電解めっき処理方法と装置
【課題】電解めっき処理方法および装置において、少ないめっき液量でかつ短い時間で、緻密かつ膜厚の大きいめっき被膜をめっき基材に形成することができるようにする。
【解決手段】めっき基材30にめっき液1中の金属イオンによるめっき被膜を形成する電解めっき処理方法において、めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路をめっき被膜形成箇所と分離して形成した状態でめっき処理を行う。具体的には、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラー21の周面にめっき液1が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材22を卷装しためっき液保持部材20を、その一部がめっき液1に入り込んだ状態で配置し、他方の極に帯電した基材30を前記保液材22に接触させた状態でめっき処理を行う。
【解決手段】めっき基材30にめっき液1中の金属イオンによるめっき被膜を形成する電解めっき処理方法において、めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路をめっき被膜形成箇所と分離して形成した状態でめっき処理を行う。具体的には、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラー21の周面にめっき液1が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材22を卷装しためっき液保持部材20を、その一部がめっき液1に入り込んだ状態で配置し、他方の極に帯電した基材30を前記保液材22に接触させた状態でめっき処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解めっき処理方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属が溶けてイオン化している電解めっき液中に、陰極に帯電した被処理物(基材)を浸して、金属イオンを被処理物(基材)表面に移動・析出させてめっき被膜を形成する電解めっき処理方法は知られている。電解めっきは多くの分野で用いられており、めっき部材の電気特性の向上を目的に、銅めっきや金めっきを含む貴金属めっきも行われる。金めっきの一例として、燃料電池用セパレータに金めっきを施すことが行われており、特許文献1には、チタン基材に金の電解めっき処理を施してセパレータとすることが、また特許文献2にはステンレス鋼板の表面に金の電解めっき処理を施してセパレータとすることが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−97088号公報
【特許文献2】特開2003−92117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の電解めっき処理は、金属が溶けてイオン化している電解めっき液中に被処理物(基材)を浸漬する、いわゆる浸漬めっき法により行われる。浸漬めっきの場合、基材とめっき液との界面でガス(H2)が生成されることがあり、そのガス(H2)が拡散せずに基材表面に付着し、図11に模式的に示すように、その領域での金属イオン(Au)の付着・析出を阻害する。高電流でめっき処理を行うと、この弊害が顕著となることから、使用する電流量に限度があり、短時間で緻密かつ膜厚の大きい良好なめっき被膜を形成することができず、膜厚の大きいめっき被膜を要する場合には、長い処理時間を必要とする。また、水素が多く発生するとアルカリ性のめっき液の場合、基材(ワーク)周辺のpH値が低く(酸性)なり、金属錯体(例えばAu錯体)が不安定となる。結果として、密度の低い(スカスカの)金属(Au)が被覆される恐れがある。
【0005】
さらに、浸漬めっき処理では、基材の必要な箇所にのみめっき被膜を形成することが容易でない。また、めっき終了後、基材(ワーク)にめっき液が大量に付着し、洗浄時に大きなロスとなる。このことから、結果として、持ち出しめっき液量が必要以上に大きくなり、コストが高騰する。
【0006】
本発明は上記の不都合を解消した電解めっき処理方法および装置を開示することを課題とし、より具体的には、高電流でめっき処理を行っても、緻密かつ膜厚の大きい良好なめっき被膜を形成することができ電解めっき処理方法および装置を開示することを第1の課題とする。また、必要な箇所のみに容易にめっき被膜を形成することができる電解めっき処理方法および装置を開示することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、多くの実験を行うことにより、めっき処理をめっき処理時に生成されるガスがめっき被膜形成箇所から容易に外気へ拡散できるような手段を施すことによって、上記第1の課題を解決できることを知った。また、その手段を施すことにより、結果として上記第2の課題をも解決できることを知った。
【0008】
従って、本発明による電解めっき処理方法は、基材にめっき液中の金属イオンによるめっき被膜を形成する電解めっき処理方法であって、めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路をめっき被膜形成箇所と分離して形成した状態でめっき処理を行うことを特徴とする。
【0009】
この処理方法では、めっき処理時に発生する例えば水素である生成ガスを確実にめっき被膜形成箇所から外気へ拡散させることができるので、めっき処理時に高電流を用いることが可能となり、結果として、緻密かつ膜厚の大きい良好なめっき被膜を短時間で形成することができる。
【0010】
本発明の方法を実施するより具体的な態様は、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラーの周面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を卷装しためっき液保持部材を、その一部がめっき液に入り込んだ状態で配置し、他方の極に帯電した基材を前記保液材に接触させた状態でめっき処理を行うことを特徴とする電解めっき処理方法である。この態様では、円筒状であるめっき液保持部材とそこに接する基材との間に形成される空間が、前記した「めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路」を形成する。
【0011】
より好ましい態様では、基材としてめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を用いる。この態様では、前記円筒状であるめっき液保持部材とそこに接する基材との間に形成される空間に加えて、基材が有する凹溝または空孔によつて、基材側にもガス拡散経路が形成されるので、めっき処理時に生成されるガスの拡散は一層確実となる。また、基材における前記めっき液保持部材に接する領域のみをめっき処理できるので、無駄なめっき液の使用を回避することができる。
【0012】
本発明の方法を実施するための、他のより具体的な態様は、一方の極に帯電した平板電極の表面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を積層しためっき液保持部材を、前記保液材にめっき液が含浸した状態で配置し、他方の極に帯電した平板状でありかつめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を前記保液材に接触させた状態でめっき処理を行うことを特徴とする。この態様でも、基材としてめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を用いることにより、その凹溝または空孔から生成ガスが確実に拡散する。さらに、この態様でも、基材における前記めっき液保持部材に接する領域のみをめっき処理できるので、無駄なめっき液の使用を回避することができる。
【0013】
上記の態様において、基材に電位を与える電極として、空孔を備えた平板電極を用いることもできる。この態様では、平板電極の有する空孔がガス拡散経路として機能するので、ガスの拡散は一層確実となる。
【0014】
本発明による方法において、形成するめっき被膜の厚さに応じて、厚さおよび/または空隙量の異なる保液材を用いることができる。それにより、所望の厚さのめっき被膜を有するめっき基材を容易に作ることができる。
【0015】
本発明による方法において、保液材はめっき液を含浸保持することができかつ非導電性の材料を任意に用いることができる。例えば、織布、不織布、パルプ、濾紙、スポンジを例として挙げることができる。
【0016】
本発明は、さらに、上記の方法を実施するための装置として、めっき液槽と、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラーとその周面に卷装しためっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材とからなるめっき液保持部材と、めっきされる基材を他方の極に帯電させる電極と、を少なくとも備えることを特徴とする電解めっき処理装置を開示する。
【0017】
さらに、一方の極に帯電した平板電極の表面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を積層しためっき液保持部材と、前記保液材にめっき液を供給する手段と、めっきされる基材を他方の極に帯電させる平板電極と、を少なくとも備えることを特徴とする電解めっき処理装置をも開示する。この装置において、前記基材を他方の極に帯電させる平板電極は、多数の空孔を備えることは好ましい。
【0018】
上記装置において、保液材はめっき液を含浸保持することができかつ非導電性の材料を任意に用いることができる。例えば、織布、不織布、パルプ、濾紙、スポンジを例として挙げることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による方法および装置を採用することにより、少ないめっき液量でかつ短い時間で、緻密かつ膜厚の大きい良好なめっき被膜を基材に形成することができる。また、必要な箇所のみにめっき被膜を形成しためっき基材を容易に形成することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の方法を実施するのに好適な装置の一例を示す図であり、図2はめっき処理時の状態を説明する拡大図である。図3と図4は本発明を実施するさらに他の態様を示す図2に相当する図である。図5と図6は本発明の方法を実施するのに好適なさらに他の装置の例を示す図である。
【0021】
図1に示す装置Aは、メッキ液1を収容しためっき液槽10と、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラー21とその周面に卷装しためっき液1が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材22とからなるめっき液保持部材20と、めっきされる基材30を他方の極に帯電させるローラー電極25とで構成される。メッキ液1は、金属(この例ではAu)が溶けてイオン化している溶液であり、従来のAuの電解めっきで使用されるものと同様であってよい。保液材22は、織布、不織布、パルプ、濾紙等を例として挙げることができる。
【0022】
めっき液保持部材20の一部はメッキ液1内に入り込んでおり、その過程で、めっき液1は保液材22の空隙内に含浸する。保液材22に含浸したメッキ液1は、めっき液保持部材20が矢印方向に回転することにより、基材30に向けて揚上する。基材30は、裏面側をめっき液保持部材20の保液材22に接触し、表側を矢印の方向に回転するローラー電極25に接した状態で矢印方向に送られる。
【0023】
送られる過程で、基材30の下面側は、保液材22との接点のみでAuめっきされ、めっき時に発生するガス(例えばH2ガス)は、図2に示すように、基材30の裏面とめっき液保持部材20との隙間を拡散経路として、外気へ拡散していく。そのために、高電流でメッキ処理を行っても、発生したガスにより、Au錯体が基材30のめっき箇所に付着・析出するのが阻害されることはない。結果として、高電流(従来の浸漬めっきの数十倍〜数百倍)でのめっきが可能となり、緻密で膜厚の大きなAuめっき層を基材30の裏面に形成することができる。また、付着量はめっき液保持部材20のローラー径や回転速度を制御することでも制御可能である。
【0024】
図3は、めっきすべき基材30として、多数の凹溝31を有するものを用いる場合を説明している。この場合には、その凹溝31がさらに発生するガスの拡散経路として機能するので、めっき処理時に生成されるガスの拡散は一層確実となる。また、図示のように、基材30の凸条32の先端領域のみが前記した保液材22と接するので、その領域のみに緻密で膜厚の大きなめっき層を形成することができる。図4は、めっきすべき基材30として、エキスパンドメタルのような多くの空孔33を有するものを用いる場合を示している。この場合にも、空孔33が前記したガスの拡散経路として機能するので、めっき処理時に生成されるガスの拡散は確実となる。また、この場合も、エキスパンドメタルの裏面側の一部のみが保液材22と接するので、その領域のみに緻密で膜厚の大きなめっき層を形成することができる。
【0025】
なお、図3および図4に示すような、一部の領域のみがAuめっきされためっき基材30は、例えば、燃料電池スタックを構成するセパレータとして、有効に用いられる。セパレータとして機能するときに、金メッキの必要な箇所のみにめっき層が形成されているので、従来の浸漬めっきによりこの種のセパレータを製造する場合と比較して、Auの有効利用が可能となる。
【0026】
図5は、本発明による電解めっき処理装置の他の例であり、ローラー電極でなく平板電極を用いている。この処理装置A1では、めっき液保持部材20Aは、一方の極に帯電した平板電極21Aと、その表面に積層した、めっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材22Aとで構成され、前記保液材22Aには、めっき液を供給するための手段(不図示)からメッキ液1が供給される。保液材22Aの材料は、図1で説明した保液材22の材料と同じであってよい。めっきされる基材30は、この例で、めっき面側に凹溝31を有しており、他方の面には、他方の極に帯電した平板電極25Aが配置されている。なお、めっき液保持部材20Aと基材30の位置関係は、上下逆であってもよい。また、基材30は、凹溝31を有しない多孔体であってもよい。
【0027】
メッキ処理にあたっては、メッキ液1を含浸した保液材22Aに基材30を押し付けることによって行う。この形態でも、めっき時に発生するガスは、基材30の裏面に形成した凹溝31を拡散経路として、外気へ拡散していく。基材が多孔体の場合には、その多孔内を拡散経路として、外気へ拡散していく。そのために、発生したガスにより、金属錯体が基材30のめっき箇所に付着・析出するのが阻害されることはない。
【0028】
図6に示す装置A2は、図5に示した装置A1の他の例であり、ここでは、平板電極25Aが格子状であり、多数の空孔26を備えている。また、基材30も多数の空孔33を備えた多孔体である。この形態では、多数の空孔33に加えた、平板電極25Aが有する多数の空孔26が、さらにめっき時に発生するガスの拡散経路として機能するので、ガスの外気へ拡散はさらに確実となる。
【0029】
本発明による電解めっき処理方法において、保液材22(22A)として、任意の空隙量のものを用いることができるが、空隙量の多い保液材はより多くのめっき液を含浸させることができるので、より効果的である。前記したように、本発明による電解めっき処理方法および装置では、めっき処理を、めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路をめっき被膜形成箇所と分離して形成した状態で行うようにしており、高電流(従来の浸漬めっきの数十倍〜数百倍)でのめっきが可能となる。その場合、電流を大きくするとめっき反応速度が速くなるが、図7(b)に示すように、保液材22として、空隙量の少ないものを用いる場合には、電流を大きく(反応速度を早く)しても、メッキ液量が少ないと反応速度に対応できず、めっき膜厚(Au膜厚)は大きくならずに途中で収束する。しかし、図7(a)に示すように、空隙量の大きな保液材22を用いる場合には、多量のメッキ液が保持されているので、早い反応速度に対応しながら、めっき膜厚を大きくすることができる。
【0030】
図8、図9は、本発明者らが図1で説明した装置Aを用い、保液材22の空隙量を変えてAuメッキ処理の実験を行ったときの結果を示している。図8に示すように、いずれの場合も、高電流でのメッキ処理が可能であるが、保液材22の空隙量が、小→中→大となるに従い、ローラー1パス当たりのAu膜厚が厚くなっていることが示される。また、図9に示すように、空隙量(めっき液の保液量)が大きくなると、ローラー1パス当たりのAu膜厚が大きくなっているが、電流値が大きくなれば、その増加率はさらに大きくなることがわかる。
【0031】
図10は、図4に示したように、図1の装置Aを用い、基材30としてエキスパンドメタルを用いた場合のAuめっき結果を示す写真であり、図10(a)はその突部(頂部34)を、図10(b)は凹部(底部35)を示している。写真が示すように、突部(頂部34)では充分なAu被膜が形成されており、凹部(底部35)にはAu被膜が形成されていない。このように、本発明による電解めっき処理方法および装置を採用することにより、必要な箇所のみに選択的にめっき被膜を形成することが可能であり、低コスト化が可能となることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の方法を実施するのに好適な装置の一例を示す図。
【図2】めっき処理時の状態を説明するための拡大図。
【図3】本発明を実施する他の態様を示す図2に相当する図。
【図4】本発明を実施するさらに他の態様を示す図2に相当する図。
【図5】本発明の方法を実施するのに好適な他の装置の例を示す図。
【図6】本発明の方法を実施するのに好適なさらに他の装置の例を示す図。
【図7】本発明における保液材の空隙量の大小による保液材の状態を説明する図。
【図8】電流とローラー1パス当たりのめっき膜厚の関係を示す第1のグラフ。
【図9】電流とローラー1パス当たりのめっき膜厚の関係を示す第2のグラフ。
【図10】本発明の方法によりめっき処理された基材の2つ部分を示す写真。
【図11】従来の浸漬電解メッキ処理での状態を説明するための図。
【符号の説明】
【0033】
A,A1,A2…電解めっき処理装置、1…メッキ液、10…めっき液槽、20,20A…めっき液保持部材、21…円筒状の電極ローラー、22,22A…保液材、25…ローラー電極、25A…平板電極、26…平板電極が備える多数の空孔、30…めっきされる基材、31…すべき基材が有する凹溝、32…めっき基材の凸条、33…めっ基材が有する空孔、33…めっき基材が有する空孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解めっき処理方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属が溶けてイオン化している電解めっき液中に、陰極に帯電した被処理物(基材)を浸して、金属イオンを被処理物(基材)表面に移動・析出させてめっき被膜を形成する電解めっき処理方法は知られている。電解めっきは多くの分野で用いられており、めっき部材の電気特性の向上を目的に、銅めっきや金めっきを含む貴金属めっきも行われる。金めっきの一例として、燃料電池用セパレータに金めっきを施すことが行われており、特許文献1には、チタン基材に金の電解めっき処理を施してセパレータとすることが、また特許文献2にはステンレス鋼板の表面に金の電解めっき処理を施してセパレータとすることが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−97088号公報
【特許文献2】特開2003−92117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の電解めっき処理は、金属が溶けてイオン化している電解めっき液中に被処理物(基材)を浸漬する、いわゆる浸漬めっき法により行われる。浸漬めっきの場合、基材とめっき液との界面でガス(H2)が生成されることがあり、そのガス(H2)が拡散せずに基材表面に付着し、図11に模式的に示すように、その領域での金属イオン(Au)の付着・析出を阻害する。高電流でめっき処理を行うと、この弊害が顕著となることから、使用する電流量に限度があり、短時間で緻密かつ膜厚の大きい良好なめっき被膜を形成することができず、膜厚の大きいめっき被膜を要する場合には、長い処理時間を必要とする。また、水素が多く発生するとアルカリ性のめっき液の場合、基材(ワーク)周辺のpH値が低く(酸性)なり、金属錯体(例えばAu錯体)が不安定となる。結果として、密度の低い(スカスカの)金属(Au)が被覆される恐れがある。
【0005】
さらに、浸漬めっき処理では、基材の必要な箇所にのみめっき被膜を形成することが容易でない。また、めっき終了後、基材(ワーク)にめっき液が大量に付着し、洗浄時に大きなロスとなる。このことから、結果として、持ち出しめっき液量が必要以上に大きくなり、コストが高騰する。
【0006】
本発明は上記の不都合を解消した電解めっき処理方法および装置を開示することを課題とし、より具体的には、高電流でめっき処理を行っても、緻密かつ膜厚の大きい良好なめっき被膜を形成することができ電解めっき処理方法および装置を開示することを第1の課題とする。また、必要な箇所のみに容易にめっき被膜を形成することができる電解めっき処理方法および装置を開示することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、多くの実験を行うことにより、めっき処理をめっき処理時に生成されるガスがめっき被膜形成箇所から容易に外気へ拡散できるような手段を施すことによって、上記第1の課題を解決できることを知った。また、その手段を施すことにより、結果として上記第2の課題をも解決できることを知った。
【0008】
従って、本発明による電解めっき処理方法は、基材にめっき液中の金属イオンによるめっき被膜を形成する電解めっき処理方法であって、めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路をめっき被膜形成箇所と分離して形成した状態でめっき処理を行うことを特徴とする。
【0009】
この処理方法では、めっき処理時に発生する例えば水素である生成ガスを確実にめっき被膜形成箇所から外気へ拡散させることができるので、めっき処理時に高電流を用いることが可能となり、結果として、緻密かつ膜厚の大きい良好なめっき被膜を短時間で形成することができる。
【0010】
本発明の方法を実施するより具体的な態様は、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラーの周面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を卷装しためっき液保持部材を、その一部がめっき液に入り込んだ状態で配置し、他方の極に帯電した基材を前記保液材に接触させた状態でめっき処理を行うことを特徴とする電解めっき処理方法である。この態様では、円筒状であるめっき液保持部材とそこに接する基材との間に形成される空間が、前記した「めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路」を形成する。
【0011】
より好ましい態様では、基材としてめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を用いる。この態様では、前記円筒状であるめっき液保持部材とそこに接する基材との間に形成される空間に加えて、基材が有する凹溝または空孔によつて、基材側にもガス拡散経路が形成されるので、めっき処理時に生成されるガスの拡散は一層確実となる。また、基材における前記めっき液保持部材に接する領域のみをめっき処理できるので、無駄なめっき液の使用を回避することができる。
【0012】
本発明の方法を実施するための、他のより具体的な態様は、一方の極に帯電した平板電極の表面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を積層しためっき液保持部材を、前記保液材にめっき液が含浸した状態で配置し、他方の極に帯電した平板状でありかつめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を前記保液材に接触させた状態でめっき処理を行うことを特徴とする。この態様でも、基材としてめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を用いることにより、その凹溝または空孔から生成ガスが確実に拡散する。さらに、この態様でも、基材における前記めっき液保持部材に接する領域のみをめっき処理できるので、無駄なめっき液の使用を回避することができる。
【0013】
上記の態様において、基材に電位を与える電極として、空孔を備えた平板電極を用いることもできる。この態様では、平板電極の有する空孔がガス拡散経路として機能するので、ガスの拡散は一層確実となる。
【0014】
本発明による方法において、形成するめっき被膜の厚さに応じて、厚さおよび/または空隙量の異なる保液材を用いることができる。それにより、所望の厚さのめっき被膜を有するめっき基材を容易に作ることができる。
【0015】
本発明による方法において、保液材はめっき液を含浸保持することができかつ非導電性の材料を任意に用いることができる。例えば、織布、不織布、パルプ、濾紙、スポンジを例として挙げることができる。
【0016】
本発明は、さらに、上記の方法を実施するための装置として、めっき液槽と、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラーとその周面に卷装しためっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材とからなるめっき液保持部材と、めっきされる基材を他方の極に帯電させる電極と、を少なくとも備えることを特徴とする電解めっき処理装置を開示する。
【0017】
さらに、一方の極に帯電した平板電極の表面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を積層しためっき液保持部材と、前記保液材にめっき液を供給する手段と、めっきされる基材を他方の極に帯電させる平板電極と、を少なくとも備えることを特徴とする電解めっき処理装置をも開示する。この装置において、前記基材を他方の極に帯電させる平板電極は、多数の空孔を備えることは好ましい。
【0018】
上記装置において、保液材はめっき液を含浸保持することができかつ非導電性の材料を任意に用いることができる。例えば、織布、不織布、パルプ、濾紙、スポンジを例として挙げることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による方法および装置を採用することにより、少ないめっき液量でかつ短い時間で、緻密かつ膜厚の大きい良好なめっき被膜を基材に形成することができる。また、必要な箇所のみにめっき被膜を形成しためっき基材を容易に形成することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の方法を実施するのに好適な装置の一例を示す図であり、図2はめっき処理時の状態を説明する拡大図である。図3と図4は本発明を実施するさらに他の態様を示す図2に相当する図である。図5と図6は本発明の方法を実施するのに好適なさらに他の装置の例を示す図である。
【0021】
図1に示す装置Aは、メッキ液1を収容しためっき液槽10と、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラー21とその周面に卷装しためっき液1が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材22とからなるめっき液保持部材20と、めっきされる基材30を他方の極に帯電させるローラー電極25とで構成される。メッキ液1は、金属(この例ではAu)が溶けてイオン化している溶液であり、従来のAuの電解めっきで使用されるものと同様であってよい。保液材22は、織布、不織布、パルプ、濾紙等を例として挙げることができる。
【0022】
めっき液保持部材20の一部はメッキ液1内に入り込んでおり、その過程で、めっき液1は保液材22の空隙内に含浸する。保液材22に含浸したメッキ液1は、めっき液保持部材20が矢印方向に回転することにより、基材30に向けて揚上する。基材30は、裏面側をめっき液保持部材20の保液材22に接触し、表側を矢印の方向に回転するローラー電極25に接した状態で矢印方向に送られる。
【0023】
送られる過程で、基材30の下面側は、保液材22との接点のみでAuめっきされ、めっき時に発生するガス(例えばH2ガス)は、図2に示すように、基材30の裏面とめっき液保持部材20との隙間を拡散経路として、外気へ拡散していく。そのために、高電流でメッキ処理を行っても、発生したガスにより、Au錯体が基材30のめっき箇所に付着・析出するのが阻害されることはない。結果として、高電流(従来の浸漬めっきの数十倍〜数百倍)でのめっきが可能となり、緻密で膜厚の大きなAuめっき層を基材30の裏面に形成することができる。また、付着量はめっき液保持部材20のローラー径や回転速度を制御することでも制御可能である。
【0024】
図3は、めっきすべき基材30として、多数の凹溝31を有するものを用いる場合を説明している。この場合には、その凹溝31がさらに発生するガスの拡散経路として機能するので、めっき処理時に生成されるガスの拡散は一層確実となる。また、図示のように、基材30の凸条32の先端領域のみが前記した保液材22と接するので、その領域のみに緻密で膜厚の大きなめっき層を形成することができる。図4は、めっきすべき基材30として、エキスパンドメタルのような多くの空孔33を有するものを用いる場合を示している。この場合にも、空孔33が前記したガスの拡散経路として機能するので、めっき処理時に生成されるガスの拡散は確実となる。また、この場合も、エキスパンドメタルの裏面側の一部のみが保液材22と接するので、その領域のみに緻密で膜厚の大きなめっき層を形成することができる。
【0025】
なお、図3および図4に示すような、一部の領域のみがAuめっきされためっき基材30は、例えば、燃料電池スタックを構成するセパレータとして、有効に用いられる。セパレータとして機能するときに、金メッキの必要な箇所のみにめっき層が形成されているので、従来の浸漬めっきによりこの種のセパレータを製造する場合と比較して、Auの有効利用が可能となる。
【0026】
図5は、本発明による電解めっき処理装置の他の例であり、ローラー電極でなく平板電極を用いている。この処理装置A1では、めっき液保持部材20Aは、一方の極に帯電した平板電極21Aと、その表面に積層した、めっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材22Aとで構成され、前記保液材22Aには、めっき液を供給するための手段(不図示)からメッキ液1が供給される。保液材22Aの材料は、図1で説明した保液材22の材料と同じであってよい。めっきされる基材30は、この例で、めっき面側に凹溝31を有しており、他方の面には、他方の極に帯電した平板電極25Aが配置されている。なお、めっき液保持部材20Aと基材30の位置関係は、上下逆であってもよい。また、基材30は、凹溝31を有しない多孔体であってもよい。
【0027】
メッキ処理にあたっては、メッキ液1を含浸した保液材22Aに基材30を押し付けることによって行う。この形態でも、めっき時に発生するガスは、基材30の裏面に形成した凹溝31を拡散経路として、外気へ拡散していく。基材が多孔体の場合には、その多孔内を拡散経路として、外気へ拡散していく。そのために、発生したガスにより、金属錯体が基材30のめっき箇所に付着・析出するのが阻害されることはない。
【0028】
図6に示す装置A2は、図5に示した装置A1の他の例であり、ここでは、平板電極25Aが格子状であり、多数の空孔26を備えている。また、基材30も多数の空孔33を備えた多孔体である。この形態では、多数の空孔33に加えた、平板電極25Aが有する多数の空孔26が、さらにめっき時に発生するガスの拡散経路として機能するので、ガスの外気へ拡散はさらに確実となる。
【0029】
本発明による電解めっき処理方法において、保液材22(22A)として、任意の空隙量のものを用いることができるが、空隙量の多い保液材はより多くのめっき液を含浸させることができるので、より効果的である。前記したように、本発明による電解めっき処理方法および装置では、めっき処理を、めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路をめっき被膜形成箇所と分離して形成した状態で行うようにしており、高電流(従来の浸漬めっきの数十倍〜数百倍)でのめっきが可能となる。その場合、電流を大きくするとめっき反応速度が速くなるが、図7(b)に示すように、保液材22として、空隙量の少ないものを用いる場合には、電流を大きく(反応速度を早く)しても、メッキ液量が少ないと反応速度に対応できず、めっき膜厚(Au膜厚)は大きくならずに途中で収束する。しかし、図7(a)に示すように、空隙量の大きな保液材22を用いる場合には、多量のメッキ液が保持されているので、早い反応速度に対応しながら、めっき膜厚を大きくすることができる。
【0030】
図8、図9は、本発明者らが図1で説明した装置Aを用い、保液材22の空隙量を変えてAuメッキ処理の実験を行ったときの結果を示している。図8に示すように、いずれの場合も、高電流でのメッキ処理が可能であるが、保液材22の空隙量が、小→中→大となるに従い、ローラー1パス当たりのAu膜厚が厚くなっていることが示される。また、図9に示すように、空隙量(めっき液の保液量)が大きくなると、ローラー1パス当たりのAu膜厚が大きくなっているが、電流値が大きくなれば、その増加率はさらに大きくなることがわかる。
【0031】
図10は、図4に示したように、図1の装置Aを用い、基材30としてエキスパンドメタルを用いた場合のAuめっき結果を示す写真であり、図10(a)はその突部(頂部34)を、図10(b)は凹部(底部35)を示している。写真が示すように、突部(頂部34)では充分なAu被膜が形成されており、凹部(底部35)にはAu被膜が形成されていない。このように、本発明による電解めっき処理方法および装置を採用することにより、必要な箇所のみに選択的にめっき被膜を形成することが可能であり、低コスト化が可能となることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の方法を実施するのに好適な装置の一例を示す図。
【図2】めっき処理時の状態を説明するための拡大図。
【図3】本発明を実施する他の態様を示す図2に相当する図。
【図4】本発明を実施するさらに他の態様を示す図2に相当する図。
【図5】本発明の方法を実施するのに好適な他の装置の例を示す図。
【図6】本発明の方法を実施するのに好適なさらに他の装置の例を示す図。
【図7】本発明における保液材の空隙量の大小による保液材の状態を説明する図。
【図8】電流とローラー1パス当たりのめっき膜厚の関係を示す第1のグラフ。
【図9】電流とローラー1パス当たりのめっき膜厚の関係を示す第2のグラフ。
【図10】本発明の方法によりめっき処理された基材の2つ部分を示す写真。
【図11】従来の浸漬電解メッキ処理での状態を説明するための図。
【符号の説明】
【0033】
A,A1,A2…電解めっき処理装置、1…メッキ液、10…めっき液槽、20,20A…めっき液保持部材、21…円筒状の電極ローラー、22,22A…保液材、25…ローラー電極、25A…平板電極、26…平板電極が備える多数の空孔、30…めっきされる基材、31…すべき基材が有する凹溝、32…めっき基材の凸条、33…めっ基材が有する空孔、33…めっき基材が有する空孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材にめっき液中の金属イオンによるめっき被膜を形成する電解めっき処理方法であって、めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路をめっき被膜形成箇所と分離して形成した状態でめっき処理を行うことを特徴とする電解めっき処理方法。
【請求項2】
一方の極に帯電した円筒状の電極ローラーの周面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を卷装しためっき液保持部材を、その一部がめっき液に入り込んだ状態で配置し、他方の極に帯電した基材を前記保液材に接触させた状態でめっき処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の電解めっき処理方法。
【請求項3】
基材としてめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を用いることを特徴とする請求項2に記載の電解めっき処理方法。
【請求項4】
一方の極に帯電した平板電極の表面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を積層しためっき液保持部材を、前記保液材にめっき液が含浸した状態で配置し、他方の極に帯電した平板状でありかつめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を前記保液材に接触させた状態でめっき処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の電解めっき処理方法。
【請求項5】
基材に電位を与える電極として、空孔を備えた平板電極を用いることを特徴とする請求項4に記載の電解めっき処理方法。
【請求項6】
形成するめっき被膜の厚さに応じて、厚さおよび/または空隙量の異なる保液材を用いることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の電解めっき処理方法。
【請求項7】
保液材として、織布、不織布、パルプ、濾紙、またはスポンジのいずれかを用いることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の電解めっき処理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の電解めっき処理方法を実施するための装置であって、めっき液槽と、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラーとその周面に卷装しためっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材とからなるめっき液保持部材と、めっきされる基材を他方の極に帯電させる電極と、を少なくとも備えることを特徴とする電解めっき処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電解めっき処理方法を実施するための装置であって、一方の極に帯電した平板電極の表面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を積層しためっき液保持部材と、前記保液材にめっき液を供給する手段と、めっきされる基材を他方の極に帯電させる平板電極と、を少なくとも備えることを特徴とする電解めっき処理装置。
【請求項10】
前記基材を他方の極に帯電させる平板電極は、多数の空孔を備えることを特徴とする請求項9に記載の電解めっき処理装置。
【請求項11】
保液材として、織布、不織布、パルプ、濾紙、またはスポンジのいずれかを用いることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載の電解めっき処理装置。
【請求項1】
基材にめっき液中の金属イオンによるめっき被膜を形成する電解めっき処理方法であって、めっき処理時に生成されるガスが拡散できる経路をめっき被膜形成箇所と分離して形成した状態でめっき処理を行うことを特徴とする電解めっき処理方法。
【請求項2】
一方の極に帯電した円筒状の電極ローラーの周面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を卷装しためっき液保持部材を、その一部がめっき液に入り込んだ状態で配置し、他方の極に帯電した基材を前記保液材に接触させた状態でめっき処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の電解めっき処理方法。
【請求項3】
基材としてめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を用いることを特徴とする請求項2に記載の電解めっき処理方法。
【請求項4】
一方の極に帯電した平板電極の表面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を積層しためっき液保持部材を、前記保液材にめっき液が含浸した状態で配置し、他方の極に帯電した平板状でありかつめっき処理時に生成されるガスが拡散できる凹溝または空孔を備えた基材を前記保液材に接触させた状態でめっき処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の電解めっき処理方法。
【請求項5】
基材に電位を与える電極として、空孔を備えた平板電極を用いることを特徴とする請求項4に記載の電解めっき処理方法。
【請求項6】
形成するめっき被膜の厚さに応じて、厚さおよび/または空隙量の異なる保液材を用いることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の電解めっき処理方法。
【請求項7】
保液材として、織布、不織布、パルプ、濾紙、またはスポンジのいずれかを用いることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の電解めっき処理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の電解めっき処理方法を実施するための装置であって、めっき液槽と、一方の極に帯電した円筒状の電極ローラーとその周面に卷装しためっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材とからなるめっき液保持部材と、めっきされる基材を他方の極に帯電させる電極と、を少なくとも備えることを特徴とする電解めっき処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電解めっき処理方法を実施するための装置であって、一方の極に帯電した平板電極の表面にめっき液が含浸できる空隙を備えた非導電性の保液材を積層しためっき液保持部材と、前記保液材にめっき液を供給する手段と、めっきされる基材を他方の極に帯電させる平板電極と、を少なくとも備えることを特徴とする電解めっき処理装置。
【請求項10】
前記基材を他方の極に帯電させる平板電極は、多数の空孔を備えることを特徴とする請求項9に記載の電解めっき処理装置。
【請求項11】
保液材として、織布、不織布、パルプ、濾紙、またはスポンジのいずれかを用いることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載の電解めっき処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−155675(P2009−155675A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332807(P2007−332807)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
[ Back to top ]