説明

静電気帯電防止型フレキシブルコンテナ

【課題】フレキシブルコンテナから排出される粉粒体中への異物の混入の虞れを最低限に抑え得る且つ粉粒体の帯電を最低限に抑え得る静電気帯電防止型フレキシブルコンテナを提供すること。
【解決手段】静電気帯電防止型フレキシブルコンテナ1は、導電性基布Aからなる筒状の容器本体10と、該容器本体10の入口開口につながった注入筒と、容器本体10の出口開口44につながった排出筒50と、出口開口44を横断するように該出口開口44の周壁45に外周縁部64において導電的に取付けられ多数の小開口62を備えた導電性の篩部60とを有する。篩部60は、典型的には、導電性糸の網状体63からなる。出口開口44は、典型的には、容器本体10の環状の底壁部40に形成されている。排出筒50は、典型的には、その長手方向の全体にわたって実質的に一定の横断面形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナに係り、より詳しくは、静電気帯電防止型フレキシブルコンテナに係る。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を充填して搬送するためのフレキシブルコンテナでは、粉粒体の充填や排出の際にフレキシブルコンテナと粉粒体との接離に際してフレキシブルコンテナが帯電することは周知であり、このように帯電したフレキシブルコンテナを除電すべく、フレキシブルコンテナの基布に導電性を付与しておくことが望ましいことも周知である。一方、フレキシブルコンテナは、粉粒体の運搬が完了すると多かれ少なかれ使い捨てにされるものであるから、当該フレキシブルコンテナにかけるコストを最低限にすることが望まれる。そのような状況下で、本発明者は、比較的低コストで機械的強度と導電性との両方について実際的な要求を満たすフレキシブルコンテナを開発した(特許文献1)。
【0003】
この特許文献1のフレキシブルコンテナは、既に、広く受け入れられ使用されている。
【0004】
しかしながら、このフレキシブルコンテナが使用される際に、フレキシブルコンテナ内部に誤って異物が入り込む(即ち、異物の不測の混入が生じる)ことがある。そのような場合、フレキシブルコンテナに充填された内容物(粉粒体)をその使用堆積場所に放出(排出)する際に当該異物がそのまま混入してしまう虞れがある。粉粒体が、例えば、樹脂等の製造するためのコンパウンドの如き粉粒体である場合、製造される樹脂中に当該異物が混入することになり、製造品の全体を不良品にしてしまう虞れがある。
【0005】
このような問題を避けるために、フレキシブルコンテナから粉粒体の使用堆積場所に粉粒体を排出する際に、使用堆積場所の投入口に篩を配設しておいて、異物の混入を避けるようにしている場合もある。しかしながら、篩を設けること自体が面倒であることから篩を用いていない場合も多く、また、篩を用いている場合でも当該篩の配設を忘れることもある。更に、篩を用いるとなると、篩の汚染自体を避けるべく管理する必要がある。
【0006】
一方、フレキシブルコンテナの基布自体に導電性が付与されて基布の帯電が抑制され得るようになっても、基布等に接離されることにより生じる粉粒体の帯電が無視し難い場合もあり得る。
【0007】
フレキシブルコンテナへの粉粒体の充填や、該粉粒体を入れたフレキシブルコンテナの運搬や、フレキシブルコンテナからの粉粒体の排出の際に生じるフレキシブルコンテナ内の粉粒体の帯電を速やかに除くことを目的として、フレキシブルコンテナの周壁によって形成される室(粉粒体充填室)を該フレキシブルコンテナの壁部に電気的に接続され上下方向に延びる導電性隔壁によって複数の小室に画成することは提案されている(特許文献2や特許文献3)。
【0008】
しかしながら、特許文献2や3に提案のような上下方向の導電性隔壁をフレキシブルコンテナに設けることは、該コンテナへの粉粒体の充填や、該コンテナからの粉粒体の排出の自由度を低下させる。すなわち、特許文献2や3に開示の導電性隔壁を設ける場合には、コンテナへの粉粒体注入口やコンテナからの粉粒体排出口は、導電性隔壁で仕切られていない領域に形成されることになり、粉粒体の注入ないし充填や排出に際して各小室への粉粒体の注入ないし充填や各小室からの粉粒体の排出が同程度になるように考慮したり、導電性隔壁に粉粒体が引っかかるのを最低限にするように考慮したりする必要がでてくる。
【0009】
また、この特許文献2等の除電は、コンテナ内部の粉粒体の除電に限られ、例えば、粉粒体の排出等の際に粉粒体が帯電したりするのは抑制し難い。
【特許文献1】特許3322869号公報
【特許文献2】米国特許6900975号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/5164号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、フレキシブルコンテナから排出される粉粒体中への異物の混入の虞れを最低限に抑え得る且つ粉粒体の帯電を最低限に抑え得る静電気帯電防止型フレキシブルコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の静電気帯電防止型フレキシブルコンテナは、前記目的を達成すべく、導電性基布からなる筒状の容器本体と、該容器本体の入口開口につながった注入筒と、前記容器本体の出口開口につながった排出筒と、出口開口を横断するように該出口開口の周壁に外周縁部において導電的に取付けられ多数の小開口を備えた導電性の篩部とを有する。
【0012】
本発明の静電気帯電防止型フレキシブルコンテナでは、「該コンテナの筒状の容器本体の出口開口を横断するように該出口開口の周壁に外周縁部において取付けられ多数の小開口を備えた篩部」が設けられているので、該フレキシブルコンテナ内に、誤って異物が混入しても、該異物が粉粒体と共に排出されて該粉粒体の集積領域に混入するのを、フレキシブルコンテナの出口開口を横断する篩部によって阻止し得るから、フレキシブルコンテナによる粉粒体等の運搬の信頼性を高め得る。なお、このような異物の混入は、典型的には、フレキシブルコンテナへの粉粒体の投入(注入)の際に生じるけれども、粉粒体の運搬等をビジネスとして行う場合、フレキシブルコンテナの注入筒が開いている限り、異物の不測の混入は完全には予測し難い理由及び可能性で生じ得ると想定すべきであるところ、本発明の静電気帯電防止型フレキシブルコンテナでは、いかなる理由であれフレキシブルコンテナ内に混入した異物の不測の排出を確実に禁止し得ることから、フレキシブルコンテナによる粉粒体の充填・運搬・排出の信頼性が高められ得る。
【0013】
また、粉粒体の材料(成分ないし組成や粒径等)次第では、フレキシブルコンテナにある程度以上の期間にわたってある程度以上の圧力を受けた状態で充填されたままに保たれると、該粉粒体が凝集して塊になってしまうことがある。そのような場合、排出筒に篩部がなくて、該排出筒がその径と同程度の一つの開口を有すると、粉粒体の比較的大きな塊がそのまま排出筒から粉粒体の集積領域に入ってしまう。ここで、集積領域が、該粉粒体を原材料の少なくとも一部とする処理設備の投入部であるようなときには、該投入部に排出された粉粒体に対して、例えば、直ちに、処理設備固有の処理が開始されることもあり得る。この固有の処理が、粉粒体が個別バラバラであることを当然の前提としているような処理である場合には、凝集塊によって処理のスムーズな進行が妨げられ、ひいては、全体の処理の進行に不測の障害が生じ得る虞れがある。ところが、本発明の静電気帯電防止型フレキシブルコンテナでは、出口開口を横断するように篩部があるので、凝集塊がそのまま集積領域に排出されるのを防ぎ得る。また、凝集塊が、多くの場合そうであるように比較的脆く外力によって崩れ易い凝集塊である場合には、凝集塊を篩部にぶつけるようにフレキシブルコンテナを例えば上下・左右に振ることにより、篩部によって凝集塊を壊して粉粒体に戻し、篩部の小開口から集積領域に排出し得る。その場合、出口開口に設けられた篩部が、凝集塊の存在に伴う問題を回避し得るだけでなく、凝集塊自体をなくすことに寄与し得る。
【0014】
また、本発明の静電気帯電防止型フレキシブルコンテナでは、「排出筒の出口開口を横断するように取付けられ多数の小開口を備える篩部が、導電性であって外周縁部において出口開口の周壁に対して導電的に取付けられている」ので、フレキシブルコンテナの排出筒の出口開口から排出される粉粒体が帯電している場合であっても、該粉粒体が導電性の篩部の小開口を通る際に、該小開口を形成する導電性の篩部形成材料に接触することにより、該粉粒体の帯電が実際上除かれ得る。従って、粉粒体が、大きく帯電したまま集積領域に排出される虞れを最低限に抑え得、不測の放電やこれに伴う事故の生起の虞れを最低限に抑え得る。
【0015】
なお、粉粒体の帯電は、例えば、粉粒体がフレキシブルコンテナに充填されたり該フレキシブルコンテナから排出される際に、該フレキシブルコンテナの素材に粉粒体が接離することにより生じる。フレキシブルコンテナに充填される際に生じた粉粒体の帯電は、充填期間が長い場合には、徐々に放電・除電され得るとしても、充填期間が短い場合には、粉粒体次第では排出時まで帯電状態が残ることもあり得る。また、粉粒体が排出口から排出される直前にフレキシブルコンテナの基布に対して擦過その他の接離のあった粉粒体部分が該接離の際に帯電して該排出口から排出されるようなときにも、帯電した粉粒体が集積領域に排出されることになる。更に、粉粒体が、複数種類の粉粒体物質の混合物からなる場合に異物質の擦合や接離に伴い粉粒体に異なる帯電状態部分が生じたり、粉粒体が異方性のある固形粒体からなる場合に当該固形粒体の向きにより表面の電子親和性が異なり該異なる表面部分の擦合や接離に伴い粉粒体に異なる帯電状態部分が生じたりする可能性がある。そのような異なる電子親和性部分を備えた粉粒体の場合、該粉粒体が出口開口から排出される直前にフレキシブルコンテナの基布に接離することより帯電が促進されることもあり得る。
【0016】
この発明の帯電防止型フレキシブルコンテナでは、「排出筒の出口開口を横断するように取付けられ多数の小開口を備える篩部が、導電性であって外周縁部において出口開口の周壁に対して導電的に取付けられている」ので、フレキシブルコンテナの排出筒の出口開口から排出される粉粒体が帯電している場合であっても、該粉粒体が導電性の篩部の小開口を通る際に、該小開口を形成する導電性の篩部形成材料に接触することにより、該粉粒体の帯電状態が実際上取り除かれ得る。
【0017】
本発明の帯電防止型フレキシブルコンテナでは、典型的には、前記篩部が、導電性糸の網状体からなる。この場合、篩部の全体が最大限導電性を与え得る。但し、篩部を構成する網状体ないしネット状体を形成する部分が全体として実質的に導電性を有する限り、網状体を構成する糸自体が導電性である代わりに、導電性付与材料が網状体ないしネット状体を形成する部分に固定的に付加されていていもよい。
【0018】
本発明の帯電防止型フレキシブルコンテナでは、典型的には、出口開口が容器本体の環状の底壁部に形成されている。ここで、環状底壁部は、典型的には、円環状であるけれども、その代わりに、非円形の環状体(無端リングないし帯状体)であってもよい。また、底壁部は、典型的には、容器本体の中心線に対して垂直な平面に沿って位置するけれども、場合によっては、円錐台状の如く非平面状であってもよい。
【0019】
本発明の帯電防止型フレキシブルコンテナでは、典型的には、排出筒がその長手方向の全体にわたって実質的に一定の横断面形状を有する。但し、所望ならば、その代わりに、排出筒が、その出口側端部程太くなるようになっていても、出口側端部程細くなるようになっていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
本発明の好ましい一実施例の帯電防止型フレキシブルコンテナ1は、図1の(a)及び(b)にその上部1a及び下部1bを模式的斜視図で示したように、円筒状のコンテナ本体10、排出筒50、注入筒70及び吊ベルト80を有する。帯電防止型フレキシブルコンテナ1は、また、図2の(a)に下部1bの内側部分を模式的斜視図で示し図2の(b)に断面図で示したように、導電性篩部としての導電性ネット60を内部に備える。
【0022】
コンテナ本体10は、径がD1の円筒状周壁20と、環状頂壁30と、環状底壁40とを有する。コンテナ本体10の周壁20、頂壁30及び底壁40は、導電性が付与されたPP(ポリプロプレン)樹脂の織物Aからなる。樹脂としては、PPの代わりにPE(ポリエチレン)その他のものでもよい。コンテナ本体の径D1は、例えば、1m程度である。但し、より小さくてもより大きくてもよい。コンテナ本体の高さは、数10cm程度でも、1〜2m程度でも、より小さくてもより大きくてもよい。
【0023】
この導電性織物Aは、好ましくは、特許文献1に記載の基布からなるもので、例えば、図5に示したように、樹脂Jの折曲部に沿って導電性繊維Bが挟み込まれてなる導電性フラットヤーンYeが、経糸H及び/又は緯糸Fのうちの少なくとも一方において2.5cm(1インチ)以下の間隔で用いられてなるものである。フラットヤーンYのうち他のフラットヤーンYiは、樹脂Jを同様に折り曲げてなるもので非導電性である。但し、粉粒体の充填・排出の際に通常生じる静電気を放電させるに十分な導電性があり(例えば、抵抗が1010Ω/□よりも十分に小さく)、粉粒体の充填・排出の際の吊下げや充填・排出・運搬の際にかかる負荷に耐えるに十分な機械的強度がある限り他のどのようなタイプの導電性フラットヤーンで織成されたものでも、織物に導電性糸又は導電性繊維が混織されたものでもよい。
【0024】
例えば、周壁20では、図1の(a)及び(b)に示したように、該筒状周壁20を構成する織布A1の導電性繊維B1が周壁20の円筒21の母線に沿って延びるように、組込まれている。なお、図1の(a)及び(b)は、導電性繊維Bの延在状況を模式的に示したもので、その間の間隔は、実際には、図示したものよりも小さい。なお、導電性繊維B1が周壁20の周方向にも組込まれていてもよい。
【0025】
周壁20は、典型的には、図1の(a)及び(b)に示したように、円筒状すなわち横断面形状が円形であるけれども、横断面形状が、四角形や六角形などの多角形であってもよい。また、所望ならば、横断面形状が長円形など他の形状であってもよい。更に、典型的には、周壁20の横断面の形状及び径(円形の場合は直径、長円形の場合は長径や短径、多角形の場合は、例えば対角線の長さ)は、周壁20の延在方向(注入筒70と排出筒50とを結ぶ方向すなわち中心軸線Cの延在方向)の全域で一定であるけれども、場合によっては、延在方向の一部の領域で他の領域とは異なっていても、延在方向に沿って連続的に変化していてもよい。
【0026】
頂壁30及び底壁40は、典型的には、周壁20に対して直角であり、軸線Cの延在方向に対して、垂直な平面に沿って延びる。但し、所望ならば、例えば、中心軸線Cを中心とする円錐(台)状であってもよい。
【0027】
典型的には、頂壁30及び底壁40を構成する織布A2,A3も、周壁20を構成する織布A1と同様に、図5に示したような織布ないし基布Aからなる。即ち、例えば、長手方向に沿って二つ折りにされたPP製のヤーン本体Yを経糸H及び緯糸Fとして織製してなり、例えば、経糸H又は緯糸Fのうちの一方に所望間隔で導電性繊維B2,B3が組込まれている。図1の(a)及び(b)は、導電性繊維Bの延在状況を模式的に示したものでその間の間隔は、実際には、図示したものよりも小さい。勿論、経糸又は緯糸の両方に所望間隔で導電性繊維B2,B3が組込まれていてもよい。
【0028】
頂壁30及び底壁40を構成する織布A2,A3は、夫々、円形であり、外周縁部32,42で導電性繊維糸からなる導電性縫合糸Eすなわち夫々の同様な導電性繊維糸からなる導電性縫合糸E2,E3を介して、周壁20の上端部22及び下端部23に縫付けられている。なお、縫付けは、導電性繊維糸E2,E3により導電性繊維B1と導電性繊維B2,B3との間を導通させるように行われる。導電性繊維糸Eは、導電性繊維が少なくとも一部として含まれ可撓性のある糸であれば、どのようなものでもよい。頂壁30及び底壁40の外周縁部32,42と周壁20の対応端部22,23との結合は同様になされている。
【0029】
下部部分1bの縦断面図を示した図2の(b)からわかるように、筒状周壁20の下端部23は、底壁40の外周縁部42と重合された状態で、折返され、導電性繊維糸E3によって縫合されている。
【0030】
従って、図2の(b)に示したように、コンテナ本体10は、筒状周壁20の下端部23と底壁40の外周縁部42とを縫合してなる下部縫合部12において、半径方向外向きに突出した小さいフランジ状ないし鍔状の環状突起部14を備える。この環状突起部14は、縫合により、周壁20の他の部分(同様な上部縫合部11を備える環状突起部を除く)よりも、剛性が高く、その形状が保たれ易い。この突起部14の突出長は、例えば、1〜2cm程度である。但し、より大きくてもより小さくてもよい。このフランジ状突起部14が形成されて十分な機械的強度が確保される限り、周壁20の下端部23と底壁40の外周縁部42との重合せや縫合の仕方は、異なっていてもよい。
【0031】
頂壁30及び底壁40の織布A2,A3は、図1及び図2に示したように、中央部に、径D2,D3の開口34,44を有し、更に、開口34,44の外周部(周壁部)35,45から中央に向かって延びる複数の花弁状片部(フラップ状部)36,46を有する。コンテナ本体10の周壁20の径D1が1m程度である場合、径D2,D3は例えば50cm程度である。勿論、径D2,D3がより小さくてもより大きくてもよく、また径D3が径D2より大きくても小さくてもよい。花弁状片部(フラップ状部)36,46は、径D2,D3内の円形領域を、径方向に切断して、側縁部36a,46aを形成することにより得られる。各側縁部36a,46aには、織布A2,A3の織目がほつれて解けるのを避けるための縁取り用の織布が被せられ、導電性繊維糸Eで縫付けられている。また、各花弁状片部36,46は、先端部すなわち半径方向内側端部36b,46bにおいて、締結用ないし結束用ロープ挿通孔36c,46cを形成するように帯状補強部で補強された状態で折曲られ導電性繊維糸で折曲端が縫合されている。孔36c,46cには、締結用ロープ36d,46dが挿通され、該締結用ロープ36d,46dには、該ロープ36d,46dにより開口34,44を閉じた状態において該ロープ36d,46dに荷重がかかった場合に該ロープ36d,46dの締結部が過度に締付けられるのを防ぐためのパイプ36e,46eが遊嵌されている。
【0032】
なお、大きな荷重がかかる虞れが少ない注入筒70の側では、頂壁30に花弁状片部(フラップ状部)36を設ける代わりに単に例えば円形の開口34を形成しておき、該開口34の外周壁部35に注入筒70の基端部(下端部)を導電性繊維糸で縫付けておいてもよい。
【0033】
図2の(b)の断面図からわかるように、底壁40の開口44の外周部ないし周壁部45には、排出筒50が、上端部51で縫合固定されている。なお、排出筒50を縛って閉じ易くするために、排出筒50を構成する織布は、通常、コンテナ本体10を構成する織布よりも薄いので、嵩張りは少ない。注入筒70の織布も同様である。但し、排出筒50の封止を確実に行い得る限り、排出筒50の織布をコンテナ本体10の織布と同様な厚さの材料で形成してもよい。
【0034】
また、図2の(a)及び(b)からわかるように、底壁40には、更に、開口44を覆うように導電性篩部としての導電性のネットないし網60が、取付けられている。
【0035】
導電性ネット60は、導電性繊維の如き導電性部分を少なくとも部分的に含み全体として導電性の糸61が一辺2〜3mm程度の小開口62を備える網目状ないしネット状に編上ないし形成されてなる全体として円形のネット状体ないし網状体63からなる。小開口62が例えばほぼ矩形等である場合には、縦横の格子状に延びた糸61,61のうちの一方(縦又は横)が導電性糸であってもよい。小開口62が矩形の代わりに例えば六角形や八角形や五角形の如き多角形や三角形やほぼ円形になるようにネット状体ないし網状体63を構成する糸61が延びていてもよい。導電性篩部60は、小開口62を有すると共に十分な機械的強度(流出されるべき堆積粉粒体Mの荷重を支え得るだけの強度や粉粒体Mの流出に伴う摩擦に対する耐久性等)及び導電性を備え且つある程度の可撓性があれば、ネット状体ないし網状体63の代わりに他の素材(例えば、導電性シートに多数の小開口が形成されたもの)からなっていてもよい。
【0036】
導電性ネットないし導電性網60を構成する円形のネット状体ないし網状体63は、その外周縁部64において、底壁40の開口44の周壁部45に、導電性縫合糸E6によって縫付けられている。より詳しくは、この例では、円形の網状体63の外周縁部64が、排出筒50の上端部51を包む状態で該上端部51と共に底壁40の開口44の周壁部45の上面に、導電性縫合糸E6で縫付けられている。従って、導電性ネットないし網60は、導電性縫合糸E6を介して、底壁40の基布A3(より詳しくは該底壁40の導電性繊維B3)と電気的に接続される。
【0037】
なお、導電性網60と底壁40の基布A3の導電性繊維B3との電気的接続をより確実にするために所望ならば導電性シートを導電性網60の外周縁部64と底壁40の開口44の周壁部45との間に介在させて縫合してもよい。
【0038】
以上において、導電性ネット60の小開口62の大きさ(矩形の場合、各辺の長さ)は、フレキシブルコンテナ1に収容される粉粒体Mの粒径と比較して十分に大きい。従って、粉粒体Mの粒径に相当程度のバラツキがあっても、正規の粉粒体Mがネット60の網目ないし小開口62を通過できないような事態は生ぜず、粉粒体Mがフレキシブルコンテナ1の排出筒50から排出される際には、正規の粉粒体Mは小開口62を通って確実に排出され得る。
【0039】
一方、ネット60は、底壁40の出口開口44の全体を横断するように、底壁40の出口開口44の周壁部45に縫付けられているので、何らかの原因で粉粒体Mよりもはるかに大きい異物Qがフレキシブルコンテナ1のコンテナ本体10内に入り込んだ場合、該異物Qは、ネット60の小開口62よりも大きくて該小開口62を通過できず、ネット60で遮られるから、排出筒50から排出されないで、コンテナ本体10内に残る。従って、不測の事態により異物Qがフレキシブルコンテナ1のコンテナ本体10内に入り込んでも、該異物Qが誤って、粉粒体Mの集積場所に排出される虞れが少ない。
【0040】
また、ネット60の網目ないし小開口62は、単に、異物Qの排出を禁止するだけなく、網目ないし小開口62の大きさによって規定されるサイズ(粒径)を超える粒径の粉粒体塊の排出をも禁止する。従って、粉粒体Mがフレキシブルコンテナ1内に長期間充填されていたり、比較的凝集し易い粉粒体Mが比較的大きな充填荷重下で想定期間を超えて保管されていたりするような場合に、粉粒体Mが凝集してネット60の小開口62よりも大きい塊ができると、該塊はそのままでネット60の小開口62を通過できないでコンテナ本体10内に残る。このような場合、通常は、比較的軽い力をフレキシブルコンテナ1の基布Aを介して該塊にかけて塊をつぶし、粉粒体Mを過度に大きい塊のない状態で集積場所に排出する。言い換えると、粉粒体Mの塊がある場合に、当該塊が集積場所にそのまま排出されると、粉粒体Mの塊の存在を予想していないようなときは、場合によっては、集積場所にある粉粒体Mに対するその後の処理(攪拌や混合や溶解や反応処理等)が適切に行われ難くなり、その後の処理に不測の不具合が生じる虞れがある。また、反面、粉粒体Mの塊の存在がその後の処理において忌避されるような場合には、通常、集積場所に排出された粉粒体Mに塊がないことを確実にするための付加的な処理(塊があれば該塊を壊す処理を含む)が不可欠になることから、後処理が面倒になる虞れがあるけれども、このフレキシブルコンテナ1では、小開口62を備えたネット60が底壁40の出口開口44を横断するように設けられているので、粉粒体Mに塊があった場合には、該塊が壊されて初めて集積場所に排出され得るので、そのような後処理を要せず、迅速で安定な処理が確実に行われることを可能にする。
【0041】
また、このフレキシブルコンテナ1では、底壁40の出口開口44の全体を横断するネット60が導電性であり、フレキシブルコンテナ1の本体部10の内容物である粉粒体Mがネット60の小開口62を通って該コンテナ1から排出される際に相当程度の粉粒体Mが多少なりともネット60の網目62を構成する導電性網状体63と接触するから、該粉粒体Mが帯電している場合には、該粉粒体Mがネット60の導電性網状体63によって相当程度又は実際上ほとんど除電され得る。なお、導電性網状体63は、外周縁部64において導電性縫合糸E即ちE6によって底壁40の導電性基布Aに縫合され、該基布Aは、後で詳述するように、粉粒体Mの排出の際には接地されるから、粉粒体Mが帯電していても該粉粒体Mの帯電は、該粉粒体Mがネット60の網目62を通る際に、実際上取り除かれ得る。
【0042】
ここで、粉粒体Mの帯電は、典型的には、粉粒体Mの排出の際における粉粒体Mとフレキシブルコンテナ1の基布Aとの接離によって生じ得る。ただし、粉粒体Mが複数種類の粉粒体の混合物であったり各粉粒体Mの組成にバラツキがあったり各粉粒体Mを構成する粒子が異方性のあるものであるような場合には、粉粒体Mの排出の際における粉粒体M相互の接離によっても粉粒体Mの帯電が生じる可能性がある。また、粉粒体Mをフレキシブルコンテナ1内に充填する際に、粉粒体Mがコンテナ1の基布Aその他のものに接離して帯電した粉粒体Mの静電荷が十分に放電される前に粉粒体Mが排出されるときにも、粉粒体Mが帯電状態で排出されることになる。なお、粉粒体Mを充填したフレキシブルコンテナ1の運搬の際におけるコンテナ内容物すなわち粉粒体Mのゆれに伴う粉粒体Mとコンテナ1の基布Aとの接離ないし擦れや粉粒体Mを構成する粒子の相互の接離ないし擦れ等によっても粉粒体Mの帯電が生じる場合もあり得る。
【0043】
いずれにしても、このフレキシブルコンテナ1では、底壁40の出口開口44の全体を横断するネット60が導電性であるので、コンテナ内容物たる粉粒体Mがネット60の小開口62を通って排出される際、相当程度の粉粒体Mが多少なりともネット60の網目62を構成する導電性網状体63と接触して除電され得るから、該粉粒体Mが帯電状態でネット60に達する場合でも、粉粒体Mがフレキシブルコンテナ1から排出されるときには、該粉粒体Mは相当程度除電され得る。
【0044】
以上のとおり、導電性ネット60は、文字通り篩として機能し得るだけでなく、該篩として機能する正にその際に同時に粉粒体Mの除電を行い得る。更に、導電性ネット60は、底壁40の出口開口44を横断するように設けられているので、特許文献2や特許文献3とは異なり、粉粒体Mのフレキシブルコンテナ1への投入を何ら妨げることがないので、粉粒体Mの充填の際に、ネット60の存在を考慮する必要がないから、取り扱いも容易である。
【0045】
なお、コンテナ本体10の筒状周壁20の下端部23には、好ましくは、更に、図1の(b)に示したように、可撓性の導電性フィルムないしシート90が、取付けられている。より詳しくは、シート状導電体ないし導電性シート90は、好ましくは、コンテナ本体10の筒状周壁20の下端部23のところにあるフランジ状部14のまわりを上下方向に蔽う状態で、導電性繊維糸E即ちE3によって縫付けられる。その場合、アース線のクリップ状接続端子で導電性シート90の縫付け部分の上下をつまむことにより、接地が行われ得る。
【0046】
なお、この場合、導電性ネット60の接地をより確実に行い得るように、図2の(b)において想像線で示したように、導電性ロープ68iを底壁40の開口44の下面側外周部45eの実際上全周に導電性ネット60の外周縁部64と一体的に導電性縫合糸E即ちE6で縫付けておいてもよい。その場合、導電性ロープ68iの垂下部68eをアース線等に接続されるべき接地用端子として利用することにより、導電性ネット60の接地をより確実に行い得る。
【0047】
図1の(b)からわかるように、排出筒50には、結束用の紐55が導電性繊維糸Eで縫付けられており、排出筒50を細く絞り、結束紐55をその周りに巻付けて縛ることにより、排出筒50を閉じ得る。同様に、図1の(a)に示したように、注入筒70にも、結束用の紐75が導電性繊維糸Eで縫付けられており、注入筒70を細くつまんで、結束紐75をその周りに回して縛ることにより、注入筒70を閉じ得る。なお、模式的な図1の(a)や(b)では、紐55,55や75,75が周方向の同じ向きに突出しているかの如く示されているけれども、典型的には、一対の紐55,55や一対の紐75,75が周方向の反対向きに突出するように、その中間部分が周方向に延びた状態で対応する筒50や70に縫付けられている。
【0048】
排出筒50の下端部は、例えば外向きに二つ折りに折り曲げられて、導電性繊維糸Eで縫合されている。同様に、注入筒70の上端部は、例えば外向きに二つ折りに折り曲げられて、導電性繊維糸Eで縫合されている。
【0049】
図1の(a)に示したように、コンテナ1の上部1aには、吊ベルト80が取付けられている。吊ベルト80は、四本のベルト素体81,81,81,81と、アオリ止め用の補強用バンド82とからなる。四本のベルト素体81,81,81,81は、周方向に等間隔に配置され、その基端部において、導電性繊維糸Eにより、コンテナ本体10の周壁20の上部に縫付けられている。ベルト素体が全体としてコンテナ本体10を吊下げ得る限り、その数は、二本又は三本でもよく、場合によっては、五本以上でもよい。ベルト素体81,81,81,81は、更に、周壁20の全周に亘って延びた補強用バンド82により、導電性繊維糸Eを介して周壁20に縫付けられ固定されている。各ベルト素体81も全体として導電性の付与された織布からなる。吊ベルト素体81用の織布は、十分な機械的強度が得られるように、所望に応じて、積層されたり折重ねられたり編まれたり厚い素材で形成され得る。各ベルト素体81の導電性部分と周壁20の導電性繊維B1との導通は、導電性繊維糸Eにより確保される。
【0050】
コンテナ本体10の周壁20の上端部には、また、フック掛け部84が設けられている。フック掛け部84は、例えば、周方向に180度の角度間隔で二つ設けられ、吊ベルト素体81と同様に、補強用バンド82によって周壁20に固定されている。フック掛け部84は、典型的には、吊ベルト素体81の内側(周壁20に近接する側)に設けられる。
【0051】
コンテナ本体10の周壁20の上端部22には、更に、袋状のポケット部86が固定されている。この袋状ポケット部86には、コンテナ1内に充填した粉粒体に関する種々の情報等を記載したカードないしシート等が挿入され得る。
【0052】
以上の如く構成されたフレキシブルコンテナ1では、プラスチック材料(例えばプラスチックコンパウンド)の如き粉粒体Mを充填する場合、図3の(a)において実線で示したように、まず、排出筒50の筒状本体52を細く絞り結束紐55,55を巻付けて結束することにより排出筒50を閉じる。更に結束されて閉じられた排出筒50をコンテナ本体10の底壁40の近傍にまとめた状態で、締結用ないし結束用ロープ46dを引いて結束状態の排出筒50を覆うように花弁状部(フラップ状部)46,46,46,46の先端部ないし内周縁部46b,46b,46b,46bを中心軸線Cの近傍に一まとめにすることによって、花弁状部46,46,46,46の形態の蓋ないしカバーにより底壁40の中央開口44を実際上完全に閉じる。これにより、コンテナ本体10の排出筒50側の開口が完全に閉じられることになる。このように排出筒50を閉じ、出口開口44を閉じた状態では、導電性網状体63からなる導電性篩部60は、閉塞された出口開口44のところにおいて、底壁40と実際上面一又はそれに近い状態を採る。すなわち、導電性篩部60は、その背後ないし下面が閉塞された排出筒50の本体52や結束された花弁状部46によって支えられて、実際上、コンテナ本体10の底壁40の内側面の一部をなすような位置・状態を採る。
【0053】
次に、図1の(a)に示した頂壁30の中央開口部34のところにある花弁状部36,36,36,36を開き且つ注入筒70を開いた状態で、フック掛け部84,84(一方は図示せず)にバネ又はゴムの如き弾性支持体の下端部にある金属製フック(図示せず)を掛けて宙吊りにすると共に吊ベルト素体81,81,81,81を金属製ベルト掛け部(図示せず)に遊嵌・係合させる。金属製フック及び金属製ベルト掛け部はいずれも電気的に接地されている。一方、例えば、導電性シート90をアース用クリップ等でつまんで、導電性シート90を接地する。図2の(b)において想像線で示したような導電性ロープ68iがある場合には、好ましくは、該ロープ68iの先端68eを同様に接地する。
【0054】
この状態で、帯電し易い粉粒体Mを、注入筒70内に嵌挿した導入口(図示せず)を介して、フレキシブルコンテナ1内に流入させる。コンテナ1の本体10内への粉粒体Mの充填が進行してコンテナ本体10内の粉粒体Mの重量が大きくなるとフック掛け部84,84に係合されたフック部を支える弾性支持体が伸びてコンテナ本体10が吊ベルト素体81,81,81,81で支えられるようになり、更に充填を継続すると、コンテナ本体10内に粉粒体Mが一杯に又は所定量だけ充填される。
【0055】
この充填の間、粉粒体M相互間の摩擦や粉粒体Mとコンテナ本体10の内面との摩擦ないし接触により発生した静電気のうちコンテナ本体10側の部分は、コンテナ本体10の吊ベルト素体81,81,81,81や導電性シート90や導電性ネット60等を介して逃げる。一方、粉粒体Mに生じた帯電状態は、粉粒体Mがコンテナ本体10内の中央部に位置するときにはその放電が徐々に進行するので、長時間(場合によっては粉粒体Mが排出されるときまで)、残る。
【0056】
コンテナ本体10内への粉粒体Mの充填が完了すると、注入筒70を絞って結束紐75を巻いて縛り、更にその外側において締結用ロープ36dを引き締めて結束することにより、頂壁30の開口部34を閉じる。最後に、接地用のクリップ等を外すと共に吊ベルト素体81,81,81,81及びフック掛け部84,84を外してコンテナ1を下ろすことにより、粉粒体Mのフレキシブルコンテナ1への充填が完了する。
【0057】
粉粒体Mが複数種類の粒子からなるような場合や粉粒体Mを構成する粒子の表面の性質に異方性があるような場合やフレキシブルコンテナ1の基布Aと粉粒体Mとの接離に伴う帯電が生じ易いような場合には、フレキシブルコンテナ1の運搬の際に、粉粒体Mが帯電することもあり得る。
【0058】
次に、フレキシブルコンテナ1からの粉粒体の排出について、詳しく説明する。
【0059】
粉粒体Mの排出に際しては、まず、粉粒体Mの集積領域ないし堆積領域(排出領域)の丁度真上において吊ベルト素体81,81,81,81を該ベルト素体81,81,81,81の支持用金属製フック部ないしベルト掛け部(図示せず)に係止させて、フレキシブルコンテナ1を吊下げる。支持用金属製フック部(ベルト掛け部)は、接地(アース)されているので、吊ベルト素体81,81,81,81の吊下げにより、フレキシブルコンテナ1は、その本体10の上部において、一応、接地される。
【0060】
なお、所望ならば、吊下げの後、締結用ロープ36dを解き、結束紐75,75を解いて、頂壁30の中央開口34及び注入筒70を開いてもよい。但し、次に説明する粉粒体Mの効率的な排出を阻害する虞れが実際上ない場合、又は急激な排出になるのを避ける必要がある場合、頂壁30の中央開口34及び注入筒70は閉じたままでもよい。
【0061】
次に、例えば、導電性シート90をアース用クリップ等でつまんで接地する(導電性ロープ68i(図2の(b))がある場合には該ロープ68iも同様、以下では、ロープ68iについては略す)。アース用クリップが一端につながった接地用導線の他端側は、例えば、金属製構築物や地中の接地用金属体に接続されることにより、接地されている。但し、所望のレベルの接地が確保され得る限り、該他端側の接地の仕方は他のどのようなものでもよい。
【0062】
その後、締結用ロープ46dを解き、結束紐55,55を解いて、底壁40の中央開口44及び排出筒50を開く。これにより、排出筒50の上端部51ないし底壁40の中央開口44の近傍領域R1(図3の(b)参照)に収容されていた粉粒体Mが、例えば、図3において矢印G1で示したように、導電性ネット60の多数の網目ないし小開口部62及び排出筒50を通って流出し始める。粉粒体Mの排出の進行に伴い、一方では、排出される粉粒体Mの領域が、例えば、領域R2,R3・・のように、開口44から遠い領域に移る。なお、ここで、領域R1,R2,R3,・・・は、その境界があるわけではなく、開口44から遠い領域の粉粒体Mの流出が徐々に進行することを示すための例示である。他方では、粉粒体Mの流出に伴い、コンテナ本体10が、図3の(b)において実線で示し図4において想像線で示した初期形状S1から、例えば、図4において実線で示したような形状S2に徐々に変る。このようなコンテナ本体10の形状変化に伴い、粉粒体Mの流路は、例えば、図4において想像線で示した矢印G2のような流路から実線で示した矢印G3のような流路に徐々に変る。
【0063】
以上のような粉粒体Mの排出に際して、フレキシブルコンテナ1の本体10内の粉粒体Mの残量ないし残留割合やフレキシブルコンテナ本体10の形状(S1,S2等)に応じて流路がG1,G2,G3のように変化しても、粉粒体Mは、相互に擦れ合いながら、フレキシブルコンテナ1の底壁40の中央開口44において導電性ネット60の網目ないし小開口62を通って流れる。なお、粉粒体Mは、多少は、周壁部45に沿い易いけれども、ネット60があることにより、むしろ、開口44の全体をほぼ一様な分布で通過する。従って、粉粒体Mの排出の間、フレキシブルコンテナ1についてみれば、大まかには、底壁40の中央開口44の全域において粉粒体Mの流れがあり、粉粒体Mが帯電している場合、導電性ネット60の網目構造63に触れることにより、除電され得る。
【0064】
しかも、ネット60は、導電性縫合糸Eを介して底壁40の基布A3に電気的に接続され、且つ該底壁40がその外周縁部42において該外周縁部42を挟持するクリップ等(図示せず)を介して接地されているので、導電性ネット60及び底壁40を介する接地経路が確保されているから、導電性ネット60に触れた帯電物(粉粒体M)は、導電性ネット60を介して確実に除電され得る。
【0065】
以上のように、導電性繊維Bを含む織布Aからなるコンテナ本体10や排出筒50は、その抵抗(いわゆる表面抵抗)が1010Ω/□よりも十分に小さく相当程度の導電性を有することから、通常の使用状態においては、粉粒体Mの帯電に伴って又は粉粒体Mとの接触よってコンテナ本体10が帯電しても、導電性吊ベルト80や導電性シート90を介して十分に放電され得る。
【0066】
しかしながら、コンテナ本体10や排出筒50は、その機械的強度等の要求を満たすために、主として非導電性のプラスチック材料からなるので、導電性繊維その他の導電性要素の介在によりある程度の導電性(抵抗が1010Ω/□よりも十分に小さい)が確保されるとはいえその導電性は、通常の導体等と比較してはるかに低く、その電気抵抗は相当大きい。従って、例えば、コンテナ本体10の素材と該コンテナ本体10内に収容される粉粒体Mの素材との組合せ次第では、粉粒体Mの排出の際に、予期し難い程に高い帯電状態がコンテナ本体10の底壁40の中央開口44の近傍領域で生じる虞れがないとはいえない。
【0067】
ところが、このフレキシブルコンテナ1では、導電性ネット60が外周縁部64で底壁40の開口部44の周壁部45に導電性縫合糸E6によって電気的に接続されているので、導電性ネット60を介する放電が確実に確保され得る。なお、底壁部40の導電性が不足であるような場合には、前述のような導電性ロープ68i(図2の(b))によって、導電性ネット60を直接的に接地するようにしておいてもよい。
【0068】
また、フレキシブルコンテナ1の本体10内に誤って異物Qが混入している場合、以上のような粉粒体Mの排出に際して、該異物Qが導電性ネット60の網目ないし小開口62を通過できない程度に粉粒体Mよりも十分に大きい限り、図3の(c)に示したように、異物Qは、ネット60の網目構造体63によって遮られて排出筒50の入口すなわち底壁40の出口開口44に留められる。従って、異物Qが誤って混入しても、該異物Qが粉粒体Mの集積領域に誤って排出される虞れがない。
【0069】
更に、粉粒体Mの性状からして粉粒体Mの充填放置時間や粉粒体Mにかかる圧力が過大で粉粒体Mが固まって凝集体Qmが形成されたとしても、該凝集体Qmは、異物Qと同様に網目62を通過できないのでネット60によってその排出が禁止される。一方、凝集体Qmは、バラバラに粉砕されて粉粒体Mに戻されれば異物ではなくて正常な内容物であるから、フレキシブルコンテナ1を振る等して該凝集体Qmを壊せば、該凝集体Qmが壊れてなる粉粒体Mはネット60の網目62を通って集積領域に排出され得る。
【0070】
以上においては、フレキシブルコンテナ1の織布Aが、導電性糸を該導電性糸よりも機械的強度が高く且つ該導電性糸よりも電気伝導度の低い帯状体に挟み該帯状体を導電性糸の延在方向に沿って二つ折りに折曲げてなる導電性帯状構造体からなるフラットヤーンが経糸及び/又は緯糸のうちの少なくとも一部として製織したものからなる例について説明したけれども、織布Aは、十分な機械的強度を有する樹脂材料を主として含み、所望の形態で導電性が付与される限り、他のどのような導電性織布であってもよい。
【0071】
以上においては、フレキシブルコンテナ1の本体10の底壁40が平面状であって中心軸線Cに対して垂直な方向に延在している例について説明したけれども、コンテナ本体10が十分な容積を有し得るように、底壁40が上下方向に延びる中心軸線に対してほぼ水平方向に延びる限り、底壁40は開口44に近い程(中心線Cに近付く程)下方に位置するように多少円錐(台)状になっていてもよい。
【0072】
以上においては、排出筒50が径一定の筒状である例について説明したけれども、コンテナ本体10の底壁40の開口44から流出する粉粒体を所望の収容領域に導入するように案内し得る限り、軸線方向の部位によって横断面のサイズや形状が多少変動してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による好ましい一実施例のフレキシブルコンテナを示したもので、(a)はその上部部分を示した模式的斜視説明図、(b)はその下部部分を示した模式的斜視説明図。
【図2】図1のフレキシブルコンテナの下部部分を示したもので、(a)は下部部分の内側を斜め上から見た斜視説明図、(b)は(a)のIIB−IIB線断面説明図。
【図3】図1のフレキシブルコンテナの下部部分の各種の使用状態を示したもので、(a)は排出筒及び下側花弁状部が閉じられた状態にある下部部分についての図2の(b)と同様な断面説明図、(b)は排出筒及び下側花弁状部が開かれ内容物である粉粒体が導電性篩部を介して排出される状態にある下部部分についての(a)と同様な断面説明図、(c)は異物が混入したり粉粒体の凝集物ができている場合における導電性篩部を介する排出(異物等の排出禁止)の状況を示した(b)の一部の拡大断面説明図。
【図4】粉粒体の排出の進行に伴うコンテナ本体及び粉粒体の流れ状態を説明するための図3と同様な断面説明図。
【図5】図1のフレキシブルコンテナで用いられる導電性基布の一例の平面説明図。
【符号の説明】
【0074】
1 フレキシブルコンテナ
1a フレキシブルコンテナの上部部分
1b フレキシブルコンテナの下部部分
10 コンテナ本体
14 環状突起部(フランジ状部)
20 周壁
21 円筒
22 周壁の上端部
23 周壁の下端部
30 頂壁
32 頂壁の外周縁部
34 頂壁の中央開口
35 頂壁の中央開口の外周部(周壁部)
36 頂壁の開口のまわりの花弁状片部
40 底壁
42 底壁の外周縁部
44 底壁の中央開口(出口開口)
45 底壁の中央開口の外周部(周壁部)
46 底壁の開口のまわりの花弁状片部
46d 締結用ロープ
50 排出筒
51 上端部
52 筒状本体
55 結束紐
60 導電性篩部(導電性網,導電性ネット)
61 導電性糸
62 小開口(網目)
63 ネット状体(網状体)
64 外周縁部
70 注入筒
75 結束紐
80 吊ベルト
81 吊ベルト素体
82 補強用バンド
84 フック掛け部
86 袋状ポケット部
90 導電性シート
A,A1,A2,A3 導電性織布
B,B1,B2,B3 導電性繊維
C 中心軸線
D1,D2,D3 径
E,E2,E3,E6 縫合用の導電性繊維糸
G1,G2,G3 流出経路
M 粉粒体
Q 異物
Qm 凝集物
R1,R2,R3 領域
S1,S2 形態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基布からなる筒状の容器本体と、
該容器本体の入口開口につながった注入筒と、
前記容器本体の出口開口につながった排出筒と、
出口開口を横断するように該出口開口の周壁に外周縁部において導電的に取付けられ多数の小開口を備えた導電性の篩部と
を有する静電気帯電防止型フレキシブルコンテナ。
【請求項2】
前記篩部が、導電性糸の網状体からなる請求項1に記載の静電気帯電防止型フレキシブルコンテナ。
【請求項3】
出口開口が容器本体の環状の底壁部に形成されている請求項1又は2に記載の静電気帯電防止型フレキシブルコンテナ。
【請求項4】
排出筒がその長手方向の全体にわたって実質的に一定の横断面形状を有する請求項1から3までのいずれか一つの項に記載の静電気帯電防止型フレキシブルコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−1296(P2009−1296A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162172(P2007−162172)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(303065485)株式会社ホクリョウ (3)
【Fターム(参考)】