説明

静電気除去装置

【課題】 車両の静電気を人が触れることなく除去し、電撃ショックの防止だけでなくエンジン・補機類・電子部品の性能の効率化及び安定化を常時図る。
【解決手段】 自然界の放射性土壌物質をセラミック化した1個の電気石セラミック体3の周囲にドラバイトを還元焼成した6個の電気石セラミック体3aを放射状に密集し、同電気石セラミック体3,3aの集合体を銅板製のケース2内に配置し、電気石セラミック体3aの対向する両側位置に磁石4をそのN極が電気石セラミック体3a側へ向くように配置し、ケース2内に荷電シリコン5を充填し、ケース2の張出片2aに導線6をそれぞれ配線し、これを外ケース7に収容して導線6を露出させる。そして、一方の導線6をバッテリーのマイナス極端子に接続し、他方の導線6を車両の金属部分に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の静電気を除去してアーシング効果によるエンジン・補機類・電子部品の性能の効率化及び安定化を図る静電気除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、エンジンのピストンの往復運動・タイヤの回転・ブレーキの摩擦・ボディの空気抵抗・オイルや排気ガスや冷却水の流れなど、走行中に至る所で静電気が発生している。静電気が滞留すると、人が乗降する際に放電で電撃ショックを受けたり、電流が正常に流れなくなって各種のセンサーが正確に測定できず、エンジン・補機類・電子部品の本来の性能が発揮できなくなる問題がある。
【0003】
これに対し、自動車の静電気を除去する技術が特許文献1〜3で提案されている。これらの技術は、車両の人体が触れる箇所に高抵抗器を取り付け、高抵抗器と車両の金属部分とを導線で接続した構成を特徴としており、人が高抵抗器に触れると放電時に電流が小さく制限され、電撃ショックを受けることなく車両の静電気が除去されるものである。しかしながら、これらの技術は乗降の際の電撃ショックを防止するために成されたもので、人が高抵抗器に触れなければ効果が発揮されないものであった。
【特許文献1】実開平5−79900号公報
【特許文献2】特開平10−41092号公報
【特許文献3】実用新案登録第3082290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、車両の静電気を人が触れることなく除去し、電撃ショックの防止だけでなくエンジン・補機類・電子部品の性能の効率化及び安定化を常時図ることができる静電気除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 自然界の放射性土壌物質をセラミック化した1個の電気石セラミック体の周囲にドラバイトを還元焼成した6個又は6の倍数の個数の電気石セラミック体を放射状に密集し、同電気石セラミック体の集合体を導電性材料からなるケース内に配置し、ケース内に荷電シリコンを充填して各電気石セラミック体を定位置に固定し、ケースの両側端部に導線をそれぞれ配線した、静電気除去装置
2) 電気石セラミック体の集合体の対向する両側位置に磁石をそのN極が電気石セラミック体側へ向くように所定間隔おいて配置した、前記1)記載の静電気除去装置
3) ケースが銅板で構成されたものである、前記1)又は2)記載の静電気除去装置
4) 前記1)〜3)いずれか記載の静電気除去装置を外ケースに収容して導線を外部に露出し、外ケースを車両の所定位置に取り付け、露出した一方の導線をバッテリーのマイナス極端子に接続し、他方の導線を車両の金属部分に取り付けた、車両の静電気除去装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一方の導線をバッテリーのマイナス極端子に接続し、他方の導線を車両の金属部分に取り付けると、強力なアーシングにより帯電している静電気が中和されて電流が正常に流れるようになる。したがって、エンジン・補機類・電子部品の本来の性能を常時発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の電気石セラミック体としては、自然界の放射性土壌物質やトルマリン鉱石の中でマグネシウムが多量に含まれているドラバイト(苦土電気石)を1000℃以上の高温で還元焼成し、外径約10mm、長さ約10mmほどの円柱状に形成されたものが用いられる。これらは熱や圧力を加えると光波やイオンを放出するものである。また、電気石セラミック体の集合体の対向する両側位置に磁石をそのN極が電気石セラミック体側へ向くように所定間隔おいて配置すると磁力反発作用を生じ、静電気の除去能力をより高めることができて好ましい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜4に示す実施例は、本発明の静電気除去装置を自動車の静電気除去に適用した例である。図1は実施例の静電気除去装置の斜視図、図2は実施例の静電気除去装置の縦断面図、図3は実施例の電気石セラミック体と磁石の配置を示す説明図、図4は実施例の使用状態を示す説明図である。図中、1は静電気除去装置、2はケース、2aは張出片、3,3aは電気石セラミック体、4は磁石、5は荷電シリコン、6は導線、6aは端子、7は外ケース、8はキャップ、9は両面粘着テープ、10はバッテリー、10aはマイナス極端子、11はシャシーフレーム、11aはボルト、12はラジエターである。
【0009】
本実施例の静電気除去装置1は、図1〜3に示すように導電性材料からなるケース2内に電気石セラミック体3,3aを密集状態に配置し、電気石セラミック体3の対向する両側位置に磁石4をそのN極が電気石セラミック体3a側へ向くように間隔をおいて配置し、ケース2内に荷電シリコン5を充填して電気石セラミック体3,3aと磁石4を定位置に固定し、ケース2の磁石4側端部に導線6をそれぞれ配線し、これを外ケース7に収容して導線6を露出させている。
【0010】
ケース2は厚さ0.1mmの銅板で長さ5cm、高さ1.5cm、幅2.5cmに構成され、両端部に長さ1cmの張出片2aを形成している。電気石セラミック体は1個の電気石セラミック体3の周囲に6個の電気石セラミック体3aを放射状に密接させて配置している。中央の電気石セラミック体3は自然界の放射性土壌物質を焼成したものを用い、周囲の電気石セラミック体3aはドラバイトを焼成したものを用いている。
【0011】
磁石4は永久磁石を用い、電気石セラミック体3aと磁石4の間隔は36mmである。導線6は長さ50cmで絶縁被膜を被覆してその先端部に接続用の丸型の端子6aを取り付け、基端部を張出片2aに溶着している。外ケース7は厚さ1.5mmのアルミニウム合金で長さ10cm、高さ2.5cm、幅3cmに構成され、その両端の開口部にプラスチック製のキャップ8を装着して密閉できるようにし、外ケース7の側面に剥離紙付きの両面粘着テープ9を取り付けている。
【0012】
この静電気除去装置1を、図4に示すようにバッテリー10に近接するシャシーフレーム11のボンネットと干渉しない位置に両面粘着テープ9で粘着し、一方の導線6の端子6aをバッテリー10のマイナス極端子10aに接続し、他方の導線6の端子6aをシャシーフレーム11の適当なボルト11aを緩めて取り付ける。シャシーフレーム11はボルト11a付近の塗装面をサンドペーパー等で剥離しておくと効果が向上する。
【0013】
静電気除去装置1の取り付け個数としては、求める効果に応じて1個又は数個取り付ける。一般的な乗用車では1個で十分であるが、エンジンの排気量が大きい場合(例えば3000cc以上)や効果をより求める場合は2個直列に取り付ける。トラックやバスでは4個又はそれ以上の個数を取り付ける。取り付け位置が高温になる場合は別途耐熱シート等を併用する。走行中の振動等による脱落防止のためにオースバンドやタイラップ等の二次的な固定手段を併用するのが望ましい。静電気除去装置1の取り付け時にエンジンオイルの交換及びエアフィルターの交換又は洗浄を同時にしておくと効果がさらに向上する。
【0014】
以下、本実施例の静電気除去装置1の未装着と取り付け後4時間経過後と12時間経過後の静電気を調べた結果を示す。静電気測定装置は春日電機株式会社製のKSD−0101を用いた。測定箇所は、ロードホイール・タイヤの側面・マフラーカッターの排気口付近・左右のドアノブ・エンジンのシリンダヘッド・ボンネットの内面と外面・インテークマニホールドである。測定結果を表1に示す。このように、静電気除去装置1を取り付けて12時間経過した状態では静電気が測定されず、効果が発揮されているのがわかる。
【0015】
【表1】

【0016】
なお、本実施例の静電気除去装置1を液晶テレビ受像機に取り付けた場合の静電気も調べた。測定箇所は液晶画面である。静電気除去装置1の未装着では約10.12kVであった。電源を入れた状態で静電気除去装置1の一方の端子6aを液晶画面の左端に接触させ、他方の端子6aの付近で測定すると約1.39kVであった。その後、一方の端子6aで液晶画面全体をなぞり、端子6a間の間隔を狭めた状態で測定すると約−0.38kVであった。
【0017】
一方、電源を切った状態(主電源ではなくスタンバイ状態)で測定すると約−7.28kVであった。一方の端子6aを液晶画面の左端に接触させ、他方の端子6aの付近で測定すると約−2.87kVであった。両方の端子6aで液晶画面全体をなぞった直後に測定すると約−6.55kVであった。その後、電源を入れて測定すると約2.08kVであった。一方の端子6aを液晶画面の左端に接触させ、他方の端子6aの付近で測定すると約0.30kVであった。さらに、一方の端子6aで液晶画面全体をなぞり、端子6a間の間隔を狭めた状態で測定すると約0.13kVであった。
【0018】
上記の工程後に電源を切って静電気除去装置1を取り付けた状態で30分経過後は約−1.61kV、60分経過後は約−0.00kVであった。このように、自動車だけでなく家電製品にも効果を発揮することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の静電気除去装置は、自動車の他に家電製品にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例の静電気除去装置の斜視図である。
【図2】実施例の静電気除去装置の縦断面図である。
【図3】実施例の電気石セラミック体と磁石の配置を示す説明図である。
【図4】実施例の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 静電気除去装置
2 ケース
2a 張出片
3,3a 電気石セラミック体
4 磁石
5 荷電シリコン
6 導線
6a 端子
7 外ケース
8 キャップ
9 両面粘着テープ
10 バッテリー
10a マイナス極端子
11 シャシーフレーム
11a ボルト
12 ラジエター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然界の放射性土壌物質をセラミック化した1個の電気石セラミック体の周囲にドラバイトを還元焼成した6個又は6の倍数の個数の電気石セラミック体を放射状に密集し、同電気石セラミック体の集合体を導電性材料からなるケース内に配置し、ケース内に荷電シリコンを充填して各電気石セラミック体を定位置に固定し、ケースの両側端部に導線をそれぞれ配線した、静電気除去装置。
【請求項2】
電気石セラミック体の集合体の対向する両側位置に磁石をそのN極が電気石セラミック体側へ向くように所定間隔おいて配置した、請求項1記載の静電気除去装置。
【請求項3】
ケースが銅板で構成されたものである、請求項1又は2記載の静電気除去装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の静電気除去装置を外ケースに収容して導線を外部に露出し、外ケースを車両の所定位置に取り付け、露出した一方の導線をバッテリーのマイナス極端子に接続し、他方の導線を車両の金属部分に取り付けた、車両の静電気除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−181694(P2009−181694A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249385(P2006−249385)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(503422011)株式会社バッファロー (2)
【Fターム(参考)】