の取り扱いで黒化層180(第一黒化層70)に本来、意図しない欠損部が生じたものを準備する。
【0052】
図8に示す電磁波遮蔽シート110を製造する方法は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、特許文献2に記載の(1)〜(5)の方法を用いることができる。
【0053】
特許文献2に記載の(3)の方法において使用する銅箔は、必要に応じて、予め表示装置側の面に黒化層が公知の方法により形成されたものであっても良い。また、当該銅箔の両面に対して、亜鉛めっき後、公知のクロメート処理を行い、防錆層を形成する方法等、公知の方法により上記防錆層を形成しても良い。
また、特許文献2に記載の(1)、(2)、(4)の方法において、透明基材上に導電性メッシュ層となる銅箔を積層する工程の前に、必要に応じて、透明基材上に蒸着等により導電処理層を積層し、公知のメッキ法を用いてニッケル、亜鉛、及び/又は銅の酸化物からなる防錆層を積層しても良く、さらに黒化層を任意の黒化処理方法により積層しても良い。
【0054】
以下、特許文献2に記載の(2)〜(5)の方法において、透明基材上の全面に積層されたメッシュパターンを有しない導電性を有する層(以下、単に「導電性層」という。)からフォトリソグラフィー法によりメッシュパターンを形成し、導電性メッシュ層60とする工程について説明する。
【0055】
まず、透明基材10上の導電性層、例えば、透明基材10上の銅箔面へ、ポジ型又はネガ型のレジストを塗布し、露光し、現像によりそのレジスト膜を所望のメッシュ形状(パターン)とし、当該残存したレジスト膜で覆われていない部分の導電性層をエッチングにより除去した後に、レジスト膜を除去することで、導電性メッシュ層60を得る。
なお、その際、導電性層以外に、第一黒化層70等のその他の層も積層されている場合は、メッシュパターン部40を形成する領域においては、当該その他の層も導電性層と共にエッチングで除去する。
【0056】
上記フォトリソグラフィー法においては、銅箔等の導電性層の表面へポジ型又はネガ型のレジストを塗布し、乾燥した後に、所望のメッシュパターンを形成するためのフォトマスクを用いて露光し、水現像し、ベーキングする。ポジ型のレジストを用いる場合は、フォトマスクの開口部30に相当する部分が透明の(露光光を透過する)ものを用いる。一方、ネガ型のレジストを用いる場合は、フォトマスクのメッシュパターン20に相当する部分が透明の(露光光を透過する)ものを用いる。
【0057】
ロール・ツー・ロール加工でレジストを塗布する場合は、長尺帯状の(透明基材10/導電性層)又は(透明基材10/導電性層/第一黒化層70)の積層体を、連続又は間欠で搬送しながら、最表面の導電性層又は第一黒化層70へ、カゼイン、PVA(ポリビニルアルコール)、ゼラチン等のレジストをディッピング(浸漬)、カーテンコート、掛け流し等の方法で塗布する。
また、レジストは塗布ではなく、ドライフィルムレジストを用いても良い。この場合、作業性が向上できる。
ベーキングは適宜の温度で行えば良いが、カゼインレジストの場合、通常、200〜300℃で行う。
【0058】
上記ベーキングに続いて、エッチングを行う。エッチングに用いるエッチング液としては、塩化第二鉄又は塩化第二銅の水溶液が好ましい。エッチング後は、水洗、アルカリ液によるレジスト剥離、洗浄を行ってから乾燥すれば良い。このようにして、開口部30が形成され、透明基材10が露出する。
上記フォトリソグラフィー工程の後に第一黒化層70を形成する場合は、従来公知のカソーディック電着メッキ法等の黒化処理を行えば良い。
【0059】
(ii工程)
(ii)工程では、図7に示したように、第一黒化層70の欠損部100を、第二の黒化材料80で被覆する。
第二の黒化材料80は、上記電磁波遮蔽シートで説明したものを用いれば良い。第一の黒化材料と第二の黒化材料は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0060】
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法の好ましい態様では、前記(i)工程において、前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面だけが前記第一黒化層で被覆された電磁波遮蔽シート中間製品を準備し、前記(ii)工程において、前記導電性メッシュ層の側面及び前記第一黒化層の側面並びに前記第一黒化層の導電性メッシュ層とは反対側の面を前記第二の黒化材料からなる第二黒化層で被覆することができる。
具体例としては、図7の(a)に示す電磁波遮蔽シート中間製品2を、後述するテルルを含む塩酸溶液で黒化処理することにより、図5に示したように、前記導電性メッシュ層60の側面及び前記第一黒化層70の側面並びに前記第一黒化層70の導電性メッシュ層60とは反対側の面を前記第二の黒化材料80からなる第二黒化層で被覆することができる。
【0061】
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法の好ましい態様では、前記(i)工程において、前記第一の黒化材料が、銅系材料であり、前記(ii)工程において、テルルの濃度(酸化物換算濃度)が0.01〜0.45質量%、かつ、塩酸濃度が0.05〜8質量%である塩酸溶液に、前記電磁波遮蔽シート中間製品を浸漬させて、前記第一黒化層の欠損した部位を第二の黒化材料で被覆することが好ましい。
このように(ii)工程で、電磁波遮蔽シート中間製品2を、上記塩酸溶液に浸漬させて第一黒化層70の欠損部100を第二の黒化材料80で被覆することにより、容易に第一黒化層70の欠損部100を第二の黒化材料80で被覆することができ、生産性が良く、第二の黒化材料80の強度が高く、導電性メッシュ層−第二の黒化材料間及び導電性メッシュ層−透明基材間の密着性も高まる。また、画像表示装置の表示面に電磁波遮蔽シートを配置した際に、高い電磁波遮蔽性と反射防止性を発現する。
【0062】
上記塩酸溶液について具体的に説明する。
上記実施態様で用いる塩酸溶液は、テルルが溶解された塩酸溶液であり、このテルルの供給源として、酸化テルルを用いることが好ましい。上記実施態様でテルル供給源として使用される酸化テルルは、TeOで表すことができる。
上記塩酸溶液(100質量%)中には、テルルは、酸化物換算で、0.01〜0.45質量%の量、好ましくは0.05〜0.40質量%の量で含有されている。上記塩酸溶液は、従来の処理液よりもテルル濃度が低いため、第二の黒化材料80又は第二黒化層の堆積速度が小さくなり、薄く、導電性メッシュ層(金属箔)−第二の黒化材料又は第二黒化層間の密着性が高い第二の黒化材料又は第二黒化層を堆積させることができる。また、上記実施態様では、テルルは塩酸に溶解した状態で処理液中に存在し、大変安定性が良く、塩酸溶液を長時間放置した場合であっても配合物が析出しにくい。したがって、塩酸溶液を一液型の処理剤とすることができる。さらに、この一液型塩酸溶液は、処理金属と接触させた後も、その安定性が低下しないので、繰り返し使用することができる。
第二の黒化材料又は第二黒化層の堆積速度を適度に調整し、導電性メッシュ層(金属箔)表面に堆積する第二の黒化材料又は第二黒化層にひびが入ることを抑制し、導電性メッシュ層(金属箔)−第二の黒化材料又は第二黒化層間の密着性を高める観点から、塩酸溶液におけるテルルの含有量は0.45質量%以下が好ましい。
導電性メッシュ層(金属箔)−第二の黒化材料又は第二黒化層間の十分な密着性を得る観点から、塩酸溶液におけるテルルの含有量は0.01質量%以上が好ましい。
上記実施態様の塩酸溶液で使用される酸化テルルとしては、工業的に提供される酸化テルルを使用することができるが、酸化テルルの純度が高いものを使用することが好ましく、純度99〜100%の酸化テルルを使用することが特に好ましい。
【0063】
酸化テルルを溶解する塩酸水溶液は、通常は35%塩酸(以下、単に「塩酸」という。)に水を配合することにより調製される。この塩酸水溶液中のHCl(塩化水素)濃度は、0.05〜8質量%の範囲内にあり、好ましくは0.1〜2質量%、さらに好ましくは0.3〜1質量%である。このような濃度の塩酸水溶液を使用することにより、上記酸化テルルを十分に溶解することができる。また、処理する導電性メッシュ層60(金属箔)が透明基材10上に直接積層された場合には、透明基材−導電性メッシュ層(金属箔)間の浸食(アンダーカット)が発生することなく、十分な密着性を有する。また、上記HCl濃度の塩酸溶液を用いた黒化処理により得られる電磁波遮蔽シートは、反射防止性能に優れる。
透明基材−導電性メッシュ層(金属箔)間の密着性を高め、アンダーカットを抑制する観点から、HCl濃度は8質量%以下が好ましい。特に、処理する導電性メッシュ層60(金属箔)が透明基材10上に直接積層されている場合には、アンダーカットが発生しやすい。
また、酸化テルルを塩酸水溶液中に十分に溶解させ、導電性メッシュ層60(金属箔)表面における第二の黒化材料80又は第二黒化層の堆積速度を大きくし、処理効率を高める観点から、HCl濃度は0.05質量%以上が好ましい。
【0064】
上記塩酸溶液には、任意の有機酸又は無機酸を加えても良い。
上記塩酸溶液は、無機酸として硫酸を含有し、当該硫酸濃度が90質量%以下であることが、第二の黒化材料80又は第二黒化層の黒濃度が高い点から好ましい。
処理する導電性メッシュ層60(金属箔)が透明基材10上に直接積層されている場合に、透明基材−導電性メッシュ層(金属箔)間の密着性を高め、アンダーカットを抑制する観点から、硫酸濃度は90質量%以下が好ましい。
上記硫酸濃度は、さらに10〜45質量%、特に15〜30質量%であることが、処理時間を短くすることができ、また得られる第二の黒化材料又は第二黒化層の黒濃度に優れる点から好ましい。
【0065】
無機酸としては、上記硫酸の他、硝酸又はリン酸等を用いることができる。また、有機酸としては、酢酸、ぎ酸、プロピオン酸、しゅう酸、安息香酸等の有機カルボン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸等を用いることができる。上記塩酸溶液に塩酸及び硫酸以外の無機酸及び有機酸を含有させる場合は、必要に応じて0.01〜90質量%含有させることができる。
また、上記塩酸溶液には、テルルの溶解性を高めるためにその他の成分を加えても良い。
【0066】
上記塩酸溶液は、塩酸と水とを混合して塩酸水溶液を調製し、この塩酸水溶液に酸化テルルを配合して、酸化テルルを塩酸水溶液に十分に溶解させることにより調製することができる。
【0067】
(画像表示装置)
本発明に係る画像表示装置は、上記電磁波遮蔽シートが、画像表示装置の表示面に配置されていることを特徴とする。
このような画像表示装置においては、上記電磁波遮蔽シートが有する電磁波遮蔽性及び表面の黒濃度により、画像表示装置本体から発生する電磁波の放出が遮蔽されると共に外光反射による画面の白化と画像コントラストの低下を防止し得る。また、第一黒化層70の欠損部100が第二の黒化材料80で被覆されているため、スジ等の欠陥がなく、外観に優れる。
画像表示装置としては、従来公知の画像表示装置、例えば、CRT、PDP等を挙げることができる。
【0068】
(電磁波遮蔽シートの用途)
本発明の電磁波遮蔽シート1の用途としては、テレビジョン受像器、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器等の表示部等に用いられるPDP、CRT、LCD(液晶ディスプレイ)、電界発光(EL)ディスプレイ等の各種画像表示装置の前面に配置する電磁波遮蔽シートとして好適である。
その他、電子レンジ等の家電製品の窓、住宅、事務所、店舗、病院等の建築物の窓、扉等に貼着する電磁波遮蔽シートとしても好適である。
【実施例】
【0069】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0070】
(実施例1)
透明基材10として、連続帯状で無着色透明な2軸延伸PETフィルム(厚さ100μm)の一面側に、片面に第一の黒化材料として銅−ニッケル−クロム系合金からなる第一黒化層70を形成した厚さ10μmの電解銅箔(導電性層)を、2液硬化型ウレタン樹脂系の透明接着剤層90を介して、当該電解銅箔を、その第一黒化層70側が透明基材10と反対側を向くようにして、ドライラミネートした。
このようにして、透明基材10/透明接着剤層90/銅箔/第一黒化層70の層構成の積層体を作製した。
【0071】
次いで、上記積層体の第一黒化層70の表面全体へカゼイン系の感光性ネガ型レジストをディッピング法で塗布した。次いで、開口部30の形状が正方形でメッシュパターン20の幅21が10μm、メッシュパターン20のピッチが300μm、バイアス角度が49度のメッシュパターン部40及び当該メッシュパターン部40を外周する幅が15mmの開口部30を有しない周縁部50を形成可能なフォトマスクを用いて、水銀灯からの紫外線を照射して密着露光した。
次いで、密着露光した後の積層体を水現像し、硬膜処理し、さらに100℃でベーキングした。
次いで、エッチング液として50℃、42゜ボーメの塩化第二鉄溶液をスプレー法で吹きかけてエッチングし、開口部30を形成した。
次いで、水洗し、レジストを剥離し、洗浄し、さらに60℃で乾燥して、メッシュパターン部40を形成し、透明基材10/透明接着剤層90/導電性メッシュ層60/第一黒化層70の層構成の電磁波遮蔽シート中間製品2を得た。
【0072】
上記電磁波遮蔽シート中間製品2では、上記レジストを剥離する工程以降において当該中間製品2をガイドローラ上を経由して搬送する際に、第一黒化層70とガイドローラとの接触により、導電性メッシュ層60の透明基材10とは反対側の面に形成された第一黒化層70の一部に欠け(欠損部100)が生じ、下地の導電性メッシュ層60(銅箔)が露出していた。
次いで、塩酸溶液(黒化処理液)として、二酸化テルル0.25質量%(テルル濃度として0.2質量%)、塩酸0.45質量%、硫酸20質量%の水溶液を用い、当該塩酸溶液に上記電磁波遮蔽シート中間製品2を処理温度25℃条件下、30秒間浸漬し、銅が露出している欠損部100を塩化テルル(TeCl)を含む第二の黒化材料80で被覆し、図5に示すような導電性メッシュ層60の側面及び第一黒化層70の側面並びに第一黒化層70の導電性メッシュ層60とは反対側の面が、第二の黒化材料80からなる第二黒化層で被覆した。
その後、水洗、乾燥工程を経て実施例1の電磁波遮蔽シートを得た。
【0073】
(比較例1)
実施例1において、第一黒化層の欠損部100を第二の黒化材料80で被覆する工程を行わなずに、電磁波遮蔽シート中間製品2を得た。
【0074】
上記実施例1の電磁波遮蔽シート及び比較例1の電磁波遮蔽シート中間製品に対して、以下の点を評価した。
【0075】
(1)外観評価
上述したように、比較例1の電磁波遮蔽シート中間製品は、第一黒化層70に欠け(欠損部100)が生じ、導電性メッシュ層60が露出し、外観がスジ状の欠陥が確認された。
実施例1の電磁波遮蔽シートは、電磁波遮蔽シート中間製品の時点で存在していた欠損部100が第二の黒化材料で被覆され、スジ上の欠陥は確認されなかった。
【0076】
(2)密着性評価
実施例1の電磁波遮蔽シートの周縁部50の第二黒化層及び比較例1の電磁波遮蔽シート中間製品の周縁部50の第一黒化層70を形成した面に、カッターナイフにて、碁盤目状(縦10×横10の計100個の桝目からなり、1枡の寸法は縦1mm×横1mm)の傷を導電性メッシュ層60の途中にまで達する傷を付けた。その傷全面の上に、セロハン粘着テープ(ニチバン(株)製の商品名「セロテープ」(登録商標)、幅24mm)を貼り付けた後、セロハン粘着テープを剥離した。セロハン粘着テープ側に付着移行した黒化層の桝目数が0の場合を合格、1以上の場合を不合格とした。
実施例1の電磁波遮蔽シートは、密着性は合格であった。
一方、比較例1の電磁波遮蔽シート中間製品の密着性は、不合格であった。
【符号の説明】
【0077】
1 電磁波遮蔽シート
2 電磁波遮蔽シート中間製品
10 透明基材
20 メッシュパターン
21 メッシュパターンの幅
30 開口部
31 開口部の幅
40 メッシュパターン部
50 周縁部
60 導電性メッシュ層
70 第一黒化層
80 第二の黒化材料
90 透明接着剤層
100 欠損部
110 欠損部がない一般的な電磁波遮蔽シート
111 欠損部がある一般的な電磁波遮蔽シート
120 透明基材
130 メッシュパターン
140 開口部
150 メッシュパターン部
160 周縁部
170 導電性メッシュ層
180 黒化層
190、191 欠損部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の一面側に、開口部を有するメッシュパターン部及び開口部を有しない周縁部を含む導電性メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートであって、
前記導電性メッシュ層の少なくとも透明基材とは反対側の面が第一の黒化材料からなる第一黒化層で被覆され、かつ、
前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面の前記第一黒化層が欠損した部位が、第二の黒化材料で被覆されていることを特徴とする、電磁波遮蔽シート。
【請求項2】
前記第一黒化層は、前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面だけに存在しており、
前記導電性メッシュ層の側面及び前記第一黒化層の側面並びに前記第一黒化層の導電性メッシュ層とは反対側の面が、前記第二の黒化材料からなる第二黒化層で被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載の電磁波遮蔽シート。
【請求項3】
前記第一の黒化材料が銅原子を含有し、前記第二の黒化材料がテルル原子を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽シート。
【請求項4】
(i)透明基材の一面側に、開口部を有するメッシュパターン部及び開口部を有しない周縁部を含む導電性メッシュ層が設けられ、かつ、当該導電性メッシュ層の少なくとも透明基材とは反対側の面が第一の黒化材料からなる第一黒化層で被覆され、当該第一黒化層の一部には欠損した部位が存在する電磁波遮蔽シート中間製品を準備する工程、及び、
(ii)前記第一黒化層の欠損した部位を、第二の黒化材料で被覆する工程、
を有することを特徴とする、電磁波遮蔽シートの製造方法。
【請求項5】
前記(i)工程において、前記導電性メッシュ層の透明基材とは反対側の面だけが前記第一黒化層で被覆された電磁波遮蔽シート中間製品を準備し、
前記(ii)工程において、前記導電性メッシュ層の側面及び前記第一黒化層の側面並びに前記第一黒化層の導電性メッシュ層とは反対側の面を前記第二の黒化材料からなる第二黒化層で被覆することを特徴とする、請求項4に記載の電磁波遮蔽シートの製造方法。
【請求項6】
前記(i)工程において、前記第一の黒化材料が、銅系材料であり、
前記(ii)工程において、テルルの濃度(酸化物換算濃度)が0.01〜0.45質量%、かつ、塩酸濃度が0.05〜8質量%である塩酸溶液に、前記電磁波遮蔽シート中間製品を浸漬させて、前記第一黒化層の欠損した部位を第二の黒化材料で被覆することを特徴とする、請求項4又は5に記載の電磁波遮蔽シートの製造方法。
【請求項7】
前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽シートが、画像表示装置の表示面に配置されていることを特徴とする、画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−64846(P2012−64846A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209122(P2010−209122)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】