説明

青果物搬送装置

【課題】等級格付けに関する目視判定結果をデータ化する形式の青果物搬送装置でありながら、装置全体を小型化・コンパクト化すると共に、作業者の作業負担を低減して作業能率の向上を図る。
【解決手段】青果物搬送装置1は、青果物Ma、Mbを載せる搬送パンPの複数個を一列に並べて搬送する1条の搬送ライン2に、その搬送方向に沿って並ぶように区画された複数の青果物供給部4を設けている。各青果物供給部4には、各青果物Ma、Mbの目視判定結果を音声にて入力するための音声入力手段11a、11bを配置する。更に、各音声入力手段11a、11bを介して入力された目視判定結果をデータ化して各青果物Ma、Mbを管理する管理手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、搬送パンに載置された果実や野菜等の青果物を搬送しながら選別・仕分・包装する青果物選別設備に使用されるのに好適な青果物搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の青果物搬送装置の一例として、1条の搬送コンベヤにて等級(色や傷等の品質による区分)の異なる青果物群を混在させて搬送する一条多等級搬送方式のものが知られている(例えば特許文献1及び2等参照)。
【0003】
かかる方式を採用した青果物搬送装置では、搬送コンベヤの横幅寸法が青果物を載せる搬送パンを3〜4個ほど横幅方向に並べて載置し得るような広幅に設定される。青果物の等級判定をする際は、搬送コンベヤにて搬送される各搬送パン上の青果物の外観から、作業者が色、傷、変形等の品質を目視判定して、各青果物の等級(秀、優等)を格付けする。そして、作業者は、格付け後の青果物が載る搬送パンの搬送コンベヤに対する載置位置を、格付け結果(目視判定結果)に応じて搬送コンベヤの横幅方向にずらす。次いで、搬送コンベヤのうち作業者の居る判定箇所より下流側に配置されたパン位置検出器にて搬送パンの載置位置を検出し、当該検出結果から、搬送パン上の青果物の等級をコントローラにて判別する。この等級データは、搬送パンを特定するデータと併せて、コントローラに記憶される。パン位置検出器の箇所を通過した各搬送パンは、搬送コンベヤにて仕分等の次工程に搬送される。前述の等級データは荷口単位(すなわち生産者別)で集計され、対価決裁に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−322778号公報
【特許文献2】特開平11−90351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の構成では、青果物の等級数が多いもの(例えばリンゴやメロン等)ほど、前記等級数に応じて広幅な搬送コンベヤを用いなければならない。換言すると、格付け対象の青果物の等級数によって搬送コンベヤの横幅寸法が決まることになる。従って、多等級に対応可能な搬送コンベヤほど設備が大型化し、コストアップを招来するという問題があった。また、多等級に対応可能な搬送コンベヤほど横幅寸法が広くなるため、例えば、背の低い作業者が格付け結果(目視判定結果)に応じた位置ずらし作業をし難くなる場合があり、作業能率の低下を招くという問題もあった。
【0006】
ところで一般に、1条の搬送コンベヤにおいて目視判定する箇所は1箇所だけであり、当該箇所では、1又は複数人の作業者が荷口単位(すなわち生産者別)で等級格付け作業を行っている。このため、前記従来の構成において、処理能力向上の目的で複数の荷口を同時並行して等級格付けするには、搬送コンベヤ数を増やすしかなく、導入コストが嵩むと共に設置スペースも広くとらざるを得ないという問題があった。
【0007】
そこで、本願発明は以上の問題点を解消した青果物搬送装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この技術的課題を解決するため、請求項1の発明に係る青果物搬送装置は、青果物を載せる搬送パンの複数個を一列に並べて搬送する1条の搬送ラインに、その搬送方向に沿って並ぶように区画された複数の青果物供給部が設けられており、前記各青果物供給部には、前記各青果物の目視判定結果を音声にて入力するための音声入力手段が配置されている一方、前記各音声入力手段を介して入力された目視判定結果をデータ化して前記各青果物を管理する管理手段を備えているというものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載した青果物搬送装置において、前記各青果物供給部には、前記音声入力手段を介して入力された目視判定結果を表示する表示手段が配置されているというものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した青果物搬送装置において、前記各青果物供給部には、前記音声入力手段を介して入力された目視判定結果をリセットするためのリセット操作手段が配置されているというものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した青果物搬送装置において、前記各青果物供給部には、荷口単位での供給終了を入力するための荷口終了入力手段が配置されているというものである。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の青果物搬送装置によると、青果物を載せる搬送パンの複数個を一列に並べて搬送する1条の搬送ラインに、その搬送方向に沿って並ぶように区画された複数の青果物供給部が設けられており、前記各青果物供給部には、前記各青果物の目視判定結果を音声にて入力するための音声入力手段が配置されている一方、前記各音声入力手段を介して入力された目視判定結果をデータ化して前記各青果物を管理する管理手段を備えているから、例えばリンゴやメロンといった等級数の多いものを格付けして供給する場合であっても、前記搬送パンを1個載置する程度の横幅寸法の前記搬送コンベヤが1条あれば済むことになる。従って、等級格付けに関する目視判定結果をデータ化する形式の青果物搬送装置でありながら、装置全体を小型化・コンパクト化でき、コストダウンに貢献するという効果を奏する。
【0013】
また、前記青果物搬送装置を用いて等級格付け兼青果物供給作業をする場合、作業者は目視判定結果を音声入力して、当該音声入力に対応した青果物を前記搬送コンベヤ上の空の搬送パンに載せればよい。従って、従来のような格付け後の位置ずらし作業が不要であり、作業者の作業負担を低減できると共に、作業能率の向上も図れるという効果を奏する。
【0014】
更に、前記青果物搬送装置では前記複数の青果物供給部が設けられているので、最大で前記青果物供給部の数だけの荷口に対して、同時並行的に等級格付け兼青果物供給作業を実行できることになる。従って、等級格付けに関する目視判定結果をデータ化する形式の青果物搬送装置でありながら、前記搬送コンベヤ数を増やすことなく、荷口処理能力を向上できるという効果を奏する。また、荷口切り換えの時間ロスを少なくできるというメリットもある。
【0015】
請求項2の発明によると、請求項1に記載した青果物搬送装置において、前記各青果物供給部には、前記音声入力手段を介して入力された目視判定結果を表示する表示手段が配置されているから、前記入力された目視判定結果を前記表示手段の表示から確認でき、目視判定結果の誤入力を抑制できるという効果を奏する。
【0016】
請求項3の発明によると、請求項1又は2に記載した青果物搬送装置において、前記各青果物供給部には、前記音声入力手段を介して入力された目視判定結果をリセットするためのリセット操作手段が配置されているから、前記リセット操作手段の操作によって、誤入力した目視判定結果を訂正することになる。かかるリセット作業が音声入力に依らないので、作業者は通常の目視判定結果の音声入力作業とリセット作業とを区別して把握し易く、相互の誤操作のおそれを格段に少なくできるという効果を奏する。
【0017】
請求項4の発明によると、請求項1〜3のうちいずれかに記載した青果物搬送装置において、前記各青果物供給部には、荷口単位での供給終了を入力するための荷口終了入力手段が配置されているから、前記荷口終了入力手段の操作によって、荷口単位での供給終了を前記管理手段に指令することになる。かかる荷口終了入力作業が音声入力に依らないので、作業者は通常の目視判定結果の音声入力作業と荷口終了入力作業とを区別して把握し易く、前記リセット操作手段と同様に、相互の誤操作のおそれを格段に少なくできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】青果物搬送装置の概略平面図である。
【図2】青果物搬送装置の機能ブロック図である。
【図3】第1青果物供給部での制御処理のフローチャートである。
【図4】第2青果物供給部での制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図4)に基づいて説明する。
【0020】
(1).青果物搬送装置の概要
はじめに、図1を参照しながら、青果物搬送装置1の概要について説明する。図1に示す青果物搬送装置1は、リンゴやメロンといった青果物Mを載せる搬送パンPの複数個を一列に並べて搬送する搬送ラインとしての1条の搬送コンベヤ2を備えている。搬送コンベヤ2の上流側には、空の搬送パンPを送り出す繰り出し装置3が配置されている。繰り出し装置3によって、空の搬送パンPが搬送コンベヤ2上に所定のピッチ間隔Dにて間欠的に送り出される。搬送コンベヤ2上では、複数個の搬送パンPが所定のピッチ間隔Dにて一列に並んで上流側から下流側に向けて搬送される。なお、図1に示す青果物搬送装置1では、紙面左側から右側に向かう矢印X方向が搬送パンPの搬送方向に設定されている。実施形態における搬送コンベヤ2のライン速度は、ピッチ間隔Dにて並ぶ搬送パンPが任意の基準点を毎秒3個通過する程度に設定されている。
【0021】
搬送コンベヤ2には、その搬送方向Xに沿って並ぶように区画された複数箇所の青果物供給部4(実施形態では2箇所)が設けられている。実施形態では、青果物供給部4毎に1人の作業者Hが配備される。各青果物供給部4の担当作業者Hは、搬送コンベヤ2により所定のピッチ間隔Dで一列に並べて搬送される空の搬送パンPに、等級格付けを目視にて行いながら青果物Mを手で1個ずつ載置する。つまり、各青果物供給部4の担当作業者Hは、等級格付け(目視判定)作業と青果物供給作業とを併せて行う(詳細は後述する)。また、等級格付け兼青果物供給作業は、各青果物供給部4において荷口単位(すなわち生産者別)で行われる。
【0022】
なお、以下の説明及び図面では便宜上、複数箇所の青果物供給部4のうち最上流側に位置したものから下流側への並び順に、第1青果物供給部、第2青果物供給部と称し、各符号には並び順に対応したアルファベットを付す場合がある(例えば第1青果物供給部の符号は4a、第2青果物供給部の符号は4b等)。また、各青果物供給部4に対応した担当作業者Hや、後述するヘッドセット11等にも、青果物供給部4の符号に付されたアルファベットと同じものを付す場合がある(第1青果物供給部4aの担当作業者の符号はHa等)。
【0023】
搬送コンベヤ2のうち最下流の第2青果物供給部4bより下流側には判定装置5が設けられている。判定装置5には、青果物Mの階級(大きさ)を計測する階級計測手段としての撮像カメラ6を備えている。撮像カメラ6による各青果物Mの撮像データに基づいて、管理手段の一例であるコントローラ10(詳細は後述する)が各青果物Mの階級を判別し記憶するように構成されている。搬送コンベヤ2のうち判定部5より更に下流側には選果装置(図示省略)が設けられている。詳細は省略するが、選果装置では、各青果物供給部4での等級格付け結果(目視判定結果)と撮像データによる階級判定結果とに基づいて、青果物Mが等級及び階級毎に選別して仕分けされる。
【0024】
(2).各青果物供給部での等級格付けのための構成
次に、各青果物供給部4での等級格付けのための構成について説明する。青果物搬送装置1は、青果物Mの等級格付け結果(目視判定結果)を音声にて入力する音声入力手段としてのヘッドセット11と、ヘッドセット11を介して入力された等級格付け結果をデータ化して各青果物Mを管理する管理手段としてのコントローラ10とを備えている。ヘッドセット11は青果物供給部4毎に配置されていて、各青果物供給部4における担当作業者Hの頭部に装着して使用されるものである。ヘッドセット11は、作業者の音声を電気信号に変換してコントローラ10に入力するマイクロホン部12と、コントローラ10から出力された電気信号を音声に変換して出力するイヤホン部13とを備えている。
【0025】
管理手段としてのコントローラ10は、各青果物供給部4における青果物Mの等級格付け結果(目視判定結果)をデータ化して管理するためのものであり、例えば搬送コンベヤ2の近傍に配置される制御ボックス(図示省略)に収容されている。コントローラ10は、各種演算を実行するCPU14のほか、制御プログラム等を記憶させる記憶手段15(EEPROMやフラッシュメモリ等)、各種データを一時的に記憶させるRAM16、計時用のタイマー17、入出力インターフェイス(図示省略)等を備えている。コントローラ10は更に、各ヘッドセット11のマイクロホン部12より入力された音声からその内容を認識してデータ化するための音声認識部18と、各ヘッドセット11のイヤホン部13に出力する内容を音声信号に変換するための音声合成部19とを備えている。
【0026】
コントローラ10には、前述した各ヘッドセット11のマイクロホン部12及びイヤホン部13や、撮像カメラ6以外に、各イヤホン部13に出力する内容と同じ情報を表示する表示手段としてのディスプレイ21、各マイクロホン部21を介して入力された情報(音声認識部18にてデータ化された情報)をリセットするリセット操作手段としてのリセットボタン22、荷口単位での供給終了を入力する荷口終了入力手段としての荷口終了ボタン23、各青果物供給部4の下流側に配置された青果物検出センサ24、搬送コンベヤ2のライン速度を検出するロータリエンコーダ等の速度検出センサ25、並びに、搬送コンベヤ2の駆動スプロケットを駆動させるアクチュエータ(図示省略)等がそれぞれ電気的に接続されている。
【0027】
各ヘッドセット11のマイクロホン部12はコントローラ10の音声認識部18に電気的に接続されている。各ヘッドセット11のイヤホン部13はコントローラ10の音声合成部19に電気的に接続されている。ディスプレイ21、リセットボタン22及び荷口終了ボタン23は、ヘッドセット11と同様に、青果物供給部4毎に配置されている。速度検出センサ25は搬送コンベヤ2の駆動スプロケット(図示省略)に関連して設けられている。
【0028】
青果物検出センサ24は、各青果物供給部4から隣の青果物供給部4又は判定装置5へ移動する途次の搬送パンP上に青果物Mがあるか否かを検出するものである。青果物検出センサ24としては、例えば光(赤外線)、超音波又は静電容量型等の近接センサを採用できる。ここで、第2青果物検出センサ24bにて検出される青果物Mは、第2青果物供給部4bで供給されたものだけでなく、それより上流側の第1青果物供給部4aで供給されたものも存在する。しかし、第1青果物供給部4aで供給された青果物M(以下、第1青果物Maという場合がある)が下流側の第2青果物検出センサ24bを通過するタイミングは、搬送コンベヤ2のライン速度と、第1青果物検出センサ24aから第2青果物検出センサ24bまでの距離とから算出できる。
【0029】
このため、コントローラ10においては、前記算出結果のタイミングで第1青果物Maが第2青果物検出センサ24bを通過した場合の検出結果を除外した上で、第2青果物供給部4bで供給された青果物M(以下、第2青果物Mbという場合がある)が第2青果物検出センサ24bを通過した場合の検出結果だけを、これに対応する等級格付け結果の情報と関連付けることが可能になっている。
【0030】
実施形態では、各青果物供給部4において、担当作業者Hが荷口のコンテナ30から取り出した青果物Mの外観から色、傷、変形等の品質を目視判定して、青果物Mの等級(例えば秀、優、良の3等級)を格付けし、等級格付け結果をヘッドセット11のマイクロホン部12に音声入力する(等級格付け作業)。その後、格付け後の青果物Mを搬送コンベヤ2上の空の搬送パンPに載置する(青果物供給作業)。コントローラ10は、各青果物供給部4における音声入力での等級格付け結果を記憶し、これに対応する青果物検出センサ24の検出結果と、撮像カメラ6による各青果物Mの撮像データとを併せて関連付け、青果物M毎のデータとして、荷口単位での集計や選果装置6での処理に利用するように構成されている。
【0031】
(3).等級格付け兼青果物供給制御
次に、図3及び図4を参照しながら、各青果物供給部4での等級格付け兼青果物供給制御の一例について説明する。図3のフローチャートは第1青果物供給部4aでの制御例であり、図4のフローチャートは第2青果物供給部4bでの制御例である。実施形態のコントローラ10は、各青果物供給部4での制御処理を同時並列的に実行する。
【0032】
始めに、第1青果物供給部4aでの制御例を説明する。スタートに続いて、担当作業者Haは、荷口特定のために、ヘッドセット11aを介して生産者名又は生産者コード(以下、荷口情報という)を音声入力する(S1)。ヘッドセット11aを介して入力された荷口情報は音声認識部18にて認識されデータ化される(S2)。データ化された荷口情報はディスプレイ21aに表示されると共に(S3)、音声合成部19にて音声信号に変換されヘッドセット11aに音声出力する(S4)。
【0033】
次いで、リセットボタン22aが押し操作されたか否かを判別する(S5)。リセットボタン22aが押し操作された場合は(S5:YES)、ディスプレイ21aの表示及びヘッドセット11aへの音声出力の少なくとも一方が間違っているから(担当作業者Haの意思と異なっているから)、ステップS2にてデータ化された荷口情報をリセットし(S6)、ステップS1に戻る。
【0034】
リセットボタン22aが押し操作されなければ(S5:NO)、その後、担当作業者Haが、ヘッドセット11aを介して、荷口のコンテナ30aから取り出した第1青果物Maの等級格付け結果を音声入力する(S7)。ヘッドセット11aを介して入力された等級格付け結果の音声は音声認識部18にて認識されデータ化される(S8)。データ化された等級格付け結果の情報はディスプレイ21aに表示されると共に(S9)、音声合成部19にて音声信号に変換されヘッドセット11aに音声出力する(S10)。
【0035】
次いで、リセットボタン22aが押し操作されたか否かを判別する(S11)。リセットボタン22aが押し操作された場合は(S11:YES)、ディスプレイ21aの表示及びヘッドセット11aへの音声出力の少なくとも一方が間違っているから(担当作業者Haの意思と異なっているから)、ステップS8にてデータ化された等級格付け結果の情報をリセットし(S12)、ステップS7に戻る。
【0036】
リセットボタン22aが押し操作されなければ(S11:NO)、担当作業者Haは等級格付け結果を音声入力した第1青果物Maを、搬送コンベヤ2上の空の搬送パンPに載置しているから、次いで、第1青果物検出センサ24aが第1青果物Maの到来を検出したか否かを判別する(S13)。第1青果物Maの到来を検出すれば(S13:YES)、第1青果物Maの搬送時間Taのカウントを開始すると共に、搬送時間Taと、ステップS8にてデータ化された等級格付け結果の情報とを関連付けて記憶する(S14)。
【0037】
次いで、搬送時間Taのカウント開始のタイミングと、搬送コンベヤ2のライン速度と、第1青果物検出センサ24aから第2青果物検出センサ24bまでの距離とから、第1青果物Maが第2青果物検出センサ24bを通過する予測時間tabを算出する(S15)。これは第1青果物Maの通過による第2青果物検出センサ24bの検出結果を除外するための判断基準となるものである。なお、予測時間tabが経過してしまえば、当該予測時間tabのデータはクリアされる設定になっている。
【0038】
同様にして、搬送時間Taのカウント開始のタイミングと、搬送コンベヤ2のライン速度と、第1青果物検出センサ24aから判定装置5までの距離とから、第1青果物Maが判定装置5に到着する予測時間tajを算出する(S16)。これは、ステップS8にてデータ化された等級格付け結果の情報と、撮像カメラ6による第1青果物Maの撮像データとを関連付けるための判断基準となるものである。
【0039】
その後、荷口終了ボタン23aが押し操作されたか否かを判別する(S17)。荷口終了ボタン23aが押し操作された場合は(S17:YES)、1荷口分の等級格付け兼青果物供給作業が終わったことを意味するから、コントローラ10は、記憶された等級格付け結果の情報の全てを集計し、荷口単位のデータとして格納したのち(S18)、ステップS1に戻る。荷口終了ボタン23aが押し操作されなければ(S17:NO)、ステップS7に戻る。
【0040】
次に、第2青果物供給部4bでの制御例を説明する。この場合、図4に示すステップT1〜T11の流れは、第1青果物供給部4aにおけるステップS1〜S11の流れ(図3参照)と変わらないので、ステップT11以降の流れについて説明する。リセットボタン22bが押し操作された場合は(T11:YES)、ステップT8にてデータ化された等級格付け結果の情報をリセットし(T12)、ステップT7に戻る。リセットボタン22bが押し操作されなければ(T11:NO)、担当作業者Haは等級格付け結果を音声入力した第2青果物Mbを、搬送コンベヤ2上の空の搬送パンPに載置しているから、次いで、第2青果物検出センサ24bが青果物Mの到来を検出したか否かを判別する(T13)。
【0041】
青果物Mの到来を検出すれば(T13:YES)、当該青果物Mを検出した時間TがステップS15にて得られた予測時間tabと合致するか否かを判別する(T14)。合致していれば(T14:YES)、前記青果物Mは第1青果物供給部4aで供給された第1青果物Maであるから、そのまま除外してステップT11に戻る。合致していなければ(T14:NO)、前記青果物Mは第2青果物供給部4bで初めて供給された第2青果物Mbであるから、第2青果物Mbの搬送時間Tbのカウントを開始すると共に、搬送時間Tbと、ステップT8にてデータ化された等級格付け結果の情報とを関連付けて記憶する(T15)。
【0042】
次いで、搬送時間Tbのカウント開始のタイミングと、搬送コンベヤ2のライン速度と、第2青果物検出センサ24bから判定装置5までの距離とから、第2青果物Mbが判定装置5に到着する予測時間tbjを算出する(T16)。これは、ステップT8にてデータ化された等級格付け結果の情報と、撮像カメラ6による第2青果物Mbの撮像データとを関連付けるための判断基準となるものである。
【0043】
その後、荷口終了ボタン23bが押し操作されたか否かを判別し(T17)、荷口終了ボタン23bが押し操作されれば(T17:YES)、1荷口分の等級格付け兼青果物供給作業が終わったことを意味するから、コントローラ10は、記憶された等級格付け結果の情報の全てを集計し、荷口単位のデータとして格納したのち(T18)、ステップT1に戻る。荷口終了ボタン23bが押し操作されなければ(T17:NO)、ステップT7に戻る。
【0044】
なお、詳細は省略するが、等級格付け兼青果物供給作業の後工程では、第1青果物Maが判定装置5の位置に到着したときに、撮像カメラ6にて第1青果物Maを撮像し、当該撮像データから第1青果物Maの階級を計測する。そして、第1青果物Maの判定装置5までの搬送時間Taが判定装置5への予測時間tajと合致していることを確認した上で、ステップS8にてデータ化された等級格付け結果の情報と、撮像カメラ6による第1青果物Maの撮像データとを関連付けて記憶し、後の選果装置6での選別・仕分け処理に利用される。
【0045】
また同様に、第2青果物Mbが判定装置5の位置に到着したときに、撮像カメラ6にて第2青果物Mbを撮像し、当該撮像データから第2青果物Mbの階級を計測する。そして、第2青果物Mbの判定装置5までの搬送時間Tbが判定装置5への予測時間tbjと合致していることを確認した上で、ステップT8にてデータ化された等級格付け結果の情報と、撮像カメラ6による第2青果物Mbの撮像データとを関連付けて記憶し、後の選果装置6での選別・仕分け処理に利用されるのである。
【0046】
(4).まとめ
上記の記載並びに図1〜図4から明らかなように、本願発明の青果物搬送装置1は、青果物Mを載せる搬送パンPの複数個を一列に並べて搬送する1条の搬送ライン2に、その搬送方向に沿って並ぶように区画された複数の青果物供給部4が設けられており、前記各青果物供給部4には、前記各青果物Mの目視判定結果を音声にて入力するための音声入力手段11が配置されている一方、前記各音声入力手段11を介して入力された目視判定結果をデータ化して前記各青果物Mを管理する管理手段10を備えているから、例えばリンゴやメロンといった等級数の多いものを格付けして供給する場合であっても、搬送パンPを1個載置する程度の横幅寸法の搬送コンベヤ2が1条あれば済むことになる。従って、等級格付けに関する目視判定結果をデータ化する形式の青果物搬送装置1でありながら、装置全体を小型化・コンパクト化でき、コストダウンに貢献するという効果を奏する。
【0047】
また、本願発明の青果物搬送装置1を用いて等級格付け兼青果物供給作業をする場合、作業者Hは目視判定結果を音声入力して、当該音声入力に対応した青果物Mを搬送コンベヤ2上の空の搬送パンPに載せればよい。従って、従来のような格付け後の位置ずらし作業が不要であり、作業者Hの作業負担を低減できると共に、作業能率の向上も図れるという効果を奏する。
【0048】
更に、本願発明の青果物搬送装置1では複数の青果物供給部4が設けられているので、最大で青果物供給部4の数だけの荷口に対して、同時並行的に等級格付け兼青果物供給作業を実行できることになる。従って、等級格付けに関する目視判定結果をデータ化する形式の青果物搬送装置1でありながら、搬送コンベヤ2数を増やすことなく、荷口処理能力を向上できるという効果を奏する。また、荷口切り換えの時間ロスを少なくできるというメリットもある。
【0049】
上記の記載並びに図1〜図4から明らかなように、前記各青果物供給部4には、前記音声入力手段11を介して入力された目視判定結果を表示する表示手段21が配置されているから、前記入力された目視判定結果を前記表示手段21の表示から確認でき、目視判定結果の誤入力を抑制できるという効果を奏する。
【0050】
上記の記載並びに図1〜図4から明らかなように、前記各青果物供給部4には、前記音声入力手段11を介して入力された目視判定結果をリセットするためのリセット操作手段22が配置されているから、前記リセット操作手段22の操作によって、誤入力した目視判定結果を訂正することになる。かかるリセット作業が音声入力に依らないので、作業者Hは通常の目視判定結果の音声入力作業とリセット作業とを区別して把握し易く、相互の誤操作のおそれを格段に少なくできるという効果を奏する。
【0051】
上記の記載並びに図1〜図4から明らかなように、前記各青果物供給部4には、荷口単位での供給終了を入力するための荷口終了入力手段23が配置されているから、前記荷口終了入力手段23の操作によって、荷口単位での供給終了を前記管理手段10に指令することになる。かかる荷口終了入力作業が音声入力に依らないので、作業者Hは通常の目視判定結果の音声入力作業と荷口終了入力作業とを区別して把握し易く、前記リセット操作手段22と同様に、相互の誤操作のおそれを格段に少なくできるという効果を奏する。
【0052】
(5).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば青果物供給部4は3箇所以上であってもよい。また、判定装置5を省略して青果物Mの階級を音声入力したり、リセットボタン22を省略してリセット指示を音声入力したり、荷口終了ボタン23を省略して荷口終了指示を音声入力したりすることも可能である。搬送コンベヤ2の構造としては、ベルト式やローラ式等の様々な方式のものを採用できる。判定装置5は、撮像カメラ6のような画像計測タイプのものに限らず、重量測定タイプのものでも構わない。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
H 作業者
M 青果物
P 搬送パン
1 青果物搬送装置
2 搬送コンベヤ
4 青果物供給部
10 コントローラ(管理手段)
11 ヘッドセット(音声入力手段)
18 音声認識部
19 音声合成部
21 ディスプレイ(表示手段)
22 リセットボタン(リセット操作手段)
23 荷口終了ボタン(荷口終了入力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を載せる搬送パンの複数個を一列に並べて搬送する1条の搬送ラインに、その搬送方向に沿って並ぶように区画された複数の青果物供給部が設けられており、前記各青果物供給部には、前記各青果物の目視判定結果を音声にて入力するための音声入力手段が配置されている一方、前記各音声入力手段を介して入力された目視判定結果をデータ化して前記各青果物を管理する管理手段を備えている、
青果物搬送装置。
【請求項2】
前記各青果物供給部には、前記音声入力手段を介して入力された目視判定結果を表示する表示手段が配置されている、
請求項1に記載した青果物搬送装置。
【請求項3】
前記各青果物供給部には、前記音声入力手段を介して入力された目視判定結果をリセットするためのリセット操作手段が配置されている、
請求項1又は2に記載した青果物搬送装置。
【請求項4】
前記各青果物供給部には、荷口単位での供給終了を入力するための荷口終了入力手段が配置されている、
請求項1〜3のうちいずれかに記載した青果物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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