説明

静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法

【課題】トナー消費量が少ない設定で連続で画像を出力し、その後、高温高湿環境下で放置して画像を出力したときでも、カブリの発生が抑制された画像が得られる静電荷像現像用キャリアを提供すること。
【解決手段】BET比表面積が0.12m/g以上0.20m/g以下、流動度が26秒/50g以上30秒/50g以下のフェライト粒子と、フェライト粒子を被覆する被覆樹脂層と、を有する静電荷像現像用キャリアである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により、像保持体上に形成される静電潜像が、トナーを含む現像剤により現像されて、転写、定着工程を経て可視化される。現像に用いられる現像剤にはトナーとキャリアとを含む二成分現像剤と、磁性トナーなどのようにトナー単独で用いられる一成分現像剤とがある。二成分現像剤に用いられるキャリアとしては、芯材と該芯材を樹脂で被覆する被覆層とを有するキャリアが現在広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「少なくとも着色剤含有樹脂粒子及び外添剤を有するトナーと、キャリアとを含有する二成分系現像剤であって、(a)該キャリアの重量平均粒径が35〜55μmであり、22μmより小さい粒径のキャリア粒子が0〜15%、88μmより大きい粒径のキャリア粒子が0〜5%の粒径分布を持ち、(b)該キャリアは芯材がシリコーン樹脂を主成分とする樹脂で被覆され、その被覆層にはカーボンブラックが4〜20%含有された樹脂被覆キャリアであり、かつ、(c)該芯材の流動度をt1(秒/50g)、該キャリアの流動度をt2(秒/50g)としたとき、t2≦t1+10である、ことを特徴とする二成分系現像剤」が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、「少なくともシリカ粒子と酸化チタン粒子を外添した重合法トナーとキャリアとを含む二成分現像剤において、(a)前記トナーは平均粒径が4〜8μmであること、(b)前記キャリアは硬磁性粒子粉末と軟磁性粒子粉末とをフェノール樹脂をバインダとして結合してなる平均粒径10〜50μmの球状複合体芯粒子の粒子表面をカップリング剤を含むシリコーン樹脂を使用して被覆したコートキャリアであること、(c)該コートキャリアは、形状係数SF−1が100〜130であること、(d)該コートキャリアは、3キロエルステッドにおける飽和磁化が50〜90emu/gであること、(e)該現像剤の流動度が30〜50(秒/50g)であること、を満足することを特徴とする二成分現像剤」が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、「磁性キャリア100質量部に対して、トナーを200質量部以上5000質量部以下有している補給用現像剤であって、該磁性キャリアは、磁性体を有するキャリアコアと該キャリアコアの表面に樹脂被覆層とを有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、該トナーは、平均円形度が0.930以上1.000以下であり、該磁性キャリアは、平均円形度が0.850以上0.950以下であり、かつ、水に対する接触角が95°以上であり、該樹脂被覆層を形成している樹脂は、特定の構造を有するモノマーとメタクリル酸メチルモノマーとを重合した共重合体であり、該共重合体は、これらのモノマーから形成されるユニットが共重合割合として80質量%以上含有されており、かつ、65℃以上のガラス転移温度を有することを特徴とする補給用現像剤。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−194833号公報
【特許文献2】特開2002−244355号公報
【特許文献3】特開2007−279588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、下記範囲のBET比表面積及び流動度を持つフェライト粒子を採用しない場合に比べ、トナー消費量が少ない設定で連続で画像を出力し、その後、高温高湿環境下で放置して画像を出力したときでも、カブリの発生が抑制された画像が得られる静電荷像現像用キャリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
BET比表面積が0.12m/g以上0.20m/g以下、流動度が26秒/50g以上30秒/50g以下のフェライト粒子と、
前記フェライト粒子を被覆する被覆樹脂層と、
を有する静電荷像現像用キャリア。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記被覆樹脂層が、シクロヘキシル基を持つアクリル樹脂を含んで構成される請求項1に記載の静電荷像現像用キャリア。
【0010】
請求項3に係る発明は、
トナーと、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用キャリアと、を含有する静電荷像現像用現像剤。
【0011】
請求項4に係る発明は、
請求項3に記載の静電荷現像用現像剤を収容し、
画像形成装置に脱着される静電荷像現像用現像剤カートリッジ、
【0012】
請求項5に係る発明は、
像保持体と、請求項3に記載の静電荷現像用現像剤を収容し、前記静電荷現像用現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0013】
請求項6に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項3に記載の静電荷現像用現像剤を収容し、前記静電荷現像用現像剤により、前記像保持体上に形成された前記静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を有する画像形成装置。
【0014】
請求項7に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項3に記載の静電荷現像用現像剤により、前記像保持体上に形成された前記静電荷像をトナー像として現像する現像工程と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像を被転写体上に転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、上記範囲のBET比表面積及び流動度を持つフェライト粒子を採用しない場合に比べ、トナー消費量が少ない設定で連続で画像を出力し、その後、高温高湿環境下で放置して画像を出力したときでも、カブリの発生が抑制された画像が得られる静電荷像現像用キャリアを提供できる。
請求項2に係る発明によれば、被覆樹脂層を構成する被覆樹脂として、シクロヘキシル基を持つアルキル樹脂を採用しない場合に比べ、トナー消費量が少ない設定で連続で画像を出力し、その後、高温高湿環境下で放置して画像を出力したときでも、カブリの発生が抑制された画像が得られる静電荷像現像用キャリアを提供できる。
請求項3、4,5、6、7に係る発明によれば、上記範囲のBET比表面積及び流動度を持つフェライト粒子を有する静電荷像現像用キャリアを採用しない場合に比べ、トナー消費量が少ない設定で連続で画像を出力し、その後、高温高湿環境下で放置して画像を出力したときでも、カブリの発生が抑制された画像が得られる静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(静電荷像現像用キャリア)
本実施形態に係る静電荷像現像用キャリア(以下、単に「キャリア」と称することがある)は、芯材と、芯材を被覆する樹脂被覆層と、を有する。
そして、芯材として、BET比表面積が0.12m/g以上0.20m/g以下、流動度が26秒/50g以上30秒/50g以下のフェライト粒子を適用する。
【0018】
本実施形態に係るキャリアは、上記構成とすることで、トナー消費量が少ない設定(例えばトナー消費量が0.4g/m以下である設定)で連続で画像を出力し、その後、高温高湿(例えば30℃88RH)環境下で放置して画像を出力したときでも、カブリの発生が抑制された画像が得られる。その理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと推測される。
【0019】
一般に、例えば、文字等のトナー消費量が少ない設定で連続出力を行うと、現像装置内の現像剤は過度に攪拌され続けることから、トナーは過剰に帯電されてしまうことがある。このとき、画像形成装置では、帯電量が過剰に増加したトナーに合わせた設定に変更して画像出力を行う。
一方で、現像装置内の現像剤は過度に攪拌され続けることから、キャリアは、被覆樹脂層の剥れや、トナーの外添剤の付着等により劣化し、トナーに対する帯電付与能力が低下したり、トナーの帯電量が上昇し易くなると考えられる。
そして、この連続で画像の出力を行って、その後、高温高湿環境下で放置されると、トナーは帯電量が低下し易くなるが、トナーの帯電量が低下してしまう上に、キャリアの帯電付与能力も低下していることから、トナーの帯電量の上昇が遅く、このような状態で、上記帯電量が過剰に増加したトナーに合わせた設定で画像出力が行われてしまうと、カブリが発生してしまうと考えられる。
【0020】
そこで、本実施形態に係るキャリアでは、芯材として、BET比表面積が0.12m/g以上0.20m/g以下、流動度が26秒/50g以上30秒/50g以下のフェライト粒子を適用する。この特性を持つフェライト粒子は、BET比表面積が高く、流動度が早い傾向を持つ粒子、つまり、粒子表面に凹凸を有し、この凸部(突起部)が粒子表面に均一に存在していることを意味している。
この特性を持つフェライト粒子に被覆樹脂を被覆すると、被覆樹脂層は、フェライト粒子の凹凸のアンカー効果によって剥離され難い一方で、フェライト粒子の凸部(突起部)が均一に存在することから、表面が平滑な状態となり易いと考えられる。
【0021】
これにより、本実施形態に係るキャリアは、樹脂被覆層の表面が平滑であることから、現像剤の攪拌性が向上すると共に、トナーの外添剤の移行が生じ難く、文字等のトナー消費量が少ない設定で連続で画像出力を行っても、トナーの帯電量の上昇、つまりトナーの帯電量の変動が抑えられると考えられる。
また、本実施形態に係るキャリアは、樹脂被覆層の表面が平滑であることから、トナーとの接触面積が低減され、現像剤が高温高湿環境下で放置されても、トナーの帯電量の低下、つまりトナーの帯電量の変動が抑えられると考えられる。
また、本実施形態に係るキャリアは、樹脂被覆層の表面が平滑であるため現像剤の攪拌性が向上する上に、樹脂被覆層の剥れが生じ難くいため帯電付与能力の低下も生じ難いことから、現像剤の攪拌によりトナーの帯電量を上昇が早く、早期に目的とする帯電量がトナーに付与されると考えられる。
即ち、本実施形態に係るキャリアは、文字等のトナー消費量が少ない設定で連続で画像出力を行ってもトナーの帯電量の上昇が小さく、現像剤が高温高湿環境下で放置されても、トナーの帯電量の低下が小さく、且つトナーを早期に帯電させられると考えられる。
【0022】
以上から、本実施形態に係るキャリアでは、トナー消費量が少ない設定で連続で画像を出力し、その後、高温高湿環境下で放置して画像を出力したときでも、カブリの発生が抑制された画像が得られると考えられる。
【0023】
以下、本実施形態に係るキャリアについて詳細に説明する。
本実施形態に係るキャリアは、芯材と、芯材を被覆する樹脂被覆層と、を有する。
【0024】
まず、芯材について説明する。
芯材は、フェライト粒子で構成されている。このフェライト粒子としては、例えば、下記式で示される構造のものが挙げられる。
・式:(MO)(Fe
上記式中、Mは、Mn、Li、Ca、Sr、Sn、Cu、Zn、Ba、Mg、及びTiからなる群より選択される少なくとも1種(望ましくは、Mn、Li、Ca、Sr、Mg、及びTiからなる群より選択される少なくとも1種)を示す。また、X、Yはmol比を示し、X+Y=100である。
【0025】
フェライト粒子として上記式で示される構造のものうち、Mが複数の金属を表すものは、例えば、マンガン−亜鉛系フェライト粒子、ニッケル−亜鉛系フェライト粒子、マンガン−マグネシウム系フェライト粒子、銅−亜鉛系フェライト粒子等公知のものが挙げられる。
なお、フェライト粒子を構成する材料は、上記材料に限られず、また上記材料以外の成分を必要に応じて含んでもよい。
【0026】
フェライト粒子のBET比表面積は、0.12m/g以上0.20m/g以下の範囲であるが、例えば、0.14m/g以上0.18m/g以下の範囲が望ましく、0.15m/g以上0.17m/g以下がより望ましい。
なお、BET比表面積の測定は、窒素置換法により、SA3100比表面積測定装置(ベックマンコールター(株)製)を用いて、3点法にて行う。具体的には、BET比表面積の測定は、フェライト粒子サンプルとして5gセルに入れ、60℃120分の脱気処理を行い、窒素とヘリウムの混合ガス(30:70)を用いて行う。
【0027】
フェライト粒子の流動度は、26秒/50g以上30秒/50g以下の範囲であるが、例えば、27秒/50g以上30秒/50g以下が望ましく、28秒/50g以上29秒/50g以下の範囲がより望ましい。
なお、流動度の測定は、流動度測定:JIS−Z2502(年号:2000)に準じて行う。
【0028】
フェライト粒子の平均粒径は、例えば、30μm以上90μm以下の範囲が望ましく、50μm以上80μm以下の範囲がより望ましい。
なお、平均粒径は、例えば、粒子のSEM写真より粒子100個について粒径を測定し50番目の粒子径を平均粒子径と定義する。
【0029】
フェライト粒子の体積抵抗率は、例えば、高電界下(15000V/cmの電界下)で1.0×10Ωcm以上1.0×10Ωcm以下の範囲が望ましく、1.0×10Ωcm以上1.0×107.6Ωcm以下の範囲とすることが望ましい。
上記体積抵抗率の測定法は、まず、20cmの電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となるフェライト粒子を1〜3mm程度の厚さになるように平坦に載せ、フェライト粒子層を形成する。この上に前記同様の20cmの電極板を載せフェライト粒子層を挟み込む。フェライト粒子間の空隙をなくすため、フェライト粒子層上に載置した電極板の上に4kgの荷重をかけてからフェライト粒子層の厚み(cm)を測定する。フェライト粒子層上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が15000V/cmとなるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、フェライト粒子の体積抵抗率(Ω・cm)を計算する。フェライト粒子の体積抵抗率(Ω・cm)の計算式は、下式に示す通りである。
・式:ρ=E×20/(I−I)/L
上記式中、ρはフェライト粒子の体積抵抗率(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、Iは印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lはフェライト粒子層の厚み(cm)をそれぞれ表す。また、20の係数は、電極板の面積(cm)を表す
【0030】
フェライト粒子の磁力は、1000エルステッドにおける飽和磁化が40emu/g以上であることが望ましく、50emu/g以上がより望ましい。
磁気特性の測定としての装置は振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業社製)を用いる。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大1000エルステッドまで掃引する。ついで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求める。
【0031】
フェライト粒子には、その表面と樹脂被覆層との密着性を高めるため、カップリング剤を用いて、カップリング処理が施されていてもよい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。これらのカップリング剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのカップリング剤の中でも、シランカップリング剤が望ましい。
【0032】
フェライト粒子は、例えば、造粒、焼結により得られる。また、造粒の前処理として、原料の酸化物を微細に粉砕する処理を行ってもよい。
【0033】
ここで、上記特性(BET比表面積、流動度)を持つフェライト粒子は、細かな粒界が大きさを揃えて存在するものであり、従来の製法によっては得られ難いものである。それは、BET比表面積を上記範囲とするには、焼成温度、酸素濃度を調整し、粒界の成長を抑えればよいが、流動度をこの範囲にするには、焼成温度を高くし、粒界の成長を進める必要があり、製法上、相反する傾向があるためである。
このため、上記特性(BET比表面積、流動度)を持つフェライト粒子は、以下に示す製法により得ることがよい。
【0034】
具体的には、
まず、原料の不純物(例えば塩素やケイ素)を極力排除する。このときの原料の不純物量としては例えば100ppm以下であることがよい。
次に、原料を粉砕混合し、フェライト化は行わず、原料の酸化を目的とする仮焼成を行う。このときの仮焼成温度としては、例えば900℃以上1100℃以下であることがよい。
次に、得られた仮焼成物を、粉砕し、バインダー(例えばPVA(ポリビニルアルコール)等)と共に水に分散し、スラリーとする。
このとき、焼成物の粉砕は、粉砕物の平均粒径が1.8μm以上2.2μm以下となるように行うことがよい。ここで、粉砕物の平均粒径は、スラリーの状態でレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)により、水中にてポンプスピード90%で測定した。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50として求めた値である。
また、仮焼成物の粉砕は、焼成物の焼結防止目的で例えば添加量(スラリー固形分に対する添加量)1%でSiOを加えて混合粉砕を行うとよい。
この粉砕物の粒径とSiOの添加量により、粒界が均一に成長し、また成長し過ぎずに目的とするBET比表面積と流動度が得られると考えられる。
【0035】
次に、得られたスラリーを、例えば、スプレードライヤーで、粒子化し、乾燥させる。 次に、目的とするBET比表面積と流動度になるように温度を調整し、本焼成を行う。
そして、このようにして得られた本焼成物を、分級し、上記特性(BET比表面積、流動度)を持つフェライト粒子が得られる。
【0036】
次に、被覆樹脂層について説明する。
樹脂被覆層(以下、単に「被覆層」と称することがある。)
は、フェライト粒子の表面を被覆するものである。
【0037】
被覆層を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、スチレンーアクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を有するストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0038】
これらの中でも、被覆層を構成する樹脂としては、シクロヘキシル基を持つアクリル樹脂がよい。
シクロヘキシル基を持つアクリル樹脂は、シクロヘキシル基が持つ分極性から、これを被覆樹脂層に含ませると、文字等のトナー消費量が少ない設定で連続して画像の出力を行っても、トナーの帯電量の上昇、つまり帯電量の変動が抑制されると考えられる。
また、シクロヘキシル基を持つアクリル樹脂は、シクロヘキシル基が持つ疎水性から、これを被覆樹脂層に含ませると、現像剤の高温高湿環境下で放置後における、トナーの帯電量の上昇、つまり帯電量の変動が抑制されると考えられる。
このため、被覆樹脂層をシクロヘキシル基を持つアクリル樹脂を含ませると、トナー消費量が少ない設定で連続して画像の出力し、その後、高温高湿環境下で放置して画像の出力したときでも、カブリの発生が抑制された画像が得られる易くなる。
なお、シクロヘキシル基を持つアクリル樹脂は、被覆樹脂層を構成する樹脂に対して、例えば80質量%以上含ませることがよい。
【0039】
シクロヘキシル基を持つアクリル樹脂としては、具体的には、シクロヘキシル基を持つアクリル単量体の単独重合体、シクロヘキシル基を持つアクリル単量体とそれ以外の単量体との共重合体等が挙げられる。
シクロヘキシル基を持つアクリル単量体としては、例えば、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられる。
シクロヘキシル基を持つアクリル単量体以外の単量体としては、スチレン、アクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。
なお、シクロヘキシル基を持つアクリル樹脂は、シクロヘキシル基を持つアクリル単量体に由来する重合成分を例えば80質量%以上含むことがよい。
【0040】
被覆層が含有する樹脂の重量平均分子量としては、例えば、5,000以上1,000,000以下であることよく、10,000以上200,000以下であることが望ましい。
【0041】
被覆層は、フェライト粒子100質量部に対し、0.5質量部以上10質量部以下の範囲で被覆されていることがよく、1質量部以上5質量部以下が望ましい。
【0042】
被覆層によるフェライト粒子表面の被覆率は、80%以上であることがよく、85%以上95%以下が望ましい。
【0043】
なお、被覆層の被覆率は、XPS測定(X線光電子分光測定)により求められる。XPS測定装置としては、日本電子(株)製、JPS80を使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を20mVに設定して実施し、被覆層を構成する主たる元素(通常は炭素)と、フェライト粒子を構成する主たる元素(例えば鉄及び酸素)とについて測定する。ここで、炭素についてはC1sスペクトルを、鉄についてはFe2p3/2スペクトルを、酸素についてはO1sスペクトルを測定する。
これらの各々の元素のスペクトルに基づいて、炭素、酸素、鉄の元素個数(A+A+AFe)を求めて、得られた炭素、酸素、鉄の元素個数比率より下記式に基づいて、フェライト粒子単体、及び、フェライト粒子を被覆層で被覆した後(キャリア)の鉄量率を求め、続いて、下記式により被覆率を求めた。
・式:鉄量率(atomic%)=AFe/(A+A+AFe)×100
・式:被覆率(%)={1−(キャリアの鉄量率)/(フェライト粒子単体の鉄量率)}×100
【0044】
被覆層の平均膜厚は、例えば、0.1μm以上10μm以下であることがよく、0.1μm以上3.0μm以下が望ましい。
被覆層の平均膜厚(μm)は、フェライト粒子の真比重をρ(無次元)、フェライト粒子の体積平均粒子径をd(μm)、被覆層の平均比重をρ、フェライト粒子100質量部に対する被覆層の全含有量をW(質量部)とすると、下記式のようにして求められる。
・式:平均膜厚(μm)=[キャリア1個当たりの被覆樹脂量(導電粉等の添加物もすべて含む)/キャリア1個当たりの表面積]÷被覆層の平均比重=[4/3π・(d/2)・ρ・W]/[4π・(d/2)]÷ρ=(1/6)・(d・ρ・W/ρ
【0045】
被覆層には、導電性粒子を含んでいてもよい。導電性粒子としては、カーボンブラック、金、銀、銅といった金属、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズが挙げられる。
導電性粒子の含有量は、例えば、1質量%以上50質量%以下がよく、3質量%以上20質量%以下が望ましい。
【0046】
被服層をフェライト粒子の表面に被覆する方法としては、例えば、前記被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な被服層をフェライト粒子の表面に被覆する方法としては、例えば、キャリアのフェライト粒子を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアのフェライト粒子表面に噴霧するスプレー法、キャリアのフェライト粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアのフェライト粒子と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
【0047】
(静電荷像現像用現像剤)
本実施形態に係る静電荷像現像剤(以下、「現像剤」と称することがある。)は、静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と称する)と、上記本実施形態に係るキャリアと、を含む。
なお、トナーとキャリアとの混合比(質量比)としては、例えば、トナー:キャリア=1:100から30:100までの範囲がよく、望ましくは3:100から20:100までの範囲である。
【0048】
以下、トナーについて説明する。
トナーとしては、例えば、トナー粒子と外添剤とを含んで構成されている。
【0049】
トナー粒子としては、特に制限はなく、例えば、結着樹脂と、着色剤と、必要に応じて、離型剤その他成分とを含有してなる。
【0050】
結着樹脂としては、特に制限はないが、ポリスチレン、スチレンーアクリル酸アルキル共重合体、スチレンーメタクリル酸アルキル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックスなど公知の材料が挙げられる。これらの中でもスチレン−アクリル共重合体、ポリエステルがよい。
【0051】
結着樹脂の数平均分子量(Mn)は、例えば、2500以上20000以下がよく、望ましくは4000以上15000以下である。
結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、9000以上90000以下がよく、望ましくは12000以上60000以下である。
結着樹脂の軟化温度(Tm)は、例えば、60℃以上120℃以下がよく、望ましくは80℃以上100℃以下である。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、45℃以上70℃以下がよく、望ましくは50℃以上60℃以下である。
【0052】
ここで、結着樹脂の分子量(Mn、Mw)は、東ソー製GPC:HLC8120GPCを用いて測定した。また、軟化温度(Tm)は、島津製作所製フローテスター:CFT500Cを用いて測定した。ガラス転移温度(Tg)は、島津製作所製DSC:DSC60を用いて測定した。
【0053】
着色剤としては、公知の有機又は無機の顔料や染料、又は油溶性染料が挙げられる。
例えば黒顔料としてはカーボンブラック、磁性粉等が挙げられる。
黄色顔料としては、例えば、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等が挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
また、これら着色剤は、混合し、更には固溶体の状態で使用してもよい。
着色剤の含有量は、トナー粒子を構成する成分のうち、例えば、2質量%以上15質量%以下の範囲がよく、望ましくは3質量%以上10質量%以下の範囲である。
【0054】
離型剤としては、特に制限はないが、例えば、石油ワックス、鉱物ワックス;動植物ワックス;ポリオレフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;等が挙げられる。離型剤の融点は、例えば40℃以上150℃以下がよく、望ましくは50℃以上120℃以下である。
離型剤の含有量は、トナー粒子を構成する成分のうち、例えば、1質量%以上10質量%以下の範囲がよく、望ましくは2質量%以上8質量%以下の範囲である。
【0055】
その他成分としては、例えば、内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)等の種々の成分が挙げられる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩からなる群より選ばれる化合物:極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤:等が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した粒子等、公知の無機粒子が挙げられる。これら無機粒子は、種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものがよい。
【0056】
トナー粒子の体積平均粒径は、例えば4μm以上15μm以下であり、望ましくは5μm以上10μm以下である。
なお、トナー粒子の体積平均粒径の測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
【0057】
次に、外添剤について説明する。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられ、該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
【0058】
外添剤の表面は、予め疎水化処理をしてもよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部程度である。
【0059】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上2.5質量部以下がよい。
【0060】
次に、トナーの製造方法について説明する。
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
まず、トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁造粒法、溶解懸濁法、溶解乳化凝集合一法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
【0061】
そして、トナーは、例えば、得られたトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダーやヘンシュルミキサー、レディーゲミキサーなどによっておこなうことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機などを使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0062】
(画像形成装置等)
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷現像用現像剤を収容し、静電荷現像用現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有する。そして、静電荷現像用現像剤として、上記本実施形態に係る静電荷現像用現像剤を適用する。
【0063】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷現像用現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0064】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0065】
図1は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0066】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、現像剤カートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含む現像剤が供給可能である。
【0067】
上述した第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0068】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配置されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0069】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0070】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0071】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む本実施形態に係る静電荷現像用現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
【0072】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0073】
また、第2のユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0074】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0075】
この後、記録紙Pは定着装置(ロール状定着手段)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。
【0076】
トナー像を転写する被転写体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面も可能な限り平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0077】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0078】
(プロセスカートリッジ、現像剤カートリッジ)
図2は、本実施形態に係る静電荷現像用現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置に対して着脱自在としたものである。
【0079】
図2で示すプロセスカートリッジ200では、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【0080】
次に、本実施形態に係る現像剤カートリッジについて説明する。本実施形態に係る現像剤カートリッジは、画像形成装置に脱着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用の静電荷現像用現像剤を収容する現像剤カートリッジである。
【0081】
なお、図1に示す画像形成装置は、現像剤カートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応した現像剤カートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、現像剤カートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、この現像剤カートリッジが交換される。
【実施例】
【0082】
以下、実施例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を、「%」はすべて「質量%」を意味する。
【0083】
[キャリアの作製]
(フェライト粒子の作製)
−フェライト粒子1の作製−
Fe(試薬1級)1318質量部、Mn(OH)(試薬1級)586質量部、Mg(OH)(試薬1級)96質量部を混合し、湿式ボールミルで6時間混合/粉砕した。
次に、スプレードライヤーにより造粒、乾燥した後ロータリーキルンを用いて900℃、7時間の仮焼成を行った。
こうして得られた仮焼成物にSiO(試薬1級)15g、PVA水溶液を固形分に対しPVAが0.5質量%になるよう加え、平均粒径を1.8μmとなるまで湿式ボールミルで粉砕した。
更に、スプレードライヤーにより造粒、乾燥した後、電気炉で温度1200℃、酸素濃度5体積%の条件下、6時間の本焼成を行った。
解砕工程、分級工程を経て平均粒径36μmのフェライト粒子1を作製した。得られたフェライト粒子1のBET比表面積は0.16m/g、流動度(フローレート)は28秒/50gであった。
【0084】
−フェライト粒子2の作製−
フェライト粒子1において、仮焼成温度を890℃、仮焼成物へのSiO添加を無くし、PVAの添加を1.0質量%に変え、粉砕物が2.0μmになるまで粉砕した。以降の本焼成条件は、温度を1220℃、酸素濃度を4.8体積%にする以外は同様にして、平均粒径36μmのフェライト粒子2を作製した。
得られたフェライト粒子2のBET比表面積は0.12m/g、流動度(フローレート)は28秒/50gであった。
【0085】
−フェライト粒子3の作製−
フェライト粒子1において、仮焼成物へのSiO添加を25gとし、粉砕物が2.0μmになるまで粉砕した。以降の本焼成条件は、温度を1180℃にする以外は同様にして、平均粒径36μmのフェライト粒子3を作製した。
得られたフェライト粒子3のBET比表面積は0.20m/g、流動度(フローレート)は28秒/50gであった。
【0086】
−フェライト粒子4の作製−
フェライト粒子1において、仮焼成温度を910℃、仮焼成物へのSiO添加を27gとし、粉砕物が1.6μmになるまで粉砕した。以降の本焼成条件は、温度を1220℃にする以外は同様にして、平均粒径36μmのフェライト粒子4を作製した。
得られたフェライト粒子4のBET比表面積は0.16m/g、流動度(フローレート)は26秒/50gであった。
【0087】
−フェライト粒子5の作製−
フェライト粒子1において、仮焼成物へのSiO添加を30gとし、粉砕物が2.0μmになるまで粉砕した。以降の本焼成条件は同様にして、平均粒径36μmのフェライト粒子5を作製した。得られたフェライト粒子5のBET比表面積は0.16m/g、流動度(フローレート)は30秒/50gであった。
【0088】
−フェライト粒子6の作製−
フェライト粒子1において、仮焼成温度を880℃、仮焼成物へのSiO添加を無くし、PVAの添加を2.0質量%に変え、粉砕物が1.8μmになるまで粉砕した。以降の本焼成条件は、温度を1240℃、酸素濃度を4.6体積%にする以外は同様にして、平均粒径36μmのフェライト粒子6を作製した。得られたフェライト粒子6のBET比表面積は0.08m/g、流動度(フローレート)は26秒/50gであった。
【0089】
−フェライト粒子7の作製−
フェライト粒子1において、仮焼成温度を920℃、仮焼成物へのSiO添加を25gとし、粉砕物が2.2μmになるまで粉砕した。以降の本焼成条件は、温度を1195℃、酸素濃度を5.2体積%にする以外は同様にして平均粒径36μmのフェライト粒子7を作製した。得られたフェライト粒子7のBET比表面積は0.25m/g、流動度(フローレート)は30秒/50gであった。
【0090】
−フェライト粒子8の作製−
フェライト粒子1において、仮焼成物へのSiO添加を20gとし、粉砕時間を4時間に変更した。粉砕物が2.5μmになるまで粉砕した。以降の本焼成条件は同様にして、平均粒径36μmのフェライト粒子8を作製した。得られたフェライト粒子8のBET比表面積は0.16m/g、流動度(フローレート)は32秒/50gであった。
【0091】
−フェライト粒子9の作製−
フェライト粒子1において、仮焼成温度を890℃、仮焼成物へのSiO添加を無くし、PVAの添加を2.0質量%に変え、粉砕物が2.0μmになるまで粉砕した。以降の本焼成条件は、温度を1220℃にする以外は同様にして、平均粒径36μmのフェライト粒子9を作製した。得られたフェライト粒子9のBET比表面積は0.12m/g、流動度(フローレート)は24秒/50gであった。
【0092】
(コート液:被覆樹脂層形成用溶液の調製)
−コート液1の調製−
・シクロヘキシルアクリレート(重量平均分子量5万:36質量部
・カーボンブラック VXC72(キャボット社製):4質量部
・トルエン:250質量部
・イソプロピルアルコール:50質量部
上記成分とガラスビーズ(粒径:1mm、トルエンと同量)とを関西ペイント社製サンドミルに投入し、回転速度1200rpmで30分間攪拌し固形分11%のコート液1を調製した。
【0093】
−コート液2の調製−
・スチレン−メタクリル酸メチル(重合比20:80、重量平均分子量4万):36質量部
・カーボンブラック VXC72(キャボット社製):4質量部
・トルエン:250質量部
・イソプロピルアルコール:50質量部
上記成分とガラスビーズ(粒径:1mm、トルエンと同量)とを関西ペイント社製サンドミルに投入し、回転速度1200rpmで30分間攪拌し固形分11%のコート液1を調製した。
【0094】
(キャリアの作製)
−キャリア1の作製−
真空脱気型5Lニーダーにフェライト粒子1を2000質量部入れ、更にコート液1を560質量部を入れ、攪拌しながら、60℃にて−200mmHgまで減圧し15分混合した後、昇温/減圧させ94℃/−720mHgで30分間攪拌乾燥させ、コート粒子を得た。次に75μmメッシュの篩分網で篩分を行い、キャリア1を得た。
【0095】
−キャリア2の作製−
キャリア1において、フェライト粒子1をフェライト粒子2に、コート液添加量を380質量部に変える以外は同様にしてキャリア2を得た。
【0096】
−キャリア3の作製−
キャリア1において、フェライト粒子1をフェライト粒子3に変える以外は同様にしてキャリア3を得た。
【0097】
−キャリア4の作製−
キャリア1において、フェライト粒子1をフェライト粒子4に変える以外は同様にしてキャリア4を得た。
【0098】
−キャリア5の作製−
キャリア1において、フェライト粒子1をフェライト粒子5に変える以外は同様にしてキャリア5を得た。
【0099】
−キャリア6の作製−
キャリア1において、フェライト粒子1をフェライト粒子6に、コート液添加量を380質量部に変える以外は同様にしてキャリア6を得た。
【0100】
−キャリア7の作製−
キャリア1において、フェライト粒子1をフェライト粒子7に変える以外は同様にしてキャリア7を得た。
【0101】
−キャリア8の作製−
キャリア1において、フェライト粒子1をフェライト粒子8に変える以外は同様にしてキャリア8を得た。
【0102】
−キャリア9の作製−
キャリア1において、フェライト粒子1をフェライト粒子9に、コート液添加量を380質量部に変える以外は同様にしてキャリア9を得た。
【0103】
−キャリア10の作製−
キャリア1において、コート剤1をコート剤2に変える以外は同様にしてキャリア10を得た。
【0104】
以下、表1に、得られたキャリアに用いたフェライト粒子(芯材)の詳細につき、一覧にして示す。
【0105】
【表1】

【0106】
[トナーの作製]
(着色剤分散液1の調製)
・シアン顔料:銅フタロシアニンB15:3(大日精化):50質量部
・アニオン性界面活性剤:ネオゲンSC(第一工業製薬):5質量部
・イオン交換水:200質量部
上記成分を混合し、IKA社製ウルトラタラックスにより5分間、更に超音波バスにより10分間分散し、固形分21%の着色剤分散液1を得た。堀場製作所製粒度測定器LA−700にて体積平均粒径を測定したところ160nmであった。
【0107】
(離型剤分散液1の調製)
・パラフィンワックス:HNP−9(日本精鑞):19質量部
・アニオン性界面活性剤:ネオゲンSC(第一工業製薬):1質量部
・イオン交換水:80質量部
上記成分を耐熱容器中で混合し、90℃に昇温して30分、攪拌を行った。次いで、容器底部より溶融液をゴーリンホモジナイザーへと流通し、5MPaの圧力条件のもと、3パス相当の循環運転を行った後、圧力を35MPaに昇圧し、更に3パス相当の循環運転を行った。こうして出来た乳化液を前記耐熱溶液中で40℃以下になるまで冷却し、離型剤分散液1を得た。堀場製作所製粒度測定器LA−700にて体積平均粒径を測定したところ240nmであった。
【0108】
(樹脂分散液1)
−油層−
・スチレン(和光純薬(株)製):30質量部
・アクリル酸n−ブチル(和光純薬(株)製):10質量部
・β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製):1.3質量部
・ドデカンチオール(和光純薬(株)製):0.4質量部
−水層1−
・イオン交換水:17質量部
・アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ダウケミカル製):0.4質量部
−水層2−
・イオン交換水:40質量部
・アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ダウケミカル製):0.05質量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム(和光純薬(株)製):0.4質量部
上記の油層成分と水層1の成分をフラスコに入れて攪拌混合し単量体乳化分散液とした。反応容器に上記水層2の成分を投入し、容器内を窒素で十分に置換し、攪拌をしながらオイルバスで反応系内が75℃になるまで加熱した。反応容器内に上記の単量体乳化分散液を3時間かけて徐々に滴下し、乳化重合を行った。滴下終了後更に75℃で重合を継続し、3時間後に重合を終了させた。
得られた樹脂粒子は、レーザー回析式粒度分布測定装置LA−700(株)堀場製作所製)で樹脂粒子の体積平均粒径D50vを測定したところ250nmであり、示差走査熱量計(DSC−50島津製作所製)を用いて昇温速度10℃/分で樹脂のガラス転移点を測定したところ53℃であり、分子量測定器(HLC−8020東ソー社製)を用い、THFを溶媒として数平均分子量(ポリスチレン換算)を測定したところ13,000であった。これにより体積平均粒径250nm、固形分42%、ガラス転移点52℃、数平均分子量Mnが13,000の樹脂粒子分散液を得た。
【0109】
(トナー1の作製)
・樹脂粒子分散液1: 150質量部
・着色剤粒子分散液1: 30質量部
・離型剤粒子分散液1: 40質量部
・ポリ塩化アルミニウム: 0.4質量部
上記成分をステンレス製フラスコ中でIKE 社製のウルトラタラックスを用い十分に混合、分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で80分保持した後、ここに上記と同じ樹脂粒子分散液を緩やかに70質量部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを6.0 に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら97℃まで加熱して3時間保持した。反応終了後、降温速度を1℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。
これをさらに40℃のイオン交換水3L を用いて再分散し、15分間300rpmで攪拌・洗浄した。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、濾液のpHが6.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5A ろ紙を用いて固液分離を行った。
次いで、真空乾燥を12時間継続してトナー粒子を得た。
トナー粒子の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.2μmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。ルーゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は135でポテト形状であることが観察された。また、トナー粒子のガラス転移点は52℃であった。
更に、このトナー粒子に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO)粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物粒子とを、トナー粒子の表面に対する被覆率が40%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、トナー1を作製した。
【0110】
[実施例1〜6、比較例1〜4]
キャリア1〜10とトナーとを、トナー濃度6質量%になるように混合し、各現像剤を得た。
【0111】
得られた現像剤を、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 400改造機(シアン現像器が独立して制御可能に改造)に仕込み、20℃、15%RHの条件下、白紙出力(つまりトナー消費量0での出力)を100枚行った。その後、30℃、88%RHの環境下で4日間放置した。放置後、電位調整が行われないようにし、前回100枚出力終了後の電位パラメーターのまま白紙出力を1枚行った。
そして、白紙出力した用紙について、目視によりカブリの発生について評価した。
評価基準は以下の通りである。
◎:目視でカブリが無く良好であった。
○:目視で僅かにカブリが分かる程度で良好であった。
△:目視でカブリが分かる程度で良好であった。
×:全面にカブリが認められた。
××:全面に酷くカブリが認められた。
【0112】
【表2】

【0113】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、カブリの発生が抑制されることがわかる。
また、本実施例1と実施例6とを比べると、被覆樹脂としてシクロヘキシル基を持つアクリル樹脂を適用した実施例1が、実施例6に比べ、カブリの発生が抑制されることがわかる。
【符号の説明】
【0114】
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3、110 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K 現像剤カートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BET比表面積が0.12m/g以上0.20m/g以下、流動度が26秒/50g以上30秒/50g以下のフェライト粒子と、
前記フェライト粒子を被覆する被覆樹脂層と、
を有する静電荷像現像用キャリア。
【請求項2】
前記被覆樹脂層が、シクロヘキシル基を持つアクリル樹脂を含んで構成される請求項1に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項3】
トナーと、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用キャリアと、を含有する静電荷像現像用現像剤。
【請求項4】
請求項3に記載の静電荷現像用現像剤を収容し、
画像形成装置に脱着される静電荷像現像用現像剤カートリッジ。
【請求項5】
像保持体と、請求項3に記載の静電荷現像用現像剤を収容し、前記静電荷現像用現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項6】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項3に記載の静電荷現像用現像剤を収容し、前記静電荷現像用現像剤により、前記像保持体上に形成された前記静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項7】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項3に記載の静電荷現像用現像剤により、前記像保持体上に形成された前記静電荷像をトナー像として現像する現像工程と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像を被転写体上に転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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