説明

電線引き出し部分の防水構造

【課題】ハウジング内の結露防止とゴム栓の移動防止とを図ることが可能な、電線引き出し部分の防水構造を提供する。
【解決手段】空気孔71は、ハウジング本体部30を密封状態にしないようにするための部分であって、ゴム栓抜け止め壁54を貫通する穴形状に形成されている。空気孔71は、電線保持壁58の基端部分近傍に位置するように配置形成されている。また、空気孔71は、受電側収容室6の底壁7に照明ユニット8を固定した状態で電線挿通孔55よりも上側に位置するように配置形成されている。空気孔71は、ゴム栓抜け止め壁54の外面61から引き出された電線15に対し接触が生じない位置に配置形成されている。すなわち、電線15を伝って流れる水分を空気孔71に入り込ませないような位置に配置形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングから電線を引き出すなどの電線引き出し部分に採用される防水構造に関し、詳しくはハウジングの内圧変化にも対応可能な防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車において、バッテリーへの充電は給電側コネクタ及び受電側コネクタ(車両側インレット)から構成される充電コネクタが用いられている。
【0003】
下記特許文献1には充電コネクタに関する技術が開示されている。この開示技術によれば、受電側コネクタは、車両における受電側収容室に設けられている。受電側収容室には、ランプも設けられている。ランプは、照明ユニットを構成する一部品であって、受電側収容室の開閉蓋を開閉する際に点灯又は消灯するようになっている。ランプは、夜間での給電側コネクタ及び受電側コネクタの結合・離脱作業をし易くするために設けられている。
【0004】
ところで、下記特許文献1の照明ユニットは、これ自身から電線が引き出されているか否かが定かでないが、仮に電線が引き出されているのであれば、電線引き出し部分に防水構造を採用することが好ましい。尚、電線引き出し部分に採用することが有効な防水構造は、例えばコネクタの分野において数多く提案されている。そのうちの一つとしては、例えば下記特許文献2の開示技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−325834号公報
【特許文献2】特開平8−213097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示された防水構造は、電線にゴム栓を挿通し、このゴム栓とハウジング内面とをシールしてハウジングを密封状態にするような構造になっている。このような防水構造にあっては、仮にハウジングの内圧が変化した場合に、結露が生じてしまうという問題点や、ゴム栓が移動してしまうという問題点を有している。
【0007】
尚、特許文献2に開示された防水構造を例えば照明ユニットに採用しようとする場合には、上記問題点の解消をする必要があると言える。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、ハウジング内の結露防止とゴム栓の移動防止とを図ることが可能な、電線引き出し部分の防水構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の電線引き出し部分の防水構造は、電線と、該電線に組み付けられるゴム栓と、前記電線の接続先となる回路基板と、該回路基板を収容するハウジングと、該ハウジングの開口部を介して前記回路基板の後に収容されるパッキンホルダーと、該パッキンホルダーの外周面に組み付けられて前記ハウジングの内面に密着するパッキンとを含み、前記パッキンホルダーは、収容方向に対し交差する方向の壁と、該壁を貫通する電線挿通孔と、該電線挿通孔に連通し且つ前記壁の内面側にて前記ゴム栓を収容するゴム栓収容室と、前記壁を貫通し且つ前記ハウジングの固定状態において前記電線挿通孔よりも上側に位置する空気孔とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の本発明の電線引き出し部分の防水構造は、請求項1に記載の電線引き出し部分の防水構造において、前記パッキンホルダーは、前記空気孔に止水部材を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の本発明の電線引き出し部分の防水構造は、請求項1又は請求項2に記載の電線引き出し部分の防水構造において、前記開口部に嵌合するとともに前記電線が引き出された状態の前記壁の外面に対向するホルダーを更に含み、該ホルダー及び/又は前記ハウジングは、排水部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本発明の電線引き出し部分の防水構造は、請求項3に記載の電線引き出し部分の防水構造において、前記パッキンホルダー及び前記ホルダーは、前記壁の前記外面から引き出された前記電線を少なくとも上向きに屈曲保持する屈曲保持部を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に関し、本発明を照明ユニットとして特徴づけると次のようになる。すなわち、請求項1の発明に対し照明機能に係る特徴を付加したもので、「電線と、該電線に組み付けられるゴム栓と、前記電線の接続先となる回路基板と、該回路基板を収容するハウジングと、該ハウジングの開口部を介して前記回路基板の後に収容されるパッキンホルダーと、該パッキンホルダーの外周面に組み付けられて前記ハウジングの内面に密着するパッキンとを含み、前記回路基板は光源を有し、前記ハウジングは、前記光源に対向する部分が少なくとも光透過性を有し、前記パッキンホルダーは、収容方向に対し交差する方向の壁と、該壁を貫通する電線挿通孔と、該電線挿通孔に連通し且つ前記壁の内面側に前記ゴム栓を収容するゴム栓収容室と、前記壁を貫通し且つ前記ハウジングの固定状態において前記電線挿通孔よりも上側に位置する空気孔とを有することを特徴とする照明ユニット。」となる。効果は、本発明に係る防水構造の効果の他に、より良い照明ユニットを提供することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に関し、本発明を充電コネクタの照明構造として特徴づけると次のようになる。すなわち、「請求項1ないし請求項4いずれか記載の防水構造を採用してなる照明ユニットを、給電側コネクタ及び受電側コネクタからなる充電コネクタの前記受電側コネクタ周辺に設けて、前記照明ユニットからの光により前記受電側コネクタを照明することを特徴とする充電コネクタの照明構造。」となる。効果は、本発明に係る防水構造の効果の他に、より良い充電コネクタの照明構造を提供することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された本発明によれば、空気孔を有するパッキンホルダーを用いることにより、ハウジングの密封状態を避けることができる。また、空気孔をパッキンホルダーの電線挿通孔よりも上側に配置することにより、電線を伝っての水分の浸入を避けることができる。さらに、電線に組み付けられたゴム栓をパッキンホルダーのゴム栓収容室に収容することから、ゴム栓の移動を避けることができる。従って、本発明によれば、ハウジング内の結露防止とゴム栓の移動防止とを図ることができるという効果を奏する。
【0016】
この他、請求項1に記載された本発明によれば、パッキンにてパッキンホルダーの外面とハウジング内面とをシールするとともに、ゴム栓にてパッキンホルダーのゴム栓収容室と電線とをシールすることから、従来のようなゴム栓一つで全てをシールする構造ではなく、結果、ゴム栓等のシール部材を小さなものにすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、ハウジング内にパッキンホルダーを収容すると、これと同時にゴム栓の移動防止や各部分のシールが完了し、組み付けに係る作業の向上を図ることができるという効果も奏する。さらに、本発明によれば、ハウジング内にパッキンホルダーを収容する構造であることから、空気孔を外部に露出させず、結果、水分の浸入を防止することができるという効果も奏する。
【0017】
請求項2に記載された本発明によれば、パッキンホルダーの空気孔に止水部材を設けることから、例えば飛水があっても空気孔からの水分の浸入を防止することができるという効果を奏する。
【0018】
請求項3に記載された本発明によれば、パッキンホルダーに対向するホルダーを構成に含むとともに、ホルダー及び/又はハウジングに排水部を設けてパッキンホルダー及びホルダーの間に水分を溜まらないようにすることができる。従って、空気孔からの水分の浸入を防止することができるという効果を奏する。
【0019】
請求項4に記載された本発明によれば、パッキンホルダーから引き出された電線を少なくとも上向きに屈曲保持することから、電線を伝う水分をパッキンホルダーの空気孔よりも下側へ流すことができる。従って、空気孔からの水分の浸入を防止することができるという効果を奏する。
【0020】
この他、請求項4に記載された本発明によれば、電線を屈曲保持することから、仮に電線に引っ張りの力が加わったとしても、その力を回路基板の電気的な接続部分に作用させないようにすることができる。従って、電線を確実に保持することができるという効果や、電線の接続状態を安定させることができるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の防水構造を採用してなる照明ユニットと充電コネクタの配置等に係る図である。
【図2】照明ユニットの要部断面図である。
【図3】照明ユニットの斜視図である。
【図4】図2のパッキンホルダー周辺の拡大図である。
【図5】ゴム栓とパッキンホルダーとの組み付けに係る図である。
【図6】ハウジングに対する各部材の組み付けに係る図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
電線引き出し部分に関し、パッキンにてパッキンホルダーの外面とハウジング内面とをシールするとともに、ゴム栓にてパッキンホルダーのゴム栓収容室と電線とをシールする防水構造を採用する。また、パッキンホルダーに空気孔を設け、この空気孔をパッキンホルダーの電線挿通孔よりも上側に配置する防水構造を採用する。この他、空気孔に止水部材を設けたり、パッキンホルダーに対向するホルダー、及び/又はハウジングに排水部を設けたり、パッキンホルダーから引き出された電線を少なくとも上向きに屈曲保持したりする防水構造を採用する。
【実施例】
【0023】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の防水構造を採用してなる照明ユニットと充電コネクタの配置等に係る図である。また、図2は照明ユニットの要部断面図、図3は照明ユニットの斜視図、図4は図2のパッキンホルダー周辺の拡大図、図5はゴム栓とパッキンホルダーとの組み付けに係る図、図6はハウジングに対する各部材の組み付けに係る図である。
【0024】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0025】
電気自動車やハイブリッド自動車には、モータを駆動するために高圧のバッテリーが搭載されている。このバッテリーへの充電としては、充電コネクタが用いられている。(以下説明での充電コネクタは、直流のもの、交流のもののいずれであってもよいものとする)。
【0026】
図1において、充電コネクタ1は、給電側コネクタ2と、受電側コネクタ3(車両側インレット)とを備えて構成されている。給電側コネクタ2及び受電側コネクタ3は、これらが結合・離脱することができる構造を有している。受電側コネクタ3は、充電口4及びキャップ5を有している。このような受電側コネクタ3は、車両の所定位置に配置される受電側収容室6に設けられている。この受電側収容室6の底壁7には、受電側コネクタ3の他に、本発明の防水構造を採用してなる照明ユニット8が更に設けられている。
【0027】
照明ユニット8は、受電側コネクタ3を照明するためや、充電状態の発光表示をするために設けられている。受電側コネクタ3及び照明ユニット8は、受電側収容室6の底壁7に対しボルト9により締め付け固定されている。
【0028】
給電側コネクタ2及び受電側コネクタ3は、公知のものが用いられており、ここでの説明は省略するものとする。
【0029】
照明ユニット8は、受電側コネクタ3に向けて光10を照射し、所望の明るさで受電側コネクタ3を照明することができるようになっている。照明ユニット8は、夜間や暗所での給電側コネクタ2及び受電側コネクタ3の結合・離脱作業をし易くするために設けられている。照明ユニット8は、本発明の防水構造11を有している。また、照明ユニット8は、特に限定するものでないが、タイマー機能も有している。
【0030】
図1ないし図3において、照明ユニット8は、本発明の防水構造11を有する照明機能部12と、車両の図示しない充電回路に接続するためのコネクタ13(図3参照)と、これら照明機能部12及びコネクタ13を電気的に繋ぐハーネス部14と、このハーネス部14を適宜固定するための図示しない固定手段(例えば公知のクリップなど)とを含んで構成されている。コネクタ13、ハーネス部14、及び固定手段(図示省略)は公知のものが用いられている。ハーネス部14は、複数本の電線15と、この複数の電線15を保護するコルゲートチューブ16とを備えて構成されている。
【0031】
図1ないし図4において、照明機能部12は、LED17や発光表示部18などの光源と、この光源を実装してなるタイマー基板アッシー19と、光透過性ハウジング20(ハウジング)と、非光透過性カバー21(プロテクタ)と、カラー22と、パッキンホルダー23と、パッキン24と、ゴム栓25と、ホルダー26とを備えて構成されている。
【0032】
本発明の防水構造11は、電線15の引き出し部分に採用されている。防水構造11は、パッキンホルダー23、パッキン24、及びゴム栓25を含んで構成されている。防水構造11は、ゴム栓25をパッキンホルダー23及び後述する回路基板27により挟み込む構造を有している。このような防水構造11は、光透過性ハウジング20の内圧変化による結露を防止するための空気孔71を有している(後述する)。
【0033】
タイマー基板アッシー19は、矩形状の回路基板27を有している。この回路基板27には、LED17及び発光表示部18を発光させるための所定回路や、タイマー回路等が設けられている。上記回路の接続部分には、電線15の導体が半田付け等により電気的に接続されている。回路基板27は、この端面28(図4参照)がゴム栓25を挟み込む部分として形成されている。また、端面28は、パッキンホルダー23の当接部分としても形成されている。
【0034】
LED17は、受電側コネクタ3に向けて光10を照射することができるように配置されている。具体的には、後述するロック凸部32の位置に合わせて配置されている。また、発光表示部18も充電状態を発光表示することができるように配置されている。尚、LED17に限らず、公知のランプを用いてもよいものとする。
【0035】
光透過性ハウジング20は、光透過性を有する合成樹脂材料を用いて成形されている。光透過性ハウジング20は、本実施例において全体が透明になるように樹脂成形されている。光透過性ハウジング20は、上記の如く透明であることから、全体が光を透過する光透過部29となっている。
【0036】
光透過性ハウジング20は、タイマー基板アッシー19を収容固定する部分としてハウジング本体部30を有している。また、光透過性ハウジング20は、非光透過性カバー21との嵌合部分としてロック凸部32を有している。さらに、光透過性ハウジング20は、ハウジング本体部30の側壁31よりも外側へ膨出する部分として膨出部33、34を有している。さらにまた、光透過性ハウジング20は、ハウジング本体部30及び膨出部33、34に連続するフランジ状の部分としてハウジング固定部35を有している。
【0037】
ハウジング本体部30は、断面が矩形となる筒形状に形成されている。このような形状のハウジング本体部30は、図2中左端の位置に天井壁36を有するとともに、図2中右端の位置に開口部37を有している。開口部37は、この開口面がハウジング固定部35の底面と同一平面上に位置するように配置形成されている。開口部37は、タイマー基板アッシー19やパッキンホルダー23やホルダー26を収容する際の挿入口として開口形成されている。このような開口部37には、ホルダー26の嵌合部分となる嵌合凹部38が形成されている。嵌合凹部38は、凹状に形成されている。
【0038】
ハウジング本体部30は、開口部37の奥位置に段部39を有している。段部39は、この内面部分がパッキンホルダー23の挿入量を決めるストッパとして機能するように形成されている(図4参照)。また、ストッパとして機能する部分の左方(奥側)は、パッキン24に対するシール面として機能するように形成されている(図4参照)。
【0039】
ロック凸部32は、上記の如く非光透過性カバー21との嵌合部分として設けられている。また、ロック凸部32は、LED17からの光10を導光する部分として設けられている。さらに、ロック凸部32は、受電側コネクタ3に向けて光10を照射する部分として設けられている。ロック凸部32は、光透過性ハウジング20全体が透明であることから、この部分も当然に透明になっている。
【0040】
ロック凸部32は、ハウジング本体部30の側壁31から徐々に離れるように、且つ、曲面となるように形成される発光面40と、この発光面40の頂部から側壁31に対し直角な面として形成される係止面41と、二つの側面42とを有している。ロック凸部32は、公知の係止突起と同様の形状に形成されるとともに、光の拡散効果を得るためとしてレンズ機能を有する形状にも形成されている。本実施例において、特に限定するものでないが、発光面40には図示しないシボ加工が施されている(シボ加工は光の拡散効果を高めるために有効となる)。尚、発光面40の傾きや大きさは、光10の照射範囲に配慮しつつ設定されるものとする。本実施例の発光面40は、受電側コネクタ3の充電口4の位置と、充電口4の若干左方の位置とを明るく照らすことができるように傾きや大きさが設定されている。
【0041】
発光面40に関し、この発光面40は曲面に限らず、平坦な斜面であってもよいものとする。この場合、斜面の角度に応じてLED17からの光10が屈折することから、照射範囲を調節することができるという効果を奏する。
【0042】
ハウジング固定部35は、受電側収容室6の底壁7に対し、ボルト止めにて固定される部分であって、金属製のカラー22が設けられている。
【0043】
非光透過性カバー21は、光透過性のない合成樹脂材料を用いて成形されている。非光透過性カバー21は、本実施例において、光透過性ハウジング20を着脱自在に覆うことができる形状に形成されている。非光透過性カバー21は、光透過性ハウジング20のハウジング本体部30における側壁31及び天井壁36を覆う第一カバー部43と、光透過性ハウジング20の膨出部33、34を覆う第二カバー部44と、これらを繋ぐカバー段部45とを有している。
【0044】
第一カバー部43の側壁46には、矩形状に貫通するロック孔部47が設けられている。このロック孔部47は、光透過性ハウジング20との嵌合部分として設けられている。また、ロック孔部47は、LED17からの光10を通過させる部分として設けられている。ロック孔部47は、ロック凸部32及びLED17の位置に合わせて配置形成されている。
【0045】
ロック孔部47は、ロック凸部32が挿入状態で嵌り込むような形状に形成されている。ロック孔部47における引用符号48は係止面を示している。この係止面48は、ロック凸部32の係止面41に対し面接触で引っ掛かるようになっている。
【0046】
第一カバー部43の天井壁49には、発光表示部18からの光50を通過させる光通過窓51が設けられている。光通過窓51は、本実施例において円形状に貫通するように形成されている。
【0047】
図2及び図4において、パッキンホルダー23は、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて成形されている。パッキンホルダー23は、この外周面にパッキン24を設けた状態で、また、複数の電線15を挿通した状態で光透過性ハウジング20のハウジング本体部30に挿入・収容されるようになっている。
【0048】
図4において、パッキンホルダー23は、パッキン組み付け部52と、位置決め部53と、ゴム栓抜け止め壁54(壁)と、電線挿通孔55と、ゴム栓収容室56と、基板当接リブ57と、電線保持壁58と、空気孔71とを有している。パッキンホルダー23は、特に限定するものでないが、図示のような断面形状の部材として形成されている。パッキンホルダー23の上記構成において、ゴム栓抜け止め壁54及び電線保持壁58は、パッキンホルダー23側の屈曲保持部59として設けられている。
【0049】
パッキン組み付け部52は、パッキン24を組み付ける部分であって、パッキンホルダー23の外周面に配置形成されている。本実施例においては、パッキンホルダー23の収容時において回路基板27側となる位置に配置形成されている。シール部材としてのパッキン24は、公知のものが用いられている。位置決め部53は、ハウジング本体部30における段部39のストッパとして機能する部分に対し当接するように形成されている。
【0050】
ゴム栓抜け止め壁54は、パッキンホルダー23の収容方向(挿入方向)に対し交差する方向(直交する方向)の壁となるように形成されている。ゴム栓抜け止め壁54に関し、パッキンホルダー23の収容時に回路基板27側となる面を内面60、反対側を外面61と定義すると、内面60側には略円筒形状のゴム栓収容室56が形成されている。
【0051】
ゴム栓収容室56は、ゴム栓25を組み付けた状態の電線15を水密に収容することができるように形成されている。ゴム栓収容室56は、回路基板27側に突出するように形成されている。ゴム栓25は、ゴム栓収容室56の長さ分まで押し潰しをすることが可能に形成されている。ゴム栓25は、公知のものが用いられている。
【0052】
ゴム栓抜け止め壁54の内面60であって、ゴム栓収容室56の一部となる部分は、ゴム栓25を挟持するための部分となっている。この部分は、ゴム栓25の抜け止めとして機能するようになっている。上記部分の中央には、電線挿通孔55が貫通形成されている。電線挿通孔55は、電線15を挿通する部分として形成されている。
【0053】
ゴム栓収容室56は、この突出先端となる一部が基板当接リブ57として形成されている。基板当接リブ57は、回路基板27の端面28に当接する部分として形成されている。基板当接リブ57は、回路基板27を保持したり、ゴム栓25が過剰に押し潰されないように規制したりする部分として形成されている。
【0054】
ゴム栓抜け止め壁54の外面61には、この外面61と共に屈曲保持部59として機能する電線保持壁58が突出形成されている。電線保持壁58は、電線挿通孔55から離れる位置に配置形成されている。具体的には、図中下側に電線挿通孔55及びゴム栓収容室56が配置されるのに対し、電線保持壁58は図中上側に配置されている。ゴム栓抜け止め壁54及び電線保持壁58は、逆L字状の壁となるように配置形成されている。
【0055】
空気孔71は、ハウジング本体部30(光透過性ハウジング20)を密封状態にしないようにするための部分であって、ゴム栓抜け止め壁54を貫通する穴形状に形成されている。空気孔71は、本実施例において、電線保持壁58の基端部分近傍に位置するように配置形成されている。また、空気孔71は、受電側収容室6の底壁7に照明ユニット8を固定した状態で電線挿通孔55よりも上側に位置するように配置形成されている。
【0056】
空気孔71は、ゴム栓抜け止め壁54の外面61から引き出された電線15に対し接触が生じない位置に配置形成されている。すなわち、電線15を伝って流れる水分(図示省略)を空気孔71から入り込ませることのない位置に配置形成されている。
【0057】
尚、特に図示しないが、空気孔71に止水部材を設けて水分の浸入を防止するようにしてもよいものとする。上記止水部材としては、空気だけを通すフィルターやスポンジ、或いは弁などが好適であるものとする。空気孔71は、ハウジング本体部30(光透過性ハウジング20)の内圧の変化を吸収することができればよく、形状等は限定されないものとする。空気孔71は、例えば電線挿通孔55と比べて格段に細い貫通孔であってもよいものとする。
【0058】
ホルダー26は、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて成形されている。ホルダー26は、ハウジング本体部30の開口部37に嵌合するように形成されている。ホルダー26は、ハウジング本体部30の段部39とでパッキンホルダー23を挟み込み、この脱落を防止することができるように形成されている。また、ゴム栓抜け止め壁54の外面61から引き出された電線15を屈曲保持することができるようにも形成されている。
【0059】
ホルダー26は、第一電線保持壁62と、第二電線保持壁63と、電線支持台部64と、ガイド部65と、嵌合凸部66と、第一排水部72(排水部)と、第二排水部73(排水部)とを有している。ホルダー26は、特に限定するものでないが、図示のような断面形状の部材として形成されている。ホルダー26の上記構成において、第一電線保持壁62、第二電線保持壁63、及び電線支持台部64は、ホルダー26側の屈曲保持部67として設けられている。
【0060】
第一電線保持壁62及び第二電線保持壁63は、L字状の壁となるように配置形成されている。第一電線保持壁62は、図中下側の配置であるとともに、パッキンホルダー23の電線挿通孔55よりも下側位置(外側位置)に先端が当接するように突出形成されている。
【0061】
第二電線保持壁63は、パッキンホルダー23のゴム栓抜け止め壁54に対し所定の間隔で対向するように形成されている。また、ホルダー26の収容方向(挿入方向)に対し交差する方向(直交する方向)の壁となるように形成されている。
【0062】
電線支持台部64は、図中右側に配置形成されるとともに、パッキンホルダー23の電線保持壁58の近傍に配置形成されている。電線支持台部64は、電線保持壁58と共に電線15を挟み込むことができるように形成されている。
【0063】
ガイド部65は、ハウジング本体部30の開口部37に挿入されるガイド部分であって、パッキンホルダー23の位置決め部53と同様の機能を有している。ガイド部65は、本実施例において、開口部37に形成された段部68に当接して位置決めがなされるように形成されている。尚、位置決めがなされた時に、嵌合凸部66が開口部37の嵌合凹部38に嵌合するようになっている。嵌合凸部66は、所謂係止突起であって、凸状に形成されている。
【0064】
第一排水部72は、電線15を伝って流れる水分を隙間74(排水部)に逃がす貫通孔として形成されている。本実施例においては、第一電線保持壁62の基端部分近傍に位置するように配置形成されている(又は電線15の直下となる部分に配置形成されている)。一方、第二排水部73は、隙間74に流れ込んだ水分をハウジング本体部30の開口部37の外側へ逃がすことができる通路状の部分として形成されている。尚、水分の逃がしは、開口部37又はハウジング固定部35の底面を通過させることが好ましいものとする。これは、例えばハウジング固定部35の側面から逃がすようにすると、外部からの水分が直接入り込んでしまうという虞があるからである。
【0065】
第一排水部72、隙間74、及び第二排水部73に関し、上記部材への形成や位置に限定されないものとする。電線15を伝って流れる水分を外側へ逃がすことができれば、よいものとする。
【0066】
パッキンホルダー23の屈曲保持部59及びホルダー26の屈曲保持部67は、ゴム栓抜け止め壁54の外面61から引き出された電線15を屈曲保持することができるように形成されている。
【0067】
電線15は、図示の如く略クランク形状に屈曲した状態でパッキンホルダー23及びホルダー26により保持されている。本実施例のように屈曲保持するのは、仮に電線15に引き抜き方向の外力が加わった場合であっても、タイマー基板アッシー19に対する電線15の接続部分に外力を作用させないようにできるためである。
【0068】
図5において、電線15は、この外面にゴム栓25が組み付けられている。ゴム栓25は、自身の弾力性により電線15の外面に密着するように組み付けられている。ゴム栓25は、電線15の外面をスライド可能な状態に組み付けられている。ゴム栓15の他にパッキンホルダー23も電線15に組み付けられている。パッキンホルダー23のパッキン組み付け部52には、パッキン24が組み付けられている。尚、電線15は、この導体が回路基板27の接続部分に電気的に接続されている。
【0069】
上記の組み付け状態からパッキンホルダー23を回路基板27の端面28に向けてスライド移動させると、図6に示す如くパッキンホルダー23のゴム栓収容室56にゴム栓25が収容される。そして、パッキンホルダー23の後方にホルダー26をセットして、ハウジング本体部30内にタイマー基板アッシー19、パッキンホルダー23、及びホルダー26を収容すると、図2及び図4に示す如くの状態に組み付けられる。
【0070】
ゴム栓25は、ゴム栓収容室56に対し水密に収容されるとともに、ゴム栓抜け止め壁54の内面60と回路基板27の端面28とにより挟持されて、移動が規制された状態になる。ゴム栓抜け止め壁54の外面61から引き出された電線15は、パッキンホルダー23の屈曲保持部59及びホルダー26の屈曲保持部67により、略クランク形状に二回屈曲した状態で保持される。
【0071】
仮に、電線15を伝って水分が流れ込んできた場合、パッキンホルダー23及びホルダー26の間の空間75に水分が溜まることはなく、第一排水部72、隙間74、及び第二排水部73を経て外側へと水分は逃がされる。
【0072】
この他、ハウジング本体部30は、パッキンホルダー23の空気孔71により密封状態とならないことから、内圧の変化による結露は防止される。
【0073】
上記構成及び構造において、図1に示す如くLED17から受電側コネクタ3に向けて光10を照射すると、受電側コネクタ3は明るく照らされ、給電側コネクタ2及び受電側コネクタ3の結合・離脱作業が容易になる。また、発光表示部18からの光50にて充電が完了したか否かの状態が確認可能になる。
【0074】
実施例をまとめると、本発明の電線引き出し部分に係る防水構造11は、電線15と、この電線15に組み付けられるゴム栓25と、電線15の接続先となる回路基板27と、回路基板27を収容する光透過性ハウジング20と、この光透過性ハウジング20の開口部37を介して回路基板27の後に収容されるパッキンホルダー23と、パッキンホルダー23の外周面に組み付けられて光透過性ハウジング20のハウジング本体部30内面に密着するパッキン24と、開口部37に嵌合するホルダー26とを含んで構成されている。
【0075】
このような構成において、パッキンホルダー23は、ゴム栓抜け止め壁54(壁)と、このゴム栓抜け止め壁54を貫通する電線挿通孔55と、電線挿通孔55に連通しゴム栓抜け止め壁54の内面60に連続するゴム栓収容室56とを有している。ゴム栓抜け止め壁54の内面60及び回路基板27の端面28は、ゴム栓収容室56に収容された状態のゴム栓25を挟持するようになっている。
【0076】
また、パッキンホルダー23は、照明ユニット8の固定状態において、電線挿通孔55よりも上側に位置する空気孔71を有しており、水分の浸入を避けつつ光透過性ハウジング20の内圧変化による結露を防止するようになっている。
【0077】
以上、図1ないし図6を参照しながら説明してきたように、電線引き出し部分に係る防水構造11は、空気孔71を有するパッキンホルダー23を用いることから、光透過性ハウジング20の密封状態を避けることができる。また、防水構造11は、空気孔71をパッキンホルダー23の電線挿通孔55よりも上側に配置することから、電線15を伝っての水分の浸入を避けることができる。さらに、防水構造11は、パッキンホルダー23から引き出された電線15を少なくとも上向きに屈曲保持することから、電線15を伝う水分を空気孔71よりも下側へ流すことができる。
【0078】
この他、電線引き出し部分に係る防水構造11は、パッキン24にてパッキンホルダー23のパッキン組み付け部52とハウジング本体部30の内面とをシールするとともに、ゴム栓25にてパッキンホルダー23のゴム栓収容室56と電線15とをシールすることから、従来のようなゴム栓一つで全てをシールする構造ではなく、結果、ゴム栓25やパッキン24を小さなものにすることができる。これにより、強い力で押し込むような作業性のよくない組み付けをする必要はない。
【0079】
また、電線引き出し部分に係る防水構造11は、ハウジング本体部30内にパッキンホルダー23を収容すると、これと同時にゴム栓25の移動防止や各部分のシールを完了させることができる。これにより、組み付けに係る作業が繁雑になることはない。
【0080】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0081】
上記説明は、本発明を照明ユニットに採用して充電コネクタを照明する例を挙げているが、照明ユニットは充電コネクタの照明のみならず、様々な照明ユニットが挙げられるものとする。
【0082】
照明ユニットの具体的な例としては、内部照明の光源として自動車の車室内を照らしたり、コンソールボックスやグローブボックス、小物収容ポケットや灰皿などの小物入れの内部を照らしたり、カップホルダー自体を照らしたり、足下を照らしたりする照明ユニット(LEDユニットやLEDランプモジュールと呼ぶこともある)、或いは、外部照明の光源としてストップランプやテールランプに用いられたりする照明ユニットなどである。
【符号の説明】
【0083】
1…充電コネクタ 2…給電側コネクタ 3…受電側コネクタ 4…充電口 5…キャップ 6…受電側収容室 7…底壁 8…照明ユニット 9…ボルト 10…光 11…防水構造 12…照明機能部 13…コネクタ 14…ハーネス部 15…電線 16…コルゲートチューブ 17…LED(光源) 18…発光表示部 19…タイマー基板アッシー 20…光透過性ハウジング(ハウジング) 21…非光透過性カバー 22…カラー 23…パッキンホルダー 24…パッキン 25…ゴム栓 26…ホルダー 27…回路基板 28…端面 29…光透過部 30…ハウジング本体部 31…側壁 32…ロック凸部 33、34…膨出部 35…ハウジング固定部 36…天井壁 37…開口部 38…嵌合凹部 39…段部 40…発光面 41…係止面 42…側面 43…第一カバー部 44…第二カバー部 45…カバー段部 46…側壁 47…ロック孔部 48…係止面 49…天井壁 50…光 51…光通過窓 52…パッキン組み付け部 53…位置決め部 54…ゴム栓抜け止め壁(壁) 55…電線挿通孔 56…ゴム栓収容室 57…基板当接リブ 58…電線保持壁 59…屈曲保持部 60…内面 61…外面 62…第一電線保持壁 63…第二電線保持壁 64…電線支持台部 65…ガイド部 66…嵌合凸部 67…屈曲保持部 68…段部 71…空気孔 72…第一排水部(排水部) 73…第二排水部(排水部) 74…隙間(排水部) 75…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、該電線に組み付けられるゴム栓と、前記電線の接続先となる回路基板と、該回路基板を収容するハウジングと、該ハウジングの開口部を介して前記回路基板の後に収容されるパッキンホルダーと、該パッキンホルダーの外周面に組み付けられて前記ハウジングの内面に密着するパッキンとを含み、
前記パッキンホルダーは、収容方向に対し交差する方向の壁と、該壁を貫通する電線挿通孔と、該電線挿通孔に連通し且つ前記壁の内面側にて前記ゴム栓を収容するゴム栓収容室と、前記壁を貫通し且つ前記ハウジングの固定状態において前記電線挿通孔よりも上側に位置する空気孔とを有する
ことを特徴とする電線引き出し部分の防水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電線引き出し部分の防水構造において、
前記パッキンホルダーは、前記空気孔に止水部材を有する
ことを特徴とする電線引き出し部分の防水構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電線引き出し部分の防水構造において、
前記開口部に嵌合するとともに前記電線が引き出された状態の前記壁の外面に対向するホルダーを更に含み、
該ホルダー及び/又は前記ハウジングは、排水部を有する
ことを特徴とする電線引き出し部分の防水構造。
【請求項4】
請求項3に記載の電線引き出し部分の防水構造において、
前記パッキンホルダー及び前記ホルダーは、前記壁の前記外面から引き出された前記電線を少なくとも上向きに屈曲保持する屈曲保持部を有する
ことを特徴とする電線引き出し部分の防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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