説明

静電流体加速器および流量を制御するための方法

静電流体加速およびその動作方法は、少なくとも2つの同期して給電される段を含み、一方の段の末尾または最後部の電極は、空気流の方向において、次の段の直に隣接する最初または最前部の電極と実質的に同じ瞬間電圧で保たれる。単一の電源、または同期化され、かつ、位相が制御された電源は、段の各々に高圧電力を供給するので、対応する電極に加えられる電力の位相および振幅はともに、時間的にそろえられる。周波数および位相の制御によって、隣接する段は、1つの段内における電極間の距離の1から2倍の距離をおいて近接して配置できるようになり、さらに、いずれの場合でも、1つの段のコロナ放電電極から隣接する段の電極への逆コロナ電流の発生を最小化または回避することが可能となる。隣接する段のコロナ放電電極同士は、水平方向に整列させてもよく、すべての段の相補型集塵電極は同様に、コロナ放電電極の間で水平方向に整列され、かつ、コロナ放電電極から水平方向にオフセットされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2002年7月3日に出願された「静電流体加速器および流量を制御するための方法」と題する米国特許出願連続番号第10/188,069号の一部継続出願であり、かつ、2004年3月23日に出願された同題の米国特許出願連続番号第10/806,473号の継続出願である。関連出願は、1999年10月14日に出願された「静電流体加速器」と題する米国特許出願連続番号第09/419,720号であり、現在は米国特許第6,504,308号、2002年6月21日に出願された「流量の静電流体加速度制御のための方法および装置」と題する米国特許出願連続番号第10/175,947号であり、現在は米国特許番号第6,664,741号、2002年7月3日に出願された「スパーク管理方法および装置」と題する米国特許出願連続番号第10/187,983号、1998年10月16日に出願された米国仮出願連続番号第60/104,573号の継続出願である2002年11月18日に出願された「静電流体加速器」と題する米国特許出願連続番号第10/295,869号、2003年12月2日に出願された「コロナ放電電極およびその動作方法」と題する米国特許出願連続番号第10/724,707号、2003年12月15日に出願された「流体の静電流体加速度制御のための方法および装置」と題する米国特許出願連続番号第10/735,302号、2004年1月8日に出願された「静電空気清浄装置」と題する米国特許出願連続番号第10/752,530号であり、これらはすべて、引用によってその全体がここに援用される。
【0002】
発明の背景
発明の分野
この発明は、流体を加速させ、それによって、流体に速度および運動量を与えるための装置および方法に関し、特に、イオンおよび電界を発生させるためのコロナ放電技術の使用に関し、特に、空気のような流体の移動および制御のためのイオンおよび電界の使用によるものに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
いくつかの特許(例として、シャノン(Shannon)らによる米国特許第4,210,847号およびスパージン(Spurgin)による第4,231,766号を参照)には、電極(「コロナ電極」と称する)を用いたイオン発生が記載されており、その電極は、イオンをもう1つの電極(「集塵」および/または「誘引」電極と称する)の方に引き付け、それによって加速させ、その結果、イオンに、誘因電極に向かう方向の運動量を与える。イオンと、周囲空気分子などの流体との衝突によって、イオンの運動量が流体に伝わり、流体の対応する運動を引き起こす。
【0004】
リー(Lee)の米国特許第4,789,801号、ウェインバーグ(Weinberg)の第5,667,564号、テイラー(Taylor)らの第6,176,977号およびサカキバラらの第4,643,745号でも、静電界を用いて空気を加速させる空気運動装置が記載されている。これらの装置で得られる気流速度は非常に低いので、商業または産業上の用途向けには実用的でない。
【0005】
エドワーズ(Edwards)の米国特許第3,699,387号および第3,751,715号では、空気流を高めるために、連続して配置された複数段の静電空気加速器(EFA)の使用が記載されている。これらの装置は、誘因(集塵)電極として導電性メッシュを使用しており、このメッシュは、隣接するコロナ電極同士を分離する。このメッシュは、
かなりの空気抵抗を発生させて空気流を弱めるので、EFAが所望のより高い流速を得る上で妨げとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
あいにく、これらの装置はいずれも、商業的に実現可能な量の空気流を生み出すことができない。従来の複数段の空気運動装置では、それ自体で解決策を提供することができない。たとえば、連続して配置された5つの直列段の静電流体加速器では、1段のみの場合に比べて、与える空気流は17%しか増えない。例として、スパージン(Spurgin)の米国特許第4,231,766号を参照されたい。
【0007】
したがって、商業的に有益な流速を生み出すことのできる実用的な静電流体加速器が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
この発明は、先行技術の空気流の制限におけるいくつかの欠陥、および理論上の最適性能を得られないという全般的な性質に対応するものである。これらの欠陥の1つには、多段EFA装置の過剰なサイズの要件があり、それは、連続して配置される数段のEFAは、空気ダクトに沿って(すなわち、空気流の方向に沿って)相当な長さを必要とするためである。さらにこの長いダクトによって、空気流に対してより大きな抵抗が加わる。
【0009】
段が各々に近接して配置されると、さらに別の問題が生じる。段間の間隔を小さくすると、1つの段の誘因電極と隣接する次の段のコロナ放電電極との間に「逆コロナ」が生じることがあり、それによって空気流が反転する。これは、次の段のコロナ電極と前(上流)の段の集塵(誘因)電極との間の電位差が大きいために起こる可能性がある。さらに、隣接する段同士の間の静電容量によって、隣接する段同士の間に寄生電流が存在する。この電流は、隣接する段同士の間の非同期高圧リップルまたは高圧パルスによって生じる。
【0010】
大型または複数の段を用いて、各個別の(またはグループの)段に、それ自体の高圧電源(HVPS)を設けるようにすると、さらに別の問題が生じる。この場合、コロナ放電を生じさせるために必要な高電圧を用いると、電極同士の間に許容できないレベルのスパークが生じることがある。スパークが生じたときは、HVPSを、イオン消失およびスパーク消失に必要なある期間にわたって完全に遮断し、それから動作を再開しなければならない。電極の数が増えると、1組の電極を用いる場合に比べて、スパークは頻繁に発生する。1つのHVPSがいくつかの組の電極(すなわち、いくつかの段)に給電する場合、発生数の増えたスパークを消失させるために、より頻繁に遮断することが必要となる。これによって、全体的にシステムの停電が増えることになり、望ましくない。この問題に対処するには、各段にそれ専用のHVPSから給電することが有利である場合がある。しかしながら、個別のHVPSを使用すると、隣接する段の電極同士の間の浮遊容量によって生じる望ましくない電気干渉を回避し、かつ、逆コロナの発生を回避するために、連続する段同士の間隔をより広く取ることが必要となる。
【0011】
この発明は、EFAの段を近接した間隔で配置することで空気量を増やす一方で、望ましくない作用が取り込まれるのを最小限にするか、または回避するための画期的な解決策を示す。この発明は、性能の向上をもたらす電極の形態、相互の位置および電極に加えられる電圧の組合せを実現するものである。
【0012】
この発明の一実施例に従って、複数のコロナ電極および集塵電極は、相互に平行に配置されるか、または空気流の方向に垂直なそれぞれの面の間を延在する。隣接する段の電極
はすべて互いに平行であり、同じ種類の電極(すなわち、コロナ放電電極または集塵電極)はすべて同じ平行な面に配置され、その同じ平行な面は、同じ種類の電極または電極の縁部が位置する面に直交する。別の特徴に従って、段同士を近接した間隔で配置することで、隣接する段の電極同士の間のコロナ放電を回避または最小限にする。隣接する電極同士の間の最も近接した間隔を「a」とし、第1の電極に加えられる電圧V1と最も近接する第2の電極に加えられる電圧V2との間の電位差(V1−V2)と、電極同士の間の距離との比率を正規化された距離「aN」とすると、aN=(V1−V2)/aとなる。1つの段のコロナ放電線から隣接する段の最も近接する部分までの正規化された距離は、これらの電極の間に加えられるコロナ開始電圧を超えるべきであり、実際には、逆コロナの発生を防ぐために、コロナ放電電極から、対応する関連付けられた(すなわち最も近い)誘因電極までの正規化された距離の1.2から2.0倍以上にするべきということになる。
【0013】
最終的に、隣接する段に加えられる電圧は、同期化され、かつ、同相化されるべきである。すなわち、隣接する段の電極に加えられる電圧の交流成分は、同時に上下し、かつ、実質的に同じ波形および大きさおよび/または振幅を有するべきである。
【0014】
この発明によって、EFA電極密度(典型的には、単位長さ当りの段数で測定される)が増大し、電極間の迷走電流が排除されるか、または著しく減少する。同時に、この発明によって、隣接する段の電極間のコロナ放電(たとえば、逆コロナ)が排除される。これは、隣接するEFA段を実質的に同じ電圧波形で給電することにより部分的に達成され、すなわち、隣接する電極の電位は、同じまたは非常に似た交流成分を有しているので、段間の交流差動電圧が排除されるか、または低下し、かつ、隣接する段の直に隣接する電極同士の間の瞬間電圧差が最小化する。このように段同士が同期するように動作させると、隣接するEFA構成要素の隣接する電極同士の間の電位差は一定に保たれ、かつ、1つの電極から別の電極に生じる迷走電流は最小化されるか、または完全に回避される。同期化は、さまざまな手段によって達成できるが、最も簡単であるのは、隣接するEFA構成要素を、対応する電源から同期化かつ同相化された電圧で給電するか、または同期化された電源によって給電し、それぞれ加えられた電圧の振幅の交流成分を相似させることである。これは、隣接するEFA構成要素に同じ電源を接続するか、または、異なる、好ましくは適合する電源によって、加えられる電圧の同期化かつ同相化された交流成分を生成することで実現可能である。電極の密度(すなわち「電極密度」)をさらに高めるには、隣接する(すなわち直に隣接する)段を、コロナ電極および集塵電極を逆極性にして配置することによって、すなわち、同じまたは似た(すなわち「近い」)電位を有する隣接する段のそれぞれの電極を互いに最も近接させることによって達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
好ましい実施例の説明
図1Aは、2つのEFA段114および115を含む静電流体加速(EFA)装置100の概略図である。第1のEFA段114は、コロナ放電電極106とそれに対応付けられた加速電極112とを含み、第2のEFA段115は、コロナ放電電極113とそれに対応付けられた加速電極111とを含む。両方のEFA段およびすべての電極は、概略的に図示している。わかりやすくするために、1段につき1組のみのコロナ放電電極および集塵電極を示しているが、各段が多数の配列された対のコロナ電極および加速電極を含んでいてもよいと考えられる。EFA100の重要な特徴は、コロナ放電電極106と集塵電極112との間の距離d1は、集塵電極112と後段115のコロナ放電電極113との間の距離d2と同等であり、すなわち、隣接する段の要素間の最も近い距離は、同じ段内の電極同士の間の距離よりそれほど大きいわけではない。典型的には、集塵電極112と隣接する段のコロナ放電電極113との間の段間距離d2は、同じ段内のコロナ放電電極106と集塵電極112との間の段内空間距離d1(またはコロナ放電電極113と集
塵電極111との間の空間)の1.2から2.0倍とする。この一定の空間によって、電極106および112の間ならびに106および113の間の容量は同位となる。この構成では、コロナ放電電極106および113の間の容量結合によって、電極間に何らかの寄生電流が流れ得ることに留意されたい。この寄生電流は、電極対106および112の間の容量性電流と振幅が同位である。電極113および106の間の不要な電流を減少させるには、各々に、同期した高圧波形を与えればよい。図1Aに示す実施例では、両方のEFA段は、共通の電源105、すなわち、並列する両方の段に給電する単一の電圧変換回路または「コンバータ」(たとえば、電源変圧器、整流器およびフィルタリング回路など)を有する電源によって電力が供給されている。これによって、電極106および113の間の電圧差は、電極106および111に対して確実に一定に保たれるので、電極106および113の間に流れる電流は、存在しなくなるか、または極めて小さくなる。
【0016】
図1Bは、1対のEFA段116および117を含むEFA101の代替の構成を示しており、この1組のEFA段は、それぞれ電源102および103の形をとった個別のコンバータによって給電される。第1のEFA段116は、段116内で1対の相補型電極を形成するコロナ放電電極107と集塵電極108とを含む。第2のEFA段117は、第2の対の相補型電極を形成するコロナ放電電極109と集塵電極110とを含む。両方のEFA段116、117およびすべての電極107から110は、概略的に図示している。
【0017】
第1のEFA段116は電源102によって給電され、第2のEFA段117は電源103によって給電される。両方のEFA段ならびに両方の電源102および103は、同期化が簡単になるように同一の設計であってもよいが、別の構成に対応するように適宜異なる設計を用いてもよい。電源102および103は、制御回路104によって同期化され、同期化された電源出力を供給する。制御回路によって、両方の電源102および103は、実質的に等しい、同期化かつ同相化された出力電圧を確実に生み出すので、それによって、電極107および109の間の電位差は実質的に一定に保たれる(たとえば、交流電圧成分は存在しなくなるか、または極めて小さくなる)。(注:「同期化」という語には、通常、信号間の周波数および位相の両方の一致が含まれるが、「同相化」という語の使用によって、位相整列の要件はさらに強調され、同相化においては、信号同士が関連する位置で互いに同相である、たとえば、各段で適用され、かつ、存在している必要がある)。この電位差を一定に保つ(すなわち、交流電圧成分を最小化にするか、または、排除する)ことによって、電極107および109の間の容量性電流の流れが、許容可能な値、たとえば、典型的には1mA未満、好ましくは100μA未満に制限されるか、または排除される。
【0018】
隣接するEPA段の電極同士の間の寄生容量性電流の減少は、図2Aおよび図2Bに示す波形を参照して確認できる。図2Aからわかるように、電極107に存在する電圧V1(図1B)および電極109に存在する電圧V2は、同期化かつ同相化されているが、直流の振幅ついては必ずしも同等ではない。完全な同期化であるために、電極107および109に存在する電圧間の差V1−V2は、ほぼ一定となり、信号間の直流オフセット値のみを示す(すなわち、交流成分は存在しない)。電極107と電極109との間の容量結合を通して流れる電流Icは、この容量全体の電圧の変化の時間速度(dV/dt)に比例する。
【0019】
Ic=C*[d(V1−V2)/dt]
この関係から、任意の容量の全体の電圧が一定に保たれている(すなわち、交流成分が存在しない)場合、電流が経路を流れることはないということが直接的にわかる。一方、電圧の変化が小さくても、その電圧の変化が急速であった(すなわち、d(V1−V2)/dtが大きい)場合、大きい容量性電流の流れが生じる可能性がある。隣接するEFA
段の異なる電極から過度の電流が流れるのを防止するために、これらの隣接する段の電極に加えられる電圧は、同期化かつ同相化されるべきである。たとえば、図2Bを参照して、コロナ電圧V1およびV2は、わずかに同期がずれているので、その差d(V1−V2)/dtに小さい交流電圧成分が生じる。この小さい交流電圧成分によって、隣接するEFA段の間をかなりの寄生電流Icが流れることになる。この発明の実施例は、段間の電流の流れを防止するために、すべての段に加えられる電力の同期化を含む。
【0020】
隣接するEFA段の電極の最も近接する空間は、以下のように概算できる。典型的なEFAは、むしろ狭い電圧範囲にわたって効率的に動作することに留意されたい。同じ段のコロナ放電電極と集塵電極との間に加えられる電圧Vcは、適正な動作のためには、いわゆるコロナ開始電圧Vonsetを上回るべきである。すなわち、電圧VcがVonset未満であると、コロナ放電は起こらず、かつ、空気の運動は生じない。同時に、アーク放電を防止するために、Vcは絶縁破壊電圧Vbを超えるべきではない。電極の形状およびその他の条件に応じて、Vbは、Vonsetの2倍を超えてもよい。典型的な電極の構成では、Vb/Vonset比は約1.4から1.8であるので、特定のコロナ放電電極は、隣接する集塵電極から、「逆コロナ(back corona)」が生じる恐れのある距離を隔てて配置するべきではない。したがって、隣接する段の最も近接する電極同士の間の正規化された距離aNnは、同じ段のコロナ放電電極と集塵電極との間の正規化された距離「aNc」の少なくとも1.2倍の大きさとすべきであり、好ましくは、距離「aNc」の2倍以下とすべきである。すなわち、隣接する段の電極は、電極間の電圧差が隣接する段の任意の電極間のコロナ開始電圧より確実に小さくなるように、間隔を置いて配置するべきである。
【0021】
上記の条件が満たされない場合、必然的な結果として、隣接する段は、他の場合に比べて互いにさらに広い間隔を置いて配置することが必要となる。このように段間の空間が大きくなると、いくつかの条件が空気の運動に悪影響を与える結果となる。たとえば、隣接する段同士の間の空間が大きくなると、ダクトをより長くすることになり、結果的に、空気流に対する抵抗が大きくなる。EFAの全体的なサイズおよび重量も増大する。同期化かつ同相化されたHVPSであれば、HFA段同士の間の空間を小さくできることで、効率の低下およびスパークの発生の増大を伴わずに、これらのマイナス面は回避される。
【0022】
図3を参照して、2段EFA300は、HVPS301および302の形をとった1対のコンバータを含み、この1対のコンバータは、それぞれ第1の段312および第2の段313と対応付けられている。両方の段は、実質的に同一であり、かつ、同一のHVPS301および302によって電力を供給されている。HVPS301および302は、それぞれパルス幅変調(PWM)コントローラ304および305と、電力トランジスタ306および307と、高圧インダクタ308および309(すなわち、変圧器またはフィルタリングチョーク)と、倍電圧器320および321とを含み、各倍電圧器は、整流回路310および311を含む。HVPS301および302は、段312および313のそれぞれのEFAコロナ放電電極に電力を供給する。前述のように、段312および313のEFA電極は、1つのコロナ放電電極と1つの加速(または誘因)電極とからなる単一の対として図式的に示しているが、各段は、典型的には、2次元配列で構成される複数の対の電極を含む。PWMコントローラ304、305は、それぞれの電力トランジスタ306および307のゲートに対し、高周波パルスを発生させる(かつピン7で供給する)。これらパルスの周波数は、抵抗器316とキャパシタ317とを含むRCタイミング回路および抵抗器318とキャパシタ319とを含むRCタイミング回路によってそれぞれ決定される。通常、段間においてこれら構成要素の値にわずかな違いがあると、典型的には50Hzから1000kHzの範囲内で出力電圧を供給する2つのHVPS段の動作周波数にわずかな差が生じる。しかしながら、周波数の違いがわずかでも、EFA300の段312および313の動作は非同期となる。よって、電源301および302の動作を確実に同期化かつ同相化する(すなわち、位相シフトまたは差が0)には、コントロー
ラ305を接続して、抵抗器315とキャパシタ314とを含む同期入力回路を介して、PWMコントローラ304のピン1から同期信号パルスを受けるようにする。この構成によって、PWMコントローラ305はPWMコントローラ304に同期するので、両方のPWMコントローラが、同期化(同じ周波数)および同相化(同じ位相)された電圧パルスを出力する。
【0023】
図4Aおよび図4Bは、2段EFA装置の2つの異なる構成の断面図である。2段のみを図示しているが、詳細な原理および構造は同じである。図4Aを参照して、第1のEFA装置411は、2つの直列または縦続の段414および415からなる。第1の段414は、第1の垂直な列に整列する複数の並列コロナ放電電極401と、コロナ放電電極401の列に平行な第2の列に整列する集塵電極402とを含む。すべての電極は、図面のページの中へおよびこのページから外へと長手方向に延在する断面図で示している。コロナ放電電極401は、図示のように導電性ワイヤの形をとってもよいが、その他の構成を用いてもよい。集塵電極402は、水平方向に長い導電性の棒として図示している。重ねて、これは例示を目的とするものであり、この発明の種々の実施例に合わせてその他の形状および構成が実施可能である。第2の段415も同様に、整列したコロナ放電電極403(これらも、ページに垂直に延在する細い導電線として図示)および集塵電極404(これらも棒として図示)の列を含む。すべての電極は、空気ダクト405内に取付けられている。EFA411の第1の段414および第2の段415は、それぞれ個別のHVPS(図示せず)によって給電される。HVPSは、同期化かつ同相化されているので、第2の段415のコロナ放電電極403は、第1の段414の集塵電極402に対して可能な限り最も近接する正規化された距離を隔てて配置でき、EPA性能と不利に相互作用したり、EPA性能を低下させたりすることはない。
【0024】
例示を目的として、隣接する段414および415の電極に加えられる電圧およびその成分(たとえば、交流および直流)はすべて等しいものとする。さらに、コロナ放電電極401および403には高電圧が加えられ、かつ、集塵電極402および404は接地される、すなわち、コロナ放電電極401および403に加えられる高電圧に対して、共通の接地電位に保たれるものとする。電極はすべて、平行な垂直の列に整列し、異なる段の対応する電極は、水平方向に整列し、かつ、ねじれ形の列のそれ自体の段の相補型電極から垂直方向にオフセットされる。コロナ放電電極401と最も近い垂直方向に隣接する集塵電極402の前縁との間の正規化された距離410は、aN1に等しい。第2の段のコロナ電極403と第1の段の集塵電極402の後縁との間の正規化された距離aN2(413)は、aN1より大きいある距離aN2となるべきであるが、実際の距離は、コロナ放電電極に加えられる特定の電圧によって決まる。いずれの場合でも、aN2は、aN1より若干大きい、すなわち、距離aN1の1から2倍の範囲内にあるべきであり、より好ましくはaN1の1.1から1.65倍、さらにより好ましくはaN1の約1.4倍である。特に、図4Aに示すように、距離aN2は、必要な分よりも若干大きくして、コロナ開始電圧の間の電圧によって、その間に電流が生じるのを防ぐべきである。この正規化された「スタント(stant)」距離aN2は、1.4×aN1に等しいものとする。そこで、隣接する段同士の間の水平な距離412は、距離aN2(413)より小さくなる。段内の空間は、(図4Aに示すように)隣接する段の同じタイプの電極が1つの面420に位置するとき、最小となる。面420は、コロナ放電電極の縁部を含む面と直交する面(図4Aに示すように、空気流の方向にも実質的に直交する面417)として定めてもよい。隣接する段の同じタイプの電極が、面421および422(図4Bに図示)のような、異なる、ただし平行な面に位置している場合、隣接するEFA段の電極同士の間に生じる最小の空間の距離は、線419で示すように、aN2に等しい。線419の長さは、距離413(aN2)と同じであり、かつ、距離412より大きいので、段内の空間は大きくなることに留意されたい。
【0025】
図5は、個別の電源502および503によってそれぞれ給電される1対のEFA段516および517を含むEFA501の構成を示す。第1のEFA段516は、段516内に1対の相補型電極を形成するコロナ放電電極507と集塵電極508とを含む。第2のEFA段517は、第2の1対の相補型電極を形成するコロナ放電電極509と集塵電極510とを含む。両方のEFA段516、517およびすべての電極507から510は、概略的に図示している。一実施例に従って、EFA段516および517は、縦続に配置されており、段517は、所望の空気流の方向において段516のすぐ後に続いて配置されている。集塵電極508の後縁(または集塵電極の配列の後縁)は、数ある要因のうち特に動作電圧に応じて、コロナ放電電極509の前縁(またはコロナ放電電極の配列の前縁)から、1から10cmの間の距離で間隔を隔てて配置されている。
【0026】
第1のEFA段516は電源502によって給電され、すぐ後に続く(または空気流の方向において隣の)第2のEFA段517は、極性の反転した電源503によって給電される。すなわち、コロナ放電電極507は、集塵電極508に対して「正の」電圧が供給される一方、第2のEFA段517のコロナ放電電極509は、「負の」電圧(すなわち、交流などの時間変化する信号においては、集塵電極508に供給される電圧と同相化され、かつ、コロナ放電電極507と位相が逆または位相がずれている電圧)が供給される。対照的に、集塵電極510には、「正の」電圧、すなわちコロナ放電電極507に供給される電圧と同相化された電圧が供給される。(「正の電圧」および「負の電圧」という語句は、2つの電源端子のいずれかの相対的な呼称を意図するものであり、絶対的なものではないことに留意されたい)。
【0027】
電極508および509の電位差は、いかなる特定の時点においても、互いに同じまたは近いことが肝要である。両方のEFA段ならびに両方の電源502および503は、同期化が簡単になるように同じ設計であってもよいが、他の構成に対応するように適宜異なる設計を用いてもよい。電源502および503は、制御回路504によって同期化されて、同期した出力を供給する。制御回路によって、両方の電源502および503は、同期化かつ同相化された出力電圧を確実に発生させ、この出力電圧は実質的に等しいので、電極508および509の間の電位差は実質的に一定に保たれる(たとえば、0または非常に小さい交流電圧成分、好ましくは100v rms未満、さらに好ましくは10v rms未満を有する)。この電位差を一定に保つ(すなわち、交流電圧成分を最小化または排除する)ことで、電極508および509の間を流れる容量性電流は、許容可能な値、たとえば、典型的には1mA未満、好ましくは100μA未満に制限されるか、または排除される。
【0028】
【数1】

【0029】
たとえば、V1およびV2は、互いに100ボルト以内、より好ましくは10ボルトとするべきであると同時に、同相化すべきであるので、位相差は、5度以内、より好ましくは2度以内、さらにより好ましくは1度以内に保つべきである。
【0030】
図6および図6Aは、ある一定の電位差の信号が供給された2つの電極(この場合、一方の電極は1000ボルトrmsで保たれ、他方は1000プラス0、10、25、50、100および200ボルトで保たれる)の間の最大瞬間電位差をボルト単位で示すグラフであり、信号間の位相差は0から20度の間で変化し(図6)、0から1度の位相差の間で発生する変化の詳細を、図6Aに示す。図示のとおり、このような高電圧においては、位相差が小さくても、電極間で実質的に最大瞬間電圧レベルが生じる。
【0031】
【数2】

【0032】
対応する集塵電極に対する異なる段のコロナ電極の極性は、同じ(すなわち、正)であってもよいし、交番して(すなわち、第1の段では正、第2の段では負、第3の段では正、以下同様)いてもよいことに留意されたい。
【0033】
要約すれば、この発明の実施例は、種々の組合せにおける3つの条件のうち1つまたはそれ以上を満たすアーキテクチャを組込んでいる。
【0034】
1.隣接するEFA段の電極は、実質的に同じ電圧波形で給電されている、すなわち、隣接する電極の電位は、実質的に同じ交流成分を有する。これらの交流成分は、大きさおよび位相の両方において、近いか、または同じであるべきである。
【0035】
2.隣接するEFA段は、近接した間隔を置いて配置されるべきであり、隣接する段同士の間の空間は、隣接する段の電極間のコロナ放電を回避するか、または最小限にするのにちょうど十分な距離で限定かつ決定される。
【0036】
3.隣接する段の同じタイプの電極は、同じ面に配置されるべきであり、その面は、電極(または電極の前縁)が位置する面に直交する。
【0037】
この明細書で言及された刊行物、特許および特許出願はすべて、この発明が属する当該技術におけるスキルのレベルを示す。すべての刊行物、特許および特許出願は、各々の刊行物、特許または特許出願が、引用によってその全体が具体的に引用されることを示される場合と同じ程度に、引用によってここに援用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】隣接するコロナ放電の段に給電する単一の高圧電源を備える静電流体加速器(EFA)組立品の概略図である。
【図1B】隣接するコロナ放電の段のそれぞれに給電する1対の同期化された電源を備えるEFA組立品の概略図である。
【図2A】隣接するEPA段の電極同士の間の電圧および電流のタイミング図であり、段間に交流差動電圧成分は存在しない。
【図2B】隣接するEFA段の電極間の電圧および電流のタイミング図であり、段間に小さい電圧リップルが存在する。
【図3】同期化された出力電圧を有する1対の高圧電源サブアセンブリを含む電源ユニットの概略図である。
【図4A】第1の電極配置形状を実現する2段EFA組立品の概略的な上面図である。
【図4B】第2の電極配置形状を実現する2段EFA組立品の概略的な上面図である。
【図5】隣接するコロナ放電の段のそれぞれに給電する1対の同期化された電源を備えるEFA組立品の概略図であり、最も近接する電極同士は、同じまたは近い電位を有する。
【図6】ある一定の電位差の信号が供給された2つの電極の間の最大瞬間電位差をボルト単位で示すグラフであり、信号間の位相差は、0から20度の間で変化する。
【図6A】ある一定の電位差の信号が供給された2つの電極の間の最大瞬間電位差をボルト単位で示すグラフであり、信号間の位相差は、0から1度の間で変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電流体加速器であって、
特定の出力電圧および電流で高圧電力を供給する高圧電源を含み、前記電圧および電流の波形は各々、一定かつ交流の成分を含み、前記静電流体加速器はさらに、
電極の複数の段のを含む静電流体加速ユニットを含み、電極の前記段の各々は、少なくとも1つのコロナ放電電極と少なくとも1つの相補型電極とを含み、電極の前記段は、縦続に配置されて、これら電極を通過する流体を順次加速させ、前記電極は前記高圧電源に接続されて、前記出力電圧の前記交流成分が実質的に同じ波形の前記高圧電力を受け、
前記段のうち1つの段の前記相補型電極および前記段のうちすぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は、実質的に等しい同相化された動作電圧で保たれる、静電流体加速器。
【請求項2】
前記1つの段の前記相補型電極および前記すぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は、互いの100ボルトrms以内の同相化された動作電圧で保たれる、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項3】
前記1つの段の前記相補型電極および前記すぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は、互いの10ボルトrms以内の同相化された動作電圧で保たれる、請求項2に記載の静電流体加速器。
【請求項4】
前記1つの段の前記相補型電極および前記すぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は、同相化された動作電圧で保たれるので、これら電極の間を流れる電流は1mA未満である、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項5】
前記1つの段の相補型電極および前記すぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は、同相化された動作電圧で保たれるので、これら電極の間を流れる前記電流は、100μA未満である、請求項4に記載の静電流体加速器。
【請求項6】
前記高圧電力は、実質的に同相であり、かつ、実質的に同等レベルの前記出力電圧の前記交流成分を有する静電放電要素の前記複数の段の各々に供給される、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項7】
前記高圧電力は、実質的に同相であり、かつ、実質的に同等レベルの前記出力電流の前記成分を有する電極の前記複数の段の各々に供給される、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項8】
前記高圧電源は、一次電力を前記高圧電力に変換するための複数のコンバータを含み、前記コンバータの各々は、単独で前記段のそれぞれ1つに接続されて、その段に前記高圧電力を供給し、前記高圧電源はさらにコントローラを含み、コントローラは、前記コンバータに接続され、前記コンバータによって供給された前記高圧電力の前記交流成分を同期化する、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項9】
前記コンバータは各々、変圧器と整流回路とを含む、請求項8に記載の静電流体加速器。
【請求項10】
前記出力電圧の前記交流成分は、50Hzから1000kHz内の周波数範囲を有し、静電放電要素の前記段の各々は、同相であり、かつ、実質的に等しい振幅を有する前記交流電圧成分を受ける、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項11】
前記電流の前記交流成分は、50Hzから1000kHz内の周波数範囲を有し、電極
の前記段の各々は、互いに同相であり、かつ、実質的に等しい振幅を有する前記交流電流成分を受ける、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項12】
前記電極の前記段の各々は、コロナ放電電極の第1の規則的配列と加速電極の第2の規則的配列とを含み、前記コロナ放電電極および加速電極は互いに平行に配向され、コロナ放電電極の前記配列の各々は、同じ段の前記加速電極の前記配列の各々から間隔をおいて配置され、前記段のうち異なる段の前記電極のうち対応する電極同士は、互いに平行であり、かつ、最も近い段の電極に平行である、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項13】
前記段のうちそれぞれ直に隣接する段同士のコロナ放電電極および加速電極は、前記コロナ放電電極のいずれかと、前記段の各々の電極のうち直に隣接する電極との間の最も近い距離の1から2倍大きい距離dを隔てて配置される、請求項12に記載の静電流体加速器。
【請求項14】
前記段の各々は、共通の横断面に位置付けられる複数のコロナ放電電極を含み、前記横断面の各々は、空気流の方向に実質的に直交し、前記段のうち隣接する段同士の前記コロナ放電電極のいずれかは、前記横断面に直交するそれぞれ共通の面に位置する、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項15】
前記段の各々は、第1の面に位置する複数の平行なコロナ放電ワイヤと、それぞれの第2の面に整列するコロナ放電電極に最も近接する縁部を有する複数の平行な加速電極とを含み、前記第1および第2の面は、互いに平行であり、かつ、前記段を通る共通の平均的な空気流の方向に対して垂直である、請求項1に記載の静電流体加速器。
【請求項16】
静電流体加速器であって、
高圧電力を供給する高圧電源を含み、高圧電源は、実質的に互いに同相であるそれぞれの電気出力信号を各々単独で供給する複数の出力回路を含み、前記静電流体加速器はさらに、
複数の段を含む静電流体空気加速ユニットを含み、前記段の各々は、コロナ放電電極の第1の配列と、前記第1の配列から空気流の方向に沿って間隔を置いて配置される誘因電極の第2の配列とを含み、前記段の各々は、前記出力回路のそれぞれ1つに接続されて、前記電気出力信号のうち対応する1つを、前記第1および第2の配列の前記コロナ放電電極および誘引電極に供給し、
前記段のうち1つの段の誘因電極の前記第2の配列および前記段のうちすぐ後に続く段のコロナ放電電極の前記第1の配列は、実質的に等しい同相化された動作電圧で保たれる、静電流体加速器。
【請求項17】
前記1つの段の前記誘因電極および前記すぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は、それぞれの100ボルトrms以内の同相化された動作電圧で保たれる、請求項16に記載の静電流体加速器。
【請求項18】
前記1つの段の前記誘因電極および前記すぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は、互いの10ボルトrms以内の同相化された動作電圧で保たれる、請求項17に記載の静電流体加速器。
【請求項19】
前記1つの段の前記誘因電極および前記すぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は、同相化された動作電圧で保たれるので、これら電極の間を流れる電流は1mA未満である、請求項16に記載の静電流体加速器。
【請求項20】
前記1つの段の前記誘因電極および前記すぐ後に続く段の前記コロナ放電電極は同相化
された動作電圧で保たれるので、これら電極の間を流れる電流は、100μA未満である、請求項19に記載の静電流体加速器。
【請求項21】
前記高圧電源、前記高圧電力はさらに、前記出力回路のそれぞれに接続される複数の変圧器と整流回路とコントローラとを含み、前記コントローラの各々は、前記コントローラのうち少なくとも1つのその他のコントローラに接続され、前記電気出力信号を同期化する、請求項16に記載の静電流体加速器。
【請求項22】
前記電気出力信号の各々は、50Hzから1000kHzの範囲内の基本動作周波数を有する交流成分を有する、請求項16に記載の静電流体加速器。
【請求項23】
流体を加速させる方法であって、
1次電力信号を複数の独立した電圧に変換するステップを含み、前記電圧の各々は、独立した高周波電力信号を含み、前記方法はさらに、
前記複数の独立した高周波電力信号を共通の周波数および位相に同期化させるステップと、
コロナ放電電極および加速電極の配列を、前記高圧信号のそれぞれで給電するステップを含み、前記ステップは、(i)前記高圧信号の1つによって給電される前記コロナ放電電極の前記配列の1つおよび(ii)前記高圧信号の別の1つによって給電される加速電極の前記配列のうちすぐ後に続く配列を、実質的に等しい同相化された動作電圧で保つステップと、前記配列の各々を通る流体を順次加速させるステップとを含む、方法。
【請求項24】
前記変換するステップは、前記1次電力信号の電圧を引き上げて、複数の高圧交流2次電力信号を供給するステップと、前記複数の高圧交流2次電力信号を単独で制御して、複数の高圧出力信号を供給するステップとを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
静電流体加速器であって、
第1の面に配置されるコロナ放電電極の第1の配列と、
第2の面に配置されるコロナ放電電極の第2の配列とを含み、前記第2の面は、前記第1の面に平行であり、かつ、前記第1の面から間隔を置いて配置され、前記静電流体加速器はさらに、
第3の面に配置され、かつ、コロナ電極の前記第2の配列によって、実質的に等しい同相化された動作電圧で保たれる加速電極の第3の配列を含み、前記第3の面は、前記第1および第2の面に平行であり、かつ、前記第1および第2の面の間に配置され、前記第3の配列の各々の加速電極は、前記第1の配列の前記コロナ放電電極に対してねじれ形状で配置される、静電流体加速器。
【請求項26】
請求項1に記載の静電流体加速器、前記第2および第3の配列は、それぞれの100ボルトrms以内の同相化された動作電圧で保たれる、請求項25に記載の静電流体加速器。
【請求項27】
請求項1に記載の静電流体加速器、前記第2および第3の配列は、それぞれの10ボルトrms以内の同相化された動作電圧で保たれる、請求項25に記載の静電流体加速器。
【請求項28】
請求項1に記載の静電流体加速器、前記第2および第3の配列は同相化された動作電圧で保たれるので、これら配列の間を流れる電流は1mA未満である、請求項25に記載の静電流体加速器。
【請求項29】
請求項1に記載の静電流体加速器、前記第2および第3の配列は同相化された動作電圧で保たれるので、これら配列の間を流れる電流は100μA未満である、請求項25に記
載の静電流体加速器。
【請求項30】
前記第3の配列の各々の加速電極は、前記第2の配列の前記コロナ放電電極に対してねじれ形状で配列される、請求項25に記載の静電流体加速器。
【請求項31】
前記第1の配列の前記コロナ放電電極は、前記第2の配列の前記コロナ放電電極に対して整列した向きで配置される、請求項25に記載の静電流体加速器。
【請求項32】
前記第2の配列の各々のコロナ放電電極と、前記第3の配列の最も近い加速電極との間の空間は、前記第1の配列の各々のコロナ放電電極と前記第3の配列の最も近い加速電極との間の空間の1.2から2倍の範囲内にある、請求項25に記載の静電流体加速器。
【請求項33】
前記第2の配列の各々のコロナ放電電極と前記第3の配列の最も近い加速電極との間の空間は、前記第1の配列の各々のコロナ放電電極と前記第3の配列の最も近い加速電極との間の空間の1.2から1.65倍の範囲内にある、請求項32に記載の静電流体加速器。
【請求項34】
前記第2の配列の各々のコロナ放電電極と前記第3の配列の最も近い加速電極との間の空間は、前記第1の配列の各々のコロナ放電電極と前記第3の配列の最も近い加速電極との間の空間の約1.4倍である、請求項32に記載の静電流体加速器。
【請求項35】
第4の面に長手方向に配置される加速電極の第4の配列をさらに含み、前記第4の面は、前記第1、第2および第3の面に平行であり、かつ、前記第2の配列における、前記第3の面と反対側に配置され、前記第4の配列の各々の加速電極は、前記第2の配列の前記コロナ放電電極に対してねじれた向きで配置される、請求項25に記載の静電流体加速器。
【請求項36】
前記第1および第3の配列に結合される高圧電源回路をさらに含み、前記第1の配列のコロナ放電電極に供給される高圧波形は、前記第2の配列のコロナ放電電極に供給される高圧波形と同期化される、請求項25に記載の静電流体加速器。
【請求項37】
前記高圧電源回路は、
前記第1の配列に結合される第1の高圧電源と、
前記第2の配列に結合される第2の高圧電源と、
前記第1および第2の高圧電源に結合され、かつ、各々の前記高圧電源を制御して、同期化かつ同相化された高圧波形を生成するように動作可能な制御回路とを含む、請求項36に記載の静電流体加速器。
【請求項38】
複数の近接した間隔で配置される静電加速段を有する静電流体加速システムであって、
第1の面に配置されるコロナ放電電極の第1の配列と第2の面に配置される加速電極の第1の配列とを有する第1の静電加速段と、
第3の面に配置されるコロナ放電電極の第2の配列と第4の面に配置される加速電極の第2の配列とを有する第2の静電加速段とを含み、コロナ放電電極のうち前記第2の配列の各々のコロナ放電電極は、(i)加速電極の前記第1の配列の各々の加速電極からオフセットされて配置され、かつ、(ii)加速電極の前記第1の配列と実質的に等しい同相化された電圧で保たれる、静電流体加速システム。
【請求項39】
前記第1、第2、第3および第4の面の各々は平行である、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
コロナ放電電極の前記第1および第2の配列に結合される高圧電源回路をさらに含み、コロナ放電電極の前記第1の配列に供給される高圧波形は、コロナ放電電極の前記第2の配列に供給される高圧波形と同期化される、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
コロナ放電電極の前記第1の配列に供給される高圧波形は、コロナ放電電極の前記第2の配列に供給される前記高圧波形と同相化される、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記高圧電源回路は、
コロナ放電電極の前記第1の配列に結合される第1の高圧電源と、
コロナ放電電極の前記第2の配列に結合される第2の高圧電源と、
前記第1および第2の高圧電源に結合され、かつ、各々の前記高圧電源を制御して、同期化された高圧波形を生成するように動作可能な制御回路とを含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
加速電極のうち前記第1の配列の各々の加速電極は、コロナ放電電極のうち前記第1の配列の各々のコロナ放電電極からオフセットされて配置される、請求項38に記載のシステム。
【請求項44】
加速電極のうち前記第2の配列の各々の加速電極は、コロナ放電電極のうち前記第2の配列の各々のコロナ放電電極からオフセットされて配置される、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
コロナ放電電極のうち前記第1の配列のコロナ放電電極は、コロナ放電電極のうち前記第2の配列のコロナ放電電極と一直線上に配置される、請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
コロナ放電電極のうち前記第1の配列の前記コロナ放電電極と加速電極のうち前記第1の配列の前記加速電極との間の空間は、第1の距離であり、前記第1の距離は、各々の第1および第2の面に対して垂直な線に沿って測定される段内電極空間より大きい、請求項43に記載のシステム。
【請求項47】
コロナ放電電極のうち前記第2の配列の各々のコロナ放電電極と加速電極のうち前記第1の配列の前記加速電極との間の空間は、第2の距離であり、前記第2の距離は、各々の前記第2および第3の面に対して垂直な線に沿って測定される段間電極空間より大きく、前記第2の距離は、前記第1の距離より大きい、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記第2の距離は、前記第1の距離の1.2から2倍の範囲にある、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記第1の距離は、コロナ放電電極のうち前記第1の配列の前記コロナ放電電極と加速電極のうち前記第1の配列の前記加速電極との間のコロナ開始電圧の1つの関数として選択される、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
前記第2の距離は、前記第2の静電加速段と前記第1の静電加速段との間の逆コロナを防止するように選択される、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
静電流体加速器を提供する方法であって、前記方法は、
静電流体加速器のコロナ放電電極と加速電極との間のコロナ開始電圧を促進するための段内空間を確定する一方で、前記コロナ放電電極と前記加速電極との間のスパークを最小化するステップと、
第1の静電加速段の加速電極と第2の静電加速段のコロナ放電電極との間で逆コロナが
生じるのを防止するための段間空間を確定するステップとを含み、前記段間空間は、前記段内空間の1.2から2.0倍の範囲内にあり、前記方法はさらに、
第1の面に前記第1の静電加速段の前記加速電極を配置するステップと、
第2の面に前記第2の静電加速段の前記コロナ放電電極を配置するステップとを含み、前記第1および第2の面は平行であり、前記第1および第2の面の間の空間は、前記段間空間より小さく、前記方法はさらに、
第1の静電加速段の前記加速電極および第2の静電加速段のコロナ放電電極を、実質的に等電位の同期化された高圧波形で励起するステップを含む、方法。
【請求項52】
前記第2の面に前記第2の静電加速段の前記コロナ放電電極を配置するステップは、
前記コロナ放電電極を、前記加速電極と平行であり、かつ、前記加速電極とオフセットされた構成で配置するステップを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
第3の面に前記第1の静電加速段のコロナ放電電極を配置するステップをさらに含み、前記第1、第2および第3の面は平行であり、前記第1および第3の面の間の空間は前記段内空間より小さい、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記第3の面に前記第1の静電加速段の前記コロナ放電電極を配置する前記ステップは、
前記第1の静電加速段の前記コロナ放電電極を、前記第2の静電加速段の前記コロナ放電電極と平行に、かつ、一直線上に配置し、さらに、前記第1の静電加速段の前記加速電極と平行に、かつ、オフセットされた構成で配置するステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
コロナ放電電極の第1の配列と、前記第1の静電加速段の前記加速電極を含む加速電極の第1の配列とを有する前記第1の静電加速段を与えるステップをさらに含み、前記第1の静電加速段を与える前記ステップは、コロナ放電電極のうち前記第1の配列の各々のコロナ放電電極を、加速電極、前記段内空間のうち前記第1の配列の前記加速電極から間隔をおいて配置するステップを含み、さらに、
加速電極の第2の配列と、前記第2の静電加速段の前記コロナ放電電極を含むコロナ放電電極の第2の配列とを有する第2の静電加速段を与えるステップを含み、前記第2の静電加速段を与える前記ステップは、コロナ放電電極のうち前記第2の配列の各々のコロナ放電電極を、加速電極、前記段内空間のうち前記第2の配列の前記加速電極から間隔をおいて配置するステップを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の静電加速段および前記第2の静電加速段を、同期化された高圧波形で励起するステップをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記高圧波形を同相化するステップをさらに含み、それによって、コロナ放電電極の前記第1の配列とコロナ放電電極の前記第2の配列との間の電位差は、実質的に一定に保たれる、請求項56に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【公表番号】特表2007−537868(P2007−537868A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527382(P2007−527382)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/017276
【国際公開番号】WO2005/117057
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(506385302)クロノス・アドバンスト・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】KRONOS ADVANCED TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】