露光装置、LEDプリントヘッド及びこれを備えた画像形成装置
【課題】各ロッドレンズ素子による結像特性に対応させて遮光部材の形状又は位置を設定することによって、MTFが低下せず、露光像が鮮明であり、印刷画像上で縦スジ等の画像不良が発生することのないようにする。
【解決手段】光源76からの光を感光体に集光するレンズ素子57を複数備えるレンズアレイ52と、各レンズ素子57の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源76からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、各レンズ素子57による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されている。
【解決手段】光源76からの光を感光体に集光するレンズ素子57を複数備えるレンズアレイ52と、各レンズ素子57の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源76からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、各レンズ素子57による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、LEDプリントヘッド及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置においては、感光体上に画像データに基づいて静電潜像を形成する露光プロセスにおいて、光源に複数のLED(Light Emitting Diode)素子を並べたLEDアレイを用い、レンズを用いてLEDアレイ発光点の光像を感光体に結像することによって、感光体上に露光像を形成している。そして、前記レンズとしてはレンズ素子を複数並列したレンズアレイが多く使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、露光装置においては、レンズ素子の光軸に垂直な方向、レンズの中心から半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズをレンズ素子として用いた、レンズアレイが使用されている。
【0004】
該レンズアレイは、外径が0.1〜数〔mm〕程度の円筒形のレンズ素子を一列又は複数列に直線状に配置し、レンズ素子間の隙(すき)間を埋める充填(てん)材としての樹脂等によって固めることで構成される。
【0005】
前記レンズアレイを用いた露光装置において、感光体面に露光するときの明るさは、ロッドレンズから成るレンズ素子の開口角によって決まり、該開口角が大きいほど明るさが大きくなる。現在用いられているレンズ素子の開口角は10〜30度であり、特に、半導体レーザ等に比べて光量の小さいLED素子を用いたLEDアレイを光源に用いる画像形成装置の場合、前記レンズアレイを構成するレンズ素子の開口角は、なるべく大きいものであることが好ましい。現在、画像形成装置の露光装置に用いられているレンズアレイを構成するロッドレンズから成るレンズ素子の開口角は約20度程度である。
【0006】
ところが、開口角の大きなレンズ素子を用いた場合、該レンズ素子の中心から離れた位置での屈折率が大きいことに起因するコマ収差(comatic aberration)が発生する。すなわち、レンズ素子の中心付近を通過した光線が像を結ぶ位置とレンズ面との距離である焦点距離に対し、開口角の大きいレンズの中心を離れた位置を通過した光線が像を結ぶ位置とレンズ面との距離は短い。
【0007】
そのため、開口角の大きいレンズ素子を用いたレンズアレイではコマ収差に起因する結像の焦点ボケが発生し、点光源であるLED素子の発光点の露光像が感光体面上に結像しない焦点ボケの原因となり、露光像各点の光量ムラが発生したり露光像のコントラストが低下する。そして、画像形成装置の印字では、濃度ムラや印刷画像が鮮明でないドット再現性の低下の原因となる。
【0008】
次に、コマ収差による焦点ボケを説明する。
【0009】
図2は従来のコマ収差による焦点ボケを説明する図である。
【0010】
ロッドレンズから成るレンズ素子と該レンズ素子を透過した光線の結像面との関係は、図2に示される通りであるとする。また、図示されない点光源は、レンズ素子に対し結像面と反対側にあるとする。ここで、O1 、O2 及びO3 は、それぞれ、点光源からの光線であり、O2 はO1 よりもレンズ素子の中心から離れたところを通る光線を示し、O3 はレンズ素子の中心からさらに離れたところを通る光線を示している。これらの光線の結像面上に焦点を結ぶ点は、それぞれP1 、P2 及びP3 となる。これらの焦点を結ぶ点のずれがコマ収差であり、結像面上の露光像の焦点ボケの原因である。これら結像面上の焦点を結ぶ点とレンズ面上のレンズの中心点との距離をそれぞれf1 、f2 及びf3 とすると、f1 <f2 <f3 となっている。
【0011】
そこで、開口角の大きいレンズ素子を用いたレンズアレイにおいて、コマ収差に起因する結像の焦点ボケによる露光像のコントラスト低下を改善するために、レンズアレイを構成する各レンズ素子の中心点から離れた部分に入射する光線、又は、各レンズ素子の中心点から離れた部分から出射する光線を遮光する遮光板を画像形成装置の露光装置に配設することが行われている。すなわち、図2において、レンズ素子の中心から比較的離れた位置を透過する光線O2 及び光線O3 を遮光することによって、被写界深度が大きくなり、焦点ボケを解消することができる。
【0012】
また、画像不良の解消と品位向上ばかりでなく、近年においては、画像形成装置全般の解像度が向上し、電子写真方式による画像形成装置においても例外でなく、更なる解像度の向上が期待されている。従来より、レンズアレイによる露光像の劣化を解消する方法として、レンズアレイに遮光部材を配置することが効果的であるとされている。
【0013】
ところが、前述したような露光装置に用いられるレンズアレイにおいては、ロッドレンズから成る個々のレンズ素子の配列にばらつきが生じてしまう。この場合、レンズ素子の配列のばらつきには、レンズ素子の配列方向の位置ずれ、レンズ素子の配列方向に対する垂直方向であり、かつ、各レンズ素子の光軸方向に対する垂直方向の位置ずれ、レンズ素子の光軸が本来の方向に対して傾きを持ってしまうレンズ素子の倒れ等がある。
【0014】
例えば、一般に電子写真方式による画像形成装置の露光装置に用いられるレンズアレイの各レンズ素子の配列方向の位置ずれは、設計値に対する値で示すと、数〔%〕程度である。さらに、この位置ずれは、レンズアレイの端部、中央部等のようなそれぞれの位置によって、ばらつきの程度が異なる。
【0015】
ここで、レンズアレイの構造と組み立て方法の一例を図面を用いて説明する。
【0016】
図3は従来のレンズアレイを示す切り欠き斜視図である。
【0017】
レンズアレイは、1枚の当て板202に対し、屈折率分布を有するロッドレンズから成るレンズ素子201を一列又は複数列配列し、レンズ素子201間の空隙(げき)に充填材203としての合成樹脂を流し込み、さらに、もう1枚の当て板202を押し当てて固定することによって構成される。このとき、該当て板202が平板状の場合、レンズ素子201の配列ピッチは、レンズ素子201の直径と等しくなり、フレーム板としての当て板202に定間隔の凹凸を形成した場合には、該凹凸のピッチがレンズ素子201の配列ピッチとなる。
【0018】
これらレンズ素子201の配列における位置ずれやレンズ素子201の倒れの原因は、該レンズ素子201の直径ばらつき、ねじれ、曲がり等、また、当て板202の曲がり又はうねり、当て板202上に形成されたレンズ素子201の配列間隔を決める凹凸の位置ばらつき又は形状ばらつき、レンズ素子201を固定する際の組み立てばらつきや充填する合成樹脂の粘性等の特性ばらつき、合成樹脂充填量のばらつき等が考えられる。
【0019】
さらに、レンズアレイ全体で、ねじれ、曲がり等の形状ばらつきも発生する。
【0020】
また、遮光部材の製造方法として一般に公知の技術である型成形法においては、レンズアレイのレンズ素子の配列に対応して、0.1〔mm〕〜数〔mm〕程度の位置精度で多数の開口を画像形成装置の幅に対応する紙の幅に形成する場合、遮光部材の開口位置の位置精度は、数十〔%〕程度であり、フォトマスクを用いたエッチング加工、遮光パターンのパターン形成等の場合でも、前記位置精度は数〔%〕程度である。また、切削加工や打ち抜き加工によって開口を形成しても、前記位置精度は数十〔%〕である。さらに、これらの加工法では、遮光部材の各開口の位置精度を数〔%〕に抑えても、累積誤差が発生するので、遮光部材を紙幅で成形した場合には、各開口の位置は本来の設計値の配列間隔に対し大きくずれてしまう。
【特許文献1】特開平7−242018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、前記従来の露光装置においては、遮光部材開口の中心位置とレンズアレイのロッドレンズから成る各レンズ素子の中心位置とがずれてしまうと、各レンズ素子の外周部の光線のみを遮断するばかりでなく、各レンズ素子の中心付近の光線をも遮断してしまい、露光装置のMTF(Modulation Transfer Function)を向上させるという遮光部材を設定することによる効果が半減してしまう。さらに、遮光部材開口の中心位置とレンズアレイの各レンズ素子の中心位置とが大きくずれてしまうと、周期的にレンズ素子の中心付近が遮光され、露光量が大きく減少することで、画像に周期的な白筋が発生したり、また、感光体上に全く露光像が形成されず、画像形成そのものをすることができなくなるという不具合が発生する。
【0022】
さらに、レンズ素子の倒れによって、倒れの発生しているレンズ素子付近の露光像のMTF低下を招き、露光像が不鮮明となり、印刷画像上で縦筋等の画像不良が発生する。
【0023】
一般に電子写真方式に用いられる露光装置においては、露光像を形成するためのLEDアレイにおける各発光点の光量補正を行うことによって、各画素間での光量ばらつきによる縦筋等の画像不良を改善するようになっている。しかし、レンズ素子の倒れによる縦筋等の画像不良は、倒れの発生しているレンズ素子付近での露光像のMTF低下が画像不良の原因であるため、LEDアレイ各発光点の光量補正を行っただけではこの不良を改善することはできない。
【0024】
次に、ロッドレンズから成るレンズ素子の倒れによるMTFの低下について説明する。
【0025】
図4は従来のレンズアレイにおける発光点と各レンズ素子による露光像の光量分布との関係について模式的に示した図である。
【0026】
ここで、発光点として微小な間隔を隔てて配設された2点の発光点があるときの光量分布について考察する。レンズアレイを用いた露光装置では、発光点の露光像はロッドレンズから成る各レンズ素子による露光像の重ね合わせか、結像面に形成される露光像となる。図4(a)に示される発光点とレンズの配置において、レンズアレイにおけるレンズ素子に倒れ不良が発生していない場合の発光点の露光像の位置を原点とし、各レンズ素子の光軸に平行で原点から発光点の方向をz、レンズの配列方向をxとする。図4(a)に示されるような倒れ不良のレンズ素子がある場合には、該倒れ不良のレンズ素子による発光点の露光像の形成位置は、本来露光像が形成される点に対してずれている。そのため、倒れ不良のレンズ素子による発光点の露光像原点付近の光量分布は、図4(d)及び(e)に示されるようになり、光量が減少し、かつ、露光像のMTFが低下する。さらに、図4(f)に示されるように、各レンズ素子による露光像の重ね合わせである実際に形成される露光像の光量分布は、倒れ不良のレンズ素子による発光点の露光像が足し合わされる結果、本来の発光点の光量分布から変化してMTFが低下する。
【0027】
本発明は、前記従来の露光装置の問題点を解決して、各レンズ素子による結像特性に対応させて遮光部材の形状又は位置を設定することによって、MTFが低下せず、露光像が鮮明であり、印刷画像上で縦筋等の画像不良が発生することのない露光装置、LEDプリントヘッド及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
そのために、本発明の露光装置においては、光源からの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、各レンズ素子による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されている。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、露光装置においては、光源からの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、各レンズ素子による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されている。
【0030】
この場合、MTFが低下せず、露光像が鮮明であり、印刷画像上で縦筋等の画像不良が発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図5は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置本体の構成を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御ブロック図である。
【0033】
図5において、10は画像形成装置であり、例えば、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ機、複写機、プリンタとファクシミリ機と複写機との機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類の画像形成装置であってもよく、また、モノクロ画像を形成するものであっても、カラー画像を形成するものであってもよい。
【0034】
そして、前記画像形成装置10は、給紙カセット20が装着され、該給紙カセット20にセットされた媒体としての用紙19が給紙ローラ26によって搬送され、ローラ対27〜ローラ対30によって画像形成部にまで搬送される。
【0035】
本実施の形態における画像形成装置10は、カラー電子写真式プリンタなので、画像形成装置10内には、画像形成部として、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像を、それぞれ、形成する4つのプロセスカートリッジ21〜プロセスカートリッジ24が用紙19の搬送経路に沿ってタンデムに配設されている。そして、各プロセスカートリッジ21〜プロセスカートリッジ24には、像担持体としてのドラム状の感光体11、該感光体11の周囲に配設され、該感光体11の表面に電気を供給して帯電させる帯電ローラ12、帯電された感光体11の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置としてのLEDプリントヘッド13が配設される。
【0036】
さらに、現像剤としてのトナーを静電潜像が形成された感光体11の表面に搬送する現像ローラ14、前記感光体11の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード15、及び、前記感光体11の表面に残留した電位を除電する除電部16が配設される。また、用紙19を搬送する搬送手段としての転写ベルト18、前記感光体11と対向させて配設され、転写ベルト18によって搬送される用紙19にトナー像を転写する転写ローラ17も配設される。
【0037】
そして、それぞれのプロセスカートリッジ21〜プロセスカートリッジ24において、帯電ローラ12によって感光体11の電荷を蓄える帯電プロセスが行われ、LEDプリントヘッド13によって感光体11上の画像データを形成する位置に光を照射する露光プロセスが行われ、現像ローラ14によって露光された部分にトナーを付着させる現像プロセスが行われ、転写ローラ17によって現像されたトナーを用紙19に転写させる転写プロセスが行われる。なお、用紙19上のトナー像を熱及び圧力で定着させる定着プロセスは定着部としての定着器25によって行われる。さらに、前記画像形成装置10は、画像が形成された用紙19は排ローラ対31〜排ローラ対34によって搬送されて画像形成装置10の外部に排出する排出部35を有する。
【0038】
ここで、前記画像形成装置10は、図6に示されるように、制御部41、記憶部42、外部インターフェイス43、LEDヘッド駆動制御部44及びLEDプリントヘッド13を備える制御ユニットを有する。そして、前記記憶部42には、LEDプリントヘッド13の各LED発光素子の駆動時間を決定する補正データが格納される。また、前記外部インターフェイス43は、図示されないネットワーク等に接続され、外部装置との通信を行い、上位装置から印刷データを受信し、制御部41に渡すことによって印刷を行うことができる。さらに、前記制御部41は、画像形成装置10全体の動作に関する制御を行う。LEDヘッド駆動制御部44は、前記制御部41に従って、記憶部42に格納された補正データに基づきLEDプリントヘッド13を駆動する。
【0039】
次に、前記画像形成装置10の動作について説明する。
【0040】
まず、給紙カセット20に収納されている用紙19が給紙ローラ26によって搬送されて、ローラ対27〜ローラ対30によって画像形成部まで搬送される。プロセスカートリッジ21〜プロセスカートリッジ24内では、回転する感光体11の表面に対して帯電ローラ12によって帯電が行われ、帯電された表面をLEDプリントヘッド13によって露光し、静電潜像が書き込まれ、前記現像ローラ14によって静電潜像がトナーにより現像されてトナー像が形成される。
【0041】
ここで、タイミングを合わせて搬送されてきた用紙19が感光体11と転写ローラ17との間を通る際に、トナー像が用紙19上に転写される。各色毎に重ねて転写が行われ、用紙19上にカラーのトナー像が形成される。
【0042】
そして、用紙19上のトナー像は定着器25によって、用紙19上に定着させられて、該用紙19は排ローラ対31〜排ローラ対34によって搬送され排出部35に排出される。
【0043】
次に、本実施の形態のLEDプリントヘッド13の構成について説明する。
【0044】
図7は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置に使用されるLEDプリントヘッドの構造を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における遮光部材の遮光パターンの構成を示す図である。
【0045】
図7に示されるように、露光装置としてのLEDプリントヘッド13は、光源としてのLEDアレイ53及びレンズアレイ52を有する。ここで、前記LEDアレイ53は、レンズホルダ54の天板54aに支持されている基板56の下面に配設され、配列された複数のLED素子を備える。なお、前記基板56には、LED素子の発光を制御するドライバIC等も配設されている。
【0046】
また、前記レンズアレイ52は、複数のレンズ素子57と遮光部材51とを備え、LEDアレイ53の下方において、レンズホルダ54に取り付けられている。前記遮光部材51は光源の光を遮光する黒色塗料等による遮光パターンである。なお、前記レンズアレイ52は、図8に示されるように、複数のレンズ素子57と、該レンズ素子57間の間隙を埋める充填材59と、レンズ素子57を固定する当て板58とを有する。
【0047】
次に、前記遮光部材51の遮光パターンの構成について説明する。
【0048】
本実施の形態において、遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57の外周部の一部をLEDアレイ53上のLED素子からの光線を遮光するように形成される。この場合、前記遮光パターンは、図8(a)に示されるように、倒れ具合の比較的良好なレンズ素子57に対し同一の開口径の遮光パターンを形成し、かつ、倒れの比較的大きい倒れ不良のレンズ素子57aに対しては開口径の小さい遮光パターンを形成する。また、倒れ不良のレンズ素子57aに対しては、その倒れの値が大きいほど遮光パターンの開口径を小さくする。すなわち、レンズ素子57による結像位置のずれ量が大きいほど、そのレンズ素子57からの光線を透過する開口部を小さくするようになっている。
【0049】
また、図8(b)に示されるように、倒れの比較的大きい倒れ不良のレンズ素子57aに対してのみ遮光パターンを形成してもよい。さらに、倒れの値が大きいほど遮光パターンの開口径を小さくしてもよい。画像形成装置10の解像度が比較的小さい場合、このような遮光パターンの形成方法でも、十分効果が発揮される。
【0050】
また、図8(c)に示されるように、同一の開口径の遮光パターンを形成してもよい。この場合、レンズ素子57の外周部が的確に遮光されるように、遮光パターンの位置をレンズ素子57の位置に合わせる。レンズアレイ52中のレンズ素子57の倒れ不良が比較的小さく良好な場合、このような遮光パターンの形成方法で十分効果が発揮される。
【0051】
本実施の形態においては、図7に示されるように、レンズアレイ52の感光体11側の開口面に遮光部材51を配設しているが、該遮光部材51を配設する場所はレンズアレイ52の感光体11側の開口面に限定されるものではなく、例えば、LEDアレイ53側のレンズアレイ52の開口面に遮光部材51を配設してもよい。
【0052】
また、本実施の形態における遮光部材51は、図8に示されるように、レンズアレイ52に黒色塗料を用いて直接描画したものであるが、前記遮光部材51の構成はこの限りでなく、光源の光を透過する透明部材に遮光パターンを形成したものであってもよいし、エッチング加工や型成形法によって光源の光を遮光する板材に穴を穿(うが)って開口を形成したものであってもよい。
【0053】
さらに、本実施の形態における遮光部材51の遮光パターンは、図8に示されるように、各レンズ素子57の外周部を遮光する円形のパターンであるが、前記遮光パターンの形状は、この限りではなく楕(だ)円形や矩(く)形等でも同様の効果が得られる。また、倒れ不良のレンズ素子57aを完全に遮光しても同様の効果が得られる。
【0054】
さらに、本実施の形態における露光装置は、図7に示されるように、光源にLED素子を複数並列したLEDアレイ53を使用したものであるが、前記露光装置の構成はこの限りではなく、例えば、画像形成装置10の露光装置として一般に用いられている半導体レーザや蛍光灯、ハロゲンランプ等の露光源に液晶素子で構成されたシャッタを併用した露光装置であってもよい。
【0055】
さらに、本実施の形態におけるレンズアレイ52のレンズ素子57は、図7及び8に示されるように、円筒形状であり、中心軸から半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズであるが、前記レンズ素子57は、この限りではなく、断面形状が楕円形や矩形のものであってもよい。また、複数の球面レンズや非球面レンズを並列したレンズアレイ52を複数対向するように配置したレンズアレイ52を用いることもできる。
【0056】
次に、前記遮光部材51の製造方法について説明する。
【0057】
図1は本発明の第1の実施の形態における遮光パターン形成装置の構成を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における光軸傾き測定機の構成と測定原理を示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における光量ばらつき測定機の構成を示す図である。
【0058】
ここで、遮光パターン形成装置は、図1に示されるように、露光装置としてのLEDプリントヘッド13に用いるレンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置及び光軸の傾きを測定する光軸傾き測定機70、遮光部材51の遮光パターンを形成するインクジェット印刷装置61、該インクジェット印刷装置61を搬送する搬送装置62、前記インクジェット印刷装置61及び搬送装置62を制御する制御装置63、前記光軸傾き測定機70を搬送する図示されない搬送装置、前記光軸傾き測定機70を制御する制御装置65及び記憶装置64から成る。そして、レンズアレイ52を固定し、該レンズアレイ52に対して光軸傾き測定機70を走査して各レンズ素子57の傾きを測定し、その測定データに対応させて、インクジェット印刷装置61を走査させて各レンズ素子57の外周部に遮光部材51を印刷する。
【0059】
まず、光軸傾き測定機70のCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラ71を用いて、レンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置を計測する。光軸傾き測定機70は、図9(a)に示されるように、図示されない搬送装置によってレンズ素子57の配列方向に移動しながら、CCDカメラ71により画像を取り込む。この場合、得られた画像から、図9(b)に示されるようなレンズアレイ52におけるCCDカメラ71に対向する二次元平面における座標を記録するようになっている。すなわち、画像処理装置72は、CCDカメラ71によって得られた図9(b)に示されるような画像から、各レンズ素子57の中心位置77aを割り出し、二次元平面における所定位置を原点(0、0)とし、各レンズ素子57の中心位置77aを(xi、yi)座標として、記憶装置64に格納して記録する。
【0060】
次に、前記光軸傾き測定機70を用いてレンズ素子57の光軸の傾きを測定する。ここで、前記光軸傾き測定機70は、光源76、集光素子75及びCCDカメラ71を有する。前記集光素子75は、光学レンズ等を組み合わせて構成された、光源76からの光線を発光点78に集光するための光学素子である。また、光軸傾き測定機70は、記憶装置64に記録されたレンズアレイ52におけるレンズ素子57の位置データに基づいて、図示されない搬送装置によって搬送される。ここで、測定を行うレンズ素子57に光軸の傾きがなく、理想的に配置されていると仮定した場合に、発光点78と、該発光点78のレンズ素子57による露光像の結像面74上の位置である結像点77とが、レンズ素子57の光軸上に来るように、前記光源76、集光素子75及びCCDカメラ71の配置が決定されている。
【0061】
本実施の形態のレンズアレイ52のように、レンズ素子57が二列に並んでいる場合、光軸傾き測定機70を往復移動させる。そして、往路及び復路の各々において、レンズ素子57の各列の略中心線を通るように光軸傾き測定機70を移動させつつ、各列に含まれるレンズ素子57毎に測定を行う。あるいは、単純に千鳥状に位置をずらしながら測定してもよい。
【0062】
ここで、前記光軸傾き測定機70の光源76を発光すると、結像点77は、レンズ素子57によって、結像面74上に露光される。前記結像点77の結像面74上の位置はレンズ素子57の光軸の傾きによって異なるから、CCDカメラ71によって取り込まれた画像を画像処理装置72によって処理することにより、レンズ素子57の光軸の傾きを計測することができる。先に計測して、記憶装置64に記録された各レンズ素子57の中心位置と、結像点77とを比較することによってずれ量を計測することができる。
【0063】
そして、前記光軸傾き測定機70は、レンズアレイ52のすべてのレンズ素子57について、図9(b)に示されるように、結像点77のレンズ素子57の中心位置77aに対するx軸方向(レンズアレイ52のレンズ素子57の配列方向)のずれPxを計測し、記憶装置64に格納して記録する。ここで、前記Pxは、レンズ素子57の結像特性としての結像位置ずれの大きさを示している。
【0064】
この場合、各レンズ素子57の中心位置77aのx座標値と、結像点のx座標値との差から、前記ずれPxを計測することができる。なお、x方向のずれのみを計測する理由は、レンズの配列方向であるx軸方向におけるMTFの低下が主として画像品質の低下を招き、x方向の濃度ムラの発生の原因となるためである。
【0065】
次に、図1に示されるようなインクジェット印刷装置61を用いて、レンズアレイ52に遮光パターンを形成する。この場合、記憶装置64に記録されたレンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置77aの位置データとレンズ素子57の傾きデータとに基づいて、遮光パターンを形成する位置を決定し、さらに、傾きデータに基づいて遮光パターンの開口径や形状を決定する。そして、制御装置63によって搬送装置62を制御してインクジェット印刷装置61を搬送し走査させる、制御装置63によってインクジェット印刷装置61を制御して遮光パターンを形成する。
【0066】
なお、該遮光パターンを形成する方法は、インクジェット方式を用いた印刷方法に限定されるものではなく、ペンレコーダや熱転写方式を用いた印刷方法、電子写真方式を用いた印刷方法、インパクト・ドット方式を用いた印刷方法等であってもよい。
【0067】
この場合、遮光部材51を形成したレンズアレイ52をLEDアレイ53等とともに組み立てて、図7に示されるような露光装置としてのLEDプリントヘッド13を構成した後、LEDアレイ53中の各発光点の露光量補正を行う。このとき、以下に示す方法で、各LED発光素子の露光像の光量ばらつきを計測し、そのデータをもとにLEDアレイ53の各LED発光素子を動作させ、発光時間を制御することで露光量補正を行う。なお、露光量は、光量と時間との積である。すなわち、露光量=光量×時間である。
【0068】
次に、図10に示されるような光量ばらつき測定機80によって、露光装置のLED発光素子の露光像の光量ばらつきを測定する。前記光量ばらつき測定機80は、CCDカメラ81、露光装置の発光点の露光像をCCDカメラ81に取り込む集光素子82、CCDカメラ81及び集光素子82を露光装置の発光点の配列方向に搬送し走査させる搬送装置83、CCDカメラ81の画像を画像処理して各発光点の光量ばらつきを計測する画像処理装置86、測定結果を記録する記憶装置85、それらを制御する制御装置84、並びに、測定対象である露光装置としてのLEDプリントヘッド13を動作させる図示されない制御装置を有する。
【0069】
この場合、LEDプリントヘッド13、CCDカメラ81及び集光素子82は、LEDプリントヘッド13の発光点の露光像にCCDカメラ81の焦点が合うように配置される。また、CCDカメラ81及び集光素子82によってLEDプリントヘッド13の各発光点を走査することができるように、搬送装置83を配置する。
【0070】
LED発光素子の露光像の光量ばらつき測定においては、まず、LEDプリントヘッド13の各発光点を発光させる。そして、CCDカメラ81により各発光点の露光像の画像を取り込みながら、搬送装置83によってCCDカメラ81及び集光素子82を発光点の配列方向に走査する。CCDカメラ81によって取り込んだ各発光点の露光像の画像は、CCDカメラ81の走査位置データとともに画像処理装置86によって処理され、LEDプリントヘッド13の各発光点についての光量が計測される。なお、計測されたデータは個々のLEDプリントヘッド13を特定するシリアルナンバとともに記憶装置85に記憶される。
【0071】
また、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶される。そして、個々のLEDプリントヘッド13を特定するシリアルナンバとともに各発光点の制御データを図示されないネットワークに接続されたサーバに記憶しておき、画像形成装置10本体を組み立てる際に前記ネットワークに接続し、組み込んだLEDプリントヘッド13のシリアルナンバから各発光点の制御データ、すなわち、各発光点に対応する露光時間を決定するデータをサーバから呼び出し、画像形成装置10本体の記憶部42に取り込んで記憶する。これにより、画像形成装置10は、組み込まれたLEDプリントヘッド13に対応する各発光点の制御データに従って各発光点の発光時間を制御することができ、各発光部はほぼ均一な発光量を露光することができる。
【0072】
前述された光量補正の方法は、各LED発光素子を動作する電流量を調整することで、各LED発光素子の露光像の光量を均一にしてもよい。
【0073】
なお、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データを、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶する方法は、前述された方法に限定されるものではない。
【0074】
また、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13中に記憶装置を配設して記憶することもできる。
【0075】
次に、前記構成のLEDプリントヘッド13の動作について説明する。
【0076】
まず、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、図7に示される基板56上に配置された図示されないドライバICによってLEDアレイ53が駆動される。すると、該LEDアレイ53が発光して、該LEDアレイ53から発せられた光がレンズアレイ52に入射する。この場合、前記LEDアレイ53から発せられた光のうち、レンズアレイ52のレンズ素子57の外周部付近の光の一部が、図8に示されるような遮光部材51の遮光パターンに当たり遮られる。一方、レンズアレイ52のレンズ素子57を通過した光の一部は、遮光部材51の開口部を通過して、LEDアレイ53の発光した発光点の像が図7に示されるような感光体11上に結像し、該感光体11上に露光像を形成する。
【0077】
なお、図8に示されるように、レンズアレイ52中で光軸の傾きが比較的大きい倒れ不良のレンズ素子57aにおいては、遮光部材51の遮光パターンの開口径がより小さくなっており、倒れ不良のレンズ素子57aの外周部付近の遮光パターンに当たり遮られる部分は比較的多く、開口部を通過する光は倒れ不良のレンズ素子57aの中心部を透過した光に限られる。
【0078】
また、レンズ素子57の光軸の傾きによって、遮光部材51の遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にはばらつきが発生する。しかし、前述のように、画像形成装置10の制御部41が画像形成装置10全体の動作に関する制御を行い、LEDヘッド駆動制御部44は、前記制御部41に従って、記憶部42に格納された補正データに基づきLEDプリントヘッド13を駆動する。これにより、画像形成装置10の記憶部42に記憶された露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、発光点の発光時間が制御されるので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となる。
【0079】
このように、本実施の形態においては、遮光部材51の遮光パターンにおける開口の中心位置とレンズアレイ52の各レンズ素子57の中心位置77aのずれがないので、各レンズ素子57の外周部の光線のみを的確に遮光することができ、レンズ素子57による結像特性としてのMTFを向上させるという遮光部材51を配設することによる効果を十分に得ることができる。さらに、画像に筋や濃度ムラ等の不具合が発生することもなく良好な画像を得ることができる。そのため、「背景技術」の項で説明した従来の露光装置における遮光部材を設置することによる効果が得られない、レンズ素子の中心付近が遮光されて露光量が大きく減少するので画像に周期的な白筋が発生し、また、感光体上に全く露光像が形成されず、画像形成そのものができなくなる等の問題点を解消することができる。
【0080】
また、光軸の傾きが大きい倒れ不良のレンズ素子57aに対しては、より開口径の小さい遮光パターンを形成するようになっている。すなわち、レンズ素子57による結像特性としての結像位置ずれに応じて遮光部材51の形状又は位置が設定されている。なお、遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57による結像位置のずれ量が大きいほど、そのレンズ素子57からの光線を透過する開口部が小さいようになっている。そのため、光軸の傾きが大きい倒れ不良のレンズ素子57aからの露光像の被写界深度を大きくし、より鮮明な露光像を形成することができる。これにより、倒れの発生している倒れ不良のレンズ素子57a近辺の露光像のMTF低下を抑え、印刷画像上では縦筋等の画像不良が発生しないようにすることができる。
【0081】
さらに、レンズ素子57の光軸の傾きによって遮光部材51の遮光パターンの開口径が異なるので、LED光素子の露光像について単位時間当りの光量にはばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、発光点の発光時間を制御するようになっている。そのため、感光体11に照射される露光像の光量は均一となり、濃度ムラや筋のない、極めて高品位な画像を得ることができる。
【0082】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものは、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0083】
図11は本発明の第2の実施の形態における遮光部材の遮光パターンの構成を示す図である。
【0084】
本実施の形態において、遮光部材51は、光源の光を遮光する黒色塗料等から成り、遮光パターンを形成する。前記遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57の外周部の一部をLEDアレイ53上のLED素子からの光線を遮光するように形成される。図11(a)に示されるように、レンズ素子57による結像特性としてのMTFの比較的良好なレンズ素子57に対しては、同一の開口径の遮光パターンを形成し、また、MTFの比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cに対しては、開口径の小さい遮光パターンを形成する。また、MTF不良のレンズ素子57cに対しては、MTFの値が大きいほど遮光パターンの開口径を小さくする。
【0085】
また、図11(b)に示されるように、MTFの比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cに対してのみ遮光パターンを形成してもよい。さらに、MTFの値が小さいほど遮光パターンの開口径を小さくしてもよい。露光装置としてのLEDプリントヘッド13を使用する画像形成装置10の解像度が比較的小さい場合、この遮光パターンの形成方法で十分効果が発揮される。
【0086】
なお、前記遮光部材51は、図11に示されるように、レンズアレイ52に黒色塗料を用いて直接描画した遮光部材であるが、前記遮光部材51の構成は、この限りでなく、光源の光を透過する透明部材に遮光パターンを形成したものや、エッチング加工又は型成形法によって光源の光を遮光する板材に穴を穿って開口を形成したものであってもよい。
【0087】
また、本実施の形態において、遮光部材51の遮光パターンは、図11に示されるように、各レンズ素子57の外周部を遮光する円形のパターンであるが、前記遮光パターンは、この限りではなく、楕円形や矩形等であっても同様の効果を得ることができる。また、MTF不良のレンズ素子57cを完全に遮光しても同様の効果を得ることができる。
【0088】
さらに、本実施の形態における露光装置は、前記第1の実施の形態と同様に、図7に示されるような光源にLED素子を複数並列したLEDアレイ53を使用したものであるが、前記露光装置の構成はこの限りではなく、例えば、画像形成装置10の露光装置として一般に用いられている半導体レーザや蛍光灯、ハロゲンランプ等の露光源に液晶素子で構成されたシャッタを併用した露光装置であってもよい。
【0089】
さらに、本実施の形態におけるレンズアレイ52のレンズ素子57は、図7及び8に示されるように、円筒形状であり、中心軸から半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズであるが、前記レンズ素子57は、この限りではなく、断面形状が楕円形や矩形のものであってもよい。また、複数の球面レンズや非球面レンズを並列したレンズアレイ52を複数対向するように配置したレンズアレイ52を用いることもできる。
【0090】
次に、本実施の形態の遮光部材51の製造方法について説明する。
【0091】
図12は本発明の第2の実施の形態における遮光パターン形成装置の構成を示す図である。
【0092】
ここで、遮光パターン形成装置は、図12に示されるように、露光装置としてのLEDプリントヘッド13に用いるレンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置及びレンズ素子57のMTFを測定するCCDカメラ98、集光素子99、画像処理装置96、前記CCDカメラ98を搬送する搬送装置97、前記CCDカメラ98及び搬送装置97を制御する制御装置95、遮光部材51の遮光パターンを形成するインクジェット印刷装置91、該インクジェット印刷装置91を搬送する搬送装置92、前記インクジェット印刷装置91及び搬送装置92を制御する制御装置93、LEDプリントヘッド13を搬送する図示されない搬送装置、LEDプリントヘッド13を制御する図示されない制御装置、記憶装置94等から成る。
【0093】
まず、CCDカメラ98を用いて、レンズ素子57の中心位置及び各発光点の露光像のMTFを計測する。CCDカメラ98、集光素子99、及び、測定対象であるLEDプリントヘッド13は、LEDアレイ発光点のレンズアレイ52による露光像に焦点が合うように配置され、かつ、搬送装置97によってCCDカメラ98をLED発光素子の配列方向に平行に移動しながら、発光点の露光像を走査することができるように配置される。そして、搬送装置97によってCCDカメラ98をLEDアレイ53の発光点の配列方向に移動させながら、前記CCDカメラ98によって画像を取り込む。得られた画像とCCDカメラ98の位置データとに基づいて、画像処理装置96は各レンズ素子57の中心位置と各発光点でのMTFとを算出し、測定したLEDプリントヘッド13を特定するシリアルナンバとともに記憶装置94に格納して記録する。
【0094】
ここで、MTFの測定について説明する。MTFは発光点の配列に注目したときの光量のコントラストを示す。そして、MTFの値が100〔%〕であることは、コントラストが最も大きく、露光装置としての解像力があることを示し、MTFの値が小さくなるほど光量のコントラストが小さくなる。この場合、LEDアレイ53の発光点の配列において、隣接する発光点同士の間隔はレンズ素子57の直径よりも小さいものとする。そして、前記発光点からの光がレンズ素子57を通過して結像する結像面上においては、光量分布が発生する。該光量分布は、各発光点に対応する結像点において光量が最大となり、隣接する結像点の間において光量が最小となるようになっている。ここで、結像面上における光量の最大値をImax とし、最小値をImin とすると、MTFは、ある発光素子に注目したとき、
<MTF>=(Imax −Imin )/(Imax +Imin )×100〔%〕
と定義される。
【0095】
次に、図12に示されるようなインクジェット印刷装置91を用いて、レンズアレイ52に遮光パターンを形成する。この場合、記憶装置94に記録されたレンズアレイ52のレンズ素子57の位置データ及び各発光点のMTF値に基づいて、遮光パターンを形成する位置、遮光パターンの開口径、形状等を決定し、制御装置93によって搬送装置92を制御してインクジェット印刷装置91を搬送し、制御装置93によってインクジェット印刷装置91を制御して遮光パターンを形成する。
【0096】
なお、該遮光パターンを形成する方法は、インクジェット方式を用いた印刷方法に限定されるものではなく、ペンレコーダや熱転写方式を用いた印刷方法、電子写真方式を用いた印刷方法、インパクト・ドット方式を用いた印刷方法等であってもよい。
【0097】
次に、LEDアレイ53中の各発光点の光量補正を行う。なお、各LED発光素子の露光像における光量のばらつきは、前記第1の実施の形態と同様に計測される。なお、光量のばらつきを計測するために、図12に示されるようなCCDカメラ98、集光素子99、画像処理装置96等を用いることができる。そして、計測されたデータに基づいてLEDアレイ53の各LED発光素子が動作する発光時間を制御することによって、光量補正を行う。
【0098】
そして、前記第1の実施の形態と同様に、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶される。
【0099】
前述された光量補正の方法は、各LED発光素子を動作する電流量を調整することで、各LED発光素子の露光像の光量を均一にしてもよい。
【0100】
なお、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データを、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶する方法は、前述された方法に限定されるものではない。
【0101】
また、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13中に記憶装置を配設して記憶することもできる。
【0102】
次に、本実施の形態におけるLEDプリントヘッド13の動作について説明する。
【0103】
まず、図11(a)に示されるように、レンズアレイ52中のMTFが比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cにおいては、遮光パターン51の開口径はより小さくなっている。そのため、MTF不良のレンズ素子57cの外周部付近の遮光パターンに当たって遮られる部分が比較的多く、開口部を通過する光は、MTF不良のレンズ素子57cの中心部を透過した光に限られる。
【0104】
また、各レンズ素子57のMTFの違いによって、遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にはばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて発光点の発光時間を制御するので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となる。
【0105】
このように、本実施の形態においては、遮光部材51開口の中心位置とレンズアレイ52の各レンズ素子57の中心位置のずれをなくし、各レンズ素子57の外周部の光線のみを的確に遮光することができる。そのため、遮光部材51を配設することによる効果が十分得られるようになった。さらに、画像に筋や濃度ムラ等の不具合が発生することもなく良好な画像が得ることができる。
【0106】
また、レンズ素子57の材料特性のばらつき、形状ばらつき等のように、前記第1の実施の形態では改善することができなかった、レンズ素子57の倒れ不良以外のばらつきによる不具合を解消することができる。
【0107】
さらに、「背景技術」の項で説明した従来の露光装置においては、MTFが低下しているレンズ素子による露光像は不鮮明となり、印刷画像上では縦筋等の画像不良が発生していたが、本実施の形態においては、MTFが低下しているMTF不良のレンズ素子57cに対してより開口径の小さい遮光パターンを形成することによって、露光像の被写界深度を大きくし、より鮮明な露光像を形成することができるようになっている。すなわち、レンズ素子57による結像特性としてのMTFに応じて前記遮光部材51の形状又は位置が設定されている。なお、遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57のMTFの値が小さいほど、そのレンズ素子57からの光線を透過する開口部が小さいようになっている。そのため、MTFが低下している近辺での印刷画像上でも縦筋等の画像不良が発生しないようにすることができる。
【0108】
さらに、レンズ素子57のMTFの値によって、遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、発光点の発光時間を制御するので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となり、結果として印刷画像上は濃度ムラや筋のない、極めて高品位な画像を得ることができる。
【0109】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構成を有するものは、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0110】
図13は本発明の第3の実施の形態における画像形成装置に使用されるLEDプリントヘッドの構造を示す図である。
【0111】
ここで、遮光部材51は、光源の光を透過するガラス、樹脂等の部材に光源の光を遮光する黒色塗料等による遮光パターンを形成したものである。前記遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57の外周部をLEDアレイ53上のLED素子からの光線を遮光するように形成される。そして、遮光パターンは、レンズ素子57の中心(光軸)位置に開口が形成される。
【0112】
また、遮光パターンは、MTFの比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cに対して開口径が小さく形成され、MTFの値が小さいほど遮光パターンの開口径が小さくなるように形成される。
【0113】
本実施の形態においては、光源の光を透過する透明部材に遮光パターンを形成するようになっているが、光源の光を遮光する板材にエッチングや打ち抜き加工を施して開口を形成したり、型成形法によって開口を形成してもよい。
【0114】
また、本実施の形態における遮光部材51の遮光パターンは、各レンズ素子57の外周部を遮光する円形のパターンであるが、前記遮光パターンの形状は、この限りではなく、楕円形や矩形等でも同様の効果が得られる。また、一個又は複数のレンズ素子57全体を覆い光源からの光を遮光するパターンによっても同様の効果が得られる。
【0115】
さらに、本実施の形態における露光装置は、図13に示されるように、光源にLED素子を複数並列したLEDアレイ53を使用したものであるが、前記露光装置の構成はこの限りではなく、例えば、画像形成装置10の露光装置として一般に用いられている半導体レーザや蛍光灯、ハロゲンランプ等の露光源に液晶素子で構成されたシャッタを併用した露光装置であってもよい。
【0116】
さらに、本実施の形態におけるレンズアレイ52のレンズ素子57は、図7及び8に示されるように、円筒形状であり、中心軸から半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズであるが、前記レンズ素子57は、この限りではなく、断面形状が楕円形や矩形のものであってもよい。また、複数の球面レンズや非球面レンズを並列したレンズアレイ52を複数対向するように配置したレンズアレイ52を用いることもできる。
【0117】
次に、本実施の形態の遮光部材51の製造方法について説明する。
【0118】
図14は本発明の第3の実施の形態における露光装置に用いる遮光部材の製造装置の構成を示す図である。
【0119】
ここで、遮光部材51の製造装置は、図14に示されるように、露光装置としてのLEDプリントヘッド13に用いるレンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置及びレンズ素子57の位置を測定するCCDカメラ119、該CCDカメラ119を搬送する搬送装置118、前記CCDカメラ119及び搬送装置118を制御する制御装置116、画像処理装置117、遮光部材51の遮光パターンを形成する光源111、集光素子112、遮光部材51及びレンズアレイ52を搬送する図示されない搬送装置、前記光源111を搬送する搬送装置113、前記光源111及び搬送装置113を制御する制御装置114、記憶装置115等から成る。なお、遮光部材51とそのパターン形成に用いたレンズアレイ52とは一対一に対応付けがなされ、後工程において、同一のLEDプリントヘッド13として組み立てられる。
【0120】
まず、CCDカメラ119を用いて、各レンズ素子57の位置を計測する。CCDカメラ119、レンズ素子57、レンズアレイ52等は、搬送装置118によってCCDカメラ119をレンズ素子57の配列方向へ平行に移動しながら、レンズアレイ52上を走査することができるように配置される。そして、搬送装置118によってCCDカメラ119をレンズ素子57の配列方向に移動させながら、CCDカメラ119によって画像を取り込む。得られた画像とCCDカメラ119の位置データとに基づいて、画像処理装置117は、各レンズ素子57の位置を計測し、測定したレンズアレイ52を特定するシリアルナンバとともに記憶装置115に格納して記録する。
【0121】
次に、遮光部材51上に遮光パターンを形成する方法について説明する。
【0122】
図14に示されるように、集光素子112によって光源111の光が集光される位置とレンズアレイ52の開口面との距離は、レンズアレイ52の焦点距離に等しく、遮光部材51とレンズアレイ52とは並行で、該遮光部材51とレンズアレイ52の開口面との距離は、レンズアレイ52の焦点距離に等しい。そして、光源111及び集光素子112は、搬送装置113によってレンズ素子57の配列方向に並行に搬送され、レンズアレイ52上を走査する。また、光源111はレンズ素子57の中心位置上に到達したときに発光し、光源111からの光は、集光素子112によって集光され、レンズアレイ52によって、遮光部材51上に結像して露光像を形成する。このとき、記憶装置115に記録されたシリアルナンバによって特定される個々のレンズアレイ52におけるレンズ素子57の位置データに基づいて、制御装置114は、搬送装置113を制御して光源111及び集光素子112を搬送するとともに、光源111の発光タイミングを制御する。
【0123】
そして、遮光部材51の遮光パターンの成形方法は、一般に公知のエッチングによる加工方法と同様である。すなわち、遮光部材51上には、あらかじめ感光材料が塗布されている。一方、溶媒は、未感光の感光材料を溶解せず、感光した感光材料は溶解するようになっている。そして、前述のように、レンズアレイ52を透過した光を遮光部材51上に露光して表層に塗布した感光材料を感光させた後、溶媒によって感光した感光材料を溶解し、遮光部材51上にレンズアレイ52を透過した露光像のネガ像を現像する。
【0124】
なお、遮光パターンを成形する方法は、このような方法に限定されるものではなく、遮光部材51上にレンズアレイ52を透過した露光像又は該露光像のネガ像を現像する方法であればいかなる方法であってもよい。
【0125】
さらに、遮光パターンが形成された遮光部材51とレンズアレイ52とを露光装置としてのLEDプリントヘッド13に組み込む。なお、LEDプリントヘッド13の構成は図13に示されるようになっている。遮光部材51とレンズアレイ52とをLEDプリントヘッド13に組み込むときの方向は、前述の遮光部材51の遮光パターンを形成する場合の方向と同様であり、図13に示されるように、レンズアレイ52と遮光部材51とを近接して配置する。このとき、該遮光部材51を配置する位置は、レンズアレイ52開口のLEDアレイ53側であってもよい。
【0126】
次に、該LEDアレイ53中の各発光点の光量補正を行う。なお、各LED発光素子の露光像における光量のばらつきの計測は、前記第1の実施の形態と同様に行うので、説明を省略する。
【0127】
さらに 前記第1の実施の形態と同様に、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶される。
【0128】
前述された光量補正の方法は、各LED発光素子を動作する電流量を調整することで、各LED発光素子の露光像の光量を均一にしてもよい。
【0129】
なお、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データを、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶する方法は、前述された方法に限定されるものではない。
【0130】
また、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13中に記憶装置を配設して記憶することもできる。
【0131】
次に、本実施の形態におけるLEDプリントヘッド13の動作について説明する。
【0132】
前記第2の実施の形態における図11(a)に示される場合と同様に、レンズアレイ52中のMTFが比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cにおいては、遮光パターン51の開口径はより小さくなっている。そのため、MTF不良のレンズ素子57cの外周部付近の遮光パターンに当たって遮られる部分が比較的多く、開口部を通過する光は、MTF不良のレンズ素子57cの中心部を透過した光に限られる。
【0133】
また、各レンズ素子57のMTFの違いによって、遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にはばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて発光点の発光時間を制御するので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となる。
【0134】
このように、本実施の形態においては、遮光部材51開口の中心位置とレンズアレイ52の各レンズ素子57の中心位置のずれをなくし、各レンズ素子57の外周部の光線のみを的確に遮光することができる。そのため、遮光部材51を配設することによる効果が十分得られるようになった。さらに、画像に筋や濃度ムラ等の不具合が発生することもなく良好な画像が得ることができる。
【0135】
また、レンズ素子57の材料特性のばらつきや形状ばらつきによる不具合を解消することができる。
【0136】
さらに、「背景技術」の項で説明した従来の露光装置においては、MTFが低下しているレンズ素子による露光像は不鮮明となり、印刷画像上では縦筋等の画像不良が発生していたが、本実施の形態においては、MTFが低下しているMTF不良のレンズ素子57cに対してより開口径の小さい遮光パターンを形成することによって、露光像の被写界深度を大きくし、より鮮明な露光像を形成することができるようになっている。すなわち、レンズ素子57による結像特性としてのMTFに応じて前記遮光部材51の形状又は位置が設定されている。なお、遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57のMTFの値が小さいほど、そのレンズ素子57からの光線を透過する開口部が小さいようになっている。そのため、MTFが低下している近辺での印刷画像上でも縦筋等の画像不良が発生しないようにすることができる。
【0137】
さらに、レンズ素子57のMTFの値によって、遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、発光点の発光時間を制御するので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となり、結果として印刷画像上は濃度ムラや筋のない、極めて高品位な画像を得ることができる。
【0138】
さらに、レンズアレイ52やレンズ素子57の特性測定にかかる手間が少なく、レンズ素子57のばらつきによる不具合を解消することができる。
【0139】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の第1の実施の形態における遮光パターン形成装置の構成を示す図である。
【図2】従来のコマ収差による焦点ボケを説明する図である。
【図3】従来のレンズアレイを示す切り欠き斜視図である。
【図4】従来のレンズアレイにおける発光点と各レンズ素子による露光像の光量分布との関係について模式的に示した図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置本体の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御ブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置に使用されるLEDプリントヘッドの構造を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における遮光部材の遮光パターンの構成を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における光軸傾き測定機の構成と測定原理を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における光量ばらつき測定機の構成を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における遮光部材の遮光パターンの構成を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における遮光パターン形成装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態における画像形成装置に使用されるLEDプリントヘッドの構造を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態における露光装置に用いる遮光部材の製造装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0141】
10 画像形成装置
11 感光体
13 LEDプリントヘッド
51 遮光部材
52 レンズアレイ
53 LEDアレイ
57、57a、57c レンズ素子
76、111 光源
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、LEDプリントヘッド及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置においては、感光体上に画像データに基づいて静電潜像を形成する露光プロセスにおいて、光源に複数のLED(Light Emitting Diode)素子を並べたLEDアレイを用い、レンズを用いてLEDアレイ発光点の光像を感光体に結像することによって、感光体上に露光像を形成している。そして、前記レンズとしてはレンズ素子を複数並列したレンズアレイが多く使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、露光装置においては、レンズ素子の光軸に垂直な方向、レンズの中心から半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズをレンズ素子として用いた、レンズアレイが使用されている。
【0004】
該レンズアレイは、外径が0.1〜数〔mm〕程度の円筒形のレンズ素子を一列又は複数列に直線状に配置し、レンズ素子間の隙(すき)間を埋める充填(てん)材としての樹脂等によって固めることで構成される。
【0005】
前記レンズアレイを用いた露光装置において、感光体面に露光するときの明るさは、ロッドレンズから成るレンズ素子の開口角によって決まり、該開口角が大きいほど明るさが大きくなる。現在用いられているレンズ素子の開口角は10〜30度であり、特に、半導体レーザ等に比べて光量の小さいLED素子を用いたLEDアレイを光源に用いる画像形成装置の場合、前記レンズアレイを構成するレンズ素子の開口角は、なるべく大きいものであることが好ましい。現在、画像形成装置の露光装置に用いられているレンズアレイを構成するロッドレンズから成るレンズ素子の開口角は約20度程度である。
【0006】
ところが、開口角の大きなレンズ素子を用いた場合、該レンズ素子の中心から離れた位置での屈折率が大きいことに起因するコマ収差(comatic aberration)が発生する。すなわち、レンズ素子の中心付近を通過した光線が像を結ぶ位置とレンズ面との距離である焦点距離に対し、開口角の大きいレンズの中心を離れた位置を通過した光線が像を結ぶ位置とレンズ面との距離は短い。
【0007】
そのため、開口角の大きいレンズ素子を用いたレンズアレイではコマ収差に起因する結像の焦点ボケが発生し、点光源であるLED素子の発光点の露光像が感光体面上に結像しない焦点ボケの原因となり、露光像各点の光量ムラが発生したり露光像のコントラストが低下する。そして、画像形成装置の印字では、濃度ムラや印刷画像が鮮明でないドット再現性の低下の原因となる。
【0008】
次に、コマ収差による焦点ボケを説明する。
【0009】
図2は従来のコマ収差による焦点ボケを説明する図である。
【0010】
ロッドレンズから成るレンズ素子と該レンズ素子を透過した光線の結像面との関係は、図2に示される通りであるとする。また、図示されない点光源は、レンズ素子に対し結像面と反対側にあるとする。ここで、O1 、O2 及びO3 は、それぞれ、点光源からの光線であり、O2 はO1 よりもレンズ素子の中心から離れたところを通る光線を示し、O3 はレンズ素子の中心からさらに離れたところを通る光線を示している。これらの光線の結像面上に焦点を結ぶ点は、それぞれP1 、P2 及びP3 となる。これらの焦点を結ぶ点のずれがコマ収差であり、結像面上の露光像の焦点ボケの原因である。これら結像面上の焦点を結ぶ点とレンズ面上のレンズの中心点との距離をそれぞれf1 、f2 及びf3 とすると、f1 <f2 <f3 となっている。
【0011】
そこで、開口角の大きいレンズ素子を用いたレンズアレイにおいて、コマ収差に起因する結像の焦点ボケによる露光像のコントラスト低下を改善するために、レンズアレイを構成する各レンズ素子の中心点から離れた部分に入射する光線、又は、各レンズ素子の中心点から離れた部分から出射する光線を遮光する遮光板を画像形成装置の露光装置に配設することが行われている。すなわち、図2において、レンズ素子の中心から比較的離れた位置を透過する光線O2 及び光線O3 を遮光することによって、被写界深度が大きくなり、焦点ボケを解消することができる。
【0012】
また、画像不良の解消と品位向上ばかりでなく、近年においては、画像形成装置全般の解像度が向上し、電子写真方式による画像形成装置においても例外でなく、更なる解像度の向上が期待されている。従来より、レンズアレイによる露光像の劣化を解消する方法として、レンズアレイに遮光部材を配置することが効果的であるとされている。
【0013】
ところが、前述したような露光装置に用いられるレンズアレイにおいては、ロッドレンズから成る個々のレンズ素子の配列にばらつきが生じてしまう。この場合、レンズ素子の配列のばらつきには、レンズ素子の配列方向の位置ずれ、レンズ素子の配列方向に対する垂直方向であり、かつ、各レンズ素子の光軸方向に対する垂直方向の位置ずれ、レンズ素子の光軸が本来の方向に対して傾きを持ってしまうレンズ素子の倒れ等がある。
【0014】
例えば、一般に電子写真方式による画像形成装置の露光装置に用いられるレンズアレイの各レンズ素子の配列方向の位置ずれは、設計値に対する値で示すと、数〔%〕程度である。さらに、この位置ずれは、レンズアレイの端部、中央部等のようなそれぞれの位置によって、ばらつきの程度が異なる。
【0015】
ここで、レンズアレイの構造と組み立て方法の一例を図面を用いて説明する。
【0016】
図3は従来のレンズアレイを示す切り欠き斜視図である。
【0017】
レンズアレイは、1枚の当て板202に対し、屈折率分布を有するロッドレンズから成るレンズ素子201を一列又は複数列配列し、レンズ素子201間の空隙(げき)に充填材203としての合成樹脂を流し込み、さらに、もう1枚の当て板202を押し当てて固定することによって構成される。このとき、該当て板202が平板状の場合、レンズ素子201の配列ピッチは、レンズ素子201の直径と等しくなり、フレーム板としての当て板202に定間隔の凹凸を形成した場合には、該凹凸のピッチがレンズ素子201の配列ピッチとなる。
【0018】
これらレンズ素子201の配列における位置ずれやレンズ素子201の倒れの原因は、該レンズ素子201の直径ばらつき、ねじれ、曲がり等、また、当て板202の曲がり又はうねり、当て板202上に形成されたレンズ素子201の配列間隔を決める凹凸の位置ばらつき又は形状ばらつき、レンズ素子201を固定する際の組み立てばらつきや充填する合成樹脂の粘性等の特性ばらつき、合成樹脂充填量のばらつき等が考えられる。
【0019】
さらに、レンズアレイ全体で、ねじれ、曲がり等の形状ばらつきも発生する。
【0020】
また、遮光部材の製造方法として一般に公知の技術である型成形法においては、レンズアレイのレンズ素子の配列に対応して、0.1〔mm〕〜数〔mm〕程度の位置精度で多数の開口を画像形成装置の幅に対応する紙の幅に形成する場合、遮光部材の開口位置の位置精度は、数十〔%〕程度であり、フォトマスクを用いたエッチング加工、遮光パターンのパターン形成等の場合でも、前記位置精度は数〔%〕程度である。また、切削加工や打ち抜き加工によって開口を形成しても、前記位置精度は数十〔%〕である。さらに、これらの加工法では、遮光部材の各開口の位置精度を数〔%〕に抑えても、累積誤差が発生するので、遮光部材を紙幅で成形した場合には、各開口の位置は本来の設計値の配列間隔に対し大きくずれてしまう。
【特許文献1】特開平7−242018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、前記従来の露光装置においては、遮光部材開口の中心位置とレンズアレイのロッドレンズから成る各レンズ素子の中心位置とがずれてしまうと、各レンズ素子の外周部の光線のみを遮断するばかりでなく、各レンズ素子の中心付近の光線をも遮断してしまい、露光装置のMTF(Modulation Transfer Function)を向上させるという遮光部材を設定することによる効果が半減してしまう。さらに、遮光部材開口の中心位置とレンズアレイの各レンズ素子の中心位置とが大きくずれてしまうと、周期的にレンズ素子の中心付近が遮光され、露光量が大きく減少することで、画像に周期的な白筋が発生したり、また、感光体上に全く露光像が形成されず、画像形成そのものをすることができなくなるという不具合が発生する。
【0022】
さらに、レンズ素子の倒れによって、倒れの発生しているレンズ素子付近の露光像のMTF低下を招き、露光像が不鮮明となり、印刷画像上で縦筋等の画像不良が発生する。
【0023】
一般に電子写真方式に用いられる露光装置においては、露光像を形成するためのLEDアレイにおける各発光点の光量補正を行うことによって、各画素間での光量ばらつきによる縦筋等の画像不良を改善するようになっている。しかし、レンズ素子の倒れによる縦筋等の画像不良は、倒れの発生しているレンズ素子付近での露光像のMTF低下が画像不良の原因であるため、LEDアレイ各発光点の光量補正を行っただけではこの不良を改善することはできない。
【0024】
次に、ロッドレンズから成るレンズ素子の倒れによるMTFの低下について説明する。
【0025】
図4は従来のレンズアレイにおける発光点と各レンズ素子による露光像の光量分布との関係について模式的に示した図である。
【0026】
ここで、発光点として微小な間隔を隔てて配設された2点の発光点があるときの光量分布について考察する。レンズアレイを用いた露光装置では、発光点の露光像はロッドレンズから成る各レンズ素子による露光像の重ね合わせか、結像面に形成される露光像となる。図4(a)に示される発光点とレンズの配置において、レンズアレイにおけるレンズ素子に倒れ不良が発生していない場合の発光点の露光像の位置を原点とし、各レンズ素子の光軸に平行で原点から発光点の方向をz、レンズの配列方向をxとする。図4(a)に示されるような倒れ不良のレンズ素子がある場合には、該倒れ不良のレンズ素子による発光点の露光像の形成位置は、本来露光像が形成される点に対してずれている。そのため、倒れ不良のレンズ素子による発光点の露光像原点付近の光量分布は、図4(d)及び(e)に示されるようになり、光量が減少し、かつ、露光像のMTFが低下する。さらに、図4(f)に示されるように、各レンズ素子による露光像の重ね合わせである実際に形成される露光像の光量分布は、倒れ不良のレンズ素子による発光点の露光像が足し合わされる結果、本来の発光点の光量分布から変化してMTFが低下する。
【0027】
本発明は、前記従来の露光装置の問題点を解決して、各レンズ素子による結像特性に対応させて遮光部材の形状又は位置を設定することによって、MTFが低下せず、露光像が鮮明であり、印刷画像上で縦筋等の画像不良が発生することのない露光装置、LEDプリントヘッド及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
そのために、本発明の露光装置においては、光源からの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、各レンズ素子による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されている。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、露光装置においては、光源からの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、各レンズ素子による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されている。
【0030】
この場合、MTFが低下せず、露光像が鮮明であり、印刷画像上で縦筋等の画像不良が発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図5は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置本体の構成を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御ブロック図である。
【0033】
図5において、10は画像形成装置であり、例えば、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ機、複写機、プリンタとファクシミリ機と複写機との機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類の画像形成装置であってもよく、また、モノクロ画像を形成するものであっても、カラー画像を形成するものであってもよい。
【0034】
そして、前記画像形成装置10は、給紙カセット20が装着され、該給紙カセット20にセットされた媒体としての用紙19が給紙ローラ26によって搬送され、ローラ対27〜ローラ対30によって画像形成部にまで搬送される。
【0035】
本実施の形態における画像形成装置10は、カラー電子写真式プリンタなので、画像形成装置10内には、画像形成部として、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像を、それぞれ、形成する4つのプロセスカートリッジ21〜プロセスカートリッジ24が用紙19の搬送経路に沿ってタンデムに配設されている。そして、各プロセスカートリッジ21〜プロセスカートリッジ24には、像担持体としてのドラム状の感光体11、該感光体11の周囲に配設され、該感光体11の表面に電気を供給して帯電させる帯電ローラ12、帯電された感光体11の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置としてのLEDプリントヘッド13が配設される。
【0036】
さらに、現像剤としてのトナーを静電潜像が形成された感光体11の表面に搬送する現像ローラ14、前記感光体11の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード15、及び、前記感光体11の表面に残留した電位を除電する除電部16が配設される。また、用紙19を搬送する搬送手段としての転写ベルト18、前記感光体11と対向させて配設され、転写ベルト18によって搬送される用紙19にトナー像を転写する転写ローラ17も配設される。
【0037】
そして、それぞれのプロセスカートリッジ21〜プロセスカートリッジ24において、帯電ローラ12によって感光体11の電荷を蓄える帯電プロセスが行われ、LEDプリントヘッド13によって感光体11上の画像データを形成する位置に光を照射する露光プロセスが行われ、現像ローラ14によって露光された部分にトナーを付着させる現像プロセスが行われ、転写ローラ17によって現像されたトナーを用紙19に転写させる転写プロセスが行われる。なお、用紙19上のトナー像を熱及び圧力で定着させる定着プロセスは定着部としての定着器25によって行われる。さらに、前記画像形成装置10は、画像が形成された用紙19は排ローラ対31〜排ローラ対34によって搬送されて画像形成装置10の外部に排出する排出部35を有する。
【0038】
ここで、前記画像形成装置10は、図6に示されるように、制御部41、記憶部42、外部インターフェイス43、LEDヘッド駆動制御部44及びLEDプリントヘッド13を備える制御ユニットを有する。そして、前記記憶部42には、LEDプリントヘッド13の各LED発光素子の駆動時間を決定する補正データが格納される。また、前記外部インターフェイス43は、図示されないネットワーク等に接続され、外部装置との通信を行い、上位装置から印刷データを受信し、制御部41に渡すことによって印刷を行うことができる。さらに、前記制御部41は、画像形成装置10全体の動作に関する制御を行う。LEDヘッド駆動制御部44は、前記制御部41に従って、記憶部42に格納された補正データに基づきLEDプリントヘッド13を駆動する。
【0039】
次に、前記画像形成装置10の動作について説明する。
【0040】
まず、給紙カセット20に収納されている用紙19が給紙ローラ26によって搬送されて、ローラ対27〜ローラ対30によって画像形成部まで搬送される。プロセスカートリッジ21〜プロセスカートリッジ24内では、回転する感光体11の表面に対して帯電ローラ12によって帯電が行われ、帯電された表面をLEDプリントヘッド13によって露光し、静電潜像が書き込まれ、前記現像ローラ14によって静電潜像がトナーにより現像されてトナー像が形成される。
【0041】
ここで、タイミングを合わせて搬送されてきた用紙19が感光体11と転写ローラ17との間を通る際に、トナー像が用紙19上に転写される。各色毎に重ねて転写が行われ、用紙19上にカラーのトナー像が形成される。
【0042】
そして、用紙19上のトナー像は定着器25によって、用紙19上に定着させられて、該用紙19は排ローラ対31〜排ローラ対34によって搬送され排出部35に排出される。
【0043】
次に、本実施の形態のLEDプリントヘッド13の構成について説明する。
【0044】
図7は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置に使用されるLEDプリントヘッドの構造を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における遮光部材の遮光パターンの構成を示す図である。
【0045】
図7に示されるように、露光装置としてのLEDプリントヘッド13は、光源としてのLEDアレイ53及びレンズアレイ52を有する。ここで、前記LEDアレイ53は、レンズホルダ54の天板54aに支持されている基板56の下面に配設され、配列された複数のLED素子を備える。なお、前記基板56には、LED素子の発光を制御するドライバIC等も配設されている。
【0046】
また、前記レンズアレイ52は、複数のレンズ素子57と遮光部材51とを備え、LEDアレイ53の下方において、レンズホルダ54に取り付けられている。前記遮光部材51は光源の光を遮光する黒色塗料等による遮光パターンである。なお、前記レンズアレイ52は、図8に示されるように、複数のレンズ素子57と、該レンズ素子57間の間隙を埋める充填材59と、レンズ素子57を固定する当て板58とを有する。
【0047】
次に、前記遮光部材51の遮光パターンの構成について説明する。
【0048】
本実施の形態において、遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57の外周部の一部をLEDアレイ53上のLED素子からの光線を遮光するように形成される。この場合、前記遮光パターンは、図8(a)に示されるように、倒れ具合の比較的良好なレンズ素子57に対し同一の開口径の遮光パターンを形成し、かつ、倒れの比較的大きい倒れ不良のレンズ素子57aに対しては開口径の小さい遮光パターンを形成する。また、倒れ不良のレンズ素子57aに対しては、その倒れの値が大きいほど遮光パターンの開口径を小さくする。すなわち、レンズ素子57による結像位置のずれ量が大きいほど、そのレンズ素子57からの光線を透過する開口部を小さくするようになっている。
【0049】
また、図8(b)に示されるように、倒れの比較的大きい倒れ不良のレンズ素子57aに対してのみ遮光パターンを形成してもよい。さらに、倒れの値が大きいほど遮光パターンの開口径を小さくしてもよい。画像形成装置10の解像度が比較的小さい場合、このような遮光パターンの形成方法でも、十分効果が発揮される。
【0050】
また、図8(c)に示されるように、同一の開口径の遮光パターンを形成してもよい。この場合、レンズ素子57の外周部が的確に遮光されるように、遮光パターンの位置をレンズ素子57の位置に合わせる。レンズアレイ52中のレンズ素子57の倒れ不良が比較的小さく良好な場合、このような遮光パターンの形成方法で十分効果が発揮される。
【0051】
本実施の形態においては、図7に示されるように、レンズアレイ52の感光体11側の開口面に遮光部材51を配設しているが、該遮光部材51を配設する場所はレンズアレイ52の感光体11側の開口面に限定されるものではなく、例えば、LEDアレイ53側のレンズアレイ52の開口面に遮光部材51を配設してもよい。
【0052】
また、本実施の形態における遮光部材51は、図8に示されるように、レンズアレイ52に黒色塗料を用いて直接描画したものであるが、前記遮光部材51の構成はこの限りでなく、光源の光を透過する透明部材に遮光パターンを形成したものであってもよいし、エッチング加工や型成形法によって光源の光を遮光する板材に穴を穿(うが)って開口を形成したものであってもよい。
【0053】
さらに、本実施の形態における遮光部材51の遮光パターンは、図8に示されるように、各レンズ素子57の外周部を遮光する円形のパターンであるが、前記遮光パターンの形状は、この限りではなく楕(だ)円形や矩(く)形等でも同様の効果が得られる。また、倒れ不良のレンズ素子57aを完全に遮光しても同様の効果が得られる。
【0054】
さらに、本実施の形態における露光装置は、図7に示されるように、光源にLED素子を複数並列したLEDアレイ53を使用したものであるが、前記露光装置の構成はこの限りではなく、例えば、画像形成装置10の露光装置として一般に用いられている半導体レーザや蛍光灯、ハロゲンランプ等の露光源に液晶素子で構成されたシャッタを併用した露光装置であってもよい。
【0055】
さらに、本実施の形態におけるレンズアレイ52のレンズ素子57は、図7及び8に示されるように、円筒形状であり、中心軸から半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズであるが、前記レンズ素子57は、この限りではなく、断面形状が楕円形や矩形のものであってもよい。また、複数の球面レンズや非球面レンズを並列したレンズアレイ52を複数対向するように配置したレンズアレイ52を用いることもできる。
【0056】
次に、前記遮光部材51の製造方法について説明する。
【0057】
図1は本発明の第1の実施の形態における遮光パターン形成装置の構成を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における光軸傾き測定機の構成と測定原理を示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における光量ばらつき測定機の構成を示す図である。
【0058】
ここで、遮光パターン形成装置は、図1に示されるように、露光装置としてのLEDプリントヘッド13に用いるレンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置及び光軸の傾きを測定する光軸傾き測定機70、遮光部材51の遮光パターンを形成するインクジェット印刷装置61、該インクジェット印刷装置61を搬送する搬送装置62、前記インクジェット印刷装置61及び搬送装置62を制御する制御装置63、前記光軸傾き測定機70を搬送する図示されない搬送装置、前記光軸傾き測定機70を制御する制御装置65及び記憶装置64から成る。そして、レンズアレイ52を固定し、該レンズアレイ52に対して光軸傾き測定機70を走査して各レンズ素子57の傾きを測定し、その測定データに対応させて、インクジェット印刷装置61を走査させて各レンズ素子57の外周部に遮光部材51を印刷する。
【0059】
まず、光軸傾き測定機70のCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラ71を用いて、レンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置を計測する。光軸傾き測定機70は、図9(a)に示されるように、図示されない搬送装置によってレンズ素子57の配列方向に移動しながら、CCDカメラ71により画像を取り込む。この場合、得られた画像から、図9(b)に示されるようなレンズアレイ52におけるCCDカメラ71に対向する二次元平面における座標を記録するようになっている。すなわち、画像処理装置72は、CCDカメラ71によって得られた図9(b)に示されるような画像から、各レンズ素子57の中心位置77aを割り出し、二次元平面における所定位置を原点(0、0)とし、各レンズ素子57の中心位置77aを(xi、yi)座標として、記憶装置64に格納して記録する。
【0060】
次に、前記光軸傾き測定機70を用いてレンズ素子57の光軸の傾きを測定する。ここで、前記光軸傾き測定機70は、光源76、集光素子75及びCCDカメラ71を有する。前記集光素子75は、光学レンズ等を組み合わせて構成された、光源76からの光線を発光点78に集光するための光学素子である。また、光軸傾き測定機70は、記憶装置64に記録されたレンズアレイ52におけるレンズ素子57の位置データに基づいて、図示されない搬送装置によって搬送される。ここで、測定を行うレンズ素子57に光軸の傾きがなく、理想的に配置されていると仮定した場合に、発光点78と、該発光点78のレンズ素子57による露光像の結像面74上の位置である結像点77とが、レンズ素子57の光軸上に来るように、前記光源76、集光素子75及びCCDカメラ71の配置が決定されている。
【0061】
本実施の形態のレンズアレイ52のように、レンズ素子57が二列に並んでいる場合、光軸傾き測定機70を往復移動させる。そして、往路及び復路の各々において、レンズ素子57の各列の略中心線を通るように光軸傾き測定機70を移動させつつ、各列に含まれるレンズ素子57毎に測定を行う。あるいは、単純に千鳥状に位置をずらしながら測定してもよい。
【0062】
ここで、前記光軸傾き測定機70の光源76を発光すると、結像点77は、レンズ素子57によって、結像面74上に露光される。前記結像点77の結像面74上の位置はレンズ素子57の光軸の傾きによって異なるから、CCDカメラ71によって取り込まれた画像を画像処理装置72によって処理することにより、レンズ素子57の光軸の傾きを計測することができる。先に計測して、記憶装置64に記録された各レンズ素子57の中心位置と、結像点77とを比較することによってずれ量を計測することができる。
【0063】
そして、前記光軸傾き測定機70は、レンズアレイ52のすべてのレンズ素子57について、図9(b)に示されるように、結像点77のレンズ素子57の中心位置77aに対するx軸方向(レンズアレイ52のレンズ素子57の配列方向)のずれPxを計測し、記憶装置64に格納して記録する。ここで、前記Pxは、レンズ素子57の結像特性としての結像位置ずれの大きさを示している。
【0064】
この場合、各レンズ素子57の中心位置77aのx座標値と、結像点のx座標値との差から、前記ずれPxを計測することができる。なお、x方向のずれのみを計測する理由は、レンズの配列方向であるx軸方向におけるMTFの低下が主として画像品質の低下を招き、x方向の濃度ムラの発生の原因となるためである。
【0065】
次に、図1に示されるようなインクジェット印刷装置61を用いて、レンズアレイ52に遮光パターンを形成する。この場合、記憶装置64に記録されたレンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置77aの位置データとレンズ素子57の傾きデータとに基づいて、遮光パターンを形成する位置を決定し、さらに、傾きデータに基づいて遮光パターンの開口径や形状を決定する。そして、制御装置63によって搬送装置62を制御してインクジェット印刷装置61を搬送し走査させる、制御装置63によってインクジェット印刷装置61を制御して遮光パターンを形成する。
【0066】
なお、該遮光パターンを形成する方法は、インクジェット方式を用いた印刷方法に限定されるものではなく、ペンレコーダや熱転写方式を用いた印刷方法、電子写真方式を用いた印刷方法、インパクト・ドット方式を用いた印刷方法等であってもよい。
【0067】
この場合、遮光部材51を形成したレンズアレイ52をLEDアレイ53等とともに組み立てて、図7に示されるような露光装置としてのLEDプリントヘッド13を構成した後、LEDアレイ53中の各発光点の露光量補正を行う。このとき、以下に示す方法で、各LED発光素子の露光像の光量ばらつきを計測し、そのデータをもとにLEDアレイ53の各LED発光素子を動作させ、発光時間を制御することで露光量補正を行う。なお、露光量は、光量と時間との積である。すなわち、露光量=光量×時間である。
【0068】
次に、図10に示されるような光量ばらつき測定機80によって、露光装置のLED発光素子の露光像の光量ばらつきを測定する。前記光量ばらつき測定機80は、CCDカメラ81、露光装置の発光点の露光像をCCDカメラ81に取り込む集光素子82、CCDカメラ81及び集光素子82を露光装置の発光点の配列方向に搬送し走査させる搬送装置83、CCDカメラ81の画像を画像処理して各発光点の光量ばらつきを計測する画像処理装置86、測定結果を記録する記憶装置85、それらを制御する制御装置84、並びに、測定対象である露光装置としてのLEDプリントヘッド13を動作させる図示されない制御装置を有する。
【0069】
この場合、LEDプリントヘッド13、CCDカメラ81及び集光素子82は、LEDプリントヘッド13の発光点の露光像にCCDカメラ81の焦点が合うように配置される。また、CCDカメラ81及び集光素子82によってLEDプリントヘッド13の各発光点を走査することができるように、搬送装置83を配置する。
【0070】
LED発光素子の露光像の光量ばらつき測定においては、まず、LEDプリントヘッド13の各発光点を発光させる。そして、CCDカメラ81により各発光点の露光像の画像を取り込みながら、搬送装置83によってCCDカメラ81及び集光素子82を発光点の配列方向に走査する。CCDカメラ81によって取り込んだ各発光点の露光像の画像は、CCDカメラ81の走査位置データとともに画像処理装置86によって処理され、LEDプリントヘッド13の各発光点についての光量が計測される。なお、計測されたデータは個々のLEDプリントヘッド13を特定するシリアルナンバとともに記憶装置85に記憶される。
【0071】
また、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶される。そして、個々のLEDプリントヘッド13を特定するシリアルナンバとともに各発光点の制御データを図示されないネットワークに接続されたサーバに記憶しておき、画像形成装置10本体を組み立てる際に前記ネットワークに接続し、組み込んだLEDプリントヘッド13のシリアルナンバから各発光点の制御データ、すなわち、各発光点に対応する露光時間を決定するデータをサーバから呼び出し、画像形成装置10本体の記憶部42に取り込んで記憶する。これにより、画像形成装置10は、組み込まれたLEDプリントヘッド13に対応する各発光点の制御データに従って各発光点の発光時間を制御することができ、各発光部はほぼ均一な発光量を露光することができる。
【0072】
前述された光量補正の方法は、各LED発光素子を動作する電流量を調整することで、各LED発光素子の露光像の光量を均一にしてもよい。
【0073】
なお、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データを、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶する方法は、前述された方法に限定されるものではない。
【0074】
また、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13中に記憶装置を配設して記憶することもできる。
【0075】
次に、前記構成のLEDプリントヘッド13の動作について説明する。
【0076】
まず、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、図7に示される基板56上に配置された図示されないドライバICによってLEDアレイ53が駆動される。すると、該LEDアレイ53が発光して、該LEDアレイ53から発せられた光がレンズアレイ52に入射する。この場合、前記LEDアレイ53から発せられた光のうち、レンズアレイ52のレンズ素子57の外周部付近の光の一部が、図8に示されるような遮光部材51の遮光パターンに当たり遮られる。一方、レンズアレイ52のレンズ素子57を通過した光の一部は、遮光部材51の開口部を通過して、LEDアレイ53の発光した発光点の像が図7に示されるような感光体11上に結像し、該感光体11上に露光像を形成する。
【0077】
なお、図8に示されるように、レンズアレイ52中で光軸の傾きが比較的大きい倒れ不良のレンズ素子57aにおいては、遮光部材51の遮光パターンの開口径がより小さくなっており、倒れ不良のレンズ素子57aの外周部付近の遮光パターンに当たり遮られる部分は比較的多く、開口部を通過する光は倒れ不良のレンズ素子57aの中心部を透過した光に限られる。
【0078】
また、レンズ素子57の光軸の傾きによって、遮光部材51の遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にはばらつきが発生する。しかし、前述のように、画像形成装置10の制御部41が画像形成装置10全体の動作に関する制御を行い、LEDヘッド駆動制御部44は、前記制御部41に従って、記憶部42に格納された補正データに基づきLEDプリントヘッド13を駆動する。これにより、画像形成装置10の記憶部42に記憶された露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、発光点の発光時間が制御されるので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となる。
【0079】
このように、本実施の形態においては、遮光部材51の遮光パターンにおける開口の中心位置とレンズアレイ52の各レンズ素子57の中心位置77aのずれがないので、各レンズ素子57の外周部の光線のみを的確に遮光することができ、レンズ素子57による結像特性としてのMTFを向上させるという遮光部材51を配設することによる効果を十分に得ることができる。さらに、画像に筋や濃度ムラ等の不具合が発生することもなく良好な画像を得ることができる。そのため、「背景技術」の項で説明した従来の露光装置における遮光部材を設置することによる効果が得られない、レンズ素子の中心付近が遮光されて露光量が大きく減少するので画像に周期的な白筋が発生し、また、感光体上に全く露光像が形成されず、画像形成そのものができなくなる等の問題点を解消することができる。
【0080】
また、光軸の傾きが大きい倒れ不良のレンズ素子57aに対しては、より開口径の小さい遮光パターンを形成するようになっている。すなわち、レンズ素子57による結像特性としての結像位置ずれに応じて遮光部材51の形状又は位置が設定されている。なお、遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57による結像位置のずれ量が大きいほど、そのレンズ素子57からの光線を透過する開口部が小さいようになっている。そのため、光軸の傾きが大きい倒れ不良のレンズ素子57aからの露光像の被写界深度を大きくし、より鮮明な露光像を形成することができる。これにより、倒れの発生している倒れ不良のレンズ素子57a近辺の露光像のMTF低下を抑え、印刷画像上では縦筋等の画像不良が発生しないようにすることができる。
【0081】
さらに、レンズ素子57の光軸の傾きによって遮光部材51の遮光パターンの開口径が異なるので、LED光素子の露光像について単位時間当りの光量にはばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、発光点の発光時間を制御するようになっている。そのため、感光体11に照射される露光像の光量は均一となり、濃度ムラや筋のない、極めて高品位な画像を得ることができる。
【0082】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものは、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0083】
図11は本発明の第2の実施の形態における遮光部材の遮光パターンの構成を示す図である。
【0084】
本実施の形態において、遮光部材51は、光源の光を遮光する黒色塗料等から成り、遮光パターンを形成する。前記遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57の外周部の一部をLEDアレイ53上のLED素子からの光線を遮光するように形成される。図11(a)に示されるように、レンズ素子57による結像特性としてのMTFの比較的良好なレンズ素子57に対しては、同一の開口径の遮光パターンを形成し、また、MTFの比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cに対しては、開口径の小さい遮光パターンを形成する。また、MTF不良のレンズ素子57cに対しては、MTFの値が大きいほど遮光パターンの開口径を小さくする。
【0085】
また、図11(b)に示されるように、MTFの比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cに対してのみ遮光パターンを形成してもよい。さらに、MTFの値が小さいほど遮光パターンの開口径を小さくしてもよい。露光装置としてのLEDプリントヘッド13を使用する画像形成装置10の解像度が比較的小さい場合、この遮光パターンの形成方法で十分効果が発揮される。
【0086】
なお、前記遮光部材51は、図11に示されるように、レンズアレイ52に黒色塗料を用いて直接描画した遮光部材であるが、前記遮光部材51の構成は、この限りでなく、光源の光を透過する透明部材に遮光パターンを形成したものや、エッチング加工又は型成形法によって光源の光を遮光する板材に穴を穿って開口を形成したものであってもよい。
【0087】
また、本実施の形態において、遮光部材51の遮光パターンは、図11に示されるように、各レンズ素子57の外周部を遮光する円形のパターンであるが、前記遮光パターンは、この限りではなく、楕円形や矩形等であっても同様の効果を得ることができる。また、MTF不良のレンズ素子57cを完全に遮光しても同様の効果を得ることができる。
【0088】
さらに、本実施の形態における露光装置は、前記第1の実施の形態と同様に、図7に示されるような光源にLED素子を複数並列したLEDアレイ53を使用したものであるが、前記露光装置の構成はこの限りではなく、例えば、画像形成装置10の露光装置として一般に用いられている半導体レーザや蛍光灯、ハロゲンランプ等の露光源に液晶素子で構成されたシャッタを併用した露光装置であってもよい。
【0089】
さらに、本実施の形態におけるレンズアレイ52のレンズ素子57は、図7及び8に示されるように、円筒形状であり、中心軸から半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズであるが、前記レンズ素子57は、この限りではなく、断面形状が楕円形や矩形のものであってもよい。また、複数の球面レンズや非球面レンズを並列したレンズアレイ52を複数対向するように配置したレンズアレイ52を用いることもできる。
【0090】
次に、本実施の形態の遮光部材51の製造方法について説明する。
【0091】
図12は本発明の第2の実施の形態における遮光パターン形成装置の構成を示す図である。
【0092】
ここで、遮光パターン形成装置は、図12に示されるように、露光装置としてのLEDプリントヘッド13に用いるレンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置及びレンズ素子57のMTFを測定するCCDカメラ98、集光素子99、画像処理装置96、前記CCDカメラ98を搬送する搬送装置97、前記CCDカメラ98及び搬送装置97を制御する制御装置95、遮光部材51の遮光パターンを形成するインクジェット印刷装置91、該インクジェット印刷装置91を搬送する搬送装置92、前記インクジェット印刷装置91及び搬送装置92を制御する制御装置93、LEDプリントヘッド13を搬送する図示されない搬送装置、LEDプリントヘッド13を制御する図示されない制御装置、記憶装置94等から成る。
【0093】
まず、CCDカメラ98を用いて、レンズ素子57の中心位置及び各発光点の露光像のMTFを計測する。CCDカメラ98、集光素子99、及び、測定対象であるLEDプリントヘッド13は、LEDアレイ発光点のレンズアレイ52による露光像に焦点が合うように配置され、かつ、搬送装置97によってCCDカメラ98をLED発光素子の配列方向に平行に移動しながら、発光点の露光像を走査することができるように配置される。そして、搬送装置97によってCCDカメラ98をLEDアレイ53の発光点の配列方向に移動させながら、前記CCDカメラ98によって画像を取り込む。得られた画像とCCDカメラ98の位置データとに基づいて、画像処理装置96は各レンズ素子57の中心位置と各発光点でのMTFとを算出し、測定したLEDプリントヘッド13を特定するシリアルナンバとともに記憶装置94に格納して記録する。
【0094】
ここで、MTFの測定について説明する。MTFは発光点の配列に注目したときの光量のコントラストを示す。そして、MTFの値が100〔%〕であることは、コントラストが最も大きく、露光装置としての解像力があることを示し、MTFの値が小さくなるほど光量のコントラストが小さくなる。この場合、LEDアレイ53の発光点の配列において、隣接する発光点同士の間隔はレンズ素子57の直径よりも小さいものとする。そして、前記発光点からの光がレンズ素子57を通過して結像する結像面上においては、光量分布が発生する。該光量分布は、各発光点に対応する結像点において光量が最大となり、隣接する結像点の間において光量が最小となるようになっている。ここで、結像面上における光量の最大値をImax とし、最小値をImin とすると、MTFは、ある発光素子に注目したとき、
<MTF>=(Imax −Imin )/(Imax +Imin )×100〔%〕
と定義される。
【0095】
次に、図12に示されるようなインクジェット印刷装置91を用いて、レンズアレイ52に遮光パターンを形成する。この場合、記憶装置94に記録されたレンズアレイ52のレンズ素子57の位置データ及び各発光点のMTF値に基づいて、遮光パターンを形成する位置、遮光パターンの開口径、形状等を決定し、制御装置93によって搬送装置92を制御してインクジェット印刷装置91を搬送し、制御装置93によってインクジェット印刷装置91を制御して遮光パターンを形成する。
【0096】
なお、該遮光パターンを形成する方法は、インクジェット方式を用いた印刷方法に限定されるものではなく、ペンレコーダや熱転写方式を用いた印刷方法、電子写真方式を用いた印刷方法、インパクト・ドット方式を用いた印刷方法等であってもよい。
【0097】
次に、LEDアレイ53中の各発光点の光量補正を行う。なお、各LED発光素子の露光像における光量のばらつきは、前記第1の実施の形態と同様に計測される。なお、光量のばらつきを計測するために、図12に示されるようなCCDカメラ98、集光素子99、画像処理装置96等を用いることができる。そして、計測されたデータに基づいてLEDアレイ53の各LED発光素子が動作する発光時間を制御することによって、光量補正を行う。
【0098】
そして、前記第1の実施の形態と同様に、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶される。
【0099】
前述された光量補正の方法は、各LED発光素子を動作する電流量を調整することで、各LED発光素子の露光像の光量を均一にしてもよい。
【0100】
なお、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データを、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶する方法は、前述された方法に限定されるものではない。
【0101】
また、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13中に記憶装置を配設して記憶することもできる。
【0102】
次に、本実施の形態におけるLEDプリントヘッド13の動作について説明する。
【0103】
まず、図11(a)に示されるように、レンズアレイ52中のMTFが比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cにおいては、遮光パターン51の開口径はより小さくなっている。そのため、MTF不良のレンズ素子57cの外周部付近の遮光パターンに当たって遮られる部分が比較的多く、開口部を通過する光は、MTF不良のレンズ素子57cの中心部を透過した光に限られる。
【0104】
また、各レンズ素子57のMTFの違いによって、遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にはばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて発光点の発光時間を制御するので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となる。
【0105】
このように、本実施の形態においては、遮光部材51開口の中心位置とレンズアレイ52の各レンズ素子57の中心位置のずれをなくし、各レンズ素子57の外周部の光線のみを的確に遮光することができる。そのため、遮光部材51を配設することによる効果が十分得られるようになった。さらに、画像に筋や濃度ムラ等の不具合が発生することもなく良好な画像が得ることができる。
【0106】
また、レンズ素子57の材料特性のばらつき、形状ばらつき等のように、前記第1の実施の形態では改善することができなかった、レンズ素子57の倒れ不良以外のばらつきによる不具合を解消することができる。
【0107】
さらに、「背景技術」の項で説明した従来の露光装置においては、MTFが低下しているレンズ素子による露光像は不鮮明となり、印刷画像上では縦筋等の画像不良が発生していたが、本実施の形態においては、MTFが低下しているMTF不良のレンズ素子57cに対してより開口径の小さい遮光パターンを形成することによって、露光像の被写界深度を大きくし、より鮮明な露光像を形成することができるようになっている。すなわち、レンズ素子57による結像特性としてのMTFに応じて前記遮光部材51の形状又は位置が設定されている。なお、遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57のMTFの値が小さいほど、そのレンズ素子57からの光線を透過する開口部が小さいようになっている。そのため、MTFが低下している近辺での印刷画像上でも縦筋等の画像不良が発生しないようにすることができる。
【0108】
さらに、レンズ素子57のMTFの値によって、遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、発光点の発光時間を制御するので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となり、結果として印刷画像上は濃度ムラや筋のない、極めて高品位な画像を得ることができる。
【0109】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構成を有するものは、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0110】
図13は本発明の第3の実施の形態における画像形成装置に使用されるLEDプリントヘッドの構造を示す図である。
【0111】
ここで、遮光部材51は、光源の光を透過するガラス、樹脂等の部材に光源の光を遮光する黒色塗料等による遮光パターンを形成したものである。前記遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57の外周部をLEDアレイ53上のLED素子からの光線を遮光するように形成される。そして、遮光パターンは、レンズ素子57の中心(光軸)位置に開口が形成される。
【0112】
また、遮光パターンは、MTFの比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cに対して開口径が小さく形成され、MTFの値が小さいほど遮光パターンの開口径が小さくなるように形成される。
【0113】
本実施の形態においては、光源の光を透過する透明部材に遮光パターンを形成するようになっているが、光源の光を遮光する板材にエッチングや打ち抜き加工を施して開口を形成したり、型成形法によって開口を形成してもよい。
【0114】
また、本実施の形態における遮光部材51の遮光パターンは、各レンズ素子57の外周部を遮光する円形のパターンであるが、前記遮光パターンの形状は、この限りではなく、楕円形や矩形等でも同様の効果が得られる。また、一個又は複数のレンズ素子57全体を覆い光源からの光を遮光するパターンによっても同様の効果が得られる。
【0115】
さらに、本実施の形態における露光装置は、図13に示されるように、光源にLED素子を複数並列したLEDアレイ53を使用したものであるが、前記露光装置の構成はこの限りではなく、例えば、画像形成装置10の露光装置として一般に用いられている半導体レーザや蛍光灯、ハロゲンランプ等の露光源に液晶素子で構成されたシャッタを併用した露光装置であってもよい。
【0116】
さらに、本実施の形態におけるレンズアレイ52のレンズ素子57は、図7及び8に示されるように、円筒形状であり、中心軸から半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズであるが、前記レンズ素子57は、この限りではなく、断面形状が楕円形や矩形のものであってもよい。また、複数の球面レンズや非球面レンズを並列したレンズアレイ52を複数対向するように配置したレンズアレイ52を用いることもできる。
【0117】
次に、本実施の形態の遮光部材51の製造方法について説明する。
【0118】
図14は本発明の第3の実施の形態における露光装置に用いる遮光部材の製造装置の構成を示す図である。
【0119】
ここで、遮光部材51の製造装置は、図14に示されるように、露光装置としてのLEDプリントヘッド13に用いるレンズアレイ52におけるレンズ素子57の中心位置及びレンズ素子57の位置を測定するCCDカメラ119、該CCDカメラ119を搬送する搬送装置118、前記CCDカメラ119及び搬送装置118を制御する制御装置116、画像処理装置117、遮光部材51の遮光パターンを形成する光源111、集光素子112、遮光部材51及びレンズアレイ52を搬送する図示されない搬送装置、前記光源111を搬送する搬送装置113、前記光源111及び搬送装置113を制御する制御装置114、記憶装置115等から成る。なお、遮光部材51とそのパターン形成に用いたレンズアレイ52とは一対一に対応付けがなされ、後工程において、同一のLEDプリントヘッド13として組み立てられる。
【0120】
まず、CCDカメラ119を用いて、各レンズ素子57の位置を計測する。CCDカメラ119、レンズ素子57、レンズアレイ52等は、搬送装置118によってCCDカメラ119をレンズ素子57の配列方向へ平行に移動しながら、レンズアレイ52上を走査することができるように配置される。そして、搬送装置118によってCCDカメラ119をレンズ素子57の配列方向に移動させながら、CCDカメラ119によって画像を取り込む。得られた画像とCCDカメラ119の位置データとに基づいて、画像処理装置117は、各レンズ素子57の位置を計測し、測定したレンズアレイ52を特定するシリアルナンバとともに記憶装置115に格納して記録する。
【0121】
次に、遮光部材51上に遮光パターンを形成する方法について説明する。
【0122】
図14に示されるように、集光素子112によって光源111の光が集光される位置とレンズアレイ52の開口面との距離は、レンズアレイ52の焦点距離に等しく、遮光部材51とレンズアレイ52とは並行で、該遮光部材51とレンズアレイ52の開口面との距離は、レンズアレイ52の焦点距離に等しい。そして、光源111及び集光素子112は、搬送装置113によってレンズ素子57の配列方向に並行に搬送され、レンズアレイ52上を走査する。また、光源111はレンズ素子57の中心位置上に到達したときに発光し、光源111からの光は、集光素子112によって集光され、レンズアレイ52によって、遮光部材51上に結像して露光像を形成する。このとき、記憶装置115に記録されたシリアルナンバによって特定される個々のレンズアレイ52におけるレンズ素子57の位置データに基づいて、制御装置114は、搬送装置113を制御して光源111及び集光素子112を搬送するとともに、光源111の発光タイミングを制御する。
【0123】
そして、遮光部材51の遮光パターンの成形方法は、一般に公知のエッチングによる加工方法と同様である。すなわち、遮光部材51上には、あらかじめ感光材料が塗布されている。一方、溶媒は、未感光の感光材料を溶解せず、感光した感光材料は溶解するようになっている。そして、前述のように、レンズアレイ52を透過した光を遮光部材51上に露光して表層に塗布した感光材料を感光させた後、溶媒によって感光した感光材料を溶解し、遮光部材51上にレンズアレイ52を透過した露光像のネガ像を現像する。
【0124】
なお、遮光パターンを成形する方法は、このような方法に限定されるものではなく、遮光部材51上にレンズアレイ52を透過した露光像又は該露光像のネガ像を現像する方法であればいかなる方法であってもよい。
【0125】
さらに、遮光パターンが形成された遮光部材51とレンズアレイ52とを露光装置としてのLEDプリントヘッド13に組み込む。なお、LEDプリントヘッド13の構成は図13に示されるようになっている。遮光部材51とレンズアレイ52とをLEDプリントヘッド13に組み込むときの方向は、前述の遮光部材51の遮光パターンを形成する場合の方向と同様であり、図13に示されるように、レンズアレイ52と遮光部材51とを近接して配置する。このとき、該遮光部材51を配置する位置は、レンズアレイ52開口のLEDアレイ53側であってもよい。
【0126】
次に、該LEDアレイ53中の各発光点の光量補正を行う。なお、各LED発光素子の露光像における光量のばらつきの計測は、前記第1の実施の形態と同様に行うので、説明を省略する。
【0127】
さらに 前記第1の実施の形態と同様に、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶される。
【0128】
前述された光量補正の方法は、各LED発光素子を動作する電流量を調整することで、各LED発光素子の露光像の光量を均一にしてもよい。
【0129】
なお、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データを、そのLEDプリントヘッド13が取り付けられる画像形成装置10本体の記憶部42に記憶する方法は、前述された方法に限定されるものではない。
【0130】
また、個々のLEDプリントヘッド13とその発光点の光量ばらつきを補正するためのLEDプリントヘッド13の各発光点の制御データは、そのLEDプリントヘッド13中に記憶装置を配設して記憶することもできる。
【0131】
次に、本実施の形態におけるLEDプリントヘッド13の動作について説明する。
【0132】
前記第2の実施の形態における図11(a)に示される場合と同様に、レンズアレイ52中のMTFが比較的小さいMTF不良のレンズ素子57cにおいては、遮光パターン51の開口径はより小さくなっている。そのため、MTF不良のレンズ素子57cの外周部付近の遮光パターンに当たって遮られる部分が比較的多く、開口部を通過する光は、MTF不良のレンズ素子57cの中心部を透過した光に限られる。
【0133】
また、各レンズ素子57のMTFの違いによって、遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にはばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて発光点の発光時間を制御するので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となる。
【0134】
このように、本実施の形態においては、遮光部材51開口の中心位置とレンズアレイ52の各レンズ素子57の中心位置のずれをなくし、各レンズ素子57の外周部の光線のみを的確に遮光することができる。そのため、遮光部材51を配設することによる効果が十分得られるようになった。さらに、画像に筋や濃度ムラ等の不具合が発生することもなく良好な画像が得ることができる。
【0135】
また、レンズ素子57の材料特性のばらつきや形状ばらつきによる不具合を解消することができる。
【0136】
さらに、「背景技術」の項で説明した従来の露光装置においては、MTFが低下しているレンズ素子による露光像は不鮮明となり、印刷画像上では縦筋等の画像不良が発生していたが、本実施の形態においては、MTFが低下しているMTF不良のレンズ素子57cに対してより開口径の小さい遮光パターンを形成することによって、露光像の被写界深度を大きくし、より鮮明な露光像を形成することができるようになっている。すなわち、レンズ素子57による結像特性としてのMTFに応じて前記遮光部材51の形状又は位置が設定されている。なお、遮光部材51の遮光パターンは、レンズ素子57のMTFの値が小さいほど、そのレンズ素子57からの光線を透過する開口部が小さいようになっている。そのため、MTFが低下している近辺での印刷画像上でも縦筋等の画像不良が発生しないようにすることができる。
【0137】
さらに、レンズ素子57のMTFの値によって、遮光パターンの開口径が異なるので、LED発光素子の露光像について単位時間当りの光量にばらつきが発生するが、画像形成装置10本体の記憶部42に記憶された、露光像の光量ばらつきを補正するLED発光素子の制御データに基づいて、発光点の発光時間を制御するので、感光体11に照射される露光像の光量は均一となり、結果として印刷画像上は濃度ムラや筋のない、極めて高品位な画像を得ることができる。
【0138】
さらに、レンズアレイ52やレンズ素子57の特性測定にかかる手間が少なく、レンズ素子57のばらつきによる不具合を解消することができる。
【0139】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の第1の実施の形態における遮光パターン形成装置の構成を示す図である。
【図2】従来のコマ収差による焦点ボケを説明する図である。
【図3】従来のレンズアレイを示す切り欠き斜視図である。
【図4】従来のレンズアレイにおける発光点と各レンズ素子による露光像の光量分布との関係について模式的に示した図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置本体の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御ブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置に使用されるLEDプリントヘッドの構造を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における遮光部材の遮光パターンの構成を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における光軸傾き測定機の構成と測定原理を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における光量ばらつき測定機の構成を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における遮光部材の遮光パターンの構成を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における遮光パターン形成装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態における画像形成装置に使用されるLEDプリントヘッドの構造を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態における露光装置に用いる遮光部材の製造装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0141】
10 画像形成装置
11 感光体
13 LEDプリントヘッド
51 遮光部材
52 レンズアレイ
53 LEDアレイ
57、57a、57c レンズ素子
76、111 光源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)光源からの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、
(b)各レンズ素子による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されていることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記結像特性は結像位置ずれであり、前記遮光部材の遮光パターンは、各レンズ素子の結像位置ずれの値に応じて相違する請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記遮光部材の遮光パターンは、前記レンズ素子の結像位置ずれの値が大きいほど、前記レンズ素子からの光線を透過する開口部を小さくする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記結像特性はMTFであり、前記遮光部材の遮光パターンは、各レンズ素子のMTFの値に応じて相違する請求項1に記載の露光装置。
【請求項5】
前記遮光部材の遮光パターンは、前記レンズ素子のMTFの値が小さいほど、前記レンズ素子からの光線を透過する開口部を小さくする請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記遮光部材を配設した後に露光像における各画素の光量ばらつきが補正される請求項1〜5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
(a)光源からの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、
(b)各レンズ素子の位置ずれに応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されていることを特徴とする露光装置。
【請求項8】
(a)LEDアレイからの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部をLEDアレイからの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられるLEDプリントヘッドであって、
(b)各レンズ素子による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されていることを特徴とするLEDプリントヘッド。
【請求項9】
(a)LEDアレイからの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部をLEDアレイからの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられるLEDプリントヘッドであって、
(b)各レンズ素子の位置ずれに応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されていることを特徴とするLEDプリントヘッド。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の露光装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8又は9に記載のLEDプリントヘッドを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
(a)光源からの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、
(b)各レンズ素子による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されていることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記結像特性は結像位置ずれであり、前記遮光部材の遮光パターンは、各レンズ素子の結像位置ずれの値に応じて相違する請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記遮光部材の遮光パターンは、前記レンズ素子の結像位置ずれの値が大きいほど、前記レンズ素子からの光線を透過する開口部を小さくする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記結像特性はMTFであり、前記遮光部材の遮光パターンは、各レンズ素子のMTFの値に応じて相違する請求項1に記載の露光装置。
【請求項5】
前記遮光部材の遮光パターンは、前記レンズ素子のMTFの値が小さいほど、前記レンズ素子からの光線を透過する開口部を小さくする請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記遮光部材を配設した後に露光像における各画素の光量ばらつきが補正される請求項1〜5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
(a)光源からの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部を光源からの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられる露光装置であって、
(b)各レンズ素子の位置ずれに応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されていることを特徴とする露光装置。
【請求項8】
(a)LEDアレイからの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部をLEDアレイからの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられるLEDプリントヘッドであって、
(b)各レンズ素子による結像特性に応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されていることを特徴とするLEDプリントヘッド。
【請求項9】
(a)LEDアレイからの光を感光体に集光するレンズ素子を複数備えるレンズアレイと、各レンズ素子の光軸方向に対する外周部の少なくとも一部をLEDアレイからの光から遮断する遮光部材とを有し、電子写真方式による画像形成装置に用いられるLEDプリントヘッドであって、
(b)各レンズ素子の位置ずれに応じて前記遮光部材の形状又は位置が設定されていることを特徴とするLEDプリントヘッド。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の露光装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8又は9に記載のLEDプリントヘッドを有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−15503(P2006−15503A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192807(P2004−192807)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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