説明

静電型電気音響変換器

【課題】振動体や電極に複雑な加工を行うことなく、指向特性を改善する。
【解決手段】静電型スピーカ1は、上面側から見て矩形の第2放音部3、矩形で枠型の絶縁部材10、及び矩形の第1放音部2を重ねた構成となっている。第1放音部2は、電極220U,220Lで振動体210を挟み、第2放音部3は、電極320U,320Lで振動体310を挟んだ構成となっている。振動体210と振動体310は同じ方向へ振動する。振動体310は振動体210より面積が広く、上面側から見て振動体310と振動体210が重なっていない領域においては、振動体210と振動体310が重なっている領域より音圧が低くなる。静電型スピーカ1においては、上面側から見て縁側の音圧が低くなり、サイドローブが小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電型電気音響変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
静電型スピーカの指向特性を制御する発明として、例えば特許文献1や特許文献2に開示された発明がある。特許文献1に開示された発明は、2枚の平板電極の間に振動膜を備えた構成となっており、この振動膜は、振動膜の外縁に近づくほど面密度が増大するように構成されている。この構成によれば、振動膜において面密度が大きい領域では振幅が小さくなって発生する音の音圧が低下するため、サイドローブが抑制される。また、特許文献2に開示された発明も、2枚の電極の間に振動膜を備えた構成となっている。特許文献2の発明においては、振動膜と電極との間の間隔が異なる領域が複数設けられている。静電型スピーカにおいては、振動膜に働く静電力は振動膜と電極との間の距離の2乗に反比例するため、間隔が異なると振動膜から発生する音の音圧も異なることとなる。このため、静電型スピーカにおいて外縁に近い領域で振動膜と電極との間の距離を大きくすれば、外縁に近い領域の音圧が低下するため、サイドローブが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−274363号公報
【特許文献2】特開2007−274362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1の発明においては、振動膜の面密度を外縁に近づくほど大きくする必要があるが、1枚の振動膜において複数の領域で面密度が異なるように振動体を構成するのは難しい。また、1枚の振動膜ではなく面密度が異なる複数の振動膜を用いる方法も考えられるが、この構成では振動膜毎にバイアス電圧を供給する配線が必要となる。
また、特許文献2の発明においては、電極と振動膜との距離を複数の領域で異ならせる必要があるが、電極を1枚で構成しようとすると電極の加工が難しくなる。また、1枚の電極ではなく複数の電極で構成して、各電極と振動膜との距離を異ならせる方法も考えられるが、この構成だと電極毎に信号を供給する配線が必要となってしまう。
また、一対の電極の間に振動膜を挟む構成は、静電型のマイクロフォンとしても用いることができる。振動膜の面密度や電極と振動膜の距離を上記のような構成にすれば、静電型のマイクロフォンにおいても指向特性を制御できるものの、静電型のスピーカの場合と同様に前述の問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、振動体や電極に複雑な加工を行うことなく、指向特性を改善する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明は、複数の振動体と、複数の電極とを有する静電型電気音響変換器であって、前記複数の振動体は、前記振動体の法線方向へ重なり合い、前記振動体の法線方向から見て外縁側の少なくとも一部に前記振動体の重なる数が最も少ない領域を有し、前記電極は、前記振動体に対向して且つ前記振動体と間隔を空けて配置されていることを特徴とする静電型電気音響変換器を提供する。
【0007】
本発明においては、前記法線方向から見て最も面積の大きい前記振動体の縁より内側に他の前記振動体が配置されている構成としてもよい。
また、本発明においては、前記複数の振動体は各々面積が異なり、前記法線方向から見て面積の広い前記振動体の縁より内側に面積の狭い前記振動体が配置されている構成としてもよい。
また、本発明においては、前記法線方向から見て前記振動体の重なる数は、前記振動体の表面に沿った第1方向については中心から外縁に向かうにつれて減少し、前記振動体の表面に沿って前記第1方向と交差する第2方向については同じである構成としてもよい。
また、本発明においては、前記法線方向から見て前記振動体の重なる数は、前記振動体の表面に沿った第1方向については中心から外縁に向かうにつれて減少し、前記振動体の表面に沿って前記第1方向と交差する第2方向についても中心から外縁に向かうにつれて減少する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、振動体や電極に複雑な加工を行うことなく、指向特性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る静電型スピーカ1の平面、側面及び正面を示した図。
【図2】静電型スピーカ1の分解図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】駆動回路100の構成を示した図。
【図5】第2実施形態に係る静電型スピーカ1Aの平面、側面及び正面を示した図。
【図6】駆動回路100Aの構成を示した図。
【図7】第3実施形態に係る静電型スピーカ1Bの平面、側面及び正面を示した図。
【図8】駆動回路100Bの構成を示した図。
【図9】変形例に係る静電型スピーカ1Cの平面、側面及び正面を示した図。
【図10】変形例に係る静電型スピーカ1Dの平面、側面及び正面を示した図。
【図11】変形例に係る静電型スピーカ1Eの平面、側面及び正面を示した図。
【図12】変形例に係る静電型スピーカ1Fの平面、側面及び正面を示した図。
【図13】変形例に係る静電型スピーカ1Gの平面、側面及び正面を示した図。
【図14】静電型マイクロフォン5に係る電気的構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
図1(a)は本発明の実施形態に係る静電型スピーカ1(静電型電気音響変換器)の平面図、図1(b)は静電型スピーカ1の側面図、図1(c)は静電型スピーカ1の正面図である。また、図2は、静電型スピーカ1の分解図である。図に示したように、静電型スピーカ1は、第1放音部2、絶縁部材10及び第2放音部3を積み重ねた構成となっている。なお、図においては、直交するX軸、Y軸およびZ軸で方向を示しており、静電型スピーカ1を正面から見たときの左右方向をX軸の方向、奥行き方向をY軸の方向、高さ(上下)方向をZ軸の方向としている。以下の説明においては、説明の便宜上、Z軸の正方向側を上面側、Z軸の負方向側を下面側と称する場合がある。また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは図面の裏から表に向かう矢印を意味するものとする。また、図中、「○」の中に「×」が記載されたものは図面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。また、図中の各部材の寸法は、各部材の形状や位置関係を容易に理解できるように実際の寸法とは異ならせてある。
【0011】
まず、静電型スピーカ1の構造について説明する。図3は静電型スピーカ1のA−A線断面図である。静電型スピーカ1は、第1放音部2と第2放音部3を備える。
静電型スピーカ1は、第2放音部3の上に絶縁部材10を重ね、絶縁部材10の上に第1放音部2を重ねた構成となっている。第1放音部2と第2放音部3は、上面側から見た形状が矩形であり、第1放音部2を上面側から見た形状と第2放音部3を上面側から見た形状は相似となっている。なお、第1放音部2と第2放音部3は、各々プッシュプル型の静電型スピーカである。従って本実施形態の静電型スピーカ1は、互いに面積が異なり、形状が相似の2組の静電型スピーカを、絶縁部材10を間に挟んで重ねた構成となっている。
【0012】
絶縁部材10は、本実施形態においては絶縁性を有する合成樹脂であり、その形状は上面側から見て矩形の枠型となっている。本実施形態においては、絶縁部材10の、X軸方向の長さは、第1放音部2のX軸方向の長さと同じとなっている。
また、絶縁部材10のY軸方向の長さは、第1放音部2のY軸方向の長さと同じとなっている。即ち、上面側から見た場合、絶縁部材10の外周の形状は、第1放音部2の外周の形状と同じとなっている。
【0013】
第1放音部2は、振動体210、電極220U,220L及び弾性部材230U,230Lを有している。なお、本実施形態においては、電極220Uと電極220Lの構成は同じであり、弾性部材230Uと弾性部材230Lの構成は同じである。このため、これらの部材において符号の末尾が「U」の部材と符号の末尾が「L」の部材とを区別する必要が特に無い場合は、「L」および「U」などの記載を省略する。
【0014】
上面側から見て矩形の振動体210は、PET(polyethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)またはPP(polypropylene:ポリプロピレン)などの絶縁性および柔軟性を有する合成樹脂のフィルム(絶縁層)を基材とし、フィルムの一方の面に導電性のある金属を蒸着して導電膜(導電層)を形成したシート状の構成となっている。なお、本実施形態においては、導電膜は、フィルムの一方の面に形成されているが、フィルムの両面に形成されていてもよい。また、振動体210は、導電性を有する金属を圧延して膜状にした構成であってもよい。
【0015】
弾性部材230は、本実施形態においては不織布であって電気を通さず空気および音の通過が可能となっており、その形状は上面側から見て矩形となっている。
本実施形態においては、弾性部材230のX軸方向の長さは振動体210のX軸方向の長さと同じであり、弾性部材230のY軸方向の長さも振動体210のY軸方向の長さと同じとなっている。また、弾性部材230は、弾性を有しており、外部から力を加えられると変形し、外部から加えられた力が取り除かれると元の形状に戻る。弾性部材230は、絶縁性があり、音が透過し、弾性がある部材であればよく、中綿に熱を加えて圧縮したもの、織られた布、絶縁性を有する合成樹脂を海綿状にしたものなどであってもよい。また、弾性部材230は、音が通過するのであれば空気が通過しない構成であってもよく、例えば、弾性があり不連続気泡のスポンジをシート状にして弾性部材230としてもよい。
【0016】
電極(固定極)220は、PETまたはPPなどの絶縁性を有する合成樹脂のフィルム(絶縁層)を基材とし、フィルムの一方の面に導電性のある金属を蒸着して導電膜(導電層)を形成した構成となっている。電極220は、上面側から見て矩形となっており、表面から裏面に貫通する孔を複数備え、空気および音の通過が可能となっている。なお、図面においては、この孔の図示を省略している。
本実施形態においては、電極220のX軸方向の長さは、弾性部材230のX軸方向の長さと同じであり、電極220のY軸方向の長さも弾性部材230のY軸方向の長さと同じとなっている。振動体210と同様に電極220についても、導電性を有する金属を圧延して膜状にした構成であってもよい。また、電極220は、導電性を備えていれば柔軟性を備えていないものでもよく、例えばパンチングメタルであってもよい。
【0017】
第1放音部2においては、振動体210は、弾性部材230Uの下面と弾性部材230Lの上面との間に配置されている。なお、振動体210は、X軸の正方向側及び負方向側の縁とY軸の正方向側及び負方向側の縁から内側へ数mmの幅で接着剤が塗布されて弾性部材230Uと弾性部材230Lに接着されており、接着剤が塗布された部分より内側は弾性部材230Uと弾性部材230Lに固着されていない状態となっている。
【0018】
電極220Uは、弾性部材230Uの上面側に接着されている。また、電極220Lは、弾性部材230Lの下面側に接着されている。電極220Uは、X軸の正方向側及び負方向側の縁と、Y軸の正方向側及び負方向側の縁から内側へ数mmの幅で接着剤が塗布されて弾性部材230Uに接着されており、電極220Lは、X軸の正方向側及び負方向側の縁と、Y軸の正方向側及び負方向側の縁から内側へ数mmの幅で接着剤が塗布されて弾性部材230Lに接着されている。電極220は、接着剤が塗布された部分より内側は弾性部材230に固着されていない状態となっている。また、電極220Uは、導電膜のある側が弾性部材230Uに接しており、電極220Lは、導電膜のある側が弾性部材230Lに接している。つまり、電極220の導電膜と振動体210は、弾性部材230を挟んで対向している。
【0019】
次に第2放音部3は、振動体310、電極320U,320L及び弾性部材330U,330Lを有している。電極320Uと電極320Lの構成は同じであり、弾性部材330Uと弾性部材330Lの構成は同じである。このため、これらの部材において符号の末尾が「U」の部材と符号の末尾が「L」の部材とを区別する必要が特に無い場合は、「L」および「U」などの記載を省略する。
【0020】
振動体310は、X軸方向とY軸方向の寸法が振動体210と異なるのみであり、他の構成は振動体210と同じである。振動体310のX軸方向の長さは振動体210より短く、Y軸方向の長さも振動体210より短くなっている。従って、振動体310は、振動体210と形状が相似であり、面積が異なる。また、電極320U,320Lも、X軸方向とY軸方向の寸法が電極220と異なるのみであり、他の構成は電極220と同じである。本実施形態においては、電極320のX軸方向とY軸方向の寸法は、振動体310と同じとなっている。また、弾性部材330U,330Lも、X軸方向とY軸方向の寸法が弾性部材230と異なるのみであり、他の構成は弾性部材230と同じである。本実施形態においては、弾性部材330のX軸方向とY軸方向の寸法は、振動体310と同じとなっている。
【0021】
第2放音部3においても、各部材に対して縁から数mmの幅で接着剤が塗布され、下から電極320L、弾性部材330L、振動体310、弾性部材330U、電極320Uの順番で重ねられて互いに接着されている。なお、電極320Uは、導電膜のある側が弾性部材330Uに接しており、電極320Lは、導電膜のある側が弾性部材330Lに接している。つまり、電極320の導電膜と振動体310は、弾性部材230を挟んで対向している。
【0022】
静電型スピーカ1においては、絶縁部材10の下面側に接着剤が塗布され、第2放音部3の上面側に絶縁部材10が接着されている。絶縁部材10を第2放音部3の上面側に接着する際には、上面側から見たときに、矩形の絶縁部材10の対角線の交点の位置と、矩形の第2放音部3の対角線の交点の位置とが重なるように位置合わせをされて接着される。また、絶縁部材10の上面側にも接着剤が塗布され、絶縁部材10の上面側に第1放音部2が接着される。絶縁部材10に第1放音部2の下面側を接着する際には、上面側から見たときに、絶縁部材10の対角線の交点の位置と、矩形の第1放音部2の対角線の交点の位置とが重なるように位置合わせをされて接着される。
【0023】
上面側から見たときに第1放音部2と第2放音部3の形状は相似であるため、第1放音部2、絶縁部材10及び第2放音部3の各対角線の交点の位置が一致するように接着されると、上面側から見て第1放音部2の右側の辺から第2放音部3の右側の辺までの距離a1と、第1放音部2の左側の辺から第2放音部3の左側の辺までの距離a2は同じとなる。
また、上面側から見て第1放音部2でY軸のプラス方向側の辺から第2放音部3でY軸のプラス方向側の辺までの距離b1と、上面側から見て第1放音部2でY軸のマイナス方向側の辺から第2放音部3でY軸のマイナス方向側の辺までの距離b2は同じとなる。
つまり、静電型スピーカ1は、上面側から見た時の形状が点対象な形状となっている。
【0024】
次に、静電型スピーカ1を駆動する電気的構成について説明する。図4は、静電型スピーカ1を駆動する駆動回路100の構成を示した図である。静電型スピーカ1には、増幅部130、昇圧手段である変圧器110、振動体210と振動体310に対して直流のバイアス電圧を印加するバイアス電源120、及び雌型のコネクター140A,140Bを備えた駆動回路100が接続される。一方、静電型スピーカ1は、コネクター140A,140Bに嵌められる雄型のコネクター141A,141Bを備えている。静電型スピーカ1と駆動回路100とでスピーカシステムが構成される。
【0025】
増幅部130は、入力される音響信号を増幅して出力する増幅手段である。増幅部130は、変圧器110の一次側コイルの両端に接続されている。増幅部130で増幅された交流の音響信号は、変圧器110の一次側コイルへ供給される。変圧器110の二次側コイルのセンタータップは、駆動回路100の基準電位であるグラウンドGNDに接続されている。変圧器110の二次側コイルの一方の端子は、コネクター140A,140Bの1番端子に接続され、変圧器110の二次側コイルの他方の端子は、コネクター140A,140Bの3番端子に接続されている。バイアス電源120のプラス側は、抵抗器R1を介してコネクター140A,140Bの2番端子に接続され、バイアス電源120のマイナス側は、グラウンドGNDに接続されている。
【0026】
雄型のコネクター141Aの1番端子はケーブルで電極220Uに接続され、コネクター141Aの3番端子はケーブルで電極220Lに接続されている。また、コネクター141Aの2番端子はケーブルで振動体210に接続されている。雄型のコネクター141Bの1番端子はケーブルで電極320Uに接続され、コネクター141Bの3番端子はケーブルで電極320Lに接続されている。また、コネクター141Bの2番端子はケーブルで振動体310に接続されている。なお、コネクター140A,140B及びコネクター141A,141Bにおいては、各端子間は絶縁されている。
【0027】
次に、第1実施形態の動作について説明する。駆動回路100で静電型スピーカ1を駆動する場合、コネクター141Aがコネクター140Aに嵌められ、コネクター141Bがコネクター140Bに嵌められる。これにより、変圧器110の二次側コイルの一方の端子は電極220Uと電極320Uに接続され、変圧器110の二次側コイルの他方の端子は電極220Lと電極320Lに接続される。また、抵抗器R1が振動体210と振動体310に接続される。
【0028】
コネクターで静電型スピーカ1と駆動回路100が接続された後、増幅部130に交流の音響信号が入力されると、入力された音響信号が増幅されて変圧器110の一次側コイルに供給される。変圧器110で昇圧されて二次側コイルの一方の端子から出力される音響信号は、二次側コイルの他方の端子から出力される音響信号とは信号の極性が逆となる。ここでコネクター140A,140Bの1番端子からプラスの音響信号が出力され、コネクター140A,140Bの3番端子からマイナスの音響信号が出力される場合には、電極220U,320Uにはプラスの電圧が印加され、電極220L,320Lにはマイナスの電圧が印加される。
【0029】
上記の場合において、第1放音部2の振動体210にはバイアス電源120によりプラスの電圧が印加されているため、振動体210は、プラスの電圧が印加される電極220Uとの間の静電引力が弱まる一方、マイナスの電圧が印加される電極220Lとの間の静電引力が強くなる。すると振動体210は、電極220U側に作用する静電引力と電極220L側に作用する静電引力との差に応じて電極220L側(Z軸の負方向)へ変位する。
また、上記の場合において、第2放音部3の振動体310にはバイアス電源120によりプラスの電圧が印加されているため、振動体310は、プラスの電圧が印加される電極320Uとの間の静電引力が弱まる一方、マイナスの電圧が印加される電極320Lとの間の静電引力が強くなる。すると振動体310は、電極320U側に作用する静電引力と電極320L側に作用する静電引力との差に応じて電極320L側(Z軸の負方向)へ変位する。つまり、振動体210と振動体310は、同じ方向へ変位する。
なお、本実施形態においては、電極220Lに供給される音響信号の極性と、電極320Uに供給される音響信号の極性は逆となるため、これらの電極間に作用する静電引力によって電極220U及び電極320Uが変位しないように、電極220Lと電極320Uは剛性が高い(ヤング率が大きい)構成であるのが好ましい。また、電極220Lと電極320Uが変位しないようにするためには、絶縁部材10のZ軸方向の寸法を大きくとるようにしてもよい。
【0030】
次に音響信号の極性が変わり、コネクター140A,140Bの1番端子からマイナスの音響信号が出力され、コネクター140A,140Bの3番端子からプラスの音響信号が出力される場合には、電極220U,320Uにはマイナスの電圧が印加され、電極220L,320Lにはプラスの電圧が印加される。
この場合、第1放音部2においては、振動体210にはプラスの電圧が印加されているため、振動体210は、プラスの電圧が印加される電極220Lとの間の静電引力が弱まる一方、マイナスの電圧が印加される電極220Uとの間の静電引力が強くなる。すると振動体210は、電極220U側に作用する静電引力と電極220L側に作用する静電引力との差に応じて電極220U側(Z軸の正方向)へ変位する。
また、第2放音部3においては、振動体310にはプラスの電圧が印加されているため、振動体310は、プラスの電圧が印加される電極320Lとの間の静電引力が弱まる一方、マイナスの電圧が印加される電極320Uとの間の静電引力が強くなる。すると振動体310は、電極320U側に作用する静電引力と電極320L側に作用する静電引力との差に応じて電極320U側(Z軸の正方向)へ変位する。
つまり、この場合でも振動体210と振動体310は、同じ方向へ変位する。
【0031】
以上説明したように、振動体210,310が音響信号の極性に応じて図のZ軸の正の方向とZ軸の負の方向に変位し、その変位方向と変位量が音響信号に応じて逐次変わることによって振動となり、その振動状態(振動数、振幅、位相)に応じた音波が振動体210,310から発生する。振動体210,310は同じ方向へ変位するため、各振動体からは同じ位相の音波が発生する。発生した音波は、音響透過性を有する弾性部材や電極を通過して静電型スピーカ1の外部に音として放射される。
【0032】
ここで、静電型スピーカ1を上面側(振動体の法線方向)から見て振動体210と振動体310とが重なっていない領域においては、振動体310から発生した音波のみが放射される。一方、静電型スピーカ1を上面側から見て振動体210と振動体310が重なっている領域においては、振動体210から発生した音波と振動体310から発生した音波とが加算されて放射される。このため、静電型スピーカ1を上面側から見て振動体210と振動体310とが重なっている領域から発生する音の音圧は、重なっていない領域から発生する音の音圧より高くなる。
【0033】
このように、静電型スピーカ1においては、静電型スピーカ1を上面側から見て振動体210と振動体310とが重なっていない領域(X軸の正負方向及びY軸の正負方向の外縁を含む領域)から発生する音の音圧は、静電型スピーカ1を上面側から見て振動体210と振動体310とが重なっている領域(上面側から見て縁より内側で振動体210と振動体310が重なっている領域)から発生する音の音圧より相対的に小さくなる。このため、面密度が一定である一枚の振動体と、距離が一定である一対の電極とで構成された従来の静電型スピーカと比較すると、本実施形態の静電型スピーカ1においてはサイドローブが小さくなる。サイドローブが小さくなると、メインローブによって特定の方向のみへ音を放射することが可能となる。つまり、本実施形態においては、静電型スピーカ1から発生する音の指向性が改善されている。
また、本実施形態では、振動体210と振動体310の形状が相似であるため、上面側から見て各振動体の対角線の交点が重なるように配置されると、上面側から見て振動体310の縁から振動体210の縁までの距離は、X軸方向で同じとなり、Y軸方向でも同じとなる。つまり、上面側から見て図5のa1、a2、b1及びb2の各距離が同じとなるため、X軸の正方向、X軸の負方向、Y軸の正方向及びY軸の負方向で均等にサイドローブが小さくなる。
【0034】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係る静電型スピーカ1Aの正面、上面及び側面を示した図である。図に示したように、静電型スピーカ1Aは、第1放音部2A、絶縁部材10及び第2放音部3Aを積み重ねた構成となっている。第1放音部2Aは、弾性部材230Lと電極220Lを備えていない点が第1実施形態の第1放音部2と異なり、他の構成は第1放音部2と同じである。また、第2放音部3Aは、弾性部材330Lと電極320Lを備えていない点が第1実施形態の第2放音部3と異なり、他の構成は第2放音部3と同じである。つまり、第1放音部2Aは、1つの電極と1つの振動体で構成されたシングル型の静電型スピーカである。また、第2放音部3Aも、1つの電極と1つの振動体で構成されたシングル型の静電型スピーカである。
従って、静電型スピーカ1Aは、第1実施形態と同様に、互いに面積が異なり、形状が相似の2組の静電型スピーカを、絶縁部材10を間に挟んで重ねた構成となっている。
【0035】
静電型スピーカ1Aにおいては、絶縁部材10の下面に接着剤が塗布され、第2放音部3A(電極320U)の上面に絶縁部材10が接着される。絶縁部材10を第2放音部3Aの上面に接着する際には、上面側(Z軸の正側)から見たときに、絶縁部材10の対角線の交点の位置と、矩形の第2放音部3Aの対角線の交点の位置とが重なるように位置合わせをされて接着される。
また、絶縁部材10の上面にも接着剤が塗布され、絶縁部材10の上面に第1放音部2A(振動体210)が接着される。絶縁部材10に第1放音部2Aの下面を接着する際には、上面側から見たときに、絶縁部材10の対角線の交点の位置と、矩形の第1放音部2Aの対角線の交点の位置とが重なるように位置合わせをされて接着される。
【0036】
このように各放音部と絶縁部材10の位置を合わせて接着すると、第1実施形態と同様に、正面側から見て第1放音部2Aの右側の辺から第2放音部3Aの右側の辺までの距離a1と、第1放音部2Aの左側の辺から第2放音部3Aの左側の辺までの距離a2は同じとなる。また、上面側から見て第1放音部2AでY軸のプラス方向側の辺から第2放音部3AでY軸のプラス方向側の辺までの距離b1と、上面側から見て第1放音部2AでY軸のマイナス方向側の辺から第2放音部3AでY軸のマイナス方向側の辺までの距離b2は同じとなる。
【0037】
次に、静電型スピーカ1の電気的構成について説明する。図6は、静電型スピーカ1Aを駆動する駆動回路100Aの構成を示した図である。駆動回路100Aは、増幅部130、昇圧部115、及び雌型のコネクター140A,140Bを備えている。
昇圧部115は、増幅部130で増幅された交流の音響信号にプラスの電圧を加算する回路と、プラスの電圧が加算された音響信号を昇圧する昇圧回路を備えている。昇圧部115で昇圧された音響信号は、コネクター140Aとコネクター140Bの1番端子に供給される。なお、本実施形態においては、コネクター140Aとコネクター140Bの2番端子は、グラウンドGNDに接続されている。
また、コネクター141Aの1番端子は、電極220Uに接続され、コネクター141Bの1番端子は、電極320Uに接続されている。また、コネクター141Aの2番端子は振動体210に接続され、コネクター141Bの2番端子は振動体310に接続されている。
【0038】
次に、第2実施形態の動作について説明する。駆動回路100Aで静電型スピーカ1Aを駆動する場合、コネクター141Aがコネクター140Aに嵌められ、コネクター141Bがコネクター140Bに嵌められる。これにより、昇圧部115は、電極220Uと電極320Uに接続され、駆動回路100AのグラウンドGNDは、振動体210と振動体310に接続される。
【0039】
次に増幅部130へ交流の音響信号が入力されると、入力された音響信号が増幅されて昇圧部115へ供給される。昇圧部115においては、供給された音響信号にプラスの電圧が加算される。これにより音響信号は、入力された音響信号と同じ波形である直流の音響信号となる。この直流の音響信号は、昇圧部115が備える昇圧回路において昇圧されて電極220Uと電極320Uへ供給される。
【0040】
本実施形態において、増幅部130に入力された音響信号の電圧がプラスになると、昇圧部115から出力される信号の電圧は、音響信号の電圧が0である場合と比べて大きくなる。ここで、第1放音部2Aにおいては、振動体210はグラウンドGNDに接続されているため、音響信号の電圧が0である場合と比べて振動体210と電極220Uとの電位差が大きくなる。すると、振動体210と電極220Uとの間の静電引力が強くなり、振動体210は、電極220U側へ変位する。また、第2放音部3Aにおいては、振動体310はグラウンドGNDに接続されているため、音響信号の電圧が0である場合と比べて振動体310と電極320Uとの電位差が大きくなる。すると、振動体310と電極320Uとの間の静電引力が強くなり、振動体310は、電極320U側へ変位する。つまり、振動体210と振動体310は、同じ方向へ変位する。
【0041】
なお、本実施形態においては、振動体210と電極310との間でも静電引力が作用する。ここで、振動体210と電極320Uとの間の静電力は、振動体210と電極220Uとの間の静電引力とは方向が逆となる。静電引力は、振動体から電極までの距離の二乗に反比例するため、振動体210から電極220Uまでの距離と、振動体210から電極310Uまでの距離が同じであると、電極220Uと振動体210との間の静電引力は、電極320Uと振動体210との間の静電引力とにより相殺されてしまう。このため、本実施形態においては、振動体210から電極320Uまでの距離が振動体210から電極220Uまでの距離より長くなるように、絶縁部材10のZ軸方向の長さが、振動体210から電極220Uまでの距離より長くなっている。
【0042】
一方、増幅部130に入力された音響信号の電圧がマイナスになると、昇圧部115から出力される信号の電圧は、音響信号の電圧が0である場合と比べて小さくなる。ここで、第1放音部2Aにおいては、振動体210はグラウンドGNDに接続されているため、音響信号の電圧が0である場合と比べると振動体210と電極220Uとの電位差が小さくなる。すると、振動体210と電極220Uとの間の静電引力が弱くなり、振動体210は、弾性部材230Uの弾性力により電極220Uとは反対側へ変位する。また、第2放音部3Aにおいては、振動体310はグラウンドGNDに接続されているため、音響信号の電圧が0である場合と比べると振動体310と電極320Uとの電位差が小さくなる。すると、振動体310と電極320Uとの間の静電引力が弱くなり、振動体310は、弾性部材330Uの弾性力により電極320Uとは反対側へ変位する。つまり、ここでも振動体210と振動体310は、同じ方向へ変位する。
【0043】
なお、静電型スピーカ1Aを上面側(振動体の法線方向)から見て振動体210と振動体310とが重なっていない領域においては、振動体310から発生した音波のみが放射される。一方、静電型スピーカ1Aを上面側から見て振動体210と振動体310とが重なっている領域においては、振動体210から発生した音波と振動体310から発生した音波とが加算されて放射される。このため、振動体210と振動体310とが重なっている領域から発生する音の音圧は、振動体210と振動体310とが重なっていない領域から発生する音の音圧より高くなる。
【0044】
このように、静電型スピーカ1Aにおいても、静電型スピーカ1Aを上面側から見て振動体210と振動体310とが重なっていない領域(左右方向及び奥行き方向の縁に近い領域)から発生する音の音圧は、静電型スピーカ1Aを上面側から見て振動体210と振動体310とが重なっている領域(上面側から見て中央の領域)から発生する音の音圧より相対的に小さくなる。このため、静電型スピーカ1Aにおいてはサイドローブが小さくなり、静電型スピーカ1Aから発生する音の指向性は、従来の静電型スピーカより改善されている。
【0045】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係る静電型スピーカ1Bの平面、側面及び正面を示した図である。静電型スピーカ1Bは、複数の電極、弾性部材及び振動体を積み重ねた構成となっている。なお、以下の説明においては、上述した実施形態と同じ構成の部材については同じ符号を付してその説明を省略し、上述した実施形態と異なる点について説明する。
【0046】
振動体410は、X軸方向とY軸方向の寸法が振動体210と異なるのみであり、他の構成は振動体210と同じである。振動体410のX軸方向の長さは振動体210より短く、Y軸方向の長さも振動体210より短くなっている。弾性部材430は、X軸方向とY軸方向の寸法が弾性部材230と異なるのみであり、他の構成は弾性部材230と同じである。本実施形態においては、弾性部材430のX軸方向とY軸方向の寸法は、振動体410と同じとなっている。
【0047】
静電型スピーカ1Bにおいては、振動体310の上に弾性部材330Uが重ねられ、弾性部材330Uの上に電極320Uが重ねられている。また、電極320Uの上には絶縁部材10ではなく、弾性部材230Lが重ねられている。弾性部材230Lの上には、振動体210、弾性部材230U、電極220Uが順番に重ねられている。そして、電極220Uの上には、弾性部材430が重ねられ、弾性部材430の上には、振動体410が重ねられている。なお、各部材は、上面側から見たときに各部材の対角線の交点の位置が重なるように位置合わせをされて接着されている。このように各部材が重ねられると、静電型スピーカ1Bにおいては、上面側から見て振動体410、振動体210及び振動体310が重なった領域と、振動体210及び振動体310が重なった領域とができる。
【0048】
次に、静電型スピーカ1Bを駆動する構成について説明する。図8は、静電型スピーカ1Bを駆動する駆動回路100Bの構成を示した図である。静電型スピーカ1Bには、増幅部130、変圧器110、バイアス電源120A,120B、及び雌型のコネクター142を備えた駆動回路100Bが接続される。
バイアス電源120Aは、変圧器110のセンタータップに直流のバイアス電圧を印加する電源であり、プラス側が変圧器110のセンタータップに接続され、マイナス側がグラウンドGNDに接続されている。なお、グラウンドGNDは、抵抗器R1を介してコネクター142の1番端子に接続され、抵抗器R3を介してコネクター142の5番端子に接続されている。また、バイアス電源120Bは、振動体210に対して直流のバイアス電圧を印加する電源であり、マイナス側がグラウンドGNDに接続され、プラス側は、抵抗器R2を介してコネクター142の3番端子に接続されている。また、変圧器110の二次側コイルの一方の端子は、コネクター142の2番端子に接続され、二次側コイルの他方の端子は、コネクター142の4番端子に接続されている。
【0049】
雄型のコネクター143の1番端子はケーブルで振動体410に接続され、コネクター143の2番端子は、電極220Uに接続されている。また、コネクター143の3番端子は振動体210に接続され、4番端子は電極320Uに接続され、5番端子は振動体310に接続されている。
【0050】
次に、第3実施形態の動作について説明する。駆動回路100Bで静電型スピーカ1Bを駆動する場合、コネクター143がコネクター142に嵌められる。これにより、変圧器110の二次側コイルの一方の端子は電極220Uに接続され、変圧器110の二次側コイルの他方の端子は電極320Uに接続される。また、振動体410は抵抗器R1を介してグラウンドGNDに接続され、振動体210は、抵抗器R2を介してバイアス電源120Bに接続され、振動体310は、抵抗器R3を介してグラウンドGNDに接続される。これにより、振動体210には直流でプラスのバイアス電圧が印加され、振動体310及び振動体410の電位はグラウンドGNDと同じとなる。
【0051】
雌型のコネクターと雄型のコネクターが接続された後、増幅部130に交流の音響信号が入力されると、入力された音響信号が増幅されて変圧器110の一次側コイルに供給される。変圧器110のセンタータップには直流でプラスのバイアス電圧が印加されているため、変圧器110で昇圧されて二次側コイルの一方の端子から出力される音響信号は、二次側コイルの他方の端子から出力される音響信号とは振幅が同じで電圧が異なる。
【0052】
増幅部130にプラスの音響信号が入力された場合、音響信号の電圧が0Vであった場合と比較すると、電極220Uの電圧が高くなり、電極320Uの電圧が低くなる。振動体210には、バイアス電源120Bによりプラスの電圧が印加されているため、振動体210は、電極220Uとの間の静電引力が弱まる一方、電極320Uとの間の静電引力が強くなる。すると振動体210は、電極220U側に作用する静電引力と電極320U側に作用する静電引力との差に応じて電極320U側(Z軸の負方向)へ変位する。また、振動体410は、グラウンドGNDに接続されているため、電極220Uとの間の静電引力が強まり、電極220U側(Z軸の負方向)へ変位する。また、振動体310は、グラウンドGNDに接続されているため、電極320Uとの間の静電引力が弱まり、電極320Uとは反対側(Z軸の負方向)へ変位する。つまり、振動体210,310,410は、同じ方向(Z軸の負方向)へ変位する。
【0053】
次に増幅部130にマイナスの音響信号が入力された場合、音響信号の電圧が0Vであった場合と比較すると、電極220Uの電圧が低くなり、電極320Uの電圧が高くなる。振動体210には、バイアス電源120Bによりプラスの電圧が印加されているため、振動体210は、電極220Uとの間の静電引力が強まる一方、電極320Uとの間の静電引力が弱くなる。すると振動体210は、電極220U側に作用する静電引力と電極320U側に作用する静電引力との差に応じて電極220U側(Z軸の正方向)へ変位する。また、振動体410は、グラウンドGNDに接続されているため、電極220Uとの間の静電引力が弱まり、電極220Uとは反対側(Z軸の正方向)へ変位する。また、振動体310は、グラウンドGNDに接続されているため、電極320Uとの間の静電引力が強まり、電極320U側(Z軸の正方向)へ変位する。つまり、ここでも振動体210,310,410は、同じ方向(Z軸の正方向)へ変位する。
【0054】
このように、振動体210,310,410が音響信号に応じて図のZ軸の正の方向とZ軸の負の方向に変位し、その変位方向が逐次変わることによって振動となり、その振動状態(振動数、振幅、位相)に応じた音波が振動体210,310,410から発生する。振動体210,310,410は同じ方向へ変位するため、各振動体からは同じ位相の音波が発生する。発生した音波は、音響透過性を有する弾性部材や電極を通過して静電型スピーカ1Bの外部に音として放射される。
【0055】
なお、静電型スピーカ1Bを上面側(振動体の法線方向)から見て振動体310に振動体210と振動体410が重なっていない領域においては、振動体310から発生した音波のみが放射される。また、静電型スピーカ1Bを上面側から見て振動体210と310が重なり、振動体410が重なっていない領域においては、振動体210から発生した音波と、振動体310から発生した音波とが加算されて放射される。このため、この領域から発生する音の音圧は、この領域より外側で発生する音の音圧より高くなる。また、静電型スピーカ1Bを上面側から見て振動体210,310及び410が重なっている領域においては、振動体210から発生した音波、振動体310から発生した音波及び振動体410から発生した音波が加算されて放射される。このため、この領域から発生する音の音圧は、この領域より外側で発生する音の音圧より高くなる。
【0056】
このように、静電型スピーカ1Bにおいては、静電型スピーカ1Bを上面側から見て振動体310に他の振動体が重なっていない領域(左右方向及び奥行き方向の縁に近い領域)から発生する音の音圧は、静電型スピーカ1Bを上面側から見て振動体310に他の振動体が重なっている領域(上面側から見て中央の領域)から発生する音の音圧より相対的に小さくなる。このため、静電型スピーカ1Bから発生する音は、サイドローブが小さくなり、その指向性は、従来の静電型スピーカより改善されている。
なお、本実施形態に係る静電型スピーカ1Bは、振動体410と弾性部材430を備えているが、振動体410と弾性部材430を備えない構成であってもよい。
【0057】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態および以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0058】
(変形例1)
上述した実施形態においては、距離a1と距離a2が同じとなっているが、距離a1と距離a2は異なっていてもよい。また、距離b1と距離b2についても、上述した実施形態では同じとなっているが、距離b1と距離b2は異なっていてもよい。要するに、各距離は完全に一致する構成に限定されず、サイドローブが抑えられるのであれば、振動体の寸法のばらつきや組み立て時の精度などによって各距離が異なっていてもよい。
また、上述した実施形態では複数の部品で寸法が同じ説明している場合があるが、「同じ」とは完全一致に限定限定されるものではなく、製造時の寸法のばらつきは「同じ」の範囲となる。
【0059】
(変形例2)
上述した第1実施形態においては、2つの放音部を重ねた構成となっているが、重ねられる放音部の数は2つに限定されるものではない。例えば、図9に示したように、第1放音部2の上に絶縁部材11を重ね、絶縁部材11の上にさらに第1放音部2の振動体21より小さい面積の振動体410を有する第3放音部4を重ねてもよい。
【0060】
絶縁部材11は、絶縁部材10と比較すると左右方向と奥行き方向の寸法が短いのみであり、他の構成は絶縁部材10と同じとなっている。第3放音部4は、上面側から見た形状が矩形となっており、上面側から見た形状は、第1放音部2と相似になっている。第3放音部4は、振動体410、電極420U,420L及び弾性部材430U,430Lを有している。電極420Uと電極420Lの構成は同じであり、弾性部材430Uと弾性部材430Lの構成は同じである。なお、図中の各部材の寸法は、各部材の形状や位置関係を容易に理解できるように実際の寸法とは異ならせてある。
【0061】
振動体410は、X軸方向とY軸方向の寸法が振動体210と異なるのみであり、他の構成は振動体210と同じである。振動体410は、X軸方向とY軸方向の寸法が振動体210より短くなっている。また、電極420U,420Lも、X軸方向とY軸方向の寸法が電極220と異なるのみであり、他の構成は電極220と同じである。本実施形態においては、電極420のX軸方向とY軸方向の寸法は、振動体410と同じとなっている。また、弾性部材430U,430Lも、X軸方向とY軸方向の寸法が弾性部材230と異なるのみであり、他の構成は弾性部材230と同じである。本実施形態においては、弾性部材430のX軸方向とY軸方向の寸法は、振動体410と同じとなっている。
【0062】
第3放音部4においても、各部材に対して縁から数mmの幅で接着剤が塗布され、下から電極420L、弾性部材430L、振動体410、弾性部材430U、電極420Uの順番で重ねられて互いに接着されている。なお、電極420Uは、導電膜のある側が弾性部材430Uに接しており、電極420Lは、導電膜のある側が弾性部材430Lに接し、電極420の導電膜と振動体410は、弾性部材430を挟んで対向している。
また、第3放音部4は、上面側から見て対角線の交点の位置が第1放音部2の対角線の交点の位置と重なるように位置あわせをされている。
【0063】
電極420Uは、第1実施形態の駆動回路100の変圧器110の二次側コイルにおいてコネクター140Aとコネクター140Bの1番端子に接続されている端子に接続され、電極420Lは、変圧器110の二次側コイルにおいてコネクター140Aとコネクター140Bの3番端子に接続されている端子に接続される。また、振動体410は、駆動回路100の抵抗器R1に接続される。
【0064】
この構成によれば、振動体410は、増幅部130に入力された音響信号に応じて振動体210及び振動体310と同じ方向に振動する。そして、上面側から見て静電型スピーカ1Cの縁から放音される音の音圧が、中央で振動体210,310及び410が重なっている領域から放音される音の音圧より低くなる。このため、静電型スピーカ1Cにおいてはサイドローブが小さくなり、静電型スピーカ1Cから発生する音の指向性は、従来の静電型スピーカより改善されている。
【0065】
なお、3つの放音部を重ねる構成にあっては、第2放音部3を2つ重ね、その上に第1放音部2または第3放音部4を重ねる構成であってもよい。また、第2放音部3の上に第1放音部2を重ね、その上にさらに第1放音部2を重ねる構成や、第2放音部3の上に第3放音部4を重ね、その上にさらに第3放音部4を重ねる構成であってもよい。
【0066】
(変形例3)
上述した変形例2では、第3放音部4を第1放音部2の上に重ねているが、第3放音部4の配置は、この配置に限定されるものではない。図10は、第1放音部2、第2放音部3及び第3放音部4を重ねる場合の他の構成を示した図である。図10に示したように、下から第3放音部4、第2放音部3、第1放音部2という順番で各放音部を重ねるようにしてもよい。
【0067】
(変形例4)
上述した実施形態においては、複数の振動体が上下方向に並ぶ場合、面積の広い振動体は面積の狭い振動体に対して上面側から見てX軸方向とY軸方向の両方で重ならない領域があるが、この構成に限定されるものではない。例えば、2つの放音部を重ねる場合、図11の構成としてもよい。
図11に示した静電型スピーカ1Eは、上面側から見た形状が線対称となっており、第1放音部2E、絶縁部材10E及び第2放音部3Eで構成されている。第1放音部2Eは、X軸方向の寸法以外は第1放音部2と同じであり、第2放音部3Eは、第2放音部3と同じである。また、絶縁部材10Eは、X軸方向の寸法以外は絶縁部材10と同じである。図11に示したように、第1放音部2Eと第2放音部3EのX軸方向(第2方向)の長さを同じとし、第1放音部2EのY軸方向(第1方向)の長さを第2放音部3EのY軸方向の長さより短くしてもよい。
この構成では、上面側から見ると、第1放音部2Eの振動体は、第2放音部3Eの振動体より面積が小さい。このため、上面側から見ると、第1放音部2Eの振動体はY軸方向で第2放音部3Eの振動体と重ならない領域があり、X軸方向では重ならない領域が存在しないこととなる。
この構成によれば、上面側から見てY軸方向の両端付近から放音される音の音圧は、上面側から見て第1放音部2Eの振動体と第2放音部3Eの振動体が重なっている領域より小さくなる。このため、サイドローブが小さくなり、静電型スピーカ1Eから発生する音の指向性は、従来の静電型スピーカより改善されている。
【0068】
(変形例5)
上述した実施形態においては、各部材は上面側から見て矩形となっていたが、各部材について上面側から見た形状は矩形に限定されるものではない。例えば、2つの放音部を重ねる場合、図12の構成としてもよい。
図12に示した静電型スピーカ1Fは、第1放音部2F、絶縁部材10F及び第2放音部3Fで構成されている。第1放音部2Fは、上面側から見て各部材の形状が円形となっており、この形状以外の構成は第1放音部2と同じである。第2放音部3Fも、上面側から見て各部材の形状が円形となっており、この形状以外の構成は第2放音部3と同じである。また、絶縁部材10Fも、上面側から見て形状が円環の形状となっており、この形状以外の構成は絶縁部材10と同じである。
第1放音部2F、絶縁部材10F及び第2放音部3Fは、上面側から見て中心が重なるようにして重ねられている。静電型スピーカ1Fにおいては、第2放音部3Fの振動体の面積が第1放音部2Fの面積より広いため、上面側から見ると、縁側では第2放音部3Fの振動体に第1放音部2Fの振動体が重ならない領域があり。この領域では、上面側から見て中心部分より音圧が低くなる。このため、本変形例では、サイドローブが小さくなり、静電型スピーカ1Fから発生する音の指向性は、従来の静電型スピーカより改善されている。
【0069】
なお、図12では上面側からみて放音部の各部材の形状が円形となっているが、放音部を構成する各部材の形状は、楕円形又は矩形以外の多角形であってもよい。また、静電型スピーカ1が複数の振動体を有する場合、各振動体の形状は相似に限定されるものではなく、形状が異なっていてもよい。
【0070】
(変形例6)
上述した実施形態や変形例においては、振動体と電極との間に弾性部材が配置されているが、電極と振動体との間に間隔を設ける構成は、弾性部材を使用する構成に限定されるものではない。例えば、振動体210と電極220Uとの間と、振動体210と電極220Lとの間に弾性部材230ではなく絶縁部材10を配置し、2つの絶縁部材の間に振動体210を挟む構成としてもよい。この構成でも、振動体210は電極220と間隔を空けて配置され、電極との電位差に応じて振動することになる。なお、この構成においては、振動体の表面と裏面は、合成樹脂などの絶縁性を有する素材でコーティングされているのが好ましい。
【0071】
(変形例7)
上述した実施形態や変形例においては、第1放音部と第2放音部とで上面側から見た電極と弾性部材の面積が異なっていたが、第1放音部と第2放音部において、電極と弾性部材の面積は同じであってもよい。
【0072】
(変形例8)
上述した変形例では、振動体をZ軸の方向へ間隔を空けて3つ配置する構成を示したが、Z軸の方向へ間隔を空けて配置される振動体の数は3つ以下に限定されるものではなく、4つ以上であってもよい。
【0073】
(変形例9)
上述した変形例では、上面側から見てY軸方向にのみ振動体が重ならない領域を設ける構成を説明したが、この構成においては、3つの放音部を重ねる構成であってもよい。図13は、本変形例に係る静電型スピーカ1Gの平面、側面及び正面を示した図である。静電型スピーカ1Gは、第1放音部2G、絶縁部材10G及び第2放音部3Gで構成されている。第1放音部2Gは、第2放音部3と同じ構成であり、X軸方向の寸法とY軸方向の寸法も第2放音部3と同じとなっている。また、第2放音部3Gも、第2放音部3と同じ構成であり、X軸方向の寸法とY軸方向の寸法も第2放音部3と同じとなっている。つまり、第1放音部2Gと第2放音部3Gは同じ構成であり、上面側から見ると形状及び面積が同じとなっている。なお、絶縁部材10Gは、X軸方向の寸法とY軸方向の寸法が絶縁部材10と異なっている。
【0074】
図13に示したように、第1放音部2Gと第2放音部3Gは、上面側から見るとX軸方向にはずらされることなく重ねられているが、Y軸方向にはずらされて重ねられている。この構成においては、第1放音部2Gの振動体と第2放音部3Gの振動体は、上面側から見るとY軸の正方向側と負方向側において、互いに重ならない領域がある。この領域においては、放射される音の音圧が、2つの振動体が重なっている領域より小さくなるため、サイドローブが小さくなり、静電型スピーカ1Gから発生する音の指向性は、従来の静電型スピーカより改善されている。
なお、図13においては、2つの放音部が重ねられているが、重ねられる放音部の数は2つに限定されるものではなく、3つの同じ構成の放音部をY軸方向(またはX軸方向)にずらして重ねるようにしてもよい。
また、同じ面積の放音部を重ねる構成においては、上面側から見た放音部の形状を長方形とし、上面側から見て互いが交差するように重ねるようにしてもよい。この構成においては、直交または直交に近い形で複数の放音部が交差するように重ねれば、上面側から見てX軸方向の正方向及び負方向の端部とY軸方向の正方向及び負方向の端部において、互いの放音部の振動体が重ならない領域ができ、サイドローブが小さくなる。
【0075】
(変形例10)
前述の説明では、振動体に対向する電極は柔軟性を有するものとなっているが、電極は、柔軟性を備えていない例えばパンチングメタルのような金属であってもよい。
【0076】
(変形例11)
上述した実施形態においては、電極、振動体及び弾性部材を積層した構成を、音響信号を音に変換する放音部(スピーカ)としているが、この構成は、音を音響信号に変換する静電型のマイクロフォン(静電型電気音響変換器)とすることも可能である。
図14は、本変形例に係る静電型マイクロフォン5と、静電型マイクロフォン5で収音された音を表す音響信号を生成する音響信号生成回路100Cの構成を示した図である。本変形例においては、静電型マイクロフォン5は、前述の静電型スピーカ1と同じ部材を備えているため、静電型マイクロフォン5を構成する部材には、静電型スピーカ1の各部材と同じ符号を付し、その説明を省略する。また、音響信号生成回路100Cの構成は、信号が流れる方向が駆動回路100と異なる以外は、駆動回路100と同じであるため、音響信号生成回路100Cが備える部品には駆動回路100が備える部品と同じ符号を付し、各部品の説明を省略する。なお、変圧器110の変圧比や各抵抗器の抵抗値は適宜調整される。
【0077】
静電型マイクロフォン5においては、導体である電極220(電極320)と導体である振動体210(振動体310)は距離をおいて向かいあって配置されており、電極220(320)と振動体210(310)は平行平板の導体によって構成されたコンデンサとして機能している。各振動体にはバイアス電圧が印加されているため、静電型マイクロフォン5に音が到達していない状態においては、このコンデンサに一定の電荷が溜まった状態となる。
静電型マイクロフォン5に音が到達した場合、到達した音によって各振動体が振動する。各振動体が振動すると、振動体210(310)と電極220U(320U),220L(320L)との間の距離が変わるため、振動体と電極との間の静電容量に変化が生じる。
【0078】
例えば、振動体210(310)が電極220U(320U)側に変位すると、電極220U(320U)と振動体210(310)との間の距離が短くなり、電極220U(320U)と振動体210(310)との間の静電容量が大きくなる。また、電極220L(320L)と振動体210(310)との間の距離が長くなり、電極220L(320L)と振動体210(310)との間の静電容量が小さくなる。このように静電容量が変化すると、電極220U(320U)と振動体210(310)との電位差が小さくなるように電極220U(320U)の電位が変化し、電極220L(320L)と振動体210(310)との電位差が大きくなるように電極220L(320L)の電位が変化する。ここで、電極220U(320U)と電極220L(320L)との間で電位差が生じるため、変圧器110の二次側コイルには電流が流れる。
【0079】
また、振動体210(310)が電極220L(320L)側に変位すると、電極220L(320L)と振動体210(310)との間の距離が短くなり、電極220L(320L)と振動体210(310)との間の静電容量が大きくなる。また、電極220U(320U)と振動体210(310)との間の距離が長くなり、電極220U(320U)と振動体210(310)との間の静電容量が小さくなる。すると、電極220L(320L)と振動体210(310)との電位差が小さくなるように電極220L(320L)の電位が変化し、電極220U(320U)と振動体210(310)との電位差が大きくなるように電極220U(320U)の電位が変化する。ここで、電極220U(320U)と電極220L(320L)との間で電位差が生じ、変圧器110の二次側コイルには、振動体210(310)が電極220U(320U)の方向に変位したときとは逆の方向に電流が流れる。
【0080】
変圧器110の二次側コイルに電流が流れると、この電流に対応して変圧器110の一次側コイルにも電流が流れる。一次側コイルに流れた信号は、増幅部130で増幅され、増幅された信号が静電型マイクロフォン5で収音された音を表す音響信号として増幅部130から出力される。つまり、静電型スピーカ1において第1放音部2となっていた部分と、静電型スピーカ1において第2放音部3となっていた部分は、音を収音する収音部として機能する。
【0081】
なお、本変形例においては、変圧器110のインピーダンスが低い場合には、静電型マイクロフォン5の負荷容量の影響により、低い周波数における周波数特性が低下する場合がある。この場合、変圧器110に替えてインピーダンスの高いアンプを電極220U(320U),220L(320L)に接続し、周波数特性の低下を抑えるようにしてもよい。
また、図6や図8の構成にあっても、上述した変形例と同様に信号の流れる方向を変更すれば、静電型マイクロフォン5から得られる信号を音響信号として出力することができる。
【符号の説明】
【0082】
1,1A〜1F…静電型スピーカ、2,2A,2E,2F…第1放音部、3,3A,3E,3F…第2放音部、4…第3放音部、5…静電型マイクロフォン、10,10E,10F…絶縁部材、11…絶縁部材、100,100A,100B…駆動回路、100C…音響信号生成回路、110…変圧器、115…昇圧部、120,120A,120B…バイアス電源、140A,140B,141A,141B…コネクター、210…振動体、220,220U,220L…電極、230,230U,230L…弾性部材、310…振動体、320,320U,320L…電極、330,330U,330L…弾性部材、410…振動体、420,420U,420L…電極、430,430U,430L…弾性部材、R1,R2,R3…抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の振動体と、
複数の電極と
を有する静電型電気音響変換器であって、
前記複数の振動体は、前記振動体の法線方向へ重なり合い、
前記振動体の法線方向から見て外縁側の少なくとも一部に前記振動体の重なる数が最も少ない領域を有し、
前記電極は、前記振動体に対向して且つ前記振動体と間隔を空けて配置されていること
を特徴とする静電型電気音響変換器。
【請求項2】
前記法線方向から見て最も面積の大きい前記振動体の縁より内側に他の前記振動体が配置されていること
を特徴とする請求項1に記載の静電型電気音響変換器。
【請求項3】
前記複数の振動体は各々面積が異なり、前記法線方向から見て面積の広い前記振動体の縁より内側に面積の狭い前記振動体が配置されていること
を特徴とする請求項2に記載の静電型電気音響変換器。
【請求項4】
前記法線方向から見て前記振動体の重なる数は、前記振動体の表面に沿った第1方向については中心から外縁に向かうにつれて減少し、前記振動体の表面に沿って前記第1方向と交差する第2方向については同じであること
を特徴とする請求項1に記載の静電型電気音響変換器。
【請求項5】
前記法線方向から見て前記振動体の重なる数は、前記振動体の表面に沿った第1方向については中心から外縁に向かうにつれて減少し、前記振動体の表面に沿って前記第1方向と交差する第2方向についても中心から外縁に向かうにつれて減少すること
を特徴とする請求項1に記載の静電型電気音響変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−59019(P2013−59019A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−148825(P2012−148825)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】