説明

静電潜像現像用キャリア、その製造方法及び現像剤

【課題】 キャリア付着の起き難く、高画像濃度、粒状性(ザラツキ)が良好で、地汚れが少なく、および高耐久を達成できる静電潜像現像用キャリアの製造方法、およびその製造方法で製造された静電潜像現像剤用キャリアを提供すること。また、この静電潜像現像用キャリアを用いた現像剤を提供すること。さらに、前記現像剤を使用した画像形成方法及び装置、エプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】 磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアの製造方法において、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であって、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子を、異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体を混合することにより得ることを特徴とする静電潜像現像用キャリアの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法に使用される二成分現像現像剤に用いられる静電潜像現像用キャリア、その製造方法、それを用いた静電潜像現像剤、および静電潜像現像剤を備えるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の現像方式には、トナーのみを主成分とする、いわゆる一成分系現像方式と、ガラスビーズ、磁性体キャリアあるいは、それらの表面を樹脂などで被覆したコートキャリアとトナーとを混合して使用する二成分系現像方式がある。
二成分系現像方式は、キャリアを使用することから、トナーに対する摩擦帯電面積が広いため、一成分系方式に比較して、帯電特性が安定しており、長期にわたって高画質を維持するのに有利である。また、現像領域へのトナー供給量能力が高いことから、特に高速機に使用されることが多い。
レーザービームなどで感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を顕像化するデジタル方式の電子写真システムにおいても、前述の特徴を活かした二成分系現像方式が広く採用されている。
【0003】
近年、解像度アップ、ハイライト再現性、均一性(粒状性)向上、およびカラー化などに対応するため、潜像の最小単位(1ドット)の極小化、高密度化が図られており、特に、これらの潜像(ドット)を、忠実に現像できる現像システムが重要な課題となってきている。そのため、プロセス条件、現像剤(トナー、キャリア)両面から種々の提案がなされている。プロセス面では、現像ギャップの近接化、感光体の薄膜化、また、書込みビーム径の小径化等が有効であるが、コストが高くなること、また信頼性などの点で依然大きな課題がある。
【0004】
小粒径キャリアの使用も種々提案されている。
特許文献1には、スピネル構造をもつフェライト粒子からなる、平均粒径が30μm未満の磁性キャリアが提案されている。これは、樹脂コートされていないキャリアであって、低い現像電界のもとで使用するものであり、現像能力に乏しく、また樹脂コートされていないため、寿命が短い。
【0005】
また、特許文献2には、キャリア粒子を有する電子写真用キャリアにおいて、該キャリアは、50%平均粒径(D50)15〜45μmを有し該キャリアは、22μmより小さいキャリア粒子を1〜20%含有しており、16μmより小さいキャリア粒子を3%以下含有しており、62μm以上のキャリア粒子を2〜15%含有しており、かつ88μm以上のキャリア粒子を2%以下含有しており、該キャリアは、空気透過法によって測定される該キャリアの比表面積Sと、
下記式:
=(6/ρ・D50)×10(ρはキャリアの比重)
によって算出される該キャリアの比表面積Sとが、
1.2≦S/S≦2.0
の条件を満たすことを特徴とする電子写真用キャリアが記載されている。
【0006】
この小粒径キャリアを使用する場合には、次のような利点が得られる。
(1)単位体積当りの表面積が広いため、個々のトナーに充分な摩擦帯電を与えることができ、低帯電量トナー、逆帯電量トナーの発生が少ない。その結果、地汚れが発生しにくくなり、また、ドット周辺のトナーのちり、にじみが少なくドット再現性が良好となる。
(2)単位体積当りの表面積が広く、地汚れが発生しにくいことから、トナーの平均帯電量を低くすることができ、充分な画像濃度が得られる。従って、小粒径キャリアは、小粒径トナー使用時の不具合点を補うことが可能であり、小粒径トナーの利点を引き出すのに特に有効である。
(3)小粒径キャリアは、緻密な磁気ブラシを形成し、かつ穂の流動性が良いため、画像に穂跡が発生しにくいという特徴がある。
【0007】
しかし、従来の小粒径キャリアは、キャリア付着が発生し易いことが非常に大きな課題であり、感光体の傷や定着ローラー傷の発生原因となっていたので、実用化が難しかった。
特に、30μmより小さいキャリアになると、ざらつきが大幅に改良され高画質となる。しかし、平均粒径が30μmより小さいキャリアは、キャリア付着が非常に起こり易く、課題が大きかった。
【0008】
この課題について、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下のことが判明した。
即ち、キャリア付着は次式に示す条件となったときに、キャリア粒子、または切断された磁気ブラシの形態で付着する。
Fm<Fc(ただし、Fm:磁気束縛力、Fc:キャリア付着を引き起こす力)
磁気束縛力は、Fm=k×(キャリアの磁気モーメント)×(磁界の傾き)で表わされる。
ここで、キャリアの磁気モーメント=質量×磁化=[(4/3)π・r・ρ]×M(r:キャリアの半径、ρ:キャリアの真比重)である。
【0009】
前記のように、キャリアの磁気モーメントはrに比例するから、キャリアの小粒径化に伴って、粒径の3乗の割合で急激に小さくなる。
キャリア付着を引き起こす力Fcは、現像ポテンシャル、地肌ポテンシャル、キャリアにかかる遠心力、キャリアの抵抗、および現像剤帯電量に関係している。従って、キャリア付着を防止するためFcを小さくするように、各パラメーターを設定することが有効であるが、各パラメーターは現像能力、地汚れ、およびトナー飛散などに密接に関係するため大幅には変えることは難しいのが現状である。
【0010】
従って、キャリア付着防止のためには、Fmの小さな粒子の存在を減らすことが有効であり、キャリア磁性体芯材粒子を製造する際、異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体を混合すること、特に風力分級によって分級処理された異なる粒度分布を持つ複数の粒子粉体を混合することで、重量平均粒径が充分に小さく、かつ微粉含有量が少ない粒度分布を持つキャリアを得ることが可能となり、課題を解決できることを見出した。またさらに、磁化Mを大きくすること等によって、より一層の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
【特許文献1】特開昭58−144839号公報
【特許文献2】特許第3029180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の主たる目的は、キャリア付着の起き難く、高画像濃度、粒状性(ザラツキ)が良好で、地汚れが少なく、および高耐久を達成できる静電潜像現像用キャリアの製造方法、およびその製造方法で製造された静電潜像現像剤用キャリアを提供することである。また、この静電潜像現像用キャリアを用いた現像剤を提供することである。さらに、前記現像剤を使用した画像形成方法及び装置、プロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、本発明の(1)「磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアの製造方法において、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であって、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子を、異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体を混合することにより得ることを特徴とする静電潜像現像用キャリアの製造方法」、(2)「磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアの製造方法において、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であって、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子を、風力分級によって分級処理された異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体を混合することにより得ることを特徴とする静電潜像現像用キャリアの製造方法」によって解決される。
また、上記課題は、本発明の(3)「磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアであって、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であり、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子は、異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体の混合粒子であることを特徴とする静電潜像現像用キャリア」、(4)「磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアであって、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であり、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子は、風力分級によって分級処理された異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体の混合粒子であることを特徴とする静電潜像現像用キャリア」、(5)「前記キャリア中の20μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が0〜5重量%であることを特徴とする前記第(3)項又は第(4)項に記載の静電潜像現像用キャリア」、(6)「1000エルステッドの磁界を印加したときの該芯材粒子の磁気モーメントが、50〜150emu/gであることを特徴とする前記第(3)項乃至第(5)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」、(7)「前記芯材粒子がMn−Mg−Sr系フェライトであることを特徴とする前記第(3)項乃至第(6)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」、(8)「前記芯材粒子がMnフェライトであることを特徴とする前記第(3)項乃至第(6)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」、(9)「前記芯材粒子がマグネタイトであることを特徴とする前記第(3)項乃至第(6)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」、(10)「嵩密度が2.1〜2.6g/cmである該芯材粒子を使用することを特徴とする前記第(3)項乃至第(9)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」、(11)「キャリア電気抵抗率R(Ωcm)のLogRが11〜16であることを特徴とする前記第(3)項乃至第(10)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」、(12)「前記キャリアは表面を少なくとも樹脂を含む被覆層によって被覆されており、該被覆層はアミノシランカップリング剤を含有するシリコーン樹脂を少なくとも含むことを特徴とする前記第(3)項乃至第(11)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」によって解決される。
また、上記課題は、本発明の(13)「トナーとキャリアからなる静電潜像用現像剤において、該キャリアとして、前記第(3)項乃至第(12)項のいずれかに記載のキャリアを用いることを特徴とする静電潜像用現像剤」によって解決される。
また、上記課題は、本発明の(14)「少なくとも、感光体の表面に形成された静電潜像を静電潜像現像剤で現像する現像工程と、該感光体上に現像された画像を画像記録媒体に転写する転写工程と、感光体の表面に残存する現像剤を払拭するクリーニング工程とを含み、前記現像工程が前記第(13)項記載の現像剤を用いるものであることを特徴とする画像形成方法」によって解決される。
また、上記課題は、本発明の(15)「少なくとも、感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該感光体の表面に形成される静電潜像を静電潜像現像剤で現像する現像手段と、前記感光体の表面に残存する現像剤を払拭するクリーニング手段とを有し、該現像手段が前記第(13)項記載の現像剤を用いるものであることを特徴とする画像形成装置」によって解決される。
また、上記課題は、本発明の(16)「感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電ブラシと、該感光体の表面に形成される静電潜像を静電潜像現像剤を用いて現像する現像部と、前記感光体の表面に残存する現像剤を払拭するブレードとの内、少なくとも現像部を含み一体に支持したプロセスカートリッジであって、該現像剤として前記第(13)項に記載の静電潜像現像剤を保持することを特徴とするプロセスカートリッジ」によって解決される。
【発明の効果】
【0014】
以下の説明から明らかなように、本発明によれば、磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアであって、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であって、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子を、異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体を混合することにより得られることを内容とする静電潜像現像用キャリアを用いることにより、キャリア付着の起き難く、高画像濃度、粒状性(ザラツキ)が良好で、地汚れが少なく、高耐久を達成できる静電潜像現像用キャリア及びその製造方法が提供され、また、このキャリアを含む現像剤を使用した画像形成方法及び装置、プロセスカートリッジが提供されるという優れた効果が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0016】
本発明の静電潜像現像剤用キャリア(以下、単にキャリアともいう)は、磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂を含む層とからなる。
本発明のキャリアにおいて、その重量平均粒径Dwが22〜32μmであり、好ましくは23〜30μmの範囲である。重量平均粒径Dwが前記範囲よりも大きいと、キャリア付着がより起こりにくくなるが、潜像に対してトナーが忠実に現像されなくなって、ドット径のバラツキが大きくなり粒状性が低下する。また、トナー濃度を高くした場合、地汚れし易くなる。なお、前記キャリア付着は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を示す。それぞれの電界が強いほどキャリア付着し易い。画像部は、トナー現像されることにより電界が弱められるため、地肌部に比べ、キャリア付着は起こりにくい。キャリア付着は、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となる等の不都合を生じるので好ましくない。
【0017】
20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が7重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。20μmより小さい粒子が7重量%より多くなると、粒径分布が広がってきて、磁気ブラシの至るところに磁気モーメントの小さな粒子が存在するようになり。キャリア付着が急激に悪くなる。
また、20μmより小さい粒径を有するキャリア粒子の含有割合は0.5重量%以上が好ましい。0.5重量%を超えると、コストをかけずに所望の値を得ることが可能となる。
更に、重量平均粒径Dwが22〜32μmの芯材粒子における粒径分布に対して、36μmより小さい粒子が90重量%以上、より好ましくは、92重量%以上となるシャープな粒径分布の磁性体の表面を樹脂で被覆することにより、各粒子の磁気モーメントの広がりを押さえた静電潜像現像剤用キャリアが得られ、キャリア付着を大幅に改善できた。
【0018】
本発明において、キャリア、キャリア芯材に関して言う重量平均粒径Dw、個数平均粒径Dpは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。
この場合の重量平均粒径Dw、個数平均粒径Dpは次式で表わされる。
Dw={1/Σ(nD)}×{Σ(nD)}
Dp=(1/N)×{ΣnD}
上式中、Dは各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは各チャネルに存在する粒子の総数を示し、Nは計測した全粒子数を示している。
なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を等分に分割するための長さを示すもので、本発明の場合には、2μmの長さを採用した。
また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
本明細書において粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析計(モデルHRA9320−X100:Honewell社製)を用いた。
【0019】
本発明のキャリアに用いられる芯材粒子は、磁性材料の破砕物粒子を、あるいはフェライト、マグネタイト等の芯材の場合には、焼成前の一次造粒品を分級し、焼成した粒子を、分級処理により異なる粒度分布をもつ粒子粉体に分級した後、複数の粒子粉体を混合することで得ることができる。
芯材粒子を分級する方法としては、ふるい分け機、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機などの従来公知の分級方法を使用することができるが、生産性が良好で分級点の変更が容易にできることから重力分級機、遠心分級機、慣性分級機といった風力分級機を使用することが好ましい。
【0020】
本発明者らは、キャリアの磁気束縛力Fmに関係する磁化Mについて、大きさを替えたサンプルを試作して検討し、1000エルステッド(Oe)の磁場を印加したときの磁気モーメントが、50emu/g以上、より好ましくは70emu/g以上とすることにより、キャリア付着が改良されることを見出した。その上限値は特に制約されないが、通常、150emu/g程度である。
キャリア芯材粒子の磁気モーメントが前記範囲よりも小さくなると、キャリア付着が生じやすくなるので好ましくない。
【0021】
前記磁気モーメントは、以下のようにして測定することができる。
B−Hトレーサー(BHU−60/理研電子(株)製)を使用し、円筒のセルにキャリア芯材粒子1gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくし、3000エルステッドまで変化させ、次に徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくし3000エルステッドとする。更に、徐々に磁場を小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−Hカーブを図示し、その図より1000エルステッドの磁気モーメントを算出する。
【0022】
本発明のキャリアで使用する1000エルステッドの磁場を印加したときに、50emu/g以上となる芯材粒子としては、例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトなどが挙げられる。
【0023】
フェライトとは、一般に下記式で表わされる焼結体である。
(MO)x(NO)y(Fe)z
但し、x+y+z=100mol%であって、M、Nはそれぞれ、Ni、Cu、Zn、Li、Mg、Mn、Sr、Caなどであり、2価の金属酸化物と3価の鉄酸化物との完全混合物から構成されている。
【0024】
本発明において、より好ましく用いられる1000エルステッドの磁場を印加したときの磁気モーメントが70emu/g以上の芯材粒子としては、例えば、鉄系、マグネタイト系、Mn−Mg−Sr系フェライト、Mn系フェライトなどが挙げられる。
【0025】
キャリアの嵩密度は2.1g/cm以上、より好ましくは2.35g/cm以上であると、キャリア付着防止に有利である。嵩密度が小さい芯材は、多孔性、または表面の凹凸が大きい。
嵩密度が小さいと、1KOeの磁気モーメント(emu/g)が大きくても、1粒子当たりの実質的な磁気モーメントの値が小さくなるため、キャリア付着に対して不利である。
また、凹凸が大きいと場所によりコート樹脂の厚みが違ってきて、帯電量、および抵抗の不均一性を生じ易く、経時での耐久性、キャリア付着などに影響を与える。
嵩密度を大きくするには、焼成温度を高くすることなどにより可能であるが、芯材同士が融着し易くなり、解砕し難くなるため2.6g/cm未満が好ましく、2.5g/cm未満であることがさらに好ましい。
本発明におけるキャリアの嵩密度は、金属粉−見掛密度試験方法(JIS−Z−2504)に従って、直径2.5mmのオリフィスからキャリアを自然に流出させ、その直下においた25cmのステンレス製の円柱状の容器にキャリアをあふれるまで流し込んだのち、容器の上面を非磁性でできた水平なへらを用いて容器の上端に沿って一回の操作で平らにかきとる。
もし、直径2.5mmのオリフィスでは流れ難い場合は、直径5mmのオリフィスからキャリアを自然流出させる。この操作により、容器に流入したキャリア重量を、容器の体積25cmで割ることにより、1cm当りのキャリアの重量を求める。これを、キャリアの嵩密度と定義する。
【0026】
本発明のキャリアにおいて、その抵抗率R(Ω・cm)のLogRは、好ましくは、11〜16、より好ましくは12〜14である。
キャリアの抵抗率RのLogRが11よりも低いと、現像ギャップ(感光体と現像スリーブ間の最近接距離)が狭くなった場合、キャリアに電荷が誘導されてキャリア付着が発生し易くなる。感光体の線速度、および、現像スリーブの線速度が大きい場合、悪化の傾向が見られる。また、ACバイアスを印加する場合は顕著である。通常、カラートナー現像用キャリアは充分なトナー付着量を得るため、低抵抗のものが使用されることが一般的である。上記の抵抗範囲のキャリアは、適正なトナー帯電量のもとで使用することにより、充分な画像濃度が得られることが分かった。
また、LogRが16より大きいとトナーと反対極性の電荷が溜まりやすくなり、キャリアが帯電してキャリア付着が起き易くなる。
【0027】
上記キャリア抵抗率は、次の方法により、測定することができる。
図1に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極(102a)、(102b)を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(101)にキャリア(103)を充填し、両極間に100Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK 5HVLVWDQFH OHWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直流抵抗を測定し、電気抵抗率R(Ω・cm)を算出する。
キャリア抵抗測定の際の充填の度合いは、キャリアをセルにあふれるまで入れたのち、セル全体を20回タッピングしたのち、セルの上面を非磁性でできた水平なへらを用いてセルの上端に沿って一回の操作で平らにかきとる。
【0028】
上記キャリアの抵抗率の調整は、芯材粒子上の被覆樹脂の抵抗調整、被覆層厚の制御によって可能である。また、キャリア抵抗調整のために、導電性微粉末を被覆樹脂層に添加して使用することも可能である。上記導電性微粉末としては、導電性ZnO、Al等の金属又は金属酸化物粉、種々の方法で調製されたSnO又は種々の元素をドープしたSnO、TiB、ZnB、MoB等のホウ化物、炭化ケイ素、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)ポリピロール、ポリエチレン等の導電性高分子、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。
【0029】
これらの導電性微粉末は、以下の方法、即ち、コーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液に導電性微粉末を投入後、ボールミル、ビーズミルなどメディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた攪拌機を使用することによって均一に分散することができる。
【0030】
キャリア被覆層に使用される樹脂としては、従来公知の各種のものを用いることができるが、次式で表わされる繰り返し単位を含むシリコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0031】
【化1】

上記式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、またはアリール基(フェニル基、トリル基など)を示し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、またはアリーレン基(フェニレン基など)を示す。
【0032】
上記式のアリール基において、その炭素数は6〜20、好ましくは6〜14である。このアリール基には、ベンゼン由来のアリール基(フェニル基)の他、ナフタレンやフェナンスレン、アントラセン等の縮合多環式芳香族炭化水素由来のアリール基及びビフェニルやターフェニル等の鎖状多環式芳香族炭化水素由来のアリール基等が包含される。
該アリール基には、各種の置換基が結合していてもよい。
【0033】
上式のアリーレン基において、その炭素数は6〜20、好ましくは6〜14である。このアリーレン基には、ベンゼン由来のアリーレン基(フェニレン基)の他、ナフタレンやフェナンスレン、アントラセン等の縮合多環式芳香族炭化水素由来のアリーレン基及びビフェニルやターフェニル等の鎖状多環式芳香族炭化水素由来のアリーレン基等が包含される。
該アリーレン基には、各種の置換基が結合していてもよい。
【0034】
本発明では、前記シリコーン樹脂としてストレートシリコーン樹脂を用いることができる。このようなものとしては、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業社製)、SR2400、SR2406(東レダウコーニングシリコーン社製)などが挙げられる。
【0035】
本発明では、前記シリコーン樹脂として変性シリコーン樹脂を用いることができる。このようなものとしては、エポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーンなどが挙げられる。
【0036】
上記変性シリコーン樹脂の具体例としては、エポキシ変性物:ES−1001N、アクリル変性シリコーン:KR−5208、ポリエステル変性物:KR−5203、アルキッド変性物:KR−206、ウレタン変性物:KR−305(以上、信越化学工業社製)、エポキシ変性物:SR2115、アルキッド変性物:SR2110(東レダウコーニングシリコーン社製)などが挙げられる。
【0037】
更に、本発明では、以下に示すものを単独または上記シリコーン樹脂と混合して使用することも可能である。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂など。
【0038】
キャリア芯材粒子表面に被覆層を形成するための方法としては、スプレードライ法、浸漬法、あるいはパウダーコーティング法など公知の方法が使用できる。
特に、流動層型コーティング装置を用いる方法は、均一な被覆層を形成するのに有効である。
【0039】
キャリア芯材粒子表面上に被覆層の厚みは、通常0.02〜1μm、好ましくは0.03〜0.8μmである。被覆層の厚みはきわめて小さいことから、芯材粒子表面上に被覆層を形成したキャリアとキャリア芯材粒子の粒径は実質的に同じである。
前述のシリコーン樹脂からなる被覆層にアミノシランカップリング剤を含有させることにより、耐久性の良好なキャリアを得ることができる。
【0040】
本発明で用いるアミノシランカップリング剤としては以下のようなものが挙げられる。含有量は、0.001〜30重量%が好ましい。
【0041】
【化2】

【0042】
本発明の現像剤は、前記キャリアとトナーとからなる。
本発明に使用されるトナーは、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤、微粒子、そして帯電制御剤、離型剤等を含有させたものであり、従来公知の各種のトナーを用いることができる。このトナーは、重合法、造粒法などの各種のトナー製法によって作成された不定形または球形のトナーであることができる。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも使用可能である。
【0043】
トナーのバインダー樹脂としては以下のものを、単独あるいは混合して使用できる。
スチレン系バインダー樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
【0044】
また、ポリエステル樹脂は、スチレン系やアクリル系樹脂に比して、トナーの保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能である。このようなポリエステル樹脂は、例えば、アルコールとカルボン酸との重縮合反応によって得ることができる。
【0045】
アルコールとしては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体を挙げることができる。
【0046】
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸からの二量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これらの酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0047】
エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールAとエポクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例えば、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上、三井石油化学工業(株)製)、エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017、(以上、東都化成(株)製)エポコ−ト1002、1004、1007(以上、シェル化学社製)等の市販のものが挙げられる。
【0048】
本発明に使用される着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、染顔料など、従来公知の染顔料を単独あるいは混合して使用し得る。
【0049】
また、トナーに磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。磁性体としては、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライトなどの微粉末が使用できる。
【0050】
トナーの摩擦帯電性を充分に制御する目的で、いわゆる帯電制御剤、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸およびその塩、サリチル酸、ナフトエ塩、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化合物、第4級アンモニウム化合物、有機染料などを含有させることができる。
【0051】
さらにまた、本発明で用いるトナーには必要に応じて離型剤を添加してもよい。
離型材料としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックス等を単独または混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
トナーには、添加剤を添加することができる。良好な画像を得るためには、トナーに充分な流動性を付与することが肝要である。これには、一般に流動性向上材として疎水化された金属酸化物の微粒子や、滑剤などの微粒子を外添することが有効であり、金属酸化物、有機樹脂微粒子、金属石鹸などを添加剤として用いることが可能である。これら添加物の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛のごとき滑剤や、酸化セリウム、炭化ケイ素などの研磨剤;例えば表面を疎水化したSiO、TiO等の無機酸化物などの流動性付与剤;ケーキング防止剤として知られるもの、および、それらの表面処理物などが挙げられる。トナーの流動性を向上させるためには、特に、疎水性シリカが好ましく用いられる。
【0053】
本発明で用いるトナーにおいて、その重量平均粒径Dtは9.0〜3.0μm、好ましくは7.5〜3.5μmである。キャリアに対するトナーの割合は、キャリア100重量部当り、トナー2〜25重量部、好ましくは3〜20重量部の割合である。
なお、トナー粒径はコールターカウンター(コールターカウンター社製)を用いて測定した。
【0054】
なお、感光体と、この感光体の表面を帯電させる帯電ブラシと、前記感光体の表面に形成される静電潜像を前記のキャリア、および現像剤を用いて現像する現像部と、前記感光体の表面に残存する現像剤を払拭するブレードとを具備することを特徴とするプロセスカートリッジとして電子写真システムに採用することができる。
【0055】
以下、図面によって、本発明の画像形成装置について説明する。
図2は、本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した容器を搭載する画像形成装置についての1例を示したものであって、画像形成装置本体内に装着された現像部(1)と、この現像部(1)に補給される本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した現像剤収納容器(2)と、この両者を接続する現像剤送流手段(3)を示す部分断面図である。
【0056】
図2において、現像部(1)は、トナーと本発明のキャリアを混合して成る本発明の二成分系の現像剤(D)を収容した現像ハウジング(4)と、現像剤(D)を所望により攪拌混合する第1及び第2の攪拌スクリュー(5)、(6)と、現像ローラ(7)とを有していて、当該現像ローラ(7)が、潜像担持体の感光体(8)に対向して配置されている。感光体(8)は、矢印で示す方向に回転駆動され、その表面に静電潜像が形成される。図中、符号(126)は、接続部材(124)の上にフィルター(125)を介して又は介さず嵌合されたキャップである。感光体(8)の周囲には、図示していない帯電手段、露光手段、転写手段、除電手段、クリーニング手段等、その他の公知のユニットが配置されたものである。
【0057】
第1及び第2の攪拌スクリュー(5)、(6)が回転することにより、現像ハウジング(4)内の現像剤(D)が攪拌され、そのトナーをキャリアが互いに逆極性に摩擦帯電される。かかる現像剤(D)が、矢印方向に回転駆動される現像ローラ(7)の周面に供給され、その供給された現像剤は現像ローラ(7)の周面に担持され、当該現像ローラ(7)の回転によって、その回転方向に搬送される。次いで、この搬送された現像剤は、ドクターブレード(9)によって量を規制され、規制後の現像剤が感光体(8)と現像ローラ(7)との間の現像領域に運ばれ、ここで現像剤中のトナーが、感光体表面の静電潜像に静電的に移行し、その静電潜像がトナー像として可視像化される。
【0058】
本発明の他の画像形成装置例(例えば、図3〜6に示される画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する更に他の態様について、図3を参照しながら説明する。
図3に示す例の画像形成装置(100)は、静電潜像担持体としての感光体ドラム(10)(以下「感光体10」という)と、ローラ状帯電手段(20)と、露光手段(30)と、現像手段(40)と、中間転写体(50)と、クリーニングブレードを有するクリーニング手段(60)と、除電手段(70)としての除電ランプとを備える。
【0059】
中間転写体(50)は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ(51)によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ(51)の一部は、中間転写体(50)へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体(50)には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング手段(90)が配置されており、また、最終転写材としての転写紙(95)に現像像(画像形成粒子像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な転写手段(80)としての転写ローラが対向して配置されている。中間転写体(50)の周囲には、中間転写体(50)上の画像形成粒子像に電荷を付与するためのコロナ帯電器(58)が、該中間転写体(50)の回転方向において、感光体(10)と中間転写体(50)との接触部と、中間転写体(50)と転写紙(95)との接触部との間に配置されている。
【0060】
現像手段(40)は、現像剤担持体としての現像ベルト(41)と、現像ベルト(41)の周囲に併設したブラック現像手段(ユニット)(45K)、イエロー現像手段(ユニット)(45Y)、マゼンタ現像手段(ユニット)(45M)及びシアン現像手段(ユニット)(45C)とから構成されている。なお、ブラック現像手段(45K)は、現像剤収容部(42K)と現像剤供給ローラ(43K)と現像ローラ(44K)とを備えており、イエロー現像手段(45Y)は、現像剤収容部(42Y)と現像剤供給ローラ(43Y)と現像ローラ(44Y)とを備えており、マゼンタ現像手段(45M)は、現像剤収容部(42M)と現像剤供給ローラ(43M)と現像ローラ(44M)とを備えており、シアン現像手段(45C)は、現像剤収容部(42C)と現像剤供給ローラ(43C)と現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体(10)と接触している。
【0061】
図3に示す画像形成装置(100)において、例えば、帯電手段(20)が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光手段(30)が感光ドラム(10)上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム(10)上に形成された静電潜像を、現像手段(40)から画像形成粒子を供給して現像して可視像(画像形成粒子像)を形成する。該可視像(画像形成粒子像)が、ローラ(51)から印加された電圧により中間転写体(50)上に転写(一次転写)され、更に転写紙(95)上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙(95)上には転写像が形成される。なお、感光体(10)上の残存画像形成粒子は、クリーニング手段(60)により除去され、感光体(10)における帯電は除電手段(除電ランプ)(70)により一旦、除去される。
【0062】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図4を参照しながら説明する。図4に示す画像形成装置(100)は、図2に示す画像形成装置(100)における現像ベルト(41)を備えてなく、感光体(10)の周囲に、ブラック現像手段(現像ユニット)(45K)、イエロー現像手段(現像ユニット)(45Y)、マゼンタ現像手段(現像ユニット)(45M)及びシアン現像手段(現像ユニット)(45C)が直接対向して配置されていること以外は、図3に示す画像形成装置(100)と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図4においては、図3におけるものと同じものは同符号で示した。
【0063】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する更に他の態様について、図5を参照しながら説明する。図5に示すタンデム画像形成装置(120)は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置(120)は、複写装置本体(150)と、給紙テーブル(200)と、スキャナ(300)と、原稿自動搬送装置(ADF)(400)とを備えている。複写装置本体(150)には、無端ベルト状の中間転写体(50)が中央部に設けられている。そして、中間転写体(50)は、支持ローラ(14)、(15)及び(16)に張架され、図5中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ(15)の近傍には、中間転写体(50)上の残留画像形成粒子を除去するための中間転写体クリーニング装置(17)が配置されている。支持ローラ(14)と支持ローラ(15)とにより張架された中間転写体(50)には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段(18)が対向して並置されたタンデム型現像手段(120)が配置されている。タンデム型現像手段(120)の近傍には、露光手段(21)が配置されている。中間転写体(50)における、タンデム型現像手段(120)が配置された側とは反対側には、二次転写手段(22)が配置されている。二次転写手段(22)においては、無端ベルトである二次転写ベルト(24)が一対のローラ(23)に張架されており、二次転写ベルト(24)上を搬送される転写紙と中間転写体(50)とは互いに接触可能である。二次転写手段(22)の近傍には定着手段(25)が配置されている。定着手段(25)は、無端ベルトである定着ベルト(26)と、これに押圧されて配置された加圧ローラ(27)とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置(120)においては、二次転写手段(22)及び定着手段(25)の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置(28)が配置されている。
【0064】
次に、タンデム型現像手段(120)を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)(400)の原稿台(130)上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置(400)を開いてスキャナ(300)のコンタクトガラス(32)上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置(400)を閉じる。
【0065】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置(400)に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス(32)上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス(32)上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ(300)が駆動し、第1走行体(33)及び第2走行体(34)が走行する。このとき、第1走行体(33)により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体(34)におけるミラーで反射し、結像レンズ(35)を通して読取りセンサ(36)で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0066】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像手段(120)における各画像形成手段(18)(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成粒子画像が形成される。即ち、タンデム型現像手段(120)における各画像形成手段(18)(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図5の一部拡大概略図である図6に示すように、それぞれ、感光体(10)(ブラック用感光体(10K)、イエロー用感光体(10Y)、マゼンタ用感光体(10M)及びシアン用感光体(10C))と、該感光体を一様に帯電させる帯電手段(59)と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図6中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像を本発明の各カラー現像剤(ブラック現像剤、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤)を用いて現像して各カラー現像剤によるトナー画像を形成する現像手段(61)と、現像されたトナー画像を中間転写体(50)上に転写させるための転写帯電器(62)と、感光体クリーニング手段(63)と、除電器(64)とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、図5における支持ローラ(14)、(15)及び(16)により回転移動される中間転写体(50)上にそれぞれ、ブラック用感光体(10K)上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体(10Y)上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体(10M)上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体(10C)上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体(50)上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0067】
一方、給紙テーブル(200)においては、給紙ローラ(142)の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク(143)に多段に備える給紙カセット(144)の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ(145)で1枚ずつ分離して給紙路(146)に送出し、搬送ローラ(147)で搬送して複写機本体(150)内の給紙路(148)に導き、レジストローラ(49)に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ(142)を回転して手差しトレイ(54)上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ(52)で1枚ずつ分離して手差し給紙路(53)に入れ、同じくレジストローラ(49)に突き当てて止める。なお、レジストローラ(49)は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体(50)上に各トナーの合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ(49)を回転させ、中間転写体(50)と二次転写手段(22)との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写手段(22)により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体(50)上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置(17)によりクリーニングされる。
【0068】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写手段(22)により搬送されて、定着手段(25)へと送出され、定着手段(25)において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪(55)で切り換えて排出ローラ(56)により排出され、排紙トレイ(57)上にスタックされ、あるいは、切換爪(55)で切り換えてシート反転装置(28)により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ(56)により排出され、排紙トレイ(57)上にスタックされる。
【0069】
図7に、本発明のプロセスカートリッジを装着した画像形成装置の概略図を具体的に示す。
【0070】
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の現像剤を使用し、感光体及び現像手段と、
、帯電手段、クリーニング手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであることを特徴とする。
図6に本発明のプロセスカートリッジを有する画像形成装置の概略構成を示す。
図において、(131)はプロセスカートリッジ全体を示し、(132)は感光体、(134)は帯電手段、(133)は現像手段、(135)はクリーニング手段を示す。
本発明においては、上述の感光体(132)、帯電手段(134)、現像手段(133)及びクリーニング手段(135)等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
【0071】
本発明のプロセスカートリッジを有する画像形成装置は、感光体が所定の周速度で回転駆動される。感光体は回転過程において、帯電手段によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段からの画像露光光を受け、こうして感光体の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで現像手段によりトナー現像され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期されて給送された転写材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた転写材は感光体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体の表面は、クリーニング手段によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
本発明のプロセスカートリッジは、上述したキャリアを用いる静電潜像現像剤を当該プロセスカートリッジに用いることで、少ないキャリアで、かつ小さい力による混合・攪拌でトナーの帯電立ち上がりを早くすることができ、プロセスカートリッジを軽くすることができる。また、その分多くのトナーを収納することができ、プロセスカートリッジの交換までの時間を長くすることができる。静電潜像現像剤にかける負担が少なくすることができ、キャリア被覆層の摩耗を少なくしてキャリアを長寿命にしてプロセスカートリッジの寿命を長くすることができる。また、環境変動によってトナー帯電量の変動の少ない静電潜像現像剤によって、地肌汚れのない高品位の画像を得ることができる。また、トナーの機内への飛散を抑えることができる。また、このプロセスカートリッジを用いた装置では、プロセスカートリッジの寿命が長いので、画像形成装置のプロセスカートリッジ交換サイクルを伸ばして、交換の手間を軽減することができる。また、これらのプロセスカートリッジを複数個用いた装置では、上記利点がさらに強調され、操作性、メンテナンス性を大幅に向上させることができる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明する。ただし、「部」は重量部を表わす。
【0073】
キャリアの製造例
(キャリア製造例1)
キャリア芯材粒子(1)(CuZnフェライト、1KOeの磁気モーメント57emu/g)をふるい分け機(超音波発信器付振動ふるい機、晃栄産業社)で500メッシュを用いて分級処理し、500メッシュを通過する微粉と500メッシュ上に残る粗粉を得た。
500メッシュを通過する微粉の粒度分布を調べると、重量平均粒径Dwが22.5μm、Dw/Dpが1.12、20μm未満の粒径を有する粒子の含有量が35.8%、36μm未満の粒径を有する粒子の含有量が97.9%であった。また、500メッシュ上に残る粗粉の粒度分布を調べると、重量平均粒径Dwが30.1μm、Dw/Dpが1.14、20μm未満の粒子の含有量が1.5%、36μm未満の粒子の含有量が86.3%であった。
次に、微粉、粗粉を20:80の割合で混合・調整し、芯材粒子(2)を得た。次にシリコーン樹脂(SR2411、東レダウコーニングシリコーン社製)のトルエン希釈液(固形分5重量%)を流動床型コーティング装置を用いて芯材粒子(2)に塗布して、芯材表面を被覆処理した。得られた処理品を、さらに230℃で2時間加熱して、キャリアAを得た。
【0074】
(キャリア製造例2)
キャリア芯材粒子(1)を風力分級機(装置内部にローターを備える遠心分級機)で分級処理し、微粉、粗粉を得た。次に、微粉、粗粉を10:90の割合で混合・調整し、芯材粒子(3)を得た。次に、キャリア製造例1と全く同様にして、芯材表面を被覆処理した。得られた処理品を、さらに230℃で2時間加熱して、キャリアBを得た。
【0075】
(キャリア製造例3)
キャリア製造例1の500メッシュを通過する微粉、500メッシュ上に残る粗粉を10:90の比率で混合・調整し、芯材粒子(4)を得た。次に、キャリア製造例1と全く同様にして、芯材表面を被覆処理した。得られた処理品を、さらに230℃で2時間加熱して、キャリアCを得た。
【0076】
(キャリア製造例4)
キャリア芯材粒子(5)(MnMgSrフェライト、1KOeの磁気モーメント73emu/g)を使用すること以外は製造例1と全く同様にして、キャリアDを得た。
【0077】
(キャリア製造例5)
キャリア芯材粒子(6)(Mnフェライト、1KOeの磁気モーメント80emu/g)を使用すること以外は製造例1と全く同様にして、キャリアEを得た。
【0078】
(キャリア製造例6)
キャリア芯材粒子(7)(マグネタイト、1KOeの磁気モーメント81emu/g)を使用すること以外は製造例1と全く同様にして、キャリアFを得た。
【0079】
(キャリア製造例7)
キャリア芯材粒子(8)(CuZnフェライト、1KOeの磁気モーメント58emu/g、嵩密度2.43g/cm)を使用する以外は製造例1と全く同様にして、キャリアGを得た。
【0080】
(キャリア製造例8)
芯材粒子に塗布する液として、シリコーン樹脂(SR2411)中に、樹脂固形分に対して7重量%のカーボンブラック(ケッチェンブラックEC−DJ1600、ライオンアクゾ社製)を添加、分散した液をトルエン希釈して固形分5重量%の分散液とすること以外は製造例1と全く同様にして、キャリアHを得た。
【0081】
(キャリア製造例9)
シリコーン樹脂(SR2411、東レダウコーニングシリコーン社製)のトルエン希釈液(固形分5重量%)を流動床型コーティング装置を用いて芯材粒子(1)に塗布して、芯材表面を被覆処理した。得られた処理品を、さらに230℃で2時間加熱して、キャリアIを得た。
【0082】
(キャリア製造例10)
キャリア芯材粒子(1)をふるい分け機で500メッシュを用いて分級処理して、500メッシュを通過する芯材粒子(9)を得た。次にシリコーン樹脂(SR2411、東レダウコーニングシリコーン社製)のトルエン希釈液(固形分5重量%)を流動床型コーティング装置を用いて芯材粒子(9)に塗布して、芯材表面を被覆処理した。得られた処理品を、さらに230℃で2時間加熱して、キャリアJを得た。
【0083】
(キャリア製造例11)
キャリア芯材粒子(1)をふるい分け機で500メッシュを用いて分級処理して、500メッシュ上に残る芯材粒子(10)を得た。次に、シリコーン樹脂(SR2411、東レダウコーニングシリコーン社製)のトルエン希釈液(固形分5重量%)を流動床型コーティング装置を用いて芯材粒子(10)に塗布して、芯材表面を被覆処理した。得られた処理品を、さらに230℃で2時間加熱して、キャリアKを得た。
キャリア製造例を表1にまとめる。
【0084】
【表1】

【0085】
(トナーの製造例)
ポリエステル樹脂 100部
キナクリドン系マゼンタ顔料 3.5部
含フッ素4級アンモニウム塩 4部
以上の各成分をブレンダーにて充分に混合した後、2軸式押出し機にて溶融混練し、放冷後カッターミルで粗粉砕し、ついでジェット気流式微粉砕機で微粉砕し、さらに風力分級機を用いて分級して、重量平均粒径6.8μm、真比重1.20のトナー母粒子を得た。
更に、このトナー母粒子100部に対して、疎水性シリカ微粒子(R972:日本アエロジル社製)0.8部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。
【0086】
(現像剤の作成及び評価)
以上のキャリア製造例で得たキャリアA〜Kとトナー製造例で得たトナーを用いて現像剤を作成し、画像形成を行ない、その画像品質確認を行なった。なお、画像はイマジオカラー4000(リコー製デジタルカラー複写機・プリンター複合機)で作成した。
【0087】
以下の画像形成の実施例において採用した試験方法は次のとおりである。
(1)画像濃度:上記現像条件における、30mm×30mmのベタ部の中心をX−Rite938分光測色濃度計で、5個所測定し平均値を出す。
(2)粒状度:下記の式で定義された粒状度(明度範囲:50〜80)を測定し、その数値を下記のようにランクに置き換えて評価した。
粒状度=exp(aL+b)∫(WS(f))1/2・VTF(f)df
L:平均明度
f:空間周波数(cycle/mm)
WS(f):明度変動のパワースペクトラム
VTF(f):視覚の空間周波数特性
a,b:係数
ランク
◎(大変良好):0以上0.1未満
○(良好):0.1以上0.2未満
△(使用可能):0.2以上0.3未満
×(使用不可):0.3以上
(3)地汚れ:画像上の地肌部の汚れを目視で評価した。表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
(4)キャリア付着:キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。キャリア付着しても一部のキャリアしか紙に転写してこないため、感光体ドラム上から粘着テープで転写して評価した。
副走査方向に2ドットライン(100lpi/inch)の画像パターンを作成し、直流バイアス400Vを印加して現像し、2ドットラインのライン間に付着したキャリアの個数(面積100cm)粘着テープで転写し、その個数を目視で観察して評価を行なった。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
【0088】
(実施例1)
キャリアA(100部)に対して、トナー(13.1部)を加えて、ボールミルで20分攪拌して、11.6重量%の現像剤を作成した。キャリアに対するトナーの被覆率は50%であった。
次に、前記現像条件のリコー製イマジオカラー4000を使用し、前述の測定評価方法により、画像品質の確認を行なった。
【0089】
(実施例2〜8、及び比較例1〜3)
トナーとキャリアの組み合わせを表2に示すように変更して、被覆率50%の現像剤を作成した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表2にまとめる。
【0090】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】キャリアの電気抵抗率を測定するためのセルの説明図である。
【図2】本発明の電子写真用現像剤を充填した現像剤容器及びその容器を搭載した画像形成装置例を示した図である。
【図3】本発明の画像形成方法を実施する画像形成装置の他の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の画像形成方法を実施する画像形成装置の更に他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の画像形成方法を実施するためのさらに他の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)の一例を示す概略図である。
【図6】図4に示す画像形成装置における一部拡大概略図である。
【図7】本発明のプロセスカートリッジの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0092】
1 現像部
2 現像剤収納容器
3 現像剤送流手段
4 現像ハウジング
5 攪拌スクリュー
6 攪拌スクリュー
7 現像ローラ
8 感光体
9 ドクターブレード
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 ローラ帯電手段
21 露光手段
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着手段
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光手段
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像手段
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像手段(現像ユニット)
45Y イエロー用現像手段(現像ユニット)
45M マゼンタ用現像手段(現像ユニット)
45C シアン用現像手段(現像ユニット)
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
59 帯電手段
60 クリーニング手段
61 現像手段
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング手段
64 除電器
70 除電手段(除電ランプ)
80 転写ローラ
90 クリーニング手段
95 転写紙
100 画像形成装置
101 セル
102a 電極
102b 電極
103 キャリア
110 ベルト式定着装置
120 タンデム型現像手段
124 接続部材
125 フィルター
126 キャップ
130 原稿台
131 画像形成ユニット(プロセスカートリッジ)
132 感光体(像坦持体)
133 現像手段(現像装置)
134 帯電手段(帯電装置)
135 クリーニング手段(クリーニングブレード)
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアの製造方法において、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であって、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子を、異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体を混合することにより得ることを特徴とする静電潜像現像用キャリアの製造方法。
【請求項2】
磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアの製造方法において、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であって、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子を、風力分級によって分級処理された異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体を混合することにより得ることを特徴とする静電潜像現像用キャリアの製造方法。
【請求項3】
磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアであって、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であり、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子は、異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体の混合粒子であることを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
【請求項4】
磁性を有する芯材粒子と該粒子表面に被覆層を有する静電潜像現像用キャリアであって、該キャリアは重量平均粒径Dwが22〜32μmで、かつ個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比(Dw/Dp)が1.0<Dw/Dp<1.2であり、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0〜7重量%、36μmより小さい粒子の含有量が90〜100重量%となる粒度分布を有し、該芯材粒子は、風力分級によって分級処理された異なる粒度分布をもつ複数の粒子粉体の混合粒子であることを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
【請求項5】
前記キャリア中の20μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合が0〜5重量%であることを特徴とする請求項3又は4に記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項6】
1000エルステッドの磁界を印加したときの該芯材粒子の磁気モーメントが、50〜150emu/gであることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項7】
前記芯材粒子がMn−Mg−Sr系フェライトであることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項8】
前記芯材粒子がMnフェライトであることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項9】
前記芯材粒子がマグネタイトであることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項10】
嵩密度が2.1〜2.6g/cmである該芯材粒子を使用することを特徴とする請求項3乃至9のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項11】
キャリア電気抵抗率R(Ωcm)のLogRが11〜16であることを特徴とする請求項3乃至10のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項12】
前記キャリアは表面を少なくとも樹脂を含む被覆層によって被覆されており、該被覆層はアミノシランカップリング剤を含有するシリコーン樹脂を少なくとも含むことを特徴とする請求項3乃至11のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項13】
トナーとキャリアからなる静電潜像用現像剤において、該キャリアとして、請求項3乃至12のいずれかに記載のキャリアを用いることを特徴とする静電潜像用現像剤。
【請求項14】
少なくとも、感光体の表面に形成された静電潜像を静電潜像現像剤で現像する現像工程と、該感光体上に現像された画像を画像記録媒体に転写する転写工程と、感光体の表面に残存する現像剤を払拭するクリーニング工程とを含み、前記現像工程が請求項13記載の現像剤を用いるものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
少なくとも、感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該感光体の表面に形成される静電潜像を静電潜像現像剤で現像する現像手段と、前記感光体の表面に残存する現像剤を払拭するクリーニング手段とを有し、該現像手段が請求項13記載の現像剤を用いるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電ブラシと、該感光体の表面に形成される静電潜像を静電潜像現像剤を用いて現像する現像部と、前記感光体の表面に残存する現像剤を払拭するブレードとの内、少なくとも現像部を含み一体に支持したプロセスカートリッジであって、該現像剤として請求項13に記載の静電潜像現像剤を保持することを特徴とするプロセスカートリッジ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−64713(P2006−64713A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243480(P2004−243480)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】