説明

電話機用振込め詐欺防止装置

【課題】本発明は電話機に簡単にセットでき、電話での振込め詐欺を撃退することが可能なものとなる電話機用振込め詐欺防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】受話器の受信部側に装着するマイク1を備え、入力する音声が録音される音声録音機能部2と、録音された音声がアナログデータからデジタルデータに変換されるアナログ・デジタル変換器3と、音声から雑音や周波数歪を取除くと共に人の音声だけを取出す音声認識処理部4と、音声データを解析し、話している内容を文字データとして取出す文字データ処理部5と、話している文字データに、検索キーワードが含まれているか検索する検索機能部6と、検索した検索キーワードが所定数に達した時点で詐欺と判定する判定機能部7と、該判定機能部7が詐欺と判定した際に、音声合成で警告する警告手段8と、通話遮断手段9と、から構成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振込め詐欺の被害に遭う前にそれを撃退することが可能なものであり、特には電話機に取付け、且つ、音声認識技術を取入れた電話機用振込め詐欺防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、オレオレ詐欺,架空請求詐欺,融資保証金詐欺などの振込め詐欺が社会問題化されている。しかしながら、振込め詐欺については広く知れ渡っているが、まさか自分が被害に遭うとは、殆どの人が思っていないため、他人事と考えている傾向にあり、多数の被害件数が発生していると共に多額の被害額に及んでいるのが現状である。また最近の振込め詐欺の傾向として、複数人で巧みに仕込まれた悪質な手口になっているため、冷静に対処できにくくなっている。
【0003】
このため、電話での振込め詐欺に対処するものとして、特開2010−154483が提案されている。特開2010−154483は、回線網を介して通話する相手を特定することが可能な相手先識別番号が格納される記憶手段と、回線網への発信時に、発信先を示す発信先識別番号を相手先識別番号として記憶手段に格納し、回線網からの着信時に、記憶手段に格納された相手先識別番号と、回線網から通知された発信元識別番号とを比較し、一致した時に示す通話を許可する制御手段とを備えた迷惑電話防止装置である。この目的は、振込め詐欺やセールスの電話などの着信者が不快に感じる電話を防止することにあり、これは振込め詐欺やセールスの電話などが着信出来ないように規制したものである。
【0004】
尚、電話に普通に出ても振込め詐欺の被害に遭うことなく済ますことが可能な商品は従来にはなく、その商品開発が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−154483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は電話機に簡単にセットでき、電話での振込め詐欺に対処して振込め詐欺を撃退することが可能なものとなる電話機用振込め詐欺防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記要望に応えるために成されたものであり、つまり、受話器の受信部側に装着するマイクを備え、該マイクを介して入力する音声が録音される音声録音機能部と、録音された音声が所定時間単位でアナログデータからデジタルデータに変換されるアナログ・デジタル変換器と、デジタル化された音声から雑音や周波数歪を取除くと共に人の音声だけを取出す音声認識処理部と、該音声認識処理部の音声データを解析し、話している内容を文字データとして取出す文字データ処理部と、話している文字データに、予め入力した検索キーワードが含まれているか検索する検索機能部と、その検索機能部で検索した検索キーワードが、予め設定した所定数になるまで検索キーワードをカウントすると共に所定数に達した時点で詐欺と判定する判定機能部と、該判定機能部が詐欺と判定した際に、予め設定した音声合成で少なくとも警告する警告手段と、から少なくとも構成させる。また前記判定機能部が詐欺と判定した際に、警告手段を作動させると共に、通話状態を強制的に遮断する通話遮断手段を備えると良く、前記警告手段として、音声合成で発話して警告するスピーカと、警告表示を行うランプと、身体或いは電話機周辺に振動を加えるバイブレータと、前記スピーカやランプ及びバイブレータを制御する制御部と、から成されたものとしても良い。尚、本発明に於いて、「通話状態を強制的に遮断する」は、通話状態を保留にして一時的に切断する場合と、通話状態を即座に切断する場合の2通りがあるものとする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のように受話器(12)の受信部側に装着するマイク(1)を備え、該マイク(1)を介して入力する音声が録音される音声録音機能部(2)と、録音された音声が所定時間単位でアナログデータからデジタルデータに変換されるアナログ・デジタル変換器(3)と、デジタル化された音声から雑音や周波数歪を取除くと共に人の音声だけを取出す音声認識処理部(4)と、該音声認識処理部(4)の音声データを解析し、話している内容を文字データとして取出す文字データ処理部(5)と、話している文字データに、予め入力した検索キーワードが含まれているか検索する検索機能部(6)と、その検索機能部(6)で検索した検索キーワードが、予め設定した所定数になるまで検索キーワードをカウントすると共に所定数に達した時点で詐欺と判定する判定機能部(7)と、該判定機能部(7)が詐欺と判定した際に、予め設定した音声合成で少なくとも警告する警告手段(8)と、から少なくとも構成させたことにより、一般の電話機自体の構造を変更することなく簡単に取付けることが出来ると共に、電話の受話器(12)やその周囲に本発明品を設置することにより、電話での振込め詐欺に対処出来るものとなるため、振込め詐欺の被害を少なく、確実に撃退することが可能なものとなる。しかも、通話中、所定時間(例えば30秒)単位で詐欺か否かを判定するので、早目に判定が行え、詐欺と分かれば、長電話にならずにより平常心で対処出来るものとなる。
【0009】
請求項2のように判定機能部(7)が詐欺と判定した際に、前記警告手段(8)を作動させると共に、通話状態を強制的に遮断する通話遮断手段(9)を備えることにより、詐欺と判定された時点で、通話が保留又は切断されて通話が出来なくなるため、気が弱い人でも、確実に振込め詐欺の撃退が可能なものとなる。
【0010】
請求項3に示すように警告手段(8)として、音声合成で発話して警告するスピーカ(81)と、警告表示を行うランプ(82)と、身体或いは電話機周辺に振動を加えるバイブレータ(83)と、前記スピーカ(81)や前記ランプ(82)及び前記バイブレータ(83)を制御する制御部(84)と、から成すことにより、視覚,聴覚,体感の3つの機能によって振込め詐欺に対処出来るものとなるため、受信者だけでなく、振込め詐欺の相手にも異常事態を察知させることができ、受信者が電話を切る前に、相手が先に電話を切るケースも多くなると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明品の設置状態を示す説明図である。
【図3】本実施形態の被着部材を示す説明図である。
【図4】本実施形態の警告手段の要部構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図1、図2に基づいて説明する。(1)は受話器(12)の受信部側に装着するために備えたマイクであり、(2)はマイク(1)を介して入力する音声が録音される音声録音機能部であり、該音声録音機能部(2)には、アンプ,フィルタ,サンプリング制御,メモリなどが備えられた構成のものを用いると良い。(3)は録音された音声が所定時間単位でアナログデータからデジタルデータに変換されるアナログ・デジタル変換器であり、(4)はデジタル化された音声から雑音や周波数歪を取除くと共に人の音声だけを取出す音声認識処理部である。この音声認識処理部(4)は雑音や周波数歪を取除くだけでなく、音声発生区間を検出して音声データが作成される。(5)は音声認識処理部(4)の音声データを解析し、話している内容を文字データとして取出す文字データ処理部である。尚、前記アナログ・デジタル変換器(3)に於いて、所定時間単位で録音された音声を処理する指令は、後述する装置本体(10)の図示しない制御部によって行われる。
【0013】
(6)は話している文字データに、予め入力した検索キーワードが含まれているか検索する検索機能部であり、前記検索キーワードは、携帯電話,警察,弁護士,すぐにお金,示談金,あなたの口座,振込,還付金,市役所,職員,被害者・・・などであり、この検索キーワードは装置本体(10)の図示しない記憶部に予め登録しておく。(7)は検索機能部(6)で検索した検索キーワードが、予め設定した所定数になるまで検索キーワードをカウントすると共に所定数に達した時点で詐欺と判定する判定機能部である。予め設定した所定数としては、4つ以上に設定するのが好ましい。
【0014】
(8)は判定機能部(7)が詐欺と判定した際に、予め設定した音声合成で少なくとも警告する警告手段であり、該警告手段(8)は、音声合成で発話して警告するスピーカ(81)と、警告表示を行うランプ(82)と、身体或いは電話機周辺に振動を加えるバイブレータ(83)と、前記スピーカ(81)や前記ランプ(82)及び前記バイブレータ(83)を制御する制御部(84)と、から成されている(図4参照)。前記スピーカ(81)には内蔵型スピーカ(81a)と外部型スピーカ(81b)とがある。前記音声合成としては、例えば、「詐欺電話です。注意して下さい。」,「詐欺電話です。すぐ電話を切って。」,「すぐ電話を切って下さい。」などと予め装置本体(10)の図示しない記憶部に設定しておく。また前記バイブレータ(83)によって、身体に振動を加えるようにするために、バイブレータ(83)は受話器(12)に固定しておくと良い。
【0015】
(9)は判定機能部(7)が詐欺と判定した際に、前記警告手段(8)を作動させると共に、通話状態を強制的に遮断する通話遮断手段であり、該通話遮断手段(9)には、電話機の保留ボタン或いは受信部の通話切断ボタンやフックボタンなどを押すためのものであり、その構造の一例としては、電話機に固定するL字状の支持台(91)と、該支持台(91)の上部で且つ保留ボタンなどの上方に配置させる作動杆(92)と、その作動杆(92)を押出すソレノイドなどの駆動部材(93)と、から少なくとも成されているものを用いると良い。(10)は装置本体であり、(11)はマイク(1)と内蔵型スピーカ(81a)を取付けて受話器(12)の受信部側に被着させる被着部材であり、該被着部材(11)は弾性を有した合成樹脂で形成している(図3参照)。尚、本発明の装置は、図2に示すようにマイク(1) ,スピーカ(81),通話遮断手段(9)が線材で接続されているが、無線で接続するようにしても良い。
【0016】
次に本発明品を電話機にセットする場合について説明する。先ず始めに、図3に示すようなマイク(1)と内蔵型スピーカ(81a)を取付けた被着部材(11)を電話器(12)の受信部側に被着して固定する。又、必要に応じて外部型スピーカ(81b)を設定すると共に、電話機の保留ボタンが作動杆(92)で押圧出来るように通話遮断手段(9)を配置させる。またコンセントに装置本体(10)のプラグを差込んで電源を確保しておく。尚、通話遮断手段(9)は、保留ボタンを押すだけでなく、電話機の受信部側に有した切断ボタン或いはフックボタンなどを押す機構を設けたものとしても良い。又、前記通話遮断手段(9)は判定機能部(7)から作動指令を受取ると良いが、前記制御部(84)から作動指令を受取るようにしても良い。
【0017】
次に振込め詐欺の電話が掛かってきた場合の本発明の対応について説明する(図5参照)。先ず始めに、電話が掛かり、それに出ると、その通話内容はマイク(1)から音声入力として入力されると共にその内容は音声録音機能部(2)によって、自動的に録音が開始される。そして所定時間単位、例えば、30秒単位で音声データを文字データに変換する。この時の電話内容が、例えば、「警察署のものです。ご主人が電車で痴漢をして捕まっています。弁護士ですが、示談金を支払えば・・・振込んで・・・保釈されます。お母さん(お父さん)、お金をすぐに振込んで・・・」或いは「副業で浄水器の仕事をしていたんだけど、資金繰りがうまくいかなくて会社のお金・・・」であったとする。
【0018】
この時の電話機からの音声入力はアナログデータであり、そのままでは扱うことができないので、アナログ・デジタル変換器(3)によってデジタルデータに変える。しかし、このデジタルデータには雑音や歪などが含まれているので、音声認識処理部(4)で、デジタル化された音声から雑音や周波数歪などを取除くと共に人の音声だけを取出す。その後、文字データ処理部(5)によって、音声認識処理部(4)の音声データを解析し、話している内容を文字データとして取出す。
【0019】
次に文字データ化した上記通話内容が「けいさつしょ の もの です。ごしゅじん が でんしゃ で ちかん を して つかまって います。べんごし です が、じだんきんしはらえば・・・ふりこんで・・・ほしゃく されます。おかあさん(おとうさん)、おかね を すぐに ふりこんで・・・」或いは「ふくぎょう で じょうすいき の しごと を していたんだけど、しきんぐり が うまく いかなくて かいしゃ の おかね・・・」となり、この話している文字データに、予め入力した検索キーワードが含まれているか検索機能部(6)で検索する。そして判定機能部(7)で、検索機能部(6)で検索した検索キーワードが、予め設定した所定数、例えば4つになるまで検索キーワードをカウントすると共に4つに達した時点で詐欺と判定する。尚、上記アンダーラインの文字はヒットしたものを指す。
【0020】
前記判定機能部(7)が詐欺と判定した際は、警告手段(8)によって通話者(受信者)に警告する。この警告方法としては、予め設定した音声合成で警告する方法、警告音を発する方法、警告灯を点滅する方法、身体或いは電話機周辺に振動を与える方法などがある。前記音声合成で警告する方法としては、例えば、「詐欺電話です。注意して下さい。」,「詐欺電話です。注意して下さい。」・・・などの音声合成を繰返してスピーカ(81)で発話させると良く、また警告音を発する方法は、サイレン音や一定サイクルの警告音がスピーカ(81)を介して発せられるようにしても良い。更に警告灯を点滅する方法としては、警告を示すランプ(82)が点滅されるようにしても良く、身体或いは電話機周辺に振動を与える方法としては、バイブレータ(83)を介して振動が身体或いは電話機周辺に与えられるようにしても良い。この時の警告手段(8)は、音声合成で発話を行うと共に、警告音を発し、警告灯を点滅させ、振動を身体或いは電話機周辺に与えるそれぞれの機能を組合せ、或いは少なくともその内の1つと組合せるものとすれば良い。
【0021】
更に判定機能部(7)が詐欺と判定した際に、警告手段(8)と一緒に通話遮断手段(9)も作動させるものとしても良い。この通話遮断手段(9)の作用について説明すると、先ず始めに駆動部材(93)に作動指令が入力すると、駆動部材(93)が作動されることにより、作動杆(92)が下方へ押出されて保留ボタンを押圧する。このため、通話状態が保留されることで、通話状態が強制的に遮断され、振込め詐欺が即座に撃退できるものとなるのである。尚、前記作動杆(92)が保留ボタン(91)を押圧するものに限定されるものではなく、作動杆(92)が切断ボタンやフックボタンなどを押圧して、通話状態が強制的に切断されるようにしても良い。
【0022】
尚、上記通話内容(30秒間の録音データ)が判定機能部(7)で詐欺と判定しなかった場合は、次の30秒間の音声データを文字データに変換し、検索機能部(6)で検索を続行すると共に検索キーワードが所定数、例えば4つになるまでカウントし続ける。検索キーワードが4つに達するまで、このチェックが繰返されるのである。この30秒間毎のチェックは、通話者に早めに詐欺電話である旨を知らせるために、単位区分している。
【0023】
このように本発明品を電話機に設置すれば、電話に出ても振込み詐欺の被害から保護されるものとなる。
【符号の説明】
【0024】
1 マイク
2 音声録音機能部
3 アナログ・デジタル変換器
4 音声認識処理部
5 文字データ処理部
6 検索機能部
7 判定機能部
8 警告手段
81 スピーカ
82 ランプ
83 バイブレータ
84 制御部
9 通話遮断手段
12 受話器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受話器(12)の受信部側に装着するマイク(1)を備え、該マイク(1)を介して入力する音声が録音される音声録音機能部(2)と、録音された音声が所定時間単位でアナログデータからデジタルデータに変換されるアナログ・デジタル変換器(3)と、デジタル化された前記音声から雑音や周波数歪を取除くと共に人の音声だけを取出す音声認識処理部(4)と、該音声認識処理部(4)の音声データを解析し、話している内容を文字データとして取出す文字データ処理部(5)と、話している文字データに、予め入力した検索キーワードが含まれているか検索する検索機能部(6)と、その検索機能部(6)で検索した検索キーワードが、予め設定した所定数になるまで検索キーワードをカウントすると共に所定数に達した時点で詐欺と判定する判定機能部(7)と、該判定機能部(7)が詐欺と判定した際に、予め設定した音声合成で少なくとも警告する警告手段(8)と、から少なくとも構成させたことを特徴とする電話機用振込め詐欺防止装置。
【請求項2】
前記判定機能部(7)が詐欺と判定した際に、前記警告手段(8)を作動させると共に、通話状態を強制的に遮断する通話遮断手段(9)を備えた請求項1記載の電話機用振込め詐欺防止装置。
【請求項3】
前記警告手段(8)が、音声合成で発話して警告するスピーカ(81)と、警告表示を行うランプ(82)と、身体或いは電話機周辺に振動を加えるバイブレータ(83)と、前記スピーカ(81)や前記ランプ(82)及び前記バイブレータ(83)を制御する制御部(84)と、から成された請求項1又は2記載の電話機用振込め詐欺防止装置。


【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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