電線通線用器具及び電線通線方法
【課題】建造物に配管された電線管に複数本の電線を円滑良好に通線できる電線通線用器具及び電線通線方法を提供する。
【解決手段】電線通線用器具1は、電線管101の開口端部に挿脱自在に係入可能なテーパー管体21で構成した差込み管部2と、テーパー筒状体31で構成し、差込み管部の基端に連結固定して設けた電線ガイド部3と、ガイド部3内に固定して設けた整線部4とを備える。整線部4は電線を挿通可能な挿通孔41aで構成した複数個の整線用誘導部41を備えている。電線を挿通孔に一本宛づつ挿通してテーパー管体の先端から導出させ、電線の各導出端部を電線牽引先導用線111の端部に連結した後、テーパー管体を電線管の開口端部に係入し、先導用線を牽引して通線する。
【解決手段】電線通線用器具1は、電線管101の開口端部に挿脱自在に係入可能なテーパー管体21で構成した差込み管部2と、テーパー筒状体31で構成し、差込み管部の基端に連結固定して設けた電線ガイド部3と、ガイド部3内に固定して設けた整線部4とを備える。整線部4は電線を挿通可能な挿通孔41aで構成した複数個の整線用誘導部41を備えている。電線を挿通孔に一本宛づつ挿通してテーパー管体の先端から導出させ、電線の各導出端部を電線牽引先導用線111の端部に連結した後、テーパー管体を電線管の開口端部に係入し、先導用線を牽引して通線する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電線管に電線を通線する際に使用する電線通線用器具及び電線通線方法に関する。さらに詳しくは、ビルディングやマンションその他の各種建造物に配管されている電線管に、絶縁被覆を施したIV電線やコード、或いはケーブル等の複数本の電線を通線する際に使用する電線通線用器具及び電線通線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記電線管に複数本の電線を通線する際には、一般に図11,図12に示す施工方法(通線方法)を採用している。以下、同図を参照して従来の通線方法につき説明する。図11,図12において、101は各種の建造物102に配管された電線管、103は壁、104,105はスイッチやコンセント、或いは分電盤等を設置する設置部で、設置部にはボックス106,107が設置されている。前記電線管101は両設置部のボックス106,107間に配管されている。108,109,110は通線する電線、108a,109a,110aは電線を輪状等に巻回した電線の巻回体、111は電線牽引先導用線(一般に「ヨビ線」と称されている)、112,113は作業員を示す。前記先導用線111は金属線で構成されている。
【0003】
そこで、従来は一方の設置部104側から従業員112が電線管101の開口端部に電線牽引先導用線111を入線し、線111を押し込みながら管101内を通過させて他方の設置部105側に通線する。そして、他方の設置部105側の作業員113は電線管101の他方の開口端部から押し出された前記線111の先端部に各電線108,109,110の端部を結着等116によりそれぞれ連結(ジョイント)した後、一方側の作業員112が先導用線111を牽引することにより各電線を電線管101に通線している。この場合、他方側の作業員113は牽引側の従業員112による線111の引くタイミングに合わせて電線の巻回体より各電線を引き出して送り込み作業を行なう。
【0004】
従来は上述した方法により通線作業を行なっている。しかるに、この従来の通線方法(以下、「従来方法」という)には次のような問題を有している。
(1)電線管への入線時の問題点
従来方法によると、図12aに示すように、電線は電線管101の開口端部101aの周縁部に接触し、摺接しながら牽引されて管111内に入線される。そのため、接触面での過負荷による電線の絶縁低下や電線被覆(導線114を被覆している絶縁被覆115)の損傷、摩擦熱による電線同士或いは電線と電線管との融着現象等が生じる。この場合において、従来方法は電線を管に入線する際に整線しないで実施するため、電線同士が捩れたり、絡み合ったまま入線し、この状態のまま通線されることが生じるので、前記した融着現象等が多く発生する。
(2)電線管中の曲がり部位での問題点
電線管はスイッチやコンセント並びに分電盤等の設置部を繋ぐものであるため、電線管の曲がり部分は、必然的に2箇所以上になる。この曲がり部分で電線通過時に掛る負荷は内側の方がより大きくなり、負荷率・摩擦係数がともに増大し、絶縁低下・導電率の低下など電気的な影響が生じる。
(3)通線潤滑剤の使用による問題点
従来方法は上述したように電線を整線しないで入線するので、電線同士が捩れたり、絡み合ったまま通線される。そのため、通線する際に摩擦抵抗の増大により電線に無理な力が加わり、通線作業を円滑に行なうことが出来ない場合が生じる。そこで、上記のような場合、従来方法においては、通線潤滑剤を用いて通線しているが、大量の潤滑剤が電線管に入ると享年(経年)劣化で硬化しやすく、改修工事などの際に電線を電線管から抜去する場合にはゴム状になった潤滑剤が障害となり抜去できない状態が頻繁に生じる。
【0005】
また、従来の通線関連発明として、ハンドホール内に開口した地中管路(地中埋設管)の開口端に、可撓性を有するロッドガイド管を接続し、ガイド管を通して通線ロッドを地中管路に通線する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この発明によれば、通線ロッドを地中管路に挿通させるロッド通線作業の作業性を向上することができる。
しかし、上記発明は一本の通線ロッドを地中管路に通線するものであって、建造物の電線管に複数本の電線を、上述した(1)〜(3)の問題を解消して通線できる技術は未だ提案されていないのが現況である。
【特許文献1】特開平9−65538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、上記(1)〜(3)のような問題を解消し得る電線通線用器具及び電線通線方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のうち1つの発明(第1の発明)は、建造物に配管された電線管に複数本の電線を通線する際に使用する電線通線用器具であって、
前記電線管の開口端部に挿脱自在に係入可能な差込み管部と、この差込み管部の基端に連結固定して設けた電線ガイド部、及び前記ガイド部内に固定して設けた整線部とを備え、
前記差込み管部は、両端を開口すると共に先端側から基端側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー管体で構成され、
前記電線ガイド部は、両端を開口すると共に前記連結端側から基端側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー筒状体で構成され、
前記整線部は前記電線を挿通可能な複数個の整線用誘導部を備えていることを特徴とするものである。なお、この明細書において、「電線」とは、絶縁被覆を施したIV電線やコード、或いはケーブル等を全て含む概念として用いられている。また、「建造物」は、ビルディングやマンションその他の各種の建造物が含まれる。
【0008】
本発明の電線通線用器具は、電線管に通線する電線を整線誘導部に一本宛づつ挿通して差込み管部の先端から導出させ、各導出端部を電線牽引先導用線の端部に結着等により連結する。次いで差込み管部を電線管の開口端部に係入した後、前記先導用線を牽引して通線するものである。
【0009】
本発明のうち他の1つの発明(第2の発明)は、第1の発明の電線通線用器具において、前記整線部は、外周部を前記テーパー筒状体の内壁面に固定して設けた板状体に前記電線を挿通可能な複数個の挿通孔を設けて構成され、前記各整線用誘導部は前記各挿通孔で構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のうち他の1つの発明(第3の発明)は、第1又は第2の発明の電線通線用器具において、前記電線ガイド部には、前記各差込み管部の中心線に対して任意の曲率でカーブするカーブ部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のうち、さらに他の1つの発明(第4の発明)は、第1ないし第3のいずれかの発明の電線通線用器具において、前記電線ガイド部のテーパー筒状体は、任意の曲率で曲げ可能な可撓性を有する金属材で構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のうち、さらに他の1つの発明(第5の発明)は、建造物に配管された電線管に、第1ないし第4のいずれかの発明の電線通線用器具を使用して複数本の電線を通線する電線通線方法であって、前記電線管に通線する所要本数の電線を、前記電線ガイド部の基端開口部側から前記整線部の整線誘導部に一本宛づつ挿通して前記差込み管部の先端から導出させた後、前記電線の各導出端部を電線牽引先導用線の端部に結着等により連結し、次いで前記差込み管部を前記電線管の開口端部に係入した後、前記先導用線を牽引して通線することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を奏する。(1)電線が電線管の開口端部の周縁部に接触しないで入線されるので、入線時における絶縁被覆の損傷を防止できる。(2)電線は整線部で整線されて入線されるので、電線同士が捩れたり、絡まったりすることなく、整然かつ円滑良好に通線することができる。(3)電線を整線することにより、通線時における電線に掛かる抵抗負荷が減少する。そのため、電線牽引先導用線を牽引する引っ張り力を低減させることができ、結果として電線に掛かる負荷を低減することができる。(4)通線潤滑剤を使用しなくても容易に通線作業を行なうことができる。(5)潤滑剤を使用しないことにより、潤滑剤の硬化や電線の硬化を防止できるので、改修工事などの際に電線を電線管から引き抜く作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を説明する。
【0015】
図1は本発明の電線通線用器具の一実施の形態を示す斜視図(a)及び縦断面図(b)、図2は整線部を拡大して示す縦断面図、図3は同上電線通線用器具の一部を拡大して示す縦断面図、図4は差込み管部を電線管へ連結する他の連結手段を示す説明図、図5は差込み管部を電線管の開口端部に係入する際の作用を説明するために示す説明図、図6および図7は同上電線通線用器具を使用して通線作業を施工している工程を示す説明図、図8は図7において、電線通線用器具を電線管に係入した部分を拡大して示す説明図、図9は通線される電線の電線管中の曲り部位における作用説明図である。なお、これらの図において背景技術の項の従来方法において既に説明した構成等と同一構成部分等には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0016】
上記図1ないし図9において、この実施の形態(実施の形態1)の電線通線用器具1は、建造物102に配管された電線管101に複数本の電線108,109,110を通線する際に使用する電線通線用器具である。前記通線用器具1は、電線管101の開口端部101aに挿脱自在に係入可能な差込み管部2と、この差込み管部2の基端に連結固定して設けた電線ガイド部3、及び前記ガイド部3内に固定して設けた整線部4とを備えている。
【0017】
前記差込み管部2は、両端を開口すると共に先端21a側から基端21b側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー管体21で構成されている。前記管体21のテーパー角度は適当に設定する。テーパー管体21の素材は特に限定するものではないが、ステンレス等の金属材や硬質のプラスチック材等を挙げることができる。実施の形態1ではステンレス等の金属材を採用している。また、実施の形態1では、テーパー管体21の内周壁面全体にシリコンでコーティングしたシリコン皮膜層22が形成されている(図3参照)。この皮膜層22は所望に応じて形成する。
【0018】
本発明の通線用器具1は、通線作業を施工する際に電線管101の開口端部101aに差込み管部2を係入して使用される。電線管は直径16ミリ〜31ミリ程度のものが一般に採用されている。
図5には、その一例が示されている。同図の電線管101,101A,101Bはそれぞれ直径を異にしている。即ち、図5に示す電線管の直径は、管101<管101A<管101Bのように構成されている。
【0019】
電線管は上記したように直径を異にしたものが使用されている。本発明においては、差込み管部2はテーパー管体21で構成されているため、差込み管部2の係入度合(差込み深さ)により、直径を異にする電線管に対応することができる。電線管の径差に対応できる範囲は差込み管部2のテーパー角度により調整することができる。なお、電線通線用器具1は、小径用、大径用、中間径用等のように、クラス分けして構成することもできる。
【0020】
前記電線ガイド部3は、両端を開口すると共に先端31a(前記管体21との連結端)側から基端31a側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー筒状体31で構成されている。前記筒状体31の先端31a側の径はテーパー管体21の基端21bの径と合致するサイズに形成されている。前記筒状体31の素材は特に限定するものではないが、ステンレス等の金属材や硬質のプラスチック材等を挙げることができる。実施の形態1ではステンレス等の金属材を採用している。
また、実施の形態1では、テーパー筒状体31の内周壁面全体にシリコンでコーティングしたシリコン皮膜層32(図3参照)が形成されている。
【0021】
実施の形態1の電線ガイド部3には、差込み管部2の中心線に対して適当な曲率でカーブするカーブ部31cが形成されている。前記カーブ部31cの曲率は任意に設定することができる。
【0022】
差込み管部2を電線ガイド部3へ連結固定する手段は特に限定するものではなく、任意の手段を採用することができる。実施の形態1においては、テーパー筒状体31の先端にテーパー管体21の基端を溶接23により連結固定してある。
なお、この場合において、図4に示すように、テーパー管体21の基端21b及びテーパー筒状体31の先端31aに輪状フランジ33,34を突設し、両フランジ33,34をボルトナット35で締付け固定して、両者21,31を連結固定する等の手段を採用することができる。要は両者21,31を連結して固定すればよいものである。
【0023】
前記整線部4は、前記電線を挿通可能な複数個の整線用誘導部41…41を備えている。実施の形態1では図1(a)に示すように10個の整線用誘導部41を設けた例が開示されている。この場合、前記誘導部41の個数は任意に増減することができるものである。電線は前記誘導部41に一本宛づつ挿入して差込み管部2の先端から導出させるものである。これにより、複数本の電線は整線されて送り出される。即ち、各電線同士は誘導部により整然と離されて整列状態を維持して送り出される。
【0024】
実施の形態1の整線部4は、外周部をテーパー筒状体31の内壁面に任意の手段で固定して設けた円板状の板状体42に前記電線を挿通可能な複数個(図示では10個)の挿通孔41a…41aを設けて構成され、前記各誘導部41は前記各挿通孔41aで構成してある。
【0025】
前記整線部4の素材は特に限定するものではないが、シリコン材や硬質のプラスチック材、或いはステンレス等の金属材等を採用することができる。整線部4を電線ガイド部3内へ固定する手段は特に限定するものではなく、接着や溶接(金属材の場合)その他の任意の手段を採用することができる。
【0026】
実施の形態1の整線部4は、図2に詳細に示すように、前記各挿通孔41aの周縁部に沿わせ、丸みを付与したリング状凸条43…43が形成されている。実施の形態1では、前記凸条43を板状体42の両面に形成してある。前記凸条43は挿通孔41a内に挿通した電線に対する摩擦抵抗を軽減するために設けたものである。この構成を採用すると、電線が孔41aを通過する際の摩擦抵抗値を低減させることができる。
【0027】
実施の形態1の電線通線用器具1は上記したように構成されている。次に前記器具1を使用して電線を電線管に通線する通線方法の一例について説明する。
【0028】
図6に示すように、従来方法と同様に設置部104側から作業員112が電線管101の開口端部に前記先導用線111を入線し、線111を押し込みながら管101内を通過させて他方の設置部105側に通線する。
一方、上記作業と並行して、他方の設置部105側の作業員113は、電線管101に通線する所要数の電線108,109,110を、電線ガイド部3の基端開口部側から整線部4の挿通孔41aに一本宛づつ挿通してテーパー管体21の先端21aから導出させた後、前記電線108…110の各導出端部を先導用線111の端部に結着等116により連結する(図6参照)。次いで、差込み管部2を電線管101の開口端部101aに係入した後、作業員112が先導用線111を牽引して通線する(図7、図8参照)。
【0029】
上記通線方法によると、各電線108…110は整線部4の挿通孔41aで整線されて電線管101内に入線され、整線状態を維持して通線される。したがって、通線時における電線に掛る抵抗負荷を減少して整然かつ円滑良好に通線される。また、図9に示すように、電線管101中の曲り部位においても各電線は整線状態を維持して通過するので、摩擦抵抗を軽減して曲り部位を通過する。
【0030】
図10は本発明の電線通線用器具の他の実施の形態(実施の形態2)を示す側面図である。この電線通線用器具において、実施の形態1で既に説明した構成と共通する構成部等には同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
実施の形態2の電線通線用器具1Aは、電線ガイド部3Aの構成に特徴がある。即ち、実施の形態2の電線ガイド部3Aのテーパー筒状体31Aは、任意の曲率で曲げ可能な可撓性を有する金属材で構成してある。
【0032】
前記テーパー筒状体31Aは、例えばステンレス製の蛇腹状金属材やコルゲート状金属材等で構成することができる。実施の形態2の構成を採用すると、電線ガイド部のテーパー筒状体の曲げカーブの曲率を図10の仮想線で示すように、任意に変えることができる。他の構成は実施の形態1の電線通線用器具1と同様である。
【0033】
実施の形態2の電線通線用器具は上記のように構成したもので、実施の形態1と同様に使用される。これにより、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0034】
なお、上記した実施の形態は一例として開示したもので、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想を越脱しない範囲内において任意に変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の電線通線用器具の一実施例を示すものであって、同図(a)は斜視図、同図(b)は縦断面図である。
【図2】同上電線通線用器具に採用した整線部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】同上電線通線用器具の差込み管部及び電線ガイド部の先端側部分を拡大して示す縦断面図である。
【図4】差込み管部を電線ガイド部へ連結する連結手段の他の実施の形態を示す説明図である。
【図5】差込み管部を電線管の開口端部に係入する際の作用を説明するために示す説明図である。
【図6】同上電線通線用器具を使用して通線作業を施工している工程を示す説明図である。
【図7】同じく通線作業を施工している他の工程を示す説明図である。
【図8】図7において、電線通線用器具を電線管に係入した部分を拡大して示す説明図である。
【図9】通線される電線の電線管中の曲り部位における作用説明図である。
【図10】本発明の電線通線用器具の他の実施の形態を示す側面図である。
【図11】従来の電線通線方法を示す説明図である。
【図12】従来の電線通線方法による問題点を説明するために示す図であって、同図(a)は入線時の問題点、同図(b)は電線管中の曲り部位における問題点を指摘するために示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 電線通線用器具
2 差込み管部
3 電線ガイド部
4 整線部
21 テーパー管体
31 テーパー筒状体
41 整線用誘導部
41a 挿通孔
101 電線管
111 電線牽引先導用線
【技術分野】
【0001】
本発明は電線管に電線を通線する際に使用する電線通線用器具及び電線通線方法に関する。さらに詳しくは、ビルディングやマンションその他の各種建造物に配管されている電線管に、絶縁被覆を施したIV電線やコード、或いはケーブル等の複数本の電線を通線する際に使用する電線通線用器具及び電線通線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記電線管に複数本の電線を通線する際には、一般に図11,図12に示す施工方法(通線方法)を採用している。以下、同図を参照して従来の通線方法につき説明する。図11,図12において、101は各種の建造物102に配管された電線管、103は壁、104,105はスイッチやコンセント、或いは分電盤等を設置する設置部で、設置部にはボックス106,107が設置されている。前記電線管101は両設置部のボックス106,107間に配管されている。108,109,110は通線する電線、108a,109a,110aは電線を輪状等に巻回した電線の巻回体、111は電線牽引先導用線(一般に「ヨビ線」と称されている)、112,113は作業員を示す。前記先導用線111は金属線で構成されている。
【0003】
そこで、従来は一方の設置部104側から従業員112が電線管101の開口端部に電線牽引先導用線111を入線し、線111を押し込みながら管101内を通過させて他方の設置部105側に通線する。そして、他方の設置部105側の作業員113は電線管101の他方の開口端部から押し出された前記線111の先端部に各電線108,109,110の端部を結着等116によりそれぞれ連結(ジョイント)した後、一方側の作業員112が先導用線111を牽引することにより各電線を電線管101に通線している。この場合、他方側の作業員113は牽引側の従業員112による線111の引くタイミングに合わせて電線の巻回体より各電線を引き出して送り込み作業を行なう。
【0004】
従来は上述した方法により通線作業を行なっている。しかるに、この従来の通線方法(以下、「従来方法」という)には次のような問題を有している。
(1)電線管への入線時の問題点
従来方法によると、図12aに示すように、電線は電線管101の開口端部101aの周縁部に接触し、摺接しながら牽引されて管111内に入線される。そのため、接触面での過負荷による電線の絶縁低下や電線被覆(導線114を被覆している絶縁被覆115)の損傷、摩擦熱による電線同士或いは電線と電線管との融着現象等が生じる。この場合において、従来方法は電線を管に入線する際に整線しないで実施するため、電線同士が捩れたり、絡み合ったまま入線し、この状態のまま通線されることが生じるので、前記した融着現象等が多く発生する。
(2)電線管中の曲がり部位での問題点
電線管はスイッチやコンセント並びに分電盤等の設置部を繋ぐものであるため、電線管の曲がり部分は、必然的に2箇所以上になる。この曲がり部分で電線通過時に掛る負荷は内側の方がより大きくなり、負荷率・摩擦係数がともに増大し、絶縁低下・導電率の低下など電気的な影響が生じる。
(3)通線潤滑剤の使用による問題点
従来方法は上述したように電線を整線しないで入線するので、電線同士が捩れたり、絡み合ったまま通線される。そのため、通線する際に摩擦抵抗の増大により電線に無理な力が加わり、通線作業を円滑に行なうことが出来ない場合が生じる。そこで、上記のような場合、従来方法においては、通線潤滑剤を用いて通線しているが、大量の潤滑剤が電線管に入ると享年(経年)劣化で硬化しやすく、改修工事などの際に電線を電線管から抜去する場合にはゴム状になった潤滑剤が障害となり抜去できない状態が頻繁に生じる。
【0005】
また、従来の通線関連発明として、ハンドホール内に開口した地中管路(地中埋設管)の開口端に、可撓性を有するロッドガイド管を接続し、ガイド管を通して通線ロッドを地中管路に通線する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この発明によれば、通線ロッドを地中管路に挿通させるロッド通線作業の作業性を向上することができる。
しかし、上記発明は一本の通線ロッドを地中管路に通線するものであって、建造物の電線管に複数本の電線を、上述した(1)〜(3)の問題を解消して通線できる技術は未だ提案されていないのが現況である。
【特許文献1】特開平9−65538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、上記(1)〜(3)のような問題を解消し得る電線通線用器具及び電線通線方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のうち1つの発明(第1の発明)は、建造物に配管された電線管に複数本の電線を通線する際に使用する電線通線用器具であって、
前記電線管の開口端部に挿脱自在に係入可能な差込み管部と、この差込み管部の基端に連結固定して設けた電線ガイド部、及び前記ガイド部内に固定して設けた整線部とを備え、
前記差込み管部は、両端を開口すると共に先端側から基端側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー管体で構成され、
前記電線ガイド部は、両端を開口すると共に前記連結端側から基端側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー筒状体で構成され、
前記整線部は前記電線を挿通可能な複数個の整線用誘導部を備えていることを特徴とするものである。なお、この明細書において、「電線」とは、絶縁被覆を施したIV電線やコード、或いはケーブル等を全て含む概念として用いられている。また、「建造物」は、ビルディングやマンションその他の各種の建造物が含まれる。
【0008】
本発明の電線通線用器具は、電線管に通線する電線を整線誘導部に一本宛づつ挿通して差込み管部の先端から導出させ、各導出端部を電線牽引先導用線の端部に結着等により連結する。次いで差込み管部を電線管の開口端部に係入した後、前記先導用線を牽引して通線するものである。
【0009】
本発明のうち他の1つの発明(第2の発明)は、第1の発明の電線通線用器具において、前記整線部は、外周部を前記テーパー筒状体の内壁面に固定して設けた板状体に前記電線を挿通可能な複数個の挿通孔を設けて構成され、前記各整線用誘導部は前記各挿通孔で構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のうち他の1つの発明(第3の発明)は、第1又は第2の発明の電線通線用器具において、前記電線ガイド部には、前記各差込み管部の中心線に対して任意の曲率でカーブするカーブ部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のうち、さらに他の1つの発明(第4の発明)は、第1ないし第3のいずれかの発明の電線通線用器具において、前記電線ガイド部のテーパー筒状体は、任意の曲率で曲げ可能な可撓性を有する金属材で構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のうち、さらに他の1つの発明(第5の発明)は、建造物に配管された電線管に、第1ないし第4のいずれかの発明の電線通線用器具を使用して複数本の電線を通線する電線通線方法であって、前記電線管に通線する所要本数の電線を、前記電線ガイド部の基端開口部側から前記整線部の整線誘導部に一本宛づつ挿通して前記差込み管部の先端から導出させた後、前記電線の各導出端部を電線牽引先導用線の端部に結着等により連結し、次いで前記差込み管部を前記電線管の開口端部に係入した後、前記先導用線を牽引して通線することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を奏する。(1)電線が電線管の開口端部の周縁部に接触しないで入線されるので、入線時における絶縁被覆の損傷を防止できる。(2)電線は整線部で整線されて入線されるので、電線同士が捩れたり、絡まったりすることなく、整然かつ円滑良好に通線することができる。(3)電線を整線することにより、通線時における電線に掛かる抵抗負荷が減少する。そのため、電線牽引先導用線を牽引する引っ張り力を低減させることができ、結果として電線に掛かる負荷を低減することができる。(4)通線潤滑剤を使用しなくても容易に通線作業を行なうことができる。(5)潤滑剤を使用しないことにより、潤滑剤の硬化や電線の硬化を防止できるので、改修工事などの際に電線を電線管から引き抜く作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を説明する。
【0015】
図1は本発明の電線通線用器具の一実施の形態を示す斜視図(a)及び縦断面図(b)、図2は整線部を拡大して示す縦断面図、図3は同上電線通線用器具の一部を拡大して示す縦断面図、図4は差込み管部を電線管へ連結する他の連結手段を示す説明図、図5は差込み管部を電線管の開口端部に係入する際の作用を説明するために示す説明図、図6および図7は同上電線通線用器具を使用して通線作業を施工している工程を示す説明図、図8は図7において、電線通線用器具を電線管に係入した部分を拡大して示す説明図、図9は通線される電線の電線管中の曲り部位における作用説明図である。なお、これらの図において背景技術の項の従来方法において既に説明した構成等と同一構成部分等には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0016】
上記図1ないし図9において、この実施の形態(実施の形態1)の電線通線用器具1は、建造物102に配管された電線管101に複数本の電線108,109,110を通線する際に使用する電線通線用器具である。前記通線用器具1は、電線管101の開口端部101aに挿脱自在に係入可能な差込み管部2と、この差込み管部2の基端に連結固定して設けた電線ガイド部3、及び前記ガイド部3内に固定して設けた整線部4とを備えている。
【0017】
前記差込み管部2は、両端を開口すると共に先端21a側から基端21b側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー管体21で構成されている。前記管体21のテーパー角度は適当に設定する。テーパー管体21の素材は特に限定するものではないが、ステンレス等の金属材や硬質のプラスチック材等を挙げることができる。実施の形態1ではステンレス等の金属材を採用している。また、実施の形態1では、テーパー管体21の内周壁面全体にシリコンでコーティングしたシリコン皮膜層22が形成されている(図3参照)。この皮膜層22は所望に応じて形成する。
【0018】
本発明の通線用器具1は、通線作業を施工する際に電線管101の開口端部101aに差込み管部2を係入して使用される。電線管は直径16ミリ〜31ミリ程度のものが一般に採用されている。
図5には、その一例が示されている。同図の電線管101,101A,101Bはそれぞれ直径を異にしている。即ち、図5に示す電線管の直径は、管101<管101A<管101Bのように構成されている。
【0019】
電線管は上記したように直径を異にしたものが使用されている。本発明においては、差込み管部2はテーパー管体21で構成されているため、差込み管部2の係入度合(差込み深さ)により、直径を異にする電線管に対応することができる。電線管の径差に対応できる範囲は差込み管部2のテーパー角度により調整することができる。なお、電線通線用器具1は、小径用、大径用、中間径用等のように、クラス分けして構成することもできる。
【0020】
前記電線ガイド部3は、両端を開口すると共に先端31a(前記管体21との連結端)側から基端31a側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー筒状体31で構成されている。前記筒状体31の先端31a側の径はテーパー管体21の基端21bの径と合致するサイズに形成されている。前記筒状体31の素材は特に限定するものではないが、ステンレス等の金属材や硬質のプラスチック材等を挙げることができる。実施の形態1ではステンレス等の金属材を採用している。
また、実施の形態1では、テーパー筒状体31の内周壁面全体にシリコンでコーティングしたシリコン皮膜層32(図3参照)が形成されている。
【0021】
実施の形態1の電線ガイド部3には、差込み管部2の中心線に対して適当な曲率でカーブするカーブ部31cが形成されている。前記カーブ部31cの曲率は任意に設定することができる。
【0022】
差込み管部2を電線ガイド部3へ連結固定する手段は特に限定するものではなく、任意の手段を採用することができる。実施の形態1においては、テーパー筒状体31の先端にテーパー管体21の基端を溶接23により連結固定してある。
なお、この場合において、図4に示すように、テーパー管体21の基端21b及びテーパー筒状体31の先端31aに輪状フランジ33,34を突設し、両フランジ33,34をボルトナット35で締付け固定して、両者21,31を連結固定する等の手段を採用することができる。要は両者21,31を連結して固定すればよいものである。
【0023】
前記整線部4は、前記電線を挿通可能な複数個の整線用誘導部41…41を備えている。実施の形態1では図1(a)に示すように10個の整線用誘導部41を設けた例が開示されている。この場合、前記誘導部41の個数は任意に増減することができるものである。電線は前記誘導部41に一本宛づつ挿入して差込み管部2の先端から導出させるものである。これにより、複数本の電線は整線されて送り出される。即ち、各電線同士は誘導部により整然と離されて整列状態を維持して送り出される。
【0024】
実施の形態1の整線部4は、外周部をテーパー筒状体31の内壁面に任意の手段で固定して設けた円板状の板状体42に前記電線を挿通可能な複数個(図示では10個)の挿通孔41a…41aを設けて構成され、前記各誘導部41は前記各挿通孔41aで構成してある。
【0025】
前記整線部4の素材は特に限定するものではないが、シリコン材や硬質のプラスチック材、或いはステンレス等の金属材等を採用することができる。整線部4を電線ガイド部3内へ固定する手段は特に限定するものではなく、接着や溶接(金属材の場合)その他の任意の手段を採用することができる。
【0026】
実施の形態1の整線部4は、図2に詳細に示すように、前記各挿通孔41aの周縁部に沿わせ、丸みを付与したリング状凸条43…43が形成されている。実施の形態1では、前記凸条43を板状体42の両面に形成してある。前記凸条43は挿通孔41a内に挿通した電線に対する摩擦抵抗を軽減するために設けたものである。この構成を採用すると、電線が孔41aを通過する際の摩擦抵抗値を低減させることができる。
【0027】
実施の形態1の電線通線用器具1は上記したように構成されている。次に前記器具1を使用して電線を電線管に通線する通線方法の一例について説明する。
【0028】
図6に示すように、従来方法と同様に設置部104側から作業員112が電線管101の開口端部に前記先導用線111を入線し、線111を押し込みながら管101内を通過させて他方の設置部105側に通線する。
一方、上記作業と並行して、他方の設置部105側の作業員113は、電線管101に通線する所要数の電線108,109,110を、電線ガイド部3の基端開口部側から整線部4の挿通孔41aに一本宛づつ挿通してテーパー管体21の先端21aから導出させた後、前記電線108…110の各導出端部を先導用線111の端部に結着等116により連結する(図6参照)。次いで、差込み管部2を電線管101の開口端部101aに係入した後、作業員112が先導用線111を牽引して通線する(図7、図8参照)。
【0029】
上記通線方法によると、各電線108…110は整線部4の挿通孔41aで整線されて電線管101内に入線され、整線状態を維持して通線される。したがって、通線時における電線に掛る抵抗負荷を減少して整然かつ円滑良好に通線される。また、図9に示すように、電線管101中の曲り部位においても各電線は整線状態を維持して通過するので、摩擦抵抗を軽減して曲り部位を通過する。
【0030】
図10は本発明の電線通線用器具の他の実施の形態(実施の形態2)を示す側面図である。この電線通線用器具において、実施の形態1で既に説明した構成と共通する構成部等には同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
実施の形態2の電線通線用器具1Aは、電線ガイド部3Aの構成に特徴がある。即ち、実施の形態2の電線ガイド部3Aのテーパー筒状体31Aは、任意の曲率で曲げ可能な可撓性を有する金属材で構成してある。
【0032】
前記テーパー筒状体31Aは、例えばステンレス製の蛇腹状金属材やコルゲート状金属材等で構成することができる。実施の形態2の構成を採用すると、電線ガイド部のテーパー筒状体の曲げカーブの曲率を図10の仮想線で示すように、任意に変えることができる。他の構成は実施の形態1の電線通線用器具1と同様である。
【0033】
実施の形態2の電線通線用器具は上記のように構成したもので、実施の形態1と同様に使用される。これにより、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0034】
なお、上記した実施の形態は一例として開示したもので、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想を越脱しない範囲内において任意に変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の電線通線用器具の一実施例を示すものであって、同図(a)は斜視図、同図(b)は縦断面図である。
【図2】同上電線通線用器具に採用した整線部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】同上電線通線用器具の差込み管部及び電線ガイド部の先端側部分を拡大して示す縦断面図である。
【図4】差込み管部を電線ガイド部へ連結する連結手段の他の実施の形態を示す説明図である。
【図5】差込み管部を電線管の開口端部に係入する際の作用を説明するために示す説明図である。
【図6】同上電線通線用器具を使用して通線作業を施工している工程を示す説明図である。
【図7】同じく通線作業を施工している他の工程を示す説明図である。
【図8】図7において、電線通線用器具を電線管に係入した部分を拡大して示す説明図である。
【図9】通線される電線の電線管中の曲り部位における作用説明図である。
【図10】本発明の電線通線用器具の他の実施の形態を示す側面図である。
【図11】従来の電線通線方法を示す説明図である。
【図12】従来の電線通線方法による問題点を説明するために示す図であって、同図(a)は入線時の問題点、同図(b)は電線管中の曲り部位における問題点を指摘するために示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 電線通線用器具
2 差込み管部
3 電線ガイド部
4 整線部
21 テーパー管体
31 テーパー筒状体
41 整線用誘導部
41a 挿通孔
101 電線管
111 電線牽引先導用線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物に配管された電線管に複数本の電線を通線する際に使用する電線通線用器具であって、
前記電線管の開口端部に挿脱自在に係入可能な差込み管部と、この差込み管部の基端に連結固定して設けた電線ガイド部、及び前記ガイド部内に固定して設けた整線部とを備え、
前記差込み管部は、両端を開口すると共に先端側から基端側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー管体で構成され、
前記電線ガイド部は、両端を開口すると共に前記連結端側から基端側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー筒状体で構成され、
前記整線部は前記電線を挿通可能な複数個の整線用誘導部を備えていることを特徴とする、
電線通線用器具。
【請求項2】
前記整線部は、外周部を前記テーパー筒状体の内壁面に固定して設けた板状体に前記電線を挿通可能な複数個の挿通孔を設けて構成され、前記各整線用誘導部は前記各挿通孔で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電線通線用器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電線通線用器具において、前記電線ガイド部には、前記各差込み管部の中心線に対して任意の曲率でカーブするカーブ部が形成されていることを特徴とする、電線通線用器具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電線通線用器具において、前記電線ガイド部のテーパー筒状体は、任意の曲率で曲げ可能な可撓性を有する金属材で構成されていることを特徴とする、電線通線用器具。
【請求項5】
建造物に配管された電線管に、請求項1ないし4のいずれかに記載の電線通線用器具を使用して複数本の電線を通線する電線通線方法であって、
前記電線管に通線する所要本数の電線を、前記電線ガイド部の基端開口部側から前記整線部の整線誘導部に一本宛づつ挿通して前記差込み管部の先端から導出させた後、前記電線の各導出端部を電線牽引先導用線の端部に結着等により連結し、次いで前記差込み管部を前記電線管の開口端部に係入した後、前記先導用線を牽引して通線することを特徴とする、
電線通線方法。
【請求項1】
建造物に配管された電線管に複数本の電線を通線する際に使用する電線通線用器具であって、
前記電線管の開口端部に挿脱自在に係入可能な差込み管部と、この差込み管部の基端に連結固定して設けた電線ガイド部、及び前記ガイド部内に固定して設けた整線部とを備え、
前記差込み管部は、両端を開口すると共に先端側から基端側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー管体で構成され、
前記電線ガイド部は、両端を開口すると共に前記連結端側から基端側に向けて拡径するテーパーを付与したテーパー筒状体で構成され、
前記整線部は前記電線を挿通可能な複数個の整線用誘導部を備えていることを特徴とする、
電線通線用器具。
【請求項2】
前記整線部は、外周部を前記テーパー筒状体の内壁面に固定して設けた板状体に前記電線を挿通可能な複数個の挿通孔を設けて構成され、前記各整線用誘導部は前記各挿通孔で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電線通線用器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電線通線用器具において、前記電線ガイド部には、前記各差込み管部の中心線に対して任意の曲率でカーブするカーブ部が形成されていることを特徴とする、電線通線用器具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電線通線用器具において、前記電線ガイド部のテーパー筒状体は、任意の曲率で曲げ可能な可撓性を有する金属材で構成されていることを特徴とする、電線通線用器具。
【請求項5】
建造物に配管された電線管に、請求項1ないし4のいずれかに記載の電線通線用器具を使用して複数本の電線を通線する電線通線方法であって、
前記電線管に通線する所要本数の電線を、前記電線ガイド部の基端開口部側から前記整線部の整線誘導部に一本宛づつ挿通して前記差込み管部の先端から導出させた後、前記電線の各導出端部を電線牽引先導用線の端部に結着等により連結し、次いで前記差込み管部を前記電線管の開口端部に係入した後、前記先導用線を牽引して通線することを特徴とする、
電線通線方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−228772(P2007−228772A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49725(P2006−49725)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(506066962)岩電機工事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(506066962)岩電機工事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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