静止誘導電器巻線
【課題】形状の複雑な内側及び外側閉塞板を使わずに、かつ、使った場合と同様な冷却効果を得られる巻線冷却構造を提供する。
【解決手段】冷媒を効率よく通すために、内側及び外側絶縁筒1,2の間に素線導体が巻回してなる円板巻線3を同軸状に配置して垂直方向に複数段積重ねる。この上下に隣接する円板巻線3の間に複数の水平間隔片4を放射状に等間隔で配置し、複数の扇状の水平冷却路5を放射状に形成する。内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には複数の垂直間隔片6、7が前記水平間隔片の内外周上に合わせて配置され、周方向に複数の内側垂直冷却路8と外側垂直冷却路9を形成する。これにより、複数の水平冷却路を連通する内側及び外側垂直冷却路8,9の冷却区間が周方向に複数形成する。
【解決手段】冷媒を効率よく通すために、内側及び外側絶縁筒1,2の間に素線導体が巻回してなる円板巻線3を同軸状に配置して垂直方向に複数段積重ねる。この上下に隣接する円板巻線3の間に複数の水平間隔片4を放射状に等間隔で配置し、複数の扇状の水平冷却路5を放射状に形成する。内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には複数の垂直間隔片6、7が前記水平間隔片の内外周上に合わせて配置され、周方向に複数の内側垂直冷却路8と外側垂直冷却路9を形成する。これにより、複数の水平冷却路を連通する内側及び外側垂直冷却路8,9の冷却区間が周方向に複数形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
変圧器やリアクトルなどの静止誘導電器に使用される巻線は、運転時における発熱量が大きい。このため、巻線周辺に冷却路を形成し、この冷却路にSF6ガスなどの気体冷媒や、絶縁油、パーフロロカーボンなどの液体冷媒を流して巻線の冷却を行っている。また、最近では環境低負荷を考慮してN2ガス、CO2ガス、空気、CF2Iガスなどの温暖化係数の小さい気体冷媒や、天然エステル油あるいは難燃性を考慮してシリコン油など、様々な冷媒も使われ始めている。
【背景技術】
【0002】
具体的な巻線冷却構造としては、図10〜図12に示すものが一般的である。図10は変圧器の巻線の平面図、図11は図10のX−X断面図及びY−Y断面図、図12は別な巻線構成のY−Y断面図である。
【0003】
図10と図11では、内側及び外側絶縁筒1,2の間に素線導体を巻回してなる円板巻線3が同軸状に配置されており、これが垂直方向に複数段積重ねられている。上下に隣接する円板巻線3の間には複数の水平間隔片4が放射状に等間隔で配置されており、これにより複数の扇状の水平冷却路5が放射状に形成される。
【0004】
内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には複数の垂直間隔片6,7が前記水平間隔片の内外周上に合わせて配置され、周方向に複数の内側垂直冷却路8と外側垂直冷却路9が形成される。すなわち、複数の水平冷却路5を連通する内側及び外側垂直冷却路8,9の冷却区間が巻線の周方向に複数形成される。
【0005】
このような冷却構造において、前述の気体冷媒や液体冷媒を内側及び外側垂直冷却路8,9の下部から流入させ、円板巻線3を冷却する。しかし、この構造では水平冷却路5に冷媒が流れにくいため、水平冷却路5における冷却性能が悪い欠点がある。したがって、この構造の適用は、円板巻線3の幅が狭く水平冷却路5が短い場合か、発熱量が少ない場合、あるいは冷却性能の良い液体冷媒の使用時に限られる。
【0006】
円板巻線3の幅が長い場合や発熱量が多い場合は、図12に示す構造が一般的である。この構成は、円板巻線3の複数段毎に内側閉塞板10と外側閉塞板11を交互に、かつ、全周に亘って設置している。このようにすることで、垂直冷却路の冷媒が水平冷却路5に流れ込み、円板巻線3の複数段毎に内側から外側へ、外側から内側へとジグザグに流れることになり、表面積の大きい水平冷却路5の冷却性能を向上させることが可能となる。
【0007】
しかし、この構造の欠点は、流れの抵抗である圧力損失が増大することと、図12の中の矢印で示したように閉塞板10,11の上部の流速が遅くなり、局所的に巻線温度が上昇することである。
【0008】
このため、圧力損失の低減や水平冷却路の流速を均一にする研究がなされており、水平間隔片の数を調整する(特許文献1)、垂直冷却路内に流れを制御する突起などを設置する(特許文献2〜4)、水平冷却路から垂直冷却路へ分流板を張り出して流れを制御する(特許文献5〜8)、周方向の閉塞板位置を上下にずらす(特許文献9)、閉塞板の形状を工夫する(特許文献10)などの公知例がみられる。しかし、これらのほとんどは気体冷媒に関するものである。
【0009】
【特許文献1】特開平9−153415
【特許文献2】特開平9−162040
【特許文献3】特開平10−106848
【特許文献4】特開平11−121250
【特許文献5】特開平9−162040
【特許文献6】特開平9−199345
【特許文献7】特開平11−168014
【特許文献8】特開2001−148314
【特許文献9】特開2000−58333
【特許文献10】特開平11−97251
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの変圧器巻線では、冷媒の流れを制御するために垂直冷却路8,9に突起や板などの障害物を設置するケースが多いが、その固定方法が問題となる。分流板などの障害物の場合、水平間隔片4を3枚構成とし、中央の間隔片の長さを短くしてそこに板を挟み込むなどの方法が採られる。しかし、垂直冷却路8,9内には垂直間隔片6,7が等間隔で設置されているため、この間隔片を避けた複雑な板形状にする必要がある。
【0011】
また、改善のための障害物に起因する問題点以外に、図12に示した一般的に使用される内側及び外側閉塞板10,11は扇形状から複数の垂直間隔片6,7の形状を繰り抜いた複雑な形状であり、製作上の工数増大という問題がある。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、形状の複雑な内側及び外側閉塞板を使用せずに、使用した場合と同様な冷却効果を得られる巻線冷却構造を有する静止伝導電器巻線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明の静止誘導電器巻線は、内外に配置された内側絶縁筒と外側絶縁筒と、前記2つの絶縁筒の間に複数段積み重ねて配置した円板巻線と、隣接する前記円板巻線の間に複数の水平冷却路を放射線状に形成するように放射状に複数配置し、且つ上下の段が同位置となるように配置した複数段の水平間隔片と、前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の内側垂直冷却路を形成する内側垂直間隔片と、前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の外側垂直冷却路を形成する外側垂直間隔片とからなり、前記水平間隔片は、前記内側垂直冷却路に位置する幅を前記外側垂直冷却路に位置する幅より広くした内側が幅広の水平間隔片と、前記外側垂直冷却路に位置する幅を前記内側垂直冷却路に位置する幅より広くした外側が幅広の水平間隔片とからなることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の態様の静止誘導電器巻線は、内外に配置された内側絶縁筒と外側絶縁筒と、前記2つの絶縁筒の間に複数段積み重ねて配置した円板巻線と、隣接する前記円板巻線の間に複数の水平冷却路を放射線状に形成するように放射状に複数配置し、且つ上下の段で同位置となるように配置した複数段の水平間隔片と、前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の内側垂直冷却路を形成する内側垂直間隔片と、前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の外側垂直冷却路を形成する外側垂直間隔片とからなり、前記水平間隔片は、前記内側垂直冷却路に位置する幅を前記外側垂直冷却路に位置する幅より広くした内側が幅広の水平間隔片と、前記外側垂直冷却路に位置する幅を前記内側垂直冷却路に位置する幅より広くした外側が幅広の水平間隔片と、前記外側垂直冷却路に位置する幅と前記内側垂冷却直路に位置する幅が同じである内外が同幅の水平間隔片とからなることを特徴とする。
【0015】
上記2つの構成を有する本発明によれば、巻線を冷却するために、内側絶縁筒と円板巻線あるいは外側絶縁筒と円板巻線との間に設けられた内側冷却路及び外側冷却路を冷媒が上昇する。このとき、内側垂直冷却路に位置する部分の幅を前記外側垂直冷却路に位置する部分の幅より広くした内側が幅広の水平間隔片により、冷媒は上方に流れにくくなる。このため、一部の冷媒が水平冷却路を通り外周側に流れることになる。また、外周を上昇する冷媒は、前記外側垂直冷却路に位置する部分の幅を前記内側垂直路に位置する部分の幅より広くした外側幅広水平片により、上方に流れにくくなり、一部の冷媒が水平冷却路を外周側から内周側に流れることになる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような構成を有する本発明によれば、閉塞板等を設置しなくても水平冷却路5に冷媒を効率良く流すことができ、巻線の冷却性能を向上させることができる。また、水平間隔片の種類が増加してしまうが、形状の複雑な閉塞板などを用いる必要がなくなるので、結果的に製作上の工数を減らすことも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る静止誘導電器巻線の実施形態を説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
[構成]
図1及び図2は本発明の実施形態に係る静止誘導電器巻線の構成図である。図1は変圧器の巻線の垂直断面図であり、図2(a)〜(c)は図1のA−A,B−B及びC−Cの段の各水平断面図を示している。また、図3〜7は、各水平間隔片の形状を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態においては、内側及び外側絶縁筒1,2の間に素線導体を巻回してなる円板巻線3が同軸状に配置されており、この円板巻線3が垂直方向に複数段(図1では23段)積重ねられている。また、上下に隣接する円板巻線3の間には複数の水平間隔片4a〜4cが放射状に等間隔で配置されており、これにより図2に示すように複数の扇状の水平冷却路5が円板巻線3の間に放射状に形成される。さらに、内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には内側及び外側垂直間隔片6,7が配置され、内側及び外側垂直冷却路8,9を形成する。
【0020】
巻線と各水平片の組合せとしては、巻線下部では、図2(a)〜(c)のA−A断面、C−C断面、B−B断面、C−C断面の段の順になるように各水平間隔片を配置し、巻線上部ではA−A断面の段とB−B断面の段が交互になるように各水平間隔片を配置している。すなわち、巻線上部では1段おきに内側が幅広の水平間隔片4aと外側が幅広の水平間隔片4bを交互に組み合わせたユニットUbと、各水平片を巻線下部では2段おき組み合わせたユニットUaを、複数ユニット分積層している。
【0021】
図2(a)は、内側が幅広の水平間隔片4aで構成したA−A断面の図であり、図2(b)は外側が幅広の水平間隔片4bで構成したB−B断面の図であり、図2(c)は内外の幅が同じ水平間隔片で構成したC−C断面の図である。
【0022】
図2に示すように、A−A,B−B及びC−C断面の各段では、内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には複数の垂直間隔片6,7が前記水平間隔片の内外周上に等間隔に配置される。これらの垂直間隔片6,7により、円板巻線3外側の周方向に複数の内側垂直冷却路8と外側垂直冷却路9が形成される。すなわち、複数の水平冷却路5を連通する内側及び外側垂直冷却路8,9の冷却区間が巻線の周方向に複数形成される。
【0023】
また、巻線のA−A断面の段においては、内側垂直冷却路8内に位置する幅を広げた内側が幅広の水平間隔片4aを周方向に設置する。この内側が幅広の水平間隔片4aにより、内側垂直冷却路8の中でも流路断面積が狭くなる部分である内側垂直冷却路8aが形成される。
【0024】
巻線のB−B断面の段においては、外側垂直冷却路内に位置する幅を広げた外側が幅広の水平間隔片4bを周方向に設置する。この外側が幅広の水平間隔片4bにより、外側垂直冷却路9の中でも流路断面積が狭くなる部分である内側垂直冷却路9aが形成される。
【0025】
巻線のC−C断面の段においては、内側垂直冷却路8内に位置する幅と外側垂直冷却路9内に位置する幅が等しい内外が同幅の水平間隔片4cを周方向に設置する。すなわち、水平間隔片4a〜4cの各水平間隔片は、水平方向から見ると隣り合っている水平間隔片同士は同一形状であり等間隔に設置され、且つ上下の段の水平間隔片と同位置に配置される。
【0026】
図3(a)は、図2(a)で使用される水平間隔片4aの平面図であり、図3(b)(c)は、水平間隔片4aの変形例の平面図である。図4(a)は、図2(b)で使用される水平間隔片4bの平面図であり、図4(b)(c)は、水平間隔片4bの変形例の平面図である。図5(a)は、図2(c)で使用される水平間隔片4cの平面図であり、図5(b)は、水平間隔片4cの変形例の平面図である。
【0027】
すなわち、図3(a)の内側が幅広の水平間隔片4aの内側垂直冷却路8を塞ぐ部分を水平冷却路5まで広げて、強度を高めたのが図3(b)(c)に示す水平間隔片4a’,4a”である。図4(a)の外側が幅広の水平間隔片4bの外側垂直冷却路9を塞ぐ部分を水平冷却路5まで広げて、強度を高めたのが図4(b)(c)に示す水平間隔片4b’,4b”である。また、冷媒が巻線に接触する面積を増やすために、図5(a)の内外が同幅の水平間隔片4cの水平冷却部に該当する幅を狭くして巻線表面が多く露出するようにしたのが水平間隔片が4c’である。
【0028】
[作用・効果]
このような構成とした、本実施形態の静止誘導電器巻線の作用を説明する。
円板巻線3を冷却するために、内側あるいは外側垂直冷却路8,9を冷媒が上昇するが、A−A断面の段においては内側垂直冷却路8aの流路断面積が狭められているため、冷媒は上方に流れにくくなり、一部の冷媒が水平冷却路5を内周側から外周側に流れる。また、B−B断面の段においては外側垂直冷却路の流路断面積が狭められているため、やはり冷媒が上方に流れにくくなり、一部の冷媒が水平冷却路5を外周側から内周側に流れる。
【0029】
したがって、A−A,B−B断面を有する水平間隔片を交互に構成することにより、水平冷却路5を内周側から外周側へ、及び外周側から内周側へ交互に流れが発生する。本実施形態では、巻線下部では円板巻線3の2段おきにA−A断面の段とB−B断面の段を交互に構成し、2段おきに流れが反転するジグザグ流れが期待されるため、巻線の冷却性能が図11で示した従来例よりも向上することがわかる。
【0030】
さらに、巻線上部では円板巻線3の1段おきにA−A断面の段とB−B断面の段のを交互に構成しているため、1段おきに流れが反転するジグザグの流れが期待できる。この場合、2段おきに構成した場合と比較して、2段分が1段に流れるために流速が大きくなること、かつ流速も均一になることから、巻線の冷却性能はより大きくなる。図12で示した従来例では閉塞板の上部で冷媒の流速が遅くなり、局所的に巻線温度が上昇することを考慮すると、本構成は局所的に温度が上昇することはなく、円板巻線3を効率よく冷却することができる。
【0031】
従って、本実施形態によれば、水平冷却路5に冷媒を効率良く流すことができ、巻線の冷却性能を向上させることができる。また、水平間隔片の種類が増加してしまうが、形状の複雑な閉塞板などを用いる必要がなくなるので、結果的に製作上の工数を減らすことも可能となる。
【0032】
また、巻線下部では2段おきに、巻線上部では1段おきに内側が幅広の水平間隔片4aと外側が幅広の水平間隔片4bを交互に配置しているが、3段おきまでの間隔であれば下から上まで同じ間隔で配置しても良好な巻線冷却性能を得ることが可能である。特に、巻線上部の配置間隔を巻線下部のそれより小さくすると、冷媒温度の上昇する上部の水平冷却路5内の冷媒流速を増大させて最高温度を低下させることができる。これにより、効率の良い巻線円板の冷却を行うことができる。
【0033】
前記内側が幅広の水平間隔片が内側冷却路に占める断面積割合、及び前記外側が幅広の水平間隔片が外側垂直冷却路に占める断面積割合が30%以下であることを特徴とする。
【0034】
すなわち、図12の円板巻線の6段ごとに閉塞板を設置した場合の従来例の圧力損失を1とすると、巻線1段当たりでは0.17であるため、等価である水平間隔片の幅広部の面積割合は40%(0.4^2=0.16)となる。同様に閉塞板の設置間隔を広くとり巻線10段おきに閉塞板を設置した場合では、同面積割合は30%である。これらの理由により、上記態様にいる水平間隔片の幅広部の面積割合を30%以下とすることで、一般的な従来例よりも圧力損失をさぜることができ、全体流量が減少することもない。
【0035】
[第2の実施形態]
[構成]
図8及び図9は本発明の第2の実施形態に係る静止誘導電器巻線の構成図である。図9は変圧器の巻線の垂直断面図、図8は図9のD−D,E−E,F−F及びG−G断面の各水平断面図を示している。
【0036】
図9に示すように、第2の実施形態においては、内側及び外側絶縁筒1,2の間に素線導体を巻回してなる円板巻線3が同軸状に配置されており、この円板巻線3が垂直方向に複数段(図9では23段)積重ねられている。また、上下に隣接する円板巻線3の間には複数の水平間隔片4a〜4cが放射状に等間隔で配置されており、これにより図8に示すように複数の扇状の水平冷却路5が円板巻線3の間に放射状に形成される。さらに、内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には内側及び外側垂直間隔片6,7が配置され、内側及び外側垂直冷却路8,9を形成する。
【0037】
また、巻線と各水平間隔片との組合せとしては、図9のように、D−D,E−E,F−F,G−G断面の段の順になるように各水平間隔片を配置し、これらの組合せをユニットUcとして、複数ユニット分積層している。すなわち、複数の水平冷却路5を連通する内側及び外側垂直冷却路8,9から構成される一つの冷却区間において、内側が幅広の水平間隔片4a、内外が同幅の水平間隔片4c、外側が幅広の水平間隔片4b、内外が同幅の水平間隔片4cの順に下から上へ積み重ねられることになる。さらに、周方向には複数の冷却区間毎にこれらの位置が上下に1段シフトした構成となる。
【0038】
各断面の水平間隔片の設置方法としては、図8(a)で示すように、巻線のD−D断面の段においては、内側が幅広の水平間隔片4aと内外が同幅の水平間隔片4cを周方向に複数枚毎に交互に設置している。図8(b)で示すように、巻線のE−E断面の段においては、D−D断面の段の内側が幅広の水平間隔片4aに相当するところに内外が同幅の水平間隔片4cを、同じく内外が同幅の水平間隔片4cに相当するところに内側が幅広の水平間隔片4aを設置している。
【0039】
図8(c)で示すように、F−F断面の段においては、E−E断面の段の内外が同幅の水平間隔片4cに相当するところに外側が幅広の水平間隔片4bを、同じく内側が幅広の水平間隔片4aに相当するところに内外が同幅の水平間隔片4cを設置している。図8(d)で示すように、巻線のG−G断面の段においては、F−F断面の段の外側が幅広の水平間隔片4bに相当するところに内外が同幅の水平間隔片4cを、同じく内外が同幅の水平間隔片4cに相当するところに外側が幅広の水平間隔片4bを設置している。
【0040】
また、一例として第2の実施形態では、内側が幅広の水平間隔片4a及び外側が幅広の水平間隔片4bと内外が同幅の水平間隔片4cを周方向に複数枚設置したが、内側が幅広の水平間隔片4a及び外側が幅広の水平間隔片4bの2種類のみを複数枚交互に配置しても良い。
【0041】
[作用・効果]
このような構成とした第2の実施形態の静止誘導電器巻線では、内側が幅広の水平間隔片4aや外側が幅広の水平間隔片4bによって、垂直冷却路の流路断面積が狭くなり水平冷却路5の流速が大きくなる複数の冷却区間と、内外が同幅の水平間隔片4cによって、流路断面積が変わらない複数の冷却区間が隣り合わせになっている。そのため後者の区間で多少温度が上昇しても前者の区間まで巻線素線の熱伝導で周方向に熱が移動し、結果的に均一に巻線を冷却することができる。
【0042】
この第2の実施形態によれば、内側が幅広及び外側が幅広の水平間隔片4a,4bの挿入間隔が広い場合でも、巻線内の周方向の熱の流れを利用して巻線を冷却でき、冷却性能を向上させることが可能となる。また、水平冷却路5の周方向に複数枚毎に、内側が幅広の水平間隔片4aと外側が幅広の水平間隔片4bを交互に放射状に設置した場合でも、同様な効果を得ることができる。
【0043】
[第3の実施形態]
[構成]
第3の実施形態は、前記第1及び第2の実施形態における水平間隔片の構成に改良を施したものである。以下、その水平間隔片部分について説明する。図6及び図7は、本発明の第3の実施形態に係る静止誘導電器巻線の水平間隔片の断面図である。図6は、内側が幅広の水平間隔片4a,4a’,4a”を巻線の内側または外側から見ている断面図であり、図7は、外側が幅広の水平間隔片4b,4b’,4b”を巻線の内側または外側から見ている断面図である。
【0044】
すなわち、図6(a)は、水平間隔片上部から、内側が幅広の水平間隔片4a,4a’または4a”、内外が同幅の水平間隔片4c、4c’、内外が同幅の水平間隔片4c、4c’の順に積み重ねた例である。図6(b)は、水平間隔片上部から、内側が幅広の水平間隔片4a,4a’または4a”、内側が幅広の水平間隔片4a,4a’または4a”、内外が同幅の水平間隔片4c,4c’の順に積み重ねた例である。
【0045】
また、図7(a)は、水平間隔片上部から、外側が幅広の水平間隔片4b,4b’または4b”、内外が同幅の水平間隔片4c,4c’の順に積み重ねた例である。図7(b)は、水平間隔片上部から、内外が同幅の水平間隔片4c,4c’、外側が幅広の水平間隔片4b,4b’または4b”、内外が同幅の水平間隔片4c,4c’の順に積み重ねた例である。
【0046】
[作用・効果]
このような構成とした、第3の実施形態の静止誘導電器巻線の作用を説明する。
静止誘導電器巻線の巻線間に挿入する各水平間隔片4a〜4cは、図3〜図5に示すような平面形状を有する一枚の部材でも良い。しかし、第3の実施形態では、薄板からなる水平間隔片を複数枚(一例として3枚)重ね合わせて、巻線間に挿入する。この場合、重ね合わせる水平間隔片は、各段ごとに同一形状としても良いが、図6,7に示すように異なる形状のものを重ね合わせることができる。すなわち、内側が幅広の水平間隔片4a及び外側が幅広の水平間隔片4bでは、巻線の外周と内周とで異なった流路が形成されればよい。同様に、3枚以上重ね合わせる場合は、最下部が内外が同幅の水平間隔片4c、4c’であれば、内側が幅広の水平間隔片4a及び外側が幅広の水平間隔片4bでもよい。
【0047】
第3の実施形態によれば、内側及び外側垂直冷却路を流れてきた冷媒が、内側及び外側が幅広の水平間隔片の幅が広くなった部分により、上方に流れにくくなり一部の冷媒が水平冷却路5に流れることになる。この時、内側及び外側が幅広の水平間隔片の最下部が内外が同幅の水平間隔片4c、4c’とした複数枚の水平間隔を積層した水平間隔片とすると、内側及び外側が幅広の水平間隔片4a,4bの部分では、冷媒は上方に流れにくくなり、一方、同幅の水平間隔片4c、4c’の部分では、冷媒が水平冷却路に流れる。
【0048】
従って、平面形状を有する一枚の部材とした場合や同一形状の水平間隔片を複数枚積層した場合にくらべて、水平冷却路5に冷媒を効率よく流すことができ、巻線の冷却性能を向上させることができる。
【0049】
[その他の実施形態]
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片の設置間隔は巻線下部より上部のほうが狭いこと、あるいは、これらの水平間隔片の垂直冷却路に占める断面積割合は巻線下部より上部のほうが大きいものとすることもできる。このような構成とすれば、断面積割合が大きい部分では、断面積割合が小さい部分より水平冷却路の冷媒流速を増大させることができる。すなわち、冷媒の温度上昇する巻線上部の水平冷却路の冷媒流速を増大させて、円板巻線の最高温度を低下させることができ、冷却効率を上昇することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る静止誘導電器巻線の各部の構成を示す垂直断面図
【図2】図1の巻線の水平断面図
【図3】静止誘導電器巻線の内側が幅広の水平間隔片の詳細を示す平面図
【図4】静止誘導電器巻線の外側が幅広の水平間隔片の詳細を示す平面図
【図5】静止誘導電器巻線の内外が同幅の水平間隔片の詳細を示す平面図
【図6】第3の実施形態に係る静止誘導電器巻線の内側が幅広の水平間隔片の断面図
【図7】第3の実施形態に係る静止誘導電器巻線の外側が幅広の水平間隔片の断面図
【図8】図1の巻線に使用する本発明の第2の実施形態に係る静止誘導電器巻線の構成を示す水平断面図
【図9】図8の巻線の垂直断面図
【図10】従来の静止誘導電器巻線の一例を示す水平断面図
【図11】図10のX−X断面図及びY−Y断面図
【図12】図10の別な巻線の構成のY−Y断面図
【符号の説明】
【0051】
1…内側絶縁筒
2…外側絶縁筒
3…円板巻線
4a,4a’,4a”…内側が幅広の水平間隔片
4b,4b’,4b”…外側が幅広の水平間隔片
4c,4c’…内外が同幅の水平間隔片
5…水平冷却路
6…内側垂直間隔片
7…外側垂直間隔片
8…内側垂直冷却路
9…外側垂直冷却路
10…内側閉塞板
11…外側閉塞板
【技術分野】
【0001】
変圧器やリアクトルなどの静止誘導電器に使用される巻線は、運転時における発熱量が大きい。このため、巻線周辺に冷却路を形成し、この冷却路にSF6ガスなどの気体冷媒や、絶縁油、パーフロロカーボンなどの液体冷媒を流して巻線の冷却を行っている。また、最近では環境低負荷を考慮してN2ガス、CO2ガス、空気、CF2Iガスなどの温暖化係数の小さい気体冷媒や、天然エステル油あるいは難燃性を考慮してシリコン油など、様々な冷媒も使われ始めている。
【背景技術】
【0002】
具体的な巻線冷却構造としては、図10〜図12に示すものが一般的である。図10は変圧器の巻線の平面図、図11は図10のX−X断面図及びY−Y断面図、図12は別な巻線構成のY−Y断面図である。
【0003】
図10と図11では、内側及び外側絶縁筒1,2の間に素線導体を巻回してなる円板巻線3が同軸状に配置されており、これが垂直方向に複数段積重ねられている。上下に隣接する円板巻線3の間には複数の水平間隔片4が放射状に等間隔で配置されており、これにより複数の扇状の水平冷却路5が放射状に形成される。
【0004】
内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には複数の垂直間隔片6,7が前記水平間隔片の内外周上に合わせて配置され、周方向に複数の内側垂直冷却路8と外側垂直冷却路9が形成される。すなわち、複数の水平冷却路5を連通する内側及び外側垂直冷却路8,9の冷却区間が巻線の周方向に複数形成される。
【0005】
このような冷却構造において、前述の気体冷媒や液体冷媒を内側及び外側垂直冷却路8,9の下部から流入させ、円板巻線3を冷却する。しかし、この構造では水平冷却路5に冷媒が流れにくいため、水平冷却路5における冷却性能が悪い欠点がある。したがって、この構造の適用は、円板巻線3の幅が狭く水平冷却路5が短い場合か、発熱量が少ない場合、あるいは冷却性能の良い液体冷媒の使用時に限られる。
【0006】
円板巻線3の幅が長い場合や発熱量が多い場合は、図12に示す構造が一般的である。この構成は、円板巻線3の複数段毎に内側閉塞板10と外側閉塞板11を交互に、かつ、全周に亘って設置している。このようにすることで、垂直冷却路の冷媒が水平冷却路5に流れ込み、円板巻線3の複数段毎に内側から外側へ、外側から内側へとジグザグに流れることになり、表面積の大きい水平冷却路5の冷却性能を向上させることが可能となる。
【0007】
しかし、この構造の欠点は、流れの抵抗である圧力損失が増大することと、図12の中の矢印で示したように閉塞板10,11の上部の流速が遅くなり、局所的に巻線温度が上昇することである。
【0008】
このため、圧力損失の低減や水平冷却路の流速を均一にする研究がなされており、水平間隔片の数を調整する(特許文献1)、垂直冷却路内に流れを制御する突起などを設置する(特許文献2〜4)、水平冷却路から垂直冷却路へ分流板を張り出して流れを制御する(特許文献5〜8)、周方向の閉塞板位置を上下にずらす(特許文献9)、閉塞板の形状を工夫する(特許文献10)などの公知例がみられる。しかし、これらのほとんどは気体冷媒に関するものである。
【0009】
【特許文献1】特開平9−153415
【特許文献2】特開平9−162040
【特許文献3】特開平10−106848
【特許文献4】特開平11−121250
【特許文献5】特開平9−162040
【特許文献6】特開平9−199345
【特許文献7】特開平11−168014
【特許文献8】特開2001−148314
【特許文献9】特開2000−58333
【特許文献10】特開平11−97251
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの変圧器巻線では、冷媒の流れを制御するために垂直冷却路8,9に突起や板などの障害物を設置するケースが多いが、その固定方法が問題となる。分流板などの障害物の場合、水平間隔片4を3枚構成とし、中央の間隔片の長さを短くしてそこに板を挟み込むなどの方法が採られる。しかし、垂直冷却路8,9内には垂直間隔片6,7が等間隔で設置されているため、この間隔片を避けた複雑な板形状にする必要がある。
【0011】
また、改善のための障害物に起因する問題点以外に、図12に示した一般的に使用される内側及び外側閉塞板10,11は扇形状から複数の垂直間隔片6,7の形状を繰り抜いた複雑な形状であり、製作上の工数増大という問題がある。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、形状の複雑な内側及び外側閉塞板を使用せずに、使用した場合と同様な冷却効果を得られる巻線冷却構造を有する静止伝導電器巻線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明の静止誘導電器巻線は、内外に配置された内側絶縁筒と外側絶縁筒と、前記2つの絶縁筒の間に複数段積み重ねて配置した円板巻線と、隣接する前記円板巻線の間に複数の水平冷却路を放射線状に形成するように放射状に複数配置し、且つ上下の段が同位置となるように配置した複数段の水平間隔片と、前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の内側垂直冷却路を形成する内側垂直間隔片と、前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の外側垂直冷却路を形成する外側垂直間隔片とからなり、前記水平間隔片は、前記内側垂直冷却路に位置する幅を前記外側垂直冷却路に位置する幅より広くした内側が幅広の水平間隔片と、前記外側垂直冷却路に位置する幅を前記内側垂直冷却路に位置する幅より広くした外側が幅広の水平間隔片とからなることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の態様の静止誘導電器巻線は、内外に配置された内側絶縁筒と外側絶縁筒と、前記2つの絶縁筒の間に複数段積み重ねて配置した円板巻線と、隣接する前記円板巻線の間に複数の水平冷却路を放射線状に形成するように放射状に複数配置し、且つ上下の段で同位置となるように配置した複数段の水平間隔片と、前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の内側垂直冷却路を形成する内側垂直間隔片と、前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の外側垂直冷却路を形成する外側垂直間隔片とからなり、前記水平間隔片は、前記内側垂直冷却路に位置する幅を前記外側垂直冷却路に位置する幅より広くした内側が幅広の水平間隔片と、前記外側垂直冷却路に位置する幅を前記内側垂直冷却路に位置する幅より広くした外側が幅広の水平間隔片と、前記外側垂直冷却路に位置する幅と前記内側垂冷却直路に位置する幅が同じである内外が同幅の水平間隔片とからなることを特徴とする。
【0015】
上記2つの構成を有する本発明によれば、巻線を冷却するために、内側絶縁筒と円板巻線あるいは外側絶縁筒と円板巻線との間に設けられた内側冷却路及び外側冷却路を冷媒が上昇する。このとき、内側垂直冷却路に位置する部分の幅を前記外側垂直冷却路に位置する部分の幅より広くした内側が幅広の水平間隔片により、冷媒は上方に流れにくくなる。このため、一部の冷媒が水平冷却路を通り外周側に流れることになる。また、外周を上昇する冷媒は、前記外側垂直冷却路に位置する部分の幅を前記内側垂直路に位置する部分の幅より広くした外側幅広水平片により、上方に流れにくくなり、一部の冷媒が水平冷却路を外周側から内周側に流れることになる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような構成を有する本発明によれば、閉塞板等を設置しなくても水平冷却路5に冷媒を効率良く流すことができ、巻線の冷却性能を向上させることができる。また、水平間隔片の種類が増加してしまうが、形状の複雑な閉塞板などを用いる必要がなくなるので、結果的に製作上の工数を減らすことも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る静止誘導電器巻線の実施形態を説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
[構成]
図1及び図2は本発明の実施形態に係る静止誘導電器巻線の構成図である。図1は変圧器の巻線の垂直断面図であり、図2(a)〜(c)は図1のA−A,B−B及びC−Cの段の各水平断面図を示している。また、図3〜7は、各水平間隔片の形状を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態においては、内側及び外側絶縁筒1,2の間に素線導体を巻回してなる円板巻線3が同軸状に配置されており、この円板巻線3が垂直方向に複数段(図1では23段)積重ねられている。また、上下に隣接する円板巻線3の間には複数の水平間隔片4a〜4cが放射状に等間隔で配置されており、これにより図2に示すように複数の扇状の水平冷却路5が円板巻線3の間に放射状に形成される。さらに、内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には内側及び外側垂直間隔片6,7が配置され、内側及び外側垂直冷却路8,9を形成する。
【0020】
巻線と各水平片の組合せとしては、巻線下部では、図2(a)〜(c)のA−A断面、C−C断面、B−B断面、C−C断面の段の順になるように各水平間隔片を配置し、巻線上部ではA−A断面の段とB−B断面の段が交互になるように各水平間隔片を配置している。すなわち、巻線上部では1段おきに内側が幅広の水平間隔片4aと外側が幅広の水平間隔片4bを交互に組み合わせたユニットUbと、各水平片を巻線下部では2段おき組み合わせたユニットUaを、複数ユニット分積層している。
【0021】
図2(a)は、内側が幅広の水平間隔片4aで構成したA−A断面の図であり、図2(b)は外側が幅広の水平間隔片4bで構成したB−B断面の図であり、図2(c)は内外の幅が同じ水平間隔片で構成したC−C断面の図である。
【0022】
図2に示すように、A−A,B−B及びC−C断面の各段では、内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には複数の垂直間隔片6,7が前記水平間隔片の内外周上に等間隔に配置される。これらの垂直間隔片6,7により、円板巻線3外側の周方向に複数の内側垂直冷却路8と外側垂直冷却路9が形成される。すなわち、複数の水平冷却路5を連通する内側及び外側垂直冷却路8,9の冷却区間が巻線の周方向に複数形成される。
【0023】
また、巻線のA−A断面の段においては、内側垂直冷却路8内に位置する幅を広げた内側が幅広の水平間隔片4aを周方向に設置する。この内側が幅広の水平間隔片4aにより、内側垂直冷却路8の中でも流路断面積が狭くなる部分である内側垂直冷却路8aが形成される。
【0024】
巻線のB−B断面の段においては、外側垂直冷却路内に位置する幅を広げた外側が幅広の水平間隔片4bを周方向に設置する。この外側が幅広の水平間隔片4bにより、外側垂直冷却路9の中でも流路断面積が狭くなる部分である内側垂直冷却路9aが形成される。
【0025】
巻線のC−C断面の段においては、内側垂直冷却路8内に位置する幅と外側垂直冷却路9内に位置する幅が等しい内外が同幅の水平間隔片4cを周方向に設置する。すなわち、水平間隔片4a〜4cの各水平間隔片は、水平方向から見ると隣り合っている水平間隔片同士は同一形状であり等間隔に設置され、且つ上下の段の水平間隔片と同位置に配置される。
【0026】
図3(a)は、図2(a)で使用される水平間隔片4aの平面図であり、図3(b)(c)は、水平間隔片4aの変形例の平面図である。図4(a)は、図2(b)で使用される水平間隔片4bの平面図であり、図4(b)(c)は、水平間隔片4bの変形例の平面図である。図5(a)は、図2(c)で使用される水平間隔片4cの平面図であり、図5(b)は、水平間隔片4cの変形例の平面図である。
【0027】
すなわち、図3(a)の内側が幅広の水平間隔片4aの内側垂直冷却路8を塞ぐ部分を水平冷却路5まで広げて、強度を高めたのが図3(b)(c)に示す水平間隔片4a’,4a”である。図4(a)の外側が幅広の水平間隔片4bの外側垂直冷却路9を塞ぐ部分を水平冷却路5まで広げて、強度を高めたのが図4(b)(c)に示す水平間隔片4b’,4b”である。また、冷媒が巻線に接触する面積を増やすために、図5(a)の内外が同幅の水平間隔片4cの水平冷却部に該当する幅を狭くして巻線表面が多く露出するようにしたのが水平間隔片が4c’である。
【0028】
[作用・効果]
このような構成とした、本実施形態の静止誘導電器巻線の作用を説明する。
円板巻線3を冷却するために、内側あるいは外側垂直冷却路8,9を冷媒が上昇するが、A−A断面の段においては内側垂直冷却路8aの流路断面積が狭められているため、冷媒は上方に流れにくくなり、一部の冷媒が水平冷却路5を内周側から外周側に流れる。また、B−B断面の段においては外側垂直冷却路の流路断面積が狭められているため、やはり冷媒が上方に流れにくくなり、一部の冷媒が水平冷却路5を外周側から内周側に流れる。
【0029】
したがって、A−A,B−B断面を有する水平間隔片を交互に構成することにより、水平冷却路5を内周側から外周側へ、及び外周側から内周側へ交互に流れが発生する。本実施形態では、巻線下部では円板巻線3の2段おきにA−A断面の段とB−B断面の段を交互に構成し、2段おきに流れが反転するジグザグ流れが期待されるため、巻線の冷却性能が図11で示した従来例よりも向上することがわかる。
【0030】
さらに、巻線上部では円板巻線3の1段おきにA−A断面の段とB−B断面の段のを交互に構成しているため、1段おきに流れが反転するジグザグの流れが期待できる。この場合、2段おきに構成した場合と比較して、2段分が1段に流れるために流速が大きくなること、かつ流速も均一になることから、巻線の冷却性能はより大きくなる。図12で示した従来例では閉塞板の上部で冷媒の流速が遅くなり、局所的に巻線温度が上昇することを考慮すると、本構成は局所的に温度が上昇することはなく、円板巻線3を効率よく冷却することができる。
【0031】
従って、本実施形態によれば、水平冷却路5に冷媒を効率良く流すことができ、巻線の冷却性能を向上させることができる。また、水平間隔片の種類が増加してしまうが、形状の複雑な閉塞板などを用いる必要がなくなるので、結果的に製作上の工数を減らすことも可能となる。
【0032】
また、巻線下部では2段おきに、巻線上部では1段おきに内側が幅広の水平間隔片4aと外側が幅広の水平間隔片4bを交互に配置しているが、3段おきまでの間隔であれば下から上まで同じ間隔で配置しても良好な巻線冷却性能を得ることが可能である。特に、巻線上部の配置間隔を巻線下部のそれより小さくすると、冷媒温度の上昇する上部の水平冷却路5内の冷媒流速を増大させて最高温度を低下させることができる。これにより、効率の良い巻線円板の冷却を行うことができる。
【0033】
前記内側が幅広の水平間隔片が内側冷却路に占める断面積割合、及び前記外側が幅広の水平間隔片が外側垂直冷却路に占める断面積割合が30%以下であることを特徴とする。
【0034】
すなわち、図12の円板巻線の6段ごとに閉塞板を設置した場合の従来例の圧力損失を1とすると、巻線1段当たりでは0.17であるため、等価である水平間隔片の幅広部の面積割合は40%(0.4^2=0.16)となる。同様に閉塞板の設置間隔を広くとり巻線10段おきに閉塞板を設置した場合では、同面積割合は30%である。これらの理由により、上記態様にいる水平間隔片の幅広部の面積割合を30%以下とすることで、一般的な従来例よりも圧力損失をさぜることができ、全体流量が減少することもない。
【0035】
[第2の実施形態]
[構成]
図8及び図9は本発明の第2の実施形態に係る静止誘導電器巻線の構成図である。図9は変圧器の巻線の垂直断面図、図8は図9のD−D,E−E,F−F及びG−G断面の各水平断面図を示している。
【0036】
図9に示すように、第2の実施形態においては、内側及び外側絶縁筒1,2の間に素線導体を巻回してなる円板巻線3が同軸状に配置されており、この円板巻線3が垂直方向に複数段(図9では23段)積重ねられている。また、上下に隣接する円板巻線3の間には複数の水平間隔片4a〜4cが放射状に等間隔で配置されており、これにより図8に示すように複数の扇状の水平冷却路5が円板巻線3の間に放射状に形成される。さらに、内側及び外側絶縁筒1,2と円板巻線3の間には内側及び外側垂直間隔片6,7が配置され、内側及び外側垂直冷却路8,9を形成する。
【0037】
また、巻線と各水平間隔片との組合せとしては、図9のように、D−D,E−E,F−F,G−G断面の段の順になるように各水平間隔片を配置し、これらの組合せをユニットUcとして、複数ユニット分積層している。すなわち、複数の水平冷却路5を連通する内側及び外側垂直冷却路8,9から構成される一つの冷却区間において、内側が幅広の水平間隔片4a、内外が同幅の水平間隔片4c、外側が幅広の水平間隔片4b、内外が同幅の水平間隔片4cの順に下から上へ積み重ねられることになる。さらに、周方向には複数の冷却区間毎にこれらの位置が上下に1段シフトした構成となる。
【0038】
各断面の水平間隔片の設置方法としては、図8(a)で示すように、巻線のD−D断面の段においては、内側が幅広の水平間隔片4aと内外が同幅の水平間隔片4cを周方向に複数枚毎に交互に設置している。図8(b)で示すように、巻線のE−E断面の段においては、D−D断面の段の内側が幅広の水平間隔片4aに相当するところに内外が同幅の水平間隔片4cを、同じく内外が同幅の水平間隔片4cに相当するところに内側が幅広の水平間隔片4aを設置している。
【0039】
図8(c)で示すように、F−F断面の段においては、E−E断面の段の内外が同幅の水平間隔片4cに相当するところに外側が幅広の水平間隔片4bを、同じく内側が幅広の水平間隔片4aに相当するところに内外が同幅の水平間隔片4cを設置している。図8(d)で示すように、巻線のG−G断面の段においては、F−F断面の段の外側が幅広の水平間隔片4bに相当するところに内外が同幅の水平間隔片4cを、同じく内外が同幅の水平間隔片4cに相当するところに外側が幅広の水平間隔片4bを設置している。
【0040】
また、一例として第2の実施形態では、内側が幅広の水平間隔片4a及び外側が幅広の水平間隔片4bと内外が同幅の水平間隔片4cを周方向に複数枚設置したが、内側が幅広の水平間隔片4a及び外側が幅広の水平間隔片4bの2種類のみを複数枚交互に配置しても良い。
【0041】
[作用・効果]
このような構成とした第2の実施形態の静止誘導電器巻線では、内側が幅広の水平間隔片4aや外側が幅広の水平間隔片4bによって、垂直冷却路の流路断面積が狭くなり水平冷却路5の流速が大きくなる複数の冷却区間と、内外が同幅の水平間隔片4cによって、流路断面積が変わらない複数の冷却区間が隣り合わせになっている。そのため後者の区間で多少温度が上昇しても前者の区間まで巻線素線の熱伝導で周方向に熱が移動し、結果的に均一に巻線を冷却することができる。
【0042】
この第2の実施形態によれば、内側が幅広及び外側が幅広の水平間隔片4a,4bの挿入間隔が広い場合でも、巻線内の周方向の熱の流れを利用して巻線を冷却でき、冷却性能を向上させることが可能となる。また、水平冷却路5の周方向に複数枚毎に、内側が幅広の水平間隔片4aと外側が幅広の水平間隔片4bを交互に放射状に設置した場合でも、同様な効果を得ることができる。
【0043】
[第3の実施形態]
[構成]
第3の実施形態は、前記第1及び第2の実施形態における水平間隔片の構成に改良を施したものである。以下、その水平間隔片部分について説明する。図6及び図7は、本発明の第3の実施形態に係る静止誘導電器巻線の水平間隔片の断面図である。図6は、内側が幅広の水平間隔片4a,4a’,4a”を巻線の内側または外側から見ている断面図であり、図7は、外側が幅広の水平間隔片4b,4b’,4b”を巻線の内側または外側から見ている断面図である。
【0044】
すなわち、図6(a)は、水平間隔片上部から、内側が幅広の水平間隔片4a,4a’または4a”、内外が同幅の水平間隔片4c、4c’、内外が同幅の水平間隔片4c、4c’の順に積み重ねた例である。図6(b)は、水平間隔片上部から、内側が幅広の水平間隔片4a,4a’または4a”、内側が幅広の水平間隔片4a,4a’または4a”、内外が同幅の水平間隔片4c,4c’の順に積み重ねた例である。
【0045】
また、図7(a)は、水平間隔片上部から、外側が幅広の水平間隔片4b,4b’または4b”、内外が同幅の水平間隔片4c,4c’の順に積み重ねた例である。図7(b)は、水平間隔片上部から、内外が同幅の水平間隔片4c,4c’、外側が幅広の水平間隔片4b,4b’または4b”、内外が同幅の水平間隔片4c,4c’の順に積み重ねた例である。
【0046】
[作用・効果]
このような構成とした、第3の実施形態の静止誘導電器巻線の作用を説明する。
静止誘導電器巻線の巻線間に挿入する各水平間隔片4a〜4cは、図3〜図5に示すような平面形状を有する一枚の部材でも良い。しかし、第3の実施形態では、薄板からなる水平間隔片を複数枚(一例として3枚)重ね合わせて、巻線間に挿入する。この場合、重ね合わせる水平間隔片は、各段ごとに同一形状としても良いが、図6,7に示すように異なる形状のものを重ね合わせることができる。すなわち、内側が幅広の水平間隔片4a及び外側が幅広の水平間隔片4bでは、巻線の外周と内周とで異なった流路が形成されればよい。同様に、3枚以上重ね合わせる場合は、最下部が内外が同幅の水平間隔片4c、4c’であれば、内側が幅広の水平間隔片4a及び外側が幅広の水平間隔片4bでもよい。
【0047】
第3の実施形態によれば、内側及び外側垂直冷却路を流れてきた冷媒が、内側及び外側が幅広の水平間隔片の幅が広くなった部分により、上方に流れにくくなり一部の冷媒が水平冷却路5に流れることになる。この時、内側及び外側が幅広の水平間隔片の最下部が内外が同幅の水平間隔片4c、4c’とした複数枚の水平間隔を積層した水平間隔片とすると、内側及び外側が幅広の水平間隔片4a,4bの部分では、冷媒は上方に流れにくくなり、一方、同幅の水平間隔片4c、4c’の部分では、冷媒が水平冷却路に流れる。
【0048】
従って、平面形状を有する一枚の部材とした場合や同一形状の水平間隔片を複数枚積層した場合にくらべて、水平冷却路5に冷媒を効率よく流すことができ、巻線の冷却性能を向上させることができる。
【0049】
[その他の実施形態]
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片の設置間隔は巻線下部より上部のほうが狭いこと、あるいは、これらの水平間隔片の垂直冷却路に占める断面積割合は巻線下部より上部のほうが大きいものとすることもできる。このような構成とすれば、断面積割合が大きい部分では、断面積割合が小さい部分より水平冷却路の冷媒流速を増大させることができる。すなわち、冷媒の温度上昇する巻線上部の水平冷却路の冷媒流速を増大させて、円板巻線の最高温度を低下させることができ、冷却効率を上昇することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る静止誘導電器巻線の各部の構成を示す垂直断面図
【図2】図1の巻線の水平断面図
【図3】静止誘導電器巻線の内側が幅広の水平間隔片の詳細を示す平面図
【図4】静止誘導電器巻線の外側が幅広の水平間隔片の詳細を示す平面図
【図5】静止誘導電器巻線の内外が同幅の水平間隔片の詳細を示す平面図
【図6】第3の実施形態に係る静止誘導電器巻線の内側が幅広の水平間隔片の断面図
【図7】第3の実施形態に係る静止誘導電器巻線の外側が幅広の水平間隔片の断面図
【図8】図1の巻線に使用する本発明の第2の実施形態に係る静止誘導電器巻線の構成を示す水平断面図
【図9】図8の巻線の垂直断面図
【図10】従来の静止誘導電器巻線の一例を示す水平断面図
【図11】図10のX−X断面図及びY−Y断面図
【図12】図10の別な巻線の構成のY−Y断面図
【符号の説明】
【0051】
1…内側絶縁筒
2…外側絶縁筒
3…円板巻線
4a,4a’,4a”…内側が幅広の水平間隔片
4b,4b’,4b”…外側が幅広の水平間隔片
4c,4c’…内外が同幅の水平間隔片
5…水平冷却路
6…内側垂直間隔片
7…外側垂直間隔片
8…内側垂直冷却路
9…外側垂直冷却路
10…内側閉塞板
11…外側閉塞板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外に配置された内側絶縁筒と外側絶縁筒と、
前記2つの絶縁筒の間に複数段積み重ねて配置した円板巻線と、
隣接する前記円板巻線の間に複数の水平冷却路を放射線状に形成するように放射状に複数配置し、且つ上下の段で同位置となるように配置した複数段の水平間隔片と、
前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の内側垂直冷却路を形成する内側垂直間隔片と、
前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の外側垂直冷却路を形成する外側垂直間隔片と、
からなる静止誘導電器巻線において、
前記水平間隔片は、
前記内側垂直冷却路に位置する幅を前記外側垂直冷却路に位置する幅より広くした内側が幅広の水平間隔片と、
前記外側垂直冷却路に位置する幅を前記内側垂直冷却路に位置する幅より広くした外側が幅広の水平間隔片とからなることを特徴とする静止誘導電器巻線。
【請求項2】
前記水平間隔片の各段は、それぞれ同じ形状の水平間隔片のみで構成し、
前記内側が幅広の水平間隔片を並べた内側幅広段と前記外側が幅広の水平間隔片を並べた外側幅広段を1段ずつ交互に設置することを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項3】
前記複数段水平間隔片は、前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片を交互に組み合わせた段を含み、
前記水平間隔片を組み合わせた段の前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片の位置が重ならないように1段ずつ交互に設置することを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項4】
内外に配置された内側絶縁筒と外側絶縁筒と、
前記2つの絶縁筒の間に複数段積み重ねて配置した円板巻線と、
隣接する前記円板巻線の間に複数の水平冷却路を放射線状に形成するように放射状に複数配置し、且つ上下の段で同位置となるように配置した複数段の水平間隔片と、
前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の内側垂直冷却路を形成する内側垂直間隔片と、
前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の外側垂直冷却路を形成する外側垂直間隔片と、
からなる静止誘導電器巻線において、
前記水平間隔片は、
前記内側垂直冷却路に位置する幅を前記外側垂直冷却路に位置する幅より広くした内側が幅広の水平間隔片と、
前記外側垂直冷却路に位置する幅を前記内側垂直冷却路に位置する幅より広くした外側が幅広の水平間隔片と、
前記外側垂直冷却路に位置する幅と前記内側垂冷却直路に位置する幅が同じである内外が同幅の水平間隔片とからなることを特徴とする静止誘導電器巻線。
【請求項5】
前記水平間隔片の各段は、それぞれ同じ形状の水平間隔片のみで構成し、
前記内側が幅広の水平間隔片を並べた内側幅広段と前記外側が幅広の水平間隔片を並べた外側幅広段を所定の段ずつユニットとして交互に設置し、
ユニット間には前記内外が同幅の水平間隔片を並べた内外同幅段を設置することを特徴とする請求項4に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項6】
前記複数段水平間隔片は、前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片と内外が同幅の水平間隔片を所定のパターンで組み合わせた段を含み、
前記所定のパターンで組み合わせた段を所定の段ずつユニットとして交互に設置し、
ユニット間には前記内外が同幅の水平間隔片を並べた内外同幅段を設置することを特徴とする請求項4に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項7】
前記水平間隔片は、薄板状の部材を厚さ方向に複数枚積層して構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項8】
前記内側が幅広の水平間隔片、及び前記外側が幅広の水平間隔片において、
複数枚積層したうちの最下部の部材は、内外が同幅であることを特徴とする請求項7に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項9】
前記内側が幅広の水平間隔片が内側垂直冷却路に占める断面積割合、及び前記外側が幅広の水平間隔片が外側垂直冷却路に占める断面積割合が30%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項10】
前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片の設置間隔は巻線下部より上部のほうが狭いこと、あるいは、これらの水平間隔片の垂直冷却路に占める断面積割合は巻線下部より上部のほうが大きいことを特徴とする請求項第1〜9項のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項1】
内外に配置された内側絶縁筒と外側絶縁筒と、
前記2つの絶縁筒の間に複数段積み重ねて配置した円板巻線と、
隣接する前記円板巻線の間に複数の水平冷却路を放射線状に形成するように放射状に複数配置し、且つ上下の段で同位置となるように配置した複数段の水平間隔片と、
前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の内側垂直冷却路を形成する内側垂直間隔片と、
前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の外側垂直冷却路を形成する外側垂直間隔片と、
からなる静止誘導電器巻線において、
前記水平間隔片は、
前記内側垂直冷却路に位置する幅を前記外側垂直冷却路に位置する幅より広くした内側が幅広の水平間隔片と、
前記外側垂直冷却路に位置する幅を前記内側垂直冷却路に位置する幅より広くした外側が幅広の水平間隔片とからなることを特徴とする静止誘導電器巻線。
【請求項2】
前記水平間隔片の各段は、それぞれ同じ形状の水平間隔片のみで構成し、
前記内側が幅広の水平間隔片を並べた内側幅広段と前記外側が幅広の水平間隔片を並べた外側幅広段を1段ずつ交互に設置することを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項3】
前記複数段水平間隔片は、前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片を交互に組み合わせた段を含み、
前記水平間隔片を組み合わせた段の前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片の位置が重ならないように1段ずつ交互に設置することを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項4】
内外に配置された内側絶縁筒と外側絶縁筒と、
前記2つの絶縁筒の間に複数段積み重ねて配置した円板巻線と、
隣接する前記円板巻線の間に複数の水平冷却路を放射線状に形成するように放射状に複数配置し、且つ上下の段で同位置となるように配置した複数段の水平間隔片と、
前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の内側垂直冷却路を形成する内側垂直間隔片と、
前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に複数個配置して複数の外側垂直冷却路を形成する外側垂直間隔片と、
からなる静止誘導電器巻線において、
前記水平間隔片は、
前記内側垂直冷却路に位置する幅を前記外側垂直冷却路に位置する幅より広くした内側が幅広の水平間隔片と、
前記外側垂直冷却路に位置する幅を前記内側垂直冷却路に位置する幅より広くした外側が幅広の水平間隔片と、
前記外側垂直冷却路に位置する幅と前記内側垂冷却直路に位置する幅が同じである内外が同幅の水平間隔片とからなることを特徴とする静止誘導電器巻線。
【請求項5】
前記水平間隔片の各段は、それぞれ同じ形状の水平間隔片のみで構成し、
前記内側が幅広の水平間隔片を並べた内側幅広段と前記外側が幅広の水平間隔片を並べた外側幅広段を所定の段ずつユニットとして交互に設置し、
ユニット間には前記内外が同幅の水平間隔片を並べた内外同幅段を設置することを特徴とする請求項4に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項6】
前記複数段水平間隔片は、前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片と内外が同幅の水平間隔片を所定のパターンで組み合わせた段を含み、
前記所定のパターンで組み合わせた段を所定の段ずつユニットとして交互に設置し、
ユニット間には前記内外が同幅の水平間隔片を並べた内外同幅段を設置することを特徴とする請求項4に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項7】
前記水平間隔片は、薄板状の部材を厚さ方向に複数枚積層して構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項8】
前記内側が幅広の水平間隔片、及び前記外側が幅広の水平間隔片において、
複数枚積層したうちの最下部の部材は、内外が同幅であることを特徴とする請求項7に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項9】
前記内側が幅広の水平間隔片が内側垂直冷却路に占める断面積割合、及び前記外側が幅広の水平間隔片が外側垂直冷却路に占める断面積割合が30%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項10】
前記内側が幅広の水平間隔片と前記外側が幅広の水平間隔片の設置間隔は巻線下部より上部のほうが狭いこと、あるいは、これらの水平間隔片の垂直冷却路に占める断面積割合は巻線下部より上部のほうが大きいことを特徴とする請求項第1〜9項のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−87042(P2010−87042A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251720(P2008−251720)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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