電解装置、電気化学反応型膜装置及び多孔質導電体
【課題】多孔質導電体の表面を平滑化するとともに、空隙率を良好に向上させることを可能にする。
【解決手段】水電解装置10は、複数の単位セル12を備える。単位セル12を構成する電解質膜・電極構造体32は、固体高分子電解質膜38の両面に設けられたアノード電極触媒層44a及びカソード電極触媒層44bに積層されるアノード側給電体40及びカソード側給電体42を備える。アノード側給電体40の表面には、研削加工を施した後にエッチング処理を行うことにより、平滑表面部40aが設けられる。
【解決手段】水電解装置10は、複数の単位セル12を備える。単位セル12を構成する電解質膜・電極構造体32は、固体高分子電解質膜38の両面に設けられたアノード電極触媒層44a及びカソード電極触媒層44bに積層されるアノード側給電体40及びカソード側給電体42を備える。アノード側給電体40の表面には、研削加工を施した後にエッチング処理を行うことにより、平滑表面部40aが設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解用の給電体として使用される多孔質導電体を備える電解装置、電気化学反応に使用される膜の少なくとも一方の面に設けられる多孔質導電体を備える電気化学反応型膜装置、及びこれらに使用される多孔質導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素を燃料として電力又は動力を供給するシステムが提案されている。例えば、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持した固体高分子型燃料電池が知られている。なお、アノード側電極及びカソード側電極は、それぞれ電極触媒層とガス拡散層とを備えている。
【0003】
この種の燃料電池は、アノード側電極に燃料ガス(主に水素を含有するガス)が供給される一方、カソード側電極に酸化剤ガス(主に酸素を含有するガスあるいは空気)が供給されている。従って、アノード側電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
【0004】
一般的に、燃料である水素を製造するために、水電解装置が採用されている。この水電解装置は、水を分解して水素(及び酸素)を発生させるため、固体高分子電解膜を用いている。固体高分子電解質膜の両面には、電極触媒層が設けられて電解質膜・電極構造体が構成されるとともに、前記電解質膜・電極構造体の両側には、給電体が配設されてユニットが構成されている。すなわち、ユニットは、実質的には、上記の燃料電池と同様に構成されている。
【0005】
そこで、複数のユニットが積層された状態で、積層方向両端に電圧が付与されるとともに、アノード側給電体に水が供給される。このため、電解質膜・電極構造体のアノード側では、水が分解されて水素イオン(プロトン)が生成され、この水素イオンが固体高分子電解質膜を透過してカソード側に移動し、電子と結合して水素が製造される。一方、アノード側では、水素と共に生成された酸素が、余剰の水を伴ってユニットから排出される。
【0006】
上記の給電体は、例えば、特許文献1に開示されているように、多孔質導電板で構成されている。この特許文献1では、図10に示すように、所定粒径の球状ガスアトマイズチタン粉末1が高密度アルミナ製の焼結容器2に無加圧で充填される。次いで、焼結容器2内に充填された球状ガスアトマイズチタン粉末1が、無加圧で真空焼結されることにより、板状のチタン粉末焼結体が製造される。そして、このチタン粉末焼結体の一方の表面は、研削加工又は切削加工により平滑化され、この一方の表面が、図示しない電解質膜・電極構造体に接触する。
【0007】
【特許文献1】特開2004−71456号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の特許文献1では、例えば、図11に示すように、チタン粉末焼結体3の表面3aに研削加工又は切削加工を施すと、研削時又は切削時のダレ4が発生し易く、前記チタン粉末焼結体3の表面3aの空隙率が低下するおそれがある。表面3aの空隙率が低下すると、流体の圧力損失が大幅に増加し、水電解時に電解質膜・電極構造体のアノード側電極触媒層の表面で生成された酸素は、アノード側給電体内に進入することができず、前記電極触媒層と前記給電体との間に滞留するおそれがある。
【0009】
これにより、水の供給が困難となり、水電解が良好に遂行されなくなるとともに、固体高分子電解質膜の湿潤が保持されず、膜抵抗が増加して電解電圧が高くなるという問題がある。
【0010】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、多孔質導電体の表面を平滑化するとともに、空隙率を良好に向上させることが可能な電解装置、電気化学反応型膜装置及び多孔質導電体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電解装置は、電解用の給電体として使用される多孔質導電体を備え、前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けている。
【0012】
また、本発明に係る電気化学反応型膜装置は、電気化学反応に使用される膜の少なくとも一方の面に設けられる多孔質導電体を備え、前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けている。
【0013】
さらに、本発明に係る電解装置給電体用多孔質導電体及び電気化学反応型膜装置用多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けている。
【0014】
さらにまた、多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、平滑表面部が膜に向かって配置されることが好ましい。このため、例えば、水電解により効率的に水素を製造することができ、前記水素を燃料として良好に使用することが可能になる。
【0015】
また、多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体で構成されることが好ましい。成形性に優れるとともに、表面の平滑性を容易に得ることができるからである。
【0016】
さらに、球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が10%〜50%の範囲内に設定されることが好ましい。空隙率が10%未満では、流体の流通が不十分になる一方、空隙率が50%を超えると、膜との接触性が低下するからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多孔質導電体の表面が研削加工により平滑化された後、エッチング処理によって前記多孔質導電体の表面のダレを容易且つ確実に除去することができる。このため、多孔質導電体の表面を平滑化するとともに、表面の空隙率を良好に向上させることが可能になる。従って、例えば、アノード側で生成された酸素は、多孔質導電体を通って円滑に排出されるため、所望の供給水量を確保することができ、供給水量の不足を惹起することがない。
【0018】
さらに、エッチング処理により多孔質導電体の表面の空隙率を確保することができるため、圧力損が低下して供給水の供給圧力を低くすることが可能になる。このため、供給水ポンプの動力も低減し、システムのエネルギ効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水電解装置(電気化学反応型膜装置)10の斜視説明図であり、図2は、前記水電解装置10の一部断面側面図である。
【0020】
水電解装置10は、複数の単位セル12が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備える。積層体14の積層方向一端には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18a及びエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向他端には、同様にターミナルプレート16b、絶縁プレート18b及びエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される。
【0021】
水電解装置10は、例えば、矢印A方向に延在する複数のタイロッド22を介してエンドプレート20a、20b間を一体的に締め付け保持する。なお、水電解装置10は、四角形に構成されるエンドプレート20a、20bを端板として含む箱状ケーシング(図示せず)により一体的に保持される構成を採用してもよい。
【0022】
図1に示すように、ターミナルプレート16a、16bの側部には、端子部24a、24bが外方に突出して設けられる。端子部24a、24bは、配線26a、26bを介して電源28に電気的に接続される。陽極(アノード)側である端子部24aは、電源28のプラス極に接続される一方、陰極(カソード)側である端子部24bは、前記電源28のマイナス極に接続される。
【0023】
図2及び図3に示すように、単位セル12は、電解質膜・電極構造体32と、この電解質膜・電極構造体32を挟持するアノード側セパレータ34及びカソード側セパレータ36とを備える。アノード側セパレータ34及びカソード側セパレータ36は、例えば、カーボン部材等で構成され、又は、鋼板、ステンレス鋼板、チタン板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板をプレス成形して、あるいは切削加工した後に防食用の表面処理を施して構成される。
【0024】
電解質膜・電極構造体32は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜38と、前記固体高分子電解質膜38を挟持し且つ該固体高分子電解質膜38を補強するアノード側給電体40及びカソード側給電体42とを備える。固体高分子電解質膜38の両面には、アノード電極触媒層44a及びカソード電極触媒層44bが形成される。アノード電極触媒層44aは、例えば、Ru(ルテニウム)系触媒を使用する一方、カソード電極触媒層44bは、例えば、白金触媒を使用する。
【0025】
アノード側給電体40及びカソード側給電体42は、後述するように、球状ガストマイズチタン粉末の焼結体により構成される。アノード側給電体40及びカソード側給電体42は、研削加工後にエッチング処理される平滑表面部40a、42aを設けるとともに、空隙率が10%〜50%、より好ましくは、20%〜40%の範囲内に設定される。
【0026】
単位セル12の矢印B方向(図3中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、水(純水)を供給するための供給連通孔46が設けられる。単位セル12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、反応により生成された酸素及び使用済みの水を排出するための排出連通孔48と、反応により生成された水素を流すための水素流通連通孔50とが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0027】
図4に示すように、アノード側セパレータ34の電解質膜・電極構造体32に向かう面34aには、例えば、矢印B方向に延在する第1流路52が設けられる。この第1流路52は、アノード側給電体40の表面積に対応する範囲内に設けられるとともに、供給連通孔46と排出連通孔48とに連通する。このアノード側セパレータ34の他方の面34bは、平坦状に構成される。
【0028】
図3に示すように、カソード側セパレータ36の電解質膜・電極構造体32に向かう面36aには、例えば、矢印B方向に延在する第2流路54が形成される。この第2流路54は、カソード側給電体42の表面積に対応する範囲内に設けられるとともに、水素流通連通孔50に連通する。このカソード側セパレータ36の他方の面36bは、平坦状に構成される。
【0029】
アノード側セパレータ34及びカソード側セパレータ36の外周端部を周回して、シール部材56a、56bが一体化される。このシール部材56a、56bには、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材が用いられる。
【0030】
図1に示すように、エンドプレート20aには、供給連通孔46、排出連通孔48及び水素流通連通孔50に連通する配管58a、58b及び58cが接続される。
【0031】
次いで、電解質膜・電極構造体32を構成するアノード側給電体40を製造する作業について説明する。なお、カソード側給電体42は、アノード側給電体40と同様に製造されるため、その詳細な説明は省略する。また、このカソード側給電体42は、必要に応じて設けられており、アノード側給電体40のみが設けられる場合もある。
【0032】
先ず、特許文献1と同様に、所定粒径の球状ガスアトマイズチタン粉末60を無加圧で真空焼結して、板状のチタン粉末焼結体62が製造される(図5参照)。なお、焼結温度は、チタンの融点よりも低く、例えば、800℃〜1300℃が好ましい。
【0033】
次に、チタン粉末焼結体62の固体高分子電解質膜38に向かう面に研削加工が施されて、研削加工面64が形成される。この研削加工面64には、ダレ部分66が存在しており、この研削加工後のチタン粉末焼結体62に対し、エッチング処理が施される。具体的には、エッチング溶液として、硝酸が10ml、10%のフッ化水素酸が10ml及び純水が180mlの混合溶液を用い、90秒間のエッチング時間で室温によるエッチングが行われる。
【0034】
これにより、図7に示すように、研削加工面64に存在するダレ部分66が除去され、平滑表面部40aが形成される。この平滑表面部40aは、固体高分子電解質膜38の一方側に配置されるとともに、同様に処理されたカソード側給電体42の平滑表面部42aは、前記固体高分子電解質膜38の他方向に配置され、電解質膜・電極構造体32が得られる。
【0035】
上記のように構成される水電解装置10の動作について、以下に説明する。
【0036】
図1に示すように、配管58aから水電解装置10の供給連通孔46に水が供給されるとともに、ターミナルプレート16a、16bの端子部24a、24bに電気的に接続されている電源28を介して電圧が付与される。このため、図3に示すように、各単位セル12では、供給連通孔46からアノード側セパレータ34とアノード側給電体40との間に形成される第1流路52に水が供給され、この水が前記アノード側給電体40に沿って移動する。
【0037】
従って、水は、アノード電極触媒層44aで電気により分解され、水素イオン、電子及び酸素が生成される。すなわち、以下に示す陽極反応が惹起される。
H2O→2H++2e-+1/2O2(陽極反応)
【0038】
この陽極反応により生成された水素イオンは、固体高分子電解質膜38を透過してカソード電極触媒層44b側に移動し、電子と結合して水素が得られる。すなわち、以下に示す陰極反応が惹起される。
2H++2e-→H2(陰極反応)
【0039】
このため、カソード側セパレータ36とカソード側給電体42との間に形成される第2流路54に沿って水素が流動し、この水素が、水素流通連通孔50を流れて水電解装置10の外部に取り出し可能となる。一方、第1流路52には、反応により生成した酸素と、使用済みの水とが流動しており、これらが排出連通孔48に沿って水電解装置10の外部に排出される。
【0040】
この場合、第1の実施形態では、電解質膜・電極構造体32を構成するアノード側給電体40及びカソード側給電体42のうち、少なくとも前記アノード側給電体40には、チタン粉末焼結体62の一方の面に研削加工を施した後に、エッチング処理を行って平滑表面部40aが設けられている。このため、チタン粉末焼結体62に研削加工のみを行う場合に比べて表面の空隙率を良好に向上させることができ、水電解処理を良好に遂行することが可能になる。
【0041】
ここで、アノード側給電体40にのみ表面研削後、エッチング処理を施した単位セル(実施例1)、アノード側給電体40及びカソード側給電体42の両方に表面研削加工後、エッチング処理を施した単位セル(実施例2)、及びアノード側給電体40及びカソード側給電体42の両方に研削加工のみを施した単位セル(比較例)を用いて、高圧電解時の電解電圧を比較する実験を行った。
【0042】
エッチング処理条件は、硝酸が10ml、10%のフッ化水素酸が10ml及び純水が180mlのエッチング溶液を用い、室温により90秒間のエッチング処理を行った。また、高圧電解条件として、カソード電極触媒層44b側に生成される水素圧力が35MPaであり、温度が60℃であった。
【0043】
固体高分子電解質膜としては、Nafion(DuPont社製)を用い、アノード電極触媒層44aとして、RulrFeOx触媒を使用する一方、カソード電極触媒層44bとして白金触媒を使用した。その結果が図8に示されている。
【0044】
すなわち、図8に示すように、比較例では、アノード側給電体40及びカソード側給電体42の研削表面にダレ部分が存在してしまい、空隙率が著しく低下した。このため、電解質膜・電極構造体32のアノード電極触媒層44aの表面で生成された酸素は、電流密度の上昇とともにアノード側給電体40を通ってアノード側セパレータ34の第1流路52に速やかに排出されず、アノード電極触媒層44aに水を十分に供給することができない。これにより、比較例では、供給水量の不足によって電解電圧が著しく上昇してしまい、水電解処理が不可能となった。
【0045】
これに対して、実施例1では、アノード側給電体40の表面に研削加工後、エッチング処理を施すことによって、平滑表面部40aの空隙率を良好に向上させることが可能になる。従って、アノード電極触媒層44aで生成された酸素は、電流密度が上昇してもアノード側給電体40を通って第1流路52に円滑に排出され、所望の供給水量を確保することができる。これにより、供給水量の不足を惹起することがなく、所望の水電解処理が確実に遂行されるという効果が得られる。
【0046】
一方、実施例2では、上記の実施例1と同様の効果が得られる。しかも、カソード側給電体42にも、研削後にエッチング処理を行って平滑表面部42aが設けられることにより、電解電圧の上昇を一層確実に抑えることが可能になる。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る水電解装置(電気化学反応型膜装置)を構成する単位セル80の分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る水電解装置10を構成する単位セル12と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0048】
単位セル80は、電解質膜・電極構造体32を挟持するセパレータ82を備える。実質的には、セパレータ82と電解質膜・電極構造体32とを交互に積層することにより複数の単位セル80が構成される。
【0049】
セパレータ82のアノード側給電体40に向かうアノード電極面82aには、第1流路52が形成されるとともに、カソード側給電体42に向かうカソード電極面82bには、第2流路54が形成される。セパレータ82の外周縁部を周回してシール部材84が一体成形される。
【0050】
このように構成される第2の実施形態では、セパレータ82と電解質膜・電極構造体32とが交互に積層されるため、積層方向の長さが有効に短尺化されるという利点が得られる他、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
なお、第1及び第2の実施形態では、水電解装置10を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、種々の電解装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水電解装置の斜視説明図である。
【図2】前記水電解装置の一部断面側面図である。
【図3】前記水電解装置を構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図4】前記単位セルを構成するアノード側セパレータの正面説明図である。
【図5】チタン粉末焼結体の拡大説明図である。
【図6】前記チタン粉末焼結体に研削加工を施した際の一部拡大説明図である。
【図7】前記研削加工後にエッチング処理を施した際の前記チタン粉末焼結体の一部拡大説明図である。
【図8】実施例1、実施例2及び比較例の電解電圧と電流密度との関係説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る水電解装置を構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図10】特許文献1の多孔質導電板を製造する際の説明図である。
【図11】前記多孔質導電板の表面に研削加工を施した際の一部拡大説明図である。
【符号の説明】
【0053】
10…水電解装置 12、80…単位セル
14…積層体 16a、16b…ターミナルプレート
18a、18a…絶縁プレート 20a、20b…エンドプレート
24a、24b…端子部 28…電源
32…電解質膜・電極構造体 34…アノード側セパレータ
36…カソード側セパレータ 38…固体高分子電解質膜
40…アノード側給電体 40a、42a…平滑表面部
42…カソード側給電体 44a…アノード電極触媒層
44b…カソード電極触媒層 46…供給連通孔
48…排出連通孔 50…水素流通連通孔
52、54…流路 62…チタン粉末焼結体
64…研削加工面 82…セパレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解用の給電体として使用される多孔質導電体を備える電解装置、電気化学反応に使用される膜の少なくとも一方の面に設けられる多孔質導電体を備える電気化学反応型膜装置、及びこれらに使用される多孔質導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素を燃料として電力又は動力を供給するシステムが提案されている。例えば、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持した固体高分子型燃料電池が知られている。なお、アノード側電極及びカソード側電極は、それぞれ電極触媒層とガス拡散層とを備えている。
【0003】
この種の燃料電池は、アノード側電極に燃料ガス(主に水素を含有するガス)が供給される一方、カソード側電極に酸化剤ガス(主に酸素を含有するガスあるいは空気)が供給されている。従って、アノード側電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
【0004】
一般的に、燃料である水素を製造するために、水電解装置が採用されている。この水電解装置は、水を分解して水素(及び酸素)を発生させるため、固体高分子電解膜を用いている。固体高分子電解質膜の両面には、電極触媒層が設けられて電解質膜・電極構造体が構成されるとともに、前記電解質膜・電極構造体の両側には、給電体が配設されてユニットが構成されている。すなわち、ユニットは、実質的には、上記の燃料電池と同様に構成されている。
【0005】
そこで、複数のユニットが積層された状態で、積層方向両端に電圧が付与されるとともに、アノード側給電体に水が供給される。このため、電解質膜・電極構造体のアノード側では、水が分解されて水素イオン(プロトン)が生成され、この水素イオンが固体高分子電解質膜を透過してカソード側に移動し、電子と結合して水素が製造される。一方、アノード側では、水素と共に生成された酸素が、余剰の水を伴ってユニットから排出される。
【0006】
上記の給電体は、例えば、特許文献1に開示されているように、多孔質導電板で構成されている。この特許文献1では、図10に示すように、所定粒径の球状ガスアトマイズチタン粉末1が高密度アルミナ製の焼結容器2に無加圧で充填される。次いで、焼結容器2内に充填された球状ガスアトマイズチタン粉末1が、無加圧で真空焼結されることにより、板状のチタン粉末焼結体が製造される。そして、このチタン粉末焼結体の一方の表面は、研削加工又は切削加工により平滑化され、この一方の表面が、図示しない電解質膜・電極構造体に接触する。
【0007】
【特許文献1】特開2004−71456号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の特許文献1では、例えば、図11に示すように、チタン粉末焼結体3の表面3aに研削加工又は切削加工を施すと、研削時又は切削時のダレ4が発生し易く、前記チタン粉末焼結体3の表面3aの空隙率が低下するおそれがある。表面3aの空隙率が低下すると、流体の圧力損失が大幅に増加し、水電解時に電解質膜・電極構造体のアノード側電極触媒層の表面で生成された酸素は、アノード側給電体内に進入することができず、前記電極触媒層と前記給電体との間に滞留するおそれがある。
【0009】
これにより、水の供給が困難となり、水電解が良好に遂行されなくなるとともに、固体高分子電解質膜の湿潤が保持されず、膜抵抗が増加して電解電圧が高くなるという問題がある。
【0010】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、多孔質導電体の表面を平滑化するとともに、空隙率を良好に向上させることが可能な電解装置、電気化学反応型膜装置及び多孔質導電体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電解装置は、電解用の給電体として使用される多孔質導電体を備え、前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けている。
【0012】
また、本発明に係る電気化学反応型膜装置は、電気化学反応に使用される膜の少なくとも一方の面に設けられる多孔質導電体を備え、前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けている。
【0013】
さらに、本発明に係る電解装置給電体用多孔質導電体及び電気化学反応型膜装置用多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けている。
【0014】
さらにまた、多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、平滑表面部が膜に向かって配置されることが好ましい。このため、例えば、水電解により効率的に水素を製造することができ、前記水素を燃料として良好に使用することが可能になる。
【0015】
また、多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体で構成されることが好ましい。成形性に優れるとともに、表面の平滑性を容易に得ることができるからである。
【0016】
さらに、球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が10%〜50%の範囲内に設定されることが好ましい。空隙率が10%未満では、流体の流通が不十分になる一方、空隙率が50%を超えると、膜との接触性が低下するからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多孔質導電体の表面が研削加工により平滑化された後、エッチング処理によって前記多孔質導電体の表面のダレを容易且つ確実に除去することができる。このため、多孔質導電体の表面を平滑化するとともに、表面の空隙率を良好に向上させることが可能になる。従って、例えば、アノード側で生成された酸素は、多孔質導電体を通って円滑に排出されるため、所望の供給水量を確保することができ、供給水量の不足を惹起することがない。
【0018】
さらに、エッチング処理により多孔質導電体の表面の空隙率を確保することができるため、圧力損が低下して供給水の供給圧力を低くすることが可能になる。このため、供給水ポンプの動力も低減し、システムのエネルギ効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水電解装置(電気化学反応型膜装置)10の斜視説明図であり、図2は、前記水電解装置10の一部断面側面図である。
【0020】
水電解装置10は、複数の単位セル12が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備える。積層体14の積層方向一端には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18a及びエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向他端には、同様にターミナルプレート16b、絶縁プレート18b及びエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される。
【0021】
水電解装置10は、例えば、矢印A方向に延在する複数のタイロッド22を介してエンドプレート20a、20b間を一体的に締め付け保持する。なお、水電解装置10は、四角形に構成されるエンドプレート20a、20bを端板として含む箱状ケーシング(図示せず)により一体的に保持される構成を採用してもよい。
【0022】
図1に示すように、ターミナルプレート16a、16bの側部には、端子部24a、24bが外方に突出して設けられる。端子部24a、24bは、配線26a、26bを介して電源28に電気的に接続される。陽極(アノード)側である端子部24aは、電源28のプラス極に接続される一方、陰極(カソード)側である端子部24bは、前記電源28のマイナス極に接続される。
【0023】
図2及び図3に示すように、単位セル12は、電解質膜・電極構造体32と、この電解質膜・電極構造体32を挟持するアノード側セパレータ34及びカソード側セパレータ36とを備える。アノード側セパレータ34及びカソード側セパレータ36は、例えば、カーボン部材等で構成され、又は、鋼板、ステンレス鋼板、チタン板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板をプレス成形して、あるいは切削加工した後に防食用の表面処理を施して構成される。
【0024】
電解質膜・電極構造体32は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜38と、前記固体高分子電解質膜38を挟持し且つ該固体高分子電解質膜38を補強するアノード側給電体40及びカソード側給電体42とを備える。固体高分子電解質膜38の両面には、アノード電極触媒層44a及びカソード電極触媒層44bが形成される。アノード電極触媒層44aは、例えば、Ru(ルテニウム)系触媒を使用する一方、カソード電極触媒層44bは、例えば、白金触媒を使用する。
【0025】
アノード側給電体40及びカソード側給電体42は、後述するように、球状ガストマイズチタン粉末の焼結体により構成される。アノード側給電体40及びカソード側給電体42は、研削加工後にエッチング処理される平滑表面部40a、42aを設けるとともに、空隙率が10%〜50%、より好ましくは、20%〜40%の範囲内に設定される。
【0026】
単位セル12の矢印B方向(図3中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、水(純水)を供給するための供給連通孔46が設けられる。単位セル12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、反応により生成された酸素及び使用済みの水を排出するための排出連通孔48と、反応により生成された水素を流すための水素流通連通孔50とが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0027】
図4に示すように、アノード側セパレータ34の電解質膜・電極構造体32に向かう面34aには、例えば、矢印B方向に延在する第1流路52が設けられる。この第1流路52は、アノード側給電体40の表面積に対応する範囲内に設けられるとともに、供給連通孔46と排出連通孔48とに連通する。このアノード側セパレータ34の他方の面34bは、平坦状に構成される。
【0028】
図3に示すように、カソード側セパレータ36の電解質膜・電極構造体32に向かう面36aには、例えば、矢印B方向に延在する第2流路54が形成される。この第2流路54は、カソード側給電体42の表面積に対応する範囲内に設けられるとともに、水素流通連通孔50に連通する。このカソード側セパレータ36の他方の面36bは、平坦状に構成される。
【0029】
アノード側セパレータ34及びカソード側セパレータ36の外周端部を周回して、シール部材56a、56bが一体化される。このシール部材56a、56bには、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材が用いられる。
【0030】
図1に示すように、エンドプレート20aには、供給連通孔46、排出連通孔48及び水素流通連通孔50に連通する配管58a、58b及び58cが接続される。
【0031】
次いで、電解質膜・電極構造体32を構成するアノード側給電体40を製造する作業について説明する。なお、カソード側給電体42は、アノード側給電体40と同様に製造されるため、その詳細な説明は省略する。また、このカソード側給電体42は、必要に応じて設けられており、アノード側給電体40のみが設けられる場合もある。
【0032】
先ず、特許文献1と同様に、所定粒径の球状ガスアトマイズチタン粉末60を無加圧で真空焼結して、板状のチタン粉末焼結体62が製造される(図5参照)。なお、焼結温度は、チタンの融点よりも低く、例えば、800℃〜1300℃が好ましい。
【0033】
次に、チタン粉末焼結体62の固体高分子電解質膜38に向かう面に研削加工が施されて、研削加工面64が形成される。この研削加工面64には、ダレ部分66が存在しており、この研削加工後のチタン粉末焼結体62に対し、エッチング処理が施される。具体的には、エッチング溶液として、硝酸が10ml、10%のフッ化水素酸が10ml及び純水が180mlの混合溶液を用い、90秒間のエッチング時間で室温によるエッチングが行われる。
【0034】
これにより、図7に示すように、研削加工面64に存在するダレ部分66が除去され、平滑表面部40aが形成される。この平滑表面部40aは、固体高分子電解質膜38の一方側に配置されるとともに、同様に処理されたカソード側給電体42の平滑表面部42aは、前記固体高分子電解質膜38の他方向に配置され、電解質膜・電極構造体32が得られる。
【0035】
上記のように構成される水電解装置10の動作について、以下に説明する。
【0036】
図1に示すように、配管58aから水電解装置10の供給連通孔46に水が供給されるとともに、ターミナルプレート16a、16bの端子部24a、24bに電気的に接続されている電源28を介して電圧が付与される。このため、図3に示すように、各単位セル12では、供給連通孔46からアノード側セパレータ34とアノード側給電体40との間に形成される第1流路52に水が供給され、この水が前記アノード側給電体40に沿って移動する。
【0037】
従って、水は、アノード電極触媒層44aで電気により分解され、水素イオン、電子及び酸素が生成される。すなわち、以下に示す陽極反応が惹起される。
H2O→2H++2e-+1/2O2(陽極反応)
【0038】
この陽極反応により生成された水素イオンは、固体高分子電解質膜38を透過してカソード電極触媒層44b側に移動し、電子と結合して水素が得られる。すなわち、以下に示す陰極反応が惹起される。
2H++2e-→H2(陰極反応)
【0039】
このため、カソード側セパレータ36とカソード側給電体42との間に形成される第2流路54に沿って水素が流動し、この水素が、水素流通連通孔50を流れて水電解装置10の外部に取り出し可能となる。一方、第1流路52には、反応により生成した酸素と、使用済みの水とが流動しており、これらが排出連通孔48に沿って水電解装置10の外部に排出される。
【0040】
この場合、第1の実施形態では、電解質膜・電極構造体32を構成するアノード側給電体40及びカソード側給電体42のうち、少なくとも前記アノード側給電体40には、チタン粉末焼結体62の一方の面に研削加工を施した後に、エッチング処理を行って平滑表面部40aが設けられている。このため、チタン粉末焼結体62に研削加工のみを行う場合に比べて表面の空隙率を良好に向上させることができ、水電解処理を良好に遂行することが可能になる。
【0041】
ここで、アノード側給電体40にのみ表面研削後、エッチング処理を施した単位セル(実施例1)、アノード側給電体40及びカソード側給電体42の両方に表面研削加工後、エッチング処理を施した単位セル(実施例2)、及びアノード側給電体40及びカソード側給電体42の両方に研削加工のみを施した単位セル(比較例)を用いて、高圧電解時の電解電圧を比較する実験を行った。
【0042】
エッチング処理条件は、硝酸が10ml、10%のフッ化水素酸が10ml及び純水が180mlのエッチング溶液を用い、室温により90秒間のエッチング処理を行った。また、高圧電解条件として、カソード電極触媒層44b側に生成される水素圧力が35MPaであり、温度が60℃であった。
【0043】
固体高分子電解質膜としては、Nafion(DuPont社製)を用い、アノード電極触媒層44aとして、RulrFeOx触媒を使用する一方、カソード電極触媒層44bとして白金触媒を使用した。その結果が図8に示されている。
【0044】
すなわち、図8に示すように、比較例では、アノード側給電体40及びカソード側給電体42の研削表面にダレ部分が存在してしまい、空隙率が著しく低下した。このため、電解質膜・電極構造体32のアノード電極触媒層44aの表面で生成された酸素は、電流密度の上昇とともにアノード側給電体40を通ってアノード側セパレータ34の第1流路52に速やかに排出されず、アノード電極触媒層44aに水を十分に供給することができない。これにより、比較例では、供給水量の不足によって電解電圧が著しく上昇してしまい、水電解処理が不可能となった。
【0045】
これに対して、実施例1では、アノード側給電体40の表面に研削加工後、エッチング処理を施すことによって、平滑表面部40aの空隙率を良好に向上させることが可能になる。従って、アノード電極触媒層44aで生成された酸素は、電流密度が上昇してもアノード側給電体40を通って第1流路52に円滑に排出され、所望の供給水量を確保することができる。これにより、供給水量の不足を惹起することがなく、所望の水電解処理が確実に遂行されるという効果が得られる。
【0046】
一方、実施例2では、上記の実施例1と同様の効果が得られる。しかも、カソード側給電体42にも、研削後にエッチング処理を行って平滑表面部42aが設けられることにより、電解電圧の上昇を一層確実に抑えることが可能になる。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る水電解装置(電気化学反応型膜装置)を構成する単位セル80の分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る水電解装置10を構成する単位セル12と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0048】
単位セル80は、電解質膜・電極構造体32を挟持するセパレータ82を備える。実質的には、セパレータ82と電解質膜・電極構造体32とを交互に積層することにより複数の単位セル80が構成される。
【0049】
セパレータ82のアノード側給電体40に向かうアノード電極面82aには、第1流路52が形成されるとともに、カソード側給電体42に向かうカソード電極面82bには、第2流路54が形成される。セパレータ82の外周縁部を周回してシール部材84が一体成形される。
【0050】
このように構成される第2の実施形態では、セパレータ82と電解質膜・電極構造体32とが交互に積層されるため、積層方向の長さが有効に短尺化されるという利点が得られる他、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
なお、第1及び第2の実施形態では、水電解装置10を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、種々の電解装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水電解装置の斜視説明図である。
【図2】前記水電解装置の一部断面側面図である。
【図3】前記水電解装置を構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図4】前記単位セルを構成するアノード側セパレータの正面説明図である。
【図5】チタン粉末焼結体の拡大説明図である。
【図6】前記チタン粉末焼結体に研削加工を施した際の一部拡大説明図である。
【図7】前記研削加工後にエッチング処理を施した際の前記チタン粉末焼結体の一部拡大説明図である。
【図8】実施例1、実施例2及び比較例の電解電圧と電流密度との関係説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る水電解装置を構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図10】特許文献1の多孔質導電板を製造する際の説明図である。
【図11】前記多孔質導電板の表面に研削加工を施した際の一部拡大説明図である。
【符号の説明】
【0053】
10…水電解装置 12、80…単位セル
14…積層体 16a、16b…ターミナルプレート
18a、18a…絶縁プレート 20a、20b…エンドプレート
24a、24b…端子部 28…電源
32…電解質膜・電極構造体 34…アノード側セパレータ
36…カソード側セパレータ 38…固体高分子電解質膜
40…アノード側給電体 40a、42a…平滑表面部
42…カソード側給電体 44a…アノード電極触媒層
44b…カソード電極触媒層 46…供給連通孔
48…排出連通孔 50…水素流通連通孔
52、54…流路 62…チタン粉末焼結体
64…研削加工面 82…セパレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解用の給電体として使用される多孔質導電体を備え、
前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電解装置。
【請求項2】
請求項1記載の電解装置において、前記多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、前記平滑表面部が電解質膜に向かって配置されることを特徴とする電解装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電解装置において、前記多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体であることを特徴とする電解装置。
【請求項4】
請求項3記載の電解装置において、前記球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が10%〜50%の範囲内に設定されることを特徴とする電解装置。
【請求項5】
電気化学反応に使用される膜の少なくとも一方の面に設けられる多孔質導電体を備え、
前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項6】
請求項5記載の電気化学反応型膜装置において、前記多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、前記平滑表面部が前記膜に向かって配置されることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の電気化学反応型膜装置において、前記多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体であることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項8】
請求項5記載の電気化学反応型膜装置において、前記球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が30%〜50%の範囲内に設定されることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項9】
研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電解装置給電体用多孔質導電体。
【請求項10】
研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電気化学反応型膜装置用多孔質導電体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解用の給電体として使用される多孔質導電体を備え、
前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電解装置。
【請求項2】
請求項1記載の電解装置において、前記多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、前記平滑表面部が電解質膜に向かって配置されることを特徴とする電解装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電解装置において、前記多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体であることを特徴とする電解装置。
【請求項4】
請求項3記載の電解装置において、前記球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が10%〜50%の範囲内に設定されることを特徴とする電解装置。
【請求項5】
電気化学反応に使用される膜の少なくとも一方の面に設けられる多孔質導電体を備え、
前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項6】
請求項5記載の電気化学反応型膜装置において、前記多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、前記平滑表面部が前記膜に向かって配置されることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の電気化学反応型膜装置において、前記多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体であることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項8】
請求項5記載の電気化学反応型膜装置において、前記球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が10%〜50%の範囲内に設定されることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項9】
研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電解装置給電体用多孔質導電体。
【請求項10】
研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電気化学反応型膜装置用多孔質導電体。
【請求項1】
電解用の給電体として使用される多孔質導電体を備え、
前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電解装置。
【請求項2】
請求項1記載の電解装置において、前記多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、前記平滑表面部が電解質膜に向かって配置されることを特徴とする電解装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電解装置において、前記多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体であることを特徴とする電解装置。
【請求項4】
請求項3記載の電解装置において、前記球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が10%〜50%の範囲内に設定されることを特徴とする電解装置。
【請求項5】
電気化学反応に使用される膜の少なくとも一方の面に設けられる多孔質導電体を備え、
前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項6】
請求項5記載の電気化学反応型膜装置において、前記多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、前記平滑表面部が前記膜に向かって配置されることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の電気化学反応型膜装置において、前記多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体であることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項8】
請求項5記載の電気化学反応型膜装置において、前記球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が30%〜50%の範囲内に設定されることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項9】
研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電解装置給電体用多孔質導電体。
【請求項10】
研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電気化学反応型膜装置用多孔質導電体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解用の給電体として使用される多孔質導電体を備え、
前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電解装置。
【請求項2】
請求項1記載の電解装置において、前記多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、前記平滑表面部が電解質膜に向かって配置されることを特徴とする電解装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電解装置において、前記多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体であることを特徴とする電解装置。
【請求項4】
請求項3記載の電解装置において、前記球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が10%〜50%の範囲内に設定されることを特徴とする電解装置。
【請求項5】
電気化学反応に使用される膜の少なくとも一方の面に設けられる多孔質導電体を備え、
前記多孔質導電体は、研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項6】
請求項5記載の電気化学反応型膜装置において、前記多孔質導電体は、水電解用の給電体として使用され、前記平滑表面部が前記膜に向かって配置されることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の電気化学反応型膜装置において、前記多孔質導電体は、球状チタン粒子の焼結体であることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項8】
請求項5記載の電気化学反応型膜装置において、前記球状チタン粒子の焼結体は、空隙率が10%〜50%の範囲内に設定されることを特徴とする電気化学反応型膜装置。
【請求項9】
研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電解装置給電体用多孔質導電体。
【請求項10】
研削加工が施された後、エッチング処理される平滑表面部を設けることを特徴とする電気化学反応型膜装置用多孔質導電体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−233297(P2006−233297A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51354(P2005−51354)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(397064944)住友チタニウム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(397064944)住友チタニウム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】
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