説明

電線ストリップ処理動作不具合検出装置、電線ストリップ処理動作不具合検出方法及び電線ストリップ処理動作不具合検出プログラム

【課題】電線ストリップ処理動作中の不具合を検出できるようにすること。
【解決手段】刃駆動部により駆動されるストリップ刃を用いて電線の被覆をストリップする際に、前記ストリップ刃の動作の不具合発生を検出する電線ストリップ処理動作不具合検出装置である。電線ストリップ処理動作不具合検出装置は、前記刃駆動部及び前記ストリップ刃の少なくとも一方の振動を検知する振動検知部と、前記振動検知部より入力される振動検知信号に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定する不具合判定処理部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線の被覆をストリップする際の処理動作中の不具合を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線端部の被覆をストリップする技術として、特許文献1及び2に開示のものがある。特許文献1及び2には、ストリップ刃を電線の絶縁被覆に切込ませた後、電線をその軸線方向に移動させることで、絶縁被覆を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−326286号公報
【特許文献2】特開2009−44885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなストリップ装置では、ある程度使用すると、ストリップ刃の取付位置ずれ、駆動系のグリス切れ等の不具合が生じ得る。ストリップ刃の取付位置がずれ、ストリップ刃同士が接触してしまうと、刃先が劣化する等の問題が生じる。また、グリス切れが生じると、駆動系の寿命が短くなるという問題が生じる。
【0005】
従来では、定期的な目視検査等にて上記不具合が確認されていた。あるいは、そのような定期的な目視検査等が行われない場合には、不具合に気付かずに装置の使用が続けられていた。
【0006】
そこで、この発明は、電線ストリップ処理動作中の不具合を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様は、刃駆動部により駆動されるストリップ刃を用いて電線の被覆をストリップする際に、前記ストリップ刃の動作の不具合発生を検出する電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、前記刃駆動部及び前記ストリップ刃の少なくとも一方の振動を検知する振動検知部と、前記振動検知部より入力される振動検知信号に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定する不具合判定処理部とを備える。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、前記振動検知部は、100kHz〜300kHzの範囲内の共振周波数を持つ共振型AEセンサとされている。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、前記不具合判定処理部は、前記振動検知信号が表す振動エネルギー量の大きさに基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定する。
【0010】
第4の態様は、第3の態様に係る電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、前記不具合判定処理部は、前記振動検知信号が表す振動エネルギー量に基づいて不具合発生期間を特定し、前記不具合発生期間の発生状況に基づいて発生した不具合を特定する。
【0011】
第5の態様は、第4の態様に係る電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、前記不具合判定処理部は、前記不具合発生期間が連続して生じるときに、ストリップ刃の動作に不具合が発生していると判定する。
【0012】
第6の態様は、第4又は第5の態様に係る電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、前記不具合判定処理部は、前記不具合発生期間が周期的に生じるときに、前記刃駆動部のうち回転系機構に不具合が発生していると判定する。
【0013】
第7の態様は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係る電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、電線の被覆に切込み可能な一対のストリップ刃と、前記一対のストリップ刃を接近及び離隔移動させる刃駆動部とをさらに備える。
【0014】
第8の態様は、第7の態様に係る電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、前記振動検知部が前記一対のストリップ刃の少なくとも一方に接触するように設けられている。
【0015】
第9の態様は、刃駆動部により駆動されるストリップ刃を用いて電線の被覆をストリップする際に、前記ストリップ刃の動作の不具合発生を検出する電線ストリップ処理動作不具合検出方法であって、(a)ストリップ刃を電線に切込ませる処理を行うステップと、(b)前記工程(a)において、前記刃駆動部及び前記ストリップ刃の少なくとも一方の振動を検知するステップと、(c)前記振動検知部より入力される振動検知信号に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定するステップとを備える。
【0016】
第10の態様は、刃駆動部により駆動されるストリップ刃を用いて電線の被覆をストリップする際に、前記刃駆動部及び前記ストリップ刃の少なくとも一方の振動を検知し、この振動検知信号に基づいて前記ストリップ刃の動作の不具合発生を検出するための電線ストリップ処理動作不具合検出プログラムであって、コンピュータに、(A)前記振動検知信号を不具合発生基準と比較するステップと、(B)前記工程(A)における比較結果に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定するステップとを実現させるための電線ストリップ処理動作不具合検出プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
第1〜第10の態様によると、電線ストリップ処理動作中の不具合によって、前記刃駆動部或は前記ストリップ刃が振動すると、その振動が振動検知部によって検出される。そして、その振動検知部より入力される振動検知信号に基づいて電線ストリップ処理動作の不具合の発生が判定される。このため、電線ストリップ処理動作中の不具合を検出できる。
【0018】
また、通常、ストリップ処理動作中の不具合は、駆動要素同士或はストリップ刃同士の擦れ合い等、金属部品同士の擦れ合いとして観察される。また、通常、金属同士の接触によって生ずる振動の周波数は、100kHz〜300kHzの範囲内で観測され易い。そこで、第2の態様のように、振動検知部として、100kHz〜300kHzの範囲内の共振周波数を持つ共振型AEセンサを用いることで、ストリップ処理動作中の不具合をより確実に検出できる。
【0019】
また、ストリップ処理動作中の不具合により、金属部品同士の擦れ合いと、振動検知信号が表す振動エネルギー量が大きくなる。そこで、第3の態様のように、前記振動検知信号が表す振動エネルギー量の大きさに基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定することにより、ストリップ処理動作中の不具合をより確実に検出できる。
【0020】
また、不具合発生箇所によって、不具合発生期間の発生状況が異なる。そこで、第4の態様のように、前記不具合発生期間の発生状況に基づいて発生した不具合を特定することができる。
【0021】
より具体的には、第5の態様のように、前記不具合発生期間が連続して生じるときに、ストリップ刃の動作に不具合が発生していると判定できる。
【0022】
または、第6の態様のように、不具合発生期間が周期的に生じるときに、前記刃駆動部のうち回転系機構に不具合が発生していると判定することができる。
【0023】
また、第7の態様によると、電線ストリップ処理動作の不具合を検出しつつ、電線の被覆をストリップすることができる。
【0024】
第8の態様によると、ストリップ刃と芯線との接触をも容易かつ確実に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】電線ストリップ処理装置を示す概略側面図である。
【図2】ストリップ刃と電線とを示す説明図である。
【図3】ストリップ刃が電線に切込んだ状態を示す説明図である。
【図4】不具合判定処理部のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図5】不具合判定処理部の機能ブロック図である。
【図6】不具合判定処理を示すフローチャートである。
【図7】不具合不発生状態における振幅波形例を示す図である。
【図8】不具合不発生状態における振動エネルギー量の分布を時間順に示す図である。
【図9】ストリップ刃同士の接触状態における振幅波形例を示す図である。
【図10】ストリップ刃同士の接触状態における振動エネルギー量の分布を時間順に示す図である。
【図11】刃駆動部のグリス切れが生じている状態における振幅波形例を示す図である。
【図12】刃駆動部のグリス切れが生じている状態における振動エネルギー量の分布を時間順に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態に係る電線ストリップ処理動作不具合検出装置について説明する。
【0027】
図1は電線ストリップ処理動作不具合検出装置が適用された電線ストリップ処理装置10を示す概略側面図である。この電線ストリップ処理装置10は、電線ストリップユニット12と電線ストリップ処理動作不具合検出装置40とを備えている。
【0028】
電線ストリップユニット12は、電線Wの端部の被覆Wbを皮剥ぎするための装置であり、一対のストリップ刃14A,14Bと、刃駆動部16と、電線保持部20と、被覆除去駆動部22とを備えている。
【0029】
一対のストリップ刃14A,14Bは、電線Wの被覆Wbに切込み可能な刃形状に形成されている。被覆Wbにはポリ塩化ビニル製などの絶縁樹脂部材が用いられる。ここでは、一対のストリップ刃14A,14Bの先端部が略V字状に凹むV字刃形状に形成されている(図2参照)。そして、そのV字刃形状部分が電線Wの被覆Wbに切込み可能に形成されている(図3参照)。なお、ストリップ刃14A,14Bの形状は上記例に限られず、例えば、略円弧状凹刃形状であってもよい。
【0030】
刃駆動部16は、一対のストリップ刃14A,14Bを接近及び離隔移動可能に構成されている。ここでは、刃駆動部16は、一対の刃支持部17A,17Bと、刃支持部17A,17Bを移動可能に支持するねじ部18と、ねじ部18を回転させるモータ19とを有している。
【0031】
ねじ部18は、所定方向(ここでは上下方向)に沿って配設されており、その中心軸周りに回転自在に支持されている。ねじ部18の一端側部分18aには、所定の螺旋方向に沿ったネジ溝が形成され、ねじ部18の他端側部分18bには、逆の螺旋方向に沿ったネジ溝が形成されている。
【0032】
モータ19は、サーボモータ等の回転量の駆動制御が可能なモータによって構成されており、その回転駆動力をねじ部18に伝達可能な態様で配設されている。ここでは、モータ19の駆動軸部がねじ部18に直接的に連結されている。そして、モータ19の回転駆動に応じて、ねじ部18が正逆両方向に回転可能に構成されている。
【0033】
一対の刃支持部17A,17Bは、長尺状部材に形成されており、それぞれの先端部にストリップ刃14A,14Bが固定支持されている。また、一方の刃支持部17Aの基端部には、ねじ部18の一端側部分18aと螺合可能な螺合部17Aaが形成されており、他方の刃支持部17Bの基端部には、ねじ部18の他端側部分18bと螺合可能な螺合部17Baが形成されている。
【0034】
そして、一対のストリップ刃14A,14Bの先端部を対向させる姿勢で、一方の刃支持部17Aの螺合部17Aaがねじ部18の一端側部分18aに螺合されると共に、他方の刃支持部17Bの螺合部17Baがねじ部18の他端側部分18bに螺合されている。この状態で、モータ19を正方向或は逆方向に回転制御することで、一対のストリップ刃14A,14Bを接近移動或は離隔移動させることができる構成となっている。
【0035】
上記刃駆動部16のうちモータ19、ねじ部18及び当該ねじ部18に螺合する刃支持部17A,17Bの基端部が、回転動作を利用してストリップ刃14A,14Bを駆動する回転系機構ということになる。
【0036】
もっとも、刃駆動部としては上記構成に限られず、エアシリンダ、油圧シリンダ、リニアモータ等で駆動する構成であってもよく、また、一対のストリップ刃14A,14Bをそれぞれ別々に駆動する構成であってもよい。
【0037】
電線保持部20は、電線Wの端部を一対のストリップ刃14A,14B間に配設した姿勢で、当該電線Wを保持可能に構成されている。このような電線保持部20としては、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ等のアクチュエータの駆動により一対の把持爪を開閉駆動する周知のチャック機構等を採用することができ、要するに、電線を保持可能な構成を採用することができる。
【0038】
被覆除去駆動部22は、一対のストリップ刃14A,14Bと上記電線保持部20とを離間方向に移動させることで電線Wの端部の被覆Wbを除去する運動を付与する機構として構成されている。ここでは、被覆除去駆動部22は、エアシリンダ、油圧シリンダ等のアクチュエータ等により構成されており、上記電線保持部20を、一対のストリップ刃14A,14Bから離間させる方向に移動させるように構成されている。
【0039】
この電線ストリップユニット12は、ストリップ処理制御部28の制御下、次のようにして電線Wの端部の被覆Wbをストリップする。
【0040】
すなわち、一対のストリップ刃14A,14Bを離間移動させた状態で、一対のストリップ刃14A,14B間に電線Wの端部を配設するようにして、電線Wを電線保持部20で保持する(図2参照)。この状態で、刃駆動部16の駆動により一対のストリップ刃14A,14Bを接近移動させる。すると、一対のストリップ刃14A,14BのV字刃形状部分に囲まれた領域に芯線Waを配設した状態で、V字刃形状部分が被覆Wbに切込んでいく(図3参照)。このように、V字刃形状部分を被覆Wbに切込ませた状態で、被覆除去駆動部22の駆動により一対のストリップ刃14A,14Bと電線保持部20とを離間方向に移動させると、被覆WbのうちV字刃形状部分より先端側の部分が、電線保持部20で保持された電線W部分から除去され、電線Wの端部に芯線Waが露出するようになる。なお、上記動作は、ストリップ処理制御部28から電線ストリップユニット12に与えられる動作信号に基づいて行われる。この動作信号には、一対のストリップ刃14A,14Bの動作制御に係る指令、例えば、一対のストリップ刃14A,14Bの駆動開始指令、一対のストリップ刃14A,14Bを被覆Wbに切込ませた状態で停止させるべき位置に応じた目標位置指令等が含まれている。この動作信号は、一対のストリップ刃14A,14Bの動作タイミングを表す信号として後述する不具合判定処理部50にも入力される。
【0041】
ここで、刃駆動部16の駆動によって駆動される一対のストリップ刃14A,14Bによって電線Wの被覆Wbをストリップする際には、ストリップ刃の動作の不具合として次の2つの不具合が想定される。
【0042】
一つ目の不具合は、ストリップ刃14A,14B同士の接触による不具合である。すなわち、通常、ストリップ刃14A,14Bは、刃支持部17A,17Bに対してねじ止等により交換可能に取付けられている。このため、ストリップ作業中にストリップ刃14A,14Bの取付位置がずれてしまい、ストリップ刃14A,14B同士が接触してしまう恐れがある。そして、ストリップ刃14A,14Bの刃先同士が擦れ合った状況でストリップ処理を繰返すと、ストリップ刃14A,14Bが劣化し易くなる。
【0043】
二つ目の不具合は、グリスの不足による不具合である。すなわち、上記刃駆動部16では、ねじ部18が回転可能に支持され、また、このねじ部18が刃支持部17A,17Bに螺合しており、それらの擦れ合い部分にグリスが塗布されている。ところが、ストリップ作業を継続すると、グリスの飛散、蒸発等によって、グリス不足が生じる恐れがある。そして、グリス不足が生じると、刃駆動部16の各部が摩耗し、寿命が短くなるという問題が生じる。
【0044】
電線ストリップ処理動作不具合検出装置40は、上記のように電線Wの被覆Wbをストリップする際に、ストリップ刃14A,14Bの動作の不具合発生を検出する装置として構成されている。
【0045】
すなわち、電線ストリップ処理動作不具合検出装置40は、振動検知部42と、不具合判定処理部50とを備えている。
【0046】
振動検知部42は、刃駆動部16及びストリップ刃14A,14Bの少なくとも一方の振動を検知可能に構成されている。
【0047】
なお、上記のようなストリップ処理動作中の不具合は、ねじ部18とその支持部分、ねじ部18と刃支持部17A,17B、或は、ストリップ刃14A,14B同士等の擦れ合いとして観察される。そこで、振動検知部42としては、ねじ部18とその支持部分、ねじ部18と刃支持部17A,17B、或は、ストリップ刃14A,14B同士等の擦れ合いによって観察される振動を検知可能であればよい。
【0048】
もっとも、通常、ねじ部18とその支持部分、ねじ部18と刃支持部17A,17B、或は、ストリップ刃14A,14Bは、金属部品である。そして、通常、金属同士の接触、破壊等によって生ずるAE(Acoustic Emission)波は、100kHz〜300kHzの範囲内で減衰が少なく観測し易い。このため、振動検知部42は、100kHz〜300kHzの範囲に対して部分的に或は全体的に重複する周波数域の振動を検知可能であることが好ましい。より好ましくは、振動検知部42は、100kHz〜300kHzの範囲で感度よく振動を検知できることが好ましく、より具体的には、振動検知部42は100kHz〜300kHzの範囲内の共振周波数を持つ共振型AEセンサであることが好ましい。さらに好ましくは、200kHzの共振周波数を持つ共振型AEセンサであることが好ましい。
【0049】
また、ここでは、振動検知部42は、ストリップ刃14Aに接触するようにして取付固定されている。より具体的には、振動検知部42の検知面をストリップ刃14Aの一主面に接触させるようにして、振動検知部42が取付固定されている。振動検知部42の取付固定は、ネジ締め、接着等種々の取付構造により行うことができる。また、振動検知部42の取付位置は、上記ストリップ作業を妨げない位置であれば、ストリップ刃14A自体であってもストリップ刃14Aを保持する部分等であってもよい。このように、振動検知部42をストリップ刃14Aに接触させた態様で取付固定することで、ストリップ刃14A,14B同士の接触による振動を検知することができる。また、刃駆動部16の各部で生じた振動についても、刃支持部17A,17B等を介してストリップ刃14A,14Bに伝達されるため、検知することができる。
【0050】
なお、ストリップ刃14A,14Bが電線Wの被覆Wbに切込む際、ストリップ刃14A,14Bが芯線Waに接触してしまうと、その接触によってもAE波が生じる。このAE波も上記振動検知部42によって検知される。
【0051】
もっとも、振動検知部42は、刃駆動部16及びストリップ刃14A,14Bの少なくとも一方の振動を検知可能に取付けられていればよく、例えば、刃支持部17A,17B等に接触した状態で取付けられていてもよい。また、振動検知部42が一対のストリップ刃14A,14Bのそれぞれに設けられていてもよい。
【0052】
この振動検知部42からの振動検知信号は、例えば、検知された振動に応じた電圧を持つアナログ信号として不具合判定処理部50に入力される。
【0053】
図4は不具合判定処理部50のハードウエア構成を示すブロック図である。不具合判定処理部50は、上記振動検知部42から入力される振動検知信号に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定する処理を実行可能に構成されている。
【0054】
より具体的には、不具合判定処理部50は、CPU52、ROM53、RAM54、外部記憶装置55等がバスライン51を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。ROM53は基本プログラム等を格納しており、RAM54はCPU52が所定の処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置55は、フラッシュメモリ或はハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。外部記憶装置55には、後述する電線ストリップ処理動作不具合判定処理を行うための不具合検出プログラム55aが格納されている。この不具合検出プログラム55aに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU52が演算処理を行うことにより、後述するように電線ストリップ処理中の動作不具合を検出する各種機能が実現されるように構成されている。不具合検出プログラム55aは、通常、予め外部記憶装置55等のメモリに格納されて使用されるものであるが、CD−ROM或はDVD−ROM、外部のフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された形態(プロフラムプロダクト)で提供され或はネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどにより提供され、追加的又は交換的に外部記憶装置55等のメモリに格納されるものであってもよい。なお、上記不具合判定処理部50が行う一部或は全部の機能は、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
【0055】
また、外部記憶装置55には、上記不具合判定処理を行う際の基準となるエネルギー閾値としての閾値55b、連続性判定基準55c、周期性判定基準55dとが格納されている。これらの閾値55b、連続性判定基準55c及び周期性判定基準55dについては後述する。
【0056】
また、この不具合判定処理部50では、検知信号入力回路部56,出力回路部57a,入力回路部57b,入力部58,表示部59もバスライン51に接続されている。
【0057】
検知信号入力回路部56は、増幅回路、フィルタ回路、AD変換回路等を有している。そして、振動検知部42によって得られた振動検知信号がアナログ信号で入力されると、増幅回路及びフィルタ回路を経て、AD変換回路に入力されてデジタル信号に変換されるように構成されている。なお、フィルタ回路としては、例えば、金属の破壊によるAE波に応じた100kHz〜300kHzの通過領域を持つバンドパスフィルタを用いることが好ましい。この検知信号入力回路部56でデジタル信号に変換された振動検知信号は、例えば、振幅値が経時的に変化する波形データとしてRAM54或は外部記憶装置55に記憶され、後述する不具合検出処理に供される。
【0058】
出力回路部57aは、CPU52による制御下、他の機器への制御信号等を出力する出力回路である。入力回路部57bには、外部からの諸信号、ここでは、ストリップ処理制御部28からの動作信号が、本入力回路部57bを通じて入力される。
【0059】
入力部58は、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、上記閾値55b、連続性判定基準55c及び周期性判定基準55dの入力設定指示の他、不具合判定処理部50に対する諸指示を受付可能に構成されている。
【0060】
表示部59は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、CPU52による制御下、不具合の判定結果等の諸情報を表示可能に構成されている。
【0061】
図5は不具合判定処理部50の機能ブロック図である。同図に示すように、不具合判定処理部50は、比較部52aと判定部52bとしての機能を備えている。これら各機能は、上記したようにCPU52が不具合検出プログラム55aに従って所定の演算処理を行うことにより実現される。
【0062】
比較部52aは、入力された振動検知信号に基づいて、前記閾値を参照して不具合発生期間を特定する。この判定は、入力された振動検知信号のうち判定範囲となる期間を複数に分割し、その分割された期間毎になされる。そして、比較部52aは、その比較結果を判定部52bに与える。
【0063】
判定部52bは、上記比較部52aによる期間毎の判定結果に基づいて、連続性判定基準55c及び周期性判定基準55dを参照して、不具合発生期間が連続して生じているか、及び、不具合発生期間が周期的に生じているか、を判定する。そして、不具合発生期間が連続して生じていると判定されると、ストリップ刃の動作に不具合が発生しているとの判定結果を出力する。また、不具合発生期間が周期的に生じていると判定されると、刃駆動部16のうち回転系機構に不具合が発生しているとの判定結果を出力する。これらの判定結果は、電線ストリップユニット12の停止制御、表示部59への表示等に供される。
【0064】
図6は不具合判定処理部50による不具合判定処理を示すフローチャートである。
【0065】
不具合判定処理開始後、不具合判定処理部50は、ステップS1において、電線ストリップユニット12からの動作信号を元に、振動検知部42により検知された振動を表す波形データを所定の判定範囲で切出す。ここで、判定範囲は、一対のストリップ刃14A,14Bが接近移動する際の少なくとも一部の期間を含むことが好ましい。判定範囲は、より好ましくは、一対のストリップ刃14A,14Bが接近移動を開始した後から停止する前の期間として設定される。上記判定範囲は、電線ストリップユニット12によるストリップ刃14A,14Bの動作開始指令時又は動作停止指令を基準として一定期間を切出したものであってもよい。或は、ストリップ刃14A,14Bの速度情報或は位置情報がフィードバックされている場合には、当該速度情報或は位置情報に基づいて切出されてもよい。速度情報に基づいて判定範囲を切出す場合には、例えば、ストリップ刃14A,14Bが移動を開始した後、一定の速度で移動する範囲を切出すとよい。ストリップ刃14A,14Bの移動速度が一定であれば、刃駆動部16の不具合により生じる振動が一定の傾向を示すと考えられるため、不具合の種類を特定し易いと考えられるからである。
【0066】
次ステップS2では、サンプリングされた波形データに基づき、上記判定範囲を複数(予め設定された任意個数)の期間に分割し、それぞれの期間毎に、振動検知信号が表す振動エネルギー量を計算する。振動検知部42によって検知される振動のエネルギー量は、振幅波形の振幅の大きさに応じた量として表される。このため、振動エネルギー量は、各期間における上記波形データの振幅値(絶対値)の平均値、積算値、実効値(いわゆる近似的に算出された実効値であってもよいし、真の実効値であってもよい)、或は、各期間における代表値等によって表される。要するに、振動検知信号に基づいて、各期間において検知された振動エネルギーに応じた量が取得されればよい。判定範囲は、少なくとも2つに分割されていればよい。また、判定範囲は、通常、均等に複数に分割するとよいが、必ずしも均等に分割する必要はない。
【0067】
次ステップS3では、計算された振動エネルギー量の値を時系列で閾値55bと比較する。ここで、閾値55bは、ストリップ刃14A,14Bが接近移動する際に観察されるエネルギー量よりも大きな(好ましくはやや大きい程度)値であり、実験的経験的に決定され、記憶部55に予め格納されている。以下、振動エネルギー量が閾値55bを超えた期間を、不具合発生期間という場合がある。なお、閾値55bは、分割された各期間に対して一定であってもよいし、異なる値であってもよい。例えば、ストリップ刃14A,14Bの速度が変化する場合、当該速度が小さくなる期間に対しては、より小さな閾値55bが設定されていてもよい。ストリップ刃14A,14Bの速度が小さくなれば、擦れによって生じる振動エネルギー量も小さくなると考えられるからである。
【0068】
ステップS4では、振動エネルギー量が閾値55bを超えた数(カウント数)が指定数を超えたか否かを判定する。カウント数が指定数を超えていないときは、異常無しと判定する。ステップS4において、異常なしと判定された場合には、本電線ストリップ処理装置10はそのまま動作を継続すればよい。一方、ステップS4において異常有りと判定されたときには、次ステップS5に進む。
【0069】
なお、振動エネルギー量の値が閾値55bと同じである場合には、カウント数に加算してもよいし、加算しなくともよい。この指定数は、判定範囲において、振動エネルギー量の値が閾値55bを超えた期間の割合がどの程度であれば、ストリップ処理の動作不具合発生と判定するのかを示す基準値を示している。このように、振動エネルギー量が閾値55bを超えた数が指定数を超えたときに、ストリップ処理の動作不具合発生と判定することで、当該不具合以外の要因による外来的な短期間のノイズによる誤判定を排除できる。かかる指定数は、判定範囲を分割した期間の長さ、上記閾値55b等に応じて実験的経験的に決定され、記憶部55に予め格納されている。
【0070】
ステップS5では、連続性判定基準55cを参照して閾値55bを超えなくなるまで連続して超えたか否か、即ち、不具合発生期間が連続して生じているか否かを判定する。ここでの判定処理としては、例えば、時系列に従った不具合発生期間の連続数が所定の基準連続数(連続性判定基準55c)を超えたときに連続していると判定する処理(同じである場合いはいずれの判定としてもよい)を用いることができる。連続性判定基準55cとしての基準数は、実験的経験的に決定され、記憶部55に予め格納されている。そして、ステップS5において、不具合発生期間が連続して生じていると判定されたときに、ストリップ刃14A,14Bの動作不具合、より具体的には擦れ発生と判定される。この判定結果は、作業者に対してメンテナンスを促す情報として、表示部59等に表示される。一方、ステップS5において、不具合発生期間が連続していないと判定されたときは、次ステップS6に進む。
【0071】
ステップS6では、周期性判断基準55dを参照して、超えた期間が周期的に現れるか否か、即ち、不具合発生期間が周期的に生じるか否かを判定する。ここでの判定処理としては、例えば、振動エネルギー量が上記閾値55bを超える連続期間(連続期間か否かの判定についても、所定の基準数を超えるか否かによって判定するとよい)における中央の期間又はピークを示す期間を探索し、中央又はピークの各期間の間の期間数が所定の基準範囲(周期性判定基準55d)内であるときに周期的であると判定する処理(同じである場合いはいずれの判定としてもよい)等を用いることができる。なお、前記基準範囲は、ねじ部18の1回転分の周期に応じた基準範囲であり、モータ19によるねじ部18の回転速度等に応じて決定され、記憶部55に予め格納されている。この基準範囲は、ねじ部18の回転速度に応じて適宜補正等されてもよい。また、判定処理として、一つ又は一連の不具合発生期間の間の期間数が所定の基準範囲(周期性判定基準55d)内であるときに周期的であると判定する処理(同じである場合いはいずれの判定としてもよい)としてもよい。そして、ステップS6において、不具合発生期間が周期的に生じていると判定されると、刃駆動部16のうち回転系機構の動作不具合、より具体的には、回転系機構における周期的な擦れ発生の不具合と判定される。この判定結果は、作業者に対してメンテナンスを促す情報として、表示部59等に表示される。一方、ステップS6において、不具合発生期間が周期的に生じていないと判定されると、その他の異常発生と判定される。この判定結果も、作業者に対してメンテナンスを促す情報として、表示部59等に表示される。
【0072】
作業者は、上記のように不具合内容がある程度特定された情報を認識、確認して、ストリップ刃14A,14Bの取付調整、グリス補給等のメンテナンスを実施することができる。
【0073】
以上のように構成された電線ストリップ処理動作不具合検出装置、電線ストリップ処理動作不具合検出方法及び電線ストリップ処理動作不具合検出プログラムによると、電線ストリップ処理動作中の不具合によって、刃駆動部16或はストリップ刃14A,14Bが振動すると、その振動が振動検知部42によって検出される。そして、その振動検知部42より入力される振動検知信号に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合が判定される。より具体的には、何らかの擦れ等による不具合が生じると、その擦れによって振動エネルギー量が大きくなるので、その振動エネルギー量の大きさに基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合を判定している。このため、電線ストリップ処理動作の不具合が自動的に検出される。
【0074】
そして、作業者はその検出結果を受けて、電線ストリップ処理装置10のメンテナンスを行えばよい。このため、定期的なメンテナンス等を行わなくとも、適切な装置状態を維持することができる。
【0075】
しかも、不具合による擦れの状況に応じて、振動の発生状況は異なる。そこで、振動検知信号が表す振動エネルギー量に基づいて不具合発生期間を特定し、その不具合発生期間の発生状況に基づいて発生した不具合の内容を特定している。
【0076】
本実施形態では、次のようにして不具合の内容を特定している。すなわち、上記したように、大別すると、ストリップ刃14A,14B同士が接触してしまうことによる不具合と、刃駆動部16のグリスの不足による不具合とがある。
【0077】
そして、ストリップ刃14A,14B同士の接触による振動は、ストリップ刃14A,14Bが接近し両者が接触すると、その後は継続して発生する。そこで、不具合発生期間(つまり、振動エネルギー量が閾値を超える期間)が連続して生じているときに、ストリップ刃の動作に不具合が発生していると判定する。
【0078】
また、刃駆動部16のグリスの不足による不具合が生じると、ねじ部18と刃支持部17A,17Bとの螺合部分の擦れ合い等によって振動が生じる。そのような振動は、ねじ部18の回転に応じて周期的に発生する。そこで、不具合発生期間(つまり、振動エネルギー量が閾値を超える期間)が周期的に生じるときに、刃駆動部16のうち回転系機構に不具合が発生していると判定する。なお、不具合発生期間の周期は少なくとも1回あればよい。
【0079】
このように、不具合発生箇所或は原因が特定されるため、作業者は、より容易にメンテナンス作業を実施することができる。
【0080】
また、このような電線ストリップ処理動作不具合検出装置40が設けられた電線ストリップ処理装置10にあっては、電線Wの被覆Wbのストリップ処理中に、電線ストリップ処理動作の不具合を検出することができる。
【0081】
また、振動検知部42がストリップ刃14Aに接触した状態で取付けられているため、ストリップ刃14Aと芯線Waとの接触による振動も容易に検知できる。そして、ストリップ刃14A,14Bが芯線Wa近くに達すると想定される期間で、振動検知部42より出力される振動検知信号が表す振動エネルギー量が所定の閾値を超えるか等を判定することにより、ストリップ刃14Aと芯線Waとの接触による振動も容易に検知できる。
【0082】
ここで、実際の実験結果に基づき、ストリップ処理時に表れる振動の振幅波形と、期間毎に計算された振動エネルギー量の分布との関係を説明する。
【0083】
図7は不具合が発生していない状態でストリップを行った場合において、判定範囲Tにおける時間(s)と振幅(V)との関係(振幅波形)を示している。なお、図7、図9及び図11では、参考のためストリップ刃の速度変化を示している。また、判定範囲Tをストリップ刃の速度が略一定である期間とした。
【0084】
この場合、多少の振幅の変動が観測されるものの、全体的には、比較的小さい振幅波形を示している。
【0085】
図8は、上記判定範囲を20に区分して期間毎の振動エネルギー量を算出し、算出された振動エネルギー量の分布を時間順に示した図である。同図に示すように、不具合が発生していない場合には、振動エネルギー量の分布は、概ね0.5(V)以下と低い値で安定している。
【0086】
図9は、ストリップ刃同士の接触が生じている状態でストリップを行った場合において、判定範囲Tにおける時間(s)と振幅(V)との関係(振幅波形)を示している。この場合、判定範囲Tの略全体において振幅が大きくなる箇所が観測された。
【0087】
図10は、図9の振動エネルギー量の分布を時間順に示す図である。同図に示すように、振動エネルギー量が図8に示す場合よりも大きくなる期間が連続していることがわかる。従って、適切な閾値等と比較して振動エネルギー量が大きくなる不具合発生期間が、連続して生じているときに、ストリップ刃同士の接触による不具合が発生していると判定することが妥当であることが確認された。
【0088】
また、図11は、刃駆動部16のグリス切れが生じている状態でストリップを行った場合において、判定範囲Tにおける時間(s)と振幅(V)との関係(振幅波形)を示している。この場合、判定範囲Tにおいて振幅が周期的に大きくなることがわかる。
【0089】
図12は、図11の振動エネルギー量の分布を時間順に示す図である。同図に示すように、判定範囲Tにおいて、振動エネルギー量が大きくなる一連の期間が2つ存在することがわかる。従って、適切な閾値等と比較して振動エネルギー量が大きくなる不具合発生期間が、周期的に生じているときに、刃駆動部16のうち回転系機構にグリス切れ等の不具合が発生していると判定することが妥当であることが確認された。
【0090】
<変形例>
なお、上記実施形態では、3つの不具合判定、即ち、ステップS4で異常発生の有無を判定し、ステップS5で不具合発生期間が連続して生じているか否かを判定し、ステップS6で不具合発生期間が周期的に生じるか否かを判定しているが、いずれか一つ又は二つの判定を行うだけであってもよい。
【0091】
また、不具合の判定は上記例に限られない。例えば、振動検知信号の波形を所定の基準波形と比較することで、或は、当該波形を周波数解析することで、不具合の発生の有無、不具合の発生箇所、原因等を特定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 電線ストリップ処理装置
12 電線ストリップユニット
14A,14B ストリップ刃
16 刃駆動部
17A,17B 刃支持部
17Aa,17Ba 螺合部
18 ねじ部
19 モータ
40 電線ストリップ処理動作不具合検出装置
42 振動検知部
50 不具合判定処理部
52a 比較部
52b 判定部
55 外部記憶装置
55a 不具合検出プログラム
55b 閾値
55c 連続性判定基準
55d 周期性判断基準
W 電線
Wa 芯線
Wa 被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃駆動部により駆動されるストリップ刃を用いて電線の被覆をストリップする際に、前記ストリップ刃の動作の不具合発生を検出する電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、
前記刃駆動部及び前記ストリップ刃の少なくとも一方の振動を検知する振動検知部と、
前記振動検知部より入力される振動検知信号に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定する不具合判定処理部と、
を備える電線ストリップ処理動作不具合検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、
前記振動検知部は、100kHz〜300kHzの範囲内の共振周波数を持つ共振型AEセンサである、電線ストリップ処理動作不具合検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、
前記不具合判定処理部は、前記振動検知信号が表す振動エネルギー量の大きさに基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定する、電線ストリップ処理動作不具合検出装置。
【請求項4】
請求項3記載の電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、
前記不具合判定処理部は、前記振動検知信号が表す振動エネルギー量に基づいて不具合発生期間を特定し、前記不具合発生期間の発生状況に基づいて発生した不具合を特定する、電線ストリップ処理動作不具合検出装置。
【請求項5】
請求項4記載の電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、
前記不具合判定処理部は、前記不具合発生期間が連続して生じるときに、ストリップ刃の動作に不具合が発生していると判定する、電線ストリップ処理動作不具合検出装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、
前記不具合判定処理部は、前記不具合発生期間が周期的に生じるときに、前記刃駆動部のうち回転系機構に不具合が発生していると判定する、電線ストリップ処理動作不具合検出装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、
電線の被覆に切込み可能な一対のストリップ刃と、
前記一対のストリップ刃を接近及び離隔移動させる刃駆動部と、
をさらに備える電線ストリップ処理動作不具合検出装置。
【請求項8】
請求項7記載の電線ストリップ処理動作不具合検出装置であって、
前記振動検知部が前記一対のストリップ刃の少なくとも一方に接触するように設けられている、電線ストリップ処理動作不具合検出装置。
【請求項9】
刃駆動部により駆動されるストリップ刃を用いて電線の被覆をストリップする際に、前記ストリップ刃の動作の不具合発生を検出する電線ストリップ処理動作不具合検出方法であって、
(a)ストリップ刃を電線に切込ませる処理を行うステップと、
(b)前記工程(a)において、前記刃駆動部及び前記ストリップ刃の少なくとも一方の振動を検知するステップと、
(c)前記振動検知部より入力される振動検知信号に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定するステップと、
を備える電線ストリップ処理動作不具合検出方法。
【請求項10】
刃駆動部により駆動されるストリップ刃を用いて電線の被覆をストリップする際に、前記刃駆動部及び前記ストリップ刃の少なくとも一方の振動を検知し、この振動検知信号に基づいて前記ストリップ刃の動作の不具合発生を検出するための電線ストリップ処理動作不具合検出プログラムであって、コンピュータに、
(A)前記振動検知信号を不具合発生基準と比較するステップと、
(B)前記工程(A)における比較結果に基づいて、電線ストリップ処理動作の不具合の発生を判定するステップと、
を実現させるための電線ストリップ処理動作不具合検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図9】
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【図11】
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