説明

電線用補強シート及びそれを用いた電線補修方法

【課題】本発明は、芯線接続部の電気的接続の信頼性を損なうことなく、芯線接続部を形成するために外被の除去された部分を効果的に補修でき、しかも外被の除去された部分を作業性良く補修することができる、電線用補強シート及びそれを用いた電線補修方法を提供する。
【解決手段】電気的に相互接続した電線50,51の外被52,53が除去された被覆除去部分を樹脂で補修するために、被覆除去部分を包み込むように電線50,51に装着される電線用補強シートであって、細長い板材5が複数並列に連結して形成され、板材5の長手方向に直交する方向に屈曲自在である。隣接する各一対の板材を可撓性を有する連結部により連結することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に相互接続した電線の外被が除去された被覆除去部分を包み込むように、電線に装着される電線用補強シート及びそれを用いた電線補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電線の電気的相互接続は、電線の長さを延長したり、幹線から支線を分岐させたりするために、外被が除去されて露出した芯線同士を電気的に相互接続することにより行われる。電線の接続後、外被の除去された部分は、元の電線と同じ機能を有するように種々の方法で補修される。電線補修方法の一例としては、特許文献1に開示されている方法がある。この電線補修方法は、上下に二分割された半割状の一対のケース内に相互接続した芯線の接続部を収容した状態で溶融樹脂を充填し、この溶融樹脂が固化することにより芯線の接続部を一対のケースと一体化させるものである。溶融樹脂には、二液タイプの低粘度のエポキシ樹脂やポリウレタン樹脂が用いられる。固化した溶融樹脂は、接続部の周囲で絶縁層を形成すると共に、接続部とケースとの間を封止するようになっている。
【0003】
しかしながら、この電線補修方法では、一対のケースを用いるために芯線の接続部近傍が部分的に肥大化してしまい、比較的スペースの広い場所でないと適用することができないという制約があった。また、一対のケース内に収容される接続部の寸法が小さい場合には、一対のケースと芯線接続部との間に大きな隙間が存し、この大きな隙間を封止するために充填される溶融樹脂の量が増えるといった問題があった。
【0004】
また、従来の電線補修方法の他の一例として、特許文献2に開示されている方法がある。この電線補修方法は、一対のケースを用いないで電線を修復する方法である。この方法では、芯線接続部がアクリル系樹脂やウレタン系樹脂などの液性のコーティング材で被覆され、さらにその外側がテープや、塩化ビニル樹脂で被覆されるようになっている。しかし、この電線補修方法は、工場などの室内で行われ、取り扱いが容易な細く軽い電線を補修する方法であり、地中に埋設されたり、U字状のトラフに沿って配索されたりする重量が重いケーブルなどの電線を、作業スペースの狭い現場において接続する場合には適用することができないものであった。
【0005】
電気的に相互接続した太く重いケーブル同士を、これらのケーブルが実際に使用されている現場において補修する電線補修方法の一例として、以下のような方法がある。この方法で補修するケーブルには、例えば、50対程度の信号線をステンレスやアルミニウム合金などの金属でシールドした状態で束ねるφ20mm〜φ70mmのシールドケーブルがある。補修方法は、図11に示すように、外被52,53を除去して露出させた双方のケーブル50,51の信号線54,55(芯線)を圧着スリーブ56を介して相互接続して芯線接続部61を形成する接続部形成工程と、図14に示すように、外被52,53を除去した部分65にメッシュ状の補修テープ57を重ね巻きしてケーブル50の太さを一様に整形する荒整形工程と、一方のケーブル50の外被52と他方のケーブル51の外被53とに跨ってメッシュ状の補修テープ57を巻回する仕上整形工程と、図15に示すように、補修テープ57の外側にビニルテープ58を重ね巻きし、樹脂充填用の筒部59を除いて補修テープ57の外側をビニルテープ58で封止する外装整形工程と、筒部59の樹脂充填口60から溶融樹脂を充填する樹脂充填工程と、溶融樹脂を自然乾燥などにより固化させる樹脂固化工程と、を備えている。充填された溶融樹脂は、メッシュ状の補修テープ57の網目を通って気泡を外へ追い出しながら補修箇所の全体に浸透する。これにより、芯線接続部61が溶融樹脂によって防水保護されると共に、固化した溶融樹脂によって外被52,53の除去部分65が補修され、元のケーブル50,51と同程度の状態に戻されるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−233247号公報
【特許文献2】特開平7−22088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図13〜15に示す電線補修方法において、例えば、U字状トラフに配設されている多数本の太く重いケーブルを撚り分けた状態で、かつ、接続対象のケーブルだけを持ち上げながら前記工程の作業を強いられることがあり、このような作業性の良くない場合において、より容易に電線を補修できる方法が求められていた。また、このような作業は経験が必要とされる作業であるため、経験の浅い作業者には必ずしも容易に実施できるものではなかった。特に、補修テープ57やビニルテープ58を重ね巻きする整形工程では、ケーブル50,51の周囲にテープ57,58を巻回するための作業スペースを形成する必要があるが、輻輳する多数のケーブルの中から1本を取り出して、上に浮かせた状態を維持しながらテープ57,58を補修箇所の一端から他端に向かって移動しながら繰り返し重ね巻きするには多大な時間を要していた。しかも、ケーブル50,51の補修部分が溶融樹脂を充填する際の押し付け力によって曲がったり、充填された溶融樹脂の内圧によってテープ57,58の重ね合わせ部分から樹脂が漏出したりすることがないように、補修テープ57やビニルテープ58を強い力で巻回しなければならず、力加減やテープ57,58の巻き方などの要領といったものがあり、作業に熟練が必要とされていた。
【0008】
樹脂充填工程で筒部の樹脂充填口60から、流動性の低い高粘度の溶融樹脂を圧入(充填)する場合には、作業者の体重に相当する荷重がケーブル50,51の補修部分に軸直角方向から加わることもあり、このような場合にケーブル50,51が曲がらないようにしなければならなかった。ケーブル50,51を真っ直ぐに保つのは、ケーブル50,51の補修部分が曲がった状態で充填された溶融樹脂が固化すると、補修されたケーブル50,51を真っ直ぐに戻すことができなくなるためである。
【0009】
上記問題点に鑑み、本発明は、芯線接続部の電気的接続の信頼性を損なうことなく、接続した電線の外被の除去された部分を効果的に補強でき、また、外被の除去された部分を作業性良く補修することができる、電線用補強シート及びそれを用いた電線補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するため、請求項1に記載の電線用補強シートは、電気的に相互接続した電線の外被が除去された被覆除去部分を樹脂で補修するために、該被覆除去部分を包み込むように前記電線に装着される電線用補強シートであって、細長い補強部材が所定のピッチ間隔で複数並列に連結して形成され、前記補強部材の長手方向に直交する方向に屈曲自在であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の電線用補強シートにおいて、隣接する各一対の補強部材が可撓性を有する連結部により連結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の電線用補強シートにおいて、前記補強部材又は前記連結部に多数の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の電線用補修補強シートにおいて、前記補強部材の外面に多数の突起が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載の電線用補強シートにおいて、前記突起が前記補強部材の長手方向に条設された補強用の縦リブであることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項1に記載の電線用補強シートにおいて、硬質の前記補強部材と、該補強部材が外面又は内面の少なくとも一面に接着される軟質のシート主体部と、を備え、該シート主体部を介して隣接する各一対の補強部材が連結されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載の電線用補強シートにおいて、前記シート主体部の一側の広い領域に多数の前記補強部材が並べて接着された第1の領域が形成され、他側の狭い領域に前記補強部材が接着されていない第2の領域が形成され、前記シート主体部が前記電線の周囲を覆うように巻装されたときに、前記第1の領域の外側に前記第2の領域が重なることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載された発明は、請求項6又は7に記載の電線用補強シートにおいて、前記補強部材が前記シート主体部の内面に接着されていることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載された発明は、請求項6〜8の何れか1項に記載の電線用補強シートにおいて、前記シート主体部は網目を有するシート部材であり、該網目を前記樹脂が流れることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載された発明は、請求項6〜9の何れか1項に記載の電線用補強シートにおいて、前記樹脂を充填するための充填口を開口端に有する筒部を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載された電線補修方法の発明は、電気的に相互接続した電線の外被が除去された被覆除去部分を所定の太さになるように整形した後、請求項1〜10の何れか1項に記載の電線用補強シートを前記被覆除去部分に装着することと、前記電線用補強シートの外側を封止シートで封止した後、前記電線用補強シートの内側に溶融樹脂を充填して前記被覆除去部分の周囲を前記溶融樹脂で固めることと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本願の請求項1記載の発明によれば、元形状が展開形状である電線用補強シートを筒状に曲げて被覆除去部分に装着することで、細長い補強部材を被覆除去部分の周囲に配置させることができる。これにより、被覆除去部分は、電線用補強シートによって、被覆除去部分をテープで重ね巻きした場合と同程度ないしはそれ以上の強度に補強されることができる。また、被覆除去部分は、電線用補強シートの内側へ充填された絶縁性の樹脂が電線用接着補強シートと接着固化して一体化することにより防水保護されることができる。したがって、芯線接続部の電気的接続の信頼性を損なうことなく、電線の外被の除去された部分を効果的に補強でき、しかも外被の除去された部分を作業性良く補修することができる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、補強部材が可撓性の連結部により連結されているから、電線用補強シートの屈曲性が向上し、電線用補強シートを筒状に容易に曲げることができる。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、充填された樹脂は電線用補強シートの外面側と内面側との間を流れることができる。これにより、樹脂の流動性が向上し、電線用補強シートの両面側に樹脂を一様に充填することができる。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、補強部材の外面に形成された多数の突起の先端が、補強部材の周囲を封止した状態に覆う外装の内面に当接することで、補強部材と外装との間に樹脂を充填するスペースを形成することができる。これにより、芯線接続部の防水性を高めることができる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、突起が補強部材の長手方向に条設された縦リブであるから、電線用補強シートの曲げ強度を高めることができる。
【0026】
請求項6記載の発明によれば、補強部材がシート主体部とは別部材であるから、電線用補強シートの成形性を向上することができる。また、シート主体部に接着する補強部材の数を調整することにより、補強シートが巻装されるケーブルの太さに柔軟に対応できる。すなわち、ケーブルが太い場合は補強部材の数を増やし、ケーブルが細い場合は補強部材の数を減らすことで、ケーブルの太さに応じた大きさのシートを作成することができる。
【0027】
請求項7記載の発明によれば、シート主体部には、補強部材が並べて接着された第1の領域と、補強部材が接着されていない第2の領域が形成されているから、ケーブルに巻回される第1の領域を二重に重ならないようにすることができる。このため、補強シートが巻装されたケーブルが太くなるのを防止することができる。また、補強シートの内側に充填された溶融樹脂の流動性が損なわれることを回避することができる。
【0028】
請求項8記載の発明によれば、補強部材がシート主体部の内面に接着されているから、補強シートの外側に巻装されるビニルシートと補強部材との間に配置されるシート主体部が、溶融樹脂の充填スペースを形成することができる。
【0029】
請求項9記載の発明によれば、シート主体部は網目を有するシート部材であるから、網目を通して樹脂が流れることでき、補強シートの内面側と外面側の両側に溶融樹脂を流すことができる。
【0030】
請求項10記載の発明によれば、電線用補強シート内に筒部から溶融樹脂を充填することができるため、溶融樹脂を確実に充填でき、作業性を高めることができる。
【0031】
請求項11記載の発明によれば、被覆除去部分の周囲を電線用補強シートで覆うことによって、労力をかけることなく、被覆除去部分をテープで重ね巻きした場合と同程度ないしはそれ以上の強度に補強することができる。また、被覆除去部分は、電線用補強シートの内側へ充填された絶縁性の樹脂が固化することにより防水保護されることができる。したがって、芯線接続部の電気的接続の信頼性を損なうことなく、芯線接続部を形成するために被覆部除去部分の補修を作業性良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係る電線用補強シートの第1の実施形態を示す。電線用補強シート(以下、「補強シート」という)1は、使用状態が図8に示されているように、電気的に相互接続した芯線接続部61(図13参照)を含むケーブル50,51の外被52,53の除去された部分65に、筒状に屈曲した状態で装着されるものである。補強シート1は、樹脂の充填時にケーブル50,51が曲がらないように補強すると共に、樹脂の充填後は樹脂と接着固化して一体化されて芯線接続部61の機械的強度を保ち防水保護するものである。
【0033】
ここで、補強シート1が適用されるケーブル(電線)には、電話ケーブル、同軸ケーブル、通信用ケーブル、信号用電線、制御用電線、電源線などの各種用途に用いられるケーブルが含まれるものとする。個々のケーブルは、信号線の周囲が絶縁性を有する被覆部(外被)で覆われたものである。被覆部の材質には、信号線の保護性や可撓性などに優れる塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂が適用される。被覆部が除去された端部は、注入される溶融樹脂が信号線を伝って中に流れ込まないようにするため、通常は端部にシーリングパテを詰めた後に、自己融着テープが巻回されている。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の補強シート1は、改良されたポリオレフィン系の合成樹脂を構成材料として一体成形されたものであり、元形状が展開形状であるシート主体部2と、開口端が溶融樹脂の充填口16である筒部3とから構成されている。シート主体部2は、矩形状をなし、横方向に所定の間隔で並列に配置された多数の細長い板材(補強部材)5と、隣接する一対の板材5,5を連結している連結部6とを備えている。筒部3は、充填される溶融樹脂が効率良く充填スペースに万遍に行き渡るように、シート主体部2の中央に一体的に設けられている。
【0035】
図1〜図6を参照して、シート主体部2について詳細に説明する。本実施形態のシート主体部2は、横方向の寸法より縦方向(長手方向)の寸法が長い長方形状をなし、7列に並んでいる板材5と、隣接する板材5を連結する連結部6と、から構成されている。連結部6は、隣接する一対の板材5,5を屈曲自在に連結するものであり、電線に対して巻きつけられる程度の可撓性を有するように、例えば板材5の厚み寸法の1/4〜1/10程度の厚みに形成することができる(図2参照)。隣接する2つの板材5の間隔(連結部6の幅)は、全てが同一の間隔(均等間隔)でも良いし、全てが同一でない間隔(不等間隔)でも良い。また、板材5の幅も、全てが同一の幅でも良いし、全てが同一でない幅でも良い。すなわち、連結部6の幅や板材5の幅は、任意であり、本実施形態のようにそれぞれ同一の幅に設定することに制限されるものではない。
【0036】
また、連結部6には、縦方向に所定の間隔で多数の小さな貫通孔7が形成されている。貫通孔7は、シート主体部2の外面側と内面側とに連通しているため、シート主体部2の両側に充填された樹脂を流すことができる。これにより、樹脂の流動性が向上し、シート主体部2の両側に溶融樹脂を一様に充填することができるようになっている。
【0037】
板材5は連結部6に比べて幅広で、かつ厚肉の寸法に形成され、連結部6は幅狭かつ薄肉の寸法に形成されている(図2参照)。すなわち、断面二次モーメントの性質から判断できるように、板材5は剛性が高く、連結部6は板材5とは逆に剛性が低くなっている。このため、シート主体部2は、連結部6を支点として横方向に容易に曲がるようになっているが、逆に、縦方向には曲がりにくくなっている。これにより、シート主体部2は、ケーブル50,51を包み込むように筒状に曲げられ(図4〜6,8参照)、ケーブル50,51の外面に密着した状態で装着されるようになっている。シート主体部2が縦方向に曲がりにくいことで、ケーブル50,51がシート主体部2により補強されてケーブル50,51の真直状態が保持されるようになっている。
【0038】
板材5には、多数の小孔8が縦方向に任意の間隔で貫通形成されている。小孔8を通して補強シート1の外面9a側と内面9b側との間で充填された樹脂が流れることができる。これにより、樹脂の流動性が向上し、補強シート1の両面側9a,9bで樹脂を一様に充填することができる。
【0039】
板材5は、図2示すように、長手方向と直交する幅方向に沿って切断した断面の形状が弧状に形成されている。このため、シート主体部2を横方向に曲げ易くなり、このシート主体部2を筒状に曲げたときに滑らかな筒形状が得られると共に、シート主体部2とケーブル50,51(図7)との間の隙間が少なくなり、ケーブル50,51の外径を小さく、かつより強く補強することができる。なお、板材5の断面形状は平板状(矩形)であっても良い。
【0040】
また、各板材5の外面9aには、後述する外装ビニルシート23(図10)との間で樹脂の充填スペースを形成(確保)するためと、曲げに対するシート主体部2の剛性を高めるために、幅方向で等間隔に縦リブ12が条設されている。樹脂の充填スペースは、縦リブ12の先端が外装ビニルシート23の内面に当接することにより、縦リブ12の高さに応じた樹脂スペースが確保されるようになっている。すなわち、縦リブ12の高さ寸法で樹脂厚みが一定に制御されるようになっている。樹脂の充填スペースを確保する観点からは、本実施形態のように、縦リブ12はシート主体部2の縦方向(長手方向)で一端から他端に渡って形成されることが好ましいが、必ずしも縦リブ12は一端から他端の間で連続して形成されている必要はない。また、リブ12の代わりに半球形や直方形などの突起を外面9aに設けてもよい。例えば、リブ12の一部に切欠きを設けて、横方向への溶融樹脂の流動性を良くすることもできる。この場合、切欠きの位置は、切欠きを形成したことによる強度低下を防止するため、隣接するリブ12の切欠きが横方向に揃わないようにすることが望ましい。また、シート主体部2の剛性を高めるという観点からは、縦リブ12を縦方向の全長に渡って形成する必要はなく、ケーブル50,51を支持する支点間に部分的に縦リブ12が設けられていれば良い。更に言えば、リブの高さも全体にわたって同じ高さにする必要はなく、例えば曲げモーメントの一番大きくなる中央付近のリブを高くし、端部にいくほどリブが低くなるようにすることが出来る。これによって補強シート1の外側に充填する樹脂量を最小限にしながら、高い強度を発生させることが可能となる。
【0041】
本実施形態では、各板材5の板面9a,9bに4本の縦リブ12が突設されているが、縦リブ12の本数は任意であり、2本、3本、5本、6本などとすることも可能である。シート主体部2の剛性を高めるという観点から、シート主体部2を支持する支点及び力の作用点において、部分的に縦リブ12の本数を増やすことも可能である。また、縦リブ12の幅及び高さ寸法、すなわち、縦リブ12の断面形状もシート主体部2の剛性との関係から決定されるものであり、本実施形態では、26mmの各板材5の幅寸法aに対して、縦リブ12は幅bが2mm、高さcが2mmに形成されている。
【0042】
なお、図3及び図6に示すように、板材5の内面9bにも縦リブ13を突設することも可能である。内面9bにも縦リブ13を設けることで、板材5の断面積が大きくなり、曲げに対する剛性がより一層高まる。さらに、剛性を保ったまま外面9aのリブ高さを低くできるので、補強シート1とビニルシート23との間の空間が減少し、補強部の充填に必要な樹脂量が削減される。内面9bの縦リブ13に関しても、外面の縦リブ12と同様に、リブの位置、リブの本数、リブの断面形状などを任意に設定することができる。
【0043】
また、板材5の板面9a,9bには、縦リブ12,13に直交する方向で横リブを形成することも可能である。図3及び図6は板材5の内面に横リブ30を設けた補強シート1の一実施形態を示している。横リブ30は、縦リブ12,13と同様にシート主体部2の剛性を高めるものとして、隣接する縦リブ12,13の間で、縦方向に所定の間隔で多数設けることができる。横リブ30は、シート主体部2に対して作用する力Fの方向(図6)に平行に配置されているとき、すなわち、横リブがシート主体部2の左右両側に配置されているときに、筒状のシート主体部2の潰れを効果的に防止する。補強シート1とビニルシート23との空間への樹脂の充填性から、横リブ30は板材5の内面9bに設けるほうが好ましい。樹脂は筒部3の充填口16を通って補強シート1内側の接続部に供給され、その後補強シート1の外面9aに達するため、最後に樹脂が充填される補強シート1の外面9a側の樹脂流動性が阻害されず、気泡を残さずに樹脂を充填することがより容易になるためである。なお、横リブも縦リブ12,13と同様に、リブの位置、リブの本数、リブの断面形状などを任意に設定することができる。
【0044】
図5などに示すように、溶融樹脂を充填するための筒部3は、シート主体部2に対して略垂直に立設され、根元側の基部14と、基部に続く先端部15とを有している。基部14は、平坦部17を介してシート主体部2の板材5に一体的に連結している。先端部15には、開口端に樹脂充填口16(図1)が形成されている。樹脂充填口16内には図示しない逆止弁が設けられており、充填された溶融樹脂が接続部から外部へ逆流することが防止されるようになっている。また、先端部15の図示しない貫通孔の内面には、樹脂ディスペンサ18の先端部に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。樹脂ディスペンサ18を筒部3に装着した後、溶融樹脂がシート主体部2の内側に充填される。
【0045】
溶融樹脂には、充填時(凝固前)の粘度が1000〜7000mPa・Sのもので、充填後(凝固後)において、引張強度が5〜100MPa、体積固有抵抗(絶縁性)が1011Ω・m以上、接着力(防水性)が0.5MPa以上のものが好適に用いられる。例えば、このような条件を満足する溶融樹脂として、ポリウレタン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。ポリウレタン樹脂は、常温における粘度が低く、特に樹脂の浸透性や回り込み性に優れる。一方、エポキシ樹脂は、常温における粘度が高いものの、ポリウレタン樹脂と同様に強度や絶縁性や防水性が高いものである。エポキシ樹脂は粘度が高いため、ポリウレタン樹脂に比べると浸透性や回り込み性に劣るものであるが、後述するメッシュサイズの大きいスペーサシート19(図7)を用いることによって、樹脂の浸透性や回り込み性を改善することができる。本実施形態では、樹脂の充填スペースに気泡が残留しづらいという点でエポキシ樹脂が用いられているが、他の樹脂を用いることも可能である。
【0046】
エポキシ樹脂など粘度の高い溶融樹脂を用いる場合には、流動性が低いため、樹脂を充填する際に作業者が樹脂ディスペンサに体重を載せながら充填する必要がある。接続部にかかる荷重Fは、筒部3を介してシート主体部2に曲げとして作用することとなる。荷重Fが大きい場合には、数10kg程度になることもある。”発明が解決しようとする課題”の欄で説明したように、荷重Fでケーブル50,51が曲がらないようにするため、テープ57,58を強く重ね巻きしてケーブル50,51を補強することもできるが(図14,15参照)、本発明では、補強シート1をケーブル50,51の補修部分に装着するだけでケーブル50,51を補強することができるようになっている。したがって、粘度の高い溶融樹脂を用いたことによる電線の接続品質を高めることができると共に、粘度の高い溶融樹脂を用いた場合の作業性を向上することができる。
【0047】
次に、補強シートの第2の実施形態を図11及び図12に示す。本実施形態の補強シート80は、それぞれが別部材である補強部材81と、シート主体部90と、筒部95とを備え、これらが接着により一体化されている点で、第1の実施形態の補強シート1と相違する。シート主体部90は一枚のシート状の部材からなっており、このシート主体部90を介して多数の補強部材81が横一列に並んだ状態で相互に連結されているから、本実施形態のシート主体部90は第1の実施形態の連結部6に相当する機能を有している。補強部材81の材質には、例えば、補強シート1の板材5に適用された硬質材料と同じ樹脂材料を適用することができる。本実施形態のシート主体部90は、網目を有するネットであり、図7に示す軟質のスぺーサシート19と同様の構造を有するものであるが、樹脂材料からなるシートに複数の孔を開けたものを使用することもできる。筒部95は、第1の実施形態の筒部3に相当する。
【0048】
シート主体部90は、補強部材81が並べて接着されている第1の領域91と、補強部材81が接着されていない第2の領域92と有している。第1の領域91は、補強シート80がケーブル50,51の周囲を覆うように巻装されたときに、ケーブル50,51を曲がらないように補強する領域であり、ケーブル50,51の周囲でオーバラップしないサイズを有している。すなわち、ケーブル50,51が太い場合は補強部材81の数を増やして第1の領域91を大きくし、ケーブル50,51が細い場合は補強部材81の数を減らして第1の領域91を小さくすることができる。これにより、ケーブル50,51の太さに応じた大きさにこの領域を形成することができる。
【0049】
補強部材81をシート主体部90(第1の領域91)に接着する方法は制限されるものではないが、一例として、超音波溶着を適用することができる。超音波溶着は、周知のように、比較的簡易な設備を使用して、圧力と超音波による振動を同時に加えて摩擦熱によって、主として熱可塑性樹脂同士を接着する方法であり、補強部材81とシート主体部90との接着に好適する。また、超音波溶着は、接着される両部材を局所的に比較的小さい面積で接着することができるため、一度接着した両部材を比較的容易に取り外すことも可能である。本実施形態では、超音波溶着のこのような性質を利用して、補強部材81とシート主体部90が多数のスポット溶着部83を介して接着されている。これにより、シート主体部90に接着された補強部材81をケーブル50,51の太さに応じて取り外すことができ、第1の領域91の大きさを容易に調整することができる。
【0050】
第1の領域91の大きさを調整する他の方法としては、補強部材81間のシート主体部90をはさみ等で切って不要な第1の領域91を切り離したり、さらには、補強部材81間のシート主体部90で折り返し、不要な第1の領域91を巻回した時に、第1の領域91をケーブル50,51に重なるように巻きつけたりすることでも調整が可能である。このように、容易に補強シート80の大きさを調整できると、複数の大きさのシートを用意しなくても、ある程度のケーブルの太さの違い(ばらつきを含む)に対応できるため、特に、工事現場での作業には好都合である。
【0051】
また、本実施形態において、補強部材81はシート主体部90の内面に接着され、補強シート80をケーブル50,51に巻回したときに、補強部材81が補強シート80の内側に位置するようになっている。言い換えると、補強シート80の外側にシート主体部90が位置するようになっている。これにより、シート主体部90は第1の実施形態のリブ12に相当する機能を奏し、補強シート80の外側に巻装されるビニルシート23と補強部材81との間で、溶融樹脂の充填スペースを形成することができる。なお、シート主体部90に接着された補強部材81の位置する側は本実施形態に制限されるものではなく、シート主体部90の外面又は両面に接着することも可能であるが、補強部材81をシート主体部90の外面に接着した場合には、補強部材81の外面に溶融樹脂の充填スペースを形成するためにリブを形成することが好ましい。
【0052】
第2の領域92は、補強シート80がケーブル50,51に巻装されたときに、第1の領域91の外側に重なる領域である。第2の領域92が第1の領域91の外側に重なった状態で、第2の領域92の外側に第1の実施形態の図8で示すような結束バンド20が装着される。第2の領域92には補強部材81が接着されていないから、補強シート80内に充填された溶融樹脂の流動性が損なわれることもない。補強シート80をケーブル50,51に巻装する際には、作業者が第2の領域92を引っ張りながら補強シート80を巻装することができ、補強シート80をケーブル50,51に巻装する作業性を高めることもできる。
【0053】
筒部95は、第2の領域92側の第1の領域91に設けられている。筒部95の構成自体は、第1の実施形態の図6などに示す筒部3の構成と同様であるが、第1の実施形態の筒部3は、その平坦部17を介して板材5に一体的に設けられているのに対して、本実施形態の筒部95は平坦部17を介してシート主体部に接着されている点が相違する。筒部95の接着には、例えば、超音波溶着法を適用することができる。筒部95の設置位置は制限されるものではないが、本実施形態のように、第2の領域92側に設けることで、補強シート80をケーブル50,51に巻回したときに、第1の領域91上で第2の領域92の重なる領域を作ることができる。
【0054】
次に、図7〜10及び図13に基づいて、第1の実施形態の補強シート1を用いた電線補修方法について説明する。なお、第2の補強シート80を用いた場合も、同様の方法でケーブル50,51を補修することができる。本実施形態の電線補修方法は、外被52,53の除去された部分を元のケーブル50,51と同じ機能を奏する状態に戻す方法であり、一例として、図13に示すように、一方の太いケーブル50の中間部分に他方の細いケーブル51の端部が分岐接続したケーブル50,51を補修の対象とする。図示されるように、双方のケーブル50,51の接続部分の近傍では、所定の長さで外被52,53が除去されており、多数の細い信号線54,55と、芯線部を相互接続している圧着スリーブ56とが露出した状態となっている
【0055】
先ず、双方のケーブル50,51の外被52,53を除去した部分に、図7に示すように、溶融樹脂を回り込ませる程度に大きいメッシュサイズのスぺーサシート19をチューブ状にして、双方のケーブル50,51の被覆部52,53に跨るように装着する。スぺーサシート19は改良されたオレフィン樹脂などの繊維を立体的に編んだメッシュ状の矩形シートであり、接続部を1〜2回巻くことが出来る程度の大きさを有する。スぺーサシート19は、少なくとも一巻きされた後、解れないように両端側の2箇所の位置で結束バンド20を結束することにより、ケーブル50,51に装着される。スぺーサシート19の両端部とケーブル50,51との間の隙間は、発泡ゴム製のシーリング部材21を取り付けることによって、封止される。
【0056】
続いて、図8に示すように、スぺーサシート19の外側を樹脂スペース内の気泡を外部に排出するパイプ22と共に本発明にかかる補強シート1で包み込むように、補強シート1をケーブル50,51に装着する。補強シート1は、少なくとも一巻きされた後、解れないように両端側の2箇所の位置で結束バンド20などで結束することにより、ケーブル50,51に装着される。図示例では、樹脂を充填するための筒部3は補強シート1の幅広の上面に位置しているが、図9に示すように、幅狭の側面に位置させることもできる。
【0057】
次に、図10に示すように、筒部3の充填口16を除いて補強シート1及びシーリング部材21を密閉した状態に覆うように透明なビニルシート23を装着する。ビニルシート23の長手方向一端部には全長に渡って強接着両面テープが予め貼り付けられており、ビニルシート23の重ね合わせ部分で溶融樹脂が漏出しないようにシールされる。また、筒部3の周囲においても同様に強接着両面テープが予め装着されており、筒部3の平坦部17に対して粘着してここでもシーリングをする。ビニルシート23の両端部とケーブル50,51との間の隙間は、シーリングテープ24などで封止する。なお、補強シート1及びシーリング部材21を密閉した状態に覆うビニルシート23は、溶融樹脂との密着性、軟質性、透明性などを有することが望ましく、ポリオレフィン系や酢酸ビニル系の材料で作られたものを用いることもできる。
【0058】
最後に、筒部3の充填口16に樹脂ディスペンサ18を取り付け、樹脂ディスペンサ18に荷重を加えながら溶融樹脂を補強シート1の内側へ充填する。樹脂としては住友スリーエム製の<スコッチキャスト> No.12レジンが好適に使用できる。樹脂充填スペース内の気泡はパイプ22を通って外へ排出され、樹脂が充填スペースの全体に回り込んでいく。ケーブル50,51には補強シート1が装着されているから、樹脂ディスペンサ18に荷重を加えても補強シート1及びケーブル50,51の曲がりを最小限にし、ケーブル50,51が真っ直ぐに保持された状態で溶融樹脂を充填することができる。溶融樹脂が自然乾燥などにより固化することで、芯線の接続部が溶融樹脂によって防水保護されると共に、固化した溶融樹脂によって外被52,53の除去した部分が補修され、元のケーブル50,51と同程度の状態に戻される。樹脂の充填後には、必要に応じて、例えば黒色のビニルテープ等を全体的に巻きつける。
【0059】
以上により、本実施形態の補強シート1及び電線補修方法によれば、補強シート1を筒状に曲げて外被52,53を除去した部分に装着することで、細長い板材5を外被52,53を除去した部分の周囲に配置させることができ、外被52,53を除去した部分を溶融樹脂の充填時の荷重によって、曲がらないように補強することができる。また、外被52,53の除去された部分の補修を手間をかけずに作業性良く行うことができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に制限するものではなく、他の形態で実施することもできる。本実施形態では、補強部材が板材5として形成されているが、補強部材を棒材、平板、丸又は角パイプ材、硬質の芯材を内部に有する二重構造のパイプ材などとすることも可能である。
【0061】
別の実施態様では、均一な厚みの可撓性シートを使用して、板材に相当する部分に縦方向と横方向のリブを設けて剛性をもたせることで補強シートを構成することも可能である。この場合、横方向のリブがない領域が連結部となり、板材と連結部との厚みを同じにしても、本発明の補強シートを構成することが出来る。
【0062】
また、本実施形態では、補強部材としての板材5が長手方向で同一幅に形成されているが、本発明は同一幅に形成することに制限するものではなく、板材5の一方の端部の幅が他方の端部の幅より狭く形成し、補強シート1を筒形に丸めたときに、筒形を円錐筒形状とすることもできる。
【0063】
また、本実施形態の補強シート1は、充填されるエポキシ樹脂に対する物性値の類似性、接着性、熱衝撃性、強靭性、剛性などの性質を考慮して、改良されたポリオレフィン系樹脂材料を構成材料としているが、異なる充填材料を用いる場合には、ポリエチレンやポリプロピレンなどの他の樹脂材料から補強シート1を構成することもできる。
【0064】
また、本実施形態では、補強シート1の連結部6は板材5に一体的に形成されているが、連結部6を板材5とは別部材とすることもできる。
【0065】
また、本実施形態では、樹脂充填口16を有する筒部3が板材5に一体的に形成されているが、筒部3を別部材として、板材5に後付けすることも可能である。
【0066】
また、本実施形態では、板材5が厚肉の寸法に形成され、連結部6が薄肉の寸法に形成されているが、板材5を硬質材料で形成し、連結部6を軟質材料で形成することも可能である。
【0067】
また、補強シート1のサイズはケーブルサイズに応じて変更可能であり、補強シート1の幅寸法や長さ寸法を調整することにより、ケーブル50,51のサイズ変更に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る補強シートの第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す補強シートの側面図である。
【図3】同じく図1に示す補強シートの変形例を示す側面図である。
【図4】同じく図1に示す補強シートを筒形にした状態の平面図である。
【図5】図4に示す補強シートの正面図である。
【図6】同じく図4に示す補強シートの側面図である。
【図7】ケーブルを補修するために、ケーブルの外被の除去した部分にメッシュシートが装着された状態を示す斜視図である。
【図8】ケーブルにメッシュシートが装着され後、補強シートが装着された状態を示す斜視図である。
【図9】筒部の位置を変更した変形例を示す斜視図である。
【図10】補強シートの外側をビニルシートで密閉した状態を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る補強シートの第2の実施形態を示す平面図である。
【図12】図11に示す補強シートの断面図である。
【図13】従来の電線補修方法の一例を示し、電線の接続状態を示す斜視図である。
【図14】同じく従来の電線補修方法の一例を示し、接続部の周囲を補修テープで重ね巻きした状態を示す斜視図である。
【図15】同じく従来の電線補修方法の一例を示し、補修テープの外側をビニルテープで重ね巻きした状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1,80 補強シート(電線用補強シート)
2 シート主体部
3 筒部
5 板材(補強部材)
6 連結部
12 縦リブ
19 スぺーサシート
81 補強部材
90 シート主体部
91 第1の領域
92 第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に相互接続した電線の外被が除去された被覆除去部分を樹脂で補修するために、該被覆除去部分を包み込むようにして前記電線に装着される電線用補強シートであって、
細長い補強部材が複数並列に連結して形成され、前記補強部材の長手方向に直交する方向に屈曲自在である電線用補強シート。
【請求項2】
隣接する各一対の補強部材が可撓性を有する連結部により連結されている請求項1に記載の電線用補強シート。
【請求項3】
前記補強部材又は前記連結部に多数の貫通孔が形成されている請求項2に記載の電線用補強シート。
【請求項4】
前記補強部材の外面に多数の突起が形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の電線用補強シート。
【請求項5】
前記突起が前記補強部材の長手方向に条設された補強用の縦リブである請求項4に記載の電線用補強シート。
【請求項6】
硬質の前記補強部材と、該補強部材が外面又は内面の少なくとも一面に接着される軟質のシート主体部と、を備え、該シート主体部を介して隣接する各一対の補強部材が連結されている、請求項1に記載の電線用補強シート。
【請求項7】
前記シート主体部の一側の広い領域に多数の前記補強部材が並べて接着された第1の領域が形成され、他側の狭い領域に前記補強部材が接着されていない第2の領域が形成され、前記シート主体部が前記電線の周囲を覆うように巻装されたときに、前記第1の領域の外側に前記第2の領域が重なる、請求項6に記載の電線用補強シート。
【請求項8】
前記補強部材が前記シート主体部の内面に接着されている、請求項6又は7に記載の電線用補強シート。
【請求項9】
前記シート主体部は網目を有するシート部材であり、該網目を前記樹脂が流れる、請求項6〜8の何れか1項に記載の電線用補強シート。
【請求項10】
前記樹脂を充填するための充填口を開口端に有する筒部を備えた請求項6〜9の何れか1項に記載の電線用補強シート。
【請求項11】
電気的に相互接続した電線の外被が除去された被覆除去部分を所定の太さになるように整形した後、請求項1〜10の何れか1項に記載の電線用補強シートを前記被覆除去部分に装着することと、
前記電線用補強シートの外側を封止シートで封止した後、前記電線用補強シートの内側に溶融樹脂を充填して前記被覆除去部分の周囲を前記溶融樹脂で固めることと、
を備えた電線補修方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate