説明

電解コンデンサの製造方法

【目的】 電解コンデンサの製造方法に関し、簡単な構成、及び、簡単な手段に依って電解コンデンサに於ける電解液の漏出を防止し、その長寿命化、信頼性の向上を実現する。
【構成】 リード端子1を固着した陽極箔2及びリード端子1を固着した陰極箔3及びセパレータ4或いは5などを巻回してコンデンサ本体7を形成し、ゴムからなり且つリード端子1が挿通される孔を有する封止体8を孔或いはリード端子1に接着剤13を施してからリード端子1に挿通してコンデンサ本体7に取り付け、熱処理を行って接着剤13を完全硬化させ、その後、コンデンサ本体7に電解液を含浸させ、それをケース9中に挿入して密封する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解液のドライ・アップを防止して信頼性を向上した電解コンデンサを製造する方法に関する。
【0002】電解コンデンサが劣化する原因は種々あるが、主たる原因は電解液が散失されることにあるので、この点を改善して信頼性を向上しなければならない。
【0003】
【従来の技術】図11は電解コンデンサを製造する方法について説明する為の工程要所に於けるコンデンサ諸部材を表す要部斜面説明図であり、また、図12は同じく電解コンデンサの製造について説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサを表す要部斜面説明図である。
【0004】図11(A)参照11(A)−(1)
例えば鉄或いは銅の線材からなるリード線1A及び端部をプレスして偏平にしたアルミニウムからなる取付け部1Bを溶接して結合することに依ってリード端子1を形成する。
【0005】図11(B)参照11(B)−(1)
エッチャントを例えば塩酸又は硫酸、硝酸、酢酸などの混合液とするウエット・エッチング法を適用することに依り、例えばアルミニウムを材料とする陽極箔2の表面にエッチングを施すことに依って粗面化する。
【0006】11(B)−(2)
陽極酸化法を適用することに依り、陽極箔2を電解液中に浸漬して表面の化成を行って酸化膜を形成する。
【0007】11(B)−(3)
かしめ法或いは超音波溶接法など適用することに依り、陽極箔2及び例えばアルミニウムを材料とする陰極箔3にリード端子1を固着する。
【0008】図11(C)及び(D)参照11(C)−(1)
陽極箔2、絶縁紙からなるセパレータ4、陰極箔3、絶縁紙からなるセパレータ5を重ね、その全体を巻き込んで円柱形状とし、端部を巻き止めテープ6で止めてコンデンサ本体7を形成する。
【0009】図12(A)参照12(A)−(1)
コンデンサ本体7を真空含浸装置にセットし、装置内を減圧することでコンデンサ本体7中の空気を排除してから、電解液の注入を行う。この電解液の注入は、陽極箔2を粗面にすることで生成させた細孔内にまで電解液が入り込むように行う。
【0010】尚、前記方法の他、大気中に於いて、コンデンサ本体7を電解液中に浸漬するだけの簡易な方法も実施されている。
【0011】図12(B)参照12(B)−(1)
コンデンサ本体7から導出されているリード線1Aにゴムからなる封止体8を圧入してから、アルミニウム・ケース9を被せ、封止体8とアルミニウム・ケース9との当接部分にカーリングと呼ばれる巻き締め部10を形成して密閉する。
【0012】図12(C)参照12(C)−(1)
必要に応じて外装を施す。外装する場合、一般には、メーカー名、型番、定格、ロット番号、極性などを印刷した熱収縮チューブ11で被覆することが行われている。
【0013】12(C)−(2)
定格電圧よりも約10〔%〕程度高い電圧、及び、使用温度上限の温度を加えて約1〔時間〕程度のエージングを行う。これは、電解コンデンサの自己修復作用を利用して、加工中に起こった主として陽極箔2に於ける酸化膜に関する欠陥を修復する為である。
【0014】このエージング条件は、電解コンデンサの製造条件に依って異なり、各メーカーが適切と考えられる条件を種々と設定している。
【0015】12(C)−(3)
製品仕様に沿った検査を行って不良品を除外する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】一般に、電解コンデンサの寿命は短く、その点での信頼性が低いことは常識化していて、高々1000〔時間〕乃至2000〔時間〕の寿命しか保証されていない場合が多い。
【0017】多くの電子部品の中で、このように寿命が短い部品でありながらも、数多く使用されているのは異例であるが、小型、大容量、低価格などの面からすると圧倒的な強みをもっていて、他のコンデンサに代替することができない。
【0018】然しながら、電子機器の高性能化、高密度化と共に電解コンデンサの長寿命化に関する要求が強まっている。
【0019】通常、電解コンデンサが劣化する原因は、電解液の変質、アルミニウム酸化膜の劣化など、種々あるが、主たる原因は電解液の散失に在り、従って、電解液のドライ・アップを抑止することで寿命を延長することが可能である。
【0020】電解液は、ゴムからなる封止体8を通じて散失することが知られているが、このような欠点をもつにも拘わらず、ゴムを用いる理由は、組み立ての容易さと、前記工程B−(4)に於いて説明したように、欠陥を修復する為のエージングを行う際、陰極箔3に発生する水素ガスに依って内圧が上昇し、アルミニウム・ケース9が破壊されることを防止する為、水素ガスが透過し易いゴムを用いているのである。
【0021】一般的な寿命試験では、コンデンサを使用最高温度の環境条件に置いて特性劣化を測定するのであるが、このような静的な環境条件では、ゴムの封止体8中を電解液が拡散して外部に出てしまうモードが主である。
【0022】然しながら、実際の使用状態では、コンデンサには通電されて内部に熱が発生し、しかも、これが変化するのであり、このような動的な環境条件では、内部圧力の増減に起因して、リード端子1と封止体8との間に於ける気密限界を越えて電解液或いは電解液蒸気の漏出が起こるのである。
【0023】前記したような動的な環境条件では、電気的に定格の範囲内である使用状態であっても、寿命は数分の1(数=5〜6)に低下することが実験的に確認されている。
【0024】特に、リード端子1と封止体8との接合界面に於ける気密限界圧は、当初に於いては1.5〔気圧〕程度であるが、ゴムの応力緩和に起因し、約6か月後には1〔気圧〕以下になってしまうものがある。
【0025】また、コンデンサをプリント基板に実装する場合、リード端子1にストレスが加わることが多く、特に、リード端子1の間隔とプリント基板に形成された挿入孔の間隔とに寸法差がある場合、リード端子1に大きなストレスが加わることになる。
【0026】このように、種々な悪条件が存在することで、電解コンデンサに於けるリード端子1近傍に於ける気密性が失われて電解液の散失が起こり、寿命を短くしている。
【0027】前記したような電解液の散失は、電気機器に思わぬ事故を招来することが経験されている。
【0028】近年、ガンマブチロラクトンを溶媒とした電解液の性能が良好であることから多用されているが、この電解液は、沸点が204〔℃〕と高く、プリント基板上に漏出した場合、蒸発し難い為、プリント基板のパターン間に異常導通を起こす原因となり、回路の暴走に依って焼損事故が起こっている。
【0029】前記したような電解液の漏出について種々と対策を施した電解コンデンサが現れている。然しながら、未だ確実に有効なものは現れていない。次に、その一例について説明する。
【0030】図13は本発明に於いて改善の対象とした電解コンデンサの一つを説明する為の要部切断側面図であり、図11及び図12に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。図に於いて、12はエポキシ樹脂膜を示している。
【0031】この電解コンデンサは、図11及び図12について説明した工程と略同じ工程を経ることで製造されるが、唯、工程12(C)−(2)の後、ゴムからなる封止体8に於ける表出面にエポキシ樹脂を流し込み且つ硬化させてエポキシ樹脂膜12を形成する点が異なっている。
【0032】ところで、図13に見られる電解コンデンサの製造に於いては、エポキシ樹脂膜12を形成する場合、全面に液状のエポキシ樹脂を流し込むことが必要であるから、コンデンサ本体7をアルミニウム・ケース9に密封した後で行わなければならない。
【0033】その理由は、コンデンサ本体7をアルミニウム・ケース9に密封した段階にならないと液状のエポキシ樹脂を流せないことにある。
【0034】また、前記のような段階で用いるエポキシ樹脂は、常温硬化型のものでなければならない。その理由は、硬化させる為に高温を加えると電解液がダメージを受け、また、電解液の蒸気がエポキシ樹脂の硬化を妨げることに依る。
【0035】然しながら、特性良好なエポキシ樹脂は、高温硬化型のものが多く、例えば半導体装置の封止用エポキシ樹脂は170〔℃〕以上で硬化させるものが多用されていて、常温硬化型のエポキシ樹脂では良好な気密性が得られず、電解液の漏出を完全に防止することはできない。
【0036】また、常温硬化型のエポキシ樹脂は、半田リフローに依る半田付けに於ける高温に対する耐熱性、或いは、リード端子との密着性に於いて信頼性が乏しい。
【0037】前記エポキシ樹脂を用いる技術の問題点を解消する為、ゴムからなる封止体8の表出面或いは内側面にフッ素樹脂をコーティングしたものを用いることも行われている。この場合、フッ素樹脂は封止体8にコーティングした時点で熱処理されるので、前記したように、エポキシ樹脂を硬化させる場合のような問題は起きず、そして、封止体8を介して電解液が散失する問題も改善される。
【0038】然し、この従来の技術に依ると、封止体8の孔にリード端子1を挿通する際、コンデンサ本体7にかなりの押圧力を加えて圧入するようにしているにも拘わらず、封止体8の孔内では、リード端子1と封止体8との間は押圧力で接触しているだけであるから、電解液の漏出を完全に防止することはできない。
【0039】本発明は、簡単な構成、及び、簡単な手段に依って電解コンデンサに於ける電解液の漏出を防止し、その長寿命化及び信頼性を向上させようとする。
【0040】
【課題を解決するための手段】本発明では、コンデンサ本体に電解液を含浸させる前の状態で、少なくとも封止体或いは接着剤阻止体に形成されたリード端子挿通孔内或いはその近傍でコンデンサ本体から導出されたリード端子と封止体或いは接着剤阻止体とを接着する接着剤を施して高温で硬化させておくことが基本になっている。
【0041】即ち、本発明に依る電解コンデンサの製造方法に於いては、(1)リード端子(例えばリード端子1)を固着した陽極箔(例えば陽極箔2)及びリード端子(例えばリード端子1)を固着した陰極箔(例えば陰極箔3)及びセパレータ(例えばセパレータ4及び5など)を巻回してコンデンサ本体(例えばコンデンサ本体7)を形成する工程と、次いで、弾性材料からなり且つ前記リード端子を挿通可能な孔を有する封止体(例えばゴムからなる封止体8)を前記孔或いはその近傍に接着剤(例えば接着剤13)を施してから前記リード端子に挿通して前記コンデンサ本体に取り付ける工程と、次いで、熱処理を行って前記接着剤を完全硬化させ前記リード端子と前記封止体とを接着する工程と、次いで、前記コンデンサ本体に電解液を含浸させる工程と、次いで、前記封止体が取り付けられたコンデンサ本体をケース(例えばアルミニウム・ケース9)中に挿入して密封する工程とが含まれてなることを特徴とするか、又は、
【0042】(2)前記(1)に於いて、弾性材料からなり且つ前記リード端子を挿通可能な孔を有する封止体を接着剤が施された前記リード端子に挿通して前記コンデンサ本体に取り付ける工程が含まれてなることを特徴とするか、又は、
【0043】(3)リード端子(例えばリード端子1)を固着した陽極箔(例えば陽極箔2)及びリード端子(例えばリード端子1)を固着した陰極箔(例えば陰極箔3)及びセパレータ(例えばセパレータ4並びに5など)を巻回してコンデンサ本体(例えばコンデンサ本体7)を形成する工程と、次いで、弾性材料からなり且つ前記リード端子を挿通可能な孔を有する接着剤阻止体(例えば接着剤阻止体14)を前記リード端子に挿通して前記コンデンサ本体に取り付ける工程と、次いで、前記接着剤阻止体が取り付けられたコンデンサ本体をガス抜き用兼電解液注入用の開口(例えば開口15A)を有するケース(例えばケース15)中に挿入してから前記接着剤阻止体が取り付けられた側に接着剤(例えば接着剤16)を施す工程と、次いで、熱処理を行って前記接着剤を完全硬化させ前記リード端子と前記接着剤阻止体とを接着すると共にコンデンサ本体をケース中に封止する工程と、次いで、前記ガス抜き用兼電解液注入用の開口から電解液を注入して前記コンデンサ本体に電解液を含浸させる工程と、次いで、前記ガス抜き用兼電解液注入用の開口を閉塞して前記ケースを密閉する工程とが含まれてなることを特徴とするか、或いは、
【0044】(4)リード端子(例えばリード端子1)を固着した陽極箔(例えば陽極箔2)及びリード端子(例えばリード端子1)を固着した陰極箔(例えば陰極箔3)及びセパレータ(例えばセパレータ4並びに5など)を巻回してコンデンサ本体(例えばコンデンサ本体7)を形成する工程と、次いで、前記コンデンサ本体をガス抜き用兼電解液注入用の開口(例えば開口15A)を有するケース(例えばケース15)中に挿入する工程と、次いで、前記リード端子を受容可能な孔を有する接着剤阻止体(例えば接着剤阻止体20又は24など)を前記リード端子に取り付けて前記コンデンサ本体と結合する工程と、次いで、前記ケースに於ける前記接着剤阻止体が取り付けられた側に接着剤(例えば接着剤16)を施す工程と、次いで、熱処理を行って前記接着剤を完全硬化させ前記接着剤阻止体と前記リード端子とを接着すると共にコンデンサ本体をケース中に封止する工程と、次いで、前記ガス抜き用兼電解液注入用の開口から電解液を注入して前記コンデンサ本体に電解液を含浸させる工程と、次いで、前記ガス抜き用兼電解液注入用の開口を閉塞して前記ケースを密閉する工程とが含まれてなることを特徴とするか、或いは、
【0045】(5)前記(3)又は(4)に於いて、接着剤阻止体(例えば接着剤阻止体24)がリード端子を受容する一対の孔(例えば孔24A)を通る線に沿って分割(例えば半部241 及び242 )されてなることを特徴とするか、或いは、
【0046】(6)前記(3)乃至(5)の何れか1に於いて、ケースに接着剤阻止体が挿入されてから加熱こて(例えば加熱こて21)に依って前記ケースの一部を加熱圧潰して前記接着剤阻止体上に押し付ける工程が含まれてなることを特徴とするか、或いは、
【0047】(7)前記(3)乃至(6)の何れか1に於いて、ガス抜き用兼電解液注入用の開口を閉塞する栓体(例えば栓体17)を前記開口に嵌挿して先端がコンデンサ本体に当接した状態でケースを密閉する工程が含まれてなることを特徴とするか、或いは、
【0048】(8)前記(3)乃至(7)の何れか1に於いて、先端に凹曲面をもつ加熱こて(例えば図5参照)を用いてガス抜き用兼電解液注入用の開口を閉塞しケースを密閉してから前記加熱こての温度を低下させてケースから引き離す工程が含まれてなることを特徴とする。
【0049】
【作用】前記手段を採ることに依り、リード端子とゴムからなる封止体との間の密着性は良好になるから、そこから電解液が漏出することはなくなる。また、リード端子と封止体或いは接着剤阻止体との間を接着封止する接着剤の硬化は、電解液が存在しない状態で行うので、例えばエポキシ樹脂である接着剤が良好に硬化する高い温度で実施することができ、従って、その液密性は向上する。更にまた、リード端子を導出したコンデンサ本体をケースに液密封止した後、ガス抜きや電解液注入を可能にする開口は、加熱こてを当てるなどして簡単に閉塞することができるので、その実施は容易である。
【0050】
【実施例】図1は本発明を実施して作製した電解コンデンサを説明する為の要部切断側面図であり、図13に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。図に於いて、13は例えばエポキシ樹脂である接着剤を示している。
【0051】この電解コンデンサを製造するには、図11R>1及び図12について説明した工程を経てコンデンサ本体7を製造し、そのコンデンサ本体7から導出されているリード端子1に接着剤を被着するか、ゴムからなる封止体8の孔に接着剤を被着しておき、リード端子1に封止体8を挿通してから温度を例えば190〔℃〕、時間を例えば10〔分〕として熱処理を行って接着剤を硬化させる。
【0052】この場合、接着剤としては、種々なものを用いることができ、例えば、粉末状のエポキシ樹脂、粉末状のエポキシ樹脂をスリーブ状或いはビーズ状の圧縮成形体にしたもの、液状のものなどが対象になり、また、材料もエポキシ樹脂には限られず、例えばフェノール樹脂、或いは、シリコン樹脂、或いはフッ素樹脂なども使用することができる。
【0053】このうち、粉末状のものを用いる場合には、リード端子1或いは封止体8を適当な温度に加熱しておき、粉末を若干溶かし付けるような状態にして被着すると良い。
【0054】また、スリーブ状或いはビーズ状の圧縮成形体にしたものは、その圧縮成形体をリード端子に嵌装し、それを封止体8の孔に挿通したり、逆に、圧縮成形体を封止体8の孔に嵌装し、そこにリード端子を挿通すると良い。
【0055】更にまた、液状のものは、勿論、リード端子1或いは封止体8に塗布するのであるが、これが一見簡単に思えるが、最も取り扱い性が良くない。
【0056】次いで、前記封止体8を取り付けたコンデンサ本体7を真空含浸装置にセットし、装置内を減圧することでコンデンサ本体7中の空気を排除してから、電解液の注入を行う。この電解液の注入に関する注意は、従来の技術と同様であり、陽極箔2を粗面にすることで生成させた細孔内にまで電解液が入り込むよう充分に行う必要がある。
【0057】次いで、アルミニウム・ケース9を被せ、封止体8とアルミニウム・ケース9との当接部分にカーリングと呼ばれる巻き締め部10を形成して密閉する。
【0058】次いで、必要に応じて外装を施す。この外装は、従来の技術と同様、メーカー名、型番、定格、ロット番号、極性などを印刷した熱収縮チューブで被覆すれば良い。
【0059】次いで、定格電圧よりも約10〔%〕程度高い電圧、及び、使用温度上限の温度を加えて約1〔時間〕程度のエージングを行う。エージングの際、陰極箔から水素ガスが発生しても、ゴムからなる封止体8の一部が接着剤13に覆われることなく表出されているので、水素ガスの放出については何ら問題はない。
【0060】次いで、製品仕様に沿った検査を行って不良品を除外し、完成された良品のみを取り出す。
【0061】図2は本発明を実施して電解コンデンサを製造する工程を説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサを表す要部斜面説明図であり、以下、図を参照しつつ説明する。尚、図1、図11乃至図13に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0062】図2(A)参照2(A)−(1)
本実施例の電解コンデンサを製造するには、図6及び図7R>7について説明した工程と同じ工程を経てコンデンサ本体7を製造する。
【0063】2(A)−(2)
次いで、例えばゴムからなる接着剤阻止体14の孔にコンデンサ本体7から導出されているリード端子1を挿通してから、頂面に開口15Aが形成されたケース15を被せる。
【0064】ここで、接着剤阻止体14は、封止体8とは異なり、コンデンサ本体7をケース15に封止する役割を果たすものではなく、接着剤、例えば粉末のエポキシ樹脂を被着させたり、或いは、液状のエポキシ樹脂を流した際にケース15内に流入することを阻止する為に設けるものである。
【0065】また、ケース15は例えばポリフェニレンサルファイド(polyphenylene sulfide:PPS)樹脂を材料とし、その頂面には電解液注入兼ガス抜き用開口15Aが設けられている。
【0066】PPS樹脂は耐熱性樹脂であるので、半田リフローに於ける半田付け温度のような高温から電解液を充分に保護することができるので、表面実装型とするのに好適である。
【0067】図2(B)参照2(B)−(1)
次いで、ケース15に於ける接着剤阻止体14側にエポキシ樹脂などの接着剤16を被着し、例えば温度160〔℃〕の高温で時間30〔分〕の熱処理を行うことで接着剤16を硬化させ、リード端子1の気密封止を行う。尚、図2(B)では、ケース15の一部を切欠し、内部を透視できるようにした状態で表してある。
【0068】ここで、接着剤16は、図1について説明した実施例と同様、粉末、液状など何れでも良く、また、リード端子が挿通される孔をもったペレット状のものでも良い。ペレット状である場合には、接着剤阻止体14と一体に積層しておくと取り扱い易い。
【0069】2(B)−(2)
次いで、前記組み立て体全体を真空含浸装置にセットし、装置内を減圧することでケース15中の空気を開口15Aから排除する。
【0070】2(B)−(3)
次いで、ケース15の開口15Aを介してケース15内に電解液の注入を行う。この電解液の注入に関する注意は、従来の技術と同様であり、陽極箔を粗面にすることで生成させた細孔内にまで電解液が入り込むよう充分に行う必要がある。
【0071】2(B)−(4)
次いで、定格電圧よりも約10〔%〕程度高い電圧、及び、使用温度上限の温度を加えて約1〔時間〕程度のエージングを行う。エージングする際、陰極箔から水素ガスが発生しても、ケース15内は開口15Aを介して外気と連通しているので、水素ガスの放出については何ら問題はない。
【0072】図2(C)参照2(C)−(1)
次いで、ケース15の開口15Aをゴム或いはプラスチックスなどの弾性材料からなる栓体17で密封する。
【0073】この際、栓体17の先端をコンデンサ本体7の頂部に当接させて保持する構成にすれば、後にコンデンサ本体7が振動した場合であっても、リード端子1にストレスが加わることを軽減することができる。尚、リード端子1にストレスが加わると、リーク電流が増加、損失の増加など、性能劣化の原因になる。
【0074】図2(D)参照2(D)−(1)
リード端子1を必要な形状にフォーミングしてから、製品仕様に沿った特性検査を行って不良品を除外し、完成された良品のみを取り出す。
【0075】図3はケースの開口を栓体で密封する工程を詳細に説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサの要部切断側面図であり、図2に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0076】図から明らかなように、ケース15の開口15Aを弾性材料からなると共に先端が円錐状に形成された栓体17を圧入した場合、その先端がコンデンサ本体7に於ける巻き芯の空所に入り込み、コンデンサ本体7の上端を保持する構成にすることができ、耐震性は向上する。
【0077】図4はケースの開口を栓体で密封する工程の他の例を説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサの要部切断側面図であり、図2に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0078】図から明らかなように、ケース15の開口15Aには材料をPPSとする栓体17を載置し、超音波溶着ホーン18からの超音波照射に依って開口15Aの周辺と栓体17とを溶着して密封する。
【0079】この場合、栓体17の形状及び寸法などを適切に選択することでコンデンサ本体7の上端を保持することも可能である。
【0080】図5はケースの開口を密封する工程の更に他の例を説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサの要部切断側面図であり、図2に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0081】図から明らかなように、ケース15に於ける開口15Aの周辺には、カラー部分15Bが形成されているので、そのカラー部分15Bに高温の加熱こてを当接押圧することに依って圧潰し、開口15Aを閉塞密封するようにしている。
【0082】本実施例では、カラー部分15Bの高さ、従って、加熱圧潰される樹脂量、加熱温度、加熱時間を適切に選択することで、溶融したPPS樹脂を開口15Aからケース15内へ押し出し、図示のように突出させることができ、この突出部分は、図3に見られる栓体17と同様、コンデンサ本体7の上端に当接させて耐震性の向上に寄与させることができる。
【0083】また、ケース15の上面に於ける溶着部分の形状を図示のような形状に再現性良く同一に保つには、溶着終了後、加熱こてを冷却し、PPS樹脂が固化してから引き離すようにすれば良い。
【0084】ところで、図2、或いは図3などで説明した実施例に於ける接着剤阻止体14は、図1に見られる封止体8と異なり、それ自体が液密封止の役割を果たすものではなく、基本的には、接着剤16がケース15内に流入するのを阻止できれば良く、しかも、水素ガスを透過する性質なども要求されない。
【0085】前記したところから、接着剤阻止体14としては、ゴム以外の材料でも、電解液に侵されず、耐熱性が高い材料、例えばケース15と同じPPS樹脂、又は、フッ素系樹脂などを用いることができ、要は、リード端子1と接着剤阻止体14との間や接着剤阻止体14とケース15との間から接着剤16が通り抜けないように精密な加工が実現できれば良い。
【0086】前記精密な加工とは、リード端子1と接着剤阻止体14との間、及び、接着剤阻止体14とケース15との間が20〔μm〕以下であることを意味するが、現在、このような加工は困難ではない状態になっている。
【0087】従って、接着剤阻止体14の材料として、PPS樹脂、フッ素系樹脂などの剛体を用いることは充分に可能であり、このような剛体を用いた場合には、接着剤16を施すことで、接着剤阻止体14、ケース15、接着剤16が一体構造となって、電解コンデンサの過酷な使用条件、例えば、温度105〔℃〕で内部圧力3〔kg/cm2 〕に充分耐えることができ、また、ゴムと違って剛体の場合には、リード端子1の位置、向きなどが正確に定まり、製品のバラツキが少なくなるなどの利点もある。
【0088】図6は本発明を実施して作製した接着剤阻止体に剛体を用いた電解コンデンサの一例を説明する為の要部切断側面図であり、図1乃至図5に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0089】図示の電解コンデンサが、図1乃至図5に見られる電解コンデンサと相違するところは、接着剤阻止体20が剛体、例えばPPS樹脂で構成されている点であり、そして、接着剤阻止体20が剛体であることから、ケース15との結合に螺子構造を利用することが可能になっている。
【0090】勿論、このような螺子構造は必須の構成ではなく、単なる円板状の接着剤阻止体であっても実用上は充分であり、例えば図2、図3などに見られる接着剤阻止体14をPPS樹脂、フッ素系樹脂などの剛体に代替することで種々と優れた効果を得ることができる。
【0091】さて、図6から明らかなように、接着剤阻止体20の周辺には雄螺子20Aが刻設され、そして、ケース15に於けるコンデンサ本体7を挿入する開口近傍の内側には雌螺子15Cが刻設されている。
【0092】従って、接着剤阻止体20の孔にリード端子1を挿通することで、コンデンサ本体7と接着剤阻止体20とを結合し、そして、接着剤阻止体20の雄螺子20Aをケース15の雌螺子15Aに螺子込むことで緊密に一体化することができ、そこに接着剤16を施すことで良好な液密封止が実現される。このように、接着剤阻止体20とケース15とを一体化した構造にすることができる為、機械的強度が向上する旨の利点もある。
【0093】ここで使用する螺子構造は、通常の螺子に比較し、ピッチが粗いものが好ましい。その理由は、PPS樹脂などでモールド成型する場合に製造し易く、且つ、組み立ても容易であることに依る。
【0094】図7は図6について説明した電解コンデンサと同類の電解コンデンサを表す要部分解斜面図であり、図6に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0095】接着剤阻止体20に於ける周辺には、ピッチが粗い雄螺子20Aが形成され、ケース15に於けるコンデンサ本体7を挿入する開口近傍の内側には、同じくピッチが粗い雌螺子15Cが形成されている。
【0096】接着剤阻止体20に於けるリード端子1が貫通する一対の孔20Bの間には、接着剤阻止体20をケース15に螺子込む際、治具で挟持し捻回するのに便利であるように帯状の突起20Cが形成されている。尚、この突起20Cに代えて、スクリュウ・ドライバなどの先端を差し込むことができる−溝や+溝を形成しても良い。
【0097】図8も本発明を実施して作製した接着剤阻止体に剛体を用いた電解コンデンサを説明する為の要部切断側面図であり、図1乃至図7に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0098】図に於いて、(A)は接着剤を施す前の電解コンデンサを底面からみた要部平面、(B)は前記要部平面に見られる線X−Xに沿う要部切断側面、15Dは接着剤阻止体20を係止する張り出し部分、15Eは加熱圧潰部分、21は加熱こてをそれぞれ示している。
【0099】本実施例では、コンデンサ本体7のリード端子1に接着剤阻止体20を取り付け、その全体をケース15に挿入し、接着剤阻止体20のエッジをケース15に於ける張り出し部分15Dに係止させ、加熱圧潰部分15Eを加熱こて30で押圧すると、図に破線で示してあるように加熱圧潰部分15Eが圧潰されて接着剤阻止体20をケース15に固着することができる。
【0100】この後、他の実施例と同様、接着剤16を施して固化させることに依って液密封止し、次いで、開口15Aを介してケース15内を排気してから電解液の注入を行い、次いで、エージングをしてから、例えば図5R>5(B)について説明したように、加熱こてを用いて開口15Aを閉塞して完成する。
【0101】前記プロセスに於いて、加熱圧潰部分15Eを加熱圧潰する際、接着剤阻止体20も若干溶融する程度に加熱こて21を押圧した方が接着強度が大きくなるので好ましく、また、本実施例に図6及び図7について説明した実施例に於ける螺子構造を併用すれば、更に、液密性を向上することができる。
【0102】本実施例の場合、少なくともケース15の材料としては、熱可塑性樹脂を用いることが必要であり、また、接着剤阻止体20も熱可塑性樹脂を用いた方が好結果が得られ、そして、同一種類、例えばPPS樹脂を用いると良い。
【0103】一般に、PPS樹脂が関連する接着は、さほど容易ではなく、接着剤のなかでは、エポキシ樹脂接着剤が最も信頼性が高いのであるが、PPS樹脂のモールド面との接着性は完全ではない。
【0104】そこで、PPS樹脂のモールド面をサンドブラストしたり、紫外線照射することが行われているのであるが、図8について説明した実施例に於いては、加熱こて21に依る熱溶着面が粗面になるので、エポキシ樹脂との接着性は向上する。
【0105】ところで、一般に、電解コンデンサは自動製造システムに依って量産されることが多く、その場合、所謂、テーピング方式が採用されている。
【0106】図9はテーピング方式を説明する為の工程フローを表す要部説明図であり、図1乃至図8に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0107】図に於いて、22はテープ、23は完成された電解コンデンサをそれぞれ示している。
【0108】図から理解できようが、テーピング方式に於いては、リード端子1を取り付けたアルミニウム箔と絶縁紙などを積層・巻回してコンデンサ本体7を作成し、リード端子1の部分をテープ22に仮留めし、そのテープ22を駆動することで、リード端子1を導出したコンデンサ本体7からなる部品から始まって、その部品をプロセスに沿うように搬送しつつ加工することで電解コンデンサ23を完成させるようにしている。
【0109】本発明に依る電解コンデンサを前記テーピング方式で量産する場合、リード端子1をテープ22に仮留めしてからでは、図6乃至図8について説明したような構成の接着剤阻止体20をリード端子1に挿通することはできないので、前記仮留め以前に実施することが必要となる。
【0110】そのようなことは、実施不可能ではないが、ケース組み立て工程の一部がアルミニウム箔巻き取り工程の一部に入り込んでしまうことになるので、自動製造システムを改変することが必要になったり、工程管理上の問題を生ずる。
【0111】図10はテーピング方式を採る場合に用いるのに好適な接着剤阻止体を説明する要部斜面図であり、(A)及び(B)はそれぞれ構成が異なるものを例示してある。
【0112】図9について説明したテーピング方式を実施する場合には、図10に見られるように例えば二つ割りされた接着剤阻止体24が有効になる。即ち、(A)に於いて、接着剤阻止体24は、リード端子1が挿通される一対の孔24Aを通る線に沿って分割され、半部241 及び半部242 から構成されているので、テープ22にリード端子1を仮留めして、ケース組み立て工程に入ってからも、容易にリード端子1と結合させることができる。
【0113】ところで、(A)に見られる接着剤阻止体24は、単純に二つ割りされていることから、ケース組み立て工程に於いて、コンデンサ本体7が剥き出しの状態でリード端子1に取り付けることは困難であって、コンデンサ本体7をケース15に装着した後、リード端子1に接着剤阻止体24を取り付け、その周囲をケース15で抑止することが必要である。
【0114】また、(B)に見られる接着剤阻止体24では、一対の孔24Aを通る線に沿って分割され、半部241 及び半部242 で構成されている点では(A)と変わりないが、半部241 は、結合されるべき半部242 方向に延び出た楔部分24Bを備えると共に位置決め用キー24Cを備え、そして、半部242 には、楔部分24Bを受け入れ可能な凹溝24Dを備えると共に位置決め用キー溝24Eを備えている。
【0115】(B)に見られる構造にした場合、接着剤阻止体24はケース15の定位置まで押し込むようにし、そして、その定位置に於けるケース15の径を若干、例えば20〔μm〕乃至30〔μm〕程度縮径しておくことで、リード端子1に対する圧着を同時に達成できるようにすることが可能になる。
【0116】本発明では、前記各実施例に限られることなく、他に多くの改変を実現することが可能であり、例えば、前記各実施例に於いては、リード端子が全てコンデンサの一端から導出される形式のものを挙げて説明してあるが、リード端子をコンデンサの両端にそれぞれ振り分けて導出する形式のものにも適用できることは勿論であり、その場合、若し、図2について説明した実施例のように開口を設けることが必要な構成のもので、リード端子を導出するのに開口の存在が不都合であれば、開口を適宜の箇所に移動して良いことは云うまでもない。
【0117】
【発明の効果】本発明に依る電解コンデンサの製造方法に於いては、リード端子を固着した陽極箔及びリード端子を固着した陰極箔及びセパレータを巻回してコンデンサ本体を形成し、封止体或いは接着剤阻止体の孔にリード端子に挿通してコンデンサ本体に取り付け、少なくともリード端子と封止体或いは接着剤阻止体とを気密封止する接着剤を完全硬化させるよう熱処理をしてから、コンデンサ本体に電解液を含浸させている。
【0118】前記構成を採ることに依り、リード端子とゴムからなる封止体との間の密着性は良好になるから、そこから電解液が漏出することはなくなる。また、リード端子と封止体或いは接着剤阻止体との間を接着封止する接着剤の硬化は、電解液が存在しない状態で行うので、例えばエポキシ樹脂である接着剤が良好に硬化する高い温度で実施することができ、従って、その液密性は向上する。更にまた、リード端子を導出したコンデンサ本体をケースに液密封止した後、ガス抜きや電解液注入を可能にする開口は、加熱こてを当てるなどして簡単に閉塞することができるので、その実施は容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施して作製した電解コンデンサを説明する為の要部切断側面図である。
【図2】本発明を実施して電解コンデンサを製造する工程を説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサを表す要部斜面説明図である。
【図3】ケースの開口を栓体で密封する工程を詳細に説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサの要部切断側面図である。
【図4】ケースの開口を栓体で密封する工程の他の例を説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサの要部切断側面図である。
【図5】ケースの開口を密封する工程の更に他の例を説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサの要部切断側面図である。
【図6】本発明を実施して作製した接着剤阻止体に剛体を用いた電解コンデンサの一例を説明する為の要部切断側面図である。
【図7】図6について説明した電解コンデンサと同類の電解コンデンサを表す要部分解斜面図である。
【図8】本発明を実施して作製した接着剤阻止体に剛体を用いた電解コンデンサを説明する為の要部切断側面図である。
【図9】テーピング方式を説明する為の工程フローを表す要部説明図である。
【図10】テーピング方式を採る場合に用いるのに好適な接着剤阻止体を説明する要部斜面図である。
【図11】電解コンデンサを製造する方法について説明する為の工程要所に於けるコンデンサ諸部材を表す要部斜面説明図である。
【図12】電解コンデンサの製造について説明する為の工程要所に於ける電解コンデンサを表す要部斜面説明図である。
【図13】本発明に於いて改善の対象とした電解コンデンサの一つを説明する為の要部切断側面図である。
【符号の説明】
1 リード端子
1A リード線
1B 取付け部
2 陽極箔
3 陰極箔
4 セパレータ
5 セパレータ
6 巻き止めテープ
7 コンデンサ本体
8 封止体
9 ケース
10 巻き締め部
11 熱収縮チューブ
12 エポキシ樹脂膜
13 接着剤
14,20,24 接着剤阻止体
15 ケース
15A 開口
15B カラー部分
16 接着剤
17 栓体

【特許請求の範囲】
【請求項1】リード端子を固着した陽極箔及びリード端子を固着した陰極箔及びセパレータを巻回してコンデンサ本体を形成する工程と、次いで、弾性材料からなり且つ前記リード端子を挿通可能な孔を有する封止体を前記孔或いはその近傍に接着剤を施してから前記リード端子に挿通して前記コンデンサ本体に取り付ける工程と、次いで、熱処理を行って前記接着剤を完全硬化させ前記リード端子と前記封止体とを接着する工程と、次いで、前記コンデンサ本体に電解液を含浸させる工程と、次いで、前記封止体が取り付けられたコンデンサ本体をケース中に挿入して密封する工程とが含まれてなることを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
【請求項2】弾性材料からなり且つ前記リード端子を挿通可能な孔を有する封止体を接着剤が施された前記リード端子に挿通して前記コンデンサ本体に取り付ける工程が含まれてなることを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項3】リード端子を固着した陽極箔及びリード端子を固着した陰極箔及びセパレータを巻回してコンデンサ本体を形成する工程と、次いで、前記リード端子を挿通可能な孔を有する接着剤阻止体を前記リード端子に挿通して前記コンデンサ本体に取り付ける工程と、次いで、前記接着剤阻止体が取り付けられたコンデンサ本体をガス抜き用兼電解液注入用の開口を有するケース中に挿入してから前記接着剤阻止体が取り付けられた側に接着剤を施す工程と、次いで、熱処理を行って前記接着剤を完全硬化させ前記接着剤阻止体と前記リード端子とを接着すると共にコンデンサ本体をケース中に封止する工程と、次いで、前記ガス抜き用兼電解液注入用の開口から電解液を注入して前記コンデンサ本体に電解液を含浸させる工程と、次いで、前記ガス抜き用兼電解液注入用の開口を閉塞して前記ケースを密閉する工程とが含まれてなることを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
【請求項4】リード端子を固着した陽極箔及びリード端子を固着した陰極箔及びセパレータを巻回してコンデンサ本体を形成する工程と、次いで、前記コンデンサ本体をガス抜き用兼電解液注入用の開口を有するケース中に挿入する工程と、次いで、前記リード端子を受容可能な孔を有する接着剤阻止体を前記リード端子に取り付けて前記コンデンサ本体と結合する工程と、次いで、前記ケースに於ける前記接着剤阻止体が取り付けられた側に接着剤を施す工程と、次いで、熱処理を行って前記接着剤を完全硬化させ前記接着剤阻止体と前記リード端子とを接着すると共にコンデンサ本体をケース中に封止する工程と、次いで、前記ガス抜き用兼電解液注入用の開口から電解液を注入して前記コンデンサ本体に電解液を含浸させる工程と、次いで、前記ガス抜き用兼電解液注入用の開口を閉塞して前記ケースを密閉する工程とが含まれてなることを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
【請求項5】接着剤阻止体がリード端子を受容する一対の孔を通る線に沿って分割されてなることを特徴とする請求項3或いは4記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】ケースに接着剤阻止体が挿入されてから加熱こてに依って前記ケースの一部を加熱圧潰して前記接着剤阻止体上に押し付ける工程が含まれてなることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項7】ガス抜き用兼電解液注入用の開口を閉塞する栓体を前記開口に嵌挿して先端がコンデンサ本体に当接した状態でケースを密閉する工程が含まれてなることを特徴とする請求項3乃至6の何れか1記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項8】先端に凹曲面をもつ加熱こてを用いてガス抜き用兼電解液注入用の開口を閉塞しケースを密閉してから前記加熱こての温度を低下させてケースから引き離す工程が含まれてなることを特徴とする請求項3乃至7の何れか1記載の電解コンデンサの製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【図12】
image rotate


【図11】
image rotate


【図13】
image rotate


【公開番号】特開平8−78287
【公開日】平成8年(1996)3月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−135116
【出願日】平成7年(1995)6月1日
【出願人】(394022152)昭栄株式会社 (2)
【出願人】(592227070)アドフォクス株式会社 (4)