説明

静的ミクロミキサーを用いた抽出方法

本発明は、原材料を抽出剤と混合する静的ミクロミキサーを使用し、適当な抽出剤を用いて流体の原材料から1つまたは複数の物質を抽出する方法に関する。当該静的ミクロミキサーは、プレート形状の構成部材を含み、このプレート(1)は、少なくとも一つの液体流をプレート面に位置する連絡チャネル(3)へと導き入れるための少なくとも1個の引入口(2)、および混合ゾーン(5)に液体流を送出するための少なくとも1個の流出口(4)を備えており、この際に引入口(2)は、プレート面に位置する連絡チャネル(3)により流出口(4)と繋がっており、連絡チャンネル(3)は混合ゾーン(5)への出口の手前で微細構造ユニット(6)により2以上の分配チャネル(7)に分割されており、分配チャネルの幅はミリメートルからサブミリメートル範囲で設けられて混合ゾーン(5)の幅よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原材料を抽出剤と混合する静的ミクロミキサーを使用し、適当な抽出剤を用いて流体の原材料から1つまたは複数の物質を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抽出の際、溶剤(抽出剤)は、物質の混合物から1つまたは複数の成分を分離するのに使用される。流体状の物質混合物は、液体または気体であり得る。抽出の間一般に、液体状混合物からの物質の濃縮または採取は、選択的に働く混合不能溶剤によるものと理解されている。しかしまた、適切な溶剤を用いて、気体状混合物から物質を抽出することもできる。
【0003】
蒸留のような熱的な方法が不適当な場合、本抽出方法は特に役割を果たす。本抽出方法は例えば、同様の沸点を有する系、例えば炭化水素や石油留出分からの芳香族の分離;水溶液(例えばフェノール)系からの高沸点物質の分離;温度反応物質、例えば生物学的または生物工学的に得られた物質の分離(例えば発酵溶液からの抗生物質の分離);アゼオトロパール混合物の分離;食塩水からの有機物質の抽出;高分子溶液からの塩類の抽出;整練用鉱石または下水処理廃水からの金属塩類の抽出、例えば灯油中に溶解しているヒドロキシオキシムを用いた塩類水溶液からの銅、ニッケルおよびコバルトの抽出;核燃料の処理、例えばトリブチル・ホスフェートによるウラニウム塩類、プルトニウム塩類およびトリウム塩類の抽出;あるいは一般的な化学的工程における洗浄作業、に使用され得る。
【0004】
流体抽出は、混合不能な2つの流体相の間における抽出物質の分散平衡(Verteilungsgleichgewicht)に基づく。抽出成分(抽出物質)は、流体のキャリア媒体中に溶解または分散して存在している。キャリア媒体に混ざらない溶剤(抽出剤)は通常、可能な限り高い抽出物質の選択性を有している。キャリア媒体および抽出剤は互いに接触し、キャリア媒体と抽出剤との間における抽出物質の分散に対する理想的な分散平衡を生む。相分離の後に、抽出物質と共に生成されたラフィネートは消耗せしめられ、抽出物質と共に生成された抽出エッセンスは濃縮される。しばしば、所望の濃縮に対する平衡段階が十分ではないのは、平衡位置(Greichgewichsteinstellung)が不完全であるか、選択性が十分でないからである。それは、連続して切り替わる複数の分離段階によって機能せしめられ得る。可能な限り効率的である混合不能な流体間の物質交換が生じるためには、可能な限り大きな相界面が形成されなければならない。この目的のために、抽出装置においては通常、2つの相のうちの1つは滴剤(Tropfen)の中に分離される。つまり、分散相と連続相との混合物が生じる。2つの相のいずれが分散するかは、例えば材料の特性、相の数または抽出装置の構造など、いくつかの要因に依存する。相分散は一般に、より大きな表面つまり、より大きな質量流を備えた最大の相を供給する。高い表面張力を備えた相が使用される場合、相の分散は特に困難である。他方において高い表面張力は、混合を解くのが非常に難しい乳濁液の形成を防ぐのに望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、抽出方法を更に改善することであり、特にキャリア媒体および抽出剤の効率的な混合に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
静的ミクロミキサーの使用が抽出方法におけるキャリア媒体および抽出剤の混合に特に適していることが発見された。したがって、本発明は、抽出を実行するための方法であって、この際に、
−少なくとも2つの互いに混合不能な流体相が互いに混合され、
−この際に少なくとも1つの相は、別の相を用いて抽出可能な少なくとも1つの物質を含んでおり、この際、プレート形状の構成部材を少なくとも1つ有する静的ミクロミキサーを少なくとも1つ使用することで混合が生じ、この際に当該プレートは、
−少なくとも1つの流体流を、プレート面に位置する連結チャネルへと導き入れるための少なくとも1つの引入口、および流体流をプレート面に位置する混合ゾーンへと送出するための少なくとも1つの流出口を有し、
−この際に引入口は、プレート面に位置する連結チャネルによって流出口と連結しており、さらに
−この際に連結チャネルは、混合ゾーンへの出口の手前で微細構造ユニットによって2以上の分配チャネルに分割され、この際に当該分配チャネルの幅はミリメートルないしサブミリメートルの範囲にあって混合ゾーンの幅よりも小さいことを特徴とする抽出を実行するための方法を提供するものである。
【0007】
静的ミクロミキサーを使用する利点は、抽出装置のサイズを縮小することができ、さらにシステムへの統合が可能である点である。静的ミクロミキサーは、比較的小さな圧力損失で急速かつ激しい混合が可能であり、設置場所も小さく、生産に必要な部材もシンプルである。ミクロミキサーは、出口側に独立して接続され得るセパレーターを備えることで、ミキサー/セパレーター・ユニットとして集約され得る。2つまたは複数の統合ミキサー/セパレーター・ユニットあるいは独立ミキサー/セパレーター・ユニットを、ミキサー/セパレーター・バッテリーに近接した領域で共動または連続接続することにより、さらなるプロセス最適化、特に、望ましい濃縮度または消耗度を達成することができる。本発明にかかる静的ミクロミキサーを用いた大きな境界面の形成、特に、より高い境界張力による流体の混合は、分散平衡の調整をサポートする。混合は、1 秒と数ミリ秒で達成され得る。
【0008】
周知のミクロミキサーの1つの様式は、拡散制御の混合プロセスに基づいている。このために、交互に隣接する流体プレートが、マイクロメートルオーダーの厚さで作製されている。ジオメトリを選択することによって、流体プレートの幅すなわち混合経路を調節することができる。このような静的ミクロミキサーは、例えば、DE19927556A1、DE20206371U1およびWO02/089962に記載されている。微細な流体プレート間の拡散に基づくミクロミキサーの不利な点は、生じる流速が比較的小さく、層流の流通条件を維持することが必要な点である。この混合原理によって、相対的により小さい流量が可能となる。
【0009】
ミクロミキサーはさらに、直通チャネルを備えた案内部材、または、上下に積層されることにより、異なった流体を混合するための多くのチャネルを形成する、溝を備えた薄板からなる。ここで、チャネルの寸法はマイクロメーターオーダーである。
遊離流は、隣接する流体層として、近接するチャネルから混合領域へ流出する。その際、拡散および/または乱れによって混合が生じる(WO97/17130と、そこに引用された文献WO97/17133、WO95/30475、WO97/16239、WO00/78438を参照)。これらの部材の生産は、比較的高価で困難である。また、多数の長くて非常に細いチャネルを通って混合された流体を運搬することにより、比較的高い圧力損失が生じる。高生産性を達成する必要がある場合、強いポンプ装置の利用が必要となり得る。
【0010】
以降において、「流体」の概念のもとでは、気体物質もしくは液体物質またはこの物質の混合物と理解され、これは固体、液体または気体状物質を溶解、または分散させて含有することができる。混合の概念は、前記物質の溶解、分散および乳化がさらに含まれる。それゆえ混合物の概念は、溶液、液体‐液体‐エマルション、気体‐液体分散物、および固体‐液体分散物を含む。
【0011】
「分配チャネル」の概念は、混合ゾーンへの出口の直前で微細構造ユニットによって流体流を分割流に分割することをも含む。この構成部材のサイズ、詳細には長さおよび幅は、ミリメートルの範囲に存在してもよく、また好ましくは1mmより小さくてもよい。分配チャネルは、流れの調整に絶対必要な長さにまで短縮されることが好ましく、それゆえ一定輸送量用に相対的に小さな圧力を必要とする。ここで、分配チャネルが交差しないことが望ましい。分配チャネルの長さと幅の比率は、1:1ないし20:1の範囲にあることが好ましく、とくに8:1ないし12:1、特に好ましくは約10:1である。微細構造ユニットは、混合ゾーンへの出口における流体流の流速が連結チャネルへの入口における流速と同じく大きくなるように、また好ましくは混合ゾーンを通る混合物の流速より速くなるように仕上げられることが好ましい。
【0012】
プレート上に設けられた連結チャネルおよび分配チャネルは自由な形に実施可能である。異なる溶媒および量を輸送しうるために、プレートもプレートにそれぞれ設けられた個々のチャネルについても、高さ、幅および太さにおいて異なっていてもよい。プレートの基本形は任意であり、たとえば円形または楕円形のような丸みのある形状、または矩形または正方形のような角張った形状でもよい。プレート形状は、可能な限り単純な製造に基づいて最適化されてもよいし、あるいは可能な限り軽量で可能な限り小さな未利用平面に基づいて最適化されてもよい。分配チャネルの出口はそれぞれ任意に配置されることができ、直線から任意の幾何学形状にわたってもよい。流出口はたとえば、とくにプレート面の混合ゾーンが完全に取り囲まれて存在している場合には円形状の線にしたがって配置されることもできる。2以上の成分(A,B,Cなど)は円板へと導かれ、それぞれが同じまたは異なる分量比率にて混合される。分配チャネルは、混合ゾーンへ出口に沿った線に対向または従って任意の角度で延びることができる。それぞれにたとえば成分Aの流れる複数の分配チャネルが並行して配置されて、同じプレートの隣接する区域において、それぞれにたとえば成分Bの流れる複数の分配チャネルが並行して配置されることもできる。しかしまた構成部材は、分配チャネルから分配チャネルへと成分A、Bなどが同じプレート上を交互するように追加の打ち抜き部および追加の分配チャネルを用いてプレート上で配置されることもできる。
【0013】
分配チャネルは、混合ゾーンへの出口で1μmないし2mmの範囲の幅、ならびに10μmないし10mmの範囲の深さを有することが好ましく、さらに5μmないし250μm範囲の幅ならびに250μmないし5mmの範囲の深さを有することがとくに好ましい。
【0014】
連結チャネルは種々の幅を有することができる。連結チャネルの最大幅および/または引入口の幅の、混合ゾーンへの出口での分配チャネルの幅に対する比率が、2より大きく、とくに5より大きいことが好ましい。分配チャネルの幅に対する混合ゾーンの幅の比率が2より大きいことが好ましく、5より大きいことがとくに好ましい。
【0015】
プレート上の構成部材は、10ないし1000μmの厚さを有することができる。チャネルの高さは1000μmより小さいことが好ましく、とくに250μmより小さいことが好ましい。微細構造組み込み部およびチャネル底の壁厚さは100μmより小さいことが好ましく、70μmより小さいことがとくに好ましい。
【0016】
特に優れた実施態様は、引入口または流出口または混合ゾーンの少なくとも一つがプレート面で完全に閉じ込められ(取り囲まれ)ている。この場合に開口部は、たとえば丸みを帯びた、あるいはたとえば矩形状の角張ったくり抜きとして存在する。取り囲まれた混合ゾーンの場合、これが楕円または円形の形態であることが好ましい。分配チャネルは、混合ゾーンの方向へ次第に細くなる噴出口の形態にもできる。分配チャネルは直線的にまたはらせん状に曲げられることもできる。分配チャネルは、混合ゾーンの周囲線に対して直角に混合ゾーンへ通じていてもよいし、あるいは90°と異なる角度にて通じていてもよい。直角でない通路の場合は、複数の混合プレートからなる積み重ねの形成において、それぞれが直角に向き合ってずれているプレートが隣り合うことが好ましい。らせん状の分配チャネルが延びる場合でも同様に、複数の混合プレートからなる積み重ねの形成において、それぞれがらせんの逆回転向きであるプレートが隣り合うことが好ましい。
【0017】
また、本方法において分配チャネルが曲がった通路を有している場合、混合ゾーンへの流入が同一方向となって混合流の中に強い回転が生成され、その結果遠心力の効果が生じる利点がある。より重い液体成分は混合ゾーンを流通する混合流の外縁に位置し、より軽い成分は混合流の中央に位置する。より重い相に抽出物がある場合、この方法によって、特に、主チャネルの壁が形成するミクロチャネルから流れ込む、より軽い相との強度な混合が得られる。この方法によって、抽出の理論上の底数(Bodenzahl)が増大せしめられ得る。そのような静的遠心抽出装置は、回転抽出装置の複雑で故障がちな機構を必要とすることなく、回転抽出装置の利点を有している。
【0018】
開口部の間の連結チャネルは、掘り下げによって形成されることが好ましい。しかしまた引入口および/もしくは流出口または混合ゾーンは、プレート周縁に配置されてもよいし、プレート周縁の切欠き部により配置されてもよい。
【0019】
さらに優れた実施形態においては、少なくとも2つの異なる流体流のための引入口が少なくとも2つ存在し、それぞれの引入口はそれぞれの連結チャネルを通じて混合ゾーンに連結している。2つの異なる流体のための2つの流出口が混合ゾーンの対向する側に存在するのが好ましく、混合ゾーンはプレート面内に完全に閉じ込められて位置するのが好ましい。
【0020】
構成部材の原料として、たとえば金属、とくに特殊鋼などの耐食性の金属、ならびにガラス、セラミックまたは合成物質が適している。構成部材は、表面に微細構造を形成するためのよく知られた技術を用いて、たとえば金属のエッチングまたはフライス加工によって、または合成物質の型押しまたは絞り出しによって製造されうる。
【0021】
本発明で使用されうる静的ミクロミキサーは、少なくとも2個の流体供給部および少なくとも1個の流体送出部を含むケースを有する。このケース内には、積み重ねに配置されたプレート状のミクロミキサー部材が1個または少なくとも2個以上存在する。積み重ねは任意数のプレートから形成されることができ、この積み重ね高さに相当する流入を実現させる。ミキサーのいかなる位置でも同じ圧力を確保するために、長めの長さにおいて流体供給は複数の位置で行うことができる。たとえばプレート上の切り込み溝またはブリッジは、積み重ねおよび調節を可能とする。引入口が副チャネルとしてそれぞれのキャリア流体あるいは抽出流体の供給を成立させて、流出口もしくは混合ゾーンが一緒に主チャネルとして流体混合物の送出を成立させるように、また主チャネルおよび副チャネルが積み重ねを通って延びるように、プレートは互いに積み重なる。引入口がプレート周縁に切欠き部として配置されている場合、ケース壁はそれぞれの副チャネルを外向きに閉鎖する副チャネル壁部分を形成する。混合ゾーンがプレート周縁に切欠き部として配置されている場合、ケース壁は主チャネルを外向きに閉鎖する主チャネル壁部分を形成する。ミクロミキサーは少なくともたとえば5、10、100もしくは1000以上の分配チャネルを全部で有してもよいし、複数の分配チャネルを有している個々のプレートによる積み重ねから構成される。
【0022】
プレートの流出口から混合ゾーンへ流れ出る第1流体Aの部分流はそれぞれ、隣接するプレートの流出口から混合ゾーンへ流れ出す第2流体Bの部分流のすぐ隣りにあり、混合ゾーンに到達して拡散および/または乱流により混合物となることが好ましい。ここで、混合物は、少なくとも部分的なまたは完全な乱流によって生じるのが好ましい。
【0023】
ミクロミキサーの一の実施態様において、プレートの連結チャネルは掘り下げ加工により形成され、連結チャネルは混合ゾーンへの出口の手前でプレートに設けられた微細構造ユニットによって分配チャネルに分割される。別の実施態様では、プレートの連結チャネルはプレートの掘り出し加工(Ausnehmung)によって形成され、この場合にプレートはそれぞれの上階プレートと下階プレートの間に挟まれるプレートとして配置され、混合ゾーンへの出口の手前で連結チャネルは上階プレートおよび/または下階プレートに設けられた微細構造ユニットによって分配チャネルに分割される。本発明にかかるミクロミキサーに、熱供給または熱送出のための熱交換器を統合することができる。それによって、分離挙動の分散係数の温度依存がさらに最適化され得ると共に、冷却状態で温度反応性物質の低温抽出が成し遂げられる。
【0024】
本発明の抽出方法では、流体流または混合ゾーンへの流体流の流速が混合ゾーン内の混合物の流速よりも大きいことが好ましい。混合ゾーン内で乱流を発生し、混合ゾーン内での混合が乱流によって全体的に、または少なくとも部分的に行われるようなミクロミキサーの配置ならびに流速がとくに好ましい。
【0025】
2つの流体相は異なる副チャネルを通って供給されてもよいし、あるいは一方の相(連続相が好ましい)が主チャネルを通り他方の相(分散相が好ましい)が副チャネルを通って供給されてもよい。
【0026】
本発明の方法の能力を向上させるために、プレートにおけるチャネルの数を増加させることができるし、ミクロミキサーにおいて上下に積層されたプレートの数を増加させることもできるし、あるいは複数のミクロミキサーをモジュールのように並行に接続して作動させることもできる。特に分離性能の改善のために、2個以上のミクロミキサーを、一列に順番に切り替えて操作することもできる。その際、混合不能な相を分離するセパレーターは、ミクロミキサーに統合され、かつ/または、個別のユニットとして出口側に接続され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に適した構成部材およびミクロミキサーの典型的な実施態様を図面に基づいて説明する。
【0028】
実施態様の一つが図1aおよび図1bに表されている。プレート(1)はそれぞれ取り囲まれた引入口(2)を有する。引入口(2)はそれぞれ、掘り下げ加工によって各プレート面に形成されている連結チャネル(3)と連結している。へこみ状チャネル(3)はそれぞれ、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割される。分配チャネル(7)は、流出口(4)によって取り囲まれた混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置されている。混合ゾーン(5)および引入口(2)はプレート上に打ち抜きとして形成される。微細構造ユニットは、一例としてらせん状に曲げられて形成され、図1aおよび図1bにおけるらせんは反対向きの回転を有する。しかしまた微細構造ユニットは直線的で曲げられずに形成されてもいてもよい。プレートが円板に形成されている場合、プレートの回転および位置ずれを防止するために、その周縁にケース(11)内で固定要素(14)と協働できる切欠き部(8)を有するのが好ましい。しかしまたプレートは角張った、好ましくは矩形(たとえば正方形)に形成されてもよい。この場合は切欠き部および固定要素を無くすことができる。2個の引入口(2)によって2つの異なる流体流が混合ゾーン(5)の面に供給され、この場合、2つの異なる流体流の割り当てられ得る流出口が互いに対向して位置することが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図1aに記載のプレートと図1bに記載のプレートとが交互し、たとえば層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる流体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。引入口が副チャネルとしてそれぞれの流体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルとして混合物の送出を成立させるように、プレートは互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。
【0029】
別の実施態様が図1cに示されている。プレート(1)は1個の取り囲まれた引入口(2)を有し、これはプレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)と連結している。へこみ状チャネル(3)は多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割される。分配チャネル(7)は、取り囲まれた混合ゾーン(5)に流出口(4)によって通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)はプレート上に打ち抜きとして形成される。微細構造ユニットは、一例としてらせん状に曲げられて形成される。しかしまた微細構造ユニットは直線的に、曲げられずにまたは他の任意な幾何学形状にて形成されてもいてもよい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましい。積み重ねにおいて、引入口が副チャネルとしてそれぞれの流体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルとして混合物の送出を成立させるようにプレートは互いに積み重なる。主チャネルには、混合されうる成分のひとつ、好ましくは混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。この実施態様は、たとえば気体/液体抽出にとくに好適である。この場合、液相は中央の主チャネルを通って供給され、気相は副チャネルを通って供給される。プレートの積み重なりは、交互する積層構造の構築を有することが好ましく、この場合に逆方向の回転方向のらせん状の微細構造ユニット(6)を有するプレートが互いの上に交互に重なる。しかしまた単一のプレート型だけでもよい。この場合、微細構造ユニットは直線的に形成され、分配チャネルが噴射口を形成するように成形されることが好ましい。
【0030】
別の実施例が図1dに示されている。プレート(1)は1個の取り囲まれた引入口(2)、1個の取り囲まれた混合ゾーン(5)および1個の取り囲まれた通過口(9)を有する。引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)と連結し、これは多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、取り囲まれた混合ゾーン(5)に流出口(4)によって通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)、引入口(2)、および通過口(9)はプレート上に打ち抜きとして形成される。微細構造ユニットは、一例としてらせん状に曲げられて形成される。しかしまた微細構造ユニットは直線的に、曲げられずにまたは他の任意な幾何学形状にて形成されてもいてもよい。連結チャネルにおける追加の組込み部(10)によって、連結チャネル(3)内での流通条件が最適化される。プレートが円板に形成されている場合、プレートの回転および位置ずれを防止するために、その周縁にケース(11)内で固定要素(14)と協働できる切欠き部(8)を有するのが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この場合図1dに記載のプレートを180°回転させたものが交互に上下に重なり合う。これにより、2つの異なる流体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。引入口(2)および通過口(9)が交互して2個の副チャネルとして2つの流体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルとして混合物の送出を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。しかしまた主チャネルには、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。プレートの積み重なりは、交互する積層構造の構築を有することが好ましく、この場合に逆方向の回転方向のらせん状の微細構造ユニット(6)を有するプレートが互いの上に交互に重なる。しかしまた単一のプレート型が使用されるだけでもよい。この場合、微細構造ユニットは直線的に形成され、分配チャネルが噴出口を形成するように成形されることが好ましい。
【0031】
別の実施態様が図2aないし2cに示されている。プレート(1)はそれぞれ取り囲まれた3個の引入口(2)を有する。各引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各へこみ状チャネル(3)は、少なくとも1個の微細構造ユニット(6)により少なくとも2個の分配チャネル(7)に分割される。より多数の微細構造ユニットを用いて、より相当多数の分配チャネルに分割することができる。分配チャネル(7)は、流出口(4)によって混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)はプレートに打ち抜きとして形成される。微細構造ユニットは、異なる回転方向を有するらせん状に形成されていてもよいし、直線的に形成されていてもよい。3個の引入口(2)によって、同じまたは3つまでの異なる流体流が混合ゾーン(5)平面へと供給される。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図2a、2bおよび2cに記載の異なったプレート型が交互し、たとえば層構造ABCABCを有する交互の構築を生じる。これにより、2つの異なる流体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。積み重ねにおいてプレートは、引入口が副チャネルとしてそれぞれの流体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルとして混合物の送出を成立させるように互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。
【0032】
別の実施態様が図3aおよび3bに示されている。プレート(1)はプレート端にそれぞれ位置する2個の引入口(2)を有する。各引入口(2)はプレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各へこみ状チャネル(3)は、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、取り囲まれた混合ゾーン(5)へと流出口(4)によって通じる。流出口は直線上に配置されている。混合ゾーン(5)はたとえば矩形状の打ち抜きとしてプレートに形成されている。微細構造ユニットは一例として流れの方向に対して斜めに形成され、この傾斜は図1aおよび1bにおいて逆方向を示す。しかしまた微細構造ユニットは同じまたは小さな傾斜にそれぞれ形成されることもできる。プレートはほぼ正方形の基本形を有するが、他の任意な基本形(角張った、丸みを帯びた、楕円状など)を有してもよい。2個の引入口(2)によって、2つの異なる流体流が混合ゾーン(5)平面へと供給され、この場合に2つの異なる流体流の割り当てられた流出口が互いに対向して位置することが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図3aに記載のプレートと図3bに記載のプレートとが交互し、交互の層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる流体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。積み重ねにおいてプレートは、引入口がミキサー縁のミキサーケースと共に、副チャネルとしてそれぞれの流体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンがミキサー内部の主チャネルとして混合物の送出を成立させるように互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。
【0033】
別の実施態様が図3cおよび3dに示されている。プレート(1)はそれぞれのプレート端に位置する4個の引入口(2)を有する。各引入口(2)はプレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各へこみ状チャネル(3)は、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、取り囲まれた混合ゾーン(5)へと流出口(4)によって通じる。流出口は円線上に配置されている。連結チャネルはらせん状に曲げられており、図3cと図3dにおけるらせんの回転は逆向きである。混合ゾーン(5)はたとえば矩形状の打ち抜きとしてプレートに形成されている。微細構造ユニットは一例として直線的に形成されているが斜めまたはらせん形状に曲げられていてもよい。プレートはほぼ正方形の基本形を有するが、他の任意な基本形(角張った、丸みを帯びた、楕円状など)を有してもよい。4個の引入口(2)によって、同じまたは4つまでの異なる流体流が混合ゾーン(5)平面へと供給され、この場合に異なる流体流の割り当てられた流出口が互いに対向して位置することが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際にらせん状に曲がった連結チャネルの回転方向が逆向きである図3cに記載のプレートと図3dに記載のプレートとが交互し、交互の層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる流体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。積み重ねにおいてプレートは、引入口がミキサー縁のミキサーケースと共に、副チャネルとしてそれぞれの流体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンがミキサー内部の主チャネルとして混合物の送出を成立させるように互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。
【0034】
別の実施態様が図4aないし4fに示されている。プレート(1)はそれぞれ取り囲まれた引入口(2)および取り囲まれた通過口(9)を有する。各引入口(2)はプレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各連結チャネル(3)は、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、プレート端に配置された流出口(4)よって、プレート面の外側に位置する混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は直線上に配置されてもよいし(図4e、4f)、湾曲線上に配置されてもよく、湾曲線は凸部(図4a、4b)または凹部(図4c、4d)でもよい。引入口(2)および通過口(9)は打ち抜きとしてプレートに形成されている。微細構造ユニットは、連結チャネルによって設定される流れ方向に対して並行または異なる角度で用いられることができる。プレートが円板に形成されている場合、プレートの回転および位置ずれを防止するために、その周縁にケース(11)内で固定要素(14)と協働できる切欠き部(8)を有するのが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図4aに記載のプレートと図4bに記載のプレートもしくは図4cに記載のプレートと図4dに記載のプレート、もしくは図4eに記載のプレートと図4fに記載のプレートとが交互し、交互の層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる流体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。混合ゾーンへの出口における分配チャネルの角度は、隣接するプレートにおける混合ゾーンの開始ラインに関して異なっていることが好ましく、とくに逆に90°偏向するのが好ましい。引入口(2)および通過口(9)が交互してミキサー内部に位置する2個の副チャネルとして2つの流体流の供給を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。混合ゾーンはケースと共に、主チャネルとして混合物の供給を成立させることができる。
【0035】
別の実施態様が図5aおよび図5bに示されている。プレート(1)はそれぞれ取り囲まれた引入口(2)および取り囲まれた2個の通過口(9)を有する。各引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各連結チャネル(3)は、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、プレート端に配置された流出口(4)よって、プレート面の外側に位置する混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は直線上に配置されても(図5a)、湾曲線上に配置されて(図5b)もよく、湾曲線は凸曲線または凹曲線でもよい。引入口(2)および通過口(9)は打ち抜きとしてプレートに形成されている。微細構造ユニットは、連結チャネルによって設定される流れ方向に対して並行または異なる角度で用いられることができる。プレートが円板に形成されている場合、プレートの回転および位置ずれを防止するために、その周縁にケース(11)内で固定要素(14)と協働できる切欠き部(8)を有するのが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図5a、または図5bに記載の3つの異なる型のプレートが交互し、交互の層構造ABCABCを有する構築を生じる。これにより、それぞれ異なる流体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。混合ゾーンへの出口における分配チャネルの角度は、隣接するプレートにおける混合ゾーンの開始ラインに関して異なっていることが好ましく、とくに逆に90°偏向するのが好ましい。引入口(2)および通過口(9)が交互して、ミキサー内部に位置する3個の副チャネルとして3つの流体流の供給を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。混合ゾーン(5)はケースと共に、主チャネルとして混合物の供給を成立させることができる。
【0036】
図6aには静的ミクロミキサーの実施態様の概略構造の縦断面が示されている。ケース(11)は流体供給部(12a)を有する。ケース(11)内には、多数の本発明の混合プレート(1)からなる積み重ねを含む。プレートの引入口および通過口は、プレート面に垂直に可動な閉鎖装置(13a)によって密閉・開放されることが好ましい。閉鎖装置により、流速も調整されうる。混合物はケース内部に位置する混合ゾーンから適切な流体送出を経て放出されることができる。
【0037】
図6bには静的ミクロミキサーの横断面が示されている。ケース(11)内には切欠き部(8)および固定要素(14)によって位置保持される混合プレート(1)が組み込まれている。混合プレートとしての一例として図5a記載のプレートを示した。
【0038】
別の好適な実施態様が図7a−bおよび図8a−cに示されている。これら実施態様では、異なる流体流が交互して通過するのを可能にする隣り合う分配チャネル(7)および(13)を有し、これにより異なる流体流を混合ゾーン(5)すぐ隣の平面へと供給できることとなる。
【0039】
図7aに示されたプレート(1)は、それぞれ取り囲まれた引入口(2)、取り囲まれた混合ゾーン(5)および取り囲まれた通過口(9)を有する。引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結しており、各連結チャネルは、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、流出口(4)よって混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)および通過口(9)は、プレートに打ち抜きとして形成される。微細構造ユニット(6)内には、掘り下げて形成された別の分配チャネル(13)が一体化しており、これは連結チャネル(3)から遮られて混合ゾーンへと通じる。分配チャネル(7)およびこの別の分配チャネル(13)は交互に隣り合って配置されている。プレートは追加の打ち抜き(12)を有し、この際に打ち抜き(12)の数および追加の分配チャネル(13)の数は同数である。打ち抜き(12)は、プレート(1)が180°回転させて第2のプレート上に置かれた場合に下に位置するプレートの追加の分配チャネル(13)の上方にそれぞれ存在するように配置されている。引入口(2)を通って連結チャネル(3)に流れる流体流は、打ち抜き(12)を通ってその下に位置するプレートの追加の分配チャネル(13)へと流れる。隣り合う分配チャネル(7)および(13)の角度は、互いに混合ゾーンの開始ラインに対して異なっていてもよい。図7aにおいて、分配チャネル(7)の角度は、混合ゾーン(5)の開始ラインに対する追加の分配チャネル(13)の角度について90°対向する偏向を示す。これにより流出口にはそれぞれ2個の分配チャネルが互いに向かって対であてがわれる。これにより2つの異なる流体流がお互い向かって供給される。しかしまた分配チャネルは混合ゾーンに対して直角並行にまたは斜めに走ることもできる。図7aは、周りに180°回転させた2個の同じプレート(1)を横に並べて示す。図7bは、周りに180°回転させて重ね合わせた2個のプレートの概略を示す。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に周りに180°回転させた図7aに記載のプレートが交互し重なり合う。これにより、2つの異なる流体流を互いに真上と真下でかつ真横どうしで混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。引入口(2)および通過口(9)が交互して2個の副チャネルとして2つの流体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルとして混合物の送出を成立させるように互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。またさらにプレートは、プレートの追加の打ち抜き(12)がそれぞれ隣のプレートに付属する追加の分配チャネル(13)と連絡して連結するように重なり合って位置する。
【0040】
図8aには、図7aと類似の実施態様が示されており、相違は分配チャネル(7)および追加の分配チャネル(13)が同じ混合ゾーン(5)の角度にて並行に斜めに供給されることである。図8aの左のプレートは、混合ゾーン(5)の開始ラインに対する分配チャネル(7)および(13)の角度が90°対向する偏向を有する点で右のプレートと相違する。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図8aに記載の左プレートおよび右プレートが入れ替わりして交互の層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる流体流を互いに真上と真下で隣接し対向する角度にて混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。
【0041】
図8cには図8aと類似の実施態様が示されており、相違は分配チャネル(7)および追加の分配チャネル(13)が並行に混合ゾーン(5)に対して直角で供給されることである。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図8cに記載の左プレートおよび右プレートが入れ替わりして交互の層構造ABABを有する構築を生じる。引入口(2)および通過口(9)が交互して2個の副チャネルとして2つの流体流の供給を成立させるように、かつ混合ゾーンが主チャネルとして混合物の送出を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。またさらにプレートは、プレートの追加の打ち抜き(12)がそれぞれ隣のプレートに付属する追加の分配チャネル(13)と連結するように重なり合って位置する。これにより、2つの異なる流体流を互いに真上と真下でかつ真横どうしで混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。
【0042】
別の実施態様が図8bに示されている。プレート(1)は1個の取り囲まれた引入口(2)、3個の取り囲まれた通過口(9)および1個の取り囲まれた混合ゾーン(5)を有する。引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結しており、各連結チャネルは、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、プレート端に配置された流出口(4)よって、プレート面の外側に位置する混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)および通過口(9)は、プレートに打ち抜きとして形成される。微細構造ユニット(6)内には、掘り下げて形成された別の分配チャネル(13)が一体化しており、これは連結チャネル(3)から遮られて混合ゾーンへと通じる。分配チャネル(7)および別の分配チャネル(13)は交互に隣り合って配置されている。プレートは追加の打ち抜き(12)を有し、この際に打ち抜き(12)の数および追加の分配チャネル(13)の数は同数である。打ち抜き(12)は、プレート(1)が90°回転させて第2のプレート上に置かれた場合に下に位置するプレートの追加の分配チャネル(13)の上方にそれぞれ存在するように配置されている。引入口(2)を通って連結チャネル(3)に流れる流体流は、打ち抜き(12)を通ってその下に位置するプレートの追加の分配チャネル(13)へと流れる。隣り合う分配チャネル(7)および(13)の角度は、互いに混合ゾーンの開始ラインに対して異なっていてもよい。図8bにおいて、分配チャネル(7)の角度は、混合ゾーン(5)の開始ラインに対する追加の分配チャネル(13)の角度について90°対向する偏向を有する。これにより流出口はそれぞれ2個の分配チャネルが対となってあてがわれる。これにより2つの異なる流体流がお互いに供給される。しかしまた分配チャネルは並行に直角にまたは傾斜して混合ゾーンに流れることもできる。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図8bに記載のプレートが周りに任意の順に90°、180°または270°回転させて重なり合う。これにより、2つの異なる流体流を互いに真上と真下でかつ真横どうしで混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。全部で4つまでの異なる流体がミクロミキサーにより混合されうる。引入口(2)および通過口(9)が交互して全部で4個の副チャネルとして4つまでの流体流の供給を成立させるように、かつ混合ゾーンが主チャネルとして混合物の送出を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物を供給することもできる。またさらにプレートは、プレートの追加の打ち抜き(12)がそれぞれ隣のプレートに付属する追加の分配チャネル(13)と連結するように重なり合って位置する。
【0043】
図9には、本発明により適用可能な静的ミクロミキサーの実施可能な実施態様が一例として分解図にて示されている。ケース(11)は、プレート(1)の形態における本発明の構成部材からなる積み重ねを含む。一例として図8aに記載の複数のプレートからなる積み重ねを示すが、本発明の他のプレートを使用することも可能であり、この際に必要に応じてケース形状、流体供給部および流体送出部の数および位置などを適合させる。プレート(1)は、切欠き部(8)が固定要素(14)と協働してプレートの回転を防止するようにはめ込まれる。ケースは流体の供給のための2個の流体供給部(12a)を有する。ケースは、流体送出部(16)を有する1個のキャップ(15)により閉鎖されることができる。
【0044】
実施態様において、本発明の抽出方法は対向流の原理に従って達成可能であり、この際、より小さい密度を有した流体相の供給は、より大きい密度を有した流体相の供給の下方から行われる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1a−bは、引入口および流出口が取り囲まれている、2つの流体流のための2個の引入口を有する混合プレート、図1cは、引入口および流出口が取り囲まれている、1個の引入口を有する混合プレート、図1dは、それぞれ取り囲まれている引入口、通過口および流出口を有する混合プレートを示す。
【図2】図2a−cは、引入口および流出口が取り囲まれている、同じまたは3つまでの異なる流体流のための3個の引入口を有する混合プレートを示す。
【図3】図3a−bは、2つの流体流のための2個の引入口をプレート端に有し、取り囲まれた流出口を有する混合プレート、図3c−dは、同じまたは4つまでの異なる流体流のための4個の引入口をプレート端に有し、取り囲まれた流出口を有する混合プレートを示す。
【図4】図4a−fは、2つの流体流のための取り囲まれた引入口および取り囲まれた通過口、およびプレート端に流出口を有する混合プレートを示す。
【図5】図5a−bは、3つまでの異なる流体流のための取り囲まれた引入口および2個の取り囲まれた通過口、およびプレート端に流出口を有する混合プレートを示す。
【図6】図6aは、静的ミクロミキサーの概略構造の断面図を、図6bは、開放されたケース内のミキサー円板を示す。
【図7】図7a−bは、取り囲まれた引入口および通過口および追加の分配チャネルを有し、隣の分配チャネルが異なる流体の通過を可能にする混合プレートを示す。
【図8】図8a及びcは、取り囲まれた引入口および通過口および追加の分配チャネルを有し、隣の分配チャネルが異なる流体の通過を可能にする混合プレートを、図8bは、取り囲まれた引入口および3個の取り囲まれた通過口および追加の分配チャネルを有し、隣の分配チャネルが異なる流体の通過を可能にする混合プレートを示す。
【図9】図9は、ケースよび複数の混合プレートからなる積み重ねを有するミクロミキサーを示す。
【図10】図10は、混合ゾーンの封鎖可能な成形体を有する混合プレートの積み重ねの横断面を示す。
【図11】図11は、一体化されたミクロミキサープレートの積み重ねを有する2成分保存容器を示す。
【符号の説明】
【0046】
1 プレート
2 引入口
3 連結チャネル
4 流出口
5 混合ゾーン
6 微細構造ユニット
7 分配チャネル
8 切欠き部
9 通過口
10 構成部材
11 ケース
12 打ち抜き
12a 流体供給部
13 追加の分配チャネル
13a 閉鎖装置
14 固定要素
15 キャップ
16 流体送出部
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図3a】

【図3b】

【図3c】

【図3d】

【図4a】

【図4b】

【図4c】

【図4d】

【図4e】

【図4f】

【図5a】

【図5b】

【図6a】

【図6b】

【図7a】

【図7b】

【図8a】

【図8b】

【図8c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出を実行するための方法であって、この際に、
−少なくとも2つの互いに混合不能な流体相が互いに混合され、
−この際に少なくとも1つの相は、別の相を用いて抽出可能な少なくとも1つの物質を含んでおり、この際、プレート(1)形状の構成部材を少なくとも1つ有する静的ミクロミキサーを少なくとも1つ使用することで混合が生じ、この際に当該プレート(1)は、
−少なくとも1つの流体流を、プレート面に位置する連結チャネル(3)へと導き入れるための少なくとも1つの引入口(2)、および流体流をプレート面に位置する混合ゾーン(5)へと送出するための少なくとも1つの流出口(4)を有し、
−この際に引入口(2)は、プレート面に位置する連結チャネル(3)によって流出口(4)と連結しており、さらに
−この際に連結チャネル(3)は、混合ゾーン(5)への出口の手前で微細構造ユニット(6)によって2以上の分配チャネル(7)に分割され、この際に当該分配チャネルの幅はミリメートルないしサブミリメートルの範囲にあって混合ゾーン(5)の幅よりも小さいことを特徴とする抽出を実行するための方法。
【請求項2】
ミクロミキサーが、少なくとも2つの流体供給部(12a)と少なくとも1つの流体送出部(16)とを備えたケース(11)を有し、当該ケース(11)が、積み重ねて配置されるプレート形状の部材(1)を少なくとも1つまたは複数含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
引入口(2)が、混合される液相をそれぞれ供給する副チャネルを形成すると共に、混合ゾーン(5)が、混合された相を送出する主チャネルを形成し、さらに主チャネルおよび副チャネルが積み重ねを通って延びるように、複数のプレート(1)が積み重ねてはめ込まれていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
抽出剤が主チャネルに導かれ、抽出される物質を含有する相が少なくとも1つの副チャネルに導かれることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
プレート(1)の混合ゾーン(5)への出口での分配チャネル(7)の幅が1μm〜2mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
プレート(1)の分配チャネル(7)に対する連結チャネル(3)の最大幅の割合および/または引入口(2)の幅の割合は、2より大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
プレート(1)の分配チャネル(7)の長さと幅の比率が、1:1〜20:1であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
プレート(1)の分配チャネル(7)の幅に対する混合ゾーン(5)の幅の割合が、2よりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
プレート(1)が、追加的に少なくとも1つの通過口(9)を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
プレート(1)の引入口(2)、通過口(9)または混合ゾーン(5)の少なくとも1つが、プレート面で取り囲まれていると共に、連結チャネル(3)が掘り下げ加工により形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
プレート(1)の引入口(2)、通過口(9)または混合ゾーン(5)の少なくとも1つが、プレート周縁またはプレート周縁の切欠き部に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
プレート(1)が、少なくとも2つの異なる流体流のための引入口(2)を少なくとも2つ有し、この際に各引入口(2)は、各連結チャネル(3)により混合ゾーン(5)と連結されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
プレート(1)が2つの異なる流体流のための引入口(2)を2つ有し、この際に、各引入口(2)は各連結チャネル(3)により混合ゾーン(5)と連結されており、かつ、2つの連結チャネル(3)の流出口(4)は互いに対向して位置していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
プレート(1)の流出口(4)が、円形状の線上に配置されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
プレート(1)が、追加の打抜き(12)、および微細構造ユニット(6)内に一体化され分配チャネル(7)から分離した追加の分配チャネル(13)を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
プレート(1)の連結チャネル(3)は掘り下げ加工により形成されており、この連結チャネル(3)が、混合ゾーン(5)への出口の手前でプレート(1)に設けられた微細構造ユニット(6)によって分配チャネル(7)に分割されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
プレート(1)の連結チャネル(3)は、プレート(1)における凹部により形成されており、この際、プレートが各上階プレートおよび下階プレートの間に挟まれるプレートとして配置され、かつ、連結チャネル(3)が混合ゾーン(5)への出口の手前で上階プレートおよび/または下階プレートに設けられた微細構造ユニット(6)によって分配チャネルに分割されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
混合ゾーン(5)への流体流の流入速度が、混合ゾーン内の流体混合物の流速よりも大きいことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
混合ゾーンにおける混合が、少なくとも部分的な乱れによって生じることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。

【図9】
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【公表番号】特表2006−528542(P2006−528542A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520684(P2006−520684)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006043
【国際公開番号】WO2005/018772
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591011627)ウエラ アクチェンゲゼルシャフト (64)
【氏名又は名称原語表記】WELLA AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】