説明

電線用絶縁塗料及びそれを用いた絶縁電線

【課題】耐熱性、密着性を維持し、かつコロナ放電の発生抑制に優れた電線用絶縁塗料及びそれを用いた絶縁電線を提供する。
【解決手段】ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料中に、フェニルトリアルコキシシランと純水とが分散されて成る電線用絶縁塗料であって、前記フェニルトリアルコキシシランが前記樹脂塗料の樹脂分100重量部に対して3〜100重量部含有されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータやトランスなどの電気機器のコイルを形成するのに用いる絶縁電線及びその絶縁皮膜を形成するための電線用絶縁塗料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
絶縁電線の一種であるエナメル線は、導線上に電線用絶縁塗料を塗布、焼き付けして絶縁皮膜を設けて成るものである。このエナメル線を巻線して得られる電気機器のコイルは大容量、大型重電機器のマグネットワイヤとして広く実用されている。また近年は電気機器の小型化、高性能化に伴い、高電圧インバータ制御によって使用される傾向にある。
【0003】
このエナメル線を使用して電気機器、例えばモータやトランスなどを作製する場合、一般的にはモータのコア(磁芯)のスロットに連続的にエナメル線をコイル状に巻回して形成したり、或いはエナメル線をコイル状に巻いたものをコアのスロットに嵌合、挿入したりする方法が主流であった。
【0004】
一方、断面積の大きな、すなわち外径の大きいエナメル線や、平角導体を有するエナメル線の場合、エナメル線を連続的に巻いて巻き数の多い長尺のコイルを形成するのではなく、巻き数の少ない短尺の小径コイルを複数形成し、これら小径コイルのエナメル線の端末同士を溶接して繋ぎ合わせ、長尺のコイルを形成する方法が提案されている。このように形成したコイルは、小型で、かつ、高密度の磁束が要求される電気機器のコイル、例えば自動車の発電機などのコイルに使用されている。
【0005】
自動車の発電機などのコイルには、例えば導体の周りにポリエステルイミドの絶縁皮膜を形成し、そのポリエステルイミド絶縁皮膜の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設けたダブルコートエナメル線や、導体の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設けたシングルコートエナメル線などが主に使用されている。また、一部では、導体の周りにポリイミドの絶縁皮膜を形成し、そのポリイミド絶縁皮膜の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設け、耐熱性と機械強度を向上させたダブルコートエナメル線なども使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
インバータ制御の場合、インバータから発生する高いサージ電圧がモータに侵入し、モータ絶縁システムに悪影響を及ぼす場合がある。このため、コイル状に巻回されたエナメル線間に十分な絶縁性が無い場合、コロナ放電によって絶縁層の劣化が促進される。このようなインバータサージ電圧に対して、絶縁皮膜のコロナ放電開始電圧以上であれば、コロナ放電が発生せず寿命が長くなる。コロナ放電開始電圧を高くする方法としては、絶縁皮膜の厚膜化と低誘電率化が挙げられるが、絶縁皮膜の厚膜化は、占積率の点からモータ設計に大きく影響するため好ましくない。
【0007】
低誘電率化の具体例として、例えば、フェノール化合物を芳香族ポリエステル樹脂に溶解してなる電線用絶縁塗料を導体に塗布、焼付して絶縁皮膜を被覆することで、吸水率が低く、優れた誘電特性をもつエナメル線を得ることができることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、フッ素系ポリイミド樹脂からなる電線用絶縁塗料を導体表面に塗布・焼き付けを行なうことなどが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】特開平5−130759号公報
【特許文献2】特開2003−16846号公報
【特許文献3】特開2002−56720号公報
【特許文献4】特開平10−289622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来技術の方法では、誘電率は低いものの、高温焼付け時に有害なフッ素系ガスを生じてしまう。また、導体と絶縁皮膜との密着性に劣るため、導体と絶縁皮膜との間で浮きが発生し課電時に低い電圧で絶縁破壊が発生してしまうといった問題があった。
【0011】
また、ポリアミドイミドからなる絶縁皮膜を有するエナメル線及びポリイミドからなる絶縁皮膜を有するエナメル線は連続耐熱区分が180〜220℃クラスと高いことから耐熱エナメル線として多用されているが、ポリアミドイミドやポリイミドは高耐熱である半面、極性が高いことから誘電率や誘電正接が高いといった問題があった。
【0012】
本発明はかかる点に立って為されたものであって、その目的とするところは前記した従来技術の欠点を解消し、耐熱性、密着性を維持し、かつコロナ放電の発生抑制に優れた電線用絶縁塗料及びそれを用いた絶縁電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料中に、フェニルトリアルコキシシランと純水とが分散されて成る電線用絶縁塗料であって、前記フェニルトリアルコキシシランが前記樹脂塗料の樹脂分100重量部に対して3〜100重量部含有されていることを特徴とする電線用絶縁塗料である。
【0014】
請求項2の発明は、前記フェニルトリアルコキシシランは、フェニルトリエトキシシラン、もしくはフェニルトリメトキシシランからなる請求項1に記載の電線用絶縁塗料である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の電線用絶縁塗料を、導体上に直接又は他の絶縁層を介して塗布、焼付して形成された絶縁皮膜を有することを特徴とする絶縁電線である。
【0016】
請求項4の発明は、前記絶縁皮膜は、前記導体上に形成されたシランカップリング剤からなる皮膜上に形成されている請求項3に記載の絶縁電線である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、耐熱性や密着性を維持し、かつコロナ放電の発生抑制に優れ、特にモータや変圧器などのコイル用として好適な電線用絶縁塗料及びそれを用いた絶縁電線を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な一実施の形態を詳述する。
【0019】
本発明者等は、絶縁皮膜の耐熱性、導体との密着性を維持し、かつコロナ放電の発生抑制に優れ、特にモーターや変圧器などのコイル用として好適な絶縁電線を鋭意検討した結果、導体上に直接又は他の絶縁層を介して、ポリイミド樹脂あるいはポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料に、フェニルトリアルコキシシランと純水を分散させて成り、フェニルトリアルコキシシランが樹脂塗料の樹脂分100重量部に対して3〜100重量部含有されている電線用絶縁塗料を塗布、焼付して成ることで達成可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
【0020】
本発明によれば、絶縁皮膜の導体との高密着性、低誘電率を達成することができ、コロナ放電の発生の抑制や絶縁破壊防止特性に優れ、特にモータや変圧器などのコイル用として好適な絶縁電線を提供することができる。
【0021】
(電線用絶縁塗料)
樹脂塗料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂など工業的に用いられている樹脂塗料ならよく、例えばポリアミドイミドエナメル線用樹脂塗料、ポリイミドエナメル線用樹脂塗料等がある。
【0022】
また、樹脂塗料は樹脂と溶剤からなる。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(以降NMPと呼称する)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、アニソール、ジオキソラン、ブチルセルソルブアセテート、ラクトン系等が挙げられ、これらは単独で使用することもできるが、2種類以上混合して用いても良い。
【0023】
この樹脂塗料に分散されるフェニルトリアルコキシシランは、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましい。これらのフェニルトリアルコキシシランを用いることにより、電線用絶縁塗料の製造過程において、加水分解を受けてシラノールを生成し、重縮合しやすくなるため、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂などの樹脂塗料の持つ耐熱性を低下させることなく、誘電率を低くすることができる。
【0024】
電線用絶縁塗料は、樹脂塗料中に、フェニルトリアルコキシシランと純水を分散させて成り、フェニルトリアルコキシシランが樹脂塗料の樹脂分100重量部に対して3〜100重量部含有されているものである。
【0025】
ここで、フェニルトリアルコキシシランの配合割合が3重量部未満では、誘電率を下げる効果があまり得られないため、部分放電劣化を改善する効果が不十分である。また、フェニルトリアルコキシシランの配合割合が100重量部を越えると分散性が悪くなり、絶縁塗料の安定性が悪くなるため、可とう性などが悪化する場合がある。
【0026】
(絶縁電線)
絶縁電線は、樹脂塗料中へ、フェニルトリアルコキシシラン、純水を分散させて成り、フェニルトリアルコキシシランが樹脂塗料の樹脂分100重量部に対して3〜100重量部含有されている電線用絶縁塗料を、導線上に直接又は他の絶縁物層を介して塗布焼付して成るものである。
【0027】
導体として銅線、アルミ線、銀線、ニッケル線等を適用することができる。また、導体の形状としては、丸型、平型等がある。
【0028】
更に、コイル成形時の作業性などの向上のために、必要に応じて最外層に潤滑層を設けてもよい。
【0029】
また、必要に応じ密着性をさらに向上させるためにシランカップリング剤を樹脂塗料中に添加することや、或いは、導体上に塗布、焼付して皮膜を形成し、この周囲に上記の電線用絶縁塗料からなる絶縁皮膜を形成することができる。シランカップリング剤としては、特に限定するものではないが、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
このように本発明は、樹脂塗料中に、フェニルトリアルコキシシラン、純水を分散させて成り、フェニルトリアルコキシシランが樹脂塗料の樹脂分100重量部に対して3〜100重量部含有されていることを特徴とする電線用絶縁塗料を導線上に直接又は他の絶縁物層を介して塗布、焼き付けしてなることを特徴とする絶縁電線に関する。樹脂塗膜層の導体との高密着性、低誘電率を達成することができ、かつコロナ放電の発生抑制や絶縁破壊防止特性に優れ、特にモーターや変圧器などのコイル用として好適な絶縁電線を得ることができる。
【実施例】
【0031】
以下に、具体的な実施例を説明する。
【0032】
(実施例1)
フェニルトリエトキシシラン5.0g、純水1.1gを、固形分濃度20mass%のポリアミドイミド塗料100gに混合撹拌し電線用絶縁塗料を得た。丸形状の銅導体の周りに、電線用絶縁塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0033】
(実施例2)
フェニルトリエトキシシラン5.0g、純水1.1gを、固形分濃度20mass%のポリイミド塗料100gに混合撹拌し電線用絶縁塗料を得た。丸形状の銅導体の周りに、電線用絶縁塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0034】
(実施例3)
フェニルトリメトキシシラン5.0g、純水1.1gを、固形分濃度20mass%のポリアミドイミド塗料100gに混合撹拌し電線用絶縁塗料を得た。丸形状の銅導体の周りに、電線用絶縁塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0035】
(実施例4)
フェニルトリメトキシシラン5.0g、純水1.1gを、固形分濃度20mass%のポリイミド塗料100gに混合撹拌し電線用絶縁塗料を得た。丸形状の銅導体の周りに、電線用絶縁塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0036】
(実施例5)
フェニルトリエトキシシラン0.6g、純水0.02gを、固形分濃度20mass%のポリアミドイミド塗料100gに混合撹拌し電線用絶縁塗料を得た。丸形状の銅導体の周りに、電線用絶縁塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0037】
(実施例6)
フェニルトリエトキシシラン20g、純水0.02gを、固形分濃度20mass%のポリアミドイミド塗料100gに混合撹拌し電線用絶縁塗料を得た。丸形状の銅導体の周りに、電線用絶縁塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0038】
(比較例1)
丸形状の銅導体の周りに、ポリアミドイミド塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0039】
(比較例2)
丸形状の銅導体の周りに、ポリイミド塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0040】
(比較例3)
フェニルトリエトキシシラン0.1g、純水0.02gを、固形分濃度20mass%のポリアミドイミド塗料100gに混合撹拌し電線用絶縁塗料を得た。丸形状の銅導体の周りに、電線用絶縁塗料を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの外層絶縁皮膜を設け、絶縁電線を作製した。
【0041】
(比較例4)
フェニルトリエトキシシラン25.0g、純水6.7gを、固形分濃度20mass%のポリアミドイミド塗料100gに混合撹拌したがゲル化が発生し、好適なエナメル線用塗料を得ることはできなかった。
【0042】
(比較例5)
フェニルトリエトキシシラン30.0g、純水6.7gを、固形分濃度20mass%のポリアミドイミド塗料100gに混合撹拌したがゲル化が発生し、好適なエナメル線用塗料を得ることはできなかった。
【0043】
実施例1〜6及び比較例1〜5における電線用絶縁塗料の評価結果及び絶縁電線の評価結果を表1に示した。
【0044】
【表1】

【0045】
表1における特性の各評価は、次に基づいて行った。
【0046】
(1)電線用絶縁塗料の安定性:電線用絶縁塗料を30℃の直射日光が当たらない室内に1ヶ月間置き、ワニスの樹脂分や中空シリカの沈降の有無により判定した。
【0047】
(2)可とう性:フィルム状に成型した、2mm×100mmの試験短冊片を180゜に折り曲げ、10回繰り返した後の割れ発生有無を評価した。
【0048】
(3)密着性:密着力評価用の銅基板に塗料を塗布・焼付け、幅10mmの短冊状試験片をテンシロン測定機で引剥強さを測定し、密着力を評価した。
【0049】
(4)誘電率:フィルム状に成型した、2mm×100mmの試験短冊片を空洞共振器摂動法(S−パラメータネットワークアナライザ8720ES;アジレント製)を用い、周波数10GHzの誘電率を測定した。
【0050】
(5)絶縁破壊電圧:絶縁皮膜を黄銅製平行平板電極30mmΦで挟み、初期1kV荷電から0.5kV/minで昇圧し、課電し破壊時の電圧を測定した。
【0051】
表1に示す通り、実施例1〜6では、比較例1、2と比較して絶縁塗料の安定性、可とう性、導体との密着性が同等であり、ポリアミドイミド樹脂塗料あるいはポリイミド樹脂塗料からなる絶縁皮膜の諸特性を維持していることがわかる。
【0052】
また、実施例1〜6において、5%重量減少温度、及び絶縁破壊電圧については、比較例1及び2よりも高く、耐熱性及び絶縁破壊特性が向上している。これに加え、実施例1〜6では、従来(比較例1、2)よりも誘電率が低くなっており、ポリアミドイミド樹脂塗料あるいはポリイミド樹脂塗料からなる絶縁皮膜の諸特性を維持しながら低誘電率の絶縁皮膜が得られる。
【0053】
これに対し、比較例3では、樹脂塗料の樹脂分100重量部に対してフェニルトリアルコキシシランの配合量が3重量部未満であることから、誘電率の低い絶縁皮膜が得られていない。また、絶縁破壊特性については従来(比較例1、2)と同等かそれよりも劣る絶縁皮膜となる。
【0054】
また、比較例4及び5では、絶縁塗料の安定性が悪く、特に、比較例4においては導体との密着性が従来よりも劣る結果となり、また、比較例5においては、絶縁塗料化が出来なかった。これは、樹脂塗料の樹脂分100重量部に対するフェニルトリアルコキシシランの配合量が多くなったことが起因すると考えられ、少なくとも樹脂塗料の樹脂分100重量部に対するフェニルトリアルコキシシランの配合量は100重量部以下であることが好ましい。
【0055】
本発明の実施の形態においては、ポリアミドイミド樹脂あるいはポリイミド樹脂からなる樹脂塗料に、純水と樹脂塗料の樹脂分100重量部に対して3〜100重量部配合されたフェニルトリアルコキシシランとを分散させてなる電線用絶縁塗料を、導体上に直接塗布し、焼付けしたが、他の有機絶縁塗料からなる絶縁層を介しても同様の作用、効果が得られる。また、導体上にシランカップリング剤を塗布して皮膜を形成し、その皮膜上に本発明の電線用絶縁塗料を塗布、焼付けしてなる絶縁皮膜を形成することにより、上述の特性を得られると共に、密着性をさらに向上させることが可能である。
【0056】
また、本発明の実施の形態においては、絶縁皮膜の外周あるいは最外層に、潤滑層を設けることにより、上述の特性に加え、エナメル線の潤滑性を向上させることができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また実施の形態で説明した特徴の組合せ全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料中に、フェニルトリアルコキシシランと純水とが分散されて成る電線用絶縁塗料であって、前記フェニルトリアルコキシシランが前記樹脂塗料の樹脂分100重量部に対して3〜100重量部含有されていることを特徴とする電線用絶縁塗料。
【請求項2】
前記フェニルトリアルコキシシランは、フェニルトリエトキシシラン、もしくはフェニルトリメトキシシランからなる請求項1に記載の電線用絶縁塗料。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電線用絶縁塗料を、導体上に直接又は他の絶縁層を介して塗布、焼付して形成された絶縁皮膜を有することを特徴とする絶縁電線。
【請求項4】
前記絶縁皮膜は、前記導体上に形成されたシランカップリング剤からなる皮膜上に形成されている請求項3に記載の絶縁電線。

【公開番号】特開2010−40320(P2010−40320A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201752(P2008−201752)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【出願人】(591039997)日立マグネットワイヤ株式会社 (63)
【Fターム(参考)】