霊長類プロキネチシンおよびプロキネチシン受容体ポリペプチド、関連した組成物および方法
本発明は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたリスザルプロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチドを提供する。本発明は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたチンパンジーPKR2も提供する。リスザルPKR2ポリペプチドを使用する、PKR2アゴニストおよびアンタゴニストを同定する方法も提供される。加えて本発明は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK2ポリペプチドを提供する。更に開示されたポリペプチドをコードしている核酸分子が、本発明により提供される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
プロキネチシンは、概日リズム;血管新生;胃の収縮性および運動性;胃酸およびペプシノーゲン分泌;疼痛;ならびに、神経発生を含む、いくつかの生物学的機能において役割を有する分泌タンパク質である。プロキネチシン1(PK1)およびプロキネチシン2(PK2)は、プロキネチシン受容体1(PKR1)およびプロキネチシン受容体2(PKR2)と称される、G-タンパク質結合性受容体へ結合することにより、細胞反応を誘導し、その結果受容体シグナル伝達の活性化を生じる。正常なプロキネチシン受容体シグナル伝達は、ヒトにおける様々な組織の発達および機能に寄与している。例えば疾患のためにこの正常なシグナル伝達が破壊された場合、望ましくない変化が、細胞、組織および生物全体レベルで生じ得る。これらの変化は、不適切なプロキネチシン受容体シグナル伝達に関連した様々な状態および疾患において顕在化され得る。
【0002】
不適切なプロキネチシン受容体シグナル伝達に関連した状態を治療するために、正常なまたはそうでなければ最適な量のシグナル伝達を得るように受容体活性を変更する薬物を同定することが望ましい。このような薬物を、例えば、不充分なプロキネチシン受容体活性に関連した状態を有する個体において受容体シグナル伝達を増加するか、または過剰なプロキネチシン受容体活性に関連した状態を有する個体において受容体シグナル伝達を減少するために使用することができる。従って、プロキネチシン受容体を調節する薬物の同定は、少なくとも一部、不充分なまたは過剰なプロキネチシン受容体シグナル伝達に寄与した様々な状態を罹患した個体に緩和を提供することが期待されている。
【0003】
従って、プロキネチシン受容体シグナル伝達を調節する化合物および方法を同定する必要性が存在する。本発明はこの必要性を満たし、更に関連した利点を提供する。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたリスザルプロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチドを提供する。更に本発明は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたチンパンジーPKR2を提供する。リスザルPKR2またはチンパンジーPKR2を使用し、PKR2アゴニストを同定する方法を更に提供する。この方法は、(a)配列番号:2または配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および(b)PKR2シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアゴニストとして特徴付けられることに関連している。
【0005】
本発明は、PKR2アンタゴニストを同定する方法も提供する。この方法は、配列番号:2または配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および、(b)PKR2シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアンタゴニストとして特徴付けられることに関連している。
【0006】
本発明は、リスザルPKR2ポリペプチドをコードしている、単離された核酸分子を提供し、これは配列番号:1に示されたヌクレオチド配列を含む。同じく、チンパンジーPKR2ポリペプチドをコードしている単離された核酸分子も提供され、これは配列番号:3に示されたヌクレオチド配列を含む。更に、遺伝子発現のプロモーターに機能的に連結されたリスザルまたはチンパンジーPKR2核酸分子を含む発現ベクターが提供される。本発明は、リスザルまたはチンパンジーPKR2核酸分子を含有する発現ベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0007】
本発明は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルプロキネチシン2(PK2)ポリペプチドを提供する。同じくアカゲザルPK2ポリペプチドをコードしている単離された核酸分子も提供され、これは配列番号:5に示されたヌクレオチド配列を含む。加えて遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された、この核酸分子を含む発現ベクターが提供される。アカゲザルPK2発現ベクターを含む宿主細胞が更に提供される。
【0008】
本発明は、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルプロキネチシン受容体1(PKR1)ポリペプチドを提供する。同じく配列番号:35のポリペプチドをコードしている核酸が提供され、そのような核酸は、配列番号:34の核酸を含む。更にアカゲザルPKR1を用いて、PKR1アゴニストを同定する方法が提供される。この方法は、(a)配列番号:35のアミノ酸配列を含むPKR1ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および、(b)PKR1シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、ここで該化合物が、該PKR1のアゴニストとして特徴付けられることに関連している。
【0009】
本発明は、配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルプロキネチシン1(PK1)ポリペプチドを提供する。同じく、アカゲザルPK1ポリペプチドをコードしている単離された核酸分子が提供され、これは配列番号:29に示されたヌクレオチド配列を含む。加えて、遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された、この核酸分子を含む発現ベクターが提供される。更にアカゲザルPK1発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0010】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子も提供される:
(a)配列番号:1、3、5、29または34のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:2、4、6、30または35のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および、
(c)(a)または(b)に特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【0011】
本発明は更に、PKR1アンタゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、(a)配列番号:35のアミノ酸配列を含むPKR1ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および、(b)PKR1シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR1のアンタゴニストとして特徴付けられることに関連している。
【0012】
本発明は、アカゲザルPKR1ポリペプチドをコードしている単離された核酸分子を提供し、これは配列番号:34に示されたヌクレオチド配列を含む。更に遺伝子発現のプロモーターに機能的に連結された、アカゲザル核酸分子を含む発現ベクターが提供される。本発明は、アカゲザルPKR1核酸分子を含有する発現ベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、新たに同定された霊長類プロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチドおよびプロキネチシン2(PK2)ポリペプチド、更にはコード核酸分子を提供する。特にリスザルおよびチンパンジー由来のPKR2ポリペプチド、ならびにアカゲザル由来のPKR2、PK1およびPK2が提供される。本発明のPKR2、PK1およびPK2ポリペプチドは、例えば受容体アゴニストおよびアンタゴニストを含む、プロキネチシン受容体を調節する化合物の同定のためのスクリーニング法において使用することができる。
【0014】
本発明の方法を用いて同定されたアゴニストおよびアンタゴニストは、異常に低いかまたは高いレベルのPKR1および/またはPKR2活性に関連した状態を治療するために、個体において、PKR1および/またはPKR2活性を調節するために有益に使用することができる。例えば、PKR2は動物において概日リズム機能を媒介することができるので(Cheng et al., Nature, 247:405-410(2002))、PKR2を調節する化合物は、睡眠障害、交代勤務障害、季節性鬱病、および時差のような、概日リズム機能の障害を治療するために使用することができる。
【0015】
更にPKR2は、上皮を含む様々な組織における血管新生を媒介することができるので(LeCouter et al., Nature 412:877-884(2001);Lin et al., J. Biol. Chem. 277:19(2002))、PKR2アンタゴニストは、プロキネチシン受容体発現組織における血管新生を低下または阻害するために使用することができる。このようなアンタゴニストは、癌、ならびに月経過多、子宮内膜症、機能不全性子宮出血、フィブロイドおよびアデノイオーシス(adenoyosis)などの女性の生殖機能障害を治療するために有用である。
【0016】
同じくPKR2は、胃の収縮性および運動性を媒介し、更に胃酸およびペプシノーゲンの分泌を媒介するので、PKR2を調節する化合物は、例えば、胃逆流症(GERD)、過敏性腸症候群、術後イレウス、糖尿病性胃不全麻痺、慢性便秘などを治療するために使用することができ、ならびに化学療法の胃腸の副作用を軽減するために使用することができる。更にPKR2は神経発生を媒介するので、PKR2受容体を調節する化合物は、脳卒中および外傷により誘導されたものを含む神経障害を治療するために使用することができる。PKR2を調節する化合物を用い治療することができる他の適応症は、虚血性心疾患、重症四肢虚血、創傷治癒および火傷、癌、糖尿病性網膜症、ならびに関節炎および乾癬などの炎症疾患を含む。
【0017】
加えて、PKR1とPKR2の間の配列類似性のために、本発明のアッセイ方法は、PKR2結合のモデルとしてPKR1を使用するか、またはその逆でも使用することができる。従ってPKR1を使用し、PKR2の可能性のあるアゴニストまたはアンタゴニストを同定することができる。
【0018】
本明細書において開示されたアカゲザルPKR1アミノ酸配列(配列番号:35)は、図14に示されたように、いくつかの位置でヒトPKR1(配列番号:36)とは異なる。例えば、ヒトPKR1(配列番号:36)との比較において、アカゲザルPKR1(配列番号:35)は、22位にバリンではなくアラニン、31位にトレオニンではなくアラニン、40位にセリンではなくグリシン、82位にイソロイシンに対しバリン、135位にバリンに対しイソロイシン、210位にリシンに対しアルギニン、246位にバリンではなくフェニルアラニン、348位にアスパラギン酸に対しアスパラギン、および350位にバリンの代わりにアラニンを含む。
【0019】
本明細書おいて開示されたリスザルPKR2アミノ酸配列(配列番号:2)は、図3に示したように、公知の霊長類PKR2アミノ酸配列とはいくつかのアミノ酸位置で異なる。例えば、ヒトPKR2(配列番号:7)(GenBank AF506288)との比較において、リスザルPKR2配列は、11位にトレオニンではなくアラニン残基、69位にイソロイシンではなくバリン残基、248位にアルギニンではなくグルタミン残基、282位にトレオニンではなくメチオニン残基、368位にアルギニンではなくリシン残基、および374位にトレオニンではなくアラニン残基を含み;マカカ・ファシクラリス(Macaca Fascicularis)(オナガマカクザル)PKR2(配列番号:8)(PCT国際公開公報第01/53308号)と同じであることが明らかである、セルコピセカス・アエチオポス(Cercopithecus aethiops)(ベルベットモンキー)のPKR2(米国特許出願公報第0030059856号)との比較において、リスザルPKR2アミノ酸配列(配列番号:2)は、69位にイソロイシンではなくバリン残基、248位にアルギニンではなくグルタミン残基、282位にトレオニンではなくメチオニン残基、357位にトリプトファンではなくアルギニン残基、364位にグルタミン酸ではなくアスパラギン酸残基、および368位にアルギニンではなくリシン残基を含む。従って開示されたリスザルPKR2アミノ酸配列は、ヒトおよびベルベットモンキー/マカクザルの両方のPKR2アミノ酸配列とは複数のアミノ酸位置で異なる。
【0020】
本明細書において開示されたチンパンジーPKR2アミノ酸配列(配列番号:4)は、同じく図3に示したように、複数のアミノ酸位置で公知の霊長類PKR2アミノ酸配列とは異なる。例えば、ヒトPKR2(配列番号:7)(GenBank AF506288)との比較において、チンパンジーPKR2配列は、11位にトレオニンではなくアラニン残基、50位にフェニルアラニンではなくロイシン残基、56位にイソロイシンではなくバリン残基、および374位にトレオニンではなくアラニン残基を含み;マカカ・ファシクラリス(配列番号:8)(オナガマカクザル)PKR2(PCT国際公開公報第01/53308号)と同じであることが明らかである、セルコピセカス・アエチオポス(ベルベットモンキー)のPKR2(米国特許出願公報第0030059856号)との比較において、開示されたチンパンジーPKR2(配列番号:4)配列は、50位にフェニルアラニンではなくロイシン残基、56位にイソロイシンではなくバリン残基、357位にトリプトファンではなくアルギニン残基、および364位にグルタミン酸ではなくアスパラギン酸残基を含む。従って、開示されたチンパンジーPKR2アミノ酸配列は、ヒトおよびベルベットモンキー/マカクザルの両方のPKR2アミノ酸配列とは複数のアミノ酸位置で異なる。
【0021】
ある態様において、本発明は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたリスザルPKR2ポリペプチドを提供する。本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体2」または「PKR2」は、プロキネチシンに結合し、およびプロキネチシン結合に反応するG-タンパク質共役シグナル伝達経路を介しシグナル伝達する、ヘプタヘリカル(heptahelical)の膜貫通ポリペプチドを意味する。用語「リスザルプロキネチシン受容体2」および「リスザルPKR2」は、図1Bに示されたリスザルPKR2のアミノ酸配列(配列番号:2)を含むポリペプチドを意味する。
【0022】
別の態様において、本発明は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたチンパンジーPKR2ポリペプチドを提供する。用語「チンパンジープロキネチシン受容体2」、「チンパンジーPKR2」、「パン・トログロディテス(Pan troglodytes)PKR2」および「P.トログロディテスPKR2」は、図2Bに示されたチンパンジーPKR2のアミノ酸配列(配列番号:4)を含むポリペプチドを意味する。
【0023】
更なる態様において、本発明は、配列番号:35のアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPKR1ポリペプチドを提供する。用語「アカゲザルプロキネチシン受容体1」、「アカゲザルPKR1」および「レーサス(rhesus)PKR1」は全て、図13に示したアカゲザルPRK1のアミノ酸配列(配列番号:35)を含むポリペプチドを意味する。
【0024】
別の態様において、本発明は、配列番号:30のアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK1ポリペプチドを提供する。このアカゲザルPK1は、図11に示されたように、公知のPK1アミノ酸配列とは、3個のアミノ酸位置で異なる。図11に認められるように、ヒトPK1(配列番号:11)と比較した場合、アカゲザルPK1(配列番号:30)は、5位にアルギニンではなくロイシン、10位にロイシンに対しフェニルアラニンおよび66位にイソロイシンの代わりにバリンを有する。
【0025】
更に別の態様において、本発明は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK2ポリペプチドを提供する。本明細書において開示されたアカゲザルPK2アミノ酸配列は、図5に示したように、公知のPK2アミノ酸配列とは、複数のアミノ酸位置で異なる。例えばヒトPK2(GenBank NM 021935およびSheppardらの米国特許第6,485,938号参照)との比較において、アカゲザルPK2配列は、51位にフェニルアラニンではなくバリン残基、および79位にグルタミン酸ではなくアルギニン残基を含み;マウス/ラットPK2(GenBank AF 487280)との比較において、開示されたアカゲザルPK2配列は、36位にグルタミンではなくリシン残基、37位にバリンではなくロイシン残基、および51位にトリプトファンではなくバリン残基を含む。従って開示されたアカゲザルPK2アミノ酸配列は、ヒトおよびマウス/ラットPK2の両方と、複数のアミノ酸位置で異なる。
【0026】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン」または「PK」は、プロキネチシン受容体に結合し、およびこの受容体によりG-タンパク質共役シグナル伝達経路を介しシグナル伝達を誘起するペプチドを意味する。用語「アカゲザルPK2ポリペプチド」は、図4B(配列番号:6)において下線を引いていない配列として示したアカゲザル(rhesus)プロキネチシン2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、およびプロキネチシン活性を有する参照ポリペプチドの断片を意味する。用語「アカゲザルPK1ポリペプチド」は、配列番号:30のアカゲザルプロキネチシン1のアミノ酸配列を含むポリペプチドおよびプロキネチシン活性を有する参照ポリペプチドの断片を意味する。約85%同一であるアミノ酸配列を有する、PKR2とPKR1の間の相同性のために、本発明のPK2ポリペプチドは、PKR2またはPKR1アゴニストとして機能することができる。同様に本発明のPK1ポリペプチドは、PKR2またはPKR1アゴニストとして機能することができる。従って本発明のPK2ポリペプチドは、本発明のスクリーニング法に加え、PKR1またはPKR2の活性化が望ましいような様々な適用において、PKR2アゴニストとして使用することができる。同様に本発明のPK1ポリペプチドは、本発明のスクリーニング法に加え、PKR1またはPKR2の活性化が望ましいような様々な適用において、PKR1アゴニストとして使用することができる。
【0027】
本発明のポリペプチドは、配列番号:2、4または6、30または35などの、参照アミノ酸配列を、異種アミノ酸配列と共に含むことができる。異種アミノ酸配列の例は、精製タグ、検出タグ、および細胞局在化タグを含む。本発明のポリペプチドに含むことができるポリペプチドタグの非限定的例は、GSTタグ、Hisタグ、Flagタグ、Mycタグ、ヘマグルチニンタグ、マルチ親和性精製タグ(MAFT)、およびタンデム親和性精製(TAP)タグを含む。
【0028】
本発明は、リスザルPKR2アミノ酸配列(列番号:2)をコードしている配列を含む単離された核酸分子を提供する。本発明のリスザルPKR2核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド配列、または配列番号:1と実質的に同じヌクレオチド配列、またはそれらの断片を有することができ、ならびに任意にタグのような異種配列を含むことができる。更にチンパンジーPKR2アミノ酸配列(配列番号:4)をコードしている配列を含む単離された核酸分子が提供される。本発明のチンパンジーPKR2核酸分子は、配列番号:3のヌクレオチド配列、または配列番号:3と実質的に同じヌクレオチド配列、またはそれらの断片を有することができ、ならびに任意にタグのような異種配列を含むことができる。
【0029】
本発明は更に、アカゲザルPK2アミノ酸配列(配列番号:6)をコードしている配列を含む、単離された核酸分子も提供する。本発明のアカゲザルPK2核酸分子は、配列番号:5のヌクレオチド配列、または配列番号:5と実質的に同じヌクレオチド配列、またはそれらの断片を有することができ、ならびに任意にタグのような異種配列を含むことができる。
【0030】
本発明は更に、アカゲザルPKR1アミノ酸配列(配列番号:35)をコードしている配列を含む、単離された核酸分子を提供する。本発明のアカゲザルPKR1核酸分子は、配列番号:34のヌクレオチド配列、または配列番号:34と実質的に同じヌクレオチド配列、またはそれらの断片を有することができ、ならびに任意にタグのような異種配列を含むことができる。
【0031】
本発明の核酸分子は、様々な異種ヌクレオチド配列へ連結することができ、これは望ましいならば異種のポリペプチドまたはペプチドをコードすることができる。異種ヌクレオチド配列の例は、制限部位、プロモーターまたは他の調節エレメント、検出タグ、そのポリペプチド内のタグまたは他の有用な配列をコードしているヌクレオチド配列を含む。このようなタグの限定的でない例は、コードされたポリペプチドの単離に有用な精製タグおよびコードされたポリペプチドの検出に有用な検出タグを含む。
【0032】
本明細書において使用される用語「核酸分子」は、1本鎖または2本鎖であることができ、ゲノムDNA、cDNA、またはRNAに対応することができ、およびセンスまたはアンチセンスのいずれかまたは両方を表すことができる、天然のまたは合成の起源を持つ、オリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。
【0033】
用語「核酸分子」は、塩基、糖、もしくはリン酸部分の修飾を有するか、またはホスホロチオエート結合などの、非天然の結合を1個または複数有するようなヌクレオチドなどの、1個または複数の非天然のヌクレオチドを含む核酸分子を含むことが意図されている。このような修飾は、特にハイブリダイゼーションに適用する場合において使用される場合、核酸分子の安定性の増加において有利であることができる。
【0034】
更に用語「核酸分子」は、放射標識、蛍光色素、強磁性体、発光タグまたはビオチンなどの検出可能な結合物質のような、検出可能な部分を含むように修飾された核酸分子を含むことが意図されている。このような部分を含む核酸分子は、PKR2核酸分子の存在または発現を検出するためのプローブとして有用である。
【0035】
本発明の核酸は、それが対象核酸によりコードされたポリペプチドと少なくとも80%(例えば少なくとも85%、90%、95%、98%または99%)の同一であるポリペプチドをコードしている場合は、対象核酸と実質的に同じと見なされる。ヌクレオチドは、その配列が対象ヌクレオチドによりコードされたポリペプチドの全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を有するポリペプチドをコードしている場合は、対象ヌクレオチドと実質的に同じであり、ここでNaはアミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:35のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80(80%同一性に対応)、0.85(85%同一性)、0.90(90%同一性)、0.95(95%同一性)、0.9(98%同一性)または0.99(99%同一性)であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる。
【0036】
本明細書において使用される用語「単離された核酸分子」は、核酸分子が、その天然の環境において認められる様式から、人工的に改変されることを意味することが意図されている。例えば単離された核酸分子は、外来性核酸配列に機能的に連結された分子であることができる。単離された核酸分子は、その通常のフランキング核酸配列の一部または全てから除去された分子であることもできる。
【0037】
本発明は、本発明の核酸分子を含むベクター、およびベクターを含む単離された宿主細胞を提供する。ベクターの例は、バクテリオファージ、バキュロウイルスもしくはレトロウイルスなどのウイルス由来のベクター、およびコスミドもしくはプラスミドのような、細菌由来のもしくは細菌配列と他の生物由来の配列の組合せ由来のベクターを含む。本発明のベクターは一般に、意図された宿主細胞と適合可能な複製起点;転写末端およびRNAプロセッシングシグナル;意図された宿主細胞と適合可能な1種または複数の選択マーカー;ならびに、1種または複数のマルチプルクローニングサイトなどのエレメントを含むと考えられる。任意にベクターは更に、コードされたポリペプチドの発現および精製を促進するGSTタグなどのタグ配列および/またはFactor Xa部位などのプロテアーゼ切断部位をコードしている異種配列を含むことができる。
【0038】
ベクターに組み込むための特定のエレメントの選択は、意図された宿主細胞;挿入断片サイズ;挿入された配列の発現が望ましいかどうか;ベクターの望ましいコピー数;望ましい選択システムなどの要因に左右される。様々な適用において宿主細胞とベクターの間の適合性を確実にすることに関連した要因は、当該技術分野において周知である。
【0039】
ベクターがコードされたポリペプチドの組換え発現に使用される適用において、単離された核酸分子は一般に、遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結され、これはベクター内にまたは挿入された核酸分子内に存在することができる。本発明のリスザルPKR2、本発明のチンパンジーPKR2、アカゲザルPKR1、本発明のアカゲザルPK1またはアカゲザルPK2をコードしている単離された核酸分子は、遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結することができる。本明細書において使用される用語「機能的に連結された」とは、核酸分子が、内在性プロモーター、または異種プロモーターのいずれかに関して、プロモーターが鋳型としてその核酸分子を使用するRNA転写を指示するように配置されることを意味する。
【0040】
核酸を異種プロモーターへ機能的に連結する方法は、当該技術分野において周知であり、かつ例えば、核酸の所望のプロモーターを含むベクターへのクローニング、またはPCRを使用するプロモーターの核酸配列への付加を含む。RNA転写のプロモーターへ機能的に連結された核酸分子を使用し、望ましい宿主細胞またはインビトロ転写-翻訳システムにおいてプロキネチシン転写産物およびポリペプチドを発現することができる。
【0041】
本発明の核酸分子に機能的に連結されたプロモーターの選択は、意図された用途に応じて左右され、および当業者により決定される。例えば特定の遺伝子産物が、特定の宿主細胞に有害である場合、本発明の核酸分子を調節されたプロモーターへ連結し、その結果遺伝子発現をオンまたはオフにすることができることが望ましい。あるいは、弱いかまたは強力であるかのいずれかの構成的プロモーターにより駆動される発現を有することが望ましい。哺乳類細胞系に適したプロモーターの例は、例えば、SV40初期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)ステロイド誘導性プロモーター、およびモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)プロモーターがある。細菌細胞系に適したプロモーターの例は、例えば、T7、T3、SP6、lacおよびtrpプロモーターを含む。細菌細胞における融合タンパク質発現に適したベクターの例は、pGEX-3Xベクター(Amersham Pharmacia Biotech、ピスカタウェイ、NJ)である。
【0042】
本発明は、配列番号:2またはそれらの断片を含むリスザルPKR2ポリペプチド、配列番号:4もしくはそれらの断片を含むチンパンジーPKR2ポリペプチド、配列番号:6もしくはそれらの断片を含むアカゲザルPK2ポリペプチド、配列番号:35もしくはそれらの断片のアカゲザルPKR1ポリペプチド、または配列番号:30もしくはそれらの断片のアカゲザルPK1ポリペプチドなどの、本発明のポリペプチドをコードしている単離された核酸分子を含む細胞を提供する。細胞に含まれる単離された核酸分子は一般に、ベクター内に存在し、エピソームに維持されるか、または宿主細胞ゲノムに組込まれる。
【0043】
本発明の細胞は、例えば単離された核酸分子の増大、サブクローニングまたは修飾などの、分子生物学的用途に使用することができる。このような用途に関して、実験株大腸菌のような細菌細胞が有用であり、コードされたポリペプチドの発現は不要である。
【0044】
本発明の細胞は、コードされたポリペプチドの組換え発現および単離に有利に使用することもできる。このような用途に関して、細菌細胞(例えば大腸菌)、昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエおよびスポドプテラ・フジペルダ(Spodoptera fugiperda))、酵母細胞(例えば、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ポンベ、またはピキア・パストリス)、および脊椎動物細胞(例えば、哺乳動物初代細胞および確立された細胞株、例えばCHO細胞、293細胞およびCOS細胞;ならびに、両生類細胞、例えばアフリカツメガエルの胚および卵母細胞)がある。
【0045】
本発明は、組換えポリペプチドを発現するように、宿主細胞を培養することにより、リスザルPKR2ポリペプチド、チンパンジーPKR2ポリペプチド、アカゲザルPK2ポリペプチド、アカゲザルPK1ポリペプチドおよびアカゲザルPKR1ポリペプチドに対応する単離されたポリペプチドを調製する方法も提供する。様々な周知の方法を用い、組換えポリペプチドの発現のために、ベクターを宿主細胞へ導入することができる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, ニューヨーク(1992)、およびAnsubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Jhon wiley and Sons, ボルチモア, MD,(1998))。選択された方法は、例えば、選択された宿主細胞に依存すると考えられる。
【0046】
本発明の単離されたポリペプチドは、生化学的手段により調製することができ、そのポリペプチドを組換えにより発現する宿主細胞から、または通常そのポリペプチドを発現する組織もしくは細胞から、単離することができる。膜分画、クロマトグラフィー、電気泳動およびリガンド親和性法、および本明細書において説明されたプロキネチシン抗体による免疫親和性法を含む、当該技術分野において慣習的に使用される、様々な周知の生化学的手法を使用することができる。本発明の単離されたポリペプチドは、当該技術分野において公知である化学合成手法により調製することもできる。化学合成後、不活性プロキネチシンは、本明細書に説明された方法によりリフォールディングされ、活性を回復する。
【0047】
望ましいならば、それらの機能活性、選択性、安定性またはバイオアベイラビリティを最適化するために、化学合成されたポリペプチドを、D-立体異性体、天然に存在しないアミノ酸、ならびにアミノ酸アナログおよび模倣物を含むように修飾することができる。修飾されたアミノ酸およびそれらの使用の例は、Sawyer, Peptide Based Drug Design, ACS, ワシントン(1995)およびGross and Meienhofer, The Peptides : Analysis, Synthesis, Biology, Academic Press Inc., ニューヨーク(1983)に記されている。ある種の適用に関して、1種または複数の検出可能に標識されたアミノ酸、例えば放射標識されたまたは蛍光標識されたアミノ酸を、化学合成されたポリペプチドまたはペプチドへ組み込むことも有用である。
【0048】
プロキネチシンを組換えにより発現する方法は、当該技術分野において公知である(細菌発現については、例えばUS20020115610A1、US20030113867A1、およびMasuda et al., 前記(2001)、ならびに真核細胞発現については、例えばWO 01/36465およびWO 00/52022参照)。このような方法は、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタグ、Fcタグ、6× Hisタグ、mycエピトープ、または当該技術分野において公知の他のタグ配列との融合物のような融合タンパク質として最初にPKを発現することに関連している。組換えにより発現されたプロキネチシンを実質的に精製する方法、および任意のタグ配列を取り除く方法も、当該技術分野において公知である。例えば、公開された特許出願US20020115610A1およびUS20030113867A1(各々、その全体が本明細書に参照として組み入れられている)は、タンパク質凝集を最小にするような組換えにより発現されたプロキネチシンをリフォールディングおよび精製する条件を開示し、更に正確なジスルフィド結合形成を確認する方法を開示している。
【0049】
単離されたプロキネチシンポリペプチドを調製するひとつの方法において、プロキネチシンポリペプチドは、細菌において、タグ(例えば、6×Hisタグ)を含む融合タンパク質として(例えばGST融合体として)組換えにより発現され、ならびにアフィニティー分離(例えばニッケルカラム上で)により部分的に精製され得る。その後融合されたポリペプチドは、異種タンパク質を除去するように切断され(例えば、GSTとプロキネチシンの間を切断するプロテアーゼFactor Xaを用いて)、ならびにプロキネチシンポリペプチドは、タンパク質凝集を最小にするように、先に説明された条件下でリフォールディングされる。より高度に精製されたポリペプチドを得るために、このポリペプチドは更に、カラムクロマトグラフィー(例えば逆相HPLC)により精製される。当業者は、活性プロキネチシンポリペプチドの組換えによる発現、リフォールディングおよび精製のためのこれらの好ましい方法の変更は、代替異種配列、切断可能な配列、タグ、宿主細胞および緩衝液条件の使用などで、容易に決定することができることを認めると考えられる。
【0050】
複数のシステイン残基を含むポリペプチドの組換え発現は、不正確な分子内および分子間のジスルフィド結合を生じ、これは失活した凝集細菌タンパク質の生成につながり得る。本明細書において説明されたように、これらの問題点は、発現されたポリペプチドのリフォールディング時にタンパク質凝集を最小化する条件を用い、克服することができる。タンパク質凝集を最小化する条件の例は、下記のリフォールディング条件のひとつまたは複数を含む:1)タンパク質濃度を低く維持すること(例えば約100μg/ml);2)変性物質を除去するために、ペプチドを希釈するのではなくむしろ透析すること;3)緩衝液から酸化剤を除去すること;4)全ての緩衝液中で尿素を高濃度に維持すること;5)緩衝液中のグリセロールを高濃度に維持すること(例えば少なくとも約10%);ならびに、6)ペプチドおよび緩衝液を低温に維持すること(例えば約4℃)。これらの条件において、低いタンパク質濃度(すなわち約250μg/ml未満、好ましくは200μg/ml、150μg/ml、100μg/mlまたは50μg/ml未満)、および高い尿素濃度(例えば少なくとも約1.5M、例えば約2M、4M、6M、8Mまたはそれよりも高い)は、活性プロキネチシンをうまくリフォールディングする上で最も重要な要因である。
【0051】
本発明の組成物は、PKR2、PKR1、PK1もしくはPK2、またはそれらの組合せ、およびPKR2、PKR1、PK1もしくはPK2、またはそれらの組合せを含む再構成されたシグナル伝達システムを含む、細胞の粗溶解液もしくは部分的に精製された溶解液または抽出液も含む。人工的シグナル伝達システムは、例えば、天然のまたは人工の脂質二層、例えばリポソームまたはミセルを含み、これはPKR1またはPKR2の活性のある高次構造を促進する。これらの組成物は更に、所望の予め決定されたシグナルの生成および検出に必要な、細胞画分または単離された成分を含む。
【0052】
本発明の組成物は更に、PKR2受容体、ならびにPK1およびPK2のいずれかもしくはふたつの両方、または別のPKR2受容体アゴニスト、例えばPK2/PK1キメラもしくはPK1/PK2キメラを含むことができる。あるいは本発明の組成物は更に、PKR1受容体の両方、ならびにPK1およびPK2のいずれか一方もしくは両方、または別のPKR1受容体アゴニスト、例えばPK2/PK1キメラもしくはPK1/PK2キメラを含むことができる。
【0053】
本明細書において使用される用語「単離された」とは、ポリペプチドが、それが天然の環境において認められる状態から、人の手により変更されたことを示す。本発明の「単離された」ポリペプチドは、「実質的に精製された」分子、すなわち天然にそれと会合している細胞成分を少なくとも60%、70%、80%、90%または95%含まないものであることができる。単離されたポリペプチドは、緩衝溶液、懸濁液、凍結乾燥された粉末、異種細胞における組換えによる発現された、受容体へ結合されたまたは固相支持体へ付着されたなどのいずれかの形であることができる。
【0054】
本発明のリスザルおよびチンパンジーPKR2ポリペプチドは、PKR2のアンタゴニストまたはアゴニストを同定するために様々なスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。ひとつの態様において、本発明は、PKR2アゴニストを同定する方法を提供する。本方法は、(a)配列番号:2または配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2を、1種または複数の候補化合物と接触させること、および(b)PKR2シグナル生成を選択的に促進する化合物を同定し、この化合物は該PKR2のアゴニストとして特徴付けられることに関する。
【0055】
本発明のアカゲザルPKR1ポリペプチドは、PKR1またはPKR2のアンタゴニストまたはアゴニストを同定するために様々なスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。ひとつの態様において、本発明は、PKR1アゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、(a)配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むPKR1を、1種または複数の候補化合物と接触させること、および(b)PKR1シグナル生成を選択的に促進する化合物を同定することを含む。PKR1シグナルを選択的に促進する化合物は従って該PKR1のアゴニストとして特徴付けられる。
【0056】
別の態様において、本発明は、PKR2アンタゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、(a)配列番号:2または配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシン存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させること、および(b)PKR2シグナル生成を選択的に阻害する化合物を同定し、該化合物は該PKR2のアンタゴニストとして特徴付けられることに関する。
【0057】
更に別の態様において、本発明は、PKR1アンタゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、(a)配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むPKR1ポリペプチドを、プロキネチシン存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させること、および(b)PKR1シグナル生成を選択的に阻害する化合物を同定し、該化合物は該PKR1のアンタゴニストとして特徴付けられることに関する。
【0058】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体2アンタゴニスト」および「PKR2アンタゴニスト」は、プロキネチシン受容体2(PKR2)を介した通常のシグナル伝達を選択的に阻害または減少する化合物を意味し、これは例えば本発明のリスザルまたはチンパンジーPKR2ポリペプチドであることができる。PKR2アンタゴニストは、PKR2またはPKの結合、それによるPKとPKR2の間の阻害などの、いずれかの拮抗機構により作用することができる。PKR2アンタゴニストは、特異的または非特異的PKR2アゴニストとPKR2の間の結合を阻害することもできる。このような特異的または非特異的PKR2アゴニストは、例えば、PKR2を介したシグナル伝達を促進することにより望ましくない副作用を生じる薬物でありうる。PKR2アンタゴニストは、例えばPKの結合活性またはPKR2のシグナル伝達活性を阻害することにより、作用することもできる。例えば、PKR2アンタゴニストは、PKR2のリン酸化またはグリコシル化の状態を変更することにより作用することができる。PKR2アンタゴニストは、PKR2シグナル伝達を構成的PKR2シグナル伝達活性のベースライン量から減少する、逆アゴニストであることもできる。
【0059】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体1アンタゴニスト」および「PKR1アンタゴニスト」は、プロキネチシン受容体1(PKR1)を介した通常のシグナル伝達を選択的に阻害または減少する化合物を意味し、これは例えば本発明のアカゲザルPKR1ポリペプチドであることができる。PKR1アンタゴニストは、例えばPKR1またはPKの結合により、それによるPKとPKR1の間の結合を阻害することができるような、いずれかの拮抗機構により作用することができる。PKR1アンタゴニストは、特異的または非特異的PKR1アゴニストとPKR1の間の結合を阻害することもできる。このような特異的または非特異的PKR1アゴニストは、例えば、PKR1を介したシグナル伝達を促進することにより望ましくない副作用を生じる薬物でありうる。PKR1アンタゴニストは、例えばPKの結合活性またはPKR1のシグナル伝達活性を阻害することにより、作用することもできる。例えば、PKR1アンタゴニストは、PKR1のリン酸化またはグリコシル化の状態を変更することにより作用することができる。PKR1アンタゴニストは、PKR1シグナル伝達を構成的PKR1シグナル伝達活性のベースライン量から減少させる、逆アゴニストであることもできる。
【0060】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体2アゴニスト」および「PKR2アゴニスト」は、プロキネチシン受容体2(PKR2)を介した通常のシグナル伝達を選択的に促進または増強する化合物を意味し、これは例えば本発明のリスザルまたはチンパンジーPKR2ポリペプチドであることができる。PKR2アゴニストは、通常のプロキネチシン(PK)結合部位で、プロキネチシンに結合し、これによりPKR2シグナル伝達を促進することによるような、いずれかの作動性機構により作用することができる。PKR2アゴニストは、例えばPKの結合活性またはのPKR2シグナル伝達活性を増強することにより、作用することもできる。PK1およびPK2は両方ともPKR1およびPKR2に結合することができるので、PKR2アゴニストは、PKR1のアゴニストとしても機能することができる。従って、PKR1アゴニストは、本明細書に説明されたスクリーニング法を用い、PKR2アゴニストとして機能するその能力について試験することができ;ならびに、PKR2アゴニストは、本明細書に説明されたスクリーニング法を用い、PKR1アゴニストとして機能するその能力について試験することができる。
【0061】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体1アゴニスト」および「PKR1アゴニスト」は、プロキネチシン受容体1(PKR1)を介した通常のシグナル伝達を選択的に促進または増強する化合物を意味し、これは例えばアカゲザルPKR1であることができる。PKR1アゴニストは、例えば通常のプロキネチシン(PK)結合部位でのプロキネチシン受容体の結合、それによるPKR1シグナル伝達の促進により、いずれかの作動性機構により作用することができる。PKR1アゴニストは、例えばPKの結合活性またはPK12のシグナル伝達活性を増強することにより作用することもできる。PK1およびPK2は両方ともPKR1およびPKR2に結合するので、PKR1のアゴニストは、PKR1のアゴニストとして機能することもできる。従って、PKR2アゴニストは、本明細書に説明されたスクリーニング法を用い、PKR1アゴニストとして機能するその能力について試験することができ;ならびに、PKR1アゴニストは、本明細書に説明されたスクリーニング法を用い、PKR2アゴニストとして機能するその能力について試験することがでる。
【0062】
PKR2アゴニストの具体例は、図5に示されたアカゲザル、ヒト、およびマウスPK2アミノ酸配列に加え、図6に示されたヒトおよびマウスPK1アミノ酸配列(各々、配列番号:11および12)、ヒキガエルBv8アミノ酸配列(配列番号:13)、カエルBv8アミノ酸配列(配列番号:14)、ヘビMIT1アミノ酸配列(配列番号:15)、キメラPK1-PK2アミノ酸配列(配列番号:16および17)、ならびに図10に示されたアカゲザルPK1アミノ酸配列(配列番号:30)を含む。
【0063】
PKR1アゴニストの具体例は、図5に示されたアカゲザル、ヒト、およびマウスPK2アミノ酸配列に加え、図6に示されたヒトおよびマウスPK1アミノ酸配列(各々、配列番号:11および12)、ヒキガエルBv8アミノ酸配列(配列番号:13)、カエルBv8アミノ酸配列(配列番号:14)、ヘビMIT1アミノ酸配列(配列番号:15)、キメラPK1-PK2アミノ酸配列(配列番号:16および17)、ならびに図10に示されたアカゲザルPK1アミノ酸配列(配列番号:30)を含む。
【0064】
PKR1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストを同定するための本発明の方法において使用されたスクリーニングアッセイは、PKR1またはPKR2により生成したシグナルの検出に関連している。本明細書において使用される用語「受容体シグナル」は、任意の分析手段により、検出可能である読み値、すなわちPKR2によるG-タンパク質依存型シグナル伝達の活性化の定性的または定量的指標であることを意味することが意図されている。このようなPKR1またはPKR2を介したG-タンパク質依存型シグナル伝達の定性的または定量的活性化を決定するために使用されるアッセイは、「シグナル伝達アッセイ」と以下で称される。
【0065】
シグナル伝達アッセイは、候補化合物がPKR1またはPRR2のアゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを決定するために行うことができる。このようなアッセイにおいて、本明細書において開示されたリスザルもしくはチンパンジーPKR2ポリペプチドまたはアカゲザルPKR1などの、PKR1またはPKR2受容体は、PKR1またはPKR2がPK1またはPK2のようなアゴニストに反応してシグナルを生成する条件下で、1種または複数の候補化合物と接触される。PKR1またはPKR2活性化に反応し、シグナルは、未刺激のPKR1またはPKR2ベースラインシグナルから増加または減少することができる。シグナルは、例えば検出されたセカンドメッセンジャー分子の量が、PKR1またはPKR2活性化に反応して増加した場合に、増加するシグナルであることができる。シグナルは、例えば検出されたセカンドメッセンジャー分子が、PKR1またはPKR2活性化に反応して破壊、例えば加水分解される場合に、減少するシグナルであることができる。
【0066】
同様に、シグナル伝達アッセイを行い、候補化合物がPKR1またはPKR2アンタゴニストであるかどうかを決定することができる。このようなシグナル伝達アッセイにおいて、PKR1またはPKR2は、PKR1またはPKR2がPK1またはPK2のようなアゴニストに反応してシグナルを生成するような条件下で、1種または複数の候補化合物と接触され、ならびにそのシグナルの生成を低下する化合物が同定される。
【0067】
Gタンパク質を介したシグナル伝達は、例えばアラキドン酸、アセチルコリン、ジアシルグリセロール、cGMP、cAMP、イノシトール-1,4,5-三リン酸などのイノシトールリン酸、およびCa++イオンを含むイオンなどを含む、セカンドメッセンジャーの増加したまたは減少した生成、または遊離;変化した細胞膜電位;GTP加水分解;アミノ酸の流入または流出;細胞内タンパク質の増加したまたは減少したリン酸化;または、転写の活性化につながる。
【0068】
G-タンパク質共役シグナル伝達経路の変化を同定するためのハイスループット自動スクリーニングアッセイを含む、様々なアッセイは、当該技術分野において周知である。Ca++、cAMP、電圧変化および遺伝子発現を測定する様々なスクリーニングアッセイが、例えば、Gonzalez et al., Curr. Opin. in Biotech., 9:624-631(1981);Jayawickreme et al., Curr. Opin. Biotech., 8:629-634(1997);および、Coward et al., Anal. Biochem., 270:2424-248(1999)において検証されている。G-タンパク質共役受容体の薬物標的のハイスループットスクリーニングに関する酵母細胞ベースのバイオアッセイは、例えば、Pausch, Trends in Biotech., 15:487-494(1997)に説明されている。G-タンパク質共役受容体アゴニストおよびアンタゴニストを検出するために有用である、細菌、酵母、バキュロウイルス/昆虫系および哺乳類細胞を含む、様々な細胞ベースの発現系が、例えば、Tate et al., Trends in Biotech. 14:426-430(1996)において総説されている。
【0069】
G-タンパク質共役シグナル伝達を検出および測定するアッセイは最初は、単離された細胞、膜または人工膜、例えばリポソームもしくはミセルのような、本発明のPKR1またはPKR2ポリペプチドを含む試料の、検出可能なインジケーターとの接触が関連している。検出可能なインジケーターは、測定される物質の存在下において、物理的または化学的特性の検出可能な差異、例えば色の変化を示すような任意の分子であることができる。選択されたシグナル伝達経路を検出および測定するための、カルシウムインジケーター、pHインジケーター、および金属イオンインジケーター、ならびにこれらのインジケーターを使用するアッセイが、例えば、Haugland, Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals、セット20-23および25(1992-94)に説明されている。例えばカルシウムインジケーターおよびそれらの使用は、当該技術分野において周知であり、これはFluo-3 AM、Fura-2、Indo-1、FURA RED、CALCIUM GREEN、CALCIUM ORANGE、CALCIUM CRIMSON、BTC、OREGON GREEN BAPTAなどの化合物を含み、これらはMolecular Probes, Inc.(ユージーン、OR)から入手可能であり、ならびに例えば米国特許第5,453,517号、第5,501,980号および第4,849,362号に開示されている。PKR2活性に関するシグナル伝達アッセイを実行する方法の例は、当該技術分野において公知である(例えば、動員アッセイについて開示している、US20020115610A1を参照のこと)。
【0070】
望ましいならば、Ca2+流入以外の受容体シグナルを、PKR1またはPKR2活性化の読み値として使用することができる。細胞表面受容体に関するG-タンパク質の特異性は、GαサブユニットのC末端の5個のアミノ酸により決定される。様々な真核生物および原核生物におけるGαサブユニットの異なるクラスおよびサブクラスのヌクレオチド配列およびシグナル伝達経路は、当該技術分野において周知である。従って、任意の簡便なG-タンパク質媒介型シグナル伝達経路を、Gαqのような、本発明のPKR1またはPKR2へ連結するGαのC末端残基を含むキメラGαを調製することによりアッセイすることができ、この場合シグナル伝達経路に連結しているGαに対応するタンパク質の残余がアッセイされることが望ましい。
【0071】
PKR1またはPKR2のアゴニストまたはアンタゴニストとして機能する化合物を同定するアッセイは一般に、受容体を公知の受容体アゴニストと接触させると受容体シグナルを生成するような条件下で行われる。望ましいならば、このアッセイは、PK1またはPK2のような、公知のPKR1またはPKR2アゴニストの存在下で行うことができる。アゴニスト濃度は、EC50の10倍以内である。従って、PKR1またはPKR2を介したシグナル伝達に関してPK2、PK1もしくはPK2/PK1キメラと競合するか、またはPK1もしくはPK2のシグナル伝達活性を間接的に増強するアゴニストは、容易に同定することができる。同様にPKR1またはPKR2を介したシグナル伝達に関してPK2、PK1、またはPK2/PK1キメラと競合するアゴニストは、容易に同定することができる。
【0072】
同様に、PK2、PK1もしくはPK2/PK1キメラがPKR1もしくはPKR2へ結合するのを防止するか、またはPKR1もしくはPKR2のシグナル伝達活性を間接的に減少するアンタゴニストも、同定することができる。同様にPK2、PK1もしくはPK2/PK1キメラがPKR1へ結合するのを防止するか、またはPKR1のシグナル伝達活性を間接的に減少するアンタゴニストも、同定することができる。候補化合物は、最大の半分のシグナル伝達が生じる濃度を確立するための濃度範囲で試験することができ;そのような濃度は一般に、PKR1またはPKR2結合の解離定数(Kd)に類似している。
【0073】
PKR1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストである化合物を同定するために、結合アッセイを行うことができる。このようなアッセイにおいて、本発明のPKR1またはPKR2ポリペプチドは、PK2のようなアゴニストがPKR1またはPKR2に結合する条件下で、1種または複数の候補化合物と接触させることができ、ならびにPKR1もしくはPKR2に結合する化合物またはアゴニストのPKR1もしくはPKR2への結合を低下する化合物を、同定することができる。企図された結合アッセイは、候補化合物を検出可能に標識すること、または非標識の候補化合物を検出可能に標識されたPKアゴニスト、例えばPK2、PK1もしくはPK2/PK1キメラと競合させることを伴う。検出可能な標識は、例えば、放射性同位体、蛍光色素、強磁性体、または発光物質であることができる。化合物の標識に有用な放射性同位体の例は、125I、14Cおよび3Hを含む。合成時の標識されたアミノ酸の化合物への組込み、または合成後の化合物の誘導体化のいずれかによる、有機分子を検出可能に標識する方法は、当該技術分野において公知である。
【0074】
候補化合物が、検出可能に標識されたPKの結合を減少するかどうかを決定するために、所定の量の検出可能に標識されたPKの結合量が、候補化合物の非存在下で決定される。一般に、検出可能に標識されたPKの量は、そのKd未満であり、例えばそのKdの1/10である。同じ条件下で、候補化合物の存在下で、検出可能に標識されたPK2、PK1またはPK2/PK1キメラの結合の量が決定される。PKR1またはPKR2リガンドとして特徴付けられた候補化合物に起因した結合の減少は、検出可能に標識されたPK2、PK1またはPK2/PK1キメラのPKR1またはPKR2への結合が、候補化合物の存在下において、候補化合物の非存在下よりも、少なくとも2倍少ない、例えば少なくとも10倍から少なくとも100倍少ない、例えば少なくとも1000倍少ないことにより、証拠付けられる。検出可能に標識されたPK2、PK1またはPK2/PK1キメラのPKR1またはPKR2への結合を決定するアッセイの例は、放射性リガンドフィルター結合アッセイであり、これはLi et al. Molecular Pharmacology 59:692-698(2001)に説明されている。
【0075】
受容体とリガンドの間の選択的結合相互作用の検出に適したローおよびハイスループットアッセイのいずれかは、例えば蛍光相関分光システム(FCS)およびシンチレーション近接アッセイ(SPA)を含み、これらはMajor, J. Receptor and Signal Transduction Res. 15:595-607(1995);および、Sterrer et al., J. Receptor and Signal Transduction Res. 17:511-520(1997)において検証されている。結合アッセイは、例えば、本発明のPKR1もしくはPKR2を含む全細胞もしくは膜などの細胞調製物、または溶液中もしくは固相支持体に結合されたかのいずれかの、実質的に精製された本発明のPKR1もしくはPKR2などの、いずれか適当なアッセイフォーマットで行うことができる。
【0076】
本明細書において使用される用語「候補化合物」は、任意の生物学的または化学的化合物を意味する。例えば候補化合物は、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質またはそれらの任意の組合せなどの、天然の巨大分子であることができる。候補化合物は、そのような巨大分子の部分的または完全に合成された誘導体、アナログもしくは模倣物であるか、またはコンビナトリアルケミストリー法で調製された小型有機分子であることもできる。特定のアッセイフォーマットが望ましい場合は、候補化合物は、検出可能に標識されるかまたは固相支持体へ付着される。
【0077】
単純なもしくは複雑な有機分子、金属含有化合物、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ペプチド模倣物、糖タンパク質、リポタンパク質、核酸、抗体などを含む化合物の巨大なライブラリーを調製する方法は、例えば、Huseの米国特許第5,264,563号;Francis et al., Curr. Opin. Chem. Biol. 2:422-428(1998);Tietze et al., Curr. Biol., 2:363-371(1998);Sofia, Mol. Divers., 3:75-94(1998);Eichler et al., Med. Res. Rev. 15:481-496(1995)などに説明されている。多数の天然および合成の化合物を含むライブラリーも、商業的供給源から入手することができる。
【0078】
本発明の方法で試験する多数の様々な候補化合物の数は、本方法の適用に応じて決まると考えられる。例えば1種または少数の候補化合物は、手作業によるスクリーニング手法において、またはいくつかの予想されたリガンド、アゴニストもしくはアンタゴニスト間の有効性を比較することが望ましい場合は、有利であることができる。しかし、候補化合物の数が大きければ大きいほど、スクリーニングアッセイにおいて望ましい活性を有する化合物を同定する可能性が大きくなることは理解されるであろう。加えて、多数の化合物は、ハイスループット式自動スクリーニングアッセイにおいて処理することができる。
【0079】
PKR1またはPKR2に選択的に結合またはこれらを介したシグナル伝達を調節する化合物を同定するアッセイ法は一般に、対照との比較に関連している。「対照」のひとつの種類は、対照が候補化合物に曝されない以外は、被験調製物と同じに処理されるような調製である。別の種類の「対照」は、対照調製物が受容体を発現しないか、またはPK2もしくはPK1へ選択的に反応しないように修飾される以外は、被験調製物と同様であるような調製である。この状況において、候補化合物に対する被験調製物の反応は、実質的に同じ反応条件下での、同じ化合物に対する対照調製物の反応(または反応の欠如)と比較される。
【0080】
本発明のPKR1またはPKR2ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストであることが同定された化合物は、細胞または動物の機能に対する1種または複数の作用を調節するその能力について試験することができる。例えば、PKR1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストは、概日リズム機能、血管新生、胃腸の収縮および運動性、ならびに胃酸またはペプシノーゲンの分泌、神経の状態ならびに疼痛を調節する能力について試験することができる。
【0081】
化合物の概日リズム機能に対する作用を決定するアッセイの例は、例えば、Cheng et al. Nature 247:405-410(2002)に説明されている。化合物の血管新生に対する作用を決定するアッセイの例は、例えば、米国特許第5,753,230号およびPCT公開国際公開公報第97/15666号および米国特許第5,639,725号に開示されており、これらは腫瘍モデルシステムを説明しており;Langer et al., Science 193:707-72(1976);O'Reilly, et al., Cell 79:315-328(1994);および米国特許第5,753,230号に開示されている。化合物のGI収縮および運動性に対する作用を決定するアッセイの例は、例えば、Li et al. Mol Pharmacol. 59(4):692-8(2001)、およびThomas et al., Biochem. Pharmacol., 51:779-788(1993)に開示されている。
【0082】
化合物の胃酸またはペプシノーゲン分泌に対する作用を決定するアッセイの例は、例えば、Soll, Am. J. Physiol 238:G366-G375(1980);Sol and Walsh, Annu. Rev. Physiol. 41:35-53(1979);Lavezzo et al., Int J Tissue React 6(2):155-165(1984)、および単離された胃粘膜(Rangachari, Am. J. Physiol. 236:E733-E737(1979), Bunce et al., Br. J. Pharmacol 58:149-156(1976);および、Lavezzo et al., Int J Tissue React 6(2):155-165(1984)); Howden et al., Aliment Pharmacol Ther 1(4):305-315(1987);Hirschowitz et al., J. Pharmacol Exp Ther 224(2):341-5(1983)、およびWilson et al. Gig Dis Sci 29(9):797-801(1984)に説明されている。
【0083】
化合物の神経状態への作用を決定するアッセイの例は、卒中または神経障害に起因した外傷の動物モデルを含み、これは当該技術分野において公知である。卒中のひとつの実験モデルは、短期間のラットの右中大脳動脈および両方の総頸動脈の閉鎖、それに続く再潅流に関連している(Moore et al., J. Neurochem. 80:111-118)。CNS障害の実験モデルは、液体振動損傷(fluid percussion injury)(FPI)モデルであり、ここでは中等度の衝撃(1.5atm〜2.0atm)が、頭頂骨大脳皮質に加えられる(Akasu et al., Neurosci. Lett. 329:305-308(2002))。脊椎損傷の実験モデルも、当該技術分野において使用される(Scheifer et al., Neurosci. Lett. 323:117-120(2002))。酸化ストレス、低酸素症、放射線照射、および毒素に起因した神経損傷の適当なモデルも、当該技術分野において公知である。
【0084】
化合物の疼痛に対する作用を決定するアッセイの例は、マウスのもがき(Writhing)アッセイ、テール・フリックアッセイ、坐骨神経結紮アッセイ、ホルマリン試験および後根神経節結紮アッセイなどの、周知の疼痛の動物モデルを含む(例えば、Bennett and Xie, Pain 33:87-107(1988);および、Lee et al., Neurosci. Lett. 186:111-114(1995);Dewey et al., J. Pharm. Pharmacol. 21:548-550(1969);Koster et al., Fed. Proc. 18:412(1959);pain(Malmberg and Yaksh, The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 263:136-146(1992)参照)。
【0085】
本発明のアカゲザルプロキネチシンポリペプチドに加え、本発明の方法を用いて同定された化合物は、個体の体重、性別、年齢および健康状態;特定の化合物の生化学的性質、生物活性、バイオアベイラビリティおよび副作用;ならびに、併用治療様式と適合可能な方法などの、処置される状態に適当な様式および量で製剤または投与することができる。ヒトの特定の治療用途に適した量および製剤は、本明細書において言及されたエクスビボおよびインビボアッセイにおける化合物の活性を基に外挿される。
【0086】
本発明の方法は、本明細書に先に説明されたような様々な状態を予防または治療するために、PRK1またはPKR2のアゴニストまたはアンタゴニストを投与することに関連している。本明細書において使用される用語「投与する」は、PRK1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストについて言及される場合、細胞、組織または動物に、PRK1またはPKR2アンタゴニストを提供または接触させることを意味する。この用語は、PRK1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストを、動物から摘出された細胞もしくは組織、または培養物中に配置もしくは適合された細胞もしくは組織であることができる細胞または組織に関して、インビトロまたはエクスビボにおいて;更には、動物に関して、インビボにおいて投与することを包含している。化合物の総量は、単回投与量でもしくは比較的短期間にわたる注入により投与することができるか、またはより長い期間にわたり投与される反復投与量で投与することができる。加えてこの化合物は、徐放性マトリックス内で投与することができ、これは全身送達のために標的組織部位にまたはその近傍に移植することができる。治療的化合物を含む化合物の制御された放出に有用な企図されたマトリックスは、当該技術分野において周知であり、およびDepoFoam(商標)、バイオポリマー、マイクロポンプなどの物質を含む。
【0087】
化合物は、当該技術分野において公知の様々な経路により、哺乳類へ投与することができ、これは例えば、脳内、髄腔内、静脈内、筋肉内、皮下、眼窩内、嚢胞内、腹腔内、槽内、動脈内、経口、膣内、経直腸、局所的、鼻腔内、または経皮的を含む。
【0088】
一般に本発明の方法を用いて同定されたプロキネチシンポリペプチドおよび他の化合物などの化合物は、その化合物および薬学的に許容できる担体を含有する薬学的組成物として、動物へ投与される。薬学的に許容できる担体の選択は、化合物の投与経路、ならびにその具体的物理特性および化学特性によって決まる。薬学的に許容できる担体は、当該技術分野において周知であり、無菌の水性溶媒、例えば生理的に緩衝された生理食塩水、およびグリコール、グリセロールなどの他の溶媒またはビヒクル、オリーブ油などの油分、および注射用有機エステルを含む。薬学的に許容できる担体は更に、その化合物を安定化し、その溶解度を増加し、またはその吸収を増加する生理的に許容できる化合物を含むことができる。そのような生理的に許容できる化合物は、ブドウ糖、ショ糖またはデトライン(detrain)などの炭水化物;アスコルビン酸またはグルタチオンなどの、酸化防止剤;キレート剤;ならびに、低分子量タンパク質を含む(例えば「Remington's Pharmaceutical Science」18版、Mack Publishing Co. (1990)参照)。
【0089】
この化合物が血液脳関門を通過する、または細胞膜を横断することを必要とする適用については、その化合物の親油性を増大するような製剤が有用である。例えば、本発明の化合物は、リポソームに組込むことができる(Gregoriadis, Liposome Technology, Vols.I〜III, 2nd ed.(CRC Press, ボカラトン、FL(1993))。リン脂質または他の脂質からなるリポソームは、製造および投与が比較的単純な、無毒の生理的に許容できるおよび代謝可能な担体である。血液脳関門を通過するように化合物を製剤する他の方法は、当該技術分野において公知であり、およびサイズが1nm〜1000nmの範囲の固形コロイド粒子である、ナノ粒子(Lockman et al., Drug Dev. Ind. Pharm. 28:1-13(2002))、ならびに輸送ベクターとして役立つペプチドおよびペプチド模倣物(Pardridge, Nat. Rev. Drug Discov. 1:131-139(2002))の使用を含む。
【0090】
本発明は、他の霊長類または非霊長類PKR2に実質的に結合しない、リスザルPKR2ポリペプチド(配列番号:2)について選択的な抗体を提供する。加えて、本発明は、他の霊長類または非霊長類PKR2に実質的に結合しない、チンパンジーPKR2ポリペプチド(配列番号:4)について選択的な抗体を提供する。同じく、他の霊長類または非霊長類PK2に実質的に結合しない、アカゲザルPK2(配列番号:6)について選択的な抗体が提供される。更に、他の霊長類または非霊長類PK1に実質的に結合しない、アカゲザルPK1(配列番号:30)について選択的な抗体が提供される。同じく、他の霊長類または非霊長類PKR1に実質的に結合しない、アカゲザルPKR1(配列番号:35)について選択的な抗体が提供される。これらの本発明の抗体を、例えば研究および診断の用途において、リスザルPKR2またはアカゲザルPK2の発現を検出するために使用することができる。本明細書において使用される用語「抗体」は、少なくとも約1×105M-1、好ましくは少なくとも約1×107M-1、より好ましくは少なくとも約1×109M-1の言及されたポリペプチドに対応するアミノ酸配列について選択的結合活性を有する分子を含むことが意図される。用語「抗体」は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方に加え、そのような抗体の抗原結合断片(例えば、Fab、F(ab')2、FdおよびFv断片など)を含む。加えて用語「抗体」は、例えば1本鎖抗体、キメラ抗体、二価抗体、CDRグラフト抗体およびヒト化抗体に加えそれらの抗原結合断片を含む、非天然の抗体を包含することが意図される。
【0091】
ペプチドおよびポリペプチド免疫原を使用し、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む抗体を調製および単離する方法は、当該技術分野において周知であり、および例えばHarlow and Lane、「Antibodies: A Laboratory Manual」, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988)に説明されている。非天然の抗体は、固相ペプチド合成を用いて構築することができ、組換えにより作製するか、または例えば可変重鎖および可変軽鎖からなるコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングにより得ることができる。このような方法は、例えば、Huse et al. Science 246:1275-1281(1989);Winter and Harris, Immunol. Today 14:243-246(1993);Ward et al., Nature 341:544-546(1989);Hilyard et al.,「Protein Engineering: A practical approach」 (IRL Press, 1992);および、Borrabeck, 「Antibody Engineering」, 2d ed. (Oxford University Press, 1995)に記されている。
【0092】
実施例I
アカゲザルPK2のクローニング
本実施例は、アカゲザルプロキネチシン2 cDNAのクローニングを説明している。
【0093】
PCR法を用い、完全長アカゲザルPK2 cDNAを、アカゲザル精巣から単離された逆転写RNAから得た。アカゲザルPK2 cDNAは、PCRのための下記プライマーを使用し、Pfuポリメラーゼにより増幅し:
、その後下記プライマーを使用し、ネステドPCRを行った:
。
【0094】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、55℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、30サイクル実行した。PCR産物を、PCRIIベクター(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。
【0095】
実施例II
リスザルPKR2のクローニング
本実施例は、リスザルプロキネチシン受容体2 cDNAのクローニングを説明している。
【0096】
PCR法を用い、完全長リスザルPKR2 cDNAを、リスザル脳から単離された逆転写RNAから得た。リスザルPKR2 cDNAは、下記オリゴヌクレオチドプライマーを使用し、Pfuポリメラーゼにより増幅した:
。
【0097】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、58℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、50サイクル実行した。PCR産物を、PCRIIベクター(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。以下に説明されたカルシウム動員アッセイのために、このリスザルPKR2を、pcDNA3.1Zeo(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)へクローニングした。
【0098】
実施例III
チンパンジーPKR2のクローニング
本実施例は、チンパンジープロキネチシン受容体2 cDNA(配列番号:3)のクローニングを説明している。
【0099】
PCR法を用い、完全長チンパンジー(パン・トログロディテス)PKR2 cDNAを、チンパンジー唾液腺組織から単離された逆転写RNAから得た。チンパンジーPKR2 cDNAは、下記プライマーを使用し、Pfuポリメラーゼにより増幅した:
。
【0100】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、58℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、45サイクル実行した。プライマー1および2のPCR産物(産物1)およびプライマー3および4の産物(産物2)を、PCRIIベクター(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。完全なチンパンジーPKR2配列を、産物1および産物2の保存されたEco RV部位による連結により作製した。
【0101】
実施例IV
リスザルPKR2活性のヒトPKR2活性との同等性
本実施例は、リスザルPKR2は、PK1に反応して活性化され、およびヒトPKR2の活性と同等の活性を有することの証拠を提供する。
【0102】
リスザルPKR2の活性は、PK1に反応したカルシウム動員を測定することにより評価した。カルシウム動員アッセイのために、リスザルPKR2 cDNA(配列番号:1)を、リポフェクタミン(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)を用い発光タンパク質エクオリンを安定して発現しているCHO細胞へ一過性に形質移入した。48時間後、形質移入された細胞は、8μMセレンテラジンcpを含むOpti-MEM(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)において37℃で2時間かけてチャージした。その後細胞を、短時間のトリプシン処理により剥離し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSA中で、約5×105細胞/mlで維持した。細胞100μlを、HBSS+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSAで希釈した20μl組換えヒトPK1と共に、チューブに注入した。ルミネセンス測定を、MONOLIGHT 2010ルミノメーター(Analytical Luminescence Laboratory、サンディエゴ、CA)を用いて行った。
【0103】
これらの実験の結果は、図7に示し、これはリスザルPKR2(配列番号:2)が、ヒトPKR2(配列番号:7)と同等の活性を有し、EC50が10nMの桁であることを明らかにしている。
【0104】
実施例V
非ヒト霊長類プロキネチシンおよびプロキネチシン受容体の分子クローニングおよび特徴決定
チンパンジーPKR2(配列番号:4)の活性を、rHuPK2(配列番号:7)に反応したカルシウム動員を測定することにより評価した。カルシウム動員アッセイに関して、チンパンジーPKR2 cDNA(配列番号:3)は、リポフェクタミン(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)を用い発光タンパク質エクオリンを安定して発現しているCHO細胞へ一過性に形質移入した。48時間後、形質移入された細胞は、8μMセレンテラジンcpを含むOpti-MEM(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)において37℃で2時間かけてチャージした。その後細胞を、短時間のトリプシン処理により剥離し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSA中で、約5×105細胞/mlで維持した。細胞100μlを、HBSS+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSAで希釈した20μl組換えヒトPK2(配列番号:7)と共に、チューブに注入した。ルミネセンス測定を、MONOLIGHT 2010ルミノメーター(Analytical Luminescence Laboratory、サンディエゴ、CA)を用いて行った。
【0105】
これらの実験の結果は、図8に示し、これはチンパンジーPKR2(配列番号:3)は、ヒトPKR2(配列番号:7)と同等の活性を有し、EC50が約10nMであることを示している。
【0106】
アカゲザルPK1(配列番号:30)のクローニング。PCR法を用い、アカゲザル精巣から単離された逆転写RNAから(オレゴン霊長類センター)、完全長アカゲザルPK1 cDNAを得た。アカゲザルPK1 cDNA(配列番号:29)を、PCRのための下記プライマーを使用し、Pfuポリメラーゼで増幅した:
。
【0107】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、55℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、30サイクル実行した。PCR産物を、PCRIIベクター(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。アカゲザルPK1のヌクレオチド配列(配列番号:29)およびアミノ酸配列(配列番号:30)を、図9および10に示した。
【0108】
Takedaの科学者らにより報告されたアカゲザルPK1(配列番号:30)のヒトPK1(配列番号:11)およびヒトアイソフォームPK1(配列番号:31)とのアラインメント比較を、図11に示した。このアラインメントは、以下を明らかにした:a)アカゲザルPK1(配列番号:30)とヒトPK1(配列番号:11)の間の3つの置換、ならびにb)アカゲザルPK1(配列番号:30)とヒトPK1アイソフォーム(配列番号:31)の間の2つの置換。
【0109】
実施例VI
アカゲザルPKR1のクローニングおよびCHO細胞における発現
PCR法を用い、アカゲザル精巣から単離された逆転写RNAから(オレゴン霊長類センター)、完全長アカゲザルPKR1 cDNA(配列番号:34)を得た。アカゲザルPKR1 cDNA(配列番号:35)を、下記オリゴヌクレオチドプライマーを使用し、Pfuポリメラーゼで増幅した:
。
【0110】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、58℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、50サイクル実行した。PCR産物を、PCRIIベクター(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。本明細書において以下に説明したカルシウム動員アッセイのために、アカゲザルPKR1を、pcDNA3.1Zeo(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)へクローニングした。アカゲザルPKR1核酸(配列番号:34)は、長さ1182のヌクレオチドである。アカゲザルPKR1のヌクレオチド配列(配列番号:34)および推定アミノ酸配列(配列番号:35)は、各々図12および13に示した。
【0111】
ヒトPKR1(配列番号:36)およびアカゲザルPKR1(配列番号:35)のアミノ酸配列のアラインメントを、図14に示した。このアラインメントは、ヒトとアカゲザルのPKR1の間に、9個のアミノ酸残基の異なりが存在することを明らかにした。本質的にこれらは全て、保存的変化であった。
【0112】
アカゲザルPKR1(配列番号:35)を、CHO細胞において発現し、rHuPKR1(配列番号:36)の活性と同等の活性を有することが示された。アカゲザルPKR1(配列番号:35)の活性は、PK2に反応したカルシウム動員を測定することにより、評価した。カルシウム動員アッセイに関して、アカゲザルPKR1 cDNA(配列番号:34)を、リポフェクタミン(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)を用い発光タンパク質エクオリンを安定して発現しているCHO細胞へ一過性に形質移入した。48時間後、形質移入された細胞は、8μMセレンテラジンcpを含むOpti-MEM(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)において37℃で2時間かけてチャージした。その後細胞を、短時間のトリプシン処理により剥離し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSA中で、約5×105細胞/mlで維持した。細胞100μlを、HBSS+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSAで希釈した20μl組換えヒトPK2と共に、チューブに注入した。ルミネセンス測定を、MONOLIGHT 2010ルミノメーター(Analytical Luminescence Laboratory、サンディエゴ、CA)を用いて行った。
【0113】
これらの実験から得た結果を、図15に示し、これはアカゲザルPKR1(配列番号:35)が、ヒトPKR1(配列番号:36)と同等の活性を有し、EC50値が約10nMであることを示している。
【0114】
先に提供された全ての雑誌論文、参考文献および特許の引用は、括弧内にまたはそうでなければ先に言及されたかどうかに関わらず、その全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0115】
本発明は先に提示された実施例を参照し説明されるが、本発明の精神から逸脱しない限りは、様々な修飾を行うことができることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1Aは、リスザルPKR2のヌクレオチド配列(配列番号:1)を示す。図1Bは、リスザルPKR2のアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図2】図2Aは、チンパンジーPKR2のヌクレオチド配列(配列番号:3)を示す。図2Bは、チンパンジーPKR2のアミノ酸配列(配列番号:4)を示す。
【図3】リスザル(配列番号:2)、ヒト(配列番号:7)、カニクイザル(配列番号:8)およびチンパンジー(配列番号:4)のPKR2アミノ酸配列の比較を示す。
【図4】図4Aは、アカゲザルPK2のヌクレオチド配列(配列番号:5)を示す。図 4Bは、アカゲザルPK2のアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。
【図5】アカゲザル(配列番号:6)、ヒト(配列番号:9)、およびマウス(配列番号:10)からのPK2アミノ酸配列の比較を示す。
【図6】ヒトPK1(配列番号:11);マウスPK1(配列番号:12);ヒキガエルBV8(配列番号:13);カエルBV8(配列番号:14);ヘビMIT1(配列番号:15);ヒトPK1-PK2キメラ(配列番号:16);および、ヒトPK2-PK1キメラ(配列番号:17)のアミノ酸配列を示す。
【図7】カルシウム動員の増加により明らかにされた、リスザルPKR2(配列番号:2)およびヒトPKR2(配列番号:7)のPK1に反応した活性化を示す。
【図8】中国人ヒト(chinease human)卵巣(CHO)細胞において発現された、組換えチンパンジープロキネチシン2受容体(PKR2)(配列番号:4)およびヒトPKR2(配列番号:7)の機能活性の比較である。
【図9】アカゲザルPK1のヌクレオチド配列(配列番号:29)を示す。
【図10】アカゲザルPK1の推定アミノ酸配列(配列番号:30)を示す。
【図11】アカゲザルPK1(配列番号:30)、ヒトPK1(配列番号:11)およびヒトPK1アイソフォーム(配列番号:31)のアラインメントを示す。
【図12】アカゲザルPKR1のヌクレオチド配列(配列番号:34)を示す。
【図13】アカゲザルPKR1の推定アミノ酸配列(配列番号:35)を示す。
【図14】ヒトPKR1(配列番号:36)およびアカゲザルPKR1(配列番号:35)のアラインメントである。
【図15】アカゲザル PKR1(配列番号:35)およびヒトPKR1(配列番号:36)の機能活性の比較を示す。
【背景技術】
【0001】
発明の背景
プロキネチシンは、概日リズム;血管新生;胃の収縮性および運動性;胃酸およびペプシノーゲン分泌;疼痛;ならびに、神経発生を含む、いくつかの生物学的機能において役割を有する分泌タンパク質である。プロキネチシン1(PK1)およびプロキネチシン2(PK2)は、プロキネチシン受容体1(PKR1)およびプロキネチシン受容体2(PKR2)と称される、G-タンパク質結合性受容体へ結合することにより、細胞反応を誘導し、その結果受容体シグナル伝達の活性化を生じる。正常なプロキネチシン受容体シグナル伝達は、ヒトにおける様々な組織の発達および機能に寄与している。例えば疾患のためにこの正常なシグナル伝達が破壊された場合、望ましくない変化が、細胞、組織および生物全体レベルで生じ得る。これらの変化は、不適切なプロキネチシン受容体シグナル伝達に関連した様々な状態および疾患において顕在化され得る。
【0002】
不適切なプロキネチシン受容体シグナル伝達に関連した状態を治療するために、正常なまたはそうでなければ最適な量のシグナル伝達を得るように受容体活性を変更する薬物を同定することが望ましい。このような薬物を、例えば、不充分なプロキネチシン受容体活性に関連した状態を有する個体において受容体シグナル伝達を増加するか、または過剰なプロキネチシン受容体活性に関連した状態を有する個体において受容体シグナル伝達を減少するために使用することができる。従って、プロキネチシン受容体を調節する薬物の同定は、少なくとも一部、不充分なまたは過剰なプロキネチシン受容体シグナル伝達に寄与した様々な状態を罹患した個体に緩和を提供することが期待されている。
【0003】
従って、プロキネチシン受容体シグナル伝達を調節する化合物および方法を同定する必要性が存在する。本発明はこの必要性を満たし、更に関連した利点を提供する。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたリスザルプロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチドを提供する。更に本発明は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたチンパンジーPKR2を提供する。リスザルPKR2またはチンパンジーPKR2を使用し、PKR2アゴニストを同定する方法を更に提供する。この方法は、(a)配列番号:2または配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および(b)PKR2シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアゴニストとして特徴付けられることに関連している。
【0005】
本発明は、PKR2アンタゴニストを同定する方法も提供する。この方法は、配列番号:2または配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および、(b)PKR2シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアンタゴニストとして特徴付けられることに関連している。
【0006】
本発明は、リスザルPKR2ポリペプチドをコードしている、単離された核酸分子を提供し、これは配列番号:1に示されたヌクレオチド配列を含む。同じく、チンパンジーPKR2ポリペプチドをコードしている単離された核酸分子も提供され、これは配列番号:3に示されたヌクレオチド配列を含む。更に、遺伝子発現のプロモーターに機能的に連結されたリスザルまたはチンパンジーPKR2核酸分子を含む発現ベクターが提供される。本発明は、リスザルまたはチンパンジーPKR2核酸分子を含有する発現ベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0007】
本発明は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルプロキネチシン2(PK2)ポリペプチドを提供する。同じくアカゲザルPK2ポリペプチドをコードしている単離された核酸分子も提供され、これは配列番号:5に示されたヌクレオチド配列を含む。加えて遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された、この核酸分子を含む発現ベクターが提供される。アカゲザルPK2発現ベクターを含む宿主細胞が更に提供される。
【0008】
本発明は、配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルプロキネチシン受容体1(PKR1)ポリペプチドを提供する。同じく配列番号:35のポリペプチドをコードしている核酸が提供され、そのような核酸は、配列番号:34の核酸を含む。更にアカゲザルPKR1を用いて、PKR1アゴニストを同定する方法が提供される。この方法は、(a)配列番号:35のアミノ酸配列を含むPKR1ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および、(b)PKR1シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、ここで該化合物が、該PKR1のアゴニストとして特徴付けられることに関連している。
【0009】
本発明は、配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルプロキネチシン1(PK1)ポリペプチドを提供する。同じく、アカゲザルPK1ポリペプチドをコードしている単離された核酸分子が提供され、これは配列番号:29に示されたヌクレオチド配列を含む。加えて、遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された、この核酸分子を含む発現ベクターが提供される。更にアカゲザルPK1発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0010】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子も提供される:
(a)配列番号:1、3、5、29または34のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:2、4、6、30または35のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および、
(c)(a)または(b)に特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【0011】
本発明は更に、PKR1アンタゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、(a)配列番号:35のアミノ酸配列を含むPKR1ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および、(b)PKR1シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR1のアンタゴニストとして特徴付けられることに関連している。
【0012】
本発明は、アカゲザルPKR1ポリペプチドをコードしている単離された核酸分子を提供し、これは配列番号:34に示されたヌクレオチド配列を含む。更に遺伝子発現のプロモーターに機能的に連結された、アカゲザル核酸分子を含む発現ベクターが提供される。本発明は、アカゲザルPKR1核酸分子を含有する発現ベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、新たに同定された霊長類プロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチドおよびプロキネチシン2(PK2)ポリペプチド、更にはコード核酸分子を提供する。特にリスザルおよびチンパンジー由来のPKR2ポリペプチド、ならびにアカゲザル由来のPKR2、PK1およびPK2が提供される。本発明のPKR2、PK1およびPK2ポリペプチドは、例えば受容体アゴニストおよびアンタゴニストを含む、プロキネチシン受容体を調節する化合物の同定のためのスクリーニング法において使用することができる。
【0014】
本発明の方法を用いて同定されたアゴニストおよびアンタゴニストは、異常に低いかまたは高いレベルのPKR1および/またはPKR2活性に関連した状態を治療するために、個体において、PKR1および/またはPKR2活性を調節するために有益に使用することができる。例えば、PKR2は動物において概日リズム機能を媒介することができるので(Cheng et al., Nature, 247:405-410(2002))、PKR2を調節する化合物は、睡眠障害、交代勤務障害、季節性鬱病、および時差のような、概日リズム機能の障害を治療するために使用することができる。
【0015】
更にPKR2は、上皮を含む様々な組織における血管新生を媒介することができるので(LeCouter et al., Nature 412:877-884(2001);Lin et al., J. Biol. Chem. 277:19(2002))、PKR2アンタゴニストは、プロキネチシン受容体発現組織における血管新生を低下または阻害するために使用することができる。このようなアンタゴニストは、癌、ならびに月経過多、子宮内膜症、機能不全性子宮出血、フィブロイドおよびアデノイオーシス(adenoyosis)などの女性の生殖機能障害を治療するために有用である。
【0016】
同じくPKR2は、胃の収縮性および運動性を媒介し、更に胃酸およびペプシノーゲンの分泌を媒介するので、PKR2を調節する化合物は、例えば、胃逆流症(GERD)、過敏性腸症候群、術後イレウス、糖尿病性胃不全麻痺、慢性便秘などを治療するために使用することができ、ならびに化学療法の胃腸の副作用を軽減するために使用することができる。更にPKR2は神経発生を媒介するので、PKR2受容体を調節する化合物は、脳卒中および外傷により誘導されたものを含む神経障害を治療するために使用することができる。PKR2を調節する化合物を用い治療することができる他の適応症は、虚血性心疾患、重症四肢虚血、創傷治癒および火傷、癌、糖尿病性網膜症、ならびに関節炎および乾癬などの炎症疾患を含む。
【0017】
加えて、PKR1とPKR2の間の配列類似性のために、本発明のアッセイ方法は、PKR2結合のモデルとしてPKR1を使用するか、またはその逆でも使用することができる。従ってPKR1を使用し、PKR2の可能性のあるアゴニストまたはアンタゴニストを同定することができる。
【0018】
本明細書において開示されたアカゲザルPKR1アミノ酸配列(配列番号:35)は、図14に示されたように、いくつかの位置でヒトPKR1(配列番号:36)とは異なる。例えば、ヒトPKR1(配列番号:36)との比較において、アカゲザルPKR1(配列番号:35)は、22位にバリンではなくアラニン、31位にトレオニンではなくアラニン、40位にセリンではなくグリシン、82位にイソロイシンに対しバリン、135位にバリンに対しイソロイシン、210位にリシンに対しアルギニン、246位にバリンではなくフェニルアラニン、348位にアスパラギン酸に対しアスパラギン、および350位にバリンの代わりにアラニンを含む。
【0019】
本明細書おいて開示されたリスザルPKR2アミノ酸配列(配列番号:2)は、図3に示したように、公知の霊長類PKR2アミノ酸配列とはいくつかのアミノ酸位置で異なる。例えば、ヒトPKR2(配列番号:7)(GenBank AF506288)との比較において、リスザルPKR2配列は、11位にトレオニンではなくアラニン残基、69位にイソロイシンではなくバリン残基、248位にアルギニンではなくグルタミン残基、282位にトレオニンではなくメチオニン残基、368位にアルギニンではなくリシン残基、および374位にトレオニンではなくアラニン残基を含み;マカカ・ファシクラリス(Macaca Fascicularis)(オナガマカクザル)PKR2(配列番号:8)(PCT国際公開公報第01/53308号)と同じであることが明らかである、セルコピセカス・アエチオポス(Cercopithecus aethiops)(ベルベットモンキー)のPKR2(米国特許出願公報第0030059856号)との比較において、リスザルPKR2アミノ酸配列(配列番号:2)は、69位にイソロイシンではなくバリン残基、248位にアルギニンではなくグルタミン残基、282位にトレオニンではなくメチオニン残基、357位にトリプトファンではなくアルギニン残基、364位にグルタミン酸ではなくアスパラギン酸残基、および368位にアルギニンではなくリシン残基を含む。従って開示されたリスザルPKR2アミノ酸配列は、ヒトおよびベルベットモンキー/マカクザルの両方のPKR2アミノ酸配列とは複数のアミノ酸位置で異なる。
【0020】
本明細書において開示されたチンパンジーPKR2アミノ酸配列(配列番号:4)は、同じく図3に示したように、複数のアミノ酸位置で公知の霊長類PKR2アミノ酸配列とは異なる。例えば、ヒトPKR2(配列番号:7)(GenBank AF506288)との比較において、チンパンジーPKR2配列は、11位にトレオニンではなくアラニン残基、50位にフェニルアラニンではなくロイシン残基、56位にイソロイシンではなくバリン残基、および374位にトレオニンではなくアラニン残基を含み;マカカ・ファシクラリス(配列番号:8)(オナガマカクザル)PKR2(PCT国際公開公報第01/53308号)と同じであることが明らかである、セルコピセカス・アエチオポス(ベルベットモンキー)のPKR2(米国特許出願公報第0030059856号)との比較において、開示されたチンパンジーPKR2(配列番号:4)配列は、50位にフェニルアラニンではなくロイシン残基、56位にイソロイシンではなくバリン残基、357位にトリプトファンではなくアルギニン残基、および364位にグルタミン酸ではなくアスパラギン酸残基を含む。従って、開示されたチンパンジーPKR2アミノ酸配列は、ヒトおよびベルベットモンキー/マカクザルの両方のPKR2アミノ酸配列とは複数のアミノ酸位置で異なる。
【0021】
ある態様において、本発明は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたリスザルPKR2ポリペプチドを提供する。本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体2」または「PKR2」は、プロキネチシンに結合し、およびプロキネチシン結合に反応するG-タンパク質共役シグナル伝達経路を介しシグナル伝達する、ヘプタヘリカル(heptahelical)の膜貫通ポリペプチドを意味する。用語「リスザルプロキネチシン受容体2」および「リスザルPKR2」は、図1Bに示されたリスザルPKR2のアミノ酸配列(配列番号:2)を含むポリペプチドを意味する。
【0022】
別の態様において、本発明は、配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたチンパンジーPKR2ポリペプチドを提供する。用語「チンパンジープロキネチシン受容体2」、「チンパンジーPKR2」、「パン・トログロディテス(Pan troglodytes)PKR2」および「P.トログロディテスPKR2」は、図2Bに示されたチンパンジーPKR2のアミノ酸配列(配列番号:4)を含むポリペプチドを意味する。
【0023】
更なる態様において、本発明は、配列番号:35のアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPKR1ポリペプチドを提供する。用語「アカゲザルプロキネチシン受容体1」、「アカゲザルPKR1」および「レーサス(rhesus)PKR1」は全て、図13に示したアカゲザルPRK1のアミノ酸配列(配列番号:35)を含むポリペプチドを意味する。
【0024】
別の態様において、本発明は、配列番号:30のアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK1ポリペプチドを提供する。このアカゲザルPK1は、図11に示されたように、公知のPK1アミノ酸配列とは、3個のアミノ酸位置で異なる。図11に認められるように、ヒトPK1(配列番号:11)と比較した場合、アカゲザルPK1(配列番号:30)は、5位にアルギニンではなくロイシン、10位にロイシンに対しフェニルアラニンおよび66位にイソロイシンの代わりにバリンを有する。
【0025】
更に別の態様において、本発明は、配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK2ポリペプチドを提供する。本明細書において開示されたアカゲザルPK2アミノ酸配列は、図5に示したように、公知のPK2アミノ酸配列とは、複数のアミノ酸位置で異なる。例えばヒトPK2(GenBank NM 021935およびSheppardらの米国特許第6,485,938号参照)との比較において、アカゲザルPK2配列は、51位にフェニルアラニンではなくバリン残基、および79位にグルタミン酸ではなくアルギニン残基を含み;マウス/ラットPK2(GenBank AF 487280)との比較において、開示されたアカゲザルPK2配列は、36位にグルタミンではなくリシン残基、37位にバリンではなくロイシン残基、および51位にトリプトファンではなくバリン残基を含む。従って開示されたアカゲザルPK2アミノ酸配列は、ヒトおよびマウス/ラットPK2の両方と、複数のアミノ酸位置で異なる。
【0026】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン」または「PK」は、プロキネチシン受容体に結合し、およびこの受容体によりG-タンパク質共役シグナル伝達経路を介しシグナル伝達を誘起するペプチドを意味する。用語「アカゲザルPK2ポリペプチド」は、図4B(配列番号:6)において下線を引いていない配列として示したアカゲザル(rhesus)プロキネチシン2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、およびプロキネチシン活性を有する参照ポリペプチドの断片を意味する。用語「アカゲザルPK1ポリペプチド」は、配列番号:30のアカゲザルプロキネチシン1のアミノ酸配列を含むポリペプチドおよびプロキネチシン活性を有する参照ポリペプチドの断片を意味する。約85%同一であるアミノ酸配列を有する、PKR2とPKR1の間の相同性のために、本発明のPK2ポリペプチドは、PKR2またはPKR1アゴニストとして機能することができる。同様に本発明のPK1ポリペプチドは、PKR2またはPKR1アゴニストとして機能することができる。従って本発明のPK2ポリペプチドは、本発明のスクリーニング法に加え、PKR1またはPKR2の活性化が望ましいような様々な適用において、PKR2アゴニストとして使用することができる。同様に本発明のPK1ポリペプチドは、本発明のスクリーニング法に加え、PKR1またはPKR2の活性化が望ましいような様々な適用において、PKR1アゴニストとして使用することができる。
【0027】
本発明のポリペプチドは、配列番号:2、4または6、30または35などの、参照アミノ酸配列を、異種アミノ酸配列と共に含むことができる。異種アミノ酸配列の例は、精製タグ、検出タグ、および細胞局在化タグを含む。本発明のポリペプチドに含むことができるポリペプチドタグの非限定的例は、GSTタグ、Hisタグ、Flagタグ、Mycタグ、ヘマグルチニンタグ、マルチ親和性精製タグ(MAFT)、およびタンデム親和性精製(TAP)タグを含む。
【0028】
本発明は、リスザルPKR2アミノ酸配列(列番号:2)をコードしている配列を含む単離された核酸分子を提供する。本発明のリスザルPKR2核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド配列、または配列番号:1と実質的に同じヌクレオチド配列、またはそれらの断片を有することができ、ならびに任意にタグのような異種配列を含むことができる。更にチンパンジーPKR2アミノ酸配列(配列番号:4)をコードしている配列を含む単離された核酸分子が提供される。本発明のチンパンジーPKR2核酸分子は、配列番号:3のヌクレオチド配列、または配列番号:3と実質的に同じヌクレオチド配列、またはそれらの断片を有することができ、ならびに任意にタグのような異種配列を含むことができる。
【0029】
本発明は更に、アカゲザルPK2アミノ酸配列(配列番号:6)をコードしている配列を含む、単離された核酸分子も提供する。本発明のアカゲザルPK2核酸分子は、配列番号:5のヌクレオチド配列、または配列番号:5と実質的に同じヌクレオチド配列、またはそれらの断片を有することができ、ならびに任意にタグのような異種配列を含むことができる。
【0030】
本発明は更に、アカゲザルPKR1アミノ酸配列(配列番号:35)をコードしている配列を含む、単離された核酸分子を提供する。本発明のアカゲザルPKR1核酸分子は、配列番号:34のヌクレオチド配列、または配列番号:34と実質的に同じヌクレオチド配列、またはそれらの断片を有することができ、ならびに任意にタグのような異種配列を含むことができる。
【0031】
本発明の核酸分子は、様々な異種ヌクレオチド配列へ連結することができ、これは望ましいならば異種のポリペプチドまたはペプチドをコードすることができる。異種ヌクレオチド配列の例は、制限部位、プロモーターまたは他の調節エレメント、検出タグ、そのポリペプチド内のタグまたは他の有用な配列をコードしているヌクレオチド配列を含む。このようなタグの限定的でない例は、コードされたポリペプチドの単離に有用な精製タグおよびコードされたポリペプチドの検出に有用な検出タグを含む。
【0032】
本明細書において使用される用語「核酸分子」は、1本鎖または2本鎖であることができ、ゲノムDNA、cDNA、またはRNAに対応することができ、およびセンスまたはアンチセンスのいずれかまたは両方を表すことができる、天然のまたは合成の起源を持つ、オリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。
【0033】
用語「核酸分子」は、塩基、糖、もしくはリン酸部分の修飾を有するか、またはホスホロチオエート結合などの、非天然の結合を1個または複数有するようなヌクレオチドなどの、1個または複数の非天然のヌクレオチドを含む核酸分子を含むことが意図されている。このような修飾は、特にハイブリダイゼーションに適用する場合において使用される場合、核酸分子の安定性の増加において有利であることができる。
【0034】
更に用語「核酸分子」は、放射標識、蛍光色素、強磁性体、発光タグまたはビオチンなどの検出可能な結合物質のような、検出可能な部分を含むように修飾された核酸分子を含むことが意図されている。このような部分を含む核酸分子は、PKR2核酸分子の存在または発現を検出するためのプローブとして有用である。
【0035】
本発明の核酸は、それが対象核酸によりコードされたポリペプチドと少なくとも80%(例えば少なくとも85%、90%、95%、98%または99%)の同一であるポリペプチドをコードしている場合は、対象核酸と実質的に同じと見なされる。ヌクレオチドは、その配列が対象ヌクレオチドによりコードされたポリペプチドの全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を有するポリペプチドをコードしている場合は、対象ヌクレオチドと実質的に同じであり、ここでNaはアミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:35のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80(80%同一性に対応)、0.85(85%同一性)、0.90(90%同一性)、0.95(95%同一性)、0.9(98%同一性)または0.99(99%同一性)であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる。
【0036】
本明細書において使用される用語「単離された核酸分子」は、核酸分子が、その天然の環境において認められる様式から、人工的に改変されることを意味することが意図されている。例えば単離された核酸分子は、外来性核酸配列に機能的に連結された分子であることができる。単離された核酸分子は、その通常のフランキング核酸配列の一部または全てから除去された分子であることもできる。
【0037】
本発明は、本発明の核酸分子を含むベクター、およびベクターを含む単離された宿主細胞を提供する。ベクターの例は、バクテリオファージ、バキュロウイルスもしくはレトロウイルスなどのウイルス由来のベクター、およびコスミドもしくはプラスミドのような、細菌由来のもしくは細菌配列と他の生物由来の配列の組合せ由来のベクターを含む。本発明のベクターは一般に、意図された宿主細胞と適合可能な複製起点;転写末端およびRNAプロセッシングシグナル;意図された宿主細胞と適合可能な1種または複数の選択マーカー;ならびに、1種または複数のマルチプルクローニングサイトなどのエレメントを含むと考えられる。任意にベクターは更に、コードされたポリペプチドの発現および精製を促進するGSTタグなどのタグ配列および/またはFactor Xa部位などのプロテアーゼ切断部位をコードしている異種配列を含むことができる。
【0038】
ベクターに組み込むための特定のエレメントの選択は、意図された宿主細胞;挿入断片サイズ;挿入された配列の発現が望ましいかどうか;ベクターの望ましいコピー数;望ましい選択システムなどの要因に左右される。様々な適用において宿主細胞とベクターの間の適合性を確実にすることに関連した要因は、当該技術分野において周知である。
【0039】
ベクターがコードされたポリペプチドの組換え発現に使用される適用において、単離された核酸分子は一般に、遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結され、これはベクター内にまたは挿入された核酸分子内に存在することができる。本発明のリスザルPKR2、本発明のチンパンジーPKR2、アカゲザルPKR1、本発明のアカゲザルPK1またはアカゲザルPK2をコードしている単離された核酸分子は、遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結することができる。本明細書において使用される用語「機能的に連結された」とは、核酸分子が、内在性プロモーター、または異種プロモーターのいずれかに関して、プロモーターが鋳型としてその核酸分子を使用するRNA転写を指示するように配置されることを意味する。
【0040】
核酸を異種プロモーターへ機能的に連結する方法は、当該技術分野において周知であり、かつ例えば、核酸の所望のプロモーターを含むベクターへのクローニング、またはPCRを使用するプロモーターの核酸配列への付加を含む。RNA転写のプロモーターへ機能的に連結された核酸分子を使用し、望ましい宿主細胞またはインビトロ転写-翻訳システムにおいてプロキネチシン転写産物およびポリペプチドを発現することができる。
【0041】
本発明の核酸分子に機能的に連結されたプロモーターの選択は、意図された用途に応じて左右され、および当業者により決定される。例えば特定の遺伝子産物が、特定の宿主細胞に有害である場合、本発明の核酸分子を調節されたプロモーターへ連結し、その結果遺伝子発現をオンまたはオフにすることができることが望ましい。あるいは、弱いかまたは強力であるかのいずれかの構成的プロモーターにより駆動される発現を有することが望ましい。哺乳類細胞系に適したプロモーターの例は、例えば、SV40初期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)ステロイド誘導性プロモーター、およびモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)プロモーターがある。細菌細胞系に適したプロモーターの例は、例えば、T7、T3、SP6、lacおよびtrpプロモーターを含む。細菌細胞における融合タンパク質発現に適したベクターの例は、pGEX-3Xベクター(Amersham Pharmacia Biotech、ピスカタウェイ、NJ)である。
【0042】
本発明は、配列番号:2またはそれらの断片を含むリスザルPKR2ポリペプチド、配列番号:4もしくはそれらの断片を含むチンパンジーPKR2ポリペプチド、配列番号:6もしくはそれらの断片を含むアカゲザルPK2ポリペプチド、配列番号:35もしくはそれらの断片のアカゲザルPKR1ポリペプチド、または配列番号:30もしくはそれらの断片のアカゲザルPK1ポリペプチドなどの、本発明のポリペプチドをコードしている単離された核酸分子を含む細胞を提供する。細胞に含まれる単離された核酸分子は一般に、ベクター内に存在し、エピソームに維持されるか、または宿主細胞ゲノムに組込まれる。
【0043】
本発明の細胞は、例えば単離された核酸分子の増大、サブクローニングまたは修飾などの、分子生物学的用途に使用することができる。このような用途に関して、実験株大腸菌のような細菌細胞が有用であり、コードされたポリペプチドの発現は不要である。
【0044】
本発明の細胞は、コードされたポリペプチドの組換え発現および単離に有利に使用することもできる。このような用途に関して、細菌細胞(例えば大腸菌)、昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエおよびスポドプテラ・フジペルダ(Spodoptera fugiperda))、酵母細胞(例えば、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ポンベ、またはピキア・パストリス)、および脊椎動物細胞(例えば、哺乳動物初代細胞および確立された細胞株、例えばCHO細胞、293細胞およびCOS細胞;ならびに、両生類細胞、例えばアフリカツメガエルの胚および卵母細胞)がある。
【0045】
本発明は、組換えポリペプチドを発現するように、宿主細胞を培養することにより、リスザルPKR2ポリペプチド、チンパンジーPKR2ポリペプチド、アカゲザルPK2ポリペプチド、アカゲザルPK1ポリペプチドおよびアカゲザルPKR1ポリペプチドに対応する単離されたポリペプチドを調製する方法も提供する。様々な周知の方法を用い、組換えポリペプチドの発現のために、ベクターを宿主細胞へ導入することができる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, ニューヨーク(1992)、およびAnsubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Jhon wiley and Sons, ボルチモア, MD,(1998))。選択された方法は、例えば、選択された宿主細胞に依存すると考えられる。
【0046】
本発明の単離されたポリペプチドは、生化学的手段により調製することができ、そのポリペプチドを組換えにより発現する宿主細胞から、または通常そのポリペプチドを発現する組織もしくは細胞から、単離することができる。膜分画、クロマトグラフィー、電気泳動およびリガンド親和性法、および本明細書において説明されたプロキネチシン抗体による免疫親和性法を含む、当該技術分野において慣習的に使用される、様々な周知の生化学的手法を使用することができる。本発明の単離されたポリペプチドは、当該技術分野において公知である化学合成手法により調製することもできる。化学合成後、不活性プロキネチシンは、本明細書に説明された方法によりリフォールディングされ、活性を回復する。
【0047】
望ましいならば、それらの機能活性、選択性、安定性またはバイオアベイラビリティを最適化するために、化学合成されたポリペプチドを、D-立体異性体、天然に存在しないアミノ酸、ならびにアミノ酸アナログおよび模倣物を含むように修飾することができる。修飾されたアミノ酸およびそれらの使用の例は、Sawyer, Peptide Based Drug Design, ACS, ワシントン(1995)およびGross and Meienhofer, The Peptides : Analysis, Synthesis, Biology, Academic Press Inc., ニューヨーク(1983)に記されている。ある種の適用に関して、1種または複数の検出可能に標識されたアミノ酸、例えば放射標識されたまたは蛍光標識されたアミノ酸を、化学合成されたポリペプチドまたはペプチドへ組み込むことも有用である。
【0048】
プロキネチシンを組換えにより発現する方法は、当該技術分野において公知である(細菌発現については、例えばUS20020115610A1、US20030113867A1、およびMasuda et al., 前記(2001)、ならびに真核細胞発現については、例えばWO 01/36465およびWO 00/52022参照)。このような方法は、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタグ、Fcタグ、6× Hisタグ、mycエピトープ、または当該技術分野において公知の他のタグ配列との融合物のような融合タンパク質として最初にPKを発現することに関連している。組換えにより発現されたプロキネチシンを実質的に精製する方法、および任意のタグ配列を取り除く方法も、当該技術分野において公知である。例えば、公開された特許出願US20020115610A1およびUS20030113867A1(各々、その全体が本明細書に参照として組み入れられている)は、タンパク質凝集を最小にするような組換えにより発現されたプロキネチシンをリフォールディングおよび精製する条件を開示し、更に正確なジスルフィド結合形成を確認する方法を開示している。
【0049】
単離されたプロキネチシンポリペプチドを調製するひとつの方法において、プロキネチシンポリペプチドは、細菌において、タグ(例えば、6×Hisタグ)を含む融合タンパク質として(例えばGST融合体として)組換えにより発現され、ならびにアフィニティー分離(例えばニッケルカラム上で)により部分的に精製され得る。その後融合されたポリペプチドは、異種タンパク質を除去するように切断され(例えば、GSTとプロキネチシンの間を切断するプロテアーゼFactor Xaを用いて)、ならびにプロキネチシンポリペプチドは、タンパク質凝集を最小にするように、先に説明された条件下でリフォールディングされる。より高度に精製されたポリペプチドを得るために、このポリペプチドは更に、カラムクロマトグラフィー(例えば逆相HPLC)により精製される。当業者は、活性プロキネチシンポリペプチドの組換えによる発現、リフォールディングおよび精製のためのこれらの好ましい方法の変更は、代替異種配列、切断可能な配列、タグ、宿主細胞および緩衝液条件の使用などで、容易に決定することができることを認めると考えられる。
【0050】
複数のシステイン残基を含むポリペプチドの組換え発現は、不正確な分子内および分子間のジスルフィド結合を生じ、これは失活した凝集細菌タンパク質の生成につながり得る。本明細書において説明されたように、これらの問題点は、発現されたポリペプチドのリフォールディング時にタンパク質凝集を最小化する条件を用い、克服することができる。タンパク質凝集を最小化する条件の例は、下記のリフォールディング条件のひとつまたは複数を含む:1)タンパク質濃度を低く維持すること(例えば約100μg/ml);2)変性物質を除去するために、ペプチドを希釈するのではなくむしろ透析すること;3)緩衝液から酸化剤を除去すること;4)全ての緩衝液中で尿素を高濃度に維持すること;5)緩衝液中のグリセロールを高濃度に維持すること(例えば少なくとも約10%);ならびに、6)ペプチドおよび緩衝液を低温に維持すること(例えば約4℃)。これらの条件において、低いタンパク質濃度(すなわち約250μg/ml未満、好ましくは200μg/ml、150μg/ml、100μg/mlまたは50μg/ml未満)、および高い尿素濃度(例えば少なくとも約1.5M、例えば約2M、4M、6M、8Mまたはそれよりも高い)は、活性プロキネチシンをうまくリフォールディングする上で最も重要な要因である。
【0051】
本発明の組成物は、PKR2、PKR1、PK1もしくはPK2、またはそれらの組合せ、およびPKR2、PKR1、PK1もしくはPK2、またはそれらの組合せを含む再構成されたシグナル伝達システムを含む、細胞の粗溶解液もしくは部分的に精製された溶解液または抽出液も含む。人工的シグナル伝達システムは、例えば、天然のまたは人工の脂質二層、例えばリポソームまたはミセルを含み、これはPKR1またはPKR2の活性のある高次構造を促進する。これらの組成物は更に、所望の予め決定されたシグナルの生成および検出に必要な、細胞画分または単離された成分を含む。
【0052】
本発明の組成物は更に、PKR2受容体、ならびにPK1およびPK2のいずれかもしくはふたつの両方、または別のPKR2受容体アゴニスト、例えばPK2/PK1キメラもしくはPK1/PK2キメラを含むことができる。あるいは本発明の組成物は更に、PKR1受容体の両方、ならびにPK1およびPK2のいずれか一方もしくは両方、または別のPKR1受容体アゴニスト、例えばPK2/PK1キメラもしくはPK1/PK2キメラを含むことができる。
【0053】
本明細書において使用される用語「単離された」とは、ポリペプチドが、それが天然の環境において認められる状態から、人の手により変更されたことを示す。本発明の「単離された」ポリペプチドは、「実質的に精製された」分子、すなわち天然にそれと会合している細胞成分を少なくとも60%、70%、80%、90%または95%含まないものであることができる。単離されたポリペプチドは、緩衝溶液、懸濁液、凍結乾燥された粉末、異種細胞における組換えによる発現された、受容体へ結合されたまたは固相支持体へ付着されたなどのいずれかの形であることができる。
【0054】
本発明のリスザルおよびチンパンジーPKR2ポリペプチドは、PKR2のアンタゴニストまたはアゴニストを同定するために様々なスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。ひとつの態様において、本発明は、PKR2アゴニストを同定する方法を提供する。本方法は、(a)配列番号:2または配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2を、1種または複数の候補化合物と接触させること、および(b)PKR2シグナル生成を選択的に促進する化合物を同定し、この化合物は該PKR2のアゴニストとして特徴付けられることに関する。
【0055】
本発明のアカゲザルPKR1ポリペプチドは、PKR1またはPKR2のアンタゴニストまたはアゴニストを同定するために様々なスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。ひとつの態様において、本発明は、PKR1アゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、(a)配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むPKR1を、1種または複数の候補化合物と接触させること、および(b)PKR1シグナル生成を選択的に促進する化合物を同定することを含む。PKR1シグナルを選択的に促進する化合物は従って該PKR1のアゴニストとして特徴付けられる。
【0056】
別の態様において、本発明は、PKR2アンタゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、(a)配列番号:2または配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシン存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させること、および(b)PKR2シグナル生成を選択的に阻害する化合物を同定し、該化合物は該PKR2のアンタゴニストとして特徴付けられることに関する。
【0057】
更に別の態様において、本発明は、PKR1アンタゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、(a)配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むPKR1ポリペプチドを、プロキネチシン存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させること、および(b)PKR1シグナル生成を選択的に阻害する化合物を同定し、該化合物は該PKR1のアンタゴニストとして特徴付けられることに関する。
【0058】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体2アンタゴニスト」および「PKR2アンタゴニスト」は、プロキネチシン受容体2(PKR2)を介した通常のシグナル伝達を選択的に阻害または減少する化合物を意味し、これは例えば本発明のリスザルまたはチンパンジーPKR2ポリペプチドであることができる。PKR2アンタゴニストは、PKR2またはPKの結合、それによるPKとPKR2の間の阻害などの、いずれかの拮抗機構により作用することができる。PKR2アンタゴニストは、特異的または非特異的PKR2アゴニストとPKR2の間の結合を阻害することもできる。このような特異的または非特異的PKR2アゴニストは、例えば、PKR2を介したシグナル伝達を促進することにより望ましくない副作用を生じる薬物でありうる。PKR2アンタゴニストは、例えばPKの結合活性またはPKR2のシグナル伝達活性を阻害することにより、作用することもできる。例えば、PKR2アンタゴニストは、PKR2のリン酸化またはグリコシル化の状態を変更することにより作用することができる。PKR2アンタゴニストは、PKR2シグナル伝達を構成的PKR2シグナル伝達活性のベースライン量から減少する、逆アゴニストであることもできる。
【0059】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体1アンタゴニスト」および「PKR1アンタゴニスト」は、プロキネチシン受容体1(PKR1)を介した通常のシグナル伝達を選択的に阻害または減少する化合物を意味し、これは例えば本発明のアカゲザルPKR1ポリペプチドであることができる。PKR1アンタゴニストは、例えばPKR1またはPKの結合により、それによるPKとPKR1の間の結合を阻害することができるような、いずれかの拮抗機構により作用することができる。PKR1アンタゴニストは、特異的または非特異的PKR1アゴニストとPKR1の間の結合を阻害することもできる。このような特異的または非特異的PKR1アゴニストは、例えば、PKR1を介したシグナル伝達を促進することにより望ましくない副作用を生じる薬物でありうる。PKR1アンタゴニストは、例えばPKの結合活性またはPKR1のシグナル伝達活性を阻害することにより、作用することもできる。例えば、PKR1アンタゴニストは、PKR1のリン酸化またはグリコシル化の状態を変更することにより作用することができる。PKR1アンタゴニストは、PKR1シグナル伝達を構成的PKR1シグナル伝達活性のベースライン量から減少させる、逆アゴニストであることもできる。
【0060】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体2アゴニスト」および「PKR2アゴニスト」は、プロキネチシン受容体2(PKR2)を介した通常のシグナル伝達を選択的に促進または増強する化合物を意味し、これは例えば本発明のリスザルまたはチンパンジーPKR2ポリペプチドであることができる。PKR2アゴニストは、通常のプロキネチシン(PK)結合部位で、プロキネチシンに結合し、これによりPKR2シグナル伝達を促進することによるような、いずれかの作動性機構により作用することができる。PKR2アゴニストは、例えばPKの結合活性またはのPKR2シグナル伝達活性を増強することにより、作用することもできる。PK1およびPK2は両方ともPKR1およびPKR2に結合することができるので、PKR2アゴニストは、PKR1のアゴニストとしても機能することができる。従って、PKR1アゴニストは、本明細書に説明されたスクリーニング法を用い、PKR2アゴニストとして機能するその能力について試験することができ;ならびに、PKR2アゴニストは、本明細書に説明されたスクリーニング法を用い、PKR1アゴニストとして機能するその能力について試験することができる。
【0061】
本明細書において使用される用語「プロキネチシン受容体1アゴニスト」および「PKR1アゴニスト」は、プロキネチシン受容体1(PKR1)を介した通常のシグナル伝達を選択的に促進または増強する化合物を意味し、これは例えばアカゲザルPKR1であることができる。PKR1アゴニストは、例えば通常のプロキネチシン(PK)結合部位でのプロキネチシン受容体の結合、それによるPKR1シグナル伝達の促進により、いずれかの作動性機構により作用することができる。PKR1アゴニストは、例えばPKの結合活性またはPK12のシグナル伝達活性を増強することにより作用することもできる。PK1およびPK2は両方ともPKR1およびPKR2に結合するので、PKR1のアゴニストは、PKR1のアゴニストとして機能することもできる。従って、PKR2アゴニストは、本明細書に説明されたスクリーニング法を用い、PKR1アゴニストとして機能するその能力について試験することができ;ならびに、PKR1アゴニストは、本明細書に説明されたスクリーニング法を用い、PKR2アゴニストとして機能するその能力について試験することがでる。
【0062】
PKR2アゴニストの具体例は、図5に示されたアカゲザル、ヒト、およびマウスPK2アミノ酸配列に加え、図6に示されたヒトおよびマウスPK1アミノ酸配列(各々、配列番号:11および12)、ヒキガエルBv8アミノ酸配列(配列番号:13)、カエルBv8アミノ酸配列(配列番号:14)、ヘビMIT1アミノ酸配列(配列番号:15)、キメラPK1-PK2アミノ酸配列(配列番号:16および17)、ならびに図10に示されたアカゲザルPK1アミノ酸配列(配列番号:30)を含む。
【0063】
PKR1アゴニストの具体例は、図5に示されたアカゲザル、ヒト、およびマウスPK2アミノ酸配列に加え、図6に示されたヒトおよびマウスPK1アミノ酸配列(各々、配列番号:11および12)、ヒキガエルBv8アミノ酸配列(配列番号:13)、カエルBv8アミノ酸配列(配列番号:14)、ヘビMIT1アミノ酸配列(配列番号:15)、キメラPK1-PK2アミノ酸配列(配列番号:16および17)、ならびに図10に示されたアカゲザルPK1アミノ酸配列(配列番号:30)を含む。
【0064】
PKR1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストを同定するための本発明の方法において使用されたスクリーニングアッセイは、PKR1またはPKR2により生成したシグナルの検出に関連している。本明細書において使用される用語「受容体シグナル」は、任意の分析手段により、検出可能である読み値、すなわちPKR2によるG-タンパク質依存型シグナル伝達の活性化の定性的または定量的指標であることを意味することが意図されている。このようなPKR1またはPKR2を介したG-タンパク質依存型シグナル伝達の定性的または定量的活性化を決定するために使用されるアッセイは、「シグナル伝達アッセイ」と以下で称される。
【0065】
シグナル伝達アッセイは、候補化合物がPKR1またはPRR2のアゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを決定するために行うことができる。このようなアッセイにおいて、本明細書において開示されたリスザルもしくはチンパンジーPKR2ポリペプチドまたはアカゲザルPKR1などの、PKR1またはPKR2受容体は、PKR1またはPKR2がPK1またはPK2のようなアゴニストに反応してシグナルを生成する条件下で、1種または複数の候補化合物と接触される。PKR1またはPKR2活性化に反応し、シグナルは、未刺激のPKR1またはPKR2ベースラインシグナルから増加または減少することができる。シグナルは、例えば検出されたセカンドメッセンジャー分子の量が、PKR1またはPKR2活性化に反応して増加した場合に、増加するシグナルであることができる。シグナルは、例えば検出されたセカンドメッセンジャー分子が、PKR1またはPKR2活性化に反応して破壊、例えば加水分解される場合に、減少するシグナルであることができる。
【0066】
同様に、シグナル伝達アッセイを行い、候補化合物がPKR1またはPKR2アンタゴニストであるかどうかを決定することができる。このようなシグナル伝達アッセイにおいて、PKR1またはPKR2は、PKR1またはPKR2がPK1またはPK2のようなアゴニストに反応してシグナルを生成するような条件下で、1種または複数の候補化合物と接触され、ならびにそのシグナルの生成を低下する化合物が同定される。
【0067】
Gタンパク質を介したシグナル伝達は、例えばアラキドン酸、アセチルコリン、ジアシルグリセロール、cGMP、cAMP、イノシトール-1,4,5-三リン酸などのイノシトールリン酸、およびCa++イオンを含むイオンなどを含む、セカンドメッセンジャーの増加したまたは減少した生成、または遊離;変化した細胞膜電位;GTP加水分解;アミノ酸の流入または流出;細胞内タンパク質の増加したまたは減少したリン酸化;または、転写の活性化につながる。
【0068】
G-タンパク質共役シグナル伝達経路の変化を同定するためのハイスループット自動スクリーニングアッセイを含む、様々なアッセイは、当該技術分野において周知である。Ca++、cAMP、電圧変化および遺伝子発現を測定する様々なスクリーニングアッセイが、例えば、Gonzalez et al., Curr. Opin. in Biotech., 9:624-631(1981);Jayawickreme et al., Curr. Opin. Biotech., 8:629-634(1997);および、Coward et al., Anal. Biochem., 270:2424-248(1999)において検証されている。G-タンパク質共役受容体の薬物標的のハイスループットスクリーニングに関する酵母細胞ベースのバイオアッセイは、例えば、Pausch, Trends in Biotech., 15:487-494(1997)に説明されている。G-タンパク質共役受容体アゴニストおよびアンタゴニストを検出するために有用である、細菌、酵母、バキュロウイルス/昆虫系および哺乳類細胞を含む、様々な細胞ベースの発現系が、例えば、Tate et al., Trends in Biotech. 14:426-430(1996)において総説されている。
【0069】
G-タンパク質共役シグナル伝達を検出および測定するアッセイは最初は、単離された細胞、膜または人工膜、例えばリポソームもしくはミセルのような、本発明のPKR1またはPKR2ポリペプチドを含む試料の、検出可能なインジケーターとの接触が関連している。検出可能なインジケーターは、測定される物質の存在下において、物理的または化学的特性の検出可能な差異、例えば色の変化を示すような任意の分子であることができる。選択されたシグナル伝達経路を検出および測定するための、カルシウムインジケーター、pHインジケーター、および金属イオンインジケーター、ならびにこれらのインジケーターを使用するアッセイが、例えば、Haugland, Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals、セット20-23および25(1992-94)に説明されている。例えばカルシウムインジケーターおよびそれらの使用は、当該技術分野において周知であり、これはFluo-3 AM、Fura-2、Indo-1、FURA RED、CALCIUM GREEN、CALCIUM ORANGE、CALCIUM CRIMSON、BTC、OREGON GREEN BAPTAなどの化合物を含み、これらはMolecular Probes, Inc.(ユージーン、OR)から入手可能であり、ならびに例えば米国特許第5,453,517号、第5,501,980号および第4,849,362号に開示されている。PKR2活性に関するシグナル伝達アッセイを実行する方法の例は、当該技術分野において公知である(例えば、動員アッセイについて開示している、US20020115610A1を参照のこと)。
【0070】
望ましいならば、Ca2+流入以外の受容体シグナルを、PKR1またはPKR2活性化の読み値として使用することができる。細胞表面受容体に関するG-タンパク質の特異性は、GαサブユニットのC末端の5個のアミノ酸により決定される。様々な真核生物および原核生物におけるGαサブユニットの異なるクラスおよびサブクラスのヌクレオチド配列およびシグナル伝達経路は、当該技術分野において周知である。従って、任意の簡便なG-タンパク質媒介型シグナル伝達経路を、Gαqのような、本発明のPKR1またはPKR2へ連結するGαのC末端残基を含むキメラGαを調製することによりアッセイすることができ、この場合シグナル伝達経路に連結しているGαに対応するタンパク質の残余がアッセイされることが望ましい。
【0071】
PKR1またはPKR2のアゴニストまたはアンタゴニストとして機能する化合物を同定するアッセイは一般に、受容体を公知の受容体アゴニストと接触させると受容体シグナルを生成するような条件下で行われる。望ましいならば、このアッセイは、PK1またはPK2のような、公知のPKR1またはPKR2アゴニストの存在下で行うことができる。アゴニスト濃度は、EC50の10倍以内である。従って、PKR1またはPKR2を介したシグナル伝達に関してPK2、PK1もしくはPK2/PK1キメラと競合するか、またはPK1もしくはPK2のシグナル伝達活性を間接的に増強するアゴニストは、容易に同定することができる。同様にPKR1またはPKR2を介したシグナル伝達に関してPK2、PK1、またはPK2/PK1キメラと競合するアゴニストは、容易に同定することができる。
【0072】
同様に、PK2、PK1もしくはPK2/PK1キメラがPKR1もしくはPKR2へ結合するのを防止するか、またはPKR1もしくはPKR2のシグナル伝達活性を間接的に減少するアンタゴニストも、同定することができる。同様にPK2、PK1もしくはPK2/PK1キメラがPKR1へ結合するのを防止するか、またはPKR1のシグナル伝達活性を間接的に減少するアンタゴニストも、同定することができる。候補化合物は、最大の半分のシグナル伝達が生じる濃度を確立するための濃度範囲で試験することができ;そのような濃度は一般に、PKR1またはPKR2結合の解離定数(Kd)に類似している。
【0073】
PKR1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストである化合物を同定するために、結合アッセイを行うことができる。このようなアッセイにおいて、本発明のPKR1またはPKR2ポリペプチドは、PK2のようなアゴニストがPKR1またはPKR2に結合する条件下で、1種または複数の候補化合物と接触させることができ、ならびにPKR1もしくはPKR2に結合する化合物またはアゴニストのPKR1もしくはPKR2への結合を低下する化合物を、同定することができる。企図された結合アッセイは、候補化合物を検出可能に標識すること、または非標識の候補化合物を検出可能に標識されたPKアゴニスト、例えばPK2、PK1もしくはPK2/PK1キメラと競合させることを伴う。検出可能な標識は、例えば、放射性同位体、蛍光色素、強磁性体、または発光物質であることができる。化合物の標識に有用な放射性同位体の例は、125I、14Cおよび3Hを含む。合成時の標識されたアミノ酸の化合物への組込み、または合成後の化合物の誘導体化のいずれかによる、有機分子を検出可能に標識する方法は、当該技術分野において公知である。
【0074】
候補化合物が、検出可能に標識されたPKの結合を減少するかどうかを決定するために、所定の量の検出可能に標識されたPKの結合量が、候補化合物の非存在下で決定される。一般に、検出可能に標識されたPKの量は、そのKd未満であり、例えばそのKdの1/10である。同じ条件下で、候補化合物の存在下で、検出可能に標識されたPK2、PK1またはPK2/PK1キメラの結合の量が決定される。PKR1またはPKR2リガンドとして特徴付けられた候補化合物に起因した結合の減少は、検出可能に標識されたPK2、PK1またはPK2/PK1キメラのPKR1またはPKR2への結合が、候補化合物の存在下において、候補化合物の非存在下よりも、少なくとも2倍少ない、例えば少なくとも10倍から少なくとも100倍少ない、例えば少なくとも1000倍少ないことにより、証拠付けられる。検出可能に標識されたPK2、PK1またはPK2/PK1キメラのPKR1またはPKR2への結合を決定するアッセイの例は、放射性リガンドフィルター結合アッセイであり、これはLi et al. Molecular Pharmacology 59:692-698(2001)に説明されている。
【0075】
受容体とリガンドの間の選択的結合相互作用の検出に適したローおよびハイスループットアッセイのいずれかは、例えば蛍光相関分光システム(FCS)およびシンチレーション近接アッセイ(SPA)を含み、これらはMajor, J. Receptor and Signal Transduction Res. 15:595-607(1995);および、Sterrer et al., J. Receptor and Signal Transduction Res. 17:511-520(1997)において検証されている。結合アッセイは、例えば、本発明のPKR1もしくはPKR2を含む全細胞もしくは膜などの細胞調製物、または溶液中もしくは固相支持体に結合されたかのいずれかの、実質的に精製された本発明のPKR1もしくはPKR2などの、いずれか適当なアッセイフォーマットで行うことができる。
【0076】
本明細書において使用される用語「候補化合物」は、任意の生物学的または化学的化合物を意味する。例えば候補化合物は、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質またはそれらの任意の組合せなどの、天然の巨大分子であることができる。候補化合物は、そのような巨大分子の部分的または完全に合成された誘導体、アナログもしくは模倣物であるか、またはコンビナトリアルケミストリー法で調製された小型有機分子であることもできる。特定のアッセイフォーマットが望ましい場合は、候補化合物は、検出可能に標識されるかまたは固相支持体へ付着される。
【0077】
単純なもしくは複雑な有機分子、金属含有化合物、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ペプチド模倣物、糖タンパク質、リポタンパク質、核酸、抗体などを含む化合物の巨大なライブラリーを調製する方法は、例えば、Huseの米国特許第5,264,563号;Francis et al., Curr. Opin. Chem. Biol. 2:422-428(1998);Tietze et al., Curr. Biol., 2:363-371(1998);Sofia, Mol. Divers., 3:75-94(1998);Eichler et al., Med. Res. Rev. 15:481-496(1995)などに説明されている。多数の天然および合成の化合物を含むライブラリーも、商業的供給源から入手することができる。
【0078】
本発明の方法で試験する多数の様々な候補化合物の数は、本方法の適用に応じて決まると考えられる。例えば1種または少数の候補化合物は、手作業によるスクリーニング手法において、またはいくつかの予想されたリガンド、アゴニストもしくはアンタゴニスト間の有効性を比較することが望ましい場合は、有利であることができる。しかし、候補化合物の数が大きければ大きいほど、スクリーニングアッセイにおいて望ましい活性を有する化合物を同定する可能性が大きくなることは理解されるであろう。加えて、多数の化合物は、ハイスループット式自動スクリーニングアッセイにおいて処理することができる。
【0079】
PKR1またはPKR2に選択的に結合またはこれらを介したシグナル伝達を調節する化合物を同定するアッセイ法は一般に、対照との比較に関連している。「対照」のひとつの種類は、対照が候補化合物に曝されない以外は、被験調製物と同じに処理されるような調製である。別の種類の「対照」は、対照調製物が受容体を発現しないか、またはPK2もしくはPK1へ選択的に反応しないように修飾される以外は、被験調製物と同様であるような調製である。この状況において、候補化合物に対する被験調製物の反応は、実質的に同じ反応条件下での、同じ化合物に対する対照調製物の反応(または反応の欠如)と比較される。
【0080】
本発明のPKR1またはPKR2ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストであることが同定された化合物は、細胞または動物の機能に対する1種または複数の作用を調節するその能力について試験することができる。例えば、PKR1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストは、概日リズム機能、血管新生、胃腸の収縮および運動性、ならびに胃酸またはペプシノーゲンの分泌、神経の状態ならびに疼痛を調節する能力について試験することができる。
【0081】
化合物の概日リズム機能に対する作用を決定するアッセイの例は、例えば、Cheng et al. Nature 247:405-410(2002)に説明されている。化合物の血管新生に対する作用を決定するアッセイの例は、例えば、米国特許第5,753,230号およびPCT公開国際公開公報第97/15666号および米国特許第5,639,725号に開示されており、これらは腫瘍モデルシステムを説明しており;Langer et al., Science 193:707-72(1976);O'Reilly, et al., Cell 79:315-328(1994);および米国特許第5,753,230号に開示されている。化合物のGI収縮および運動性に対する作用を決定するアッセイの例は、例えば、Li et al. Mol Pharmacol. 59(4):692-8(2001)、およびThomas et al., Biochem. Pharmacol., 51:779-788(1993)に開示されている。
【0082】
化合物の胃酸またはペプシノーゲン分泌に対する作用を決定するアッセイの例は、例えば、Soll, Am. J. Physiol 238:G366-G375(1980);Sol and Walsh, Annu. Rev. Physiol. 41:35-53(1979);Lavezzo et al., Int J Tissue React 6(2):155-165(1984)、および単離された胃粘膜(Rangachari, Am. J. Physiol. 236:E733-E737(1979), Bunce et al., Br. J. Pharmacol 58:149-156(1976);および、Lavezzo et al., Int J Tissue React 6(2):155-165(1984)); Howden et al., Aliment Pharmacol Ther 1(4):305-315(1987);Hirschowitz et al., J. Pharmacol Exp Ther 224(2):341-5(1983)、およびWilson et al. Gig Dis Sci 29(9):797-801(1984)に説明されている。
【0083】
化合物の神経状態への作用を決定するアッセイの例は、卒中または神経障害に起因した外傷の動物モデルを含み、これは当該技術分野において公知である。卒中のひとつの実験モデルは、短期間のラットの右中大脳動脈および両方の総頸動脈の閉鎖、それに続く再潅流に関連している(Moore et al., J. Neurochem. 80:111-118)。CNS障害の実験モデルは、液体振動損傷(fluid percussion injury)(FPI)モデルであり、ここでは中等度の衝撃(1.5atm〜2.0atm)が、頭頂骨大脳皮質に加えられる(Akasu et al., Neurosci. Lett. 329:305-308(2002))。脊椎損傷の実験モデルも、当該技術分野において使用される(Scheifer et al., Neurosci. Lett. 323:117-120(2002))。酸化ストレス、低酸素症、放射線照射、および毒素に起因した神経損傷の適当なモデルも、当該技術分野において公知である。
【0084】
化合物の疼痛に対する作用を決定するアッセイの例は、マウスのもがき(Writhing)アッセイ、テール・フリックアッセイ、坐骨神経結紮アッセイ、ホルマリン試験および後根神経節結紮アッセイなどの、周知の疼痛の動物モデルを含む(例えば、Bennett and Xie, Pain 33:87-107(1988);および、Lee et al., Neurosci. Lett. 186:111-114(1995);Dewey et al., J. Pharm. Pharmacol. 21:548-550(1969);Koster et al., Fed. Proc. 18:412(1959);pain(Malmberg and Yaksh, The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 263:136-146(1992)参照)。
【0085】
本発明のアカゲザルプロキネチシンポリペプチドに加え、本発明の方法を用いて同定された化合物は、個体の体重、性別、年齢および健康状態;特定の化合物の生化学的性質、生物活性、バイオアベイラビリティおよび副作用;ならびに、併用治療様式と適合可能な方法などの、処置される状態に適当な様式および量で製剤または投与することができる。ヒトの特定の治療用途に適した量および製剤は、本明細書において言及されたエクスビボおよびインビボアッセイにおける化合物の活性を基に外挿される。
【0086】
本発明の方法は、本明細書に先に説明されたような様々な状態を予防または治療するために、PRK1またはPKR2のアゴニストまたはアンタゴニストを投与することに関連している。本明細書において使用される用語「投与する」は、PRK1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストについて言及される場合、細胞、組織または動物に、PRK1またはPKR2アンタゴニストを提供または接触させることを意味する。この用語は、PRK1またはPKR2アゴニストまたはアンタゴニストを、動物から摘出された細胞もしくは組織、または培養物中に配置もしくは適合された細胞もしくは組織であることができる細胞または組織に関して、インビトロまたはエクスビボにおいて;更には、動物に関して、インビボにおいて投与することを包含している。化合物の総量は、単回投与量でもしくは比較的短期間にわたる注入により投与することができるか、またはより長い期間にわたり投与される反復投与量で投与することができる。加えてこの化合物は、徐放性マトリックス内で投与することができ、これは全身送達のために標的組織部位にまたはその近傍に移植することができる。治療的化合物を含む化合物の制御された放出に有用な企図されたマトリックスは、当該技術分野において周知であり、およびDepoFoam(商標)、バイオポリマー、マイクロポンプなどの物質を含む。
【0087】
化合物は、当該技術分野において公知の様々な経路により、哺乳類へ投与することができ、これは例えば、脳内、髄腔内、静脈内、筋肉内、皮下、眼窩内、嚢胞内、腹腔内、槽内、動脈内、経口、膣内、経直腸、局所的、鼻腔内、または経皮的を含む。
【0088】
一般に本発明の方法を用いて同定されたプロキネチシンポリペプチドおよび他の化合物などの化合物は、その化合物および薬学的に許容できる担体を含有する薬学的組成物として、動物へ投与される。薬学的に許容できる担体の選択は、化合物の投与経路、ならびにその具体的物理特性および化学特性によって決まる。薬学的に許容できる担体は、当該技術分野において周知であり、無菌の水性溶媒、例えば生理的に緩衝された生理食塩水、およびグリコール、グリセロールなどの他の溶媒またはビヒクル、オリーブ油などの油分、および注射用有機エステルを含む。薬学的に許容できる担体は更に、その化合物を安定化し、その溶解度を増加し、またはその吸収を増加する生理的に許容できる化合物を含むことができる。そのような生理的に許容できる化合物は、ブドウ糖、ショ糖またはデトライン(detrain)などの炭水化物;アスコルビン酸またはグルタチオンなどの、酸化防止剤;キレート剤;ならびに、低分子量タンパク質を含む(例えば「Remington's Pharmaceutical Science」18版、Mack Publishing Co. (1990)参照)。
【0089】
この化合物が血液脳関門を通過する、または細胞膜を横断することを必要とする適用については、その化合物の親油性を増大するような製剤が有用である。例えば、本発明の化合物は、リポソームに組込むことができる(Gregoriadis, Liposome Technology, Vols.I〜III, 2nd ed.(CRC Press, ボカラトン、FL(1993))。リン脂質または他の脂質からなるリポソームは、製造および投与が比較的単純な、無毒の生理的に許容できるおよび代謝可能な担体である。血液脳関門を通過するように化合物を製剤する他の方法は、当該技術分野において公知であり、およびサイズが1nm〜1000nmの範囲の固形コロイド粒子である、ナノ粒子(Lockman et al., Drug Dev. Ind. Pharm. 28:1-13(2002))、ならびに輸送ベクターとして役立つペプチドおよびペプチド模倣物(Pardridge, Nat. Rev. Drug Discov. 1:131-139(2002))の使用を含む。
【0090】
本発明は、他の霊長類または非霊長類PKR2に実質的に結合しない、リスザルPKR2ポリペプチド(配列番号:2)について選択的な抗体を提供する。加えて、本発明は、他の霊長類または非霊長類PKR2に実質的に結合しない、チンパンジーPKR2ポリペプチド(配列番号:4)について選択的な抗体を提供する。同じく、他の霊長類または非霊長類PK2に実質的に結合しない、アカゲザルPK2(配列番号:6)について選択的な抗体が提供される。更に、他の霊長類または非霊長類PK1に実質的に結合しない、アカゲザルPK1(配列番号:30)について選択的な抗体が提供される。同じく、他の霊長類または非霊長類PKR1に実質的に結合しない、アカゲザルPKR1(配列番号:35)について選択的な抗体が提供される。これらの本発明の抗体を、例えば研究および診断の用途において、リスザルPKR2またはアカゲザルPK2の発現を検出するために使用することができる。本明細書において使用される用語「抗体」は、少なくとも約1×105M-1、好ましくは少なくとも約1×107M-1、より好ましくは少なくとも約1×109M-1の言及されたポリペプチドに対応するアミノ酸配列について選択的結合活性を有する分子を含むことが意図される。用語「抗体」は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方に加え、そのような抗体の抗原結合断片(例えば、Fab、F(ab')2、FdおよびFv断片など)を含む。加えて用語「抗体」は、例えば1本鎖抗体、キメラ抗体、二価抗体、CDRグラフト抗体およびヒト化抗体に加えそれらの抗原結合断片を含む、非天然の抗体を包含することが意図される。
【0091】
ペプチドおよびポリペプチド免疫原を使用し、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む抗体を調製および単離する方法は、当該技術分野において周知であり、および例えばHarlow and Lane、「Antibodies: A Laboratory Manual」, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988)に説明されている。非天然の抗体は、固相ペプチド合成を用いて構築することができ、組換えにより作製するか、または例えば可変重鎖および可変軽鎖からなるコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングにより得ることができる。このような方法は、例えば、Huse et al. Science 246:1275-1281(1989);Winter and Harris, Immunol. Today 14:243-246(1993);Ward et al., Nature 341:544-546(1989);Hilyard et al.,「Protein Engineering: A practical approach」 (IRL Press, 1992);および、Borrabeck, 「Antibody Engineering」, 2d ed. (Oxford University Press, 1995)に記されている。
【0092】
実施例I
アカゲザルPK2のクローニング
本実施例は、アカゲザルプロキネチシン2 cDNAのクローニングを説明している。
【0093】
PCR法を用い、完全長アカゲザルPK2 cDNAを、アカゲザル精巣から単離された逆転写RNAから得た。アカゲザルPK2 cDNAは、PCRのための下記プライマーを使用し、Pfuポリメラーゼにより増幅し:
、その後下記プライマーを使用し、ネステドPCRを行った:
。
【0094】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、55℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、30サイクル実行した。PCR産物を、PCRIIベクター(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。
【0095】
実施例II
リスザルPKR2のクローニング
本実施例は、リスザルプロキネチシン受容体2 cDNAのクローニングを説明している。
【0096】
PCR法を用い、完全長リスザルPKR2 cDNAを、リスザル脳から単離された逆転写RNAから得た。リスザルPKR2 cDNAは、下記オリゴヌクレオチドプライマーを使用し、Pfuポリメラーゼにより増幅した:
。
【0097】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、58℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、50サイクル実行した。PCR産物を、PCRIIベクター(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。以下に説明されたカルシウム動員アッセイのために、このリスザルPKR2を、pcDNA3.1Zeo(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)へクローニングした。
【0098】
実施例III
チンパンジーPKR2のクローニング
本実施例は、チンパンジープロキネチシン受容体2 cDNA(配列番号:3)のクローニングを説明している。
【0099】
PCR法を用い、完全長チンパンジー(パン・トログロディテス)PKR2 cDNAを、チンパンジー唾液腺組織から単離された逆転写RNAから得た。チンパンジーPKR2 cDNAは、下記プライマーを使用し、Pfuポリメラーゼにより増幅した:
。
【0100】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、58℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、45サイクル実行した。プライマー1および2のPCR産物(産物1)およびプライマー3および4の産物(産物2)を、PCRIIベクター(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。完全なチンパンジーPKR2配列を、産物1および産物2の保存されたEco RV部位による連結により作製した。
【0101】
実施例IV
リスザルPKR2活性のヒトPKR2活性との同等性
本実施例は、リスザルPKR2は、PK1に反応して活性化され、およびヒトPKR2の活性と同等の活性を有することの証拠を提供する。
【0102】
リスザルPKR2の活性は、PK1に反応したカルシウム動員を測定することにより評価した。カルシウム動員アッセイのために、リスザルPKR2 cDNA(配列番号:1)を、リポフェクタミン(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)を用い発光タンパク質エクオリンを安定して発現しているCHO細胞へ一過性に形質移入した。48時間後、形質移入された細胞は、8μMセレンテラジンcpを含むOpti-MEM(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)において37℃で2時間かけてチャージした。その後細胞を、短時間のトリプシン処理により剥離し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSA中で、約5×105細胞/mlで維持した。細胞100μlを、HBSS+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSAで希釈した20μl組換えヒトPK1と共に、チューブに注入した。ルミネセンス測定を、MONOLIGHT 2010ルミノメーター(Analytical Luminescence Laboratory、サンディエゴ、CA)を用いて行った。
【0103】
これらの実験の結果は、図7に示し、これはリスザルPKR2(配列番号:2)が、ヒトPKR2(配列番号:7)と同等の活性を有し、EC50が10nMの桁であることを明らかにしている。
【0104】
実施例V
非ヒト霊長類プロキネチシンおよびプロキネチシン受容体の分子クローニングおよび特徴決定
チンパンジーPKR2(配列番号:4)の活性を、rHuPK2(配列番号:7)に反応したカルシウム動員を測定することにより評価した。カルシウム動員アッセイに関して、チンパンジーPKR2 cDNA(配列番号:3)は、リポフェクタミン(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)を用い発光タンパク質エクオリンを安定して発現しているCHO細胞へ一過性に形質移入した。48時間後、形質移入された細胞は、8μMセレンテラジンcpを含むOpti-MEM(INVITROGEN CORPORATION、カールスバッド、CA)において37℃で2時間かけてチャージした。その後細胞を、短時間のトリプシン処理により剥離し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSA中で、約5×105細胞/mlで維持した。細胞100μlを、HBSS+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSAで希釈した20μl組換えヒトPK2(配列番号:7)と共に、チューブに注入した。ルミネセンス測定を、MONOLIGHT 2010ルミノメーター(Analytical Luminescence Laboratory、サンディエゴ、CA)を用いて行った。
【0105】
これらの実験の結果は、図8に示し、これはチンパンジーPKR2(配列番号:3)は、ヒトPKR2(配列番号:7)と同等の活性を有し、EC50が約10nMであることを示している。
【0106】
アカゲザルPK1(配列番号:30)のクローニング。PCR法を用い、アカゲザル精巣から単離された逆転写RNAから(オレゴン霊長類センター)、完全長アカゲザルPK1 cDNAを得た。アカゲザルPK1 cDNA(配列番号:29)を、PCRのための下記プライマーを使用し、Pfuポリメラーゼで増幅した:
。
【0107】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、55℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、30サイクル実行した。PCR産物を、PCRIIベクター(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。アカゲザルPK1のヌクレオチド配列(配列番号:29)およびアミノ酸配列(配列番号:30)を、図9および10に示した。
【0108】
Takedaの科学者らにより報告されたアカゲザルPK1(配列番号:30)のヒトPK1(配列番号:11)およびヒトアイソフォームPK1(配列番号:31)とのアラインメント比較を、図11に示した。このアラインメントは、以下を明らかにした:a)アカゲザルPK1(配列番号:30)とヒトPK1(配列番号:11)の間の3つの置換、ならびにb)アカゲザルPK1(配列番号:30)とヒトPK1アイソフォーム(配列番号:31)の間の2つの置換。
【0109】
実施例VI
アカゲザルPKR1のクローニングおよびCHO細胞における発現
PCR法を用い、アカゲザル精巣から単離された逆転写RNAから(オレゴン霊長類センター)、完全長アカゲザルPKR1 cDNA(配列番号:34)を得た。アカゲザルPKR1 cDNA(配列番号:35)を、下記オリゴヌクレオチドプライマーを使用し、Pfuポリメラーゼで増幅した:
。
【0110】
Pfu触媒したPCR増幅を、94℃で30秒間の変性、58℃で45秒間のアニーリング、68℃で90秒間の伸長からなる各サイクルで、50サイクル実行した。PCR産物を、PCRIIベクター(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)にクローニングし、DNA配列決定により確認した。本明細書において以下に説明したカルシウム動員アッセイのために、アカゲザルPKR1を、pcDNA3.1Zeo(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)へクローニングした。アカゲザルPKR1核酸(配列番号:34)は、長さ1182のヌクレオチドである。アカゲザルPKR1のヌクレオチド配列(配列番号:34)および推定アミノ酸配列(配列番号:35)は、各々図12および13に示した。
【0111】
ヒトPKR1(配列番号:36)およびアカゲザルPKR1(配列番号:35)のアミノ酸配列のアラインメントを、図14に示した。このアラインメントは、ヒトとアカゲザルのPKR1の間に、9個のアミノ酸残基の異なりが存在することを明らかにした。本質的にこれらは全て、保存的変化であった。
【0112】
アカゲザルPKR1(配列番号:35)を、CHO細胞において発現し、rHuPKR1(配列番号:36)の活性と同等の活性を有することが示された。アカゲザルPKR1(配列番号:35)の活性は、PK2に反応したカルシウム動員を測定することにより、評価した。カルシウム動員アッセイに関して、アカゲザルPKR1 cDNA(配列番号:34)を、リポフェクタミン(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)を用い発光タンパク質エクオリンを安定して発現しているCHO細胞へ一過性に形質移入した。48時間後、形質移入された細胞は、8μMセレンテラジンcpを含むOpti-MEM(Invitrogen Corporation、カールスバッド、CA)において37℃で2時間かけてチャージした。その後細胞を、短時間のトリプシン処理により剥離し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSA中で、約5×105細胞/mlで維持した。細胞100μlを、HBSS+10mM HEPES(pH7.5)および0.1%BSAで希釈した20μl組換えヒトPK2と共に、チューブに注入した。ルミネセンス測定を、MONOLIGHT 2010ルミノメーター(Analytical Luminescence Laboratory、サンディエゴ、CA)を用いて行った。
【0113】
これらの実験から得た結果を、図15に示し、これはアカゲザルPKR1(配列番号:35)が、ヒトPKR1(配列番号:36)と同等の活性を有し、EC50値が約10nMであることを示している。
【0114】
先に提供された全ての雑誌論文、参考文献および特許の引用は、括弧内にまたはそうでなければ先に言及されたかどうかに関わらず、その全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0115】
本発明は先に提示された実施例を参照し説明されるが、本発明の精神から逸脱しない限りは、様々な修飾を行うことができることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1Aは、リスザルPKR2のヌクレオチド配列(配列番号:1)を示す。図1Bは、リスザルPKR2のアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図2】図2Aは、チンパンジーPKR2のヌクレオチド配列(配列番号:3)を示す。図2Bは、チンパンジーPKR2のアミノ酸配列(配列番号:4)を示す。
【図3】リスザル(配列番号:2)、ヒト(配列番号:7)、カニクイザル(配列番号:8)およびチンパンジー(配列番号:4)のPKR2アミノ酸配列の比較を示す。
【図4】図4Aは、アカゲザルPK2のヌクレオチド配列(配列番号:5)を示す。図 4Bは、アカゲザルPK2のアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。
【図5】アカゲザル(配列番号:6)、ヒト(配列番号:9)、およびマウス(配列番号:10)からのPK2アミノ酸配列の比較を示す。
【図6】ヒトPK1(配列番号:11);マウスPK1(配列番号:12);ヒキガエルBV8(配列番号:13);カエルBV8(配列番号:14);ヘビMIT1(配列番号:15);ヒトPK1-PK2キメラ(配列番号:16);および、ヒトPK2-PK1キメラ(配列番号:17)のアミノ酸配列を示す。
【図7】カルシウム動員の増加により明らかにされた、リスザルPKR2(配列番号:2)およびヒトPKR2(配列番号:7)のPK1に反応した活性化を示す。
【図8】中国人ヒト(chinease human)卵巣(CHO)細胞において発現された、組換えチンパンジープロキネチシン2受容体(PKR2)(配列番号:4)およびヒトPKR2(配列番号:7)の機能活性の比較である。
【図9】アカゲザルPK1のヌクレオチド配列(配列番号:29)を示す。
【図10】アカゲザルPK1の推定アミノ酸配列(配列番号:30)を示す。
【図11】アカゲザルPK1(配列番号:30)、ヒトPK1(配列番号:11)およびヒトPK1アイソフォーム(配列番号:31)のアラインメントを示す。
【図12】アカゲザルPKR1のヌクレオチド配列(配列番号:34)を示す。
【図13】アカゲザルPKR1の推定アミノ酸配列(配列番号:35)を示す。
【図14】ヒトPKR1(配列番号:36)およびアカゲザルPKR1(配列番号:35)のアラインメントである。
【図15】アカゲザル PKR1(配列番号:35)およびヒトPKR1(配列番号:36)の機能活性の比較を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたリスザルプロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチド。
【請求項2】
PKR2アゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR2シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項3】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項8】
PKR2シグナルが、カルシウム動員である、請求項2記載の方法。
【請求項9】
PKR2アンタゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR2シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアンタゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項10】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項15】
プロキネチシンが、ヒトPK1またはヒトPK2である、請求項9記載の方法。
【請求項16】
プロキネチシンが、アカゲザルPK2である、請求項9記載の方法。
【請求項17】
PKR2シグナルが、カルシウム動員である、請求項9記載の方法。
【請求項18】
配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたチンパンジープロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチド。
【請求項19】
PKR2アゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR2シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項20】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項25】
PKR2シグナルが、カルシウム動員である、請求項19記載の方法。
【請求項26】
PKR2アンタゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR2シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアンタゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項27】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項31】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項32】
PKR2シグナルが、カルシウム動員である、請求項26記載の方法。
【請求項33】
配列番号:2のリスザルPKR2ポリペプチドをコードしている核酸を含む、単離された核酸分子。
【請求項34】
配列番号:1のヌクレオチド配列を含む、請求項33記載の単離された核酸分子。
【請求項35】
遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された請求項33記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項36】
請求項35記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項37】
配列番号:4のチンパンジーPKR2ポリペプチドをコードしている核酸を含む、単離された核酸分子。
【請求項38】
配列番号:3のヌクレオチド配列を含む、請求項37記載の単離された核酸。
【請求項39】
遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された請求項37記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項40】
請求項39記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項41】
配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK2ポリペプチド。
【請求項42】
配列番号:6のアカゲザルPK2ポリペプチドをコードしている、単離された核酸分子。
【請求項43】
配列番号:5に示されたヌクレオチド配列を含む、請求項42記載の単離された核酸分子。
【請求項44】
遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された、請求項42記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項45】
請求項44記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項46】
配列番号:2の単離されたリスザルPKR2のポリペプチドを発現するために、請求項36記載の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを実質的に精製する工程、および該ポリペプチドをリフォールディングする工程を含む、配列番号:2の単離されたリスザルPKR2を調製する方法。
【請求項47】
配列番号:4の単離されたチンパンジーPKR2のポリペプチドを発現するために請求項40記載の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを実質的に精製する工程、および該ポリペプチドをリフォールディングする工程を含む、配列番号:4の単離されたチンパンジーPKR2を調製する方法。
【請求項48】
配列番号:6を含む単離されたポリペプチドを発現するために請求項42記載の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを実質的に精製する工程、および該ポリペプチドをリフォールディングする工程を含む、配列番号:6を含む単離されたポリペプチドを調製する方法。
【請求項49】
配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK1ポリペプチド。
【請求項50】
配列番号:30のアカゲザルPK2ポリペプチドをコードしている、単離された核酸分子。
【請求項51】
配列番号:29に示されたヌクレオチド配列を含む、請求項50記載の単離された核酸分子。
【請求項52】
遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された請求項51記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項53】
請求項52記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項54】
配列番号:30を含む単離されたポリペプチドを発現するために請求項53記載の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを実質的に精製する工程、および該ポリペプチドをリフォールディングする工程を含む、配列番号:30を含む単離されたポリペプチドを調製する方法。
【請求項55】
配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルプロキネチシン受容体1(PKR1)ポリペプチド。
【請求項56】
PKR1アゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むPKR1ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR1シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、これにより該化合物が、該PKR1のアゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項57】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項59】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項60】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項61】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項62】
PKR1シグナルが、カルシウム動員である、請求項57記載の方法。
【請求項63】
PKR1アンタゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR1シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、これにより該化合物が、該PKR1のアンタゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項64】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項65】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項66】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項67】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項68】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項69】
プロキネチシンが、ヒトPK1またはヒトPK2である、請求項63記載の方法。
【請求項70】
プロキネチシンが、アカゲザルPK2である、請求項63記載の方法。
【請求項71】
PKR1シグナルが、カルシウム動員である、請求項63記載の方法。
【請求項72】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子:
(a)配列番号:1のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:2のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)において特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【請求項73】
配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項72記載の単離されたポリヌクレオチドであり、これは配列番号:2の全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を含むことができ、ここでNaは、アミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:2のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる、ポリヌクレオチド。
【請求項74】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子:
(a)配列番号:3のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:4のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)において特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【請求項75】
配列番号:4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項74記載の単離されたポリヌクレオチドであり、これは配列番号:4の全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を含むことができ、ここでNaは、アミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:4のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる、ポリヌクレオチド。
【請求項76】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子:
(a)配列番号:29のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:30のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)において特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【請求項77】
配列番号:30のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項76記載の単離されたポリヌクレオチドであり、これは配列番号:30の全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を含むことができ、ここでNaは、アミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:30のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる、ポリヌクレオチド。
【請求項78】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子:
(a)配列番号:34のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:35のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)において特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【請求項79】
配列番号:35のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項78記載の単離されたポリヌクレオチドであり、これは配列番号:35の全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を含むことができ、ここでNaは、アミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:35のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる、ポリヌクレオチド。
【請求項80】
PKR2を持つ細胞膜を使用する、PKR2活性の候補モジュレーターをスクリーニングする方法であり:
a)該候補モジュレーターの存在下で該細胞膜の第一の試料を、および該候補モジュレーターの非存在下で該細胞膜の第二の試料を、インキュベートする工程であり、該試料は両方とも、PKR2が媒介したシグナル伝達カスケードの活性化を可能にする条件下にある工程;b)該第一および第二の試料におけるPKR2ポリペプチドのシグナル伝達活性を検出する工程、ならびにc)該第一および第二の試料について、第二メッセンジャーアッセイ法の結果を比較する工程を含む、方法。
【請求項81】
PKR2が、リスザルPKR2(配列番号:2)またはチンパンジーPKR2(配列番号:4)である、請求項80記載の方法。
【請求項82】
PKR1を持つ細胞膜を使用する、PKR1活性の候補モジュレーターをスクリーニングする方法であり:
a)該候補モジュレーターの存在下で該細胞膜の第一の試料を、および該候補モジュレーターの非存在下で該細胞膜の第二の試料を、インキュベートする工程であり、該試料は両方とも、PKR1が媒介したシグナル伝達カスケードの活性化を可能にする条件下にある工程;b)該第一および第二の試料におけるPKR21ポリペプチドのシグナル伝達活性を検出する工程、ならびにc)該第一および第二の試料について、第二メッセンジャーアッセイ法の結果を比較する工程を含む、方法。
【請求項83】
PKR1が、アカゲザルPKR1(配列番号:35)である、請求項82記載の方法。
【請求項1】
配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたリスザルプロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチド。
【請求項2】
PKR2アゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR2シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項3】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項8】
PKR2シグナルが、カルシウム動員である、請求項2記載の方法。
【請求項9】
PKR2アンタゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:2に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR2シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアンタゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項10】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項15】
プロキネチシンが、ヒトPK1またはヒトPK2である、請求項9記載の方法。
【請求項16】
プロキネチシンが、アカゲザルPK2である、請求項9記載の方法。
【請求項17】
PKR2シグナルが、カルシウム動員である、請求項9記載の方法。
【請求項18】
配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたチンパンジープロキネチシン受容体2(PKR2)ポリペプチド。
【請求項19】
PKR2アゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR2シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項20】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項25】
PKR2シグナルが、カルシウム動員である、請求項19記載の方法。
【請求項26】
PKR2アンタゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR2シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、該化合物が、該PKR2のアンタゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項27】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項31】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項32】
PKR2シグナルが、カルシウム動員である、請求項26記載の方法。
【請求項33】
配列番号:2のリスザルPKR2ポリペプチドをコードしている核酸を含む、単離された核酸分子。
【請求項34】
配列番号:1のヌクレオチド配列を含む、請求項33記載の単離された核酸分子。
【請求項35】
遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された請求項33記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項36】
請求項35記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項37】
配列番号:4のチンパンジーPKR2ポリペプチドをコードしている核酸を含む、単離された核酸分子。
【請求項38】
配列番号:3のヌクレオチド配列を含む、請求項37記載の単離された核酸。
【請求項39】
遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された請求項37記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項40】
請求項39記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項41】
配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK2ポリペプチド。
【請求項42】
配列番号:6のアカゲザルPK2ポリペプチドをコードしている、単離された核酸分子。
【請求項43】
配列番号:5に示されたヌクレオチド配列を含む、請求項42記載の単離された核酸分子。
【請求項44】
遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された、請求項42記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項45】
請求項44記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項46】
配列番号:2の単離されたリスザルPKR2のポリペプチドを発現するために、請求項36記載の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを実質的に精製する工程、および該ポリペプチドをリフォールディングする工程を含む、配列番号:2の単離されたリスザルPKR2を調製する方法。
【請求項47】
配列番号:4の単離されたチンパンジーPKR2のポリペプチドを発現するために請求項40記載の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを実質的に精製する工程、および該ポリペプチドをリフォールディングする工程を含む、配列番号:4の単離されたチンパンジーPKR2を調製する方法。
【請求項48】
配列番号:6を含む単離されたポリペプチドを発現するために請求項42記載の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを実質的に精製する工程、および該ポリペプチドをリフォールディングする工程を含む、配列番号:6を含む単離されたポリペプチドを調製する方法。
【請求項49】
配列番号:30に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルPK1ポリペプチド。
【請求項50】
配列番号:30のアカゲザルPK2ポリペプチドをコードしている、単離された核酸分子。
【請求項51】
配列番号:29に示されたヌクレオチド配列を含む、請求項50記載の単離された核酸分子。
【請求項52】
遺伝子発現のプロモーターへ機能的に連結された請求項51記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項53】
請求項52記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項54】
配列番号:30を含む単離されたポリペプチドを発現するために請求項53記載の宿主細胞を培養する工程、該ポリペプチドを実質的に精製する工程、および該ポリペプチドをリフォールディングする工程を含む、配列番号:30を含む単離されたポリペプチドを調製する方法。
【請求項55】
配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたアカゲザルプロキネチシン受容体1(PKR1)ポリペプチド。
【請求項56】
PKR1アゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むPKR1ポリペプチドを、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR1シグナルの生成を選択的に促進する化合物を同定する工程であり、これにより該化合物が、該PKR1のアゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項57】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項59】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項60】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項61】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項57記載の方法。
【請求項62】
PKR1シグナルが、カルシウム動員である、請求項57記載の方法。
【請求項63】
PKR1アンタゴニストを同定する方法であり:
(a)配列番号:35に示されたアミノ酸配列を含むPKR2ポリペプチドを、プロキネチシンの存在下で、1種または複数の候補化合物と接触させる工程、および
(b)PKR1シグナルの生成を選択的に阻害する化合物を同定する工程であり、これにより該化合物が、該PKR1のアンタゴニストとして特徴付けられることを含む、方法。
【請求項64】
胃腸の運動性を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項65】
疼痛を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項66】
神経発生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項67】
概日リズムを調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項68】
血管新生を調節する化合物の能力を決定する工程を更に含む、請求項63記載の方法。
【請求項69】
プロキネチシンが、ヒトPK1またはヒトPK2である、請求項63記載の方法。
【請求項70】
プロキネチシンが、アカゲザルPK2である、請求項63記載の方法。
【請求項71】
PKR1シグナルが、カルシウム動員である、請求項63記載の方法。
【請求項72】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子:
(a)配列番号:1のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:2のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)において特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【請求項73】
配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項72記載の単離されたポリヌクレオチドであり、これは配列番号:2の全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を含むことができ、ここでNaは、アミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:2のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる、ポリヌクレオチド。
【請求項74】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子:
(a)配列番号:3のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:4のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)において特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【請求項75】
配列番号:4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項74記載の単離されたポリヌクレオチドであり、これは配列番号:4の全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を含むことができ、ここでNaは、アミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:4のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる、ポリヌクレオチド。
【請求項76】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子:
(a)配列番号:29のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:30のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)において特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【請求項77】
配列番号:30のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項76記載の単離されたポリヌクレオチドであり、これは配列番号:30の全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を含むことができ、ここでNaは、アミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:30のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる、ポリヌクレオチド。
【請求項78】
以下の群からなる群より選択される、単離された核酸分子:
(a)配列番号:34のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:35のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)において特定されたヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体。
【請求項79】
配列番号:35のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む、請求項78記載の単離されたポリヌクレオチドであり、これは配列番号:35の全長にわたり最大Na個のアミノ酸改変を含むことができ、ここでNaは、アミノ酸改変の最大数であり、および式:
Na=Xa−(Xa Y)
により算出され、ここでXaは配列番号:35のアミノ酸の総数であり、およびYは値0.80であり、ここでXaとYの整数でない積は、そのような積をXaから減算する前に、最も近い整数に切捨てられる、ポリヌクレオチド。
【請求項80】
PKR2を持つ細胞膜を使用する、PKR2活性の候補モジュレーターをスクリーニングする方法であり:
a)該候補モジュレーターの存在下で該細胞膜の第一の試料を、および該候補モジュレーターの非存在下で該細胞膜の第二の試料を、インキュベートする工程であり、該試料は両方とも、PKR2が媒介したシグナル伝達カスケードの活性化を可能にする条件下にある工程;b)該第一および第二の試料におけるPKR2ポリペプチドのシグナル伝達活性を検出する工程、ならびにc)該第一および第二の試料について、第二メッセンジャーアッセイ法の結果を比較する工程を含む、方法。
【請求項81】
PKR2が、リスザルPKR2(配列番号:2)またはチンパンジーPKR2(配列番号:4)である、請求項80記載の方法。
【請求項82】
PKR1を持つ細胞膜を使用する、PKR1活性の候補モジュレーターをスクリーニングする方法であり:
a)該候補モジュレーターの存在下で該細胞膜の第一の試料を、および該候補モジュレーターの非存在下で該細胞膜の第二の試料を、インキュベートする工程であり、該試料は両方とも、PKR1が媒介したシグナル伝達カスケードの活性化を可能にする条件下にある工程;b)該第一および第二の試料におけるPKR21ポリペプチドのシグナル伝達活性を検出する工程、ならびにc)該第一および第二の試料について、第二メッセンジャーアッセイ法の結果を比較する工程を含む、方法。
【請求項83】
PKR1が、アカゲザルPKR1(配列番号:35)である、請求項82記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−510414(P2007−510414A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538363(P2006−538363)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/036148
【国際公開番号】WO2005/042717
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(505006585)ザ レジェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/036148
【国際公開番号】WO2005/042717
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(505006585)ザ レジェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア (16)
【Fターム(参考)】
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