電荷移動を利用した容量式位置センサ
ユーザの指とすることができる物体の本体に沿った位置を容量検出する。測定回路は、本体の二つの端部に同時に注入される電荷を測定し、この本体は直線、または曲線の形に形成することができる。計算デバイスは、素子の各端部に注入される電荷の量の相対的変化の比を計算する。この計算の結果は、1次元の座標番号に検出状態表示を加えたものであり、これらの両方は家電機器制御装置のような別の機能素子に転送することができ、この機能素子が座標及び検出状態を命令及び測定値に変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置とのヒューマン・インターフェイスとなるだけでなく、材料変位を検出する装置及び方法を提供する。更に、詳細には、本発明は、容量を利用して直線または曲線に沿った位置を検出する方法に関する。
(関連出願)
本出願は、2002年10月31日に出願され、シリアル番号60/422,837を有する、発明者による米国仮特許出願の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
容量センサは、ヒューマン・インターフェイス及び機械制御に益々広く利用され、かつ採用されるようになってきている。家電用途の技術分野では、現在、容量性タッチ制御がごく通常に行なわれるようになっており、この制御はガラスパネルまたはプラスチックパネルを通して操作することができる。これらのセンサは本発明者による米国特許第6,452,514号明細書に非常に典型的な例で記載されており、この文献の内容が本明細書の参照として本発明の開示に含まれるが、この文献は電荷移動の原理を利用したマトリクス・センサについて記載している。
【0003】
容量性タッチ制御に対するマーケットニーズが高まっているため、機能対コストだけでなく使用及び構成に関する高いフレキシビリティが益々必要になっている。同様に、容量材料を使用した低価格の変位センサ(例えば、流体レベルセンサ、機械的変位を利用する変位センサ、圧力センサなど)に対する要求が非常に大きく、このようなセンサは、現世代の非機械式の変換器では容易に実現することはできない。
【0004】
多くの用途において、多くのキーまたは検出位置を有するヒューマン・インターフェイスに対する要求があり、このヒューマン・インターフェイスは、米国特許第4,476,463号明細書(エヌジー(Ng))または米国特許第5,305,017号(ガーファイド(Gerpheide))に記載される2次元タッチスクリーンまたはタッチパッドによって可能になるフレキシビリティと同様のものを提供する。例えば、コンピュータ・モニターでは、スクリーン・ベゼルに制御手段を設けて輝度及びコントラストの調整ができるようにすることが望ましい。理想的には、連続調整可能な制御手段(例えばポテンショメータ)を使用してこれらのパラメータを制御する。価格低減要求及び美的要求から、これらの制御手段は、通常、ベゼルに取り付けられたユーザには非常に分かり難い数個のメニュー選択ボタンの操作性の観点から取り外されてきた。
【0005】
医療検査電子機器の分野では、LCDディスプレイは多くの場合、数列に並べたベゼルボタンと共に使用してソフトウェア駆動メニュー機能を提供する。このような用途の多くは、高価で、コントラストが低く、そして壊れ易いタッチスクリーンには適さない。更に、これらのディスプレイの幾つかの性能には、メニューオプションが多いか、または少ないという問題と、視差の問題がある。このタイプのメニュー制御手段の例は、例えばオハイオ州デイトンに本拠を置くNCR社が提供するLCD−5305モデルのような、ほとんど全ての現状の現金自動支払機に見ることができる。製造業者は、経済的に採算が取れる場合には、高分解能の制御手段をスクリーンエッジの上で、またはスクリーンエッジに近接して使用する。同様な市場が家庭用品、教育ゲーム、情報/インターネット・キヨスクなどに関して存在する。
【0006】
HVAC分野では、壁掛け式温度自動調節制御における最先端技術として、現時点では、ニュージャージー州モリスタウンに本拠を置くハネウェル社が提供するモデルCT8602を挙げることができる。このモデルは小さなLCDスクリーンを備えるメニュー駆動システムである。これらのデバイスの最新機能は、メニューの最も下の方の項目を通して利用することができ、これらの項目は単純なダイアル制御手段またはスライダー制御手段に比べて直感的に理解できないものが多い。
【0007】
シュービッツ(Schaevitz)(スロー(Slough),英国)製のMPシリーズを例として挙げることができる、機械的変位を利用する変位検出LVDTの分野では、MPシリーズはプロセス制御手段において、フィードバックに関する正確な位置情報を提供する。シュービッツ製のXS−Bシリーズのような他の小型デバイスは機械及び機器に組み込まれる。このようなデバイスは、通常、非常に高精度ではあるがコストの高く付く解決方法であり、かつ高価な信号調整器による磁気バランスを利用した測定を行なう。これらのデバイスは、非常に信頼性の高い非接触式の検出を行なうものであり、厳しい環境下において非常に高い精度で動作することができる。これらのデバイスは、抵抗式のポテンショ・メトリック法に関するワイパーの信頼性の問題を、物理接触を使用しないことにより解決している。同様に、容量式位置センサの例としてアールディピー エレクトロセンス(RDP Electrosense)社(米国ペンシルベニア州ポッツタウン)製のRCDT容量変換器があるが、この変換器も特殊で高価な信号調整器を動作させる必要がある。このような技術の例が、ブリッジ回路について記載している米国特許第5,461,319号明細書(ピーターズ(Peters))に更に詳細な形で記載されている。容量性デバイスは、直線位置検出及び回転位置検出の両方を行なうことができる。例えば、米国特許第5,079,500号明細書(オズワルド(Oswald))は、容量式ワイパーを有する直線または回転「ポテンショ・メータ」について記載しており、このポテンショ・メータはガルバニ式ワイパーを使用しないので高信頼度の位置検出方法を実現することができる。アダプテーションを行なって圧力を測定し、推定によって流体レベルを測定することができる。しかしながら、上に参照した技術は、製造業者にとって非常に複雑であり、コストが高く付き、従って技術の使用がハイエンドまたは産業機器に制限されるという問題がある。
【0008】
流体によって直接生じる容量変化を測定する容量式流体センサが在り、この例は本発明者による米国特許第6,457,355号明細書に記載されている。米国特許第6,178,818号明細書のような他の例も多く在る。
【0009】
本発明者による米国特許第5,730,165号明細書において、単一の結合板を用いて接地に対する容量の変化を検出する容量式フィールド・センサを示唆している。この装置は、電荷検出の次に電荷移動を繰り返すサイクル、または電荷検出と同時の電荷移動を繰り返すサイクルを用いる回路を備え、かつ好適な形でCMOSスイッチング素子を使用し、このCMOSスイッチング素子は、米国特許第5,730,165号明細書に開示されているCMOSスイッチング素子が浮遊端子を有している点で、通常のCMOSプッシュプルドライバ集積回路とは異なる。本発明者による後続の米国特許第6,288,707号明細書において、電荷移動技術を使用して1次元及び2次元で位置検出を行なう方法を示唆している。これら文献を本明細書において参照することにより、こられの文献の内容が本発明の開示に含まれる。
【0010】
本発明者による「電荷移動を利用した容量式測定回路」と題する米国特許第6,466,036号明細書は、本明細書において参照することにより、この文献の内容が本発明の開示に含まれるが、この文献では、単一の結合板を用いて接地に対する容量の変化を検出する別の容量式フィールド・センサを示唆している。この装置は電荷検出の次に電荷移動を繰り返すサイクル、または電荷検出と同時に電荷移動を繰り返すサイクルを用いる回路を備え、かつ通常のCMOSプッシュプルドライバ集積回路を重要な回路として使用しており、このドライバ集積回路では、全てのスイッチの一端子を基準電圧または回路接地のいずれかに接続する。上記文献は、本明細書において参照することにより、この文献の内容が本発明の開示に含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電気機械ヒューマン・インターフェイス制御手段(プッシュ・ボタン、メンブラン・スイッチ、及びポテンショ・メータ等)は、信頼性が低く、湿気に晒されるだけでなく、LCDのメニューシステムにはほとんど搭載することができないという不具合を有する。ダイアル及び抵抗ポテンショ・メータのような従来からのユーザ制御手段は、埃及び湿気を製品に侵入させるパネル開口を必要とする。これらの制御手段はまた、「清潔な」外観を持たず、非常に奇異であり、そして工業設計者にとって自由度が非常に低い。米国特許第5,920,131号明細書(プラット(Platt))は、この問題に対する一つの解決方法として回転ノブについて記載しており、この回転ノブはシームレスパネル表面に磁気的に保持され、かつパネル表面下の位置検出器と磁気的に相互作用する。この解決方法は、依然としてノブを必要とし、製造コストが高く、多くの用途が直線検出を必要とするのに対して回転デバイスとしてのみ良好に機能する。
【0012】
妥当なコストで電気機械制御手段の技術的不具合を解決し、他方ではタッチ・スクリーンまたは他の異種スクリーンのコストに関する問題を解決する新規のヒューマン・インターフェイス技術に対して強い要求がある。本発明の目的は、これらの問題を一挙に解決し、かつ多くの産業及び用途に渡る全ての新規種類の位置センサの基礎ともなる新規種類のタッチセンサを実現することにある。
【0013】
LVDT及びRCDTタイプの変換器は、非常に良好に動作するが、自動車用途及び家庭電気器具用途に市販レベルで使用することができる低コストデバイスという非常に大きな市場においては未だ用いられていない。本発明の別の目的は、新規種類の位置センサを容量に基づいて形成することができるようにすることにあり、この位置センサは高価な信号調整、または高価な巻き線コイル、或いは磁石も必要とせず、かつ直線または回転位置検出のいずれかに適合させることができる。
【0014】
既存の容量式流体センサは、そのコストのために、または自動的に誘電率特性の変化を補償する機能が無いために、非常に普及しているという状態ではない。ほとんどの容量式流体センサは、流体レベルをプラスチック容器またはガラス容器の外部から正確に検出することができない。本発明の更に別の目的は、容器の内部または外部から、検出対象の材料または流体の誘電率特性がどのようなものであるかに拘らず容器の中身のレベルを低コストで検出することができる新タイプの容量式流体センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
概括すると、本発明は、二つの電極の間に延びる抵抗性本体または導電性本体のような検出本体に沿って測定されるポイントまたはスポットに対して直線的に変化する位置出力を有する容量センサを提供するものであり、この場合、検出本体には、被検出物体が接触しているか、または極めて近接している。このセンサは二つの容量測定チャネルを備え、各チャネルは電極群の個々の電極に接続される。これらのチャネルが同期して動作する場合、各チャネルは、物体が本体に近接すると、物体によって生じる容量負荷に対して非直線応答(主たる実施形態では指数関数的な増大)を示し、個々の出力を供給し、これらの出力が線形合成されて、位置に従って直線的に変化する位置出力を供給し、これにより、レシオメトリック・センサとして動作することができる。この合成は、アナログまたはデジタル回路を使用して、例えばプログラマブル・ロジックまたはソフトウェアにおいて行なうことができる。
【0016】
本発明の好適な実施形態は、検出素子、及び素子と容量結合する物体または指の位置の1次元の読み取り値を供給するように設計される回路を備える。この場合、回路は、素子の二つの端部に同時に注入される電荷を測定する。計算デバイスは素子の各端部に注入される電荷の量の相対的変化の比を計算する。この計算の結果は、1次元座標番号に検出状態表示を加えたものであり、これらの両方が、家電機器コントローラのような別の機能素子に転送されて、この素子が座標及び検出状態を命令または測定値に変換する。
【0017】
本発明の一つの態様では、本発明は、二つの電極の間に延びる検出本体に沿った物体の位置を検出する容量センサを提供する。このセンサは二つの電圧源を備え、これらの電圧源は、二つの異なる選択電圧をスイッチング素子群に供給し、これらのスイッチング素子は二つの検出チャネルの各々にそれぞれ関連し、二つの検出チャネルの各々は二つの電極にそれぞれ接続される。これらの検出チャネルの各々は、二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタを含み、各端子は個々の電極に電気スイッチング素子を介することなく接続される。更に、各チャネルは三つの電気スイッチング素子を含み、各スイッチング素子は、単一の個々の閉じ状態及び個々の開き状態の両方を有し、この閉じ状態では、スイッチング素子は個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの一つの端子を、選択された電圧を有する二つの電圧源のうちの一つのみに接続し、開き状態では、スイッチング素子は端子群の個々の一つの端子を、選択された電圧を有する二つの電圧源のいずれにも接続することがない。個々の電圧測定回路が各チャネルに関連し、個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの選択された一つの端子において測定される電圧に応答して電圧出力を供給する。また、スイッチング素子群を選択的に開き、そして閉じるスイッチコントローラと、物体の位置を二つの電圧測定回路の個々の出力から計算する手段と、を設ける。
【0018】
本発明の別の態様では、本発明は、物体の位置を二つの端部ポイントを有する曲線に沿って検出する容量センサを提供する。この場合、センサは二つの電極の間に延びる抵抗性検出細片を備え、これらの電極はそれぞれ二つの端部ポイントに隣接して接続される。センサはまた、複数の電気スイッチング素子のうちのスイッチング素子群を選択的に閉じるスイッチコントローラと、二つの検出チャネルと、を備え、各チャネルは個々の電極に接続され、かつ個々の電圧測定回路からの個々の出力を有し、更にマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他のデジタル計算回路とすることができる手段を備え、この手段によって、物体の位置を二つの電圧測定回路の個々の出力から計算する。好適には、これまでに記載してきた二つの検出チャネルの各々は、二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタを含み、個々の二つの端子のうちの一つの端子は、個々の電極に電気スイッチング素子群のいずれをも介すことなく接続され、少なくとも一つの個々の電気スイッチング素子を含み、この電気スイッチング素子は、このキャパシタの端子群の両方を二つのラインのうちの選択されたラインに接続することにより個々のサンプリング・キャパシタをリセットし、そして少なくとも二つの別の個々のスイッチング素子を含み、これらのスイッチング素子は、二つの端子のうちの第1端子を第1ラインに、二つの端子のうちの第2端子を第2ラインに交互に切り替える。
【0019】
本発明の別の態様では、本発明は、物体の位置を二つの電極の間に延びる検出本体に沿って測定する方法を提供し、この方法では、二つの電極の各々は個々の容量測定チャネルに接続され、これらのチャネルの各々は個々のサンプリング・キャパシタを含み、このキャパシタの二つの端子のうちの第1端子が二つの電極のうちの個々の一つの電極に接続され、そしてキャパシタの個々の第2端子が個々の出力を有する個々の電圧測定回路に接続される。本方法は反復して実施する方法と1回だけ実施する方法とを含み、これらの方法は共に、サンプリング・キャパシタ群の各々を個々の選択初期状態に同時にリセットすることから始まることが好ましく、この場合、最も通常の選択初期状態によって、各サンプリング・キャパシタのプレート群の両方が接地電位またはDC基準電圧レベルにリセットされる。二つのサンプリング・キャパシタをリセットした後、チャネル群の各々に接続される個々の第1スイッチを閉じて各サンプリング・キャパシタの二つの端子のうちの個々の第2端子を第1選択電圧に接続する。選択期間の間待機した後、第1スイッチ群の両方を開き、そして個々の第2スイッチ群を閉じて個々のサンプリング・キャパシタ群の個々の第1端子群の各々を個々の第2選択電圧に接続する。次に、本方法では、個々のサンプリング・キャパシタの個々の第1端子での個々の電圧を個々の電圧測定回路を使用して同時に測定し、次に、物体の位置を二つの電圧測定回路の出力群に基づいて計算する。
【0020】
本発明の更に別の態様では、本発明は、二つの電極の間に延びる検出本体に沿って物体の位置を測定する方法を提供し、二つの電極の各々は個々の容量測定チャネルに接続され、これらのチャネルの各々は個々のサンプリング・キャパシタを含み、このキャパシタの二つの端子のうちの第1端子が二つの電極のうちの個々の一つの電極に接続され、この構成は前に記載したものと同じである。しかしながら、この場合、各サンプリング・キャパシタの第1端子は、個々の出力を有する個々の電圧測定回路にも接続される。前の説明において示したように、この方法を反復する場合の各反復は、サンプリング・キャパシタ群の各々を個々の選択された初期状態にリセットし、次に、個々の第1スイッチ群を同時に閉じて、各サンプリング・キャパシタの二つの端子のうちの個々の第1端子を第1の選択された電圧に接続することから始まる。選択期間の間待機した後、第1スイッチ群の両方を開き、個々の第2スイッチ群を閉じて、個々のサンプリング・キャパシタ群の個々の第2端子群の各々を第2の選択された電圧に接続する。次に、個々の電圧測定回路を使用して、両方のチャネルに関して、個々のサンプリング・キャパシタの個々の第1端子での個々の電圧を同時に測定し、二つの電圧測定回路の出力群を使用して物体の位置を計算する。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態では、検出素子は、ほぼ均質な材料からなる矩形または弓形の抵抗細片である。細片の各端部の電極群に対する接続を行なって信号取得及び信号処理手段から成る回路との接続を行なう。細片は通常、絶縁基板の上に配置され、そしてユーザの指または他の所望の対象物を収容して検出を実施することができるように十分な幅及び長さを有する。検出電界は基板中を伝搬するので、抵抗細片から離れた方の基板の側を、素子を備えた能動検出表面として使用することができる。本発明の他のある実施形態では、細片は、個々の検出位置を形成するように電気的に直列接続される複数の個別抵抗体を二つの電極の間に含む。このタイプのセンサの最小限の構成では、二つの抵抗体が細片に設けられ、従って三つの検出領域、すなわち各端部に一つと、二つの個別抵抗体の接続部に一つが設けられることになる。
【0022】
この第2の実施形態の変形例では、個別の導電電極は十分に小さなサイズであり、絶縁基板は電界の調整が可能になるほどに十分に厚く、この電界の調整によって基板の検出面の上のポインティング物体の検出位置が効率的に「平滑化」される。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態の目的は、細片に隣接、または当接する物体の位置を1次元で読み出すことを可能にすることにあり、物体の位置は細片に沿った容量の変化として現れる。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態の別の目的は、物体の算出位置を示す符号化出力を供給するだけでなく、十分な信号が検出されたことを示す信号を供給して符号化出力が有効であることを示すことにある。本発明の幾つかの実施形態の更に別の目的は、符号化出力をユーザが一つ以上の個別のタッチボタンを選択する操作として変換することにある。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態の更に別の目的は、材料変位の大きさ、例えば細片に沿った流体レベルまたはピストン移動を1次元で読み取ることを可能にすることにある。この変位は、細片のより大きな部分が覆われるにつれて、細片に沿った分布容量を増大させる。
【0026】
これまでに記載した特徴及び利点は、この技術分野の当業者、及び本発明の実施方法の習得を所望する人々にとって非常に有用であると考えられるが、これまでの説明は、特徴及び利点の全てを網羅するために為されたものではないことを理解されたい。更に、本発明の種々の実施形態は、これまでに記載した本発明の特徴及び利点の種々の組み合わせを示唆するものであり、幾つかの実施形態が示唆する特徴及び利点は、記載した特徴及び利点の全てではないことに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この詳細な説明を一読するに当たって、この特許文書全体を通じて使用する所定の単語及び語句に関する定義を参考にすることによって理解が容易になる。これらの定義が為される場合には、この技術分野の当業者は、殆どではないにしても多くの場合において、このような定義が、このような定義単語及び語句を今まで使用してきた場合だけでなく、これから使用する場合にも適用されることを理解する必要がある。この説明を始めるに当たって、「含む」及び「備える」という用語だけでなく、これらの派生語が制限無しの含有を意味し、「又は」という用語は「及び/又は」を意味する包括的な用語であり、「抵抗体」は、容量モードで使用され、かつガルバニック電流が起こる導電物質からなる検出細片を表わし、「指」または「被検出物体」という単語は、実際のヒトの指、他の体の全ての付属物、または素子に近接すると検出することができる全ての機械的物体を表わし、「接触」という単語は、素子と指との間に誘電物質が介在し、誘電物質が固体、液体、ガスまたは空間の全ての組み合わせを含む場合に、本発明の素子への指による物理的な近接、または本発明の素子との指による接触を表わし、「接地」という単語は回路の基準電位または回路基準に戻る構成のインピーダンス・ループを形成するフィールド・グランドを表わし、この場合、接地は、必ずしもガルバニックな作用を考慮した構成を採る必要はないと解釈される。
【0028】
一般的に、本発明のセンサ10は、レシオメトリック・センサとして動作し、このセンサは、スチルカメラの距離測定に広く使用される三角測量型アクティブIR光センサに類似する方法で動作する。このようなセンサの例として、日本のハママツ株式会社(Hamamatsu Corporation)製のType S1352がある。同様なデバイスは、イカリ(Ikari)による米国特許第4,761,546号明細書に記載されている。これらのタイプのセンサでは、二つの出力がリニア・フォトダイオードの端部から供給され、これらの出力を処理して、合成信号レベルの合計がしきい値を超える場合に、出力の比を求めて、フォトダイオード上の光スポットの位置が決定される。出力が入力に比例する(ratiometric)結果は、光スポットの強度に無関係であり、結果の確度は信号強度及び信号積分時間が大きくなるにつれて高くなる。
【0029】
図1は好適な検出構造を示しており、この構造では、ポインティング機能に使用するユーザの指、針、または他の被検出物体12が、制御表面に接合させることができる抵抗性検出細片14に隣接配置される。検出細片は、選択された単位長さ当たりの抵抗を有し、かつ二つの端部端子または電極18,20を有するシート抵抗体により構成することができる。通常接地22に接続される被検出物体12は、スポット容量24(以後、一括してCxと記載する)を介して検出細片14にも接続される。本明細書において続いて説明するように、被検出物体によって検出細片に沿ったスポットまたはポイントで生じる容量性負荷である近接起因のスポット容量Cxは、測定の基本的着目点である電気パラメータである。検出細片14は、その周囲物に対する分布容量25(以後、一括してCdと記載する)を介して接地にも接続される。抵抗本体または検出細片14は、どのような抵抗材料からも作製することができ、このような抵抗材料には、炭素フィルム、金属フィルム、酸化インジウム錫(ITO)、またはSnO、導電性プラスチック、スクリーン塗布による導体、スパッタ堆積による導体などを挙げることができ、結果として得られる細片が、1次元、2次元または3次元の抵抗細片、棒、線、円弧、または他の適切な形をした構造体である限り、材料または堆積方法に関しては制限されない。続いて、検出細片に関する幾つかの特定の構造について以下に特に図5〜9を参照しながら説明する。浮遊容量Cdは線形分布させる必要は無い。その理由は、好適な細片は、重ね合わせの原理から「集合(lumpy)」容量と同等に機能するからである。
【0030】
次に図2a及び2bを参照すると、検出細片14に電極18及び20を通して接続される二つの好適な測定構造が示されている。これらの図の各々では、回路は二つのチャネル26,26’及び28,28’をそれぞれ備える。好適な各チャネルは、本発明者による米国特許第6,466,036号明細書に最初に開示されたタイプの個々のスイッチ回路を備え、このスイッチ回路では、複数のスイッチング素子30,32,34,36,38,40の各々が「固定電位を基準とする」構成である。その理由は、各スイッチング素子がスイッチング素子の二つの端子の一つがVr及び回路接地22として示される選択基準電圧の一つに直接電気的に接続されるからである。他の固定電位基準構造を使用することができるが、以下詳細に説明する特定の実施形態は、米国特許第6,466,036号明細書の図7を特に参照すれば理解でき、本発明の図2a及び2bの接地記号及びVr記号を入れ替えることにより形成される構造を含むことができる。更に別の関連するチャネル接続構造は図2cに示されるものであり、この構造は米国特許第6,466,036号明細書の図9に示されるものと等価である。以下に記載する例示としての場合では、チャネル群は選択期間に渡って動作する(例えば図2a)、または選択された電荷量が移動してしまうまで動作する(例えば図2b)のいずれかである。本発明者が先に開示した特許から得られる示唆を容易に理解できるこの技術分野の当業者であれば、チャネル動作には他の動作を選択することができることが分かるであろう。二つの検出チャネル26,26’,28,28’は、同期して動作させて二つのそれぞれの組のスイッチ30,32,34(以下一括してそれぞれA,B及びCと記載する)及び36,38,40(以下、一括してそれぞれA’,B’及びC’と記載する)はほぼ同時に動作するようにする。スイッチング・シーケンスは図2a及び2bの回路に対応して図3a及び3bにそれぞれ示し、この場合、スイッチング動作は適切なスイッチコントローラ42が制御し、このコントローラは図の記号Φで示すクロック入力44に応答して動作する。
【0031】
図2aでは、測定回路46,46’の各々は、アナログ−デジタル変換器(ADC)を含むことが好ましいが、同じ機能は二つのチャネル26,26’の間で時分割多重する単一のADCにより実現することができる。いずれの構造においても、ADC値は、固定期間の電荷−移動サイクルのバーストの最後で取得する。この構造を動作させるに当たって、コントローラ42は図3aに示すように、スイッチ群を同時に操作し、チャネル結果は、二つのチャネル・サンプリング・キャパシタ48,48’(以下、一括してそれぞれCs1及びCs2と記載する)の電圧をステップ6で測定した後に判明する。これらの結果は、マイクロプロセッサとすることができる適切な計算手段50において合成されてポインティング物体の位置を表わす出力を供給する。
【0032】
図2bに示す構造では、コントローラは図3bに示すように、スイッチ群を同時に操作する。各スイッチング・サイクルの後、比較器51,51’を使用してそれぞれのチャネル・サンプリング・キャパシタCs1及びCs2の電圧を選択比較電圧Vtと比較する。サンプリング・キャパシタのいずれかが比較電圧に達した場合、個々のキャパシタの当該電圧に達するために必要な電荷−移動のサイクル数を、個々のキャパシタに接続されるカウンター52,52’に保存する。続いて、これらの値を適切な計算手段50に渡してポインティング物体の位置を表わす出力を供給する。
【0033】
スイッチの開閉に必要な期間は通常、数ナノ秒または数マイクロ秒として測定されるが、サンプリング・キャパシタをリセットすることを含むステップは、ミリ秒の範囲で行なわれる。実際の、または最適なタイミングは、部品の値としてどのような値を選択するかによって変わり、これらに限定されないが、サンプリング・キャパシタの値、スイッチの抵抗値、及び検出細片の抵抗値によって変わる。例えば、10Kオームのような非常に低い抵抗値を有する細片は、大きな電荷がCs1からCs2に、この逆の方向に抵抗細片自体を通過して帰還することを防止するために、100ns以下のスイッチ閉じ期間が必要になる。
【0034】
センサ動作の初期段階の間、例えば電源投入時において、校正読み取り値は両方のチャネルからのベースライン信号またはバックグランド信号から取得することができ、これにより、物体12が検出細片の近傍に存在しないと推測される期間に渡って基準読み取り値を取得する。これらの読み取り値は、上記した同じスイッチング・シーケンスを使用して取得することができる。バックグランド信号は非対称であり、かつ細片の長さに沿って位置する異方性または「集合」容量から蓄積される電荷から成る。これらの信号は、一定のままである限り、減算または他の数学的補正処理により後続のサンプリングから取り除くことができる。一旦、校正値を取得すると、各チャネルから得られる差読み取り値のみを処理するだけでよく、これによって、検出細片に沿った物体の位置を計算することができる。また、信号のバックグランド・レベルの緩慢な変化は「ドリフト補正」法を使用して補正することができ、このドリフト補正法では、「基準レベル」が、検出を行なっていない期間中にスルーレートに制限される形で緩慢に調整される。
【0035】
物体の位置を図2bの回路を使用して計算するために、二つのセンサ読み取り値を次のステップに従って計算手段50により処理するが、この場合、リアルタイム取得信号はそれぞれSig1及びSig2であり、ベースライン基準レベルはそれぞれRef1及びRef2である。
1)デルタ信号ΔSig1及びΔSig2を計算する。
【0036】
ΔSig1=Ref1−Sig1
ΔSig2=Ref2−Sig2
2)位置を表わす比を計算する。
【0037】
P=ΔSig2/(ΔSig1+ΔSig2)
上式において、値Pは細片の第1端部18を基準とし、0と1との間の値を有する。
ここで、図2bに示す種類の回路を使用するに当たって、リアルタイム信号Sig1及びSig2は常に基準値よりも小さい。その理由は、カウンターは、細片のスポット容量が増えると、より少ない数をカウントするからである。この要素が上記結果の極性に取り込まれ、ΔSigに関する等式が(Sig−Ref)ではなく(Ref−Sig)に基づくものとなる理由となる。
【0038】
細片からの距離が変化する物体を検出する場合、信号処理は、信号強度の合計増分(ΔSig1+ΔSig2)が、保存されている最小しきい値よりも大きくなるときにのみに行なわれる。この物体検出プロセスはヒステリシス及びフィルタリングを取り入れて、接触開始検出特性を向上させることが好ましい。
【0039】
図2aの回路から得られる複数の信号結果は、非常に類似する方法で処理されるが、ΔSigに関する上記等式が(Sig−Ref)に基づくものとなる点が異なる。その理由は、これらの信号は容量が基準レベルから上昇すると正の方向に大きくなると推測されるからである。いずれの回路においても、考慮すべき重要な点は、値Pが符号のない大きさを有することである。この技術分野の当業者であれば、この値を得るためには他の簡単な数学的手法があることが分かるであろう。
【0040】
この結果を更に処理するために、
一つの結果を分割して特定の位置「区分」に分類し、重要領域(図12に示すような)を定義し、
Pに対して信号フィルタリングを行なって位置雑音を小さくするか、または
「リフトオフ(lift off)」検出を行なうことにより、物体の除去及びそれに伴う信号損失を検出し、処理して、最後に接触した位置のメモリへの保存が可能となる。
【0041】
Pの値は、注目すべきことであるが、物体のサイズまたは物体までの距離の影響を受けない。2%以内の精度が、これらの通常の部品に関して容易に得られた。空気を媒体として行なう検出によって、新規の形のヒト及び物体の位置検出が可能になることも判明した。変位に対するPの直線性及び範囲は図4に示される。この図示の直線性は、チャネル26,26’、28,28’のうちのいずれか一つに等価な回路を近接検出に使用し、このような回路の物体近接に対する非常に大きな非直線(例えば逆指数関数)応答を予想することに慣れている人にとっては、かなり驚くべきものである。更には、本発明の好適な実施形態は二つの同じサンプリング・キャパシタを二つの測定チャネルに使用し、応答曲線は二つのサンプリング・キャパシタが異なる容量値を有する場合には、図4に示す直線からずれるが、センサ出力は、直線性を維持することに注目することができる。
【0042】
本発明の好適な実施形態は、発明者が前に開示した容量測定に関する電荷移動手法を使用するが、一致する構成を有して同期動作を可能にする二つの他の種類の容量測定チャネルの非直線出力から生じる一つの直線位置出力を有する位置センサを構成することも可能である。例えば、単一の抵抗体−キャパシタ(RC)ネットワークは、同様な逆指数関数出力を有する。二つのRCチャネルを使用して、物体12が検出細片14に沿ったスポットに近接することにより生じる容量の変化を測定することができるが、この測定は、二つの同時に動作するRCチャネルの時定数の変化を測定することにより行なわれる。図2dに示す図では、例えばコントローラ50は、最初に二つのリセットスイッチ41aを制御してリセットステップを実施し、これにより検出細片の両端子を接地に接続することができる。続いて、コントローラは別のスイッチ41を作動させて、それぞれサンプリング抵抗体−キャパシタペア45,49及び45a,49aを含む二つのRCチャネル29,29aを電圧源に接続し、次に二つのキャパシタ49,49aの各々での電圧上昇を個々のアナログ−デジタル回路47,47aにより測定して、これらのアナログ−デジタル回路からそれぞれのデジタル測定出力をコントローラに供給する。
【0043】
細片14に沿った複数の物体または接触を検出すると、Pの1次元の「重心」が得られる。二つの接触が各ポイントで等しい信号強度を有する簡単な場合では、値Pは、二つの接触の中間ポイントを表わす。一方の接触でより大きな容量が生じる場合、値Pを大きい容量ポイントの方向に偏らせる。指のような単一方向に延びる物体の場合、Pの値は指の接触の中心を正確に反映する。これらの効果は、重ね合わせ現象により可能になる。
【0044】
検出細片には多くの異なる構成を選択することができる。図5は、例えば絶縁基板58の上に配置され、抵抗材料60から成るジグザグ・パターンを有する細片14を示している。この構造は、近接物体に対して線形応答を示す三角波形状を維持しながら、利用可能なレベルにまで細片抵抗が増大するように選択される。前に記載したように、低い細片抵抗により、大量の電荷が細片を横切ってCs1からCs2に、またはこの逆の方向に移動し、これによって結果的に得られる比Pが小さくなる。幾つかの材料、特に酸化インジウム錫(ITO)は処理して高抵抗にすることが難しく、その結果、大きな配線長及び小さな配線幅を有するエッチングパターンまたは堆積パターンを使用することによって適切な結果を得ることができる。
【0045】
検出細片14はまた、図6a及び6bに示すように、集合モデルに従って構成することができ、この構成では、複数の個別抵抗体60が個々の組の個別金属配線電極62によって直列接続される。これは動作的に、均質細片の場合に観察することができるものと同様であるが、集合版の変位表示は、明らかな理由から更に細かく区分される。この細かな区分は、直列に接続された個別抵抗体60の隣接抵抗体の間の距離を最小化することにより、最小にすることができる。検出細片14を、例えば表面実装技術を使用して作製する場合、隣接抵抗体は各中間金属パッド62に重なり、これらのパッド間に狭い間隙のみを有する形で配置することができる。
【0046】
この構成により、細片を従来の製造方法を使用して個別抵抗体のような通常の部品により形成することができる。このタイプの細片による応答が「集合的」に見えるが、実際、導電パッド62が指先(または機械式「ワイパー」)よりもほんの少しだけ小さい場合には、図6に多数を重ねて接続して形成されるキャパシタ63として示すように、隣接パッド間の有効な補間結合により結果が平滑となる。5mm間隔で行なわれる金属配線によって、基板58の厚さが電極間隔と同等とした場合に動作が非常にスムーズに行なわれるようになり、脈動(cogging)を感じることがない。誘電体パネルは、隣接電極からの電界を「調整(blend)」し易くなるように作用するので、所望の平滑さが得られる。
【0047】
幾つかの場合では、極端な集合が、例えば個別「キー」を生成することが望ましい場合に実現する。この種類の構造を図7に示すが、この構造では、図7の左側に示す複数の小さな、広い間隔の抵抗体60aを大きな均質細片60bと組み合わせて「滑り(slider)」領域と組み合わせた個別キーを形成する。この種類の構造は、例えばPCモニター・コントロール・ベゼルの上に使用することができ、このベゼルには、個別制御ボタンだけでなく連続可変輝度制御手段が設けられる。実際、このような構成においては滑り領域及び個別キーをどのような形でも混合して設けることができ、これらの素子をどのような選択シーケンスでも分布させることができる。図7に示すような集合領域及び個別領域を混合した構造、または図5,6a及び6bに示すように、平坦な構成の個別領域を設けることもでき、これらは全て設計者の要望に沿ったものとすることができる。
【0048】
細片14は、図8a及び8bに示すように流体レベルセンサとして使用することもできる。容器64が空の場合、デルタ信号(基準からの)は検出されず、P=0の結果が得られる(故障によるアルゴリズムが優先されて最小信号条件が満たされる)。他方、容器64が流体66で一杯になる場合、値Pは0.5になる。その理由は、容量が細片全体に渡って均一に増大し、この効果の平均が50%になる。流体の量が少なくなると、0よりも少しだけ大きい値から0.5よりも少しだけ小さい値の範囲の値が得られる。流体レベルセンサは、必要に応じて外部タンク・センサまたは内部「浸漬(dip)スティック」センサとして形成することができる。
【0049】
図9に示すようなピストンタイプのセンサ70の場合、被検出物体がピストン72であり、このピストンは検出表面から離間させることが好ましい。回転センサでは、被検出物体は図10aに示すように回転「ワイパー」74とすることができ、このワイパーは接地22にシャフト76を通して接続される。
【0050】
ウォールライト調光器または家電機器制御手段は、図11に示すように構成することができ、この場合、制御表面は弓形を示し、一連のLEDまたは分割LCDディスプレイのようなバーグラフ表示器に接続されることになる。適切なグラフィック素子78を使用して、パネル表面16上で接触位置が示される。
【0051】
LCDまたは他のタイプのグラフィック・ディスプレイは、図12に示すように、制御表面16上に配置される一連の透明ITO抵抗細片60bを有する。この構成により、低い縦方向解像度を有する非常にコストが低い「タッチ・スクリーン」が得られる。検出細片の出力を処理して、検出細片が連続構造(または図7に示すような「集合」構造)であっても個別キーを表わす出力を供給することができる。このような構成をキーパッドの下に使用して、隣接ディスプレイ付き、または隣接ディスプレイ無しの非常に安価な制御パネルを製造することもできる。キーパッドの場合、表示が印刷された不透明パネルの下に導電細片を設けてパネルが必ずしも透明である必要がないようにすることができる。
【0052】
本発明を使用して「仮想ノブ」(図13)を制御表面の上に形成することもでき、この制御表面では、物理ノブ80が導電「ワイパー」74に取り付けられ、このワイパーがガラスまたはプラスチック表面16を介して作動することにより、封止表面を通して検出細片14を制御することができる。ワイパー74は、ガラスまたはプラスチックのようなどのような誘電体を介しても作用することができる。ノブは機械的に正規の位置に保持するか、または磁石82によって保持することができ、この構成はプラット(Platt)による米国特許第5,920,131号明細書により公知となっており、ノブは、ワイパーの反対側に設けられたスペーサ誘電体83を備えることができる。ワイパー74からの容量リターン・パス(capasitive return path)は、金属または磁石82との接続を行なうことにより形成されることが好ましく、これにより、パネル自体をリターン・キャパシタ(return capacitor)誘電体として使用して、制御パネル内側の接地に戻る良好な結合が可能となる。この手法には多くの変形が考えられ、湿気の侵入を防止する周辺封止を有する構造が含まれる。磁石82ではなく接触時の人体をグランド・リターン・パス(ground return path)として使用することも可能である。これにより、検出電子機器は接触による容量の増加を検出することができ、この容量増加を使用して位置信号に加えて「タッチ信号(touched signal)」を生成することができる。「タッチ信号」を使用して家電機器制御手段にヒトがノブの近傍に位置し、かつ変化が生じる可能性があることを通知することができる。例えば、接触が生じたことを利用して、デバイスをスリープモードから復帰させるか、または表示器LEDなどをオンさせることができる。
【0053】
回路全体は、図14に示すように、マイクロコントローラ90を使用して動作することができる。マイクロコントローラ90のI/Oポートは、図3a,3bに示すように、正しいシーケンスで操作することができる。マイクロコントローラのI/Oポートピンは、通常、スイッチング・シーケンスをソフトウェア制御により実行するために必要な少なくとも三つのスイッチを有する。ソフトウェアは容易に、図2bの回路素子42,50,51,51’,52,及び52’の機能だけでなく、図3a,3bに示すアルゴリズムを実行することができる。マイクロコントローラは、プッシュプル・タイプのCMOSピン構造、及び電圧比較器として機能するように構成可能な入力を有することが好ましい。ほとんどの一般的なマイクロコントローラのI/Oポートは、このような機能を備えるが、これは、これらのポートが比較的固定された入力しきい値電圧だけでなく、ほとんど理想に近いMOSFETスイッチを有するからである。このコントローラの出力は、PWM信号またはシリアル出力のいずれかとすることができ、PWM信号は、フィルタリング処理してアナログ形式とすることができ、シリアル出力は、例えば公知のUART,SPI,またはI2Cフォーマット(または他のいずれかのタイプ)とする。このようなコントローラは、有用な機能を処理することができ、例えばトライアックを制御して調光またはモータ制御を行ない、この場合、出力は高度に処理され、特定用途に使用される。
【0054】
本方法の有用な変形例では、連続する非直線的な検出細片を設ける。細片の「傾斜(taper)」を調整して機械的な問題、または非直線性を補正することができ、この補正は、回路の信号出力をシステムの構造に対して線形化する逆伝達関数を実現することにより行なう。対数傾斜または他の非直線傾斜は、他の領域以外の検出素子の或る領域に沿って大きくなる変位を解消する目的で、オーディオ利得制御、或る種類の照明制御、流体レベルセンサ、位置センサなどに使用することができる。非直線傾斜を使用する理由は、多くのアプリケーション領域において広く知られているので、ここでは繰り返して説明しない。図6または7に示すような抵抗体を使用して、このような非直線傾斜を高い精度で便利な形で安価に形成することができる。このような傾斜は、厚膜のレーザトリミングまたは可変真空堆積法を使用して容易に形成することもできる。
【0055】
本明細書に記載するスイッチング法は、本発明者による米国特許第6,466,036号明細書に記載されているような、どのスイッチング・シーケンス及びスイッチング構成のいずれにも適合させることができる。しかしながら、好適な方法は本明細書の図2a,2b及び3に開示されている方法である。この特定の構成及びスイッチング・シーケンスは、外部雑音及びリーク電流に対して最も強固である。その理由は、信号サンプリングが、細片自体が接地または別の構成の低インピーダンス基準に接続されている状態で行なわれるからである。ここで、他の容量検出方法を採用することができることも理解されたい。しかしながら、正確な結果を得るためには、二つの端部18,20で実施される検出方法が、少なくとも電荷注入が関わってくる限りは、時間的にほぼ同期した形で行なわれることが重要である。例えば、正弦波を基本とする回路を使用することができ、そして正しい結果を得るために、端部18及び20の両方を互いに位相がほぼ同じ波形によって駆動する。これは本発明の一つの態様である。すなわち、両方の端部に印加される駆動信号はほぼ同じであり、かつ同じ位相である。このようにして、最終的な結果を真に出力が入力に比例した形にすることができ、従って、このような結果は素子の抵抗または浮遊容量の影響をほとんど受けない。
【0056】
この技術分野の当業者には明らかなように、本明細書において特に記載した検出方法またはスイッチング・シーケンスの種々の組み合わせを含む多くの変更が考えられる。本方法は、ドリフト補償、校正、スイッチ閉じ時間を短くした湿気抑制などに関する方法を含む本発明者の先行特許のいずれかから得られる示唆を利用した方法と組み合わせて使用することができる。
【0057】
本回路は、MEM,トランスデューサ、圧力センサ、湿度検出器、ピエゾ抵抗トランスデューサ(容量Cdを相対的に一定に維持しながら、圧力または撓みによる検出素子の抵抗均一性の変動を観察することによる)などに使用可能となるように適合させることができる。素子の材料組成及び形成方法は、どのようなタイプのものとすることもできる。厚膜、導電インキ及び導電塗料、真空堆積材料、導電ポリマー、透明導体、及び有限空間内部の導電流体であっても素子として用いることができる。これらの材料は、堆積、エッチング、構造体形成、スタンピング、成形、スクライビング、メッキ、またはパンチングを公知の方法で実施することにより得られ、材料をどのような方法で形成するかは制限されない。本発明に関連付ける形で公知の、または知り得る材料、或いはプロセスをこのように組み合わせる方法は、この技術分野の当業者には明白と考えられる。同様に、どのような公知のタイプの被検出物体も使用することができ、これらの物体としては、これらには限定されないが、メカニカル・フィンガー、回転ワイパー、針、ピストン、流体、循環ボール、移動機器または移動サブアセンブリの付属物、平滑誘電体表面の導電部分などを挙げることができ、これらの物体は抵抗ポテンショ・メータ、既存の容量変換器、LVDTなどに関連して使用することができることが知られている。
【0058】
図15は別の検出細片14を示しており、この細片は、間隙によって分離され、かつ、互いに隣接しながら延びる、傾斜三角形電極ペア91,92を使用する。各電極は前の実施形態と同じように端部18,20の一つに接続される。従って、検出細片は、上述の実施形態に使用する抵抗本体に代えて、導電材料により形成される。傾斜には他の形状を使用することができる。これらの種類の構成に関する更に詳細な内容は、本発明者が前に出願した米国特許第6,288,707号明細書(例えば、図4,5及び6、及びこれらの図に関する説明を参照)に記載されている。
【0059】
本発明について幾つかの好適な実施形態に関して記載してきたが、多くの変形及び変更を本発明に、本発明から逸脱しない範囲において加え得る。従って、このような変形及び変更は添付の請求項に定義される本発明の技術思想及び技術範囲に含まれるものであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】分布容量のみならずタッチポイント容量も示す、電気抵抗シートまたは堆積抵抗材料からなる検出細片の概略図である。
【図2a】制御回路及び信号取得回路のそれぞれの好適な実施形態を示す概略回路図である。
【図2b】制御回路及び信号取得回路のそれぞれの好適な実施形態を示す概略回路図である。
【図2c】図2a及び2bの信号取得回路に使用することができるスイッチング構成の別の実施形態の概略回路図である。
【図2d】本発明の位置検出装置に使用する抵抗体−キャパシタ網の概略回路図である。
【図3】aは図2aの回路のスイッチング・シーケンスを表わすチャートであり、bは図2bの回路のスイッチング・シーケンスを表わすチャートである。
【図4】図1の検出細片に接触するか、または細片の軸に沿って近接する結果として得られ、出力が入力に比例した関係を示すグラフであって、二つの位置に対応する変位がパーセントで相互に関連付けられているグラフである。
【図5】線形抵抗を大きくするためにジグザグ・パターンに堆積させた電気抵抗材料からなる検出細片の概略図である。
【図6】aは個別抵抗体の直列接続構造体からなる検出細片の概略平面図であり、bは図6aの細片の側面図である。
【図7】一つの細片抵抗体及び複数の個別抵抗体の接続構造体の組み合わせからなる検出細片の概略図である。
【図8a】流体レベルセンサとして使用する抵抗性検出細片の概略図である。
【図8b】図8aのセンサの出力と流体レベルとの関係を示すグラフである。
【図9】「ワイパー」として機能する可動ピストンに隣接する細片センサを用いるリニアトランスデューサの概略図である。
【図10】a及びbはそれぞれ、固定円形抵抗素子を隣接する非接触型回転「ワイパー」と組み合わせて用いる回転トランスデューサの概略平面図及び概略縦断面図である。
【図11】弓形のユーザ制御グラフィック素子を有するウォールライト用調光制御手段の概略図である。
【図12】LCDディスプレイの上に位置するほぼ透明な横置き型容量検出細片を有するフラット・パネル・ディスプレイを示している。
【図13】制御ノブとして構成される本発明の一実施形態の概略断面図である。
【図14】本発明のセンサに使用するマイクロコントローラの概略図である。
【図15】別の検出細片を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置とのヒューマン・インターフェイスとなるだけでなく、材料変位を検出する装置及び方法を提供する。更に、詳細には、本発明は、容量を利用して直線または曲線に沿った位置を検出する方法に関する。
(関連出願)
本出願は、2002年10月31日に出願され、シリアル番号60/422,837を有する、発明者による米国仮特許出願の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
容量センサは、ヒューマン・インターフェイス及び機械制御に益々広く利用され、かつ採用されるようになってきている。家電用途の技術分野では、現在、容量性タッチ制御がごく通常に行なわれるようになっており、この制御はガラスパネルまたはプラスチックパネルを通して操作することができる。これらのセンサは本発明者による米国特許第6,452,514号明細書に非常に典型的な例で記載されており、この文献の内容が本明細書の参照として本発明の開示に含まれるが、この文献は電荷移動の原理を利用したマトリクス・センサについて記載している。
【0003】
容量性タッチ制御に対するマーケットニーズが高まっているため、機能対コストだけでなく使用及び構成に関する高いフレキシビリティが益々必要になっている。同様に、容量材料を使用した低価格の変位センサ(例えば、流体レベルセンサ、機械的変位を利用する変位センサ、圧力センサなど)に対する要求が非常に大きく、このようなセンサは、現世代の非機械式の変換器では容易に実現することはできない。
【0004】
多くの用途において、多くのキーまたは検出位置を有するヒューマン・インターフェイスに対する要求があり、このヒューマン・インターフェイスは、米国特許第4,476,463号明細書(エヌジー(Ng))または米国特許第5,305,017号(ガーファイド(Gerpheide))に記載される2次元タッチスクリーンまたはタッチパッドによって可能になるフレキシビリティと同様のものを提供する。例えば、コンピュータ・モニターでは、スクリーン・ベゼルに制御手段を設けて輝度及びコントラストの調整ができるようにすることが望ましい。理想的には、連続調整可能な制御手段(例えばポテンショメータ)を使用してこれらのパラメータを制御する。価格低減要求及び美的要求から、これらの制御手段は、通常、ベゼルに取り付けられたユーザには非常に分かり難い数個のメニュー選択ボタンの操作性の観点から取り外されてきた。
【0005】
医療検査電子機器の分野では、LCDディスプレイは多くの場合、数列に並べたベゼルボタンと共に使用してソフトウェア駆動メニュー機能を提供する。このような用途の多くは、高価で、コントラストが低く、そして壊れ易いタッチスクリーンには適さない。更に、これらのディスプレイの幾つかの性能には、メニューオプションが多いか、または少ないという問題と、視差の問題がある。このタイプのメニュー制御手段の例は、例えばオハイオ州デイトンに本拠を置くNCR社が提供するLCD−5305モデルのような、ほとんど全ての現状の現金自動支払機に見ることができる。製造業者は、経済的に採算が取れる場合には、高分解能の制御手段をスクリーンエッジの上で、またはスクリーンエッジに近接して使用する。同様な市場が家庭用品、教育ゲーム、情報/インターネット・キヨスクなどに関して存在する。
【0006】
HVAC分野では、壁掛け式温度自動調節制御における最先端技術として、現時点では、ニュージャージー州モリスタウンに本拠を置くハネウェル社が提供するモデルCT8602を挙げることができる。このモデルは小さなLCDスクリーンを備えるメニュー駆動システムである。これらのデバイスの最新機能は、メニューの最も下の方の項目を通して利用することができ、これらの項目は単純なダイアル制御手段またはスライダー制御手段に比べて直感的に理解できないものが多い。
【0007】
シュービッツ(Schaevitz)(スロー(Slough),英国)製のMPシリーズを例として挙げることができる、機械的変位を利用する変位検出LVDTの分野では、MPシリーズはプロセス制御手段において、フィードバックに関する正確な位置情報を提供する。シュービッツ製のXS−Bシリーズのような他の小型デバイスは機械及び機器に組み込まれる。このようなデバイスは、通常、非常に高精度ではあるがコストの高く付く解決方法であり、かつ高価な信号調整器による磁気バランスを利用した測定を行なう。これらのデバイスは、非常に信頼性の高い非接触式の検出を行なうものであり、厳しい環境下において非常に高い精度で動作することができる。これらのデバイスは、抵抗式のポテンショ・メトリック法に関するワイパーの信頼性の問題を、物理接触を使用しないことにより解決している。同様に、容量式位置センサの例としてアールディピー エレクトロセンス(RDP Electrosense)社(米国ペンシルベニア州ポッツタウン)製のRCDT容量変換器があるが、この変換器も特殊で高価な信号調整器を動作させる必要がある。このような技術の例が、ブリッジ回路について記載している米国特許第5,461,319号明細書(ピーターズ(Peters))に更に詳細な形で記載されている。容量性デバイスは、直線位置検出及び回転位置検出の両方を行なうことができる。例えば、米国特許第5,079,500号明細書(オズワルド(Oswald))は、容量式ワイパーを有する直線または回転「ポテンショ・メータ」について記載しており、このポテンショ・メータはガルバニ式ワイパーを使用しないので高信頼度の位置検出方法を実現することができる。アダプテーションを行なって圧力を測定し、推定によって流体レベルを測定することができる。しかしながら、上に参照した技術は、製造業者にとって非常に複雑であり、コストが高く付き、従って技術の使用がハイエンドまたは産業機器に制限されるという問題がある。
【0008】
流体によって直接生じる容量変化を測定する容量式流体センサが在り、この例は本発明者による米国特許第6,457,355号明細書に記載されている。米国特許第6,178,818号明細書のような他の例も多く在る。
【0009】
本発明者による米国特許第5,730,165号明細書において、単一の結合板を用いて接地に対する容量の変化を検出する容量式フィールド・センサを示唆している。この装置は、電荷検出の次に電荷移動を繰り返すサイクル、または電荷検出と同時の電荷移動を繰り返すサイクルを用いる回路を備え、かつ好適な形でCMOSスイッチング素子を使用し、このCMOSスイッチング素子は、米国特許第5,730,165号明細書に開示されているCMOSスイッチング素子が浮遊端子を有している点で、通常のCMOSプッシュプルドライバ集積回路とは異なる。本発明者による後続の米国特許第6,288,707号明細書において、電荷移動技術を使用して1次元及び2次元で位置検出を行なう方法を示唆している。これら文献を本明細書において参照することにより、こられの文献の内容が本発明の開示に含まれる。
【0010】
本発明者による「電荷移動を利用した容量式測定回路」と題する米国特許第6,466,036号明細書は、本明細書において参照することにより、この文献の内容が本発明の開示に含まれるが、この文献では、単一の結合板を用いて接地に対する容量の変化を検出する別の容量式フィールド・センサを示唆している。この装置は電荷検出の次に電荷移動を繰り返すサイクル、または電荷検出と同時に電荷移動を繰り返すサイクルを用いる回路を備え、かつ通常のCMOSプッシュプルドライバ集積回路を重要な回路として使用しており、このドライバ集積回路では、全てのスイッチの一端子を基準電圧または回路接地のいずれかに接続する。上記文献は、本明細書において参照することにより、この文献の内容が本発明の開示に含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電気機械ヒューマン・インターフェイス制御手段(プッシュ・ボタン、メンブラン・スイッチ、及びポテンショ・メータ等)は、信頼性が低く、湿気に晒されるだけでなく、LCDのメニューシステムにはほとんど搭載することができないという不具合を有する。ダイアル及び抵抗ポテンショ・メータのような従来からのユーザ制御手段は、埃及び湿気を製品に侵入させるパネル開口を必要とする。これらの制御手段はまた、「清潔な」外観を持たず、非常に奇異であり、そして工業設計者にとって自由度が非常に低い。米国特許第5,920,131号明細書(プラット(Platt))は、この問題に対する一つの解決方法として回転ノブについて記載しており、この回転ノブはシームレスパネル表面に磁気的に保持され、かつパネル表面下の位置検出器と磁気的に相互作用する。この解決方法は、依然としてノブを必要とし、製造コストが高く、多くの用途が直線検出を必要とするのに対して回転デバイスとしてのみ良好に機能する。
【0012】
妥当なコストで電気機械制御手段の技術的不具合を解決し、他方ではタッチ・スクリーンまたは他の異種スクリーンのコストに関する問題を解決する新規のヒューマン・インターフェイス技術に対して強い要求がある。本発明の目的は、これらの問題を一挙に解決し、かつ多くの産業及び用途に渡る全ての新規種類の位置センサの基礎ともなる新規種類のタッチセンサを実現することにある。
【0013】
LVDT及びRCDTタイプの変換器は、非常に良好に動作するが、自動車用途及び家庭電気器具用途に市販レベルで使用することができる低コストデバイスという非常に大きな市場においては未だ用いられていない。本発明の別の目的は、新規種類の位置センサを容量に基づいて形成することができるようにすることにあり、この位置センサは高価な信号調整、または高価な巻き線コイル、或いは磁石も必要とせず、かつ直線または回転位置検出のいずれかに適合させることができる。
【0014】
既存の容量式流体センサは、そのコストのために、または自動的に誘電率特性の変化を補償する機能が無いために、非常に普及しているという状態ではない。ほとんどの容量式流体センサは、流体レベルをプラスチック容器またはガラス容器の外部から正確に検出することができない。本発明の更に別の目的は、容器の内部または外部から、検出対象の材料または流体の誘電率特性がどのようなものであるかに拘らず容器の中身のレベルを低コストで検出することができる新タイプの容量式流体センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
概括すると、本発明は、二つの電極の間に延びる抵抗性本体または導電性本体のような検出本体に沿って測定されるポイントまたはスポットに対して直線的に変化する位置出力を有する容量センサを提供するものであり、この場合、検出本体には、被検出物体が接触しているか、または極めて近接している。このセンサは二つの容量測定チャネルを備え、各チャネルは電極群の個々の電極に接続される。これらのチャネルが同期して動作する場合、各チャネルは、物体が本体に近接すると、物体によって生じる容量負荷に対して非直線応答(主たる実施形態では指数関数的な増大)を示し、個々の出力を供給し、これらの出力が線形合成されて、位置に従って直線的に変化する位置出力を供給し、これにより、レシオメトリック・センサとして動作することができる。この合成は、アナログまたはデジタル回路を使用して、例えばプログラマブル・ロジックまたはソフトウェアにおいて行なうことができる。
【0016】
本発明の好適な実施形態は、検出素子、及び素子と容量結合する物体または指の位置の1次元の読み取り値を供給するように設計される回路を備える。この場合、回路は、素子の二つの端部に同時に注入される電荷を測定する。計算デバイスは素子の各端部に注入される電荷の量の相対的変化の比を計算する。この計算の結果は、1次元座標番号に検出状態表示を加えたものであり、これらの両方が、家電機器コントローラのような別の機能素子に転送されて、この素子が座標及び検出状態を命令または測定値に変換する。
【0017】
本発明の一つの態様では、本発明は、二つの電極の間に延びる検出本体に沿った物体の位置を検出する容量センサを提供する。このセンサは二つの電圧源を備え、これらの電圧源は、二つの異なる選択電圧をスイッチング素子群に供給し、これらのスイッチング素子は二つの検出チャネルの各々にそれぞれ関連し、二つの検出チャネルの各々は二つの電極にそれぞれ接続される。これらの検出チャネルの各々は、二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタを含み、各端子は個々の電極に電気スイッチング素子を介することなく接続される。更に、各チャネルは三つの電気スイッチング素子を含み、各スイッチング素子は、単一の個々の閉じ状態及び個々の開き状態の両方を有し、この閉じ状態では、スイッチング素子は個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの一つの端子を、選択された電圧を有する二つの電圧源のうちの一つのみに接続し、開き状態では、スイッチング素子は端子群の個々の一つの端子を、選択された電圧を有する二つの電圧源のいずれにも接続することがない。個々の電圧測定回路が各チャネルに関連し、個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの選択された一つの端子において測定される電圧に応答して電圧出力を供給する。また、スイッチング素子群を選択的に開き、そして閉じるスイッチコントローラと、物体の位置を二つの電圧測定回路の個々の出力から計算する手段と、を設ける。
【0018】
本発明の別の態様では、本発明は、物体の位置を二つの端部ポイントを有する曲線に沿って検出する容量センサを提供する。この場合、センサは二つの電極の間に延びる抵抗性検出細片を備え、これらの電極はそれぞれ二つの端部ポイントに隣接して接続される。センサはまた、複数の電気スイッチング素子のうちのスイッチング素子群を選択的に閉じるスイッチコントローラと、二つの検出チャネルと、を備え、各チャネルは個々の電極に接続され、かつ個々の電圧測定回路からの個々の出力を有し、更にマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他のデジタル計算回路とすることができる手段を備え、この手段によって、物体の位置を二つの電圧測定回路の個々の出力から計算する。好適には、これまでに記載してきた二つの検出チャネルの各々は、二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタを含み、個々の二つの端子のうちの一つの端子は、個々の電極に電気スイッチング素子群のいずれをも介すことなく接続され、少なくとも一つの個々の電気スイッチング素子を含み、この電気スイッチング素子は、このキャパシタの端子群の両方を二つのラインのうちの選択されたラインに接続することにより個々のサンプリング・キャパシタをリセットし、そして少なくとも二つの別の個々のスイッチング素子を含み、これらのスイッチング素子は、二つの端子のうちの第1端子を第1ラインに、二つの端子のうちの第2端子を第2ラインに交互に切り替える。
【0019】
本発明の別の態様では、本発明は、物体の位置を二つの電極の間に延びる検出本体に沿って測定する方法を提供し、この方法では、二つの電極の各々は個々の容量測定チャネルに接続され、これらのチャネルの各々は個々のサンプリング・キャパシタを含み、このキャパシタの二つの端子のうちの第1端子が二つの電極のうちの個々の一つの電極に接続され、そしてキャパシタの個々の第2端子が個々の出力を有する個々の電圧測定回路に接続される。本方法は反復して実施する方法と1回だけ実施する方法とを含み、これらの方法は共に、サンプリング・キャパシタ群の各々を個々の選択初期状態に同時にリセットすることから始まることが好ましく、この場合、最も通常の選択初期状態によって、各サンプリング・キャパシタのプレート群の両方が接地電位またはDC基準電圧レベルにリセットされる。二つのサンプリング・キャパシタをリセットした後、チャネル群の各々に接続される個々の第1スイッチを閉じて各サンプリング・キャパシタの二つの端子のうちの個々の第2端子を第1選択電圧に接続する。選択期間の間待機した後、第1スイッチ群の両方を開き、そして個々の第2スイッチ群を閉じて個々のサンプリング・キャパシタ群の個々の第1端子群の各々を個々の第2選択電圧に接続する。次に、本方法では、個々のサンプリング・キャパシタの個々の第1端子での個々の電圧を個々の電圧測定回路を使用して同時に測定し、次に、物体の位置を二つの電圧測定回路の出力群に基づいて計算する。
【0020】
本発明の更に別の態様では、本発明は、二つの電極の間に延びる検出本体に沿って物体の位置を測定する方法を提供し、二つの電極の各々は個々の容量測定チャネルに接続され、これらのチャネルの各々は個々のサンプリング・キャパシタを含み、このキャパシタの二つの端子のうちの第1端子が二つの電極のうちの個々の一つの電極に接続され、この構成は前に記載したものと同じである。しかしながら、この場合、各サンプリング・キャパシタの第1端子は、個々の出力を有する個々の電圧測定回路にも接続される。前の説明において示したように、この方法を反復する場合の各反復は、サンプリング・キャパシタ群の各々を個々の選択された初期状態にリセットし、次に、個々の第1スイッチ群を同時に閉じて、各サンプリング・キャパシタの二つの端子のうちの個々の第1端子を第1の選択された電圧に接続することから始まる。選択期間の間待機した後、第1スイッチ群の両方を開き、個々の第2スイッチ群を閉じて、個々のサンプリング・キャパシタ群の個々の第2端子群の各々を第2の選択された電圧に接続する。次に、個々の電圧測定回路を使用して、両方のチャネルに関して、個々のサンプリング・キャパシタの個々の第1端子での個々の電圧を同時に測定し、二つの電圧測定回路の出力群を使用して物体の位置を計算する。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態では、検出素子は、ほぼ均質な材料からなる矩形または弓形の抵抗細片である。細片の各端部の電極群に対する接続を行なって信号取得及び信号処理手段から成る回路との接続を行なう。細片は通常、絶縁基板の上に配置され、そしてユーザの指または他の所望の対象物を収容して検出を実施することができるように十分な幅及び長さを有する。検出電界は基板中を伝搬するので、抵抗細片から離れた方の基板の側を、素子を備えた能動検出表面として使用することができる。本発明の他のある実施形態では、細片は、個々の検出位置を形成するように電気的に直列接続される複数の個別抵抗体を二つの電極の間に含む。このタイプのセンサの最小限の構成では、二つの抵抗体が細片に設けられ、従って三つの検出領域、すなわち各端部に一つと、二つの個別抵抗体の接続部に一つが設けられることになる。
【0022】
この第2の実施形態の変形例では、個別の導電電極は十分に小さなサイズであり、絶縁基板は電界の調整が可能になるほどに十分に厚く、この電界の調整によって基板の検出面の上のポインティング物体の検出位置が効率的に「平滑化」される。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態の目的は、細片に隣接、または当接する物体の位置を1次元で読み出すことを可能にすることにあり、物体の位置は細片に沿った容量の変化として現れる。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態の別の目的は、物体の算出位置を示す符号化出力を供給するだけでなく、十分な信号が検出されたことを示す信号を供給して符号化出力が有効であることを示すことにある。本発明の幾つかの実施形態の更に別の目的は、符号化出力をユーザが一つ以上の個別のタッチボタンを選択する操作として変換することにある。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態の更に別の目的は、材料変位の大きさ、例えば細片に沿った流体レベルまたはピストン移動を1次元で読み取ることを可能にすることにある。この変位は、細片のより大きな部分が覆われるにつれて、細片に沿った分布容量を増大させる。
【0026】
これまでに記載した特徴及び利点は、この技術分野の当業者、及び本発明の実施方法の習得を所望する人々にとって非常に有用であると考えられるが、これまでの説明は、特徴及び利点の全てを網羅するために為されたものではないことを理解されたい。更に、本発明の種々の実施形態は、これまでに記載した本発明の特徴及び利点の種々の組み合わせを示唆するものであり、幾つかの実施形態が示唆する特徴及び利点は、記載した特徴及び利点の全てではないことに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この詳細な説明を一読するに当たって、この特許文書全体を通じて使用する所定の単語及び語句に関する定義を参考にすることによって理解が容易になる。これらの定義が為される場合には、この技術分野の当業者は、殆どではないにしても多くの場合において、このような定義が、このような定義単語及び語句を今まで使用してきた場合だけでなく、これから使用する場合にも適用されることを理解する必要がある。この説明を始めるに当たって、「含む」及び「備える」という用語だけでなく、これらの派生語が制限無しの含有を意味し、「又は」という用語は「及び/又は」を意味する包括的な用語であり、「抵抗体」は、容量モードで使用され、かつガルバニック電流が起こる導電物質からなる検出細片を表わし、「指」または「被検出物体」という単語は、実際のヒトの指、他の体の全ての付属物、または素子に近接すると検出することができる全ての機械的物体を表わし、「接触」という単語は、素子と指との間に誘電物質が介在し、誘電物質が固体、液体、ガスまたは空間の全ての組み合わせを含む場合に、本発明の素子への指による物理的な近接、または本発明の素子との指による接触を表わし、「接地」という単語は回路の基準電位または回路基準に戻る構成のインピーダンス・ループを形成するフィールド・グランドを表わし、この場合、接地は、必ずしもガルバニックな作用を考慮した構成を採る必要はないと解釈される。
【0028】
一般的に、本発明のセンサ10は、レシオメトリック・センサとして動作し、このセンサは、スチルカメラの距離測定に広く使用される三角測量型アクティブIR光センサに類似する方法で動作する。このようなセンサの例として、日本のハママツ株式会社(Hamamatsu Corporation)製のType S1352がある。同様なデバイスは、イカリ(Ikari)による米国特許第4,761,546号明細書に記載されている。これらのタイプのセンサでは、二つの出力がリニア・フォトダイオードの端部から供給され、これらの出力を処理して、合成信号レベルの合計がしきい値を超える場合に、出力の比を求めて、フォトダイオード上の光スポットの位置が決定される。出力が入力に比例する(ratiometric)結果は、光スポットの強度に無関係であり、結果の確度は信号強度及び信号積分時間が大きくなるにつれて高くなる。
【0029】
図1は好適な検出構造を示しており、この構造では、ポインティング機能に使用するユーザの指、針、または他の被検出物体12が、制御表面に接合させることができる抵抗性検出細片14に隣接配置される。検出細片は、選択された単位長さ当たりの抵抗を有し、かつ二つの端部端子または電極18,20を有するシート抵抗体により構成することができる。通常接地22に接続される被検出物体12は、スポット容量24(以後、一括してCxと記載する)を介して検出細片14にも接続される。本明細書において続いて説明するように、被検出物体によって検出細片に沿ったスポットまたはポイントで生じる容量性負荷である近接起因のスポット容量Cxは、測定の基本的着目点である電気パラメータである。検出細片14は、その周囲物に対する分布容量25(以後、一括してCdと記載する)を介して接地にも接続される。抵抗本体または検出細片14は、どのような抵抗材料からも作製することができ、このような抵抗材料には、炭素フィルム、金属フィルム、酸化インジウム錫(ITO)、またはSnO、導電性プラスチック、スクリーン塗布による導体、スパッタ堆積による導体などを挙げることができ、結果として得られる細片が、1次元、2次元または3次元の抵抗細片、棒、線、円弧、または他の適切な形をした構造体である限り、材料または堆積方法に関しては制限されない。続いて、検出細片に関する幾つかの特定の構造について以下に特に図5〜9を参照しながら説明する。浮遊容量Cdは線形分布させる必要は無い。その理由は、好適な細片は、重ね合わせの原理から「集合(lumpy)」容量と同等に機能するからである。
【0030】
次に図2a及び2bを参照すると、検出細片14に電極18及び20を通して接続される二つの好適な測定構造が示されている。これらの図の各々では、回路は二つのチャネル26,26’及び28,28’をそれぞれ備える。好適な各チャネルは、本発明者による米国特許第6,466,036号明細書に最初に開示されたタイプの個々のスイッチ回路を備え、このスイッチ回路では、複数のスイッチング素子30,32,34,36,38,40の各々が「固定電位を基準とする」構成である。その理由は、各スイッチング素子がスイッチング素子の二つの端子の一つがVr及び回路接地22として示される選択基準電圧の一つに直接電気的に接続されるからである。他の固定電位基準構造を使用することができるが、以下詳細に説明する特定の実施形態は、米国特許第6,466,036号明細書の図7を特に参照すれば理解でき、本発明の図2a及び2bの接地記号及びVr記号を入れ替えることにより形成される構造を含むことができる。更に別の関連するチャネル接続構造は図2cに示されるものであり、この構造は米国特許第6,466,036号明細書の図9に示されるものと等価である。以下に記載する例示としての場合では、チャネル群は選択期間に渡って動作する(例えば図2a)、または選択された電荷量が移動してしまうまで動作する(例えば図2b)のいずれかである。本発明者が先に開示した特許から得られる示唆を容易に理解できるこの技術分野の当業者であれば、チャネル動作には他の動作を選択することができることが分かるであろう。二つの検出チャネル26,26’,28,28’は、同期して動作させて二つのそれぞれの組のスイッチ30,32,34(以下一括してそれぞれA,B及びCと記載する)及び36,38,40(以下、一括してそれぞれA’,B’及びC’と記載する)はほぼ同時に動作するようにする。スイッチング・シーケンスは図2a及び2bの回路に対応して図3a及び3bにそれぞれ示し、この場合、スイッチング動作は適切なスイッチコントローラ42が制御し、このコントローラは図の記号Φで示すクロック入力44に応答して動作する。
【0031】
図2aでは、測定回路46,46’の各々は、アナログ−デジタル変換器(ADC)を含むことが好ましいが、同じ機能は二つのチャネル26,26’の間で時分割多重する単一のADCにより実現することができる。いずれの構造においても、ADC値は、固定期間の電荷−移動サイクルのバーストの最後で取得する。この構造を動作させるに当たって、コントローラ42は図3aに示すように、スイッチ群を同時に操作し、チャネル結果は、二つのチャネル・サンプリング・キャパシタ48,48’(以下、一括してそれぞれCs1及びCs2と記載する)の電圧をステップ6で測定した後に判明する。これらの結果は、マイクロプロセッサとすることができる適切な計算手段50において合成されてポインティング物体の位置を表わす出力を供給する。
【0032】
図2bに示す構造では、コントローラは図3bに示すように、スイッチ群を同時に操作する。各スイッチング・サイクルの後、比較器51,51’を使用してそれぞれのチャネル・サンプリング・キャパシタCs1及びCs2の電圧を選択比較電圧Vtと比較する。サンプリング・キャパシタのいずれかが比較電圧に達した場合、個々のキャパシタの当該電圧に達するために必要な電荷−移動のサイクル数を、個々のキャパシタに接続されるカウンター52,52’に保存する。続いて、これらの値を適切な計算手段50に渡してポインティング物体の位置を表わす出力を供給する。
【0033】
スイッチの開閉に必要な期間は通常、数ナノ秒または数マイクロ秒として測定されるが、サンプリング・キャパシタをリセットすることを含むステップは、ミリ秒の範囲で行なわれる。実際の、または最適なタイミングは、部品の値としてどのような値を選択するかによって変わり、これらに限定されないが、サンプリング・キャパシタの値、スイッチの抵抗値、及び検出細片の抵抗値によって変わる。例えば、10Kオームのような非常に低い抵抗値を有する細片は、大きな電荷がCs1からCs2に、この逆の方向に抵抗細片自体を通過して帰還することを防止するために、100ns以下のスイッチ閉じ期間が必要になる。
【0034】
センサ動作の初期段階の間、例えば電源投入時において、校正読み取り値は両方のチャネルからのベースライン信号またはバックグランド信号から取得することができ、これにより、物体12が検出細片の近傍に存在しないと推測される期間に渡って基準読み取り値を取得する。これらの読み取り値は、上記した同じスイッチング・シーケンスを使用して取得することができる。バックグランド信号は非対称であり、かつ細片の長さに沿って位置する異方性または「集合」容量から蓄積される電荷から成る。これらの信号は、一定のままである限り、減算または他の数学的補正処理により後続のサンプリングから取り除くことができる。一旦、校正値を取得すると、各チャネルから得られる差読み取り値のみを処理するだけでよく、これによって、検出細片に沿った物体の位置を計算することができる。また、信号のバックグランド・レベルの緩慢な変化は「ドリフト補正」法を使用して補正することができ、このドリフト補正法では、「基準レベル」が、検出を行なっていない期間中にスルーレートに制限される形で緩慢に調整される。
【0035】
物体の位置を図2bの回路を使用して計算するために、二つのセンサ読み取り値を次のステップに従って計算手段50により処理するが、この場合、リアルタイム取得信号はそれぞれSig1及びSig2であり、ベースライン基準レベルはそれぞれRef1及びRef2である。
1)デルタ信号ΔSig1及びΔSig2を計算する。
【0036】
ΔSig1=Ref1−Sig1
ΔSig2=Ref2−Sig2
2)位置を表わす比を計算する。
【0037】
P=ΔSig2/(ΔSig1+ΔSig2)
上式において、値Pは細片の第1端部18を基準とし、0と1との間の値を有する。
ここで、図2bに示す種類の回路を使用するに当たって、リアルタイム信号Sig1及びSig2は常に基準値よりも小さい。その理由は、カウンターは、細片のスポット容量が増えると、より少ない数をカウントするからである。この要素が上記結果の極性に取り込まれ、ΔSigに関する等式が(Sig−Ref)ではなく(Ref−Sig)に基づくものとなる理由となる。
【0038】
細片からの距離が変化する物体を検出する場合、信号処理は、信号強度の合計増分(ΔSig1+ΔSig2)が、保存されている最小しきい値よりも大きくなるときにのみに行なわれる。この物体検出プロセスはヒステリシス及びフィルタリングを取り入れて、接触開始検出特性を向上させることが好ましい。
【0039】
図2aの回路から得られる複数の信号結果は、非常に類似する方法で処理されるが、ΔSigに関する上記等式が(Sig−Ref)に基づくものとなる点が異なる。その理由は、これらの信号は容量が基準レベルから上昇すると正の方向に大きくなると推測されるからである。いずれの回路においても、考慮すべき重要な点は、値Pが符号のない大きさを有することである。この技術分野の当業者であれば、この値を得るためには他の簡単な数学的手法があることが分かるであろう。
【0040】
この結果を更に処理するために、
一つの結果を分割して特定の位置「区分」に分類し、重要領域(図12に示すような)を定義し、
Pに対して信号フィルタリングを行なって位置雑音を小さくするか、または
「リフトオフ(lift off)」検出を行なうことにより、物体の除去及びそれに伴う信号損失を検出し、処理して、最後に接触した位置のメモリへの保存が可能となる。
【0041】
Pの値は、注目すべきことであるが、物体のサイズまたは物体までの距離の影響を受けない。2%以内の精度が、これらの通常の部品に関して容易に得られた。空気を媒体として行なう検出によって、新規の形のヒト及び物体の位置検出が可能になることも判明した。変位に対するPの直線性及び範囲は図4に示される。この図示の直線性は、チャネル26,26’、28,28’のうちのいずれか一つに等価な回路を近接検出に使用し、このような回路の物体近接に対する非常に大きな非直線(例えば逆指数関数)応答を予想することに慣れている人にとっては、かなり驚くべきものである。更には、本発明の好適な実施形態は二つの同じサンプリング・キャパシタを二つの測定チャネルに使用し、応答曲線は二つのサンプリング・キャパシタが異なる容量値を有する場合には、図4に示す直線からずれるが、センサ出力は、直線性を維持することに注目することができる。
【0042】
本発明の好適な実施形態は、発明者が前に開示した容量測定に関する電荷移動手法を使用するが、一致する構成を有して同期動作を可能にする二つの他の種類の容量測定チャネルの非直線出力から生じる一つの直線位置出力を有する位置センサを構成することも可能である。例えば、単一の抵抗体−キャパシタ(RC)ネットワークは、同様な逆指数関数出力を有する。二つのRCチャネルを使用して、物体12が検出細片14に沿ったスポットに近接することにより生じる容量の変化を測定することができるが、この測定は、二つの同時に動作するRCチャネルの時定数の変化を測定することにより行なわれる。図2dに示す図では、例えばコントローラ50は、最初に二つのリセットスイッチ41aを制御してリセットステップを実施し、これにより検出細片の両端子を接地に接続することができる。続いて、コントローラは別のスイッチ41を作動させて、それぞれサンプリング抵抗体−キャパシタペア45,49及び45a,49aを含む二つのRCチャネル29,29aを電圧源に接続し、次に二つのキャパシタ49,49aの各々での電圧上昇を個々のアナログ−デジタル回路47,47aにより測定して、これらのアナログ−デジタル回路からそれぞれのデジタル測定出力をコントローラに供給する。
【0043】
細片14に沿った複数の物体または接触を検出すると、Pの1次元の「重心」が得られる。二つの接触が各ポイントで等しい信号強度を有する簡単な場合では、値Pは、二つの接触の中間ポイントを表わす。一方の接触でより大きな容量が生じる場合、値Pを大きい容量ポイントの方向に偏らせる。指のような単一方向に延びる物体の場合、Pの値は指の接触の中心を正確に反映する。これらの効果は、重ね合わせ現象により可能になる。
【0044】
検出細片には多くの異なる構成を選択することができる。図5は、例えば絶縁基板58の上に配置され、抵抗材料60から成るジグザグ・パターンを有する細片14を示している。この構造は、近接物体に対して線形応答を示す三角波形状を維持しながら、利用可能なレベルにまで細片抵抗が増大するように選択される。前に記載したように、低い細片抵抗により、大量の電荷が細片を横切ってCs1からCs2に、またはこの逆の方向に移動し、これによって結果的に得られる比Pが小さくなる。幾つかの材料、特に酸化インジウム錫(ITO)は処理して高抵抗にすることが難しく、その結果、大きな配線長及び小さな配線幅を有するエッチングパターンまたは堆積パターンを使用することによって適切な結果を得ることができる。
【0045】
検出細片14はまた、図6a及び6bに示すように、集合モデルに従って構成することができ、この構成では、複数の個別抵抗体60が個々の組の個別金属配線電極62によって直列接続される。これは動作的に、均質細片の場合に観察することができるものと同様であるが、集合版の変位表示は、明らかな理由から更に細かく区分される。この細かな区分は、直列に接続された個別抵抗体60の隣接抵抗体の間の距離を最小化することにより、最小にすることができる。検出細片14を、例えば表面実装技術を使用して作製する場合、隣接抵抗体は各中間金属パッド62に重なり、これらのパッド間に狭い間隙のみを有する形で配置することができる。
【0046】
この構成により、細片を従来の製造方法を使用して個別抵抗体のような通常の部品により形成することができる。このタイプの細片による応答が「集合的」に見えるが、実際、導電パッド62が指先(または機械式「ワイパー」)よりもほんの少しだけ小さい場合には、図6に多数を重ねて接続して形成されるキャパシタ63として示すように、隣接パッド間の有効な補間結合により結果が平滑となる。5mm間隔で行なわれる金属配線によって、基板58の厚さが電極間隔と同等とした場合に動作が非常にスムーズに行なわれるようになり、脈動(cogging)を感じることがない。誘電体パネルは、隣接電極からの電界を「調整(blend)」し易くなるように作用するので、所望の平滑さが得られる。
【0047】
幾つかの場合では、極端な集合が、例えば個別「キー」を生成することが望ましい場合に実現する。この種類の構造を図7に示すが、この構造では、図7の左側に示す複数の小さな、広い間隔の抵抗体60aを大きな均質細片60bと組み合わせて「滑り(slider)」領域と組み合わせた個別キーを形成する。この種類の構造は、例えばPCモニター・コントロール・ベゼルの上に使用することができ、このベゼルには、個別制御ボタンだけでなく連続可変輝度制御手段が設けられる。実際、このような構成においては滑り領域及び個別キーをどのような形でも混合して設けることができ、これらの素子をどのような選択シーケンスでも分布させることができる。図7に示すような集合領域及び個別領域を混合した構造、または図5,6a及び6bに示すように、平坦な構成の個別領域を設けることもでき、これらは全て設計者の要望に沿ったものとすることができる。
【0048】
細片14は、図8a及び8bに示すように流体レベルセンサとして使用することもできる。容器64が空の場合、デルタ信号(基準からの)は検出されず、P=0の結果が得られる(故障によるアルゴリズムが優先されて最小信号条件が満たされる)。他方、容器64が流体66で一杯になる場合、値Pは0.5になる。その理由は、容量が細片全体に渡って均一に増大し、この効果の平均が50%になる。流体の量が少なくなると、0よりも少しだけ大きい値から0.5よりも少しだけ小さい値の範囲の値が得られる。流体レベルセンサは、必要に応じて外部タンク・センサまたは内部「浸漬(dip)スティック」センサとして形成することができる。
【0049】
図9に示すようなピストンタイプのセンサ70の場合、被検出物体がピストン72であり、このピストンは検出表面から離間させることが好ましい。回転センサでは、被検出物体は図10aに示すように回転「ワイパー」74とすることができ、このワイパーは接地22にシャフト76を通して接続される。
【0050】
ウォールライト調光器または家電機器制御手段は、図11に示すように構成することができ、この場合、制御表面は弓形を示し、一連のLEDまたは分割LCDディスプレイのようなバーグラフ表示器に接続されることになる。適切なグラフィック素子78を使用して、パネル表面16上で接触位置が示される。
【0051】
LCDまたは他のタイプのグラフィック・ディスプレイは、図12に示すように、制御表面16上に配置される一連の透明ITO抵抗細片60bを有する。この構成により、低い縦方向解像度を有する非常にコストが低い「タッチ・スクリーン」が得られる。検出細片の出力を処理して、検出細片が連続構造(または図7に示すような「集合」構造)であっても個別キーを表わす出力を供給することができる。このような構成をキーパッドの下に使用して、隣接ディスプレイ付き、または隣接ディスプレイ無しの非常に安価な制御パネルを製造することもできる。キーパッドの場合、表示が印刷された不透明パネルの下に導電細片を設けてパネルが必ずしも透明である必要がないようにすることができる。
【0052】
本発明を使用して「仮想ノブ」(図13)を制御表面の上に形成することもでき、この制御表面では、物理ノブ80が導電「ワイパー」74に取り付けられ、このワイパーがガラスまたはプラスチック表面16を介して作動することにより、封止表面を通して検出細片14を制御することができる。ワイパー74は、ガラスまたはプラスチックのようなどのような誘電体を介しても作用することができる。ノブは機械的に正規の位置に保持するか、または磁石82によって保持することができ、この構成はプラット(Platt)による米国特許第5,920,131号明細書により公知となっており、ノブは、ワイパーの反対側に設けられたスペーサ誘電体83を備えることができる。ワイパー74からの容量リターン・パス(capasitive return path)は、金属または磁石82との接続を行なうことにより形成されることが好ましく、これにより、パネル自体をリターン・キャパシタ(return capacitor)誘電体として使用して、制御パネル内側の接地に戻る良好な結合が可能となる。この手法には多くの変形が考えられ、湿気の侵入を防止する周辺封止を有する構造が含まれる。磁石82ではなく接触時の人体をグランド・リターン・パス(ground return path)として使用することも可能である。これにより、検出電子機器は接触による容量の増加を検出することができ、この容量増加を使用して位置信号に加えて「タッチ信号(touched signal)」を生成することができる。「タッチ信号」を使用して家電機器制御手段にヒトがノブの近傍に位置し、かつ変化が生じる可能性があることを通知することができる。例えば、接触が生じたことを利用して、デバイスをスリープモードから復帰させるか、または表示器LEDなどをオンさせることができる。
【0053】
回路全体は、図14に示すように、マイクロコントローラ90を使用して動作することができる。マイクロコントローラ90のI/Oポートは、図3a,3bに示すように、正しいシーケンスで操作することができる。マイクロコントローラのI/Oポートピンは、通常、スイッチング・シーケンスをソフトウェア制御により実行するために必要な少なくとも三つのスイッチを有する。ソフトウェアは容易に、図2bの回路素子42,50,51,51’,52,及び52’の機能だけでなく、図3a,3bに示すアルゴリズムを実行することができる。マイクロコントローラは、プッシュプル・タイプのCMOSピン構造、及び電圧比較器として機能するように構成可能な入力を有することが好ましい。ほとんどの一般的なマイクロコントローラのI/Oポートは、このような機能を備えるが、これは、これらのポートが比較的固定された入力しきい値電圧だけでなく、ほとんど理想に近いMOSFETスイッチを有するからである。このコントローラの出力は、PWM信号またはシリアル出力のいずれかとすることができ、PWM信号は、フィルタリング処理してアナログ形式とすることができ、シリアル出力は、例えば公知のUART,SPI,またはI2Cフォーマット(または他のいずれかのタイプ)とする。このようなコントローラは、有用な機能を処理することができ、例えばトライアックを制御して調光またはモータ制御を行ない、この場合、出力は高度に処理され、特定用途に使用される。
【0054】
本方法の有用な変形例では、連続する非直線的な検出細片を設ける。細片の「傾斜(taper)」を調整して機械的な問題、または非直線性を補正することができ、この補正は、回路の信号出力をシステムの構造に対して線形化する逆伝達関数を実現することにより行なう。対数傾斜または他の非直線傾斜は、他の領域以外の検出素子の或る領域に沿って大きくなる変位を解消する目的で、オーディオ利得制御、或る種類の照明制御、流体レベルセンサ、位置センサなどに使用することができる。非直線傾斜を使用する理由は、多くのアプリケーション領域において広く知られているので、ここでは繰り返して説明しない。図6または7に示すような抵抗体を使用して、このような非直線傾斜を高い精度で便利な形で安価に形成することができる。このような傾斜は、厚膜のレーザトリミングまたは可変真空堆積法を使用して容易に形成することもできる。
【0055】
本明細書に記載するスイッチング法は、本発明者による米国特許第6,466,036号明細書に記載されているような、どのスイッチング・シーケンス及びスイッチング構成のいずれにも適合させることができる。しかしながら、好適な方法は本明細書の図2a,2b及び3に開示されている方法である。この特定の構成及びスイッチング・シーケンスは、外部雑音及びリーク電流に対して最も強固である。その理由は、信号サンプリングが、細片自体が接地または別の構成の低インピーダンス基準に接続されている状態で行なわれるからである。ここで、他の容量検出方法を採用することができることも理解されたい。しかしながら、正確な結果を得るためには、二つの端部18,20で実施される検出方法が、少なくとも電荷注入が関わってくる限りは、時間的にほぼ同期した形で行なわれることが重要である。例えば、正弦波を基本とする回路を使用することができ、そして正しい結果を得るために、端部18及び20の両方を互いに位相がほぼ同じ波形によって駆動する。これは本発明の一つの態様である。すなわち、両方の端部に印加される駆動信号はほぼ同じであり、かつ同じ位相である。このようにして、最終的な結果を真に出力が入力に比例した形にすることができ、従って、このような結果は素子の抵抗または浮遊容量の影響をほとんど受けない。
【0056】
この技術分野の当業者には明らかなように、本明細書において特に記載した検出方法またはスイッチング・シーケンスの種々の組み合わせを含む多くの変更が考えられる。本方法は、ドリフト補償、校正、スイッチ閉じ時間を短くした湿気抑制などに関する方法を含む本発明者の先行特許のいずれかから得られる示唆を利用した方法と組み合わせて使用することができる。
【0057】
本回路は、MEM,トランスデューサ、圧力センサ、湿度検出器、ピエゾ抵抗トランスデューサ(容量Cdを相対的に一定に維持しながら、圧力または撓みによる検出素子の抵抗均一性の変動を観察することによる)などに使用可能となるように適合させることができる。素子の材料組成及び形成方法は、どのようなタイプのものとすることもできる。厚膜、導電インキ及び導電塗料、真空堆積材料、導電ポリマー、透明導体、及び有限空間内部の導電流体であっても素子として用いることができる。これらの材料は、堆積、エッチング、構造体形成、スタンピング、成形、スクライビング、メッキ、またはパンチングを公知の方法で実施することにより得られ、材料をどのような方法で形成するかは制限されない。本発明に関連付ける形で公知の、または知り得る材料、或いはプロセスをこのように組み合わせる方法は、この技術分野の当業者には明白と考えられる。同様に、どのような公知のタイプの被検出物体も使用することができ、これらの物体としては、これらには限定されないが、メカニカル・フィンガー、回転ワイパー、針、ピストン、流体、循環ボール、移動機器または移動サブアセンブリの付属物、平滑誘電体表面の導電部分などを挙げることができ、これらの物体は抵抗ポテンショ・メータ、既存の容量変換器、LVDTなどに関連して使用することができることが知られている。
【0058】
図15は別の検出細片14を示しており、この細片は、間隙によって分離され、かつ、互いに隣接しながら延びる、傾斜三角形電極ペア91,92を使用する。各電極は前の実施形態と同じように端部18,20の一つに接続される。従って、検出細片は、上述の実施形態に使用する抵抗本体に代えて、導電材料により形成される。傾斜には他の形状を使用することができる。これらの種類の構成に関する更に詳細な内容は、本発明者が前に出願した米国特許第6,288,707号明細書(例えば、図4,5及び6、及びこれらの図に関する説明を参照)に記載されている。
【0059】
本発明について幾つかの好適な実施形態に関して記載してきたが、多くの変形及び変更を本発明に、本発明から逸脱しない範囲において加え得る。従って、このような変形及び変更は添付の請求項に定義される本発明の技術思想及び技術範囲に含まれるものであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】分布容量のみならずタッチポイント容量も示す、電気抵抗シートまたは堆積抵抗材料からなる検出細片の概略図である。
【図2a】制御回路及び信号取得回路のそれぞれの好適な実施形態を示す概略回路図である。
【図2b】制御回路及び信号取得回路のそれぞれの好適な実施形態を示す概略回路図である。
【図2c】図2a及び2bの信号取得回路に使用することができるスイッチング構成の別の実施形態の概略回路図である。
【図2d】本発明の位置検出装置に使用する抵抗体−キャパシタ網の概略回路図である。
【図3】aは図2aの回路のスイッチング・シーケンスを表わすチャートであり、bは図2bの回路のスイッチング・シーケンスを表わすチャートである。
【図4】図1の検出細片に接触するか、または細片の軸に沿って近接する結果として得られ、出力が入力に比例した関係を示すグラフであって、二つの位置に対応する変位がパーセントで相互に関連付けられているグラフである。
【図5】線形抵抗を大きくするためにジグザグ・パターンに堆積させた電気抵抗材料からなる検出細片の概略図である。
【図6】aは個別抵抗体の直列接続構造体からなる検出細片の概略平面図であり、bは図6aの細片の側面図である。
【図7】一つの細片抵抗体及び複数の個別抵抗体の接続構造体の組み合わせからなる検出細片の概略図である。
【図8a】流体レベルセンサとして使用する抵抗性検出細片の概略図である。
【図8b】図8aのセンサの出力と流体レベルとの関係を示すグラフである。
【図9】「ワイパー」として機能する可動ピストンに隣接する細片センサを用いるリニアトランスデューサの概略図である。
【図10】a及びbはそれぞれ、固定円形抵抗素子を隣接する非接触型回転「ワイパー」と組み合わせて用いる回転トランスデューサの概略平面図及び概略縦断面図である。
【図11】弓形のユーザ制御グラフィック素子を有するウォールライト用調光制御手段の概略図である。
【図12】LCDディスプレイの上に位置するほぼ透明な横置き型容量検出細片を有するフラット・パネル・ディスプレイを示している。
【図13】制御ノブとして構成される本発明の一実施形態の概略断面図である。
【図14】本発明のセンサに使用するマイクロコントローラの概略図である。
【図15】別の検出細片を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの電極の間に延びる検出本体に沿った位置を表わす出力を物体が検出本体に近接した時点で供給する容量センサであって、
二つの容量検出チャネルであって、各チャネルは電極群のうちの個々の一つに接続され、かつ物体が本体に近接したときに、物体によって生じる容量負荷に対する個々の非直線応答を表わす個々のチャネル出力を有する、二つの容量検出チャネルと、
二つのチャネルを同期して動作させる手段と、
二つのチャネルから個々の出力を受信し、二つのチャネルの出力の選択された線形合成の比であって、物体の位置によって直線的に変化する比を計算し、前記比を位置を表わす出力として供給する計算手段と、を備えるセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のセンサにおいて、チャネル群の各々からの個々の出力は、物体が検出本体に隣接するときに測定される個々の第1の値と、物体が検出本体から離れているときに測定される個々の第2の値との数値差を含む、センサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のセンサにおいて、物体は電気接地に容量結合されている、センサ。
【請求項4】
請求項1,2又は3記載のセンサにおいて、各検出チャネルは、
二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタであって、そのうちの一つの端子が関連の電極に電気スイッチング素子を介することなく接続されている、個々のサンプリング・キャパシタと、
三つの電気スイッチング素子であって、三つの電気スイッチング素子の各々が、前記個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの一つを二つの異なる基準電圧の一つのみに接続する単一の個々の閉じ状態と、端子群のうちの個々の一つを前記二つの基準電圧のうちのいずれにも接続しない個々の開き状態とを有する、三つの電気スイッチング素子と、
前記個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの選択された一つの端子における電圧測定値に応答して個々のチャネル出力を供給する個々の測定回路とを含む、センサ。
【請求項5】
請求項1,2又は3記載のセンサにおいて、複数の電気スイッチング素子を備え、各検出チャネルは、
二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタであって、そのうちの一つの端子が個々の電極に電気スイッチング素子群のうちの一つを介することなく接続されている、個々のサンプリング・キャパシタと、
前記個々のサンプリング・キャパシタの端子の両方を第1の選択された基準電圧に接続することにより個々のサンプリング・キャパシタをリセットする、前記複数の電気スイッチング素子のうちの少なくとも一つの個々の電気スイッチング素子と、
前記個々のサンプリング・キャパシタの二つの端子のうちの一つの端子を前記第1の選択された基準電圧に、二つの端子のうちの二番目の端子を第2の選択された基準電圧に交互に切り替える、前記複数の電気スイッチング素子のうちの少なくとも二つの別の個々のスイッチング素子とを含む、センサ。
【請求項6】
請求項1,2又は3記載のセンサにおいて、
各チャネルは、個々の抵抗体−キャパシタの組と、関連する電極でのパラメータ変化を測定する手段とを含み、
前記二つのチャネルを同期して動作させる前記手段は、少なくとも三つの電気スイッチング素子を制御するコントローラを含み、
前記少なくとも三つの電気スイッチング素子のうちの二つは、前記二つの電極の両方を第1の基準電圧に同時に接続するようにコントローラにより動作可能であり、
前記少なくとも三つの電気スイッチング素子のうちの少なくとも三番目のスイッチング素子は、第2の基準電圧を各抵抗体−キャパシタの組に同時に接続するように動作可能である、センサ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセンサにおいて、チャネル群の各々は、その電圧が容量負荷とともに逆指数関数的に上昇するサンプリング・キャパシタを含む、センサ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のセンサにおいて、前記計算手段はマイクロコントローラを含み、チャネルを同期して動作させる前記手段は前記マイクロコントローラにより制御される複数のスイッチング素子を含む、センサ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセンサにおいて、前記検出本体は、互いに隣接し、かつ間に間隙を有しながら延びる、導電材料からなる二つの細片であって、二つの細片のうちの少なくとも一つはその長さに沿って傾いている、二つの細片を含む、センサ。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセンサにおいて、前記検出本体は単一の抵抗を含む、センサ。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセンサ検出本体は、直列接続された複数の個別抵抗を含む、センサ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のセンサにおいて、前記選択された合成は、物体の位置に対して前記比が直線的に変化するような線形合成である、センサ。
【請求項13】
二つの電極の間に延びる検出本体に沿って物体の位置を検出する容量センサであって、
前記二つの電極にそれぞれ接続される二つの検出チャネルであって、各検出チャネルが、
二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタであって、二つの端子のうちの一つが関連電極に電気スイッチング素子を介することなく接続されている、個々のサンプリング・キャパシタと、
三つの電気スイッチング素子であって、三つの電気スイッチング素子の各々が、前記個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの一つを二つの異なる基準電圧の一つのみに接続する単一の個々の閉じ状態と、端子群のうちの個々の一つを前記二つの基準電圧のうちのいずれにも接続しない個々の開き状態とを有する、三つの電気スイッチング素子と、
前記個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの選択された一つの端子における測定値に応答する出力を供給する個々の測定回路とを含む、二つの検出チャネルと、
前記スイッチング素子群を選択的に開き、かつ閉じるスイッチ・コントローラと、
前記二つの測定回路のそれぞれの出力から物体の位置を計算する手段と、を備えるセンサ。
【請求項14】
請求項13記載のセンサにおいて、物体の位置を計算する前記手段はマイクロコントローラを含む、センサ。
【請求項15】
請求項13又は14記載のセンサは、更に、前記二つの測定回路からの個々の出力を合計し、合計が、格納された最小しきい値を超える場合に検出出力を供給する手段を備える、センサ。
【請求項16】
請求項13,14又は15記載のセンサにおいて、前記検出本体は単一の抵抗を含む、センサ。
【請求項17】
請求項13,14又は15記載のセンサにおいて、前記検出本体は直列接続された複数の個別抵抗を含む、センサ。
【請求項18】
二つの電極の間に延びる検出本体に沿って物体の位置を検出する容量センサであって、
複数の電気スイッチング素子のうちの一つのスイッチング素子群を選択的に閉じるスイッチコントローラと、
前記電極群からの個々の入力を有し、かつ、個々の関連する測定回路からの個々の出力を有する二つの検出チャネルであって、各検出チャネルが、
二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタであって、そのうちの一つの端子が個々の電極に前記電気スイッチング素子群のうちの一つを介することなく接続されている、個々のサンプリング・キャパシタと、
前記個々のサンプリング・キャパシタの端子の両方を第1の選択された基準電圧に接続することにより個々のサンプリング・キャパシタをリセットする、前記複数の電気スイッチング素子のうちの少なくとも一つの個々の電気スイッチング素子と、
前記個々のサンプリング・キャパシタの二つの端子のうちの一つの端子を前記第1の選択された基準電圧に、二つの端子のうちの二番目の端子を第2の選択された基準電圧に交互に切り替える、前記複数の電気スイッチング素子のうちの少なくとも二つの別の個々のスイッチング素子とを含む、二つの検出チャネルと、
前記二つの測定回路の個々の出力から物体の位置を計算する手段と、を備えるセンサ。
【請求項19】
請求項18記載のセンサにおいて、物体の位置を計算する前記手段は、マイクロコントローラを含む、センサ。
【請求項20】
請求項18又は19記載のセンサは更に、前記二つの測定回路からの個々の出力を合計し、合計が選択された最小しきい値を超える場合に検出出力を供給する手段を備える、センサ。
【請求項21】
請求項18,19又は20記載のセンサにおいて、前記検出本体は、互いに隣接し、かつ間に間隙を有しながら延びる、導電材料からなる二つの細片であって、二つの細片のうちの少なくとも一つがその長さに沿って傾いている、二つの細片を含む、センサ。
【請求項22】
請求項18,19又は20記載のセンサにおいて、前記検出本体は単一の抵抗を含む、センサ。
【請求項23】
請求項18,19又は20記載のセンサにおいて、前記検出本体は直列接続された複数の個別抵抗を含む、センサ。
【請求項24】
二つの電極の間に延びる検出本体に沿って物体の位置を測定する方法あって、前記二つの電極の各々は個々の容量検出チャネルに接続され、各チャネルは、一つの端子が二つの電極のうちの個々の一つの電極に接続された二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタと、個々の出力を有する個々の測定回路とを含み、前記個々の測定回路は、個々のサンプリング・キャパシタの前記二つの端子のうちの選択された一つの端子に接続され、前記方法は、連続して実施される、
a)前記サンプリング・キャパシタ群の各々を個々の選択された初期状態にリセットする工程と、
b)前記チャネル群のうちの一つのチャネルにのみにそれぞれ関連する個々の第1スイッチ群を同時に閉じて、各サンプリング・キャパシタの個々の選択された端子を第1の選択された電圧に接続する工程と、
d)選択された期間の間待機し、前記第1スイッチ群の両方を同時に開く工程と、
e)個々の第2スイッチを閉じて個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの前記個々の選択された端子ではない方の各端子を個々の第2の選択された電圧に接続する工程と、
f)各チャネルに関して、前記個々の測定回路を使用して、前記個々のサンプリング・キャパシタの前記個々の選択された端子における個々の電圧を測定する工程と、
g)前記二つの測定回路の出力から物体の位置を計算する工程と、を備える方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、物体の位置を計算する前記工程は、前記二つの測定回路の出力から比を算出する工程を含む、方法。
【請求項26】
請求項24又は25記載の方法は更に、前記二つの測定回路の出力から検出状態の表示を判定する追加工程を備える、方法。
【請求項27】
請求項24,25又は26記載の方法において、物体の位置を計算する前に、少なくともb)〜e)の工程が選択された回数だけ繰り返される、方法。
【請求項28】
請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法において、前記測定回路の各々は、個々のカウンターを含む、方法。
【請求項1】
二つの電極の間に延びる検出本体に沿った位置を表わす出力を物体が検出本体に近接した時点で供給する容量センサであって、
二つの容量検出チャネルであって、各チャネルは電極群のうちの個々の一つに接続され、かつ物体が本体に近接したときに、物体によって生じる容量負荷に対する個々の非直線応答を表わす個々のチャネル出力を有する、二つの容量検出チャネルと、
二つのチャネルを同期して動作させる手段と、
二つのチャネルから個々の出力を受信し、二つのチャネルの出力の選択された線形合成の比であって、物体の位置によって直線的に変化する比を計算し、前記比を位置を表わす出力として供給する計算手段と、を備えるセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のセンサにおいて、チャネル群の各々からの個々の出力は、物体が検出本体に隣接するときに測定される個々の第1の値と、物体が検出本体から離れているときに測定される個々の第2の値との数値差を含む、センサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のセンサにおいて、物体は電気接地に容量結合されている、センサ。
【請求項4】
請求項1,2又は3記載のセンサにおいて、各検出チャネルは、
二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタであって、そのうちの一つの端子が関連の電極に電気スイッチング素子を介することなく接続されている、個々のサンプリング・キャパシタと、
三つの電気スイッチング素子であって、三つの電気スイッチング素子の各々が、前記個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの一つを二つの異なる基準電圧の一つのみに接続する単一の個々の閉じ状態と、端子群のうちの個々の一つを前記二つの基準電圧のうちのいずれにも接続しない個々の開き状態とを有する、三つの電気スイッチング素子と、
前記個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの選択された一つの端子における電圧測定値に応答して個々のチャネル出力を供給する個々の測定回路とを含む、センサ。
【請求項5】
請求項1,2又は3記載のセンサにおいて、複数の電気スイッチング素子を備え、各検出チャネルは、
二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタであって、そのうちの一つの端子が個々の電極に電気スイッチング素子群のうちの一つを介することなく接続されている、個々のサンプリング・キャパシタと、
前記個々のサンプリング・キャパシタの端子の両方を第1の選択された基準電圧に接続することにより個々のサンプリング・キャパシタをリセットする、前記複数の電気スイッチング素子のうちの少なくとも一つの個々の電気スイッチング素子と、
前記個々のサンプリング・キャパシタの二つの端子のうちの一つの端子を前記第1の選択された基準電圧に、二つの端子のうちの二番目の端子を第2の選択された基準電圧に交互に切り替える、前記複数の電気スイッチング素子のうちの少なくとも二つの別の個々のスイッチング素子とを含む、センサ。
【請求項6】
請求項1,2又は3記載のセンサにおいて、
各チャネルは、個々の抵抗体−キャパシタの組と、関連する電極でのパラメータ変化を測定する手段とを含み、
前記二つのチャネルを同期して動作させる前記手段は、少なくとも三つの電気スイッチング素子を制御するコントローラを含み、
前記少なくとも三つの電気スイッチング素子のうちの二つは、前記二つの電極の両方を第1の基準電圧に同時に接続するようにコントローラにより動作可能であり、
前記少なくとも三つの電気スイッチング素子のうちの少なくとも三番目のスイッチング素子は、第2の基準電圧を各抵抗体−キャパシタの組に同時に接続するように動作可能である、センサ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセンサにおいて、チャネル群の各々は、その電圧が容量負荷とともに逆指数関数的に上昇するサンプリング・キャパシタを含む、センサ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のセンサにおいて、前記計算手段はマイクロコントローラを含み、チャネルを同期して動作させる前記手段は前記マイクロコントローラにより制御される複数のスイッチング素子を含む、センサ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセンサにおいて、前記検出本体は、互いに隣接し、かつ間に間隙を有しながら延びる、導電材料からなる二つの細片であって、二つの細片のうちの少なくとも一つはその長さに沿って傾いている、二つの細片を含む、センサ。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセンサにおいて、前記検出本体は単一の抵抗を含む、センサ。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセンサ検出本体は、直列接続された複数の個別抵抗を含む、センサ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のセンサにおいて、前記選択された合成は、物体の位置に対して前記比が直線的に変化するような線形合成である、センサ。
【請求項13】
二つの電極の間に延びる検出本体に沿って物体の位置を検出する容量センサであって、
前記二つの電極にそれぞれ接続される二つの検出チャネルであって、各検出チャネルが、
二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタであって、二つの端子のうちの一つが関連電極に電気スイッチング素子を介することなく接続されている、個々のサンプリング・キャパシタと、
三つの電気スイッチング素子であって、三つの電気スイッチング素子の各々が、前記個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの一つを二つの異なる基準電圧の一つのみに接続する単一の個々の閉じ状態と、端子群のうちの個々の一つを前記二つの基準電圧のうちのいずれにも接続しない個々の開き状態とを有する、三つの電気スイッチング素子と、
前記個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの選択された一つの端子における測定値に応答する出力を供給する個々の測定回路とを含む、二つの検出チャネルと、
前記スイッチング素子群を選択的に開き、かつ閉じるスイッチ・コントローラと、
前記二つの測定回路のそれぞれの出力から物体の位置を計算する手段と、を備えるセンサ。
【請求項14】
請求項13記載のセンサにおいて、物体の位置を計算する前記手段はマイクロコントローラを含む、センサ。
【請求項15】
請求項13又は14記載のセンサは、更に、前記二つの測定回路からの個々の出力を合計し、合計が、格納された最小しきい値を超える場合に検出出力を供給する手段を備える、センサ。
【請求項16】
請求項13,14又は15記載のセンサにおいて、前記検出本体は単一の抵抗を含む、センサ。
【請求項17】
請求項13,14又は15記載のセンサにおいて、前記検出本体は直列接続された複数の個別抵抗を含む、センサ。
【請求項18】
二つの電極の間に延びる検出本体に沿って物体の位置を検出する容量センサであって、
複数の電気スイッチング素子のうちの一つのスイッチング素子群を選択的に閉じるスイッチコントローラと、
前記電極群からの個々の入力を有し、かつ、個々の関連する測定回路からの個々の出力を有する二つの検出チャネルであって、各検出チャネルが、
二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタであって、そのうちの一つの端子が個々の電極に前記電気スイッチング素子群のうちの一つを介することなく接続されている、個々のサンプリング・キャパシタと、
前記個々のサンプリング・キャパシタの端子の両方を第1の選択された基準電圧に接続することにより個々のサンプリング・キャパシタをリセットする、前記複数の電気スイッチング素子のうちの少なくとも一つの個々の電気スイッチング素子と、
前記個々のサンプリング・キャパシタの二つの端子のうちの一つの端子を前記第1の選択された基準電圧に、二つの端子のうちの二番目の端子を第2の選択された基準電圧に交互に切り替える、前記複数の電気スイッチング素子のうちの少なくとも二つの別の個々のスイッチング素子とを含む、二つの検出チャネルと、
前記二つの測定回路の個々の出力から物体の位置を計算する手段と、を備えるセンサ。
【請求項19】
請求項18記載のセンサにおいて、物体の位置を計算する前記手段は、マイクロコントローラを含む、センサ。
【請求項20】
請求項18又は19記載のセンサは更に、前記二つの測定回路からの個々の出力を合計し、合計が選択された最小しきい値を超える場合に検出出力を供給する手段を備える、センサ。
【請求項21】
請求項18,19又は20記載のセンサにおいて、前記検出本体は、互いに隣接し、かつ間に間隙を有しながら延びる、導電材料からなる二つの細片であって、二つの細片のうちの少なくとも一つがその長さに沿って傾いている、二つの細片を含む、センサ。
【請求項22】
請求項18,19又は20記載のセンサにおいて、前記検出本体は単一の抵抗を含む、センサ。
【請求項23】
請求項18,19又は20記載のセンサにおいて、前記検出本体は直列接続された複数の個別抵抗を含む、センサ。
【請求項24】
二つの電極の間に延びる検出本体に沿って物体の位置を測定する方法あって、前記二つの電極の各々は個々の容量検出チャネルに接続され、各チャネルは、一つの端子が二つの電極のうちの個々の一つの電極に接続された二つの端子を有する個々のサンプリング・キャパシタと、個々の出力を有する個々の測定回路とを含み、前記個々の測定回路は、個々のサンプリング・キャパシタの前記二つの端子のうちの選択された一つの端子に接続され、前記方法は、連続して実施される、
a)前記サンプリング・キャパシタ群の各々を個々の選択された初期状態にリセットする工程と、
b)前記チャネル群のうちの一つのチャネルにのみにそれぞれ関連する個々の第1スイッチ群を同時に閉じて、各サンプリング・キャパシタの個々の選択された端子を第1の選択された電圧に接続する工程と、
d)選択された期間の間待機し、前記第1スイッチ群の両方を同時に開く工程と、
e)個々の第2スイッチを閉じて個々のサンプリング・キャパシタの端子群のうちの前記個々の選択された端子ではない方の各端子を個々の第2の選択された電圧に接続する工程と、
f)各チャネルに関して、前記個々の測定回路を使用して、前記個々のサンプリング・キャパシタの前記個々の選択された端子における個々の電圧を測定する工程と、
g)前記二つの測定回路の出力から物体の位置を計算する工程と、を備える方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、物体の位置を計算する前記工程は、前記二つの測定回路の出力から比を算出する工程を含む、方法。
【請求項26】
請求項24又は25記載の方法は更に、前記二つの測定回路の出力から検出状態の表示を判定する追加工程を備える、方法。
【請求項27】
請求項24,25又は26記載の方法において、物体の位置を計算する前に、少なくともb)〜e)の工程が選択された回数だけ繰り返される、方法。
【請求項28】
請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法において、前記測定回路の各々は、個々のカウンターを含む、方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8b】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8b】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2006−504948(P2006−504948A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547798(P2004−547798)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004682
【国際公開番号】WO2004/040240
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(303033185)
【氏名又は名称原語表記】PHILIPP,Harald
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004682
【国際公開番号】WO2004/040240
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(303033185)
【氏名又は名称原語表記】PHILIPP,Harald
【Fターム(参考)】
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