説明

電解質燃料電池を使用して燃焼性を改善するシステム及び方法

本発明によれば、燃焼性を高めるシステム及び方法であって、電解槽と水素酸素燃料噴射システムとを備え、このシステムはガスを生成する手段と、ガス圧力を維持する手段と、燃焼反応にガスを吸引して噴射する手段とを備えるシステム及び方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は燃焼機関の分野に関する。具体的には、本発明は、電解質燃料電池を使用して燃焼性を改善するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に、内燃機関の出力及び効率を上げるために水素燃料噴射システムを利用することが試みられているが、従来の燃料噴射方法が、経済的に不利であり、効果がないことがわかっており、環境利益がほとんどない。
【0003】
基本的な電気分解には、電解質水溶液に浸漬された2つの電極、アノード及びカソードが関わっている。電解質は、直流電流の電子が水中を流れる媒質を与えることから、理論的には、電気化学反応のなかで触媒として作用する。しかし、実際には、ほとんどの電解質が電気分解に用いる真の触媒ではない。触媒の定義は、反応物又は生成物を変えずに、化学反応速度を増大させる化学物質である。
【0004】
水素を生成する燃料電池の最もよくみられる電解質は、一般的な塩基である、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)である。これらの電解質はいずれも強塩基であり、それは、水に溶解するとそのイオン結合が解離することを意味する。電解によって、水中の水素原子と酸素原子との間の結合を分解する。酸素分子が水分子の水素から分離した時点で、酸素分子のいくつかが、陽性電荷を帯びたイオン(金属)と部分的に結合する。酸素は、このようなイオンと反応すると、結局は多くの水分子の生成をもたらす過程を経ることになるが、ガス状態で生成される酸素の量が限られる。理論的には、理想的な触媒を用いれば、水素ガスが各2単位生成されるのに対して、酸素ガスが1単位生成されるはずである。電解質(NaOH、KOHなど)として塩基を使用することによって、電解槽は酸素に対する水素の比を2:1ではなく、3:1〜4:1に増大する。
【0005】
燃焼反応では、水素は酸素より爆発性が高いことが知られているが、内燃システムでも外燃システムでも、水素が多いほど良好であるのは当然のことであると誤解されている。本発明は、水素ガスと酸素ガスを2:1の比で利用し、あらゆる種類の燃焼システムの効率を改善する。燃焼においては、水素にはきわめて独特な属性があり、最も重要なのは、燃焼範囲が大きいことである。標準温度と標準気圧(1気圧、273.15ケルビン)では、水素と空気の混合ガスに水素が4〜75パーセント存在すれば、この混合ガスは燃焼する。水素ガスと酸素ガスが一緒に混合されると、燃焼範囲は3〜99%近くにさらに大きくなる。一般に、水素を生成する電解方法では、ガス量が不十分であると、燃焼に何らかの差が生じると言われていることから、噴射システムが精査される。このようなことは、わずか3%の水素ガスが大気ガスに混合している場合でさえ燃焼を促進するという点から、上で検討したように混合ガス中の水素ガスと酸素ガスの特性によって正しくないことがわかる。
【0006】
生成されたガスの燃焼温度は、ガス状物質のエネルギー量を算出する効果的な方法となることがわかる。燃焼温度は、所定量のガスのエネルギー量を表す。純粋な水素の燃焼温度は2318℃である。酸素は、3000℃超の温度でわずかに高い。しかし、酸素に対する水素の比が2:1のガスは、約5000℃で燃焼し、各ガス単独で燃焼するよりエネルギー量がはるかに大きい。このようにエネルギー量が増大するのは、まさに、多量の酸素を水素に添加する効果によって燃焼過程を促進することによる。燃焼温度が5000℃の場合、あらゆる一般用途に対して高すぎるように思われるが、温度がこのようなレベルに達するのは、ガスが100%燃焼した場合のみである。
【0007】
酸素に対する水素の生成比をまさに2:1に確保するために、生成物にも反応物にも影響を及ぼさない真の触媒を使用する必要がある。このような目的には、最も容易に入手可能な電解質、塩化ナトリウム(NaCl)が適している。塩化ナトリウム(NaCl)、一般には食卓塩は、酸でもなく塩基でもない電解質であることから、酸素原子は、水素との結合から分離しても影響を受けない。
【0008】
水素酸素燃料噴射システムの採用によって生じる環境影響は、重要である。燃料噴射システムの設計概念は、所定の炭化水素をさらに完全燃焼させることである。たとえば、自動車では、ガソリンが炭化水素である。ガソリンが現在の内燃システムに用いられる場合、不完全燃焼のために特定量の炭化水素燃料が残留する。不完全燃焼となる主な理由が2つある。不完全燃焼の第一の原因は、燃料の燃焼時に全体的に熱が不足していることにある。特定の燃料、たとえばガソリンは、内燃機関の燃焼室で提供される温度よりも高い燃焼温度を必要とする。水素ガスと酸素ガスは燃焼温度がより高いため、ガソリンに対して燃焼室の温度を上昇させる。このため、ガソリンはさらに完全燃焼する。
【0009】
不完全燃焼の第二の原因は、燃焼室が酸素不足になることにある。燃料の化学組成は所定の原油源によって影響を受けるが、特定量のガソリンに対して、酸素の平均量を算出することができる。計算によれば、ガソリン1グラムに対して、酸素が7.0032×10−4グラム必要である。これは、標準温度と標準気圧では、酸素が15.6872ml必要であることを意味する。海水位では、大気ガスの20.95%が純酸素であると考えることができる。したがって、内燃機関が所定の負荷量1グラムを燃焼する場合、大気ガス74.88mlが必要となる。しかし、シリンダの燃焼室の空気が不十分であることから、この数字は得られないことが多い。この結果、燃料の不完全燃焼が起こる。
【0010】
環境について言えば、これは、一酸化炭素、六フッ化硫黄及び他のそのようなガスが環境に大量に放出されることを意味する。さらに、気化ガソリンが、燃焼過程に用いられずに環境に放出され、ガスの各タンクから大気中に所定の割合の気化ガソリンを放出することと同じになる。
【0011】
Mosherらに付与された米国特許第6,257,175号は、水と電解質から水素ガスと酸素ガスを発生させる電解装置を開示している。Mosherは、発生した水素ガスと酸素ガスを回収して隔離する試みによって、装置の安全性を改善しようとしている。しかし、Mosherの構想を実施しようすると、他の安全性に対する懸念が高まる。(Mosherによって提案されているように)エンジンシリンダーに純水素ガスを噴射すると、水素が早期点火されることがあり、あらゆる燃料が早期発火することによる「ノッキング」として自動車業界では知られる不安定で危険な状況を作り出す。さらに、Mosherの噴射方法では、自動車のインテークマニフォールドに追加の部品を独特な方法で設置する必要があり、本発明の目的に関して疑問が出てくる。
【0012】
気化燃料噴射システムは、数多くの利用において効率を改善するのに便益をもたらすことが知られている。しかし、さらに新しい技術によって、化石燃料の必要性が完全に取り除かれることが予測される。このようなものとして、エンジンをかなり改造する必要がある燃料噴射システムは、消費者にとって価値がないことがわかる。消費者にとって噴射システムを購入する費用がかかり過ぎると、次の代替エネルギーがさらに開発され、消費者が利用できるようになるまで、その技術は無視されるものと思われる。そこで、現在の燃料噴射システムが、信頼性を得るほど十分簡単なものとなり、エンジンを改造せずに着脱が容易なものとなり、一般の消費者にとって費用対効果が高いものとなることに重点が置かれる。Mosherらは、エンジンをかなり改造する必要があるシステムを提供しており、このような発明の重要な目的、つまり、消費者にとっての経済的節約という目的を失っている。本発明の手段は、容易に実装され、将来の代替エネルギーの道筋を示すように設計されている。
【0013】
Larocqueに付与された米国特許第6,311,648号は、内燃機関の効率を高める水素酸素/炭化水素燃料システムを開示している。Larocqueのシステムの重大な欠点のひとつは、電解室に水を補充するのを重力に頼って行う点である。坂道や荒れた道の状態をはじめとする現実世界で利用すれば、必要とされない水が電解室に入ってしまうと考えられる。このようなシステムでは、精確な量の電解質を維持することが重要であることから、Larocqueのシステムは、現実世界で利用するのにあまり適していない。さらに、Larocqueは、現実世界の運転者が直面し、システムの性能にかなりの影響を及ぼしうる天候状態の変化を考慮していない。
【0014】
Rossに付与された米国特許第7,143,722号明細書は、気体燃料添加剤を供給して燃焼機関で燃焼性を高める電解槽を開示している。しかし、Rossは、システムに必要な電解質として水酸化カリウム(KOH)を特定している。記載されるように、RossのシステムでKOHを使用すると、いくつかの設計上の欠陥や問題が起きる。例えば、KOHを使用すると、高濃度のKOHによる腐食性が高く、非効率的であり、電子抵抗が無駄に発生し、システムによって、きわめて強力な毒性を及ぼす物質であるKO副生成物が生成される。さらに、Rossによって記載される噴射システムは、適切な出力で動作できる前にかなり時間を必要とすると思われ、この状況は、ほとんどの自動車の運転者にとって非現実的なものである。
【0015】
他の公知の従来技術の設計によれば、ガスを生成する電気化学的燃料電池をもたらすが、さまざまな欠点がある。このような燃料電池では、アノードプレートとカソードプレートができるかぎり接近した位置にあることから、熱の状態で多くのエネルギーが損失し、不必要な電気量を取り戻すシステムが必要となる。このような旧式の設計では、今日の自動車の多くが、他のシステムを必要としうる高出力オルタネータと共に製造されないため、問題が起きる。
【0016】
そこで、燃焼性を高め、従来技術にみられるさまざまな短所と欠点を克服する電解槽の必要性が依然としてかなり高い。
【発明の概要】
【0017】
本発明によれば、燃焼性を高めるシステム及び方法であって、電解槽と水素酸素燃料噴射システムを備え、この噴射システムはガスを発生させる手段と、ガス圧力を維持する手段と、燃焼反応にガスを吸引して噴射する手段とを備える、システム及び方法を提供する。
【0018】
次の詳しい記載を参照し、添付の図面を結び付けて考慮すれば、本発明の他の利点がさらによく理解され、容易に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の筐体全体の外側の構造を示す図である。
【0020】
【図2】図1の筐体内の主な構成要素を示す図である。
【0021】
【図3】監視システム、オン/オフスイッチ及び主電源表示LEDを示す概略図である。
【0022】
【図4】プレートの構成に焦点を合わせた水素酸素生成装置の正面図である。
【0023】
【図5】水素酸素生成装置の側面図である。
【0024】
【図6】水素酸素生成装置の俯瞰図である。
【0025】
【図7】ガス圧平衡装置及び貯蔵装置を示す図である。
【0026】
【図8】主水源から水を必要とする2つの構成要素、圧力平衡装置及び生成装置への水流を示す概略図である。
【0027】
【図9A】外燃機関(external conmbustion setting)に利用される本発明のシステムを示す図である。
【0028】
【図9B】外燃機関の主導管にエアコンプレッサを組み入れる手段を示す図である。
【0029】
【図10】電圧とガス発生量との関係を示すグラフである。
【0030】
【図11】プレート間距離に対する水素ガス及び酸素ガスの生成量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、内燃機関を改善する、電解槽と水素酸素燃料噴射システムを備えるシステム及び方法を提供する。電気分解によって、水素ガス及び酸素ガスが、電気状態のエネルギー入力に正比例する量で生成される。好ましい実施形態では、自動車にみられるものなどの内燃機関であり、酸素ガスと水素ガスがエアインテークマニフォールドに移送され、そこで、通常空気と混合され、ガソリンに噴射される。水素酸素支援エンジン(hydorogen−oxygen aided engine)の主な用途は自動車であるが、本発明は、燃焼機関が求められるあらゆる構成で利用することができる。
【0032】
一般に、本発明は生成装置を備え、電解条件下で、水分子がその構成元素、水素と酸素に分解される。水素と酸素は、気体状態で生成装置の表面に上昇する。次に、これらのガスは、噴射前に、第2の主要構成要素、水素ガス及び酸素ガス用の圧力平衡装置及び一時貯蔵容器に移送される。水の貯蔵容器には、生成装置及び圧力平衡装置に必要な水が入っている。ガスは、所定の長さの導管を通って内燃機関又は外燃機関に噴射する位置まで移送される。後に記載するように、この噴射位置は、内燃システムを利用するか、外燃システムを利用するかによって変わる。
【0033】
図1は、本発明の主な筐体の外側の構造を示す。システム(1)の主な筐体は、生成装置、圧力平衡装置、水貯蔵容器及び、システムを理想的な電気的動作条件下に確保する監視システムを収容する。図1に示すように、好ましい実施形態では、システムは、大きさが10〜12立方インチの立方体である。システムの大きさの一例を明確に記載したが、本発明は、電池のさまざまな構成部品を比例拡大することができ、提案された大きさに限定されず、制限されない。
【0034】
電池の生成装置は定常電流を必要とする。好ましい実施形態では、水分子の分解を発生させるために一定流量の電子が必要であることから、電気は、交流電流ではなく直流電流の状態である。好適な実施形態では、この電源は、自動車に容易に利用できる電気システムによって最も簡単に備えられる。この電気は理想的には12ボルトであるが、標準状態下では、11.6〜13.8ボルトであってよい。この電圧差によって、噴射システムの動作に大きな差は生じないが、電圧が高くなればなるほど、より多量のガスが生成されるようになる。
【0035】
電圧とガス発生量の関係は、指数方程式として示すことができ、通常、図10に示すように、次の方程式で得られる。ガス発生量=F(v)=−0.003935v2+0.2858196x+1.90996
【0036】
図10に示すように、回路全体の電圧(v)を測定することによって、電解槽内の水素ガスと酸素ガスの生成量は予測される。この関数は、2〜32Vの電圧に適用可能である。
【0037】
さらに、図10は、電圧が高くなると、ガス発生量が増大することを示す。また、電圧が30Vを超えると、グラフの傾き(ガス発生量の上昇率を示す)は、大幅に減少する。これは、まさに電圧増幅手段が利用されていないことによる。要するに、電圧が高くなると、電解槽内の水素ガスと酸素ガスの量が多くなるが、12±3Vであれば、システムの全操作手段に大きな影響を及ぼさない。
【0038】
自動車の従来の電気システムを利用すれば、簡単であり、効果があるが、別の実施形態では、システムは、直流電流を利用するように構成される。本発明のシステムを大幅に修正せずに、太陽電池アレイを用いたり、回生ブレーキを切ったり(isolated)するなどの方法や、当業者に知られているように、リアアクスルを取り付けた誘導タービンなどの反転ソレノイド法から電気入力を得ることができる。
【0039】
システムの電力消費は、ほとんどの想像しうる運転条件下では一定であるが、極限環境下では、電気監視システム(4)は、自動車の電気システムを保護する手段を備え、高水準の安全性がガス生成装置に対して確実に維持される(図3に示す)。このシステムは電流計(5)及び電圧電流計(6)から成る。好ましい実施形態では、監視システムは、3Vの外部電源によって駆動される。デジタル読み出し計測装置を動作させる回路は、読み出しを妨げないように電池の主回路から分離した状態にしておく。3Vシステムは、2つの単3電池(38)を使用して動作するように設計され、他の適切な3V電源でも十分である。
【0040】
電圧電流計は、デジタル読み出し型のものが好ましく、4桁LED表示から成るのが理想的である。0〜20Vの示度で精確に表示する直流電圧電流計を備える必要があり、ほかに外部主電源が利用される場合は、示度を高くする必要がある。
【0041】
電流計も、デジタル読み出し型のものが好ましく、4桁LED表示から成るのが理想的である。0〜20Aの示度で精確に表示する直流電流計を備える必要がある。
【0042】
システムは、マスター電源スイッチを備え、このスイッチは、使用者が容易利用できる2回路のロッカースイッチが好ましい。スイッチは常にオンになっているように設計されているが、エンジンが動作中の場合にのみ電力が供給される。このマスター電源スイッチは、非常用オンオフトグルスイッチとして使用されるものである。
【0043】
アンペア数は、監視することが重要となる主な因子である。アンペアが10Aを超える場合、図3に記載するように、回路を過負荷から保護する主な機能が2つある。まず、理想的な安全機構は、遅延ヒューズ(7、8)である。ヒューズは、10Aで90秒遅れて切れるように設計される。従って、システムが正常な電力消費(10A)に復帰すれば、システムは正常動作を継続する。さらに、設計どおりに遅延ヒューズが動作しない場合、ブザー(40)が作動する。ブザーは、使用者に聞こえるように十分な音量のものである。他の種類のブザーでも十分であるが、5秒間隔の高音のブザーを必要とするのが好ましい。そこで、使用者は、オンオフトグル型のロッカースイッチを手動で使用し、システムへの電力の供給を止めるようにする。
【0044】
本発明の監視システムは、自動化を念頭に設計され、システムの故障が起きても、使用者による操作を必要としないものの、手動制御機能を備えることの便益も加わっている。
【0045】
図2に示すように、本発明の主な構成要素は、水素ガスと酸素ガスを生成する装置(14)である。装置(14)は、電池全体の大きさに正比例した所定量の電解液を含む。図4は、生成装置の側面図を示す。好ましい実施形態では、この装置は、電解液に浸漬した8つの電極(22)から成る直角プリズムである。好ましい実施形態では、電極は特殊ステンレス鋼製である。
【0046】
好ましい実施形態では、電極間の間隔を正確にとることは、電池の全体効率にとってきわめて重要である。いくつかの要因があり、生成装置内の電極間の間隔に影響を及ぼす。
【0047】
電極間の距離が短くなると、アンペア数が増大する。
【0048】
電極間の距離が短くなると、連立一次方程式で示すように、多くの熱が水蒸気の状態で放出されるようになる。
【0049】
電極間の距離が短くなると、水素と酸素の生成量が増加するが、この増加は二次方程式で示され、その関係を図11に示す。
【0050】
上記の観点から、最大量のガスを生成することが重要であり、電極の間隔はきわめて重要であるが、アンペア数が大きくなりすぎないようにし、過剰な熱を発することなく実施する必要がある。
【0051】
図11は、プレート間距離に対する水素ガス及び酸素ガスの生成量を示す。X軸は間隔を表し、各正の整数は正確な距離に対応する。Y軸は、75秒間隔で生成されるミリリットル単位のガスの量である。使用される電極は、316ステンレス鋼で構成した。電解質は、0.2モルの塩化ナトリウム溶液であった。
【0052】
次に示すデータ(表1)は、電極相互の間隔を実験に基づいて説明するものである。距離が1インチの場合、得られる因子は最大効率に達する。1インチであれば、多量の水素ガスと酸素ガスが生成されるが、アンペア数は1アンペア未満を保ち、熱(表に示さず)は、水蒸気によって水の量が減少しないほど十分に低い状態を保つ。
【表1】

【0053】
図4は、生成装置の側面図であり、電極の1インチの間隔が明確に示されている。好ましい実施形態では、筐体(41)は、高耐熱性の材料から作製され、アクリル又はポリ塩化ビニルを成形するのが好ましいが、同じような特徴の他の材料を使用してもよい。図4から、電極取り付けシステム(20、26)が電池の底表面からはっきりと見て取れる。これにより、電極は電池の底部から立てられており、動作中に傾いた場合に避けることができない電解液の移動や他の状況が考慮されている。
【0054】
電極は電池の底部から立てられ、水供給口から水を電池に入れる場合に、電解液と水の均等な配分が可能である。各側壁に沿って、筐体が組み立てられる細長い材料(41)を設置している。帯板(20)は、装置の長さ方向に延伸し、電極(22)がずれないように側面から十分な長さで突出している。底部帯板(20)は、電極が垂直移動しないようにし、その同じ考え方によって、装置内(26)では垂直移動しない。溝部(26)は、側面から突出してもよいし、ネガティブスペースであってよく、特定の構成要素の設計による。いずれの場合も、溝部(26)は、電極(22)の厚さに等しい距離だけ離す必要がある。図5は、この配置の側面図を示す。これは、底部帯板(20)と垂直方向に設置される溝部(26)の組み合わせであり、理想とは言えない条件下でさえ電極が移動しないようにするものである。
【0055】
図6は、本発明に組み込まれる電極(22)の詳細な側面部を表す。電極を垂直に含む帯板材(20)を側面図から示す。電極は、その先端にノッチ(25)を備え、ノッチにはパンチ穴が(24)があり、電極などの間で電荷を電気的に組み合わせる方法が可能である。好ましい実施形態では、穴(24)は、直径0.25インチとなるように設計され、ステンレス鋼(44、45)のロッドや同じような伝導性の金属によって、同じような電荷の他の電極に電子を流す。電荷毎に1つのロッドが存在し、これにより、2つの別個の燃料コネクタが存在する。このロッドは、外部電源からの電気を水素酸素生成装置に導入する手段である。
【0056】
ここで図2に戻ると、本発明は、ワイヤ(10、11)を備え、生成装置(14)に電流を流す。好ましい実施形態では、ワイヤ(10、11)は絶縁された銅配線から成る(12ゲージワイヤが好ましいが、これより細いゲージワイヤでも十分である)。次に、ワイヤは、電流がコネクションロッド(44、45)に流れる電池の外部に接続する。次に、上に記載するように、外部筐体の内側であるが、生成装置全体の外側で、ワイヤは、電気ロッド(44、45)に接続される。これらは、直径が燃料ロッドのそれ、つまり0.25インチと等しい標準型の電気端子によって接続されることになる。生成装置(14)は、その中で水素ガスと酸素ガスが水の分解反応から生成される構成要素である。上記するように、電極間の空間によって、装置を流れる電気量が制御され、これにより、システムは確実に安全動作する。装置は、電気によって起動すると、ガス状の水素と酸素を生成し始める。図4に表すように、気泡は電解液の表面に浮かび上がり、ガス移送管(16)に取り込まれる。この移送管は、導管(18)によって生成装置(14)から圧力平衡装置(15)ガスを移動させる。導管は、さまざまな大きさや直径のものであってよいが、導管に確実に取り付けて、この箇所からガス漏れしないようにする必要がある。好ましい実施形態では、導管(18)はビニルから成るが、ポリエチレン製の導管も十分であることがわかる。好ましい実施形態では、この場所の導管は、直径が3/8インチである。
【0057】
好ましい実施形態では、導管の断面積が広いと、ガスが圧力平衡装置に流れることができないことから、導管の直径はきわめて重要である。ガスが正しく移動するように、導管内は正圧にする必要がある。導管の断面積を広くすればするほど、圧力平衡装置(15)にガスを流し続けるために、生成装置からのガスを多くする必要がある。このため、システムのこの区間では、導管の内径は3/8インチであるのが好ましい。
【0058】
生成装置(14)から圧力平衡装置(15)までの導管(18)は、ガス移送管(16)で使用されるのと同じ接続で取り付けられる。図7は、ガス圧平衡装置及び貯蔵装置を示す。圧力平衡管(17)は、圧力平衡装置(15)側に配置されるのが好ましく、装置の上部から1/4のところにあるのが好ましい。装置の内側では、別の組の配管が導管(17)に接続される。この配管はポリ塩化ビニルなどの固体材料から構成される。導管(17)に取り付けた後の導管(29)は、90°回転し、圧力平衡装置の底部付近に配管される。
【0059】
圧力平衡装置の最も重要な態様は、そこに含める水(46)である。水源は、図8に示す貯水タンク(30)である。圧力平衡装置の底部から1/3のところまで水を含む。生成装置と異なり、この水は、ここでは電気化学反応が発生しないため、電解液を含まない。水の利用目的は、ガス移送管の端部から圧力平衡装置の先端に、ガス状の水素ガスと酸素ガスを上昇させることである。そこで、生成装置(14)で生成されたガスは、ガス移送管(29)を流れ、水中で泡立つ(47)。ガスは、水中で泡立つと、装置(55)の上部2/3の辺りで自由に浮かぶようになる。この領域(55)では、ガスが特定用途の燃焼室によって必要とされるまで滞留する。
【0060】
本発明のシステム及び方法は、内燃システム及び外燃システムに利用可能であることに注目する必要がある。次の記載は、最初に内燃システムに用いるシステムの構造及び動作を示し、次に、本発明の外燃システムに用いる場合について示す。
【0061】
上に記載するように、燃焼反応を起こして、エンジンのピストンを駆動するために、あらゆる内燃機関が、十分な量の空気を必要とする。このため、負圧(真空)にして外部から吸気し、特定量の酸素によって燃焼させようとするように、あらゆる内燃機関が設計されている。この過程の最終成果は、燃焼室の外部から内側に、空気を強く流すことである。このように真空にすることは、適量のガス状の水素と酸素が確実に燃焼室に噴射されるようにするために、本発明によって利用され。本発明は、酸素センサーを用いて適量の空気を確実に注入しながら、燃焼機関内にすでに存在している気流を利用する。エンジンを真空にすれば、噴射室内の水素と酸素が多くなり(爆発を起こす危険にさらすと思われる)すぎないようになる。エンジンは、必要とする量の空気のみを吸気する。
【0062】
エンジンが空気を必要とし、エアインテークマニフォールドを負圧にすると、圧力平衡装置から空気取入口自体への導管に吸引が起きる。その後、圧力平衡装置に吸気され、負圧にされる各ユニットに対して、装置は、配管(19)の先端へと続く放出管(21)を通して特定量の水素と酸素を放出し、図2に示すように、エアインテークマニフォールドに直接供給される。
【0063】
プロセスのこの時点では、水素と酸素はエンジンのガソリン燃焼性を高める。あらゆる燃焼反応の効率を制御する2つの主な因子は、燃焼反応の周囲の空気に存在する酸素の量と、燃焼温度である。本発明は、これらの因子をいずれも変更するものであり、これにより、効率を上げ、燃料の完全燃焼をさらに容易にする。
【0064】
燃焼室内のガスに添加する酸素の量は、燃焼効率の算出にきわめて重要である。海水位の大気ガスの標準組成は、酸素が20.95%である。基本的な化学量論計算から算出すると、これは、燃焼される燃料1グラムあたり大気ガスが少なくとも78.436ml燃焼室に入っているのが理想的であることを意味する。この数字は、時には達成可能であるが、どの体積の大気ガスでも、適量の酸素を含むという保証はない。このため、本発明は、添加剤として酸素を直接噴射し、化学反応式では、酸素が過剰の反応物質となるようにする。こうすることによって、所定の燃料の燃焼が酸素の不足によって抑制されることがないようにする。78.463mlのガスを必要とする通常空気を噴射する以外に、本発明のシステムを利用すれば、燃焼室に添加されるガス量を最小限必要とするのみであり、その量は、純酸素が噴射されるのであれば、わずか15.6mlである。こうすることによって、エンジンを小さくして、エンジン占有体積1立方センチメートル(CC)当りの出力トルク量を大きくすることができる。
【0065】
本発明が燃焼過程を促進する第2の方法は、燃焼室の熱を一時的に上げることである。時には、特定の燃料を完全燃焼するのに必要な熱に対して熱が低すぎる場合、過剰量の反応物質が生成される。たとえば、普通自動車で普通ガソリンが燃焼すると、所定量の二酸化炭素が生成される。このように二酸化炭素が存在すると、燃焼室では温度が低下しすぎることから、結局は、一酸化炭素ガスの生成を引き起こす。
【0066】
本発明は、添加剤として水素を供給し、低燃焼効率のこのような原因の解決法を提供する。水素ガスは、酸素と結合すると、燃焼温度がガソリンより高くなる。このため、スパークプラグが点火燃焼する場合の燃焼機関では、水素と酸素はガソリンと一緒に燃焼する。しかし、水素と酸素が燃焼すれば、温度が上昇する。こうすると、燃焼温度が高くなって燃焼室の温度が上昇し、これにより、内燃反応の効率が高くなる。
【0067】
外燃反応に関しては、燃焼性を高める特性は一定のままだが、噴射方法は大幅に異なる。自動車などの内燃機関と異なり、外燃室は、真空圧にはならない。燃焼場所は、より開放されており、空気を自然循環させることができる。このため、本発明のシステムを実施するためには、十分な量の水素ガスと酸素ガスが燃焼場所に確実に存在するように、別の圧力源を組み込む必要がある。
【0068】
図9Aは外燃システムに用いる噴射方法を表す。本体装置(1)は、システムの最も重要な態様を呈して存在している。ガスは、生成装置(14)で生成され、圧力平衡装置(15)に移動すると、負圧源又は真空源を必要とする。好ましい実施形態では、このような減圧源は小型エアコンプレッサ(50)である。エアコンプレッサは、導管(49)を通して燃焼場所(52)に所定量の大気ガスを押し出す。本体装置(1)が接続する導管と同じ配管が使用されると、真空圧となる。これにより、ガスは圧力平衡装置(15)から放出され、導管(49)を通って外燃室(54)に送気される。主導管(49)にエアコンプレッサ(50)を取り付ける手段は、図9Bに詳しく示す。エアコンプレッサ(55)からの気流は、角度をつけて気流管(56)に合流することを示している。これにより、圧力平衡装置(15)から十分な量のガスが確実に吸引される。
【0069】
外燃室(54)は、あらゆる外燃機関に利用する主要な構成要素を備える。燃焼場所(52)に所定の燃料を移送する燃料経路(51)が存在する。着火されると、燃焼場所(52)では一定の火炎を維持する。燃焼が開始すると、使用者は本発明を起動する。これにより、水素ガスと酸素ガスの生成を開始する。次に、エアコンプレッサ(50)は、燃焼場所(52)に必要な水素ガスと酸素ガスをすべて移送するのに必要とされる真空圧を作り出す。上に記載するように、適量の酸素を確保し、水素ガスの燃焼による燃焼熱を増大させることによって、燃焼を促進する。
【0070】
上に記載するように、本発明のシステムは、噴射システムのさまざまな構成部品への配水方法を含む。規定量の水を必要とする2つの装置は、生成装置(14)と圧力平衡装置(15)である。図8に示すように、好ましい実施形態では、水(30)の主タンクが1つ存在しており、着脱可能なキャップ(2)によって内部に到達可能である。キャップは、水漏れの可能性をなくすため、子供による誤使用を防止するものが好ましい。各装置に移送可能な水量を制御するために、導管(32、34)は、それぞれの装置の底部から特定の距離のところに挿入される。例えば、生成装置(14)では、圧力平衡装置より多くの量の水が必要である。これにより、導管(32)は、装置自体の底部から遠い距離のところに挿入される。主貯蔵タンク(30)から圧力平衡装置(15)に水を流す導管は、装置の底部から約1/3の距離にある。他の安全対策として、さまざま構成要素に給水する各導管に、バタフライ弁(31、33)が存在している。好ましい実施形態では、使用者には利用されにくいが、必要なメンテナンスや他の検査の場合に、バルブ(31、33)は水流量を精確に制御するのに必要な手段を備える。
【0071】
本発明は、説明に有利な方法で記載しているが、使用した専門用語は、限定よりむしろ説明的文言としての性質が意図されていることを理解すべきである。
【0072】
上記の教示内容を考慮して、本発明の多くの改変や変形が可能になることは明らかである。これにより、発明の範囲内では、本発明は、明確に記載したもの以外の実施も可能であることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼性を高めるシステムであって、ガスを発生させて生成する生成手段と、前記生成手段に作動可能に接続され、気体の圧力を発生させて維持する圧力平衡手段と、前記生成手段及び前記圧力平衡手段に作動可能に接続され、液体を格納して分配する格納手段と、システム全体に液体とガスを移送する導管手段と、システムが適切に作動するようにする監視手段と、燃焼反応にガスを吸引して噴射する負圧手段とを備える、前記システム。
【請求項2】
電流を得る手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電流は、直流電流である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電流は、既存の電気システムから得られる、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
マスター電源スイッチをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記生成手段は、電解液を入れる容器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電解液の量は、システムの大きさに比例する、請求項6に記載のシステム
【請求項8】
前記生成手段は、電解液中に浸漬した複数の電極をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電極は、ステンレス鋼である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記電極は、精確な方法で配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記電極は、1インチ間隔で空いている、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記電極は、立てた状態で配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記電極は、安定性を確保するために固定される、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記生成手段は、筐体をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記筐体は、耐熱材料で作製される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記生成手段は、電荷入力可能な穴をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記生成手段は、電子導電用の金属ロッドをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記生成手段は、電流を伝導するワイヤをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記生成手段は、ワイヤとロッドを接続する電気端子をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記圧力平衡手段は、液体とガスを入れる容器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記圧力平衡手段は、導管をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記導管は曲がっている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記格納手段は、液体を格納する貯蔵タンクを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記格納手段は、安全カバーをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記格納手段は、導管とバルブをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記格納手段は、生成手段及び圧力平衡手段に作動可能に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記導管手段はガスを移送する導管配管を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記導管は、導管内が確実に正圧となるように精確な直径で構成される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記監視手段は、電圧電流計と電流計とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記監視手段は、電源をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記監視手段は、測定値を示す表示手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
前記監視手段は、安全機構をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
前記安全機構は、遅延ヒューズを備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記安全機構は、警報機構をさらに備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記負圧手段は、内燃機関によって発生する吸気を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
前記負圧手段は、エアコンプレッサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項37】
前記エアコンプレッサは、圧力平衡手段及び外燃機関に作動可能に接続される、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
燃焼性を改善する方法であって、ガスを発生させて生成するステップと、発生したガスの圧力を発生させて維持するステップと、ガスを移送するステップと、燃焼反応に発生させたガスを吸引して噴射するステップとを含む方法。
【請求項39】
前記発生させて生成するステップは、電気分解を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記吸引して噴射するステップは、内燃機関によって発生した吸気を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記吸引して噴射するステップは、エアコンプレッサによって発生した吸気を含む、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−504707(P2012−504707A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530263(P2011−530263)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/059356
【国際公開番号】WO2010/040038
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511080591)
【Fターム(参考)】