説明

静電荷像現像用トナーセット、静電荷像現像剤セット、トナーカートリッジセット、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法

【課題】異なる色の定着画像間で発生する割れを抑制する静電荷像現像用トナーセットを提供すること。
【解決手段】シアントナーと、マゼンタトナーと、イエロートナーと、を少なくとも有し、全ての色のトナーのビカット軟化温度が30℃以上60℃以下の範囲内にあり、全ての色のトナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差が、1℃以上5℃以下である静電荷像現像用トナーセット。である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナーセット、静電荷像現像剤セット、トナーカートリッジセット、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタやコピー機を中心とする画像形成装置が広く普及しており、画像形成装置を構成する様々な要素に関する技術も広く普及している。画像形成装置の中でも電子写真方式を採用している画像形成装置では、感光体(像保持体)をはじめとする感光体を帯電装置を用いて帯電させ、帯電した感光体上に周囲の電位とは電位が異なる静電潜像を形成することによって印刷したいパターンの形成が行われることが多く、このようにして形成された静電潜像は、トナーで現像された後、最終的に記録用紙などの記録媒体上に転写される。
【0003】
例えば、特許文献1には、「(A1)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体60〜100質量部未満と(B)スチレン系樹脂0質量部を超えて40質量部以下または、(A2)両端がビニル芳香族炭化水素ブロックであり中間ブロックがビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体ブロックであるブロック共重合体60〜100質量部と(B)スチレン系樹脂0〜40質量部とからなるトナーバインダー用樹脂組成物において、(A1)又は(A2)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの比が95/5〜60/40であり、重量平均分子量が3万〜20万であり、ビカット軟化点が50〜80℃であるブロック共重合体であるトナーバインダー用樹脂組成物」が提案されている。
【0004】
特許文献2には、「(A)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体55〜100質量部、(B1)重量平均分子量が2000〜5000であるスチレン系樹脂5〜40質量部及び、(B−I)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン系樹脂及び(B−II)重量平均分子量が300万〜700万であるスチレン系樹脂のいずれか1種類以上を含むスチレン系樹脂(B2)0質量部を超えて45質量部以下からなるトナーバインダー用樹脂組成物において、(A)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの比が95/5〜60/40であり、重量平均分子量が3万〜20万であり、ビカット軟化点が50〜80℃であるブロック共重合体であるトナーバインダー用樹脂組成物」が提案されている。
【0005】
特許文献3には、「融点が60〜180℃のエチレン系オレフィン重合体と、ビニル系共重合体とからなるトナー用樹脂組成物であって、前記エチレン系オレフィン重合体の含有量は、全組成物中、15重量%以下であり、前記エチレン系オレフィン重合体のうち少なくとも一部分は、前記ビニル系共重合体の高分子量体にグラフト結合しているトナー用樹脂組成物において、ケン化度が2〜30であり、ビカット軟化点が30〜90℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体と、ビニル系共重合体とからなるトナー用樹脂組成物であって、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は、全組成物中、15重量%以下であり、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体のうち少なくとも一部分は、前記ビニル系共重合体の高分子量体にグラフト結合しているトナー用樹脂組成物」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−151196号公報(特許第3973537号明細書)
【特許文献2】特開2004−279740号公報(特許第3986452号明細書)
【特許文献3】特開平11−202555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する静電荷像現像用トナーセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
シアントナーと、マゼンタトナーと、イエロートナーと、を少なくとも有し、
前記トナーのビカット軟化温度が30℃以上60℃以下の範囲内にあり、
前記トナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差が、1℃以上5℃以下である静電荷像現像用トナーセット。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記トナーのうち、少なくも一つが、着色剤としてアゾ基を持つ顔料を含む請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
【0010】
請求項3に係る発明は、
前記イエロートナーが、着色剤としてアゾ基を持つ顔料を含む請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
【0011】
請求項4に係る発明は、
前記トナーが、外添剤として体積平均粒径の異なる少なくとも2種の金属酸化物粒子を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
【0012】
請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーセットの各トナーをそれぞれ含む各色の静電荷像現像剤を有する静電荷像現像剤セット。
【0013】
請求項6に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーセットの各トナーをそれぞれ収容し、画像形成装置に脱着されるトナーカートリッジセット。
【0014】
請求項7に係る発明は、
請求項5に記載の静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤をそれぞれ収容し、前記各静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像を、各色のトナー画像としてぞれぞれ現像する現像手段を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0015】
請求項8に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体上に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤を収容し、前記各静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された前記静電荷像を各色のトナー画像としてぞれぞれ現像する現像手段と、
前記像保持体上に形成された前記トナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写された前記トナー画像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置。
【0016】
請求項9に係る発明は、
前記定着手段が、前記被転写体を挟持して定着を行う一対の回転体であって、接触部の幅が3mm以上10mm以下で互いに接触配置された一対の回転体を備え、定着時間を10ms以上40ms以下とした請求項8に記載の画像形成装置。
【0017】
請求項10に係る発明は、
像保持体を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体上に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された前記静電荷像を各色のトナー画像としてぞれぞれ現像する現像工程と、
前記像保持体上に形成された前記トナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記トナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【0018】
請求項11に係る発明は、
前記定着工程が、接触部の幅が3mm以上10mm以下で互いに接触配置された一対の回転体により、定着時間10ms以上40ms以下で、前記被転写体を挟持して定着を行う工程である請求項10に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、全ての色のトナーのビカット軟化温度が上記範囲外で、全ての色のトナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差が上記範囲外の場合に比べ、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する静電荷像現像用トナーセットが提供できる。
請求項2に係る発明によれば、全ての色のトナーが着色剤としてアゾ基を持つ顔料を含まない場合に比べ、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する静電荷像現像用トナーセットが提供できる。
請求項3に係る発明によれば、イエロートナーが着色剤としてアゾ基を持つ顔料を含まない場合に比べ、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する静電荷像現像用トナーセットが提供できる。
請求項4に係る発明によれば、全ての色のトナーが外添剤として体積平均粒径の異なる少なくとも2種の金属酸化物粒子を含まない場合に比べ、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する静電荷像現像用トナーセットが提供できる。
【0020】
請求項5、6、7に係る発明によれば、全ての色のトナーのビカット軟化温度が上記範囲外で、全ての色のトナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差が上記範囲外の静電荷像現像用トナーセットを適用した場合に比べ、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する静電荷像現像剤セット、トナーカートリッジセット、プロセスカートリッジが提供できる。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、全ての色のトナーのビカット軟化温度が上記範囲外で、全ての色のトナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差が上記範囲外の静電荷像現像用トナーセットを適用した場合に比べ、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する画像形成装置が提供できる。
請求項9に係る発明によれば、異なる色の定着画像間で割れが発生し易い定着条件下でも、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する画像形成装置が提供できる。
【0022】
請求項10に係る発明によれば、全ての色のトナーのビカット軟化温度が上記範囲外で、全ての色のトナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差が上記範囲外の静電荷像現像用トナーセットを適用した場合に比べ、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する画像形成方法が提供できる。
請求項11に係る発明によれば、異なる色の定着画像間で割れが発生し易い定着条件下でも、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生を抑制する画像形成方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】再現する色に応じて、定着画像を構成するトナーの積層状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0025】
(静電荷像現像用トナーセット)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーセット(以下、トナーセットと称する)は、シアントナーと、マゼンタトナーと、イエロートナーと、で少なくとも構成される。必要に応じて、ブラックトナー、その他中間色トナーを有していてもよい。
そして、前記シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーのビカット軟化温度が30℃以上60℃以下の範囲内にあり、且つこれらのトナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差が1℃以上5℃以下としている。
なお、ブラックトナー、その他中間色トナーを用いる場合もビカット軟化温度が30℃以上60℃以下の範囲内にあることが望ましい。
【0026】
ここで、従来、定着不良(例えば、定着画像の溶融ムラ、クリース(折り曲げ耐性))を改善する目的で、トナー(トナー粒子)の主成分の結着樹脂のガラス転移温度や軟化温度、溶融粘度を制御することが知られている。一般にガラス転移温度や軟化温度は低く、また特定の温度の溶融粘度を低下させることで定着温度は低下するものの、同時に定着画像の用紙への染み込みや、高温におけるオフセットの発生のしやすさから、ガラス転移温度や軟化温度、溶融粘度は適当な範囲に制御することが望ましい。
【0027】
しかしながら、前記制御により定着不良(例えば、定着画像の溶融ムラ、クリース(折り曲げ耐性))を改善されるもの、カラーの定着画像を連続して出力する場合、異なる色の定着画像間にひび割れや画像の剥がれが生じることがわかってきた。
【0028】
この異なる色の定着画像間にひび割れが生じるメカニズムは以下のように考えられる。
通常、被転写媒体(以下、用紙と記載する場合がある)上の未定着画像を形成するトナーは定着装置からの定着熱によって用紙に接着し、またトナー(トナー粒子)同士が密着することにより定着する。
その際、トナーを構成する結着樹脂の体積は、加熱により膨張するが、通常は定着後の用紙の画像形成装置外への排出により空気に触れ、冷却され収縮する。
しかしながら、連続して出力する場合、定着された用紙の上から新たに定着された用紙が重なるため、前述のように空気に触れ冷却される時間は限られてくる。その結果、定着後の用紙を形成する定着画像の熱は蓄積され、体積は膨張したままになる。この現象は、特に、高速で多量に画像形成を行なうような出力の場合、定着画像の体積膨張が顕著になる。
【0029】
そのため、トナーを構成する結着樹脂が膨張した状態の定着画像では、定着画像の熱は徐々に冷却されることになるが、各色の定着画像間で収縮の仕方は異なると考えられる。
例えば、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)で定着画像を形成する場合、CMYの各色のトナーで色を再現し、再現する色に応じて、定着画像は、トナー層としてはCMYの各色のトナーからなる単層(1層)からCMYの全色のトナーが積層された3層までで構成されることとなる。
具体的には、図2に示すように、例えば、K(黒)、G(グリーン)、Y(イエロー)の色の定着画像を形成する場合(図2(B)参照:なお、図2(B)は定着画像の上面図を示す)、K(黒)の定着画像は、シアントナー層(図2中、Cで示す)とマゼンタトナー層(図2中、Mで示す)とイエロートナー層(図2中、Yで示す)との3層の積層体で構成され。G(グリーン)の定着画像は、シアントナー層とマゼンタトナー層との2層の積層体で構成され、K(黒)の定着画像は、イエロートナー層の1層の単層体で構成されることとなる(図2(A)参照:なお、図2(A)は、未定着画像の断面図を示す)。
【0030】
このため、再現する色によって、定着画像はトナー層の重なりが異なるため、トナーの結着樹脂の体積は定着画像の色により収縮の速度が異なり、異なる色の定着画像間(図2(A)の楕円で囲まれた領域参照)に応力差を生じることになると考えられる。
つまり、1層のトナー層で構成された定着画像よりも、複数層のトナー層で構成された定着画像の方が、トナー層が積層されている分、冷却に時間がかかるため、トナー層の厚みの異なる定着画像の境界部分に応力が集中し易く、異なる色の定着画像間(図2(A)の楕円で囲まれた領域参照)に応力差を生じ異なる色の定着画像間にひび割れまたは画像剥がれの発生が生じるものと考えられる。
【0031】

また、異なる色の定着画像間に応力差が過剰に生じると、画像剥れまたは画像剥がれの発生が生じるものと考えられる。
【0032】
これに対して、本実施形態に係るトナーセットでは、上記構成とすることで、異なる色の定着画像間に発生するひび割れが抑制される。そして、ひび割れと共に発生する画像剥れも抑制される。
【0033】
ここで、ビカット軟化温度とは、別名ビカット針入温度(Vikat Formbestandigkeit)と呼ばれ、定着後の定着画像としてのトナーの熱特性を示す指標として従来のフローテスターによる溶融粘度よりも弱い熱や力での変形性を見る指標である。
つまり、ビカット軟化温度を制御するとことで、定着後の定着画像としてのトナーの熱変形性が制御されると考えられる。
【0034】
このため、前記シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーのビカット軟化温度を30℃以上60℃以下の範囲内とした上で、これらのトナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差を1℃以上5℃以下とすることで、異なる色の定着画像間(つまり、トナー層の厚みの異なる定着画像間)での熱による変形度合いの違い(つまり、熱による結着樹脂の膨張、冷却による結着樹脂の収縮度合い)が緩和されことから、異なる色の定着画像間の境界部に発生する応力集中が緩和されると考えられる。その結果、異なる色の定着画像間に発生するひび割れまたは画像剥がれの発生が抑制される。
【0035】
そして、本実施形態に係るトナーセットは、特に、異なる色の定着画像間にひび割れまたは画像剥がれが発生し易いと考えられる、定着の際にトナー画像に熱や圧力が掛かり難く、定着後の用紙が短時間で重ねられ、定着画像が空気に触れる時間(冷却時間)が短い画像形成装置(例えば、用紙(被転写体)を挟持して定着を行う一対の回転体であって、接触部の幅が3mm以上10mm以下で互いに接触配置された一対の回転体を備え、定着時間を10ms以上40ms以下とした定着装置を備える画像形成装置)に適用しても、異なる色の定着画像間に発生するひび割れまたは画像剥がれの発生が抑制される。
【0036】
なお、従来の熱特性の指標であったフローテスターによる溶融粘度では、異なる色の定着画像間のわずかな熱変形の違いは計測できない。また、ガラス転移温度や軟化温度はトナー中の組成物の運動性の僅かな変化を検出するので、定着画像の熱特性を示す指標にならない。
このため、従来のトナーセットの如く、各トナー同士の主成分の結着樹脂のガラス転移温度や軟化温度、溶融粘度が近い値を示していても、異なる色の定着画像間に発生するひび割れひび割れまたは画像剥がれの発生が改善されない。

【0037】
本実施形態に係るトナーセットにおいて、全ての色のトナーのビカット軟化温度は、30℃以上60℃以下の範囲内であるが、望ましくは35℃以上55℃以下、より望ましくは40℃以上50℃以下である。
本ビカット軟化温度が大きすぎると、異なる色の定着画像間において結着樹脂の膨張体積の差が大きくな過ぎて、その結果、体積収縮の違いが大きくなり、異なる色の定着画像間にひび割れが生じやすくなり、さらには画像剥がれが生じやすくなる。
本ビカット軟化温度が小さすぎると、定着画像を構成するトナー層の最上層のみが溶融し易くなり、定着画像の一部が剥がれることがある。
【0038】
また、全ての色のトナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差(以下、ビカット軟化温度差)は、1℃以上5℃以下であるが、望ましくは1℃以上3℃以下である。
本ビカット軟化温度差が大きすぎると、異なる色の定着画像間において結着樹脂の体積収縮の違いが大きく、ひび割れひび割れまたは画像剥がれの発生が生じやすくなる。
本ビカット軟化温度差が小さすぎる場合、顔料量を揃える必要があり、顔料種により発色性が異なる場合が多く、顔料濃度調節が難しいことから、例えば発色性の弱い着色剤を用いて中間色を再現する場合、その発色性の弱い着色剤の影響から中間色の再現性が悪化してしまう。
【0039】
また、前記シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いビカット軟化温度を持つトナー及びビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度を持つトナーは、いずれのトナーであってもよいが、例えば、ビカット軟化温度が最も高いビカット軟化温度を持つトナーがイエロートナーであり、ビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度を持つトナーが他の色のトナー(例えばシアントナー及びマゼンタトナーのいずれか)であることがよい。
これは、イエロートナー(イエロートナー粒子)に含ませるイエロー着色剤は、他の色に比べ、一般に発色性が弱いことから、着色剤を多く含有させることにより、一方で着色剤にフィラー(充填材)として機能を持たせることにより、イエロートナーの発色性を高めつつ、ビカット軟化温度を高くすることがよいためである。
【0040】
各トナーのビカット軟化温度を調整するためには、例えば、1)結着樹脂の種類を選択する方法、2)着色剤の種類、その量を調整する方法、3)離型剤の種類、その量を調整する方法、4)外添剤の種類、その量を調整する方法、5)トナーの構造、その組成を調整する方法が挙げられる。
より具体的には1)より極性の高い樹脂を用いて分子量を大きくする、2)アゾ基を有する顔料をより多く使用する、3)溶融温度の高い離型剤を多く使用する、4)より大きく、形状が異形の外添剤をより多く用いる、5)トナー粒子をコアシェル構造する等の方法である。実際はこれらの方法を組み合わせることにより各トナーのビカット軟化温度をより精度良く調整することができる。
【0041】
なお、ビカット軟化温度は、JIS K7206に準じて測定された値である。
具体的には、目的するトナーを用いて規定された試験片を作製し、作製した試験片を加熱浴槽の中に据え、試験片の中央部に一定の断面積(JIS K7206では1mm2)の端面を押し当てた状態で加熱浴槽の温度を上昇させる。試験片に端面が一定の深さまで食い込んだ時の温度をビカット軟化温度とする(JISK 7206参照)
【0042】
以下、本実施形態に係るトナーセットの各トナーの構成について説明する。
なお、本実施形態に係るトナーセットは、シアントナーと、マゼンタトナーと、イエロートナーと、必要に応じて、ブラックトナー等その他の色のトナーと、で構成されるが、着色剤が異なる以外は、基本成分は同様の構成とすることがよいことから、以下、本実施形態に係るトナーと称して、その構成について説明する。
【0043】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と、外添剤と、を含んで構成される。
【0044】
トナー粒子について説明する。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、着色剤と、必要に応じて離型剤等のその他添加剤を含んで構成される。
【0045】
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体、さらにはこれらの混合物が挙げられる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合樹脂、又は、これらと前記ビニル樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0046】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂は、例えば、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を、単独又は適宜組み合わせて公知の方法により得られる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとの中から好適なものを選択して組合せ、例えば、エステル交換法又は重縮合法等、従来公知の方法を用いて合成することで得られる。
【0047】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びこれらの共重合樹脂を結着樹脂として使用する場合、重量平均分子量Mwが20,000以上100,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上30,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。他方、ポリエステル樹脂を結着樹脂として使用する場合は、重量平均分子量Mwが5,000以上40,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上10,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。
【0048】
着色剤について説明する。
着色剤としては、公知の着色剤から、目的とするトナーの色に応じて選択される。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などが挙げられる。
【0049】
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾール化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同50、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同202、同206、同207、同209等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが挙げれる。
【0050】
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同97、同180、同185、同139等のイエロー顔料などが挙げられる。
【0051】
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック)、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、チタンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等がある。
【0052】
これらの中も、着色剤としては、アゾ基を持つ顔料(例えば、縮合アゾ化合物、アゾ金属錯体)が好適である。
アゾ基を持つ顔料は、他の着色剤に比べ、発色性が弱いことから、トナー粒子に対する含有量の自由度が高くなり、各色のトナーのビカット温度、及び各色のトナー同士のビカット温度差を調整し易い点で有利である。そして、アゾ基を持つ顔料は、他の着色剤に比べ構造が多彩であり、顔料よりも相対的に単純なモノマー組成の連なりである樹脂構造の一部でも類似した部分があれば、顔料を内在させることで熱を保持しやすくなった状態が緩和することから、結着樹脂の熱応答性を低減(つまり、例えば、熱による結着樹脂の膨張を抑制)する機能を果すと考えられる。その結果、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生が抑制され易くなる。
【0053】
特に、イエロー着色剤は、他の色に比べ、発色性が弱いことから、必要とされる発色性を発現させるためには、トナー粒子に多く含ませる必要がある傾向にあり、イエロー着色剤としてアゾ基を持つ顔料を適用することで、イエロートナーの発色性を高めつつ、そのビカット温度の調整するのに有利となる。その結果、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生が抑制され易くなる。
【0054】
アゾ基を持つ顔料は、例えば塩酸を代表とする鉱酸の存在下でアゾ化反応により合成された顔料であり、具体的には、例えば、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等が挙げられる。
【0055】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0056】
着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲が望ましい。
【0057】
離型剤について説明する。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0058】
離型剤の融解温度は、保存性の観点から、50℃以上であることが望ましく、60℃以上であることがより望ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが望ましく、100℃以下であることがより望ましい。
【0059】
離型剤の含有量は、1質量%以上15質量%以下が望ましく、2質量%以上12質量%以下がより望ましく、3質量%以上10質量%以下がさらにより望ましい。
【0060】
その他添加剤について説明する。
その他の内添剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等が挙げられる。
【0061】
トナー粒子の特性について説明する。
トナー粒子は、単層構造であっても、芯部と前記芯部を被覆する被覆層とで構成される構造(所謂コア/シェル構造)であってもよい。
【0062】
トナー粒子の体積平均粒径は、例えば2μm以上15μm以下であり、望ましくは3μm以上10μm以下である。
なお、トナー粒子の体積平均粒径の測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
【0063】
外添剤について説明する。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられ、具体的には、例えば、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
【0064】
外添剤としては、特に、体積平均粒径の異なる少なくとも2種の金属酸化物粒子(例えば、シリカ、酸化チタン、メタチタン酸)を適用することがよく、具体的には、例えば、体積平均粒径5nm以上40nm以下(望ましくは8nm以上20nm以下)の小径金属酸化物粒子(例えば、シリカ、酸化チタン、メタチタン酸)と、体積平均粒径60nm以上300nm以下(望ましくは80nm以上200nm以下)の大型金属酸化物粒子(例えば単分散球形シリカ)と、の少なくとも2種の金属酸化物粒子を適用することがよい。
【0065】
外添剤として、体積平均粒径の異なる少なくとも2種の金属酸化物粒子を適用すると、小径側の金属酸化物粒子(例えば、体積平均粒径5nm以上20nm以下の小径金属酸化物粒子)がトナー粒子の凹凸の凹部に偏在し易いのに対して、大径側の金属酸化物粒子(例えば、体積平均粒径80nm以上300nm以下の大型金属酸化物粒子)をトナー粒子の凹凸の凹部に付着させてしまうことで、小径側の金属酸化物粒子がトナー粒子表面に偏在化せず、より均一に付着し易くなる。
その結果、外添剤としての金属酸化物粒子が、トナー粒子表面全体により均一に付着した状態となり易くなる。
なお、小径側の金属酸化物粒子(例えば、体積平均粒径5nm以上20nm以下の小径金属酸化物粒子)よりも、大径側の金属酸化物粒子(例えば、体積平均粒径80nm以上300nm以下の大型金属酸化物粒子)を先にトナー粒子に対して外添処理を行うことがよい。
【0066】
ここで、前述のように、異なる色の定着画像間にひび割れひび割れまたは画像剥がれの発生が生じるのは、色毎に定着画像のトナー層の重なりが異なるため、熱により膨張したトナーの結着樹脂の収縮の速度が異なるために生じると考えられる。つまり、色毎に定着画像を構成するトナー層の厚みが異なるため、その熱量も異なると考えられる。
一方、外添剤としての金属酸化物粒子がトナー粒子表面全体により均一に付着した状態であれば、そのトナーによる定着画像内部にも外添剤がより均一に存在することとなる。
そして、この定着画像内部により均一に分散された状態の金属酸化物粒子は、熱伝導率が樹脂のそれより低いため、熱伝導材料として機能し、色毎に熱量の異なる定着画像間において、低い方の定着画像へ熱を移動させることとなる。
【0067】
具体的には、例えば、熱量が高い3層のトナー層で構成された定着画像から2層のトナー層で構成された定着画像へ、3層又は2層のトナー層で構成された定着画像から1層のトナー層で構成された定着画像へ熱量が移動することになる。つまり、最も冷却が進行し難い3層のトナー層で構成された定着画像の冷却が進行し易くなり、最も冷却が進行し易い1層のトナー層で構成された定着画像の冷却が進行し難くなる。その結果、異なる色の定着画像間で、膨張したトナーの結着樹脂の収縮速度差が少なくなり、異なる色の定着画像間(その境界部)に生じる応力集中が緩和されるものと考えられる。その結果、異なる色の定着画像間で発生するひび割れまたは画像剥がれの発生が抑制され易くなる。
【0068】
以上から、外添剤としては、特に、体積平均粒径の異なる少なくとも2種の金属酸化物粒子(例えば、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO))を適用することがよい。
【0069】
なお、外添剤(金属酸化物粒子)の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した値である。
測定法として具体的は、分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
【0070】
外添剤の表面は、予め疎水化処理をしてもよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部程度である。
【0071】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上2.5質量部以下がよい。
【0072】
本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
まず、トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁造粒法、溶解懸濁法、溶解乳化凝集合一法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
【0073】
トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、例えば、結着樹脂の粒子を含む分散液と、必要に応じて着色剤の粒子を含む分散液及び離型剤の粒子を含む分散液とを準備し、これら分散液を混合して、各粒子を凝集させて凝集粒子が分散された分散液を作製する。続いて、例えば結着樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱し、この凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を得る。
【0074】
また、コア/シェル構造を持つトナー粒子を凝集合一法により製造する場合は、例えば、結着樹脂の粒子を含む分散液と、必要に応じて着色剤の粒子を含む分散液及び離型剤の粒子を含む分散液とを準備し、これら分散液を混合して、各粒子を凝集させて凝集粒子が分散された分散液を作製する。結着樹脂の粒子を含む分散液を、上記凝集粒子が分散された分散液と混合し、凝集粒子の表面に各粒子を付着させる。続いて、例えば結着樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱して、この各粒子が表面に付着した凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を得る。
【0075】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られたトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダーやヘンシュルミキサー、レディーゲミキサーなどによっておこなうことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機などを使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0076】
(静電荷像現像剤セット)
本実施形態に係る静電荷像現像剤セットは、本実施形態に係るトナーセットの各トナーをそれぞれ含む各色の現像剤を有するものである。
各色の現像剤は、トナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0077】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア、樹脂分散型キャリア等が挙げられる。
【0078】
前記二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0079】
(画像形成装置、プロセスカートリッジ等)
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体上に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤を収容し、各静電荷像現像剤により、保持体上に形成された静電荷像を各色のトナー画像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。
【0080】
そして、本実施形態に係る画像形成装置を利用した画像形成方法は、像保持体を帯電する帯電工程と、帯電した保持体上に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤により、保持体上に形成された静電荷像を各色のトナー画像として現像する現像工程と、保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する。
【0081】
本実施形態に係る画像形成装置は、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤による各色のトナー画像を被転写体に形成する各色毎のトナー画像形成手段を備える。
つまり、各色毎のトナー画像形成手段として、それぞれ、例えば、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された像保持体上に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、現像剤(トナー)により静電荷像を像保持体に形成されたトナー画像として現像する現像手段と、像保持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、必要に応じて像保持体の転写残留成分をクリーニングするクリーニング手段等のその他の手段と、を備え、被転写体に転写されたトナー画像(各色のトナー画像)を定着する定着手段を備える、無論、各色毎のトナー画像形成手段は、例えば、像保持体や、転写手段等を共用した構成としてもよい。
【0082】
本実施形態に係る画像形成装置において、定着手段は、転写体を挟持して定着を行う一対の回転体であって、接触部の幅(ニップ幅)が3mm以上10mm以下で互いに接触配置された一対の回転体を備え、定着時間を10ms以上40ms以下としたものであることがよい。ここで、定着時間とは、被転写体(用紙)が一対のロールの接触部を通過する時間を言い、より具体的には前記接触部の幅が例えば6mmで用紙の通過速度が180mm/秒の場合、その通過する時間は6÷180=0.0333秒、すなわち33.3ms(ミリ秒)が定着時間である。
定着手段として具体的は、例えば、一対の回転体として、加熱部材と加圧部材を備えるものが挙げられ、これら部材はベルト部材であってもロール部材であってもよい。
つまり、定着手段は、ロール・ロール方式、ロール・ベルト方式、ベルト・ロール方式のいずれの方式(前者:加熱部材の形状・後者:加圧部材の形状)であってもよい。
本定着手段を備える画像形成装置は、所謂、高速機に分類される装置であり、上述のように、定着の際にトナー画像に熱や圧力が掛かり難く、定着後の用紙(被転写体)が短時間で重ねられ、定着画像が空気に触れる時間(冷却時間)が短い画像形成装置であるが、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤セットを適用することで、異なる色の定着画像間に発生するひび割れまたは画像剥がれの発生がより抑制される。
【0083】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤をそれぞれ収容した現像手段を含む部分が画像形成装置に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、また、現像手段に供給する補充用のトナーとして本実施形態に係るトナーセットの各トナーをそれぞれ収容する部分が画像形成装置に対して脱着するカートリッジ構造(トナーカートリッジセット)であってもよい。
【0084】
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、像保持体上に保持された各色のトナー画像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す画像形成装置や、各色毎に現像手段を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型画像形成装置等であってもよい。
【0085】
以下に、図面を参照しながら本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体としての感光体が複数、即ち画像形成ユニット(画像形成手段)が複数設けられたタンデム型の構成に係るものである。
なお、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー画像を形成する3つの画像形成ユニットを備える画像形成装置について説明するが、これに限られず、さらに、ブラックのトナー画像や、その他中間色のトナー画像を形成する画像形成ユニットを備える画像形成装置であってもよい。
【0086】
本実施形態に係る画像形成装置は、図1に示すように、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー画像を形成する3つの画像形成ユニット50Y、50M、50Cが、間隔をおいて並列的に(タンデム状に)配置されている。なお、各画像形成ユニットは、中間転写ベルト33の回転方向下流側から、画像形成ユニット50Y、50M、50Cの順に配列されている。
ここで、各画像形成ユニット50Y、50M、50Cは、収容されている現像剤中のトナーの色を除き同様の構成を有しているため、ここではイエロー画像を形成する画像形成ユニット50Yについて代表して説明する。尚、画像形成ユニット50Yと同様の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)を付した参照符号を付すことにより、各画像形成ユニット50M、50Cの説明を省略する。
【0087】
イエローの画像形成ユニット50Yは、像保持体としての感光体11Yを備えており、この感光体11Yは、図示の矢印A方向に沿って図示しない駆動手段によって予め定められたプロセススピードで回転駆動されるようになっている。感光体11Yとしては、例えば、赤外領域に感度を持つ有機感光体が用いられる。
【0088】
感光体11Yの上部には、帯電ロール(帯電手段)18Yが設けられており、帯電ロール18Yには、不図示の電源により予め定められた電圧が印加され、感光体11Yの表面が予め定められた電位に帯電される。
【0089】
感光体11Yの周囲には、帯電ロール18Yよりも感光体11Yの回転方向下流側に、感光体11Yの表面を露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)19Yが配置されている。なお、ここでは露光装置19Yとして、スペースの関係上、小型化が実現されるLEDアレイを用いているが、これに限定されるものではなく、他のレーザービーム等による静電荷像形成手段を用いても勿論問題無い。
【0090】
また、感光体11Yの周囲には、露光装置19Yよりも感光体11Yの回転方向下流側に、イエロー色の現像剤を保持する現像剤保持体を備える現像装置(現像手段)20Yが配置されており、感光体11Y表面に形成された静電荷像を、イエロー色のトナーによって顕像化し、感光体11Y表面にトナー画像を形成する構成になっている。
【0091】
感光体11Yの下方には、感光体11Y表面に形成されたトナー画像を一次転写する中間転写ベルト(一次転写手段)33が、3つの感光体11Y,11M,11Cの下方に渡るように配置されている。この中間転写ベルト33は、一次転写ロール17Yによって感光体11Yの表面に押し付けられている。また、中間転写ベルト33は、駆動ロール12、支持ロール13及びバイアスロール14の3つのロールによって張架され、感光体11Yのプロセススピードと等しい移動速度で、矢印B方向に周動されるようになっている。中間転写ベルト33表面には、イエローのトナー画像が一次転写され、更にマゼンタ、シアンの各色のトナー画像が順次一次転写され、積層される。
【0092】
また、感光体11Yの周囲には、一次転写ロール17Yよりも感光体11Yの回転方向(矢印A方向)下流側に、感光体11Yの表面に残留したトナーやリトランスファーしたトナーを清掃するためのクリーニング装置15Yが配置されている。クリーニング装置15Yにおけるクリーニングブレードは、感光体11Yの表面にカウンター方向に圧接するように取り付けられている。
【0093】
中間転写ベルト33を張力を付与しつつ支持バイアスロール14には、中間転写ベルト33を介して二次転写ロール(二次転写手段)34が圧接されている。中間転写ベルト33表面に一次転写され積層されたトナー画像は、バイアスロール14と二次転写ロール34との圧接部において、図示しない用紙カセットから給紙される記録紙(被転写体)P表面に、静電的に転写される。
【0094】
また、二次転写ロール34の下流には、記録紙P上に多重転写されたトナー画像を、熱及び圧力によって記録紙P表面に定着して、永久像とするための定着器(定着手段)35が配置されている。
【0095】
なお、定着器35としては、例えば、表面にフッ素樹脂成分やシリコーン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を用い、ベルト形状を有する定着ベルト、及び、表面にフッ素樹脂成分やシリコーン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を用い、円筒状の定着ロールが挙げられる。
【0096】
次に、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の画像を形成する各画像形成ユニット50Y,50M,50Cの動作について説明する。各画像形成ユニット50Y,50M,50Cの動作は、それぞれ同様であるため、イエローの画像形成ユニット50Yの動作を、その代表として説明する。
【0097】
イエローの現像ユニット50Yにおいて、感光体11Yは、矢印A方向に予め定められたプロセススピードで回転する。帯電ロール18Yにより、感光体11Yの表面は予め定められた電位にマイナス帯電される。その後、感光体11Yの表面は、露光装置19Yによって露光され、画像情報に応じた静電荷像が形成される。続いて、現像装置20Yによりマイナス帯電されたトナーが反転現像され、感光体11Yの表面に形成された静電荷像は感光体11Y表面に可視像化され、トナー画像が形成される。その後、感光体11Y表面のトナー画像は、一次転写ロール17Yにより中間転写ベルト33表面に一次転写される。一次転写後、感光体11Yは、その表面に残留したトナー等の転写残留成分がクリーニング装置15Yのクリーニングブレードにより掻き取られ、清掃され、次の画像形成工程に備える。
【0098】
以上の動作が各画像形成ユニット50Y,50M,50Cで行われ、各感光体11Y,11M,11C表面に可視像化されたトナー画像が、次々と中間転写ベルト33表面に多重転写されていく。カラーモード時は、イエロー、マゼンタ、シアンの順に各色のトナー画像が多重転写されるが、二色、三色モード時のときもこの順番で、必要な色のトナー画像のみが単独又は多重転写されることになる。
その後、中間転写ベルト33表面に単独又は多重転写されたトナー画像は、二次転写ロール34により、図示しない用紙収容用容器から搬送されてきた記録紙P表面に二次転写され、続いて、定着器35において加熱・加圧されることにより定着される。二次転写後に中間転写ベルト33表面に残留したトナーは、中間転写ベルト33用のクリーニングブレードで構成されたベルトクリーナ16により清掃される。
【0099】
なお、イエローの画像形成ユニット50Yは、イエロー色の静電荷像現像剤を保持する現像剤保持体を含む現像装置20Yと感光体11Yと帯電ロール18Yとクリーニング装置15Yとが一体となって画像形成装置本体から着脱するプロセスカートリッジとして構成されている。また、画像形成ユニット50C及び50Mも画像形成ユニット50Yと同様にプロセスカートリッジとして構成されている。
【0100】
また、トナーカートリッジ40Y、40M、及び40Cは、各色のトナーが収容され、画像形成装置に着脱するカートリッジであり、それぞれの色に対応した現像装置と、図示しないトナー供給管で接続されている。そして、各トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジの交換がなされる。
【実施例】
【0101】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」は、「質量部」を意味する。
【0102】
[ポリエステル樹脂の合成]
−ポリエステル樹脂(1)の合成−
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80モル部と、エチレングリコール10モル部と、シクロヘキサンジオール10モル部と、テレフタル酸80モル部と、イソフタル酸10モル部と、n−ドデセニルコハク酸10モル部を原料に、触媒としてジブチル錫オキサイドを入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150から230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、210から250℃で徐々に減圧して、ポリエステル樹脂(1)を合成した。
【0103】
得られたポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は、17,200であった。また、ポリエステル樹脂(1)の酸価は12.4mgKOH/gであった。
さらに、ポリエステル樹脂(1)のガラス転移温度を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、JIS規格(JIS K−7121参照)により解析して得た。
その結果、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度(Tg)は59℃であった。
【0104】
[ポリエステル樹脂分散液の調製]
−ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製−
・ポリエステル樹脂(1) 100質量部
・酢酸エチル 70質量部
・イソプロピルアルコール 15質量部
【0105】
5Lのセパラブルフラスコに上記酢酸エチルと上記イソプロピルアルコールとの混合溶媒を投入し、これに上記樹脂を徐々に投入して、スリーワンモーターで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。
この攪拌されている油相に10質量%アンモニア水溶液を合計で3.5質量部となるようにスポイトで徐々に滴下し、更にイオン交換水230質量部を10ml/minの速度で徐々に滴下して転相乳化させ、更にエバポレータで減圧しながら脱溶剤を実施し、「ポリエステル樹脂(1)」を含む「ポリエステル樹脂分散液(A1)」を得た。この分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径は182nmであった。なお、分散液の樹脂粒子濃度はイオン交換水で調整して20質量%とした。
【0106】
−ポリエステル樹脂(2)の合成およびポリエステル樹脂分散液(A2)の調製−
ポリエステル樹脂(1)に対し、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン70モル部、エチレングリコール20モル部に、またテレフタル酸75モル部、n−ドデセニルコハク酸15モル部に変更した以外はポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法でポリエステル樹脂(2)を合成した。重量平均分子量(Mw)は、16,100、ガラス転移温度(Tg)は54℃であった。
ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法でポリエステル樹脂分散液(A2)を調製した。
【0107】
−ポリエステル樹脂(3)の合成およびポリエステル樹脂分散液(A3)の調製−
テレフタル酸78モル部に変更し、無水トリメリット酸を2部加えた以外はポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法でポリエステル樹脂(3)を合成した。重量平均分子量(Mw)は、17,500、ガラス転移温度(Tg)は59℃であった。
ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法でポリエステル樹脂分散液(A3)を調製した。
【0108】
−ポリエステル樹脂(4)の合成およびポリエステル樹脂分散液(A4)の調製−
ポリエステル樹脂(1)に対し、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン70モル部、エチレングリコール20モル部に、またテレフタル酸60モル部、n−ドデセニルコハク酸30モル部に変更した以外はポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法でポリエステル樹脂(4)を合成した。重量平均分子量(Mw)は、15,000、ガラス転移温度(Tg)は51℃であった。
ポリエステル樹脂分散液(A1)の調製と同様の方法でポリエステル樹脂分散液(A4)を調製した。
【0109】
[着色剤分散液の調製]
−着色剤分散液(B1)の調製−
・シアン顔料 1000部
(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:1(銅フタロシアニン))
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 15部
・イオン交換水 9000部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間ほど分散して、着色剤(顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(顔料)粒子の体積平均粒径は0.16μm、固形分濃度は20%であった。
【0110】
−着色剤分散液(B2)〜(B5)の調整−
表2に従って、着色剤(顔料)の種類を変更した以外は、着色剤分散液(B1)と同様にして、各着色剤分散液を得た。
【0111】
【表1】

【0112】
なお、表1中、着色剤(顔料)の詳細は以下の通りである。
・B15:1=シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:1 (銅フタロシアニン))
・Y17=イエロー顔料(大日精化(株)製、セイカ ファースト イエロー 2400(B)(ジスアゾイエロー:アゾ基を持つ顔料))
・Y110=イエロー顔料(BASF製、CROMOPHTAL Yellow 2RLP(イソインドリノン))
・R122=マゼンタ顔料(大日精化(株)製、クロモファイン マゼンタ 6887(キナクリドン))
・R57:1=マゼンタ顔料(大日精化(株)製、セイカ ファースト カーミン 1476T−7(アゾ基を持つ顔料))
【0113】
[離型剤分散液の調製]
−離型剤分散液(C1)の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP−9、融解温度:75℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):0.5部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤粒子の体積平均粒径は0.23μmであった。
【0114】
−離型剤分散液(C2)の調製−
・ポリエチレンワックス(ベーカーペトロライト(株)製、POLYWAX655、融解温度:93℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):0.5部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤粒子の体積平均粒径は0.28μmであった。
【0115】
−離型剤分散液(C3)の調製−
・ポリエチレンワックス(クラリアント(株)製、PE130、融解温度:125℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):0.5部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤粒子の体積平均粒径は0.27μmであった。
【0116】
−離型剤分散液(C4)の調製−
・ポリプロピレンワックス(三井化学(株)製、P200、融解温度:145℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):0.5部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤粒子の体積平均粒径は0.29μmであった。
【0117】
−離型剤分散液(C5)の調製−
・ベヘン酸エステルワックス(理研ビタミン(株)製、EW861、融解温度:60℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):0.5部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤粒子の体積平均粒径は0.21μmであった。
【0118】
【表2】

【0119】
なお、表2中、離型剤(WAX)の詳細は以下の通りである。
・HNP−9=パラフィンワックス(日本精蝋(株)製)
・POLYWAX655=ポリエチレンワックス(ベーカーペトロライト(株)製)
・PE130=ポリエチレンワックス(クラリアント(株)製)
・P200=ポリプロピレンワックス(三井化学(株)製)
・EW861=ベヘン酸エステルワックス(理研ビタミン(株)製)
【0120】
[シアントナーの作製]
−シアントナー1の作製−
・ポリエステル樹脂分散液(A1) 320部
・着色剤分散液(B1) 25部
・離型剤分散液(C1) 40部
・アニオン性界面活性剤(TeycaPower) 2.0部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)を用い、ホモジナイザーの回転数を4000rpmにして、せん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
【0121】
その後、攪拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、42℃にて凝集粒子の成長を促進させた。この際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて原料分散液のpHを3.2以上3.8以下の範囲に調整した。原料分散液を上記pH範囲に保持して2時間ほど放置し、凝集粒子を形成した。この凝集粒子の体積平均粒子径は5.4μmであった。
【0122】
次に、原料分散液にポリエステル樹脂分散液(A1)115部を追添加し、前記凝集粒子の表面にポリエステル樹脂(1)の樹脂粒子を付着させた。さらに、原料分散液を44℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIを用いて、粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるために、原料分散液にNaOH水溶液を滴下してpHを7.5に調整した後、原料分散液を95℃まで昇温させた。その後、3時間原料分散液を放置して凝集粒子を融合させ、光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、原料分散液を1.0℃/分の降温速度で冷却した。
得られた原料分散液には、着色樹脂粒子が形成されていた。
【0123】
次に、原料分散液をろ過し、得られた固液分離後の着色樹脂粒子を、着色樹脂粒子固形分量に対して20倍量の30℃のイオン交換水中に分散して水洗を行った。
そして、この水洗を10回繰り返した後、ループ型気流式乾燥機を用いてサイクロン捕集での乾燥、分級を行い、シアントナー粒子を得た。
【0124】
得られたシアントナー粒子100部に、単分散球形ゾルゲルシリカ(体積平均粒子径140nm、HMDS処理)を1.5部加え、20Lのヘンシェルミキサーを用い、攪拌羽先端周速10m/sで20分間ブレンドを行い外添した。さらに、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を1.3部を加え、20Lヘンシェルミキサーを用い、攪拌羽先端周速55m/sで15分ブレンドを行い外添した。
その後45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、シアントナー1を作製した。
【0125】
−シアントナー2の作製−
離型剤分散液(C1)を4部、離型剤分散液(C5)を36部とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー2を作製した。
【0126】
−シアントナー3の作製−
離型剤分散液(C1)を、離型剤分散液(C2)とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー3を作製した。
【0127】
−シアントナー4の作製−
離型剤分散液(C1)を、離型剤分散液(C5)とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー4を作製した。
【0128】
−シアントナー5の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)を、ポリエステル樹脂分散液(A2)とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー5を作製した。なお追添加したポリエステル樹脂分散液もA2であった。
【0129】
−シアントナー6の作製−
離型剤分散液(C1)に代わり離型剤分散液(C2)を36部、離型剤分散液(C3)を4部とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー6を作製した。
【0130】
−シアントナー7の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)を、ポリエステル樹脂分散液(A3)とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー7を作製した。なお追添加したポリエステル樹脂分散液もA3であった。
【0131】
−シアントナー8の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)を、ポリエステル樹脂分散液(A4)とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー8を作製した。なお追添加したポリエステル樹脂分散液もA4であった。
【0132】
−シアントナー9の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)320部を、ポリエステル樹脂分散液(A2)を305部に離型剤分散液(C1)を40部、離型剤分散液(C5)を15部とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー9を作製した。
【0133】
−シアントナー10の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)320部を、ポリエステル樹脂分散液(A3)を315部に離型剤分散液(C1)を40部、離型剤分散液(C3)を5部とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー10を作製した。
【0134】
−シアントナー11の作製−
離型剤分散液(C1)を、離型剤分散液(C3)とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー11を作製した。
【0135】
−シアントナー12の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はシアントナー1の作製と同様にしてシアントナー12を作製した。
【0136】
−シアントナー13の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はシアントナー8の作製と同様にしてシアントナー13を作製した。
【0137】
−シアントナー14の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はシアントナー11の作製と同様にしてシアントナー14を作製した。
【0138】
−シアントナー15の作製−
ポリエステル樹脂(1)83質量部と、ポリエステル樹脂(3)3質量部、着色剤として前記シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:1 (銅フタロシアニン))5質量部と、離型剤としてパラフィンワックス(前記HNP−9)9質量部と、をバンバリー型混練機で溶融混練し、冷却後粗粉砕し、さらにジェット式微粉砕機で粉砕し、その後気流式分級機(エルボージェット、EJ-LABO)にて分級し、体積平均粒径が7μmのシアントナー粒子を製造した。
【0139】
得られたシアントナー粒子100部に、単分散球形ゾルゲルシリカ(体積平均粒子径140nm、HMDS処理)を1.5部加え、20Lのヘンシェルミキサーを用い、攪拌羽先端周速10m/sで20分間ブレンドを行い外添した。その後、さらに酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を1.3部を加え、攪拌羽先端周速55m/sで15分ブレンドを行い外添した。
そして45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、シアントナー18を作製した。
【0140】
−シアントナー16の作製−
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(4)とした以外はシアントナー15の作製と同様の方法でシアントナー16を作製した。
【0141】
−シアントナー17の作製−
シアントナー15の作製で用いたHNP−9を前記PE130(ポリエチレンワックス(クラリアント(株)製)に変更した以外はシアントナー15の作製と同様の方法でシアントナー17を作製した。
【0142】
[マゼンタトナーの作製]
−マゼンタトナー1の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)を315部、着色剤分散液(B5)を25部、着色剤分散液(B4)を5部および離型剤分散液(C1)を40部とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー1を作製した。
【0143】
−マゼンタトナー2の作製−
離型剤分散液(C1)を4部、離型剤分散液(C5)を36部とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー2を作製した。
【0144】
−マゼンタトナー3の作製−
離型剤分散液(C1)を、離型剤分散液(C2)とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー3を作製した。
【0145】
−マゼンタトナー4の作製−
離型剤分散液(C1)を、離型剤分散液(C5)とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー4を作製した。
【0146】
−マゼンタトナー5の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)を、ポリエステル樹脂分散液(A2)とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー5を作製した。なお追添加したポリエステル樹脂分散液もA2であった。
【0147】
−マゼンタトナー6の作製−
離型剤分散液(C1)に代わり離型剤分散液(C2)を38部、離型剤分散液(C3)を2部とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー6を作製した。
【0148】
−マゼンタトナー7の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)340部を、ポリエステル樹脂分散液(A3)336部にし、離型剤分散液(C5)を4部とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー7を作製した。なお追添加したポリエステル樹脂分散液もA3であった。
【0149】
−マゼンタトナー8の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)を、ポリエステル樹脂分散液(A4)とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー8を作製した。なお追添加したポリエステル樹脂分散液もA4であった。
【0150】
−マゼンタトナー9の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)320部を、ポリエステル樹脂分散液(A2)を305部に離型剤分散液(C1)を40部、離型剤分散液(C5)を15部とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー9を作製した。
【0151】
−マゼンタトナー10の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)320部を、ポリエステル樹脂分散液(A3)を315部に離型剤分散液(C1)を40部、離型剤分散液(C4)を5部とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー10を作製した。
【0152】
−マゼンタトナー11の作製−
離型剤分散液(C1)を、離型剤分散液(C3)とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー11を作製した。
【0153】
−マゼンタトナー12の作製−
離型剤分散液(C1)を4部、離型剤分散液(C5)を36部とした以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー2を作製した
【0154】
−マゼンタトナー13の作製−
ポリエステル樹脂分散液(A1)を、ポリエステル樹脂分散液(A4)とし、離型剤分散液(B4)を30部とし、離型剤分散液(B5)を用いなかった以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー13を作製した。なお追添加したポリエステル樹脂分散液もA4であった。
【0155】
−マゼンタトナー14の作製−
離型剤分散液(C1)を、離型剤分散液(C3)とした以外はマゼンタトナー13の作製と同様にしてマゼンタトナー14を作製した。
【0156】
−マゼンタトナー15の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はマゼンタトナー1の作製と同様にしてマゼンタトナー15を作製した。
【0157】
−マゼンタトナー16の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はマゼンタトナー8の作製と同様にしてマゼンタトナー16を作製した。
【0158】
−マゼンタトナー17の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はマゼンタトナー11の作製と同様にしてマゼンタトナー17を作製した。
【0159】
−マゼンタトナー18の作製−
ポリエステル樹脂(1)82質量部と、ポリエステル樹脂(3)3質量部、着色剤として前記R57:1(大日精化(株)製、セイカ ファースト カーミン 1476T−7)5部、前記R122(大日精化(株)製、クロモファイン マゼンタ 6887)1部、パラフィンワックス(前記HNP−9)9質量部に変更した以外はシアントナー15の作製と同様の方法でマゼンタトナー18を作製した。
【0160】
−マゼンタトナー19の作製−
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(4)に変更した以外はマゼンタトナー18と同様の方法でマゼンタトナー19を作製した。
【0161】
−マゼンタトナー20の作製−
マゼンタトナー18の作製で用いたパラフィンワックスを前記PE130(ポリエチレンワックス(クラリアント(株)製)に変更した以外はマゼンタトナー18と同様の方法でマゼンタトナー20を作製した。
【0162】
[イエロートナーの作製]
−イエロートナー1の作製−
・ポリエステル樹脂分散液(A1) 255部
・ポリエステル樹脂分散液(A2) 50部
・着色剤分散液(B2) 35部
・着色剤分散液(B3) 5部
・離型剤分散液(C1) 10部
・離型剤分散液(C2) 30部
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液および離型剤分散液を上記の量とした以外はシアントナー1の作製と同様にしてイエロートナー1を作製した。
【0163】
−イエロートナー2の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー2を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を205部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を100部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を40部とした。
【0164】
−イエロートナー3の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー3を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を265部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を40部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を20部、離型剤分散液(C2)を20部とした。
【0165】
−イエロートナー4の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー4を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を230部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を75部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を30部、離型剤分散液(C2)を10部とした。
【0166】
−イエロートナー5の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー5を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を265部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を40部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を15部、離型剤分散液(C2)を25部とした。
【0167】
−イエロートナー6の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー6を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を245部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を60部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を35部、離型剤分散液(C5)を5部とした。
【0168】
−イエロートナー7の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー7を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を255部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を50部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を15部、離型剤分散液(C2)を25部とした。
【0169】
−イエロートナー8の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー8を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A2)を305部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を35部、離型剤分散液(C5)を5部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA2であった。
【0170】
−イエロートナー9の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー9を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を50部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を255部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を40部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA2であった。
【0171】
−イエロートナー10の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー10を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を265部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を40部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を40部とした。
【0172】
−イエロートナー11の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー11を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A3)を295部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を10部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C2)を40部とした。
【0173】
−イエロートナー12の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー12を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を40部、ポリエステル樹脂分散液(A4)を250部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C5)を50部、離型剤分散液(C1)を5部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA4であった。
【0174】
−イエロートナー13の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー13を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を50部、ポリエステル樹脂分散液(A4)を250部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C5)を40部、離型剤分散液(C1)を5部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA4であった。
【0175】
−イエロートナー14の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー14を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を280部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を25部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を5部、離型剤分散液(C3)を35部とした。
【0176】
−イエロートナー15の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー15を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を255部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を50部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を5部とし、離型剤分散液(C3)を35部とした。
【0177】
−イエロートナー16の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー16を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A2)を280部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を25部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C1)を40部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液もA2であった。
【0178】
−イエロートナー17の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー17を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A2)を305部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を37.5部とし、離型剤分散液(C5)を2.5部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA2であった。
【0179】
−イエロートナー18の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー18を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を230部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を75部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を35部とし、離型剤分散液(C2)を5部とした。
【0180】
−イエロートナー19の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー19を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を290部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を15部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を35部、離型剤分散液(C5)を5部とした。
【0181】
−イエロートナー20の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー20を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A3)を295部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を10部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C2)を35部、離型剤分散液(C3)を5部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA3であった。
【0182】
−イエロートナー21の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー21を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を265部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を40部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を10部、離型剤分散液(C2)を30部とした。
【0183】
−イエロートナー22の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー22を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を280部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を25部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を10部、離型剤分散液(C3)を30部とした。
【0184】
−イエロートナー23の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー23を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を280部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を25部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を30部、離型剤分散液(C2)を10部とした。
【0185】
−イエロートナー24の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー24を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を60部、ポリエステル樹脂分散液(A4)を245部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C1)を10部、離型剤分散液(C5)を30部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA4であった。
【0186】
−イエロートナー25の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー25を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を30部、ポリエステル樹脂分散液(A4)を260部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C1)を5部、離型剤分散液(C5)を50部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA4であった。
【0187】
−イエロートナー26の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー26を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を60部、ポリエステル樹脂分散液(A4)を245部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C1)を20部、離型剤分散液(C5)を20部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA4であった。
【0188】
−イエロートナー27の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー27を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を75部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を230部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を40部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA2であった。
【0189】
−イエロートナー28の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー28を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A2)を25部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を280部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C2)を40部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA3であった。
【0190】
−イエロートナー29の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー29を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を255部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を50部、着色剤分散液(B2)を35部、着色剤分散液(B3)を5部、離型剤分散液(C1)を10部、離型剤分散液(C3)を30部とした。
【0191】
−イエロートナー30の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー30を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A3)を285部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を20部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C2)を30部、離型剤分散液(C3)を10部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA3であった。
【0192】
−イエロートナー31の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー31を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を255部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を50部、着色剤分散液(B3)を40部、離型剤分散液(C1)を10部、離型剤分散液(C2)を30部とした。
【0193】
−イエロートナー32の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー32を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を50部、ポリエステル樹脂分散液(A4)を255部、着色剤分散液(B3)を40部、離型剤分散液(C1)を10部、離型剤分散液(C5)を30部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA4であった。
【0194】
−イエロートナー33の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー33を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を60部、ポリエステル樹脂分散液(A4)を245部、着色剤分散液(B3)を40部、離型剤分散液(C1)を20部、離型剤分散液(C5)を20部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA4であった。
【0195】
−イエロートナー34の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー34を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を255部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を50部、着色剤分散液(B3)を40部、離型剤分散液(C1)を5部、離型剤分散液(C3)を35部とした。
【0196】
−イエロートナー35の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー35を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A3)を280部、ポリエステル樹脂分散液(A2)を25部、着色剤分散液(B3)を40部、離型剤分散液(C2)を30部、離型剤分散液(C3)を10部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA3であった。
【0197】
−イエロートナー36の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー36を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A4)を290部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C5)を55部とした。なお追添加したポリエステル樹脂分散液はA4であった。
【0198】
−イエロートナー37の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー37を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を230部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を75部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C1)を10部、離型剤分散液(C4)を30部とした。
【0199】
−イエロートナー38の作製−
ポリエステル樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液を以下の量にした以外は、イエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー38を作製した。
ポリエステル樹脂分散液(A1)を225部、ポリエステル樹脂分散液(A3)を90部、着色剤分散液(B2)を40部、離型剤分散液(C1)を5部、離型剤分散液(C4)を25部とした。
【0200】
−イエロートナー39の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はイエロートナー1の作製と同様にしてイエロートナー39を作製した。
【0201】
−イエロートナー40の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はイエロートナー12の作製と同様にしてイエロートナー40を作製した。
【0202】
−イエロートナー41の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はイエロートナー15の作製と同様にしてイエロートナー41を作製した。
【0203】
−イエロートナー42の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はイエロートナー30の作製と同様にしてイエロートナー42を作製した。
【0204】
−イエロートナー43の作製−
単分散球形ゾルゲルシリカを加えず、酸化チタン粒子(体積平均粒子径20nm)を2部加えた以外はイエロートナー26の作製と同様にしてイエロートナー43を作製した。
【0205】
−イエロートナー44の作製−
ポリエステル樹脂(1)71質量部と、ポリエステル樹脂(2)10質量部、ポリエステル樹脂(3)3質量部、着色剤として前記Y17(大日精化(株)製、セイカ ファースト イエロー 2400(B)7部、前記Y110(BASF製、CROMOPHTAL Yellow 2RLP)1部、離型剤として前記HNP−9を2質量部、前記POLYWAX655を6部に変更した以外はシアントナー15の作製と同様の方法でイエロートナー44を作製した。
【0206】
−イエロートナー45の作製−
ポリエステル樹脂(1)を8部、ポリエステル樹脂(2)をポリエステル樹脂(4)63部に、着色剤として前記Y17を7部、前記Y110を1部、離型剤として前記HNP−9を1質量部、前記EW861を10部に変更した以外はイエロートナー44と同様の方法でイエロートナー45を作製した。
【0207】
−イエロートナー46の作製−
結着樹脂としてポリエステル樹脂(1)を71部、ポリエステル樹脂(3)を13部に変更し、離型剤として前記HNP−9を1質量部、前記PE130を7部に変更した以外はイエロートナー44と同様の方法でイエロートナー46を作製した。
【0208】
−イエロートナー47の作製−
結着樹脂としてポリエステル樹脂(1)を12部、ポリエステル樹脂(3)を3部、ポリエステル樹脂(4)を69部に変更し、着色剤として前記Y17を8部、離型剤として前記HNP−9を4質量部、前記EW861を4部に変更した以外はイエロートナー44と同様の方法でイエロートナー47を作製した。
【0209】
−イエロートナー48の作製−
結着樹脂としてポリエステル樹脂(3)を81部、ポリエステル樹脂(2)を3部に変更し、着色剤として前記Y17を8部、離型剤として前記POLYWAX655を6部、前記PE130を2部に変更した以外はイエロートナー44と同様の方法でイエロートナー48を作製した。
【0210】
[実施例1〜57、比較例1〜10]
表3〜表4に従って、シアントナー1〜17(C1〜C17と記載する場合がある)、マゼンタトナー1〜20(M1〜M20と記載する場合がある)、イエロートナー1〜48(Y1〜Y48と記載する場合がある)を組み合わせたトナーセットを各実施例、各比較例とした。
各例のトナーのビカット軟化温度、トナーセットにおけるトナーのビカット軟化温度差(max−min:ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差)を表3〜表4に示す。
【0211】
[評価]
−現像剤セットの作製−
各例で得られたトナーセットの各トナー8質量部と下記キャリア92質量部をVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後、孔径212μmのメッシュで篩分して、各現像剤を作製し、現像剤セットを準備した。
【0212】
−キャリアの製造−
・フェライト粒子(平均粒径;35μm) 100質量部
・トルエン 14質量部
・メタクリル酸メチル−メタクリル酸パーフルオロオクチルエチル共重合体(共重合比8:2)、Mw76000 1.6質量部
サンドミルを用いてこれらを分散させたものを、さらに10分間スターラーで撹拌し、被膜層形成液を調合した。次に、この被膜層形成液とフェライト粒子(45μm)とを真空脱気型ニーダーにいれ、温度60℃において30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被膜層を形成してキャリアを得た。
【0213】
−実機評価−
富士ゼロックス社製Color 1000 Press改造機(用紙の通過速度、ニップ幅が可変で、現像機内に現像剤が無くても1つでも現像機内に現像剤が入っている状態であれば出力可能なようにしたもの、定着装置がロール・ロール方式で、その接触幅が6mmで、定着時間が24msとしたもの)を用い、得られた現像剤セットの各現像剤を各色毎の現像機に、得られたトナーセットの各トナーを各色毎のカートリッジに入れ、(a)気温15℃、湿度30%の環境下で100枚、3g/mのトナーのり量でベタ画像を連続して出力した。(b)その後気温30℃、湿度85%の環境下に24時間放置し、放置後日本画像学会No.5−1を10万枚出力した。(c)終了後に気温15℃、湿度30%の環境下で24時間放置した。(a)から(c)の操作を50万枚出力するまで繰り返した。
評価は10万枚おきに、画像部の「くだもの部分」の境界部の評価を目視で行った。
評価の基準は以下の通りである。
A:50万枚でひび割れ、画像剥がれが確認できない。
B:40万枚では確認できないが、50万枚ではひび割れまたは画像剥がれが確認できる。
C:30万枚では確認できないが、40万枚ではひび割れまたは画像剥がれが確認できる。
D:20万枚では確認できないが、30万枚ではひび割れまたは画像剥がれが確認できる。
E:10万枚では確認できないが、20万枚ではひび割れまたは画像剥がれが確認できる。
F:10万枚でひび割れまたは画像剥がれが確認できる。
*1:「くだもの」画像の色再現性に問題あり。
【0214】
また、上記評価を「評価1」とし、「評価2」から「評価13」として以下に示す条件で評価を行った。なお評価基準は「評価1」と同様である。
評価2 接触幅が3mmで、定着時間が10msとしたもの
評価3 接触幅が10mmで、定着時間が40msとしたもの
評価4 接触幅が3mmで、定着時間が40msとしたもの
評価5 接触幅が10mmで、定着時間が10msとしたもの
評価6 接触幅が2.8mmで、定着時間が10msとしたもの
評価7 接触幅が3mmで、定着時間が9.8msとしたもの
評価8 接触幅が10mmで、定着時間が9.8msとしたもの
評価9 接触幅が10.2mmで、定着時間が10msとしたもの
評価10 接触幅が10.2mmで、定着時間が40msとしたもの
評価11 接触幅が10mmで、定着時間が40.2msとしたもの
評価12 接触幅が3mmで、定着時間が40.2msとしたもの
評価13 接触幅が2.8mmで、定着時間が40msとしたもの
【0215】
以上の評価結果を、表5〜6に示す。
【0216】
【表3】

【0217】
【表4】

【0218】
【表5】

【0219】
【表6】

【0220】
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、画像部のくだもの部分の境界部(異なる色の定着画像間)でのひび割れ・剥がれが抑制されることがわかる。また、ビカット軟化温度が小さすぎたり、色による差が小さい場合、ひび割れや剥がれに代わり、色再現性に問題が生じてしまうことがわかる。
【符号の説明】
【0221】
11 感光体
12 駆動ロール
13 支持ロール
14 バイアスロール
15 クリーニング装置
16 ベルトクリーナ
17 一次転写ロール
18 帯電ロール
19 露光装置
20 現像装置
34 二次転写ロール
35 定着器
40 トナーカートリッジ
50 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアントナーと、マゼンタトナーと、イエロートナーと、を少なくとも有し、
前記トナーのビカット軟化温度が30℃以上60℃以下の範囲内にあり、
前記トナーのうち、ビカット軟化温度が最も高いトナーのビカット軟化温度とビカット軟化温度が最も低いトナーのビカット軟化温度との差が、1℃以上5℃以下である静電荷像現像用トナーセット。
【請求項2】
前記トナーのうち、少なくも一つが、着色剤としてアゾ基を持つ顔料を含む請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
【請求項3】
前記イエロートナーが、着色剤としてアゾ基を持つ顔料を含む請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
【請求項4】
前記トナーが、外添剤として体積平均粒径の異なる少なくとも2種の金属酸化物粒子を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーセット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーセットの各トナーをそれぞれ含む各色の静電荷像現像剤を有する静電荷像現像剤セット。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーセットの各トナーをそれぞれ収容し、画像形成装置に脱着されるトナーカートリッジセット。
【請求項7】
請求項5に記載の静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤をそれぞれ収容し、前記各静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像を、各色のトナー画像としてぞれぞれ現像する現像手段を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項8】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体上に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤を収容し、前記各静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された前記静電荷像を各色のトナー画像としてそれぞれ現像する現像手段と、
前記像保持体上に形成された前記トナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写された前記トナー画像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項9】
前記定着手段が、前記被転写体を挟持して定着を行う一対の回転体であって、接触部の幅が3mm以上10mm以下で互いに接触配置された一対の回転体を備え、定着時間を10ms以上40ms以下とした請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
像保持体を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体上に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤セットの各静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された前記静電荷像を各色のトナー画像としてそれぞれ現像する現像工程と、
前記像保持体上に形成された前記トナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記トナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【請求項11】
前記定着工程が、接触部の幅が3mm以上10mm以下で互いに接触配置された一対の回転体により、定着時間10ms以上40ms以下で、前記被転写体を挟持して定着を行う工程である請求項10に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−203032(P2012−203032A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64676(P2011−64676)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】