説明

静脈注射における注射液の水位警報装置

【目的】 静脈注射の際に残量の注射液の液面が所定の位置に達すると警報を発して終了時を知らせる注射液の水位警報装置を提供するものである。
【解決手段】 注射液瓶の側壁に貼り付ける貼り付け装置、二つの赤外線センサーを有するブリッジ回路、ブリッジの初期出力値を記憶する単一チップのマイクロプロセッサ、ボタン及びブザーなどから構成される。まず、ブリッジの初期出力値をマイクロプロセッサ記憶させる。注射瓶の水位が所定の位置に降下すると、赤外線センサーが液体に当たらないために反射光が変化すると共に、ブリッジ回路の出力値も変化する。その結果、マイクロプロセッサが警報信号を出力し、ブザーから警報を発生させる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、静脈注射において注射液の水位を警報するため装置に関するものであり、特に、注射液瓶の側壁に貼り付けられた二つの赤外線の光センサーによって注射液の水位変化を検出するブリッジ回路を形成し、さらにマイクロプロセッサでデータを判読して警報信号をブザーから発させる水位警報装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、静脈注射、所謂「点滴」は医療の過程では、しばしば行われる治療行為と言える。静脈注射は時間を長く費やすので、普通、看護人がそばに待つことなく、注射液を使い減らす次第になっている。その代わりに、大体の時間を隔て、注射液の残った状況を調べて見る。注射液が殆ど使い尽くされた場合には、注射針を抜くかまたは新しい注射液に取り換えている。しかしにがら、看護人の不足等に伴って、人為の粗忽に加え、過量の注射液を施したりまたは注射液が使い尽くされて、血が注射液瓶へ逆流する現象、または空気が体内に注入されてしまう危険性などをもたらす。また、看護者が忙しくても、頻繁に注射液の状態を調べなければならないので、苦労だけでなく、仕事の邪魔となることも十分にある。
【0003】
また、現今、医院の注射液の制御器では、その容積及び電力消費が非常に大きいばかりでなく、価段も相当に高い(数万元NT)ので、あらゆる人の愛用品だと言えない。况して、従来装置では点滴の滴下を検出しながら、滴下しなくなってから一定時間経過したあとで、警報信号が鳴る方式を用いているので、注射液の任意のレベルで、警報を発させるのは不可能である。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
したがって、本考案の主な目的は、静脈注射する注射液の水位を任意のレベルで警報でき、もって患者に応じた所要量の注射液の静脈注射を行うことができると共に、看護人の負担を軽減でき、かつ、既存の装置の数十分の一程度の価格に抑えることのできる装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案による静脈注射における注射液の水位警報装置は、 二つの赤外線センサーを備え、該赤外線センサーからの信号変化に応じて変化するブリッジ出力値を出力するブリッジ回路と、 適用される注射液瓶の中の注射液へ前記ブリッジ回路の赤外線センサーが光を射出しかつその反射光を受信するように、少なくとも前記赤外線センサーを注射液瓶の側壁に貼り付けるための部材と、 前記ブリッジ回路からのブリッジ出力値をデジタル信号へ変更するためのA/D変換回路と、 前記A/D変換回路から送られてくるブリッジ回路からのブリッジ出力値の初期出力値をセーブしたのち、該初期出力値とその後に送られてくる実際変化値とを比較し、両者間の差が所定値を越えたときに警報信号を発生する単一チップのマイクロプロセッサと、 前記マイクロプロセッサからの警報信号によって作動されるブザーと、 前記マイクロプロセッサにおける初期出力値のセーブおよび警報信号を発生したのちのマイクロプロセッサのリセットを行うためのボタンとから構成される。
【0006】
かくの如く構成することにより、本考案の水位警報装置では、注射液瓶の側壁に貼り付けられた二つの赤外線センサーにより、注射液瓶内の注射液へ光を射出し、その反射光を受信する。マイクロプロセッサでブリッジ回路の初期出力値を記憶する。注射注射液の水位があるレベルまで降下すると、赤外線センサーの一方からの光が注射液に当たらないため、反射光の状態が変化する。その結果、マイクロプロセッサがブリッジ出力値の変化に合わせて警報信号をブザーから発させる。
【0007】
【考案の実施の形態】
本考案者は上述のような危険性や不便さに鑑みて、研究工夫することにより、ついに本考案を開発したものである。
【0008】
具体的に言えば、本考案では、赤外線センサーの光源で注射瓶へ赤外線を照射すると、瓶内の注射液に当たるか当たらないかにより反射光の強さも異なる。また、赤外線センサーのフォトトランジスタが違った強さの反射光を受けるとターンオンの状態もかならず相違する。この現象を利用して、二つの赤外線センサーを用いてブリッジ回路を形成し、次いで、単一チップのマイクロプロセッサで、ブリッジの初期出力値を記憶する。注射瓶の水位がある所に降下すると、その一つの赤外線センサーが注射液に当たらないため、反射光が変化されると共に、ブリッジ回路の出力値も変化される。その結果、マイクロプロセッサがそれに応じて信号を供給し、ブザーから警報信号を発させていく手段が取られている。
【0009】
本考案をなお諒解するために、以下、図面に合わせて、特殊の構造及び作用をさらに詳しく説明する。
【0010】
【実施例】
まず、図1を参照されたい。それは本考案の実施例におけるブリッジ回路を説明する図である。その中に、発光ダイオードLED1とフォトトランジスタTR1、発光ダイオードLED2とフォトトランジスタTR2はそれぞれ赤外線センサーで、各抵抗に合わせてブリッジ回路になる。調整抵抗VRは発光ダイオードLED2の光度を調整しながらブリッジ回路をバランスするので、ブリッジの出力値VDは零に近似している。
【0011】
ブリッジの構造としては外来の光と影の変化からの錯誤動作を避けるばかりでなく、電圧の変動からの影響も防がれる。具体的に言えば、フォトトランジスタTR1、TR2が赤外線の光源となる発光ダイオードLED1、LED2からの反射光を受信するほかに、外来の光の変化の影響も及ぼされるが、外来の光の変化は同時にフォトトランジスタTR1、TR2に加えられるので、変化の量が同じだと言える。そのために、本考案のブリッジ設計では、フォトトランジスタTR1およびTR2の間から取った出力値VDにとって、外来の光の変化を除く効果が発揮できる。同じ原理によって、電圧の変動の影響も同時にフォトトランジスタTR1、TR2に加えられるため、ブリッジの構造がその変動の影響を取り除く事が出来る。つまり、このブリッジの構造により、従来の赤外線センサー回路では外来の光の変化及び電圧の不安定など要因から生じていた邪魔や誤差動作などを改良してしまう。
【0012】
次に図2を参照されたい。それは本考案の実施例における赤外線センサーと注射液の水位との位置関係を示す図である。注射液がレベルL1に居る場合に、二つの赤外線センサーからの光は共に注射液に当たって反射するので、図1のブリッジはバランス状態にある。しかし、注射液がレベルL2に降下した場合、フォトトランジスタTR1が受ける反射光は変化し、図1のブリッジがアンバランスの状態へ移行し、出力値も変更する。
【0013】
しかし、赤外線センサーを注射液瓶に貼り付けるので、ブリッジをバランス状態に調整しても、貼り付けの傾斜角度、または容器製作の不均一等の要因で、ブリッジ回路をいつでも完全なバランス状態にするのは不可能だと言える。この問題を解決するため、図3に示すように、ブリッジ回路1の後に単一チップのマイクロプロセッサ4を置いて初期出力値の読取の命令に合わせ、その初期出力値を記録する。注射液のレベルが降下する場合、マイクロプロセッサ4が変化するブリッジからの出力値、即ち実際変化値を初期出力値と較べ、異なる状態Dを検出すると、警報信号をブザーへ出力して鳴動させる。
【0014】
図4は本考案の実施例の電気回路図で、その中、1はブリッジ回路であり、2はブリッジ回路のバランス状態をアナログ信号として出力する回路であり、3はA/D変換回路であり、4は単一チップのマイクロプロセッサであり、5はブザーである。なお、マイクロプロセッサ4の処理に関するソフトウエアについては図5のフローチャートを参照されたい。
【0015】
図6は本考案の実施例による水位警報装置の平面、正面からみた断面および底面を示す図である。本水位警報装置の底には注射瓶に貼付するための部材6があり、側部にはボタン7がある。ボタン7は、一回目の押した場合、単一チップのマイクロプロセッサがブリッジ回路の初期出力値を記録する。ブザーがなったときに2回目を押すと、警報信号をリセットしてストップする事が出来る。
【0016】
これにより、主に、ブリッジ回路に設けられた二つの赤外線センサーにより注射液の水位変化を検出する。それから、A/D変換回路及び単一チップのマイクロプロセッサで警報信号をブザーから発させるので、看護人を注意させる効果に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例におけるブリッジ回路の説明図である。
【図2】本考案の実施例における赤外線センサーと注射点滴の水位との位置関係を説明する図である。
【図3】本考案の実施例におけるブリッジ回路を単一チップのマイクロプロセッサに接続することに関する説明図である。
【図4】本考案の実施例の電気回路図である。
【図5】本考案の実施例におけるマイクロプロセッサのソフトウェアのフローチャートである。
【図6】本考案の実施例の平面、正面から見た断面及び底面を示す図である。
【符号の説明】
1 ブリッジ回路
2 ブリッジ回路のバランス状態をアナログ信号として出力する回路
3 A/D変換回路
4 マイクロプロセッサ
5 ブザー

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 二つの赤外線センサーを備え、該赤外線センサーからの信号変化に応じて変化するブリッジ出力値を出力するブリッジ回路と、適用される注射液瓶の中の注射液へ前記ブリッジ回路の赤外線センサーが光を射出しかつその反射光を受信するように、少なくとも前記赤外線センサーを注射液瓶の側壁に貼り付けるための部材と、前記ブリッジ回路からのブリッジ出力値をデジタル信号へ変更するためのA/D変換回路と、前記A/D変換回路から送られてくるブリッジ回路からのブリッジ出力値の初期出力値をセーブしたのち、該初期出力値とその後に送られてくる実際変化値とを比較し、両者間の差が所定値を越えたときに警報信号を発生する単一チップのマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサからの警報信号によって作動されるブザーと、前記マイクロプロセッサにおける初期出力値のセーブおよび警報信号を発生したのちのマイクロプロセッサのリセットを行うためのボタンとから構成されることを特徴とする静脈注射における注射液の水位警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】第3021870号
【登録日】平成7年(1995)12月13日
【発行日】平成8年(1996)3月12日
【考案の名称】静脈注射における注射液の水位警報装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−9778
【出願日】平成7年(1995)8月24日
【出願人】(595082320)
【氏名又は名称原語表記】Kao Han−Chin
【出願人】(595082331)
【氏名又は名称原語表記】Chiang Chiu−Hsiung