説明

電話装置

【課題】 聞き逃した場合など少し前からの通話をより少ないメモリ容量で複数録音することができる電話装置を提供する。
【解決手段】 制御装置11は、相手方電話機と回線が接続されると、記憶の開始を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、網制御装置12およびハンドセット13から送られてくる音声データをリングバッファa21に書き込み記憶させる。録音ボタン161によって録音が指示されると、制御装置11は、録音再生装置14に録音を指示する。録音再生装置14は、リングバッファa21への音声データの書き込みを停止し、引続く音声データをリングバッファb22に書き込み記憶させる。以後、録音ボタン161によって録音が指示される度に、録音再生装置14は、音声データを書き込んでいるリングバッファb22への音声データの書き込みを停止し、引続く音声データを次のリングバッファに書き込み記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、録音および再生機能を備えた電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話装置たとえば電話機は、通話を録音するための録音再生機能を備えたものがある。たとえば第1の従来の技術として、通話録音装置がある。この通話録音装置は、通話信号を通話の最初から記憶する第1の記憶手段と、通話信号を記憶することができる第2の記憶手段とを有する。通話中に通話者によって通話内容を記憶する旨たとえば録音指示が指定された場合に、第1の記憶手段に記憶された通話信号を、第2の記憶手段に転送するとともに、続く通話信号を第2の記憶手段に記憶させる。録音指示が指定された以降の通話が、録音指示が指定される以前の通話とともに、第2の記憶手段に記憶されるので、通話を最初から再生することができる(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来の技術として、情報受信装置がある。この情報受信装置は、入力情報を一時的に記録する一時記録手段と、入力情報を長期間保存するために記録する本記録手段とを有する。まず、外部からの着信に応答した時点より通話録音を開始して一時記録手段に通話内容を一時的に記録する。次に、保存を必要と認めた通話内容を本記録手段に記録するように操作することができる操作手段によって保存操作が行われると、一時記録手段に一時記録した記録内容を本記録手段に移送記録して本記録として記録保存する。情報通信の途中に記録を必要と認めたときに過去に遡って当該通信情報の記録を保証するものである(たとえば特許文献2参照)。
【0004】
第3の従来の技術として、録音機能を持つ携帯電話機がある。この携帯電話機は、通話中の音声をエンドレスに録音可能に構成された複数のメモリを有し、その複数のメモリの一つがエンドレス録音を行っている通話中に他のメモリによるエンドレス録音への切り換えを可能にする切換手段によって切り換えが指示されると、切換手段による切換以前にエンドレス録音していた前記メモリに記録された通話内容を再生手段によって再生する。各メモリの容量は、通話内容をメモとして残すことができる程度の記録容量である。通話の欠落を生じないように、再生を行っている最中の通話も録音するものである(たとえば特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第2548404号公報
【特許文献2】特開平8−97939号公報
【特許文献3】特開2002−164998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1および第2の従来の技術も、通話の最初からあるいは着信に応答した時点から録音指示あるいは保存操作があるまでのすべて通話を、第1の記憶手段あるいは一時記憶手段に記憶することによって、録音指示あるいは保存操作があったときより以前の通話も含めて録音することができるようにしたものである。しかしながら、録音指示あるいは保存操作があるまでの時間が長くなる場合を考慮すると、第1の記憶手段あるいは一時記憶手段のメモリ容量を大容量にする必要があるという問題がある。さらに録音された時間が長いと、所望の録音内容を探すために、長時間を必要とすることもあり不便である。
【0007】
第3の従来の技術は、通話内容をメモとして残すことができる程度の記録容量でエンドレスに録音可能なメモリに録音するものであるが、再生を行っている最中の通話も録音するので、余分にメモリが必要であるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、聞き逃した場合など少し前からの通話をより少ないメモリ容量で複数録音することができる電話装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の予め定める記憶容量を有するリングバッファと、
通話の録音を指示するための録音指示情報および通話の再生を指示するための再生指示情報を入力する入力手段と、
通話を再生する再生手段と、
制御手段であって、
相手方電話装置と回線が接続されると、前記複数のリングバッファのうちの1つのリングバッファによって相手方電話装置との通話情報の記憶を開始させ、
相手方電話装置と回線が接続されてから回線が切断されるまでの期間に入力手段によって録音指示情報が入力される度に、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させ、さらにまだ通話情報を記憶していないリングバッファによって、引続く通話情報の記憶を開始させ、
相手方電話装置と回線が接続されているときに入力手段によって再生指示情報が入力されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させた後、通話情報の記憶が停止されたリングバッファを除くリングバッファに記憶された通話情報を再生手段によって再生させる制御手段とを含むことを特徴とする電話装置である。
【0010】
本発明に従えば、入力手段によって、通話の録音を指示するための録音指示情報および通話情報の再生を指示するための再生指示情報が入力され、再生手段によって、通話情報が再生され、制御手段によって、相手方電話装置と回線が接続されると、複数の予め定める記憶容量を有するリングバッファのうちの1つのリングバッファによって相手方電話装置との通話情報の記憶が開始され、相手方電話装置と回線が接続されてから回線が切断されるまでの期間に入力手段によって録音指示情報が入力される度に、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止され、さらにまだ通話情報を記憶していないリングバッファによって、引続く通話情報の記憶が開始され、相手方電話装置と回線が接続されているときに入力手段によって再生指示情報が入力されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止された後、通話情報の記憶が停止されたリングバッファを除くリングバッファに記憶された通話情報が再生手段によって再生されるので、録音指示がある度にリングバッファの記憶容量分の録音を行い、再生時はリングバッファへの記憶を停止することができ、聞き逃した場合など少し前からの通話をより少ないメモリ容量で複数録音することができる。
【0011】
また本発明は、前記制御手段は、前記再生手段による再生が終了すると、前記入力手段によって再生指示情報が入力されたときに通話情報の記憶が停止された前記リングバッファによって、引続く通話情報を、すでに記憶している通話情報に継続して記憶させることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、制御手段によって、再生手段による再生が終了すると、入力手段によって再生指示情報が入力されたときに通話情報の記憶が停止されたリングバッファによって、引続く通話情報が、すでに記憶されている通話情報に継続して記憶されるので、再生中以外は常に通話をリングバッファに記憶することができる。
【0013】
また本発明は、不揮発性の記憶手段をさらに含み、
前記制御手段は、
相手方電話装置と回線が切断されると、通話情報の記憶を行っている前記リングバッファによる通話情報の記憶を停止させた後、リングバッファに記憶された通話情報を記憶手段に記憶させ、
相手方電話装置と回線が切断された後に、前記入力手段によって再生指示情報が入力されると、記憶手段に記憶された通話情報をリングバッファに記憶させ、記憶手段からリングバッファに記憶された通話情報を、前記再生手段によって再生させることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、不揮発性の記憶手段がさらに含まれ、制御手段によって、相手方電話装置と回線が切断されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止された後、リングバッファに記憶された通話情報が記憶手段に記憶され、相手方電話装置と回線が切断された後に、入力手段によって再生指示情報が入力されると、記憶手段に記憶された通話情報がリングバッファに記憶され、記憶手段からリングバッファに記憶された通話情報が、再生手段によって再生されるので、通話情報に対して圧縮など処理時間のかかる変換処理を行って、不揮発性の記憶手段に記憶し、さらに不揮発性の記憶手段に記憶された通話情報をリングバッファに移して再生するので、不揮発性の記憶手段の読み出し速度が遅くても、あるいは圧縮されたデータを伸張するのに時間がかかっても、再生する通話を断続させることなく聞くことができる。
【0015】
また本発明は、前記記憶手段は、データの読み出しおよび書き込み速度が前記リングバッファよりも遅いことを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、記憶手段は、データの読み出しおよび書き込み速度がリングバッファよりも遅いので、アクセス速度の遅い記憶手段を用いることができる。
【0017】
また本発明は、前記制御手段は、前記入力手段によって録音指示情報が入力され、通話情報の記憶を行っている前記リングバッファによる通話情報の記憶を停止させたとき、そのリングバッファに記憶された通話情報の容量が予め定める容量未満か否かを判定し、予め定める容量未満の場合は、そのリングバッファに記憶された通話情報を前記記憶手段に記憶させた後、そのリングバッファによって、引続く通話情報を記憶領域の最初から記憶させることを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、制御手段によって、入力手段によって録音指示情報が入力され、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止されたとき、そのリングバッファに記憶された通話情報の容量が予め定める容量未満か否かが判定され、予め定める容量未満の場合は、そのリングバッファに記憶された通話情報が記憶手段に記憶された後、そのリングバッファによって、引続く通話情報が記憶領域の最初から記憶されるので、リングバッファの数以上の録音を行うことができる。
【0019】
また本発明は、1つの予め定める記憶容量を有するリングバッファと、
リングバッファの記憶容量と同じ記憶容量であってリングバッファではない複数のバッファ記憶手段と、
通話の録音を指示するための録音指示情報および通話の再生を指示するための再生指示情報を入力する入力手段と、
通話を再生する再生手段と、
制御手段であって、
相手方電話装置と回線が接続されると、リングバッファによって相手方電話装置との通話情報の記憶を開始させ、
相手方電話装置と回線が接続されてから回線が切断されるまでの期間に入力手段によって録音指示情報が入力される度に、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させ、さらにリングバッファに記憶された通話情報を読み出し、読み出した通話情報を、まだ通話情報を記憶していないバッファ記憶手段によって記憶させた後、リングバッファによって、引続く通話情報を記憶領域の最初から記憶させ、
相手方電話装置と回線が接続されているときに入力手段によって再生指示情報が入力されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させた後、各バッファ記憶手段によって記憶された通話情報を読み出してリングバッファに順次記憶させ、リングバッファに記憶された通話情報を再生手段によって順次再生させる制御手段とを含むことを特徴とする電話装置である。
【0020】
本発明に従えば、入力手段によって、通話の録音を指示するための録音指示情報および通話の再生を指示するための再生指示情報が入力され、再生手段によって、通話が再生され、制御手段によって、相手方電話装置と回線が接続されると、1つの予め定める記憶容量を有するリングバッファによって相手方電話装置との通話情報の記憶が開始され、相手方電話装置と回線が接続されてから回線が切断されるまでの期間に入力手段によって録音指示情報が入力される度に、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させ、さらにリングバッファに記憶された通話情報が読み出され、読み出された通話情報が、リングバッファの記憶容量と同じ記憶容量であってリングバッファではない複数のバッファ記憶手段のうち、まだ通話情報を記憶していないバッファ記憶手段によって記憶された後、リングバッファによって、引続く通話情報が記憶領域の最初から記憶され、相手方電話装置と回線が接続されているときに入力手段によって再生指示情報が入力されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止された後、各バッファ記憶手段によって記憶された通話情報が読み出されてリングバッファに順次記憶され、リングバッファに記憶された通話情報が再生手段によって順次再生されるので、リングバッファではない普通のバッファを用いることによって、聞き逃した通話などの通話を1つのリングバッファで複数録音することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、録音指示がある度にリングバッファの記憶容量分の録音を行い、再生時はリングバッファへの記憶を停止することができ、聞き逃した場合など少し前からの通話をより少ないメモリ容量で複数録音することができるので、必要な通話の部分のみを記録することができ、記憶容量を無駄にしない。さらに、後から必要な通話を探す手間が少ない。
【0022】
また本発明によれば、再生中以外は常に通話をリングバッファに記憶することができるので、再生直後に録音指示があっても必要な通話を途切れることなく録音することができる。
【0023】
また本発明によれば、通話情報に対して圧縮など処理時間のかかる変換処理を行って、不揮発性の記憶手段に記憶するので、電話装置の電源が切断された後も、通話情報を保持することができ、不揮発性の記憶手段も記憶容量を低減することができ、さらに不揮発性の記憶手段に記憶された通話情報をリングバッファに移して再生するので、不揮発性の記憶手段の読み出し速度が遅くても、あるいは圧縮されたデータを伸張するのに時間がかかっても、再生する通話を断続させることなく聞くことができる。したがって、通話が終了した後も、録音した通話を聞き取りやすい状態で再生することができる。
【0024】
また本発明によれば、アクセス速度の遅い記憶手段を用いることができるので、装置のコストを低減することができる。
【0025】
また本発明によれば、リングバッファの数以上の録音を行うことができるので、聞き逃した通話の時間が短かければ、より多くの録音を保存することができる。
【0026】
また本発明によれば、リングバッファではない普通のバッファを用いることによって、聞き逃した通話などの通話を1つのリングバッファで複数録音することができるので、リングバッファを複数用いる場合よりも、メモリのコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施の一形態である電話機1の概略の構成を模式的に示す。電話装置である電話機1は、制御装置11、網制御装置12、ハンドセット13、録音再生装置14、音声記憶装置15、および入力装置16を含む。
【0028】
制御装置11は、たとえばCPU(Central Processing Unit)などの中央処理装置および半導体メモリなどの記憶装置によって構成され、中央処理装置が記憶装置に記憶されるプログラムを実行することによって、網制御装置12、ハンドセット13、録音再生装置14、および入力装置16を制御する。網制御装置12は、たとえばアナログスイッチおよびミキシング部によって構成され、網つまり電話回線網を介して電話交換局と接続され、電話機1と電話交換局との通信を制御し、通話情報を送受信する。ハンドセット13は、利用者が通話するための送受話器であり、マイクとスピーカとを含む。送受話器は、必ずしもハンドセット13である必要はなく、たとえばスピーカホンなどマイクとスピーカを有するものであればよい。ユーザがハンドセット13によって通話を行うと、その通話の通話情報が網制御装置12によって相手方電話機と送受信される。
【0029】
録音再生装置14は、通話を録音および再生する装置である。録音の場合、制御装置11を介して、網制御装置12およびハンドセット13から送られてくる通話情報を音声記憶装置15に書き込み記憶させる。再生の場合、音声記憶装置15に記憶される通話情報を読み出して制御装置11を介して、網制御装置12あるいはハンドセット13に送る。
【0030】
音声記憶装置15は、たとえば半導体メモリ、ハードディスク装置、あるいは磁気テープ装置などの記憶装置によって構成され、録音再生装置14から指示される情報を記憶する。入力装置16は、たとえば操作パネルによって構成され、通話の録音を指示する録音ボタン161、録音の再生を指示する再生ボタン162、および記号「*」および「#」ならびに数字を入力する操作ボタン群163を含む。録音ボタン161を押すと、押された時点の所定時間前の時点からその時点までの通話が録音される。再生ボタン162を押すと、録音された通話が再生される。入力装置16は、各ボタンによって入力された情報を制御装置11に送る。
【0031】
図2は、図1に示した音声記憶装置15の構成を示す。音声記憶装置15は、第1の記憶手段20および第2の記憶手段30を含む。第1の記憶手段20は、たとえばRAM(
Random Access Memory)によって構成され、複数のリングバッファが形成される。リングバッファは、データをリングバッファの最初のアドレスから順次記憶していき、最後のアドレスまで記憶すると、続くデータを最初のアドレスから上書きで記憶するバッファである。各リングバッファは、予め定める記憶容量たとえば数秒ないし数十秒間の音を記憶することができる記憶容量であり、記憶容量は使用目的に応じて決定することができる。リングバッファは、録音再生装置14からの通話情報(以下「音声データ」という)を記憶する記憶動作と、記憶している音声データを読み出して録音再生装置14へ送り再生させる再生動作と、記憶している音声データを読み出して第2の記憶手段に記憶する移動動作との3つの動作を行う。これらの動作は、それぞれ独立しており、同時に行うことはできない。図2に示した第1の記憶手段20には、3つのリングバッファa21、リングバッファb22、およびリングバッファc23が示されている。
【0032】
第2の記憶手段30は、たとえばフラッシュメモリあるいはハードディスク装置によって構成される不揮発性の記憶装置である。第2の記憶手段30の書き込みおよび読み出し速度は、第1の記憶手段20に比べて遅いものでよい。第2の記憶手段へデータを記憶する際、記憶するデータ量を減らすために、データを圧縮して記憶する。圧縮は、たとえば制御装置11が行ってもよいし、録音再生装置14が行ってもよいし、専用の圧縮回路を設けてもよい。第2の記憶手段は、第1の記憶手段のリングバッファのうち、音声データを記憶中に録音ボタン161によって録音の指示があったリングバッファの音声データを記憶するための記憶装置である。第2の記憶手段30は、電話機1の電源がオフされても、音声データを消去せずに保持することができる。以下「録音する」とは、リングバッファへの音声データの書き込みを停止し、リングバッファに記憶された音声データを保存状態にすることをいう。「録音された音声データ」とは、第1の記憶手段のリングバッファに記憶された保存状態の音声データおよび第2の記憶手段に記憶された音声データのことをいう。
【0033】
図3は、図1に示した音声記憶装置15に記憶される第1の記憶手段管理情報の一例を示す。第1の記憶手段管理情報は、「状態」、「データサイズ」、および「開始アドレス」の3つの項目についての情報を、リングバッファを識別するためのリングバッファ識別情報毎に示すテーブルであり、録音再生装置14によって管理される。「状態」は、各リングバッファの状態を示す状態情報であり、「データサイズ」は、各リングバッファに記憶されている音声データのデータサイズを示すサイズ情報であり、「開始アドレス」は、音声データを記憶しているアドレスの開始アドレスを示すアドレス情報である。リングバッファの「状態」には、音声データを記憶していない状態であることを示す「空き」、音声データを書き込み中であることを示す「記憶中」、および記憶した音声データが録音された状態になっていることを示す「保存」がある。
【0034】
図3に示した第1の記憶手段管理情報は、リングバッファa21、リングバッファb22、およびリングバッファc23について示している。リングバッファa21については、状態は「保存」であり、データサイズは「1000」バイトであり、開始アドレスは「0」番地である。リングバッファb22については、状態は「記憶中」であり、データサイズは「500」バイトであり、開始アドレスは「1000」番地である。リングバッファc23については、状態は「空き」であり、データサイズは「0」バイトであり、開始アドレスは空欄である。データサイズおよび開始アドレスは、いずれも、たとえば10進数で表されている。
【0035】
図4は、図1に示した音声記憶装置15に記憶される第2の記憶手段管理情報の一例を示す。第2の記憶手段管理情報は、「状態」および「データサイズ」の2つの項目についての情報を、第2の記憶手段に記憶されている音声データつまり第2の記憶手段に録音されている音声データを識別するための識別情報毎に示すテーブルであり、録音再生装置14によって管理される。「状態」は、音声データが記憶されているか否かを示す状態情報であり、「データサイズ」は、第2の記憶手段に記憶されている音声データ毎のデータサイズを示すサイズ情報である。
【0036】
図4に示した第2の記憶手段管理情報は、音声データの識別情報「録音01」、「録音02」、および「録音03」について示している。録音01については、状態は「あり」つまり音声データが録音されており、データサイズは「800」バイトである。録音02および録音03については、いずれも状態は「なし」つまり音声データは録音されておらず、データサイズは空欄である。
【0037】
図5は、図2に示した音声記憶装置15への記憶動作を説明するための図である。図5に示した各リングバッファの右横に各リングバッファの状態を示している。図5(a)は、リングバッファa21への記憶動作を示す。制御装置11は、相手方電話機と回線が接続されると、記憶の開始を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から記憶の開始を指示されると、網制御装置12およびハンドセット13から送られてくる音声データをリングバッファa21に書き込み記憶させる。録音再生装置14は、リングバッファa21の状態を「記憶中」にする。
【0038】
図5(b)は、リングバッファb22への記憶動作を示す。図5(a)の状態で、録音ボタン161によって録音が指示されると、制御装置11は、録音再生装置14に録音を指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音を指示されると、リングバッファa21への音声データの書き込みを停止し、引続く音声データをリングバッファb22に書き込み記憶させる。録音再生装置14は、リングバッファa21の状態を「保存」とし、リングバッファb22の状態を、「記憶中」とする。
【0039】
図5(c)は、リングバッファc23への記憶動作を示す。図5(b)の状態で、録音ボタン161によって録音が指示されると、制御装置11は、録音再生装置14に録音を指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音を指示されると、リングバッファb22への音声データの書き込みを停止し、引続く音声データをリングバッファc23に書き込み記憶させる。録音再生装置14は、リングバッファb22の状態を「保存」とし、リングバッファc23の状態を「記憶中」とする。
【0040】
図5に示した第1の記憶手段20には、4つ目以降のリングバッファを記載していないが、4つ目以降のリングバッファがある場合は、4つ目以降のリングバッファについても、録音ボタン161によって録音が指示される度に、音声データを記憶しているリングバッファへの音声データの書き込みを停止し、引続く音声データを次のリングバッファに書き込み記憶させる。
【0041】
図6は、図2に示した音声記憶装置15への記憶動作の時間推移を通話開始から録音操作(3)が行われるまで模式的に示す。通話開始から録音操作(2)が行われるまでの時間推移は図5に示した記憶動作に対応している。左端に操作を、そして右側に各リングバッファの状態を、下方向への時間推移で示している。
【0042】
通話が開始されると、つまり相手方電話機と回線が接続されると、リングバッファa21への音声データの記憶が開始され、リングバッファa21の状態は「記憶中」となる。次に、録音操作(1)が行われると、リングバッファa21の状態は「保存」となり、区間1の音声データがリングバッファa21に保存され、録音された状態となる。さらに、引続く音声データのリングバッファb22への記憶を開始し、リングバッファb22の状態は「記憶中」となる。
【0043】
次に、録音操作(2)が行われると、リングバッファb22の状態は「保存」となり、区間2の音声データがリングバッファb22に保存され、録音された状態となる。さらに、引続く音声データのリングバッファc23への録音を開始し、リングバッファc23の状態は「記憶中」となる。録音操作(3)が行われると、リングバッファc23の状態は「保存」となり、区間3の音声データがリングバッファc23に保存され、録音された状態となる。
【0044】
図7は、図2に示した第2の記憶手段への移動動作を説明するための図である。図7(a)は、図5(c)と同じ状態を示しており、説明は重複を避けるため省略する。図7(a)の状態で、通話が終了すると、つまり相手方電話機との回線が切断されると、制御装置11は、記憶の停止を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から記憶の停止を指示されると、リングバッファc23への音声データの書き込みを停止し、リングバッファc23の状態を「保存」とする。さらに、録音再生装置14は、状態が「保存」であるリングバッファに記憶される音声データを読み出して、第2の記憶手段に書き込んで記憶させる。
【0045】
図7(b)は、音声データが第1の記憶手段20から第2の記憶手段30に移動された後の状態を示している。各リングバッファの状態は「空き」となり、第2の記憶手段30に、3つの音声データ、つまり「録音01」、「録音02」、および「録音03」の音声データが記憶されている。「録音01」は、リングバッファa21に記憶されていた音声データであり、「録音02」は、リングバッファb22に記憶されていた音声データであり、「録音03」は、リングバッファc23に記憶されていた音声データである。
【0046】
記憶の停止を指示されたときに、音声データの書き込みを行っているリングバッファに記憶された音声データを録音させない場合は、記憶の停止を指示されたときに、音声データの書き込みを行っているリングバッファの状態を「保存」にしないようにすればよい。この場合、図7に示したリングバッファc23の音声データは、第2の記憶手段30に移動されない。
【0047】
図8は、図2に示した音声記憶装置15への通話開始から通話終了までの記憶動作および移動動作の時間推移を模式的に示す。通話開始から録音操作(3)までの動作は、図6に示した時間推移と同じであり、説明は重複を避けるため省略する。
【0048】
通話が終了すると、つまり相手方電話機との回線が切断されると、制御装置11は、記憶の停止を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から記憶の停止を指示されると、リングバッファの状態が「保存」であるリングバッファに記憶されている音声データを読み出して、第2の記憶手段30に書き込み移動する。すなわち、リングバッファa21に録音された音声データを第2の記憶手段30に移動し、次にリングバッファb22に録音された音声データを第2の記憶手段30に移動し、さらにリングバッファc23に録音された音声データを第2の記憶手段30に移動する。図7(b)が、これらの音声データが第2の記憶手段30に移動された状態を示している。
【0049】
図9は、図5に示した記憶動作の途中で再生動作が行われた場合の時間推移を模式的に示す。通話開始から録音操作(2)までの動作は、図6に示した時間推移と同じであり、説明は重複を避けるため省略する。
【0050】
録音操作(2)の後、再生ボタン162によって再生が指示されると、制御装置11は、録音の再生を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音の再生を指示されると、リングバッファの状態が「保存」であるリングバッファに記憶されている音声データを読み出して再生する。すなわち、まずリングバッファa21に記憶されている音声データを再生し、制御装置11を介して網制御装置12およびハンドセット13に送る。リングバッファa21に記憶されている音声データの再生が終了すると、リングバッファb22に記憶されている音声データを再生し、制御装置11を介して網制御装置12およびハンドセット13に送る。
【0051】
図10は、図5に示した記憶動作の途中で再生動作を行った後記憶動作を再開する場合の時間推移を模式的に示す。通話開始から録音操作(1)までの動作は、図6に示した時間推移と同じであり、説明は重複を避けるため省略する。
【0052】
録音操作(1)の後、再生ボタン162によって再生が指示されると、制御装置11は、録音の再生を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音の再生を指示されると、リングバッファの状態が「保存」であるリングバッファに記憶されている音声データを読み出して再生する。制御装置11から録音の再生を指示されたときに、リングバッファへの音声データの書き込みを行っている場合は、その書き込みを停止した後、リングバッファの状態が「保存」であるリングバッファに記憶されている音声データを読み出して再生する。すなわち、図10に示した例では、リングバッファb22への音声データの書き込みを停止した後、リングバッファa21に記憶されている音声データを再生し、制御装置11を介して網制御装置12およびハンドセット13に送る。
【0053】
リングバッファa21に記憶されている音声データの再生が終了すると、引続く音声データを、再びリングバッファb22に、既に記憶されている音声データに継続して書き込み記憶させる。あるいは、引続く音声データを、リングバッファb22の最初のアドレスから書き込み記憶させてもよい。その後、録音操作(2)が行われると、リングバッファb22への音声データの書き込みを停止し、リングバッファb22の状態を「保存」とする。
【0054】
相手方電話機と回線が切断された後に、再生ボタン162によって再生が指示された場合については、第2の記憶手段30からの読み出し速度が遅く、さらに圧縮を伸張するので、第2の記憶手段30に記憶されている音声データを、一旦リングバッファに移動した後、リングバッファから読み出して再生する。具体的には、相手方電話機と回線が切断された後に、再生ボタン162によって再生が指示されると、制御装置11は、録音の再生を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音の再生を指示されると、第2の記憶手段30に記憶されている音声データのうちの1つの音声データを読み出して、1つのリングバッファに書き込み、リングバッファに書き込んだ音声データを読み出して再生する。再生が終了すると、第2の記憶手段30に記憶されている残りの音声データについて、同様の処理を行う。
【0055】
このように、入力手段であるたとえば入力装置16によって、通話の録音を指示するための録音指示情報および通話の再生を指示するための再生指示情報が入力され、再生手段であるたとえば録音再生装置14によって、通話が再生され、制御手段であるたとえば制御装置11によって、相手方電話装置と回線が接続されると、複数の予め定める記憶容量を有するリングバッファのうちの1つのリングバッファによって相手方電話装置との通話情報の記憶が開始され、相手方電話装置と回線が接続されてから回線が切断されるまでの期間に入力手段によって録音指示情報が入力される度に、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止され、さらにまだ通話情報を記憶していないリングバッファによって、引続く通話情報の記憶が開始され、相手方電話装置と回線が接続されているときに入力手段によって再生指示情報が入力されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止された後、通話情報の記憶が停止されたリングバッファを除くリングバッファに記憶された通話情報が再生手段によって再生されるので、録音指示がある度にリングバッファの記憶容量分の録音を行い、再生時はリングバッファへの記憶を停止することができ、聞き逃した場合など少し前からの通話をより少ないメモリ容量で複数録音することができる。したがって、必要な通話の部分のみを記録することができ、記憶容量を無駄にしない。さらに、後から必要な通話を探す手間が少ない。
【0056】
さらに、制御手段であるたとえば制御装置11によって、再生手段であるたとえば録音再生装置14による再生が終了すると、入力手段であるたとえば入力装置16によって再生指示情報が入力されたときに通話情報の記憶が停止されたリングバッファによって、引続く通話情報が、すでに記憶されている音声データに継続して記憶されるので、再生中以外は常に通話をリングバッファに記憶することができる。したがって、再生直後に録音指示があっても必要な通話を途切れることなく録音することができる。
【0057】
さらにまた、不揮発性の記憶手段であるたとえば第2の記憶手段30がさらに含まれ、制御手段であるたとえば制御装置11によって、相手方電話装置と回線が切断されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止された後、リングバッファに記憶された通話情報が記憶手段に記憶され、相手方電話装置と回線が切断された後に、入力手段によって再生指示情報が入力されると、記憶手段であるたとえば第2の記憶手段30に記憶された通話情報がリングバッファに記憶され、記憶手段からリングバッファに記憶された通話情報が、再生手段によって再生されるので、通話情報に対して圧縮など処理時間のかかる変換処理を行って、不揮発性の記憶手段に記憶するので、電話装置の電源が切断された後も、通話情報を保持することができ、不揮発性の記憶手段も記憶容量を低減することができ、さらに不揮発性の記憶手段に記憶された通話情報をリングバッファに移して再生するので、不揮発性の記憶手段の読み出し速度が遅くても、あるいは圧縮されたデータを伸張するのに時間がかかっても、再生する通話を断続させることなく聞くことができる。したがって、通話が終了した後も、録音した通話を聞き取りやすい状態で再生することができる。
【0058】
さらに、記憶手段であるたとえば第2の記憶手段30は、データの読み出しおよび書き込み速度がリングバッファよりも遅いので、アクセス速度の遅い記憶手段を用いることができる。したがって、装置のコストを低減することができる。
【0059】
上述した実施の形態では、1つのリングバッファに音声データを書き込んでいるときに、録音ボタン161によって録音が指示されると、そのリングバッファへの音声データの書き込みを停止し、引続く音声データを次のリングバッファに書き込んでいるが、書き込みを停止したリングバッファに記憶されている音声データのデータ量が少ない場合は、引続く音声データを次のリングバッファに書き込まずに、書き込みを停止したリングバッファに記憶された音声データを第2の記憶手段へ書き込んだ後、再び書き込みを停止したリングバッファに記憶させてもよい。
【0060】
具体的には、たとえばリングバッファa21への音声データの書き込みを行っているときに、録音ボタン161によって録音が指示されると、制御装置11は、録音再生装置14に録音を指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音を指示されると、リングバッファa21への音声データの書き込みを停止し、リングバッファa21に記憶した音声データの容量が、所定のデータ容量未満か否か判定する。所定のデータ容量未満でなければ、引続く音声データをリングバッファb22に書き込んで記憶させる。
【0061】
所定のデータ容量未満であれば、リングバッファa21に記憶された音声データを読み出して第2の記憶手段30に書き込んで移動する。第2の記憶手段30に移動した後、引続く音声データを再びリングバッファa21の記憶領域の最初から書き込み記憶させる。所定のデータ容量は、音声データをリングバッファから読み出して第2の記憶手段30へ書き込み移動させる時間によって規定されるデータ容量である。その移動させる時間は、人間が通話を行う際に、通話が一瞬途切れても支障のない最大の時間であり、たとえば0.1秒である。すなわち、所定のデータ容量は、その時間に移動することができる最大のデータ容量である。
【0062】
このように、制御手段であるたとえば制御装置11によって、入力手段であるたとえば入力装置16によって録音指示情報が入力され、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止されたとき、そのリングバッファに記憶された通話情報の容量が予め定める容量未満か否かが判定され、予め定める容量未満の場合は、そのリングバッファに記憶された通話情報が記憶手段であるたとえば第2の記憶手段30に記憶された後、そのリングバッファによって、引続く通話情報が記憶領域の最初から記憶されるので、リングバッファの数以上の録音を行うことができる。したがって、聞き逃した通話の時間が短かければ、より多くの録音を保存することができる。
【0063】
さらに、上述した実施の形態では、複数のリングバッファを用いたが、リングバッファを1つにし、リングバッファではない普通のバッファを複数用いてもよい。普通のバッファは、たとえばRAMによって構成され、書き込み速度は、第2の記憶手段であるたとえばフラッシュメモリよりも早い。この場合、リングバッファへの音声データの記憶が一瞬と切れるが、リングバッファに記憶している音声データを読み出して、読み出した音声データを普通のバッファに書き込むのに要する時間がたとえば0.1秒未満の時間で短いので、実用上支障はない。
【0064】
具体的には、制御装置11は、相手方電話機と回線が接続されると、録音を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音を指示されると、網制御装置12およびハンドセット13から送られてくる音声データをリングバッファに書き込み記憶させる。録音ボタン161によって録音が指示されると、制御装置11は、録音再生装置14に録音を指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音を指示されると、リングバッファへの音声データの書き込みを停止し、停止した時点にリングバッファに記憶された音声データを読み出して、普通のバッファの1つに書き込む。普通のバッファへの書き込みが終了すると、音声データが読み出されたリングバッファの領域の最初から、引続く新たな音声データを書き込む。次に録音ボタン161によって録音が指示されると、リングバッファに記憶された音声データを読み出して、次の普通のバッファに音声データを記憶する。
【0065】
相手方電話機と回線が切断されると、制御装置11は、記憶の停止を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から記録の停止を指示されると、リングバッファに記憶されている音声データおよび普通のバッファに記憶されている音声データを読み出して、第2の記憶手段に書き込み移動する。
【0066】
相手方電話機と回線が切断される前に、再生ボタン162によって再生が指示されると、制御装置11は、録音の再生を録音再生装置14に指示する。録音再生装置14は、制御装置11から録音の再生を指示されると、普通のバッファに記憶されている音声データを一旦リングバッファに移して、リングバッファに移された音声データを再生する。再生が終了すると、引続く音声データをリングバッファに書き込み記憶させる。
【0067】
このように、入力手段であるたとえば入力装置16によって、通話の録音を指示するための録音指示情報および通話の再生を指示するための再生指示情報が入力され、再生手段であるたとえば録音再生装置14によって、通話が再生され、制御手段であるたとえば制御装置11によって、相手方電話装置と回線が接続されると、1つの予め定める記憶容量を有するリングバッファによって相手方電話装置との通話情報の記憶が開始され、相手方電話装置と回線が接続されてから回線が切断されるまでの期間に入力手段によって録音指示情報が入力される度に、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させ、さらにリングバッファに記憶された通話情報が読み出され、読み出された通話情報が、リングバッファの記憶容量と同じ記憶容量であってリングバッファではない複数のバッファ記憶手段のうち、まだ通話情報を記憶していないバッファ記憶手段によって記憶された後、リングバッファによって、引続く通話情報が記憶領域の最初から記憶され、相手方電話装置と回線が接続されているときに入力手段によって再生指示情報が入力されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶が停止された後、各バッファ記憶手段によって記憶させた通話情報が読み出されてリングバッファに記憶され、リングバッファに記憶された通話情報が再生手段によって順次再生されるので、リングバッファではない普通のバッファを用いることによって、聞き逃した通話などの通話を1つのリングバッファで複数録音することができる。したがって、リングバッファを複数用いる場合よりも、メモリのコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の一形態である電話機1の概略の構成を模式的に示す。
【図2】図1に示した音声記憶装置15の構成を示す。
【図3】図1に示した音声記憶装置15に記憶される第1の記憶手段管理情報の一例を示す。
【図4】図1に示した音声記憶装置15に記憶される第2の記憶手段管理情報の一例を示す。
【図5】図2に示した音声記憶装置15への記憶動作を説明するための図である。
【図6】図2に示した音声記憶装置15への記憶動作の時間推移を通話開始から録音操作(3)が行われるまで模式的に示す。
【図7】図2に示した第2の記憶手段への移動動作を説明するための図である。
【図8】図2に示した音声記憶装置15への通話開始から通話終了までの記憶動作および移動動作の時間推移を模式的に示す。
【図9】図5に示した記憶動作の途中で再生動作が行われた場合の時間推移を模式的に示す。
【図10】図5に示した記憶動作の途中で再生動作を行った後記憶動作を再開する場合の時間推移を模式的に示す。
【符号の説明】
【0069】
1 電話機
11 制御装置
12 網制御装置
13 ハンドセット
14 録音再生装置
15 音声記憶装置
16 入力装置
20 第1の記憶手段
21〜23 リングバッファ
30 第2の記憶手段
161 録音ボタン
162 再生ボタン
163 操作ボタン群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の予め定める記憶容量を有するリングバッファと、
通話の録音を指示するための録音指示情報および通話の再生を指示するための再生指示情報を入力する入力手段と、
通話を再生する再生手段と、
制御手段であって、
相手方電話装置と回線が接続されると、前記複数のリングバッファのうちの1つのリングバッファによって相手方電話装置との通話情報の記憶を開始させ、
相手方電話装置と回線が接続されてから回線が切断されるまでの期間に入力手段によって録音指示情報が入力される度に、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させ、さらにまだ通話情報を記憶していないリングバッファによって、引続く通話情報の記憶を開始させ、
相手方電話装置と回線が接続されているときに入力手段によって再生指示情報が入力されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させた後、通話情報の記憶が停止されたリングバッファを除くリングバッファに記憶された通話情報を再生手段によって再生させる制御手段とを含むことを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記再生手段による再生が終了すると、前記入力手段によって再生指示情報が入力されたときに通話情報の記憶が停止された前記リングバッファによって、引続く通話情報を、すでに記憶している通話情報に継続して記憶させることを特徴とする請求項1に記載の電話装置。
【請求項3】
不揮発性の記憶手段をさらに含み、
前記制御手段は、
相手方電話装置と回線が切断されると、通話情報の記憶を行っている前記リングバッファによる通話情報の記憶を停止させた後、リングバッファに記憶された通話情報を記憶手段に記憶させ、
相手方電話装置と回線が切断された後に、前記入力手段によって再生指示情報が入力されると、記憶手段に記憶された通話情報をリングバッファに記憶させ、記憶手段からリングバッファに記憶された通話情報を、前記再生手段によって再生させることを特徴とする請求項1に記載の電話装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、データの読み出しおよび書き込み速度が前記リングバッファよりも遅いことを特徴とする請求項3に記載の電話装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記入力手段によって録音指示情報が入力され、通話情報の記憶を行っている前記リングバッファによる通話情報の記憶を停止させたとき、そのリングバッファに記憶された通話情報の容量が予め定める容量未満か否かを判定し、予め定める容量未満の場合は、そのリングバッファに記憶された通話情報を前記記憶手段に記憶させた後、そのリングバッファによって、引続く通話情報を記憶領域の最初から記憶させることを特徴とする請求項4に記載の電話装置。
【請求項6】
1つの予め定める記憶容量を有するリングバッファと、
リングバッファの記憶容量と同じ記憶容量であってリングバッファではない複数のバッファ記憶手段と、
通話の録音を指示するための録音指示情報および通話の再生を指示するための再生指示情報を入力する入力手段と、
通話を再生する再生手段と、
制御手段であって、
相手方電話装置と回線が接続されると、リングバッファによって相手方電話装置との通話情報の記憶を開始させ、
相手方電話装置と回線が接続されてから回線が切断されるまでの期間に入力手段によって録音指示情報が入力される度に、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させ、さらにリングバッファに記憶された通話情報を読み出し、読み出した通話情報を、まだ通話情報を記憶していないバッファ記憶手段によって記憶させた後、リングバッファによって、引続く通話情報を記憶領域の最初から記憶させ、
相手方電話装置と回線が接続されているときに入力手段によって再生指示情報が入力されると、通話情報の記憶を行っているリングバッファによる通話情報の記憶を停止させた後、各バッファ記憶手段によって記憶された通話情報を読み出してリングバッファに順次記憶させ、リングバッファに記憶された通話情報を再生手段によって順次再生させる制御手段とを含むことを特徴とする電話装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−325036(P2007−325036A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153981(P2006−153981)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】