説明

電解質材料配合物、それから形成される電解質材料組成物、及びその使用

【課題】長い寿命、高い耐電圧性、高いキャパシタンス、及びコンデンサの破裂が生じないという利点を有し、且つ高い耐熱性及び高い耐周波数性を有する固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】固体電解質が、導電性化合物、酸化剤、及び重合性化合物から構成され、導電性化合物はピロール、チオフェン、アニリン、フェニレンスルフィド、及びそれらの誘導体からなる群から選択され、酸化剤はアルカリ金属過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、有機酸の第二鉄塩、及び有機基をもつ無機酸からなる群から選択され、重合性化合物は、エポキシ基含有重合性化合物、ビニル基含有不飽和重合性化合物、アクリレート含有不飽和重合性化合物、又はそれらの混合物から選択される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
[0001]本発明は、電解質材料配合物、その電解質材料配合物から形成される電解質材料組成物、及びその電解質材料組成物を使用する固体コンデンサに関する。
【0002】
[関連技術の説明]
[0002]コンデンサは、様々な電子製品において広く使用される電子素子の種類である。技術開発の進歩とともに、電子製品は、小型化及び軽量の方向で開発されつつあり、電子製品において使用されるコンデンサは、小型化されること、並びに高周波数で使用されるとき高いキャパシタンス及び低いインピーダンスを有することが要求される。
【0003】
[0003]コンデンサは、従来の液体コンデンサと、新たに開発された固体コンデンサとに分類できる。初期段階のアルミニウム液体コンデンサの電解質において、液体電解質は、電荷移動物質として使用される。液体電解質の主成分は、高沸点アルコール、イオン液体、ホウ酸、リン酸、有機カルボン酸、アンモニウム、高極性有機溶媒、及び少量の水を含む。その成分は、電荷移動物質としての役目をするだけでなく、アルミニウム箔上にある酸化アルミニウムの誘電体層を補修する機能も有する。内部のアルミニウム金属が、コンデンサの充電及び放電の過程で、酸化アルミニウムの誘電体層上の欠陥に起因して露出された場合に、電解質は、露出されたアルミニウム金属と反応することができ、酸化アルミニウムが生成されるので、補修の機能を達成する。しかし、従来のアルミニウム液体コンデンサは低コストで高いキャパシタンスという要件を満たすことができるが、使用される電解質は、液体であるので、導電性及び高温抵抗が低いという欠点を有する。そのうえ、酸化アルミニウムの生成過程で水素も生成され、過剰の水素がコンデンサ中に蓄積されると、電子製品を損傷し得るコンデンサの破裂が容易に生じることがある。水素吸収剤を液体電解質に添加してコンデンサの破裂のリスクを低減することができるが、問題は除去されない。
【0004】
[0004]したがって、液体電解質が固体電解質により直接的に置き換えられた、新世代の固体コンデンサが開発されている。固体電解質は、導電性ポリマーにより形成される。酸化剤のアニオンは、ドーパントとしてポリマーの構造中にブレンドされ、正孔が形成されるので、ポリマーは導電性を有する。従来的な電解コンデンサにおいて使用される液体電解質又は固体有機半導体複合体、例えば、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)複合塩及び無機半導体MnOと比べて、導電性ポリマーは、高い導電性、及び適切な高い高温断熱特性を有するので、導電性ポリマーにより、現行の電解コンデンサにおいて固体電解質を使用する傾向の進展が推進されてきた。
【0005】
[0005]一般的なコンデンサの有効寿命より6倍長い、長い有効寿命を有する他に、固体コンデンサは改善された安定性を有し、そのキャパシタンスは、使用中の周囲の温度及び湿度に容易には影響されない。さらに、固体コンデンサは、低いESR、低いキャパシタンス変化率、優れた周波数応答(高い耐周波数性)、高い耐熱性、及び高い耐電流性という利点を有し、漏れ及びプラズマ爆発という問題が除去される。従来の液体コンデンサは高いキャパシタンスを有するが、その用途は高いESRに起因して限定される。
【0006】
[0006]Jesse S.Shafferらは、米国特許第4,609,971号において、初めて、電解コンデンサの電解質において導電性ポリマーを使用する方法を開示している。その方法は、導電性ポリマーのポリアニリン粉末とドーパントのLiClOとにより形成される混合物溶液中にコンデンサのアノードのアルミニウム箔を浸漬すること、及び次いで、アルミニウム箔上の溶媒を除去することを含む。その過度に高い分子量に起因して、ポリアニリンがアノード箔のミクロ孔の中に浸透することができないので、この方法により得られるコンデンサの含浸率が低く、インピーダンスが高い。次いで、ポリマーがアノード箔のミクロ孔の中に容易に浸透することを可能にするために、Gerhard Hellwigらは、米国特許第4,803,596号において、コンデンサの電解質として導電性ポリマーを使用する化学酸化重合法を開示している。その方法は、導電性ポリマーのモノマー及び酸化剤の溶液中にコンデンサのアノード箔をそれぞれに浸漬することと、適切な条件で導電性ポリマーのモノマーを重合させることとを含み、ここで、導電性ポリマーの電解質が、複数回の浸漬により十分な厚さに蓄積される。その後に、ドイツのBayer CorporationのFriedrich Jonasらは、米国特許第4,910,645号において、初めて、モノマーの3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を酸化剤の鉄(III)p−トルエンスルホネートと組み合わせて使用することにより、電解質としてポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を用いるアルミニウム固体コンデンサを製造する方法を開示している。導電性ポリマーのPEDOTは、高い耐熱性、高い導電性、高い電荷移動速度、非毒性であること、長い有効寿命、及びコンデンサの中で適用されているときにコンデンサの破裂が生じないという利点を有する。現在、ほとんどすべての固体コンデンサの製造者は、その2つの材料を使用してアルミニウム又はタンタルの固体コンデンサを製造する。しかし、モノマーのEDOT及び鉄(III)p−トルエンスルホネートを含有する混合物溶液中にコンデンサ素子を浸漬することにより重合された、アルミニウム箔の表面又は細孔の上のPEDOTは大部分が粉末構造を有し、その粉末構造の物理的特性が不良であるので、その粉末構造は、表面又は細孔から脱落する可能性がより高いため、アルミニウム箔の表面又は細孔の上に容易に付着できず、完全なPEDOTのポリマー構造が、アルミニウム箔の表面又は細孔の上に容易に形成され得ない。したがって、電圧16V以上における固体コンデンサの安定性は乏しく、そのことは、固体コンデンサを電圧16V以上のプロセスにおいて使用できないこと、又はプロセスの収率が低いことにつながる。そのうえ、導電性ポリマーPEDOTにより形成される粉末構造は、アルミニウム箔の細孔の上に容易に付着できないので、脱落の問題が生じたときに耐えられる作動電圧が制限される。
【0007】
[0007]特開第2010−129651号公報において、コンデンサ素子がポリマーのPEDOTを含有するポリマー溶液中に直接的に浸漬され、完全なPEDOTのポリマー構造がアルミニウム箔の表面又は細孔の上に形成されるので、固体コンデンサが電圧50Vの作動環境中で適用可能であることが開示されている。しかし、従来の方法と比べたときに、ポリマーのPEDOT材料のコストがモノマーのEDOTのコストより高く、ポリマーのPEDOT材料は貯蔵が難しく、その方法は、より多くの時間を必要とし、制御するのがより難しい。
【0008】
[0008]したがって、高い耐熱性及び高い耐周波数性が要求される3C製品において液体コンデンサと置き換わるような、高電圧に耐えることができ、良好な安定性を有し、比較的低コストで値段が付けられる固体コンデンサの開発が、産業界により求められている。
【0009】
[発明の概要]
[0009]したがって、本発明は、
(a1)導電性化合物、
(b1)酸化剤、及び
(c1)重合性化合物
を含む電解質材料配合物を対象とする。
【0010】
[0010]本発明は、固体コンデンサに適用可能である、重合により本発明の電解質材料配合物から形成される電解質材料組成物をさらに対象とする。
【0011】
[0011]本発明は、アノードと、アノード上に形成された誘電体層と、カソードと、誘電体層及びカソードの間に位置する、本発明による電解質材料組成物を含む固体電解質とを備える固体コンデンサもなおさらに対象とする。
【0012】
[0012]本発明による電解質材料配合物から製造される固体コンデンサは、容易な作製、低いコスト、良好なプロセス安定性、高い耐電圧性、高いキャパシタンス、及び低いインピーダンスという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】[0013]本発明の実施形態によるコンデンサ素子を示す。
【0014】
[0014]本発明による電解質材料配合物は、(a1)導電性化合物、(b1)酸化剤、及び(c1)重合性化合物を含む。
【0015】
[0015]本発明において使用される導電性化合物は、一般に、モノマー、オリゴマー、又はそれらの組合せである。本発明において有用な導電性化合物は、当技術分野において公知であり、例えば、ピロール、チオフェン、アニリン及びフェニレンスルフィド、並びにそれらの誘導体からなる群から選択することができる。
【0016】
[0016]本発明において使用される酸化剤は、導電性化合物とともに導電性ポリマーを形成することができる。本発明において有用な酸化剤は、当技術分野において公知であり、例えば、アルカリ金属過硫酸塩、アンモニウム塩、有機酸の第二鉄塩、及び有機基をもつ無機酸からなる群から選択することができる。本発明の特定の実施形態によれば、酸化剤は、鉄(III)p−トルエンスルホネート、硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム及び過塩素酸アンモニウム、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができ、鉄(III)p−トルエンスルホネートが好ましい。
【0017】
[0017]本発明の電解質材料配合物の中の重合性化合物は、一般に、モノマー、オリゴマー、又はそれらの組合せであり、その重合性化合物の分子量は、好ましくは、40〜1,000,000の範囲内である。
【0018】
[0018]本発明の電解質材料配合物において、成分(a1)100重量部を基準にして、成分(b1)の量は1〜10000重量部であり、成分(c1)の量は0.1〜10000重量部である。好ましくは、成分(a1)100重量部を基準にして、成分(b1)の量は10〜2000重量部であり、成分(c1)の量は1〜3000重量部である。
【0019】
[0019]本発明の電解質材料配合物において使用される重合性化合物は、エポキシ基含有重合性化合物、ビニル含有不飽和重合性化合物、アクリレート含有不飽和重合性化合物、又はそれらの混合物であることができ、好ましくは、重合性化合物は、
【化1】


(式中、nは3以上の整数であり、mは2以上の整数であり、Gは有機基、無機基、又はそれらの混合体である)
からなる群から選択される。
【0020】
[0020]本発明の実施形態によれば、重合性化合物は、
【化2】


からなる群から選択される。
【0021】
[0021]本発明の電解質材料配合物は、硬化剤を任意選択で含むことができる。例えば、エポキシ基含有重合性化合物が使用される場合、硬化剤が添加され、架橋及び硬化すると同時に、三次元のネットワーク構造が形成される。本発明において有用な硬化剤は、当技術分野において公知であり、例えば、
【化3】


等の、アミン又は酸無水物であることができる。
【0022】
[0022]本発明によれば、硬化剤は、硬化性成分に対する重量比が0〜2、好ましくは0〜1.5である量で使用される。
【0023】
[0023]硬化反応を加速するために、本発明の電解質材料配合物は、触媒をさらに含むことができる。本発明において有用な触媒は、当技術分野において公知であり、例えば、
【化4】


等の、第三級アミン、アゾ化合物又はベンゾイル化合物であることができる。
【0024】
[0024]本発明によれば、触媒は、硬化性成分に対する重量比が0.001〜1、好ましくは0.005〜0.5、最も好ましくは0.01〜0.25である量で使用される。
【0025】
[0025]本発明は、重合により電解質材料配合物から形成される電解質材料組成物も提供し、この電解質材料組成物は
(A)導電性化合物及び酸化剤から得られる重合単位から形成される第1のポリマーと、
(B)重合性化合物から得られる重合単位から形成される第2のポリマーと
を含む。
【0026】
[0026]従来の固体電解質において使用される導電性ポリマーは、導電性ポリマーの完全な構造を形成することができず、安定性が乏しく、プロセスの収率が低い。この理由は、形成された粉末様構造がアノード箔の表面又は細孔の上の付着しにくく、その表面又は細孔から脱落する可能性が高いためである。本発明の電解質材料組成物は、第1のポリマー及び第2のポリマーを含有し、第1のポリマー及び第2のポリマーは、互いと反応しない。第1のポリマーは導電性ポリマーとして使用され、高い耐熱性、高い導電性、高い電荷移動速度、非毒性であること、長い有効寿命、及びコンデンサの中で適用されているときにコンデンサの破裂が生じないという特徴を示す。第2のポリマーは、重合性材料として使用され、重合中に分子の架橋度を増加させるために、及び第2のポリマーが硬化することを可能にするために、第2のポリマーは、重合性化合物及び硬化剤から得られる重合単位から、任意選択で形成される。第2のポリマーのネットワーク構造は薄膜を形成して、第1のポリマーの安定性を改善し得るので、第1のポリマーは、脱落することなくコンデンサ素子上に付着でき、高電圧(電圧16V以上)の作動環境、好ましくは電圧50V以上の作動環境中で適用可能である。そのうえ、コンデンサの長期有効性試験から、キャパシタンスの変化が非常に小さいことを見出すことができる。したがって、本発明の電解質材料組成物から製造される固体コンデンサは、長期有効性を有する。
【0027】
[0027]本発明の電解質材料配合物は、コンデンサの中で重合され、そのプロセスは、その場(in situ)反応に関係する。その場プロセスは、一溶液法、二溶液法及び多溶液法に分類されることがある。例えば、本発明の電解質材料配合物は、単一の溶液に配合される、又は第1の溶液及び第2の溶液を含む2つの溶液に配合される。第1の溶液は、電解質材料配合物の(a1)導電性化合物及び(c1)重合性化合物を含有し、第2の溶液は、電解質材料配合物の(b1)酸化剤を含有する。或いは、本発明の電解質材料配合物は、第1の溶液、第2の溶液及び第3の溶液を含む多数の溶液に配合される。第1の溶液は、電解質材料配合物の(a1)導電性化合物を含有し、第2の溶液は、電解質材料配合物の(b1)酸化剤を含有し、第3の溶液は、電解質材料配合物の(c1)重合性化合物を含有する。一溶液法、二溶液法又は多溶液法に関係なく、硬化剤及び触媒は、任意選択で添加されてもよく、ここで、硬化剤及び触媒は、上記に定義した通りである。溶液の粘度を調節するために、本発明の電解質材料配合物は、溶媒をさらに含有することができる。本発明において有用な溶媒は、原則として特に限定されず、例えば、水、アルコール、ベンゼン、及びそれらの組合せからなる群から選択することができ、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、水、及びそれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0028】
[0028]本発明は、アノードと、アノード上に形成された誘電体層と、カソードと、誘電体層及びカソードの間に位置する、上述の電解質材料組成物を含む固体電解質とを備える固体コンデンサをさらに提供する。固体コンデンサは、アルミニウム固体コンデンサ、タンタル固体コンデンサ又はニオブ固体コンデンサであることができる。具体的には、固体コンデンサの主要部分として、アノードは、アノード箔としてのエッチングされた導電性金属箔を用いて、アノード箔の表面上にアノード酸化加工を行うこと、及びアノード箔からワイヤを導入することにより形成され、カソードは、カソード箔としての金属箔を用いて、カソード箔からワイヤを導入することにより形成される。誘電体層は、酸化物等から形成され、アノード箔の表面上に形成され、アノード箔及びカソード箔の間に位置する。アノード箔及びカソード箔は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、チタンめっきアルミニウム又は炭素めっきアルミニウムから形成される。アノード箔及びカソード箔を巻いて円筒にし、溶液の形態の電解質材料配合物中に浸漬し、硬化処理(例えば、熱重合)後に、固体電解質が固体コンデンサの誘電体層及びカソード箔の間に形成される。
【0029】
[0029]固体電解質がコンデンサ素子の中で形成された後に、固体コンデンサは、従来の技術及び材料を使用することにより形成されてもよい。例えば、コンデンサ素子は、底がある箱の中に設置されてもよく、ワイヤを露出させるための開口をもつ密封要素は、箱の上部に配置されてもよく、固体コンデンサは、密封された後に形成されてもよい。本発明の電解質材料配合物から製造される固体コンデンサは、容易な作製、低いコスト、良好なプロセス安定性、高い耐電圧性(50V以上)、高いキャパシタンス、及び低いインピーダンス(20mΩ以下)という利点を示す。
【0030】
[0030]以下に、本発明の実施形態による電解質材料組成物及び固体コンデンサを製造する方法を、図1を参照して説明する。
【0031】
[0031]図1は、本発明の実施形態によるコンデンサ素子を示す。図1に示される通りに、アノード箔1と、カソード箔3と、アノード箔1及びカソード箔3の間に挿入されたスペーサ部品5a及び5bとは、一緒に巻かれてコンデンサ素子9を形成する。ワイヤ7a及び7bは、カソード箔3及びアノード箔1を外部の回路に接続する端子としての役目をする。
【0032】
[0032]カソード箔及びアノード箔が両方ともワイヤ接続されていれば、カソード箔及びアノード箔に接続されたワイヤの数は、特に限定されない。カソード箔及びアノード箔の数は特に限定されず、例えば、カソード箔の数はアノード箔の数と同じであってもよく、又はカソード箔の数はアノード箔の数より多くてもよい。酸化物等から形成された誘電体層(図示しない)は、アノード箔の表面上に形成され、アノード箔及びカソード箔の間に位置する。アノード箔1と、カソード箔3と、スペーサ部品5a及び5bと、ワイヤ7a及び7bとは、公知の技術により公知の材料を使用することにより製造される。
【0033】
[0033]次に、コンデンサ要素は、溶液の形態の電解質材料配合物中に浸漬されるので、固体電解質は、固体コンデンサの誘電体層及びカソード箔の間に形成される。
【0034】
[0034]固体電解質を形成する方法は、まず、上述のように、電解質材料配合物を、単一の溶液、又は多数の溶液に配合することを含む。電解質材料配合物が単一の溶液に配合される場合、コンデンサ素子9は電解質材料配合物の溶液中に直接的に浸漬され、電解質材料配合物が上述のように2つの溶液に配合される場合、コンデンサ素子9は、第1の溶液中にまず浸漬され、次いで第2の溶液中に浸漬されてもよく、又はコンデンサ素子9は、第2の溶液中にまず浸漬され、次いで第1の溶液中に浸漬されてもよく、その後に、一定の時間にわたって、例えば1〜12時間、好ましくは1〜5時間にわたって、25℃〜260℃の温度の環境中に留め、その時間中に、導電性化合物が酸化剤とまず反応して、導電性ポリマーを形成する。好ましくは、温度は85℃〜160℃である。
【0035】
[0035]次に、重合性化合物に硬化処理(例えば、熱処理)をして重合性材料を形成し、任意選択で硬化剤若しくは触媒又はそれらの混合物が熱処理プロセス中に添加される。
【0036】
[0036]このようにして、導電性ポリマー及び重合性材料を含有する電解質材料組成物は、アノード箔の誘電体層とカソード箔との間に形成される。
【0037】
[0037]導電性ポリマー及び重合性材料を含有する電解質材料組成物は、熱処理により本発明の電解質材料配合物から形成される。重合性材料は、導電性ポリマーの構造の安定性を向上させ、アノードがリーク電流により貫かれることを防止することができ、それにより、固体コンデンサの短絡が回避される。したがって、重合性材料は、固体コンデンサの耐電圧性を改善することができ、導電性ポリマーの付着特性を改善することができるので、導電性ポリマーの完全な構造は、金属箔の電極の表面又は細孔の上に形成することができ、高電圧に耐えることができ、高いキャパシタンスを有する。
【0038】
[0038]本発明を、以下の実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0039】
実施例1
[0039]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有エタノール溶液100g、重合性化合物:
【化5】


20g、硬化剤:
【化6】


20g、及び触媒:
【化7】


2gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0040】
[0040]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0041】
[0041]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0042】
実施例2
[0042]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、重合性化合物:
【化8】


15g、硬化剤:
【化9】


20g、及び触媒:
【化10】


2gを混合することにより形成した第1の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、鉄(III)p−トルエンスルホネート45%含有n−ブタノール溶液100gの第2の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0043】
[0043]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0044】
[0044]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0045】
実施例3
[0045]図1に示すように、コンデンサ素子9を、鉄(III)p−トルエンスルホネート50%含有tert−ブタノール溶液100gの第2の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、重合性化合物:
【化11】


15g、硬化剤:
【化12】


15g、及び触媒:
【化13】


2gを混合することにより形成した第1の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0046】
[0046]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0047】
[0047]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0048】
実施例4
[0048]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30gを含有する第1の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、鉄(III)p−トルエンスルホネート50%含有tert−ブタノール溶液100g、重合性化合物:
【化14】


20g、硬化剤:
【化15】


20g、及び触媒:
【化16】


2gを混合することにより形成した第2の溶液中に5分間浸漬した。導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0049】
[0049]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0050】
[0050]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0051】
実施例5
[0051]図1に示すように、コンデンサ素子9を、鉄(III)p−トルエンスルホネート55%含有エタノール溶液100g、重合性化合物:
【化17】


20g、硬化剤:
【化18】


20g、及び触媒:
【化19】


2gを混合することにより形成した第2の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、3,4−エチレンジオキシチオフェン30gを含有する第1の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0052】
[0052]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0053】
[0053]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0054】
実施例6
[0054]図1に示すように、コンデンサ素子9を、ピロール40g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有プロパノール溶液120g、重合性化合物:
【化20】


50g、硬化剤:
【化21】


50g、及び触媒:
【化22】


5gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0055】
[0055]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0056】
[0056]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0057】
実施例7
[0057]図1に示すように、コンデンサ素子9を、アニリン40g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有エタノール溶液120g、重合性化合物:
【化23】


40g、硬化剤:
【化24】


40g、及び触媒:
【化25】


5gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料のポリマーの混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0058】
[0058]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0059】
[0059]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0060】
実施例8
[0060]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液100g、重合性化合物:
【化26】


20g、及び硬化剤:
【化27】


20gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0061】
[0061]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0062】
[0062]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0063】
実施例9
[0063]図1に示すように、コンデンサ素子9を、エタノール95%希釈3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、重合性化合物:
【化28】


15g、硬化剤:
【化29】


15g、及び触媒:
【化30】


2gを混合することにより形成した第1の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、鉄(III)p−トルエンスルホネート45%含有n−ブタノール溶液100gの第2の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0064】
[0064]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0065】
[0065]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0066】
実施例10
[0066]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液150g、及び重合性化合物:
【化31】


20gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0067】
[0067]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0068】
[0068]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0069】
実施例11
[0069]重合性化合物が
【化32】


であること以外は、実施例1の固体コンデンサを調製する方法と実質的に同じ方法により、実施例11の固体コンデンサを調製した。電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0070】
実施例12
[0070]重合性化合物が
【化33】


であること以外は、実施例1の固体コンデンサを調製する方法と実質的に同じ方法により、実施例12の固体コンデンサを調製した。電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0071】
実施例13
[0071]重合性化合物が
【化34】


であること以外は、実施例1の固体コンデンサを調製する方法と実質的に同じ方法により、実施例13の固体コンデンサを調製した。電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0072】
実施例14
[0072]重合性化合物が
【化35】


であること以外は、実施例1の固体コンデンサを調製する方法と実質的に同じ方法により、実施例14の固体コンデンサを調製した。電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0073】
実施例15
[0073]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液100g、重合性化合物:
【化36】


30g、及び触媒:
【化37】


3gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間まず浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0074】
[0074]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0075】
[0075]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0076】
実施例16
[0076]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、重合性化合物:
【化38】


30g、及び触媒:
【化39】


3gを混合することにより形成した第1の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、鉄(III)p−トルエンスルホネート50%含有tert−ブタノール溶液100gの第2の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0077】
[0077]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0078】
[0078]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0079】
実施例17
[0079]図1に示すように、コンデンサ素子9を、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液100gの第2の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、及び重合性化合物:
【化40】


30gを混合することにより形成した第1の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0080】
[0080]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0081】
[0081]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0082】
実施例18
[0082]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30gを含有する第1の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液100g、重合性化合物:
【化41】


25g、及び触媒:
【化42】


3gを混合することにより形成した第2の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0083】
[0083]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0084】
[0084]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0085】
実施例19
[0085]図1に示すように、コンデンサ素子9を、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液100g、及び重合性化合物:
【化43】


30gを混合することにより形成した第2の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、3,4−エチレンジオキシチオフェン30gを含有する第1の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0086】
[0086]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0087】
[0087]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0088】
実施例20
[0088]図1に示すように、コンデンサ素子9を、ピロール50g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液150g、重合性化合物:
【化44】


30g、及び触媒:
【化45】


3gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0089】
[0089]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0090】
[0090]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0091】
実施例21
[0091]図1に示すように、コンデンサ素子9を、アニリン50g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液150g、重合性化合物:
【化46】


30g、及び触媒:
【化47】


3gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0092】
[0092]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0093】
[0093]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0094】
実施例22
[0094]図1に示すように、コンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液100g、及び重合性化合物:
【化48】


30gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0095】
[0095]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0096】
[0096]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0097】
実施例23
[0097]図1に示すように、コンデンサ素子9を、エタノール95%希釈3,4−エチレンジオキシチオフェン30g、重合性化合物:
【化49】


15g、及び触媒:
【化50】


2gを混合することにより形成した第1の溶液中に5分間まず浸漬し、次いで、鉄(III)p−トルエンスルホネート45%含有n−ブタノール溶液100gの第2の溶液中に5分間浸漬した。次いで、導電性ポリマー及び重合性材料の混合物を含有する固体電解質を形成するために、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させた。
【0098】
[0098]固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。
【0099】
[0099]上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0100】
実施例24
[00100]重合性化合物が
【化51】


であること以外は、実施例15の固体コンデンサを調製する方法と実質的に同じ方法により、実施例24の固体コンデンサを調製した。電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0101】
実施例25
[00101]重合性化合物が、
【化52】


5g、
【化53】


15g、及び
【化54】


10gから構成されること以外は、実施例15の固体コンデンサを調製する方法と実質的に同じ方法により、実施例25の固体コンデンサを調製した。電気的なデータを、以下の表1に示す。
【0102】
比較例1
[00102]図1に示すコンデンサ素子9を、3,4−エチレンジオキシチオフェン10g、及び鉄(III)p−トルエンスルホネート40%含有tert−ブタノール溶液100gを混合することにより形成した電解質材料配合物中に5分間浸漬した。次いで、コンデンサ素子を、電解質材料配合物から取り、25℃〜260℃の範囲内の温度で熱重合させて、固体電解質を形成した。固体電解質を有するコンデンサ素子を、底がある箱の中に配置し、その箱を、弾性のある物質により形成された密封要素で密封し、ワイヤを露出して、固体コンデンサを形成した。上記のプロセスにより製造した固体コンデンサについての電気的なデータを、以下の表1に示す。
【表1】


表1における電気的な試験についての条件は以下の通りである。
【表2】


製造した固体コンデンサの有効寿命の試験を、以下の表2に示す。
【表3】


表2における有効寿命の試験についての条件は、以下の通りである。
【0103】
[00103]一般に、固体コンデンサの有効寿命についての条件は、105℃で、2000時間置いた後に、固体コンデンサを試験して、特性が仕様をなお満たすかどうかを判定することを含む。
【0104】
[00104]表1及び表2から、本発明による固体電解質は固体コンデンサに適用され、硬化性ポリマーの存在に起因して、キャパシタンス及び耐電圧性が改善され得、有効寿命が延長され得ることが分かる。
【0105】
[00105]導電性ポリマーは硬化性ポリマーと混合されるので、導電性ポリマーを電極上に付着でき、導電性ポリマーの安定性が改善される、すなわち、重合により得られるポリマーは良好な物理的特性を有する。結果として、プロセスの収率は高く、有効寿命は長く、作動電圧は高い。したがって、ポリマーは、高電圧のコンデンサが必要とされる産業、例えば、LEDランプのための駆動電源、電子的な省エネルギーランプ、及び整流器、自動車用電子機器、コンピュータのマザーボード、周波数変換器、ネットワーク通信、医療機器のための電源、及び他のハイエンド分野において広く使用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 アノード箔
3 カソード箔
5a スペーサ部品
5b スペーサ部品
7a ワイヤ
7b ワイヤ
9 コンデンサ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)導電性化合物、
(b1)酸化剤、及び
(c1)重合性化合物
を含む電解質材料配合物。
【請求項2】
前記導電性化合物が、ピロール、チオフェン、アニリン、フェニレンスルフィド、及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項3】
前記酸化剤が、アルカリ金属過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、有機酸の第二鉄塩、及び有機基をもつ無機酸からなる群から選択される、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項4】
前記重合性化合物が、エポキシ基含有重合性化合物、ビニル基含有不飽和重合性化合物、アクリレート含有不飽和重合性化合物、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項5】
前記重合性化合物が、
【化1】


(式中、nは3以上の整数であり、mは2以上の整数であり、Gは有機基、無機基、又はそれらの混合体である)
からなる群から選択される、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項6】
前記重合性化合物が、
【化2】


からなる群から選択される、請求項5に記載の電解質材料配合物。
【請求項7】
前記重合性化合物の分子量が40〜1,000,000の範囲内である、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項8】
成分(a1)100重量部を基準にして、成分(b1)の量が1〜10000重量部であり、成分(c1)の量が0.1〜10000重量部である、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項9】
成分(a1)100重量部を基準にして、成分(b1)の量が10〜2000重量部であり、成分(c1)の量が1〜3000重量部である、請求項8に記載の電解質材料配合物。
【請求項10】
硬化剤をさらに含み、該硬化剤がアミン又は酸無水物である、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項11】
前記硬化剤が、
【化3】


である、請求項10に記載の電解質材料配合物。
【請求項12】
請求項1に記載の電解質材料配合物から重合によって形成される電解質材料組成物。
【請求項13】
(A)前記導電性化合物及び前記酸化剤から得られる重合単位から形成される第1のポリマーと、
(B)前記重合性化合物から得られる重合単位から形成される第2のポリマーと
を含む、請求項12に記載の電解質材料組成物。
【請求項14】
前記第2のポリマーが、前記重合性化合物及び硬化剤から得られる重合単位から形成される、請求項13に記載の電解質材料組成物。
【請求項15】
アノードと、
アノード上に形成された誘電体層と、
カソードと、
誘電体層及びカソードの間に位置する、請求項12に記載の電解質材料組成物を含む固体電解質と
を備える固体コンデンサ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−42118(P2013−42118A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−151847(P2012−151847)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【出願人】(500202322)長興化學工業股▲ふん▼有限公司 (30)
【出願人】(512177322)至美電器股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】