説明

電話管理システム

【課題】伝送路上の任意の場所で電話交換装置内のログファイルを収集できるようにし、しかもログファイルの伝送におけるセキュリティ機能を十分に確保し得る電話管理システムを提供する。
【解決手段】管理装置2Aにおいて取得希望のLANインタフェース部11−1のログファイルと管理装置2AのIPアドレス、使用するポート番号が指定された場合に、ログファイルの取得要求を管理装置2Aから電話交換機1Aへ公衆網PNWを介して伝送し、電話交換機1Aにおいてファイアウォール/ルータFW1の指定されたポート番号に対応するポートを開き、指定されたLANインタフェース部11−1のログファイルをLAN3、ファイアウォール/ルータFW1、IP網INW及びファイアウォール/ルータFW2経由の指定のポートを介して伝送するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば電話交換装置に対しパーソナル・コンピュータ等の管理装置を使用してIP(Internet Protocol)網経由で動作管理を行う電話管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電話交換装置は、処理中に遭遇した内部的または外部的な異常を検出し、この検出結果をエラー/アラームのログファイルとして回線/端末接続カードの内蔵メモリに記録する。また、ソフトウェアの呼処理・保守が動作した際に、やり取りしたメッセージとその内容をログファイルとして回線/端末接続カードの内蔵メモリに記録できる。
【0003】
ところで、上記電話交換装置では、回線/端末接続カードのログファイルを収集する場合に、保守担当者が電話交換装置の設置場所まで足を運んで、パーソナル・コンピュータ等の管理装置を電話交換装置に対しシリアルポートを介して接続し、ログファイルを収集している。従って、ログファイルの収集が完了するまでの大半が保守担当者による人為的作業によって行われるため、多くの時間と労力がかかる。なお、電話交換装置の近くに保守担当者が常駐していれば、直ちにログファイルの収集作業を行なうことが可能である。しかし、通常の場合保守担当者は電話交換装置の設置場所から遠く離れた部署にいる場合が多い。
【0004】
なお、電話交換装置が通信ネットワークに接続されているとき、通信ネットワーク上の管理装置からの遠隔制御により電話交換装置の内蔵メモリに記録されるログファイルを管理装置にて収集する手法も考えられている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平4−237251号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記手法では、通信ネットワークを通じて管理装置によって電話交換装置内のログファイルを収集する際に、通信ネットワーク上のファイアウォールまたはルータの送受信ポートをむやみに開閉してしまうと、不当な第三者によりログファイルが改竄または収集される恐れがある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、伝送路上の任意の場所で電話交換装置内のログファイルを収集できるようにし、しかもログファイルの伝送におけるセキュリティ機能を十分に確保し得る電話管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数の電話端末が接続されるローカルエリアネットワークを収容し、それぞれ接続IDが割り当てられた複数の回線インタフェース部と、これら回線インタフェース部に対しローカルエリアネットワークに比して伝送容量の少ない制御バスを介して接続され複数の回線インタフェース部間の交換処理を実行する交換制御部とを備えた電話交換装置と、この電話交換装置の動作管理処理を実行する管理装置と、電話交換装置と管理装置との間を接続し、情報伝送用の複数のポートの中から電話交換装置の指定に応じたポートを開けるファイアウォール/ルータを有した伝送路とを備える電話管理システムを対象にしている。
【0008】
そして、電話交換装置は、複数の回線インタフェース部の各々に設けられ、交換処理の処理履歴及び動作に関するログファイルを記憶する記憶手段と、管理装置から伝送路を介して回線インタフェース部の接続ID及びポートを特定するポートIDを含むログファイルの取得要求が送られた場合に、この取得要求に含まれる接続IDに基づいて、該当する回線インタフェース部の記憶手段に記憶されるログファイルを読み出す読み出し手段と、ファイアウォール/ルータに対し取得要求に含まれるポートIDを通知して該当するポートを開かせると共に、管理装置に対し該ポートを介してログファイルを送信するファイル送信手段とを備え、管理装置は、指示入力に応じて、伝送路を介して電話交換装置に対し取得要求を送出する要求送信手段と、取得要求の送出に対し電話交換装置から伝送路を介して送られたログファイルを受信し記録媒体に記録するファイル受信手段とを備えるようにしたものである。
【0009】
この構成によれば、管理装置にて取得希望の回線インタフェース部のログファイルと使用するポートIDが指定された場合に、電話交換装置にてファイアウォール/ルータの指定されたポートIDに対応するポートが開かれ、指定された回線インタフェース部のログファイルが指定されたポートを介して伝送されることになる。すなわち、ファイアウォール/ルータのポートが電話交換装置から管理装置への一方向のみ開かれることになる。
【0010】
従って、電話交換装置を設置した場所へ行くことなく回線インタフェース部のログファイルを収集することができると共に、ファイアウォール/ルータの外部から受けるポートを開けることなく接続可能となるため、ローカルエリアネットワークや伝送路のセキュリティレベルを下げなくて済む。
【0011】
伝送路が電話交換装置の交換制御部と管理装置との間を公衆網により接続し、複数の回線インタフェース部と管理装置との間をファイアウォール/ルータを含むIP(Internet Protocol)網とにより接続する構成をとるとき、管理装置の要求送信手段は、公衆網を介して電話交換装置の交換制御部に対し取得要求を送出し、電話交換装置の読み出し手段は、取得要求を受信した交換制御部により制御バスを介して該当する回線インタフェース部に対し記憶手段に記憶されるログファイルを読み出すように指示し、電話交換装置のファイル送信手段は、交換制御部によりファイアウォール/ルータに対し取得要求に含まれるポートIDを通知して該当するポートを開かせると共に、回線インタフェース部に対しIP網上の当該ポートを介してログファイルを送信させることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ログファイルの取得要求はログファイルを転送するIP網とは別に公衆網で転送される。このため、ファイアウォール/ルータの外部から受けるポートを開けることなく、これによりローカルエリアネットワークやIP網のセキュリティを十分に確保できる。
【0013】
伝送路が前記複数の回線インタフェース部と管理装置との間をファイアウォール/ルータを含む第1のIP網により接続し、電話交換装置の交換制御部と管理装置との間を、第1のIP網とは異なる第2のIP網により接続する構成をとるとき、管理装置の要求送信手段は、第2のIP網を介して電話交換装置に対し取得要求を送出し、電話交換装置の読み出し手段は、取得要求を受信した交換制御部により制御バスを介して該当する回線インタフェース部に対し記憶手段に記憶されるログファイルを読み出すように指示し、電話交換装置のファイル送信手段は、交換制御部によりファイアウォール/ルータに対し取得要求に含まれるポートIDを通知して該当するポートを開かせると共に、回線インタフェース部に対し第1のIP網上の当該ポートを介してログファイルを送信させることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、公衆網を使用しない場合において、ログファイルの取得要求はログファイルを転送するためのファイアウォール/ルータとは異なるファイアウォール/ルータを経由して転送されることになる。このため、ログファイル転送用のファイアウォール/ルータの外部から受けるポートを開けることなく、これによってもローカルエリアネットワークやIP網のセキュリティを十分に確保できる。
【0015】
複数の回線インタフェース部の各々が伝送路上のデータ転送プロトコルとしてFTP(File Transmission Protocol)を実行する機能を備える場合に、電話交換装置のファイル送信手段は、交換制御部によりファイアウォール/ルータに対し取得要求に含まれるポートIDを通知して該当するFTP転送用のポートを開かせると共に、回線インタフェース部に対し伝送路上の当該ポートを介してログファイルを送信させることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、ログファイルを収集したい回線インタフェース部側にFTPクライアント機能がサポートされている場合に、ファイアウォール/ルータのFTP転送用のポートを開けるだけでよいので、簡単な手順により伝送路上のセキュリティも確保したまま管理装置にてログファイルを収集できる。
【0017】
複数の回線インタフェース部の各々がSIP(Session Initiation Protocol)を実行する機能を備える場合に、電話交換装置のファイル送信手段は、交換制御部により回線インタフェース部に対しSIPを使用して伝送路上にログファイルを送信させることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、万一、ログファイルを取得したい回線インタフェース部がFTP機能をサポートしていない場合であっても、汎用のSIPを利用してログファイルを収集できる。
【0019】
交換制御部は、交換処理の処理履歴及び動作に関するログファイルを記憶する記憶手段を備え、複数の回線インタフェース部の各々は、制御バスを介して交換制御部の記憶手段に記憶されるログファイルを収集する収集手段を備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、回線インタフェース部のログファイルのみでなく、交換制御部に記憶されているログファイルも回線インタフェース部により収集できるので、管理装置にて電話交換装置の動作管理を精度良く実行できる。
【発明の効果】
【0021】
以上詳述したようにこの発明によれば、伝送路上の任意の場所で電話交換装置内のログファイルを収集できるようにし、しかもログファイルの伝送におけるセキュリティ機能を十分に確保し得る電話管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる電話管理システムの構成を示すブロック図であり、1Aは電話交換機を示し、2Aは管理装置を示している。
【0024】
電話交換機1Aは、複数のLAN(Local Area Network)インタフェース部(LIPU−1〜LIPU−n)11−1〜11−nと、中央制御部(CTU)12とを備え、これら複数のLANインタフェース部11−1〜11−n、中央制御部12は制御バス13を介して相互に接続されている。また、複数のLANインタフェース部11−1〜11−n、中央制御部12は制御バス13より伝送容量の大きいLAN3を介して相互に接続されている。
【0025】
複数のLANインタフェース部11−1〜11−nにはLAN3を介して複数の内線端末DKT1〜DKTiが収容されている。内線端末DKT1〜DKTiとして使用されるものには、例えばデジタルボタン電話機がある。複数のLANインタフェース部11−1〜11−nは、内線端末DKT1〜DKTiに対する発着信処理やデジタル信号の転送処理等を行なう。
【0026】
中央制御部12は、各内線端末DKT1〜DKTiの発呼要求に伴う発信処理や、公衆網PNWからの外線着信に伴う通常の着信処理、内線端末DKT1〜DKTi間の転送処理等の通常の制御機能を備えている。
【0027】
ところで、上記複数のLANインタフェース部11−1〜11−n及び中央制御部12は、LAN3、ファイアウォール/ルータFW1、IP網INW及びファイアウォール/ルータFW2を介して管理装置2Aに接続される。また、中央制御部12Aは、公衆網PNWを介して管理装置2Aに接続される。
【0028】
また、この第1の実施形態において、複数のLANインタフェース部11−1〜11−nには、ログファイル記憶部111と、ログファイル送信部112とが設けられる。
【0029】
ログファイル記憶部111には、内線端末DKT1〜DKTiの操作履歴データや、呼処理に関する履歴データ、起動手順を示すデータ、回線エラー、パケットロス等のメンテナンスに必要なログファイルが適宜記憶される。
【0030】
ログファイル送信部112は、中央制御部12から制御バス13を介して到来する送出指示に応じて、ログファイル記憶部111に記憶されるログファイルを読み出してこのログファイルをFTP(File Transmission Protocol)を用いてIP網INW上に送出する。
【0031】
一方、中央制御部12Aは、モデム121及びログファイル記憶部122を備えている。モデム121は、公衆網PNWを介して管理装置2Aとの間で通信を行うもので、管理装置2Aから送られるログファイルの取得要求を受信し、この取得要求に応じて指定されたLANインタフェース部11−1に対しログファイル記憶部111からログファイルを読み出して要求元の管理装置2Aにログファイルを送信するように指示する。このとき、ファイアウォール/ルータFW1の指定ポートを開ける。
【0032】
ログファイル記憶部122には、中央制御部12Aによる制御処理の処理履歴に関するログファイル(メッセージ、プロトコルスタック、呼処理データ、システム管理ログ)が記憶される。
【0033】
上記管理装置2Aは、汎用のパーソナル・コンピュータにより構成され、LAN接続部21と、ログファイル記憶部22と、モデム23とを備えている。LAN接続部21は、IP網INWを介して電話交換機1Aとの間で通信を行うもので、電話交換機1Aから送られるログファイルを受信し、ログファイル記憶部22に記憶する。
【0034】
モデム23は、公衆網PNWを介して電話交換機1Aとの間で通信を行うもので、入力部24からの取得指示に応じて電話交換機1Aに対しログファイルの取得要求を送出する。
【0035】
入力部24は、管理装置2Aに対し種々の動作指示を入力するために使用するもので、電話交換機1Aに対するログファイルの取得要求の送信指示の入力にも使用される。
【0036】
次に、以上のように構成された電話管理システムの動作を説明する。図2は、電話交換機1Aの動作手順とその内容を示すフローチャートである。
【0037】
まず、管理装置2Aのユーザは、上記ログファイルを収集するべく管理装置2Aを使用して公衆網PNW経由で電話交換機1Aに発呼信号を送出したとする。そうすると、電話交換機1Aの中央制御部12Aは、ステップST2aからステップST2bに移行してここで上記発呼に応答し、管理装置2Aとの間に公衆網PNWの加入電話回線による通信リンクを確立し、管理装置2Aとの間でユーザ認証(例えばユーザID、パスワード等)を行う(ステップST2c)。
【0038】
そして、認証が得られた場合に(OK)、電話交換機1Aの中央制御部12Aは管理装置2Aに対し通信リンクを介してログファイルの取得に必要な入力案内画面情報を送出してモニタ25に表示させる(ステップST2d)。これに対し管理装置2Aのユーザは、電話交換機1Aからダウンロードされる画面の案内に従い、入力部24においてログファイルの取得に関する必要事項を入力する。入力する必要事項は、FTP接続に必要な制御データ、ログ収集先のLIPUカード番号、管理装置2Aに対し割り当てられたIPアドレス、ポート番号、ファイル名等である。そして、これらの必要事項の入力が終了すると、これらの情報を含むログファイルの取得要求を電話交換機1Aの中央制御部12Aに向け送信する。
【0039】
上記取得要求を受信すると電話交換機1Aの中央制御部12Aは、ファイアウォール/ルータFW1にアクセスして取得要求に含まれるポート番号に対応するポートを開けるようにすると共に、指定されたLIPUカード番号に対応するLANインタフェース部11−1に対し制御バス13を介してアクセスし、指定されたLANインタフェース部11−1のLANポートからログファイルを指定先へファイアウォール/ルータFW1、IP網INW及びファイアウォール/ルータFW2経由で送信させ(ステップST2e)、ログファイルの送信が完了するまで、ステップST2e及びステップST2fの処理を繰り返し実行する。
【0040】
そして、上記ログファイルの送信が完了した場合に、電話交換機1Aの中央制御部12Aは上記通信リンクを切断する(ステップST2g)。
【0041】
なお、上記ステップST2cにおいて、ユーザ認証が得られない場合には、ステップST2gに移行して通信リンクを切断する。
【0042】
一方、管理装置2Aは、電話交換機1Aからファイアウォール/ルータFW1、IP網INW及びファイアウォール/ルータFW2を介して伝送されたログファイルを受信し、この受信ログファイルをログファイル記憶部22に記憶すると共にモニタ25に表示させる。
【0043】
以上のように上記第1の実施形態では、管理装置2Aにおいて取得希望のLANインタフェース部11−1のログファイルと管理装置2AのIPアドレス、使用するポート番号が指定された場合に、ログファイルの取得要求を管理装置2Aから電話交換機1Aへ公衆網PNWを介して伝送し、電話交換機1Aにおいてファイアウォール/ルータFW1の指定されたポート番号に対応するポートを開き、指定されたLANインタフェース部11−1のログファイルをLAN3、ファイアウォール/ルータFW1、IP網INW及びファイアウォール/ルータFW2経由の指定のポートを介して伝送するようにしている。
【0044】
従って、ファイアウォール/ルータFW1、FW2のポートが電話交換機1Aから管理装置2Aへの一方向のみ開かれることになり、これにより電話交換機1Aを設置した場所へ行くことなくLANインタフェース部11−1のログファイルを管理装置2Aにより収集することができると共に、ファイアウォール/ルータFW1、FW2の外部から受けるポートを開けることなくて済む分、LAN3やIP網INWのセキュリティレベルを確保できる。
【0045】
(第2の実施形態)
図3は、この発明の第2の実施形態に係わる電話管理システムの構成を示すブロック図である。図3において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
上記複数のLANインタフェース部11−1〜11−n及び中央制御部12Bは、LAN3、ファイアウォール/ルータFW3、IP網INW1及びファイアウォール/ルータFW4を介して管理装置2Bに接続される。また、中央制御部12Bは、ファイアウォール/ルータFW3、IP網INW2及びファイアウォール/ルータFW4を介して管理装置2Bに接続される。
【0047】
また、この第2の実施形態において、中央制御部12Bは、LAN接続部123を備えている。LAN接続部123は、IP網INW1,INW2を介して管理装置2Bとの間で通信を行うもので、管理装置2BからIP網INW2経由で送られるログファイルの取得要求を受信し、この取得要求に応じて指定されたLANインタフェース部11−1に対しログファイル記憶部111からログファイルを読み出して要求元の管理装置2Bにログファイルを送信するように指示する。このとき、ファイアウォール/ルータFW3の指定ポートを開ける。
【0048】
一方、管理装置2Bは、LAN接続部26を備えている。LAN接続部26は、IP網INW1,INW2を介して電話交換機1Bとの間で通信を行うもので、入力部24からの取得指示に応じて電話交換機1Bに対しIP網INW2を介してログファイルの取得要求を送出すると共に、電話交換機1BからIP網INW1経由で送られるログファイルを受信し、ログファイル記憶部22に記憶する。
【0049】
次に、以上のように構成された電話管理システムの動作を説明する。
【0050】
まず、管理装置2Bのユーザは、上記ログファイルを収集するべく管理装置2Bを使用してIP網INW2経由で電話交換機1Bに発呼信号を送出したとする。このとき、ファイアウォール/ルータFW4の指定ポートを開ける。
【0051】
そうすると、電話交換機1Bの中央制御部12Bは、上記発呼に応答し、管理装置2Bとの間にIP網INW2による通信リンクを確立し、管理装置2Bとの間でユーザ認証(例えばユーザID、パスワード等)を行う。
【0052】
そして、認証が得られた場合に、電話交換機1Bの中央制御部12Bは管理装置2Bに対し通信リンクを介してログファイルの取得に必要な入力案内画面情報を送出してモニタ25に表示させる。これに対し管理装置2Bのユーザは、電話交換機1Bからダウンロードされる画面の案内に従い、入力部24においてログファイルの取得に関する必要事項を入力する。入力する必要事項は、FTP接続に必要な制御データ、ログ収集先のLIPUカード番号、管理装置2Bに対し割り当てられたIPアドレス、ポート番号、ファイル名等である。そして、これらの必要事項の入力が終了すると、これらの情報を含むログファイルの取得要求を電話交換機1Bの中央制御部12Bに向け送信する。
【0053】
上記取得要求を受信すると電話交換機1Bの中央制御部12Bは、ファイアウォール/ルータFW3にアクセスして取得要求に含まれるポート番号に対応するポートを開けるようにすると共に、指定されたLIPUカード番号に対応するLANインタフェース部11−1に対し制御バス13を介してアクセスし、指定されたLANインタフェース部11−1のLANポートからログファイルを指定先へファイアウォール/ルータFW3、IP網INW1及びファイアウォール/ルータFW4経由で送信させる。
【0054】
そして、上記ログファイルの送信が完了した場合に、電話交換機1Bの中央制御部12Bは上記通信リンクを切断する。
【0055】
一方、管理装置2Bは、電話交換機1Bからファイアウォール/ルータFW3、IP網INW1及びファイアウォール/ルータFW4介して伝送されたログファイルを受信し、この受信ログファイルをログファイル記憶部22に記憶すると共にモニタ25に表示させる。
【0056】
以上のように上記第2の実施形態では、管理装置2Bにおいて取得希望のLANインタフェース部11−1のログファイルと管理装置2BのIPアドレス、使用するポート番号が指定された場合に、ログファイルの取得要求を管理装置2Bから電話交換機1BへIP網INW2を介して伝送し、電話交換機1Bにおいてファイアウォール/ルータFW3の指定されたポート番号に対応するポートを開き、指定されたLANインタフェース部11−1のログファイルをLAN3、ファイアウォール/ルータFW3、IP網INW1及びファイアウォール/ルータFW4経由の指定のポートを介して伝送するようにしている。
【0057】
従って、公衆網を使用しない場合においても、ファイアウォール/ルータFW3の外部から受けるポートを開けることなくて済む分、ログファイル転送に使用するLAN3やIP網INW1のセキュリティレベルを確保できる。
【0058】
(その他の実施形態)
この発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、LANインタフェース部のログファイルを管理装置に転送する例について説明したが、中央制御部のログファイルも同様の接続動作形態で収集することができる。
【0059】
また、上記各実施形態において、SIPプロトコルなど、汎用の接続手順を使用することで、FTPプロトコルをサポートしないシステム下においてもログファイルを収集することができる。
【0060】
その他、システムの構成及び種類、電話交換機の種類や構成、管理装置の機能構成、ログファイルの転送制御手順やその内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わる電話管理システムの構成を示すブロック図。
【図2】同第1の実施形態における電話交換機の動作手順とその内容を示すフローチャート。
【図3】この発明の第2の実施形態に係わる電話管理システムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B…電話交換機、2A,2B…管理装置、3…LAN、11−1〜11−n…LANインタフェース部、12A,12B…中央制御部、13…制御バス、21,26…LAN接続部、22,111…ログファイル記憶部、23,121…モデム、24…入力部、25…モニタ、112…ログファイル送信部、DKT1〜DKTi…内線端末、FW1〜FW4…ファイアウォール/ルータ、INW,INW1、INW2…IP網、PNW…公衆網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電話端末が接続されるローカルエリアネットワークを収容し、それぞれ接続IDが割り当てられた複数の回線インタフェース部と、これら回線インタフェース部に対し前記ローカルエリアネットワークに比して伝送容量の少ない制御バスを介して接続され前記複数の回線インタフェース部間の交換処理を実行する交換制御部とを備えた電話交換装置と、
この電話交換装置の動作管理処理を実行する管理装置と、
前記電話交換装置と前記管理装置との間を接続し、情報伝送用の複数のポートの中から前記電話交換装置の指定に応じたポートを開けるファイアウォール/ルータを有した伝送路とを備える電話管理システムにおいて、
前記電話交換装置は、
前記複数の回線インタフェース部の各々に設けられ、前記交換処理の処理履歴及び動作に関するログファイルを記憶する記憶手段と、
前記管理装置から前記伝送路を介して回線インタフェース部の接続ID及び前記ポートを特定するポートIDを含むログファイルの取得要求が送られた場合に、この取得要求に含まれる接続IDに基づいて、該当する回線インタフェース部の記憶手段に記憶されるログファイルを読み出す読み出し手段と、
前記ファイアウォール/ルータに対し前記取得要求に含まれるポートIDを通知して該当するポートを開かせると共に、前記管理装置に対し該ポートを介して前記ログファイルを送信するファイル送信手段とを備え、
前記管理装置は、
指示入力に応じて、前記伝送路を介して前記電話交換装置に対し前記取得要求を送出する要求送信手段と、
前記取得要求の送出に対し前記電話交換装置から前記伝送路を介して送られたログファイルを受信し記録媒体に記録するファイル受信手段とを備えたことを特徴とする電話管理システム。
【請求項2】
前記伝送路が前記電話交換装置の交換制御部と前記管理装置との間を公衆網により接続し、前記複数の回線インタフェース部と前記管理装置との間を前記ファイアウォール/ルータを含むIP(Internet Protocol)網とにより接続する構成をとるとき、
前記管理装置の要求送信手段は、前記公衆網を介して前記電話交換装置の交換制御部に対し前記取得要求を送出し、
前記電話交換装置の読み出し手段は、前記取得要求を受信した交換制御部により前記制御バスを介して該当する回線インタフェース部に対し前記記憶手段に記憶されるログファイルを読み出すように指示し、
前記電話交換装置のファイル送信手段は、前記交換制御部により前記ファイアウォール/ルータに対し前記取得要求に含まれるポートIDを通知して該当するポートを開かせると共に、前記回線インタフェース部に対し前記IP網上の当該ポートを介して前記ログファイルを送信させることを特徴とする請求項1記載の電話管理システム。
【請求項3】
前記伝送路が前記複数の回線インタフェース部と前記管理装置との間をファイアウォール/ルータを含む第1のIP網により接続し、前記電話交換装置の交換制御部と前記管理装置との間を、前記第1のIP網とは異なる第2のIP網により接続する構成をとるとき、
前記管理装置の要求送信手段は、前記第2のIP網を介して前記電話交換装置に対し前記取得要求を送出し、
前記電話交換装置の読み出し手段は、前記取得要求を受信した交換制御部により前記制御バスを介して該当する回線インタフェース部に対し前記記憶手段に記憶されるログファイルを読み出すように指示し、
前記電話交換装置のファイル送信手段は、前記交換制御部により前記ファイアウォール/ルータに対し前記取得要求に含まれるポートIDを通知して該当するポートを開かせると共に、前記回線インタフェース部に対し前記第1のIP網上の当該ポートを介して前記ログファイルを送信させることを特徴とする請求項1記載の電話管理システム。
【請求項4】
前記複数の回線インタフェース部の各々が前記伝送路上のデータ転送プロトコルとしてFTP(File Transmission Protocol)を実行する機能を備える場合に、
前記電話交換装置のファイル送信手段は、前記交換制御部により前記ファイアウォール/ルータに対し前記取得要求に含まれるポートIDを通知して該当するFTP転送用のポートを開かせると共に、前記回線インタフェース部に対し前記伝送路上の当該ポートを介して前記ログファイルを送信させることを特徴とする請求項1記載の電話管理システム。
【請求項5】
前記複数の回線インタフェース部の各々がSIP(Session Initiation Protocol)を実行する機能を備える場合に、
前記電話交換装置のファイル送信手段は、前記交換制御部により前記回線インタフェース部に対し前記SIPを使用して前記伝送路上に前記ログファイルを送信させることを特徴とする請求項1記載の電話管理システム。
【請求項6】
前記交換制御部は、前記交換処理の処理履歴及び動作に関するログファイルを記憶する記憶手段を備え、
前記複数の回線インタフェース部の各々は、前記制御バスを介して前記交換制御部の記憶手段に記憶されるログファイルを収集する収集手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電話管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−160725(P2008−160725A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350018(P2006−350018)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】